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Michael: Classic音楽,Lute,宇宙

クラシック音楽とリュート、宇宙・科学 etc

J.M.Kraus:鍵盤作品の魅力  

ヨーゼフ・マルティン・クラウスの鍵盤作品は全部集めてもCD1枚に収まってしまう少なさで、モーツァルトとは大違い、3楽章のまとまったソナタが2曲と単一楽章の作品、あとは小品が数曲しかない、ピアノを含む室内楽を含めればもう少し増えるが、鍵盤曲にもなかなか聴きどころがある、
ソナタで書かれた2曲は集約されたような内容を持つ、とくにソナタ ホ長調(VB196)は充実しており、演奏時間も3つの楽章で30分近くの大曲になる。 
どちらかというとハイドン風なかっちりした形式感で、ロマン派的要素も感じる。
ハイドンの鍵盤ソナタでも名演を聴かせているR.ブラウティハムのfpで再聴、
kraus vb196
ヨーゼフ・マルティン・クラウス ピアノ作品集
ロナルド・ブラウティハム:フォルテピアノ

第一楽章、自信に満ちた主題で始まる、強と弱、動と静、彫りの深い楽想で提示部だけで味わい深い、休符(溜め)を置いて短調の展開部に突入、右手の疾走するパッセージの下で、左手が怒涛のように第一主題を展開するのは圧巻で、ブラウティハムは鮮やかでダイナミック、
第二楽章は自由な幻想曲ととらえるべきか、鍵盤のあらゆる表情、語り口を聴かせ、センスが良い、途中で終楽章に入ったか?と思うような軽快なアレグロ部分が置かれる、
第三楽章は親しみ易いテーマによる変奏曲だが、よく練られていて、変奏から変奏への繋ぎ方が、次はどう行こうか、と弄るような表情、短調となってベートーヴェンの「月光」を思わせる変奏も聴きどころ、内容たっぷりの10分間である、
録音数は多くないが、BISレーベルから出ているRonald Breatigamのフォルテ・ピアノによる演奏が技のキレ、表現ともに群を抜いており、これがあればいい。
kraus pf vb196 you
you tube:J. M. Kraus - VB 196 - Keyboard Sonata in E major
使用楽器はAndreas Stein作に基づく
fp 2

もう一つのソナタ 変ホ長調(VB195)は幾分小作りだが、それでも22分前後の作品、こちらはモーツァルト風な軽快さと独特の冴えた閃きもあり、VB196とは違った楽しみがある、終楽章が凝っている。
こちらはJacques Desprésのモダンpfによる演奏、
kraus pf vb195 you
you tube:Joseph Martin Kraus - Piano sonata in E-flat major, VB 195 -
Allegro moderato (1/3) Andante con variazioni (2/3) 
Allegro ma non troppo presto (3/3)

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category: J.M.クラウス

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J.M.Kraus:室内楽の魅力  

いつも書いているように、古典派ほど音楽様式がグローバル化した時期はほかにない、作品から作曲家を特定できないこともある。
その中で優れた技量をもちながら音楽の中心都市から離れ、独自の作風を築いた作曲家は興味深い。スペインご当地風の作風で書いたボッケリーニは代表的。ハイドンもハンガリーのエステルハージ宮に仕え、優れたorch楽員らと独創性のある作品を築いていった。スウェーデンの王室付きとなったヨーゼフ・マルティン・クラウスも同様と思われる、
クラウスの作品は長く知られることなく眠っていた、またバロック期の大家、C.グラウプナーの作品も相続権をめぐる事情で長く公開されなかったが、近年になって録音物が出始めた、
古楽研究の進んだ良い時期にタイムカプセルが開かれたと思う。

今回はクラウスの室内楽を取上げる、古典派様式であることに違いはないが、型破りな要素もあり、並行世界の中心から少し離れたような独特の魅力がある。
演奏はヤープ・シュレーダー(vn)率いるピリオド楽器によるもの、
kraus cd
1曲目はfp、vl、vcの典型的な3楽章のトリオで親しみやすく、センスが冴える。クラウスらしい、すぐわかる独特の旋律趣味が聴き取れ、これが一味違う音楽のキレの良さでもある。
kraus you
ピアノ・トリオ ニ長調 VB172
you tube:Joseph Martin Kraus - Trio in D-major, VB 171 -
Allegro (1/3) Adagio (2/3) Scherzo - Allegretto (3/3)
*ここで、同曲をモダン楽器による20世紀スタイルの演奏で聴くと、
you tube:VB 171 I. Allegro moderato /Walter Schwede
随分趣きが違う、作品の素の味わいに対し余計な色付けが感じられる、

次は興味深い曲で、クラウスの短調作品共通の魅力を持つとともに、バロックのソナタと融合したような不思議な味わいだ、ソロvnと低音の対旋律があり、チェンバロとvcで演奏される。第一楽章展開部の終りに緩叙部分が入り、ここがコレッリのvnソナタなどふと連想するのが味なところ、ソリストは反復で装飾を入れている。
ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ニ短調 VB158
you tube:Joseph Martin Kraus - Violin sonata in D-minor, VB 157 -
Allegro (1/2) Andante (2/2)

3曲目は第一楽章に序奏らしき部分を持つのが珍しい、序奏の動機はそのまま主部のテーマになり、快調なアレグロではじつに心地よい、展開部も充実、vnソナタといいながら、ピアノの活躍が目立つ、
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ハ長調 VB164
you tube:Joseph Martin Kraus - Violin sonata in C-major, VB 164 -
Largo - Allegro (1/3) Adagio (2/3) Scherzo - Allegretto (3/3)

ところで、クラウスの主立った作品を優れた演奏でまとめた作品集、CD5枚組が格安価格で出ている、ちょっと興味が湧いた方にはお薦め盤だと思う。
4589538739980.jpg
TOWER RECORDS

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category: J.M.クラウス

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J.M.クラウス:Sym Es-Dur VB 144 ほか  

ベートーヴェンの弟子で、ピアノのエチュードで有名なカール・ツェルニーは著書や教授活動で優れた人だったが、ピアノ協奏曲を聴いたところ、よく出来てはいるが真面目すぎて、はじける面白さがない;兄弟子のフェルディナント・リースは聴かせどころを心得ている、「作曲」で残る人は限られてきそうだ。 
ヨーゼフ・マルティン・クラウス(1756-1792)はスウェーデン国王グスタフ3世に高くかわれ、王室付き芸術家となり恵まれていた、独創性を持ち優美な趣きもあり、はじける要素は十分、無名の一群に埋もれさせる人ではない。
何故か良い事は続かず、グスタフ3世が暗殺された翌年、クラウスも結核で亡くなった、

クラウスの作品はNAXOSがシリーズで出したのが復活に貢献したとされるが、W.エールハルトはそれより前から優れた演奏で録音を手掛けている、NAXOSのシリーズは数こそあるが粒揃いではなく、20世紀半ば的な古いスタイルの演奏もあるので、選ぶ必要がある;
CAPRICCIOレーベルから出ていた、コンチェルト・ケルンゆかりのW.エールハルトほか、flのM.サンドホフ、シュパンツィヒSQなどによるクラウス作品の名演をまとめた絶好の5枚組アルバムが出ている、(筆者は既に1枚ずつ集めた^^;)
j m kraus cdJ.M.クラウス作品集、CAPRICCIO
他のレーベルからも良い演奏は出ているが、当アルバムを凌ぐものはないと言える、
you tubeでいくつか曲目を拾った、
まず交響曲嬰ハ短調VB.140、これはハイドンに献呈したハ短調VB.142の改作前の原曲で、唯一メヌエット楽章がある、共通部分もあるが第1楽章は大幅に異なる、むしろ当VB.140のほうが斬新かもしれない、
コンチェルト・ケルン
vb140 you
you tube:J. M. Kraus - VB 140 - Symphony in C sharp minor

交響曲をもう1つ、変ホ長調 VB.144、これも傑作で、親しみ易さもあり、両端楽章は対位法による凝った部分もあり、聴きどころ十分、第2楽章の哀歌的主題もすぐ憶えられる、メロディーメーカーでもある、メヌエットは省いた3楽章、
コンチェルト・ケルン
kraus sym vb 144 you
you tube:Symphony in E-Flat Major, VB 144:
I. Allegro II. Larghetto III. Finale. Allegro

次は声楽曲で、カンタータ「春」 VB.47より、アリア
クラウスは幾つも作法を備え、これはモーツァルトと同系でイタリア風の作品、
Sop:ジモーネ・ケルメス
you 03
you tube:Joseph Martin Kraus - Cantata "La Primavera", VB 47
緩叙部分を挟むがソプラノのコロラトゥーラの技巧はvn(又はpf)協奏曲を思わせる凄さで、カデンツァも入る、

最後に室内楽でフルート五重奏曲 ニ長調 VB 188
マルティン・サンドホフ:fl、シュパンツィヒSQ
you 04
you tube:Flute Quintet in D Major, Op. 7, VB 188:
I. Allegro moderato II. Largo III. Finale. Con brio
fl協奏曲風の響きにもなるが、各パート対等で緻密な室内楽の書法、第1楽章は快速な演奏でも13分かかる大作、第2楽章は充実した変奏だが、主題にはクラウスが生い立ちのどこかで身につけたような独特の良い趣きがある、終楽章は快活な運びに緻密なパートの掛合いがある。
kraus fl quin
1st vn パート
以上、新時代の優れた演奏でこそ、良さがわかる、

ご覧いただき、ありがとうございました。
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category: J.M.クラウス

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J.M.クラウス:Sym C minor VB142(スコア)  

北欧のスウェーデンで活躍した、ヨーゼフ・マルティン・クラウスは初めて聴いたとき、数多の古典派作曲家とは違う独創性に惹かれた、 
Joseph_Martin_Kraus_20191115093012411.jpg
Joseph Martin Kraus(1756-1792)
C.W.グルックの劇音楽の影響も受けているとのことだが、短調作品の深淵な趣きはグルックの影響かもしれない、グルックの「アルチェステ」序曲とクラウスの「オリンピエ」序曲を聴いてみると覗える気がする、
Gluck Alceste you
you tube:Gluck Alceste Overture John Eliot Gardiner
kraus o you
you tube:Joseph Martin Kraus - Ouverture to Olympie
この短調の序奏部の効果は交響曲にも活かしているように思える、
交響曲ハ短調VB142は先に書かれた嬰ハ短調VB140から改作され、ハイドンに献呈された曲だが、メヌエット楽章を除き3楽章としている、ハイドンでさえ、それまでこれほど聴かせる序奏は書いていなし、短調交響曲には1つも序奏を付けていない、
クラウスのSymで最も演奏されるVB142だが今回、スコアを見ることができた、
vb142 01
序奏の冒頭
これでわかったのが、弦楽はvaも2パートに分け、vcとcbも各々単独パートになっている、多くの部分で同一に重なるが、必要な所では別声部にしている、またobとfagが各2本、hornは4本もある、
第1楽章はユニゾンの力強さも聴かせ流麗な部分に多声でポリフォニックな書法を見事に織り込んでいる、提示部の反復指定なく、展開部に繫がる、[149]からが展開部と思われる、
vb142 0102
第2楽章は変ホ長調で書かれ、変奏的書法に対位法的書法が組み合わさっているようだ、多声に分けた声部が活かされる。
終楽章、これは魅力な楽章で引き込む、原作のVB140より展開部を充実させている、[102]から単独のcbがより懐深く引き付ける。
vb142 0301
you tubeはG.アントニーニ指揮、Kammerorchester Baselのライヴで、
20180709_20191115093009cee.jpg
you tube:Kraus Symphony VB 142 | Giovanni Antonini | Kammerorchester Basel (Haydn2032 live)
管と弦合わせ14パートあり、第1楽章は全ページの半分を超える長大さ、献呈されたハイドンはクラウスの技量と斬新さに目を見張ったかもしれない、タイプは違うが「モーツァルトに匹敵する天才」と言わしめたという、ハイドンはこのすぐ後くらいに、No.80、No.81という斬新なSymを書いている。

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category: J.M.クラウス

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J.M.クラウス:作品集(5枚組)  

ベートーヴェンの弟子で、ピアノのエチュードで有名なカール・ツェルニーは著書や教授活動で優れた人だったが、ピアノ協奏曲を聴いたところ、確かに優秀でよく出来てはいるが真面目すぎて、はじける面白さがない;兄弟子のフェルディナント・リースは結構いける、
「作曲」で残る人は限られてきそうだ。
 
ヨーゼフ・マルティン・クラウス(1756-1792)はグスタフ3世の元で活躍した「スウェーデンのモーツァルト」と例えられるが、だいぶ作風は異なり独創性が強く、優美な趣きもあり、はじける要素は十分、無名の一群に埋もれさせる人ではない。
j m kraus
Joseph Martin Kraus
クラウスの作品はNAXOSがシリーズで出したのが復興に貢献したとされるが、W.エールハルトはそれより前から優れた演奏で録音を手掛けている、NAXOSのシリーズは数こそあるが粒揃いではなく、20世紀半ば風の古いスタイルの演奏者もあるので、選ぶ必要がある;
CAPRICCIOレーベルから出ていた、コンチェルト・ケルンゆかりのW.エールハルトほか、flのM.サンドホフ、シュパンツィヒSQなどによるクラウス作品の名演をまとめた絶好の5枚組アルバムがお買い得で出ている、(1枚ずつ集めたお気に入りが全部入っている^^;)
kraus cd 01
TUWER RECORDS amazon
内容に相応しくオシャレな表紙、他のレーベルからも良い演奏は出ているが、当アルバムを凌ぐものはないと言える、

you tubeでいくつか曲目を拾ったが、当アルバム以外からも好演を一部挙げる、
まずは劇附随音楽「オリンピエ」より序曲、これを聴いたとき、"有名作曲家"レベルの才気を感じ、他にもいろいろ聴いて、ただ者じゃないと思った。
you 01
you tube:Joseph Martin Kraus: Ouverture zu der Oper "Olympie"
演奏は本当に気が抜けない、0.何秒の絶妙なデュナーミクだけで、音楽の活力が変る、

次に交響曲を1つ、変ホ長調 VB.144
you 02
you tube:Joseph Martin Kraus (1756-1792) - Symphony in E flat Major
メヌエットはなく、両端楽章はポリフォニックな書法で充実、シチリアーノ風の緩叙楽章の旋律美も一流、

声楽曲で、カンタータ「春」より、アリア
Sop:ジモーネ・ケルメス
you 03
you tube:Joseph Martin Kraus - Cantata "La Primavera", VB 47
緩叙部分を挟むがソプラノのコロラトゥーラの技巧はヴァイオリン協奏曲を思わせる凄さで、カデンツァも入る、これはモーツァルトと同系でイタリア風の作品、

室内楽でフルート五重奏曲 ニ長調 VB 188
マルティン・サンドホフ:fl、シュパンツィヒSQ
you 04
you tube:Flute Quintet in D Major, Op. 7, VB 188:
I. Allegro moderato II. Largo III. Finale. Con brio
fl協奏曲風の響きにもなるが、各パート対等で緻密な室内楽の書法、第2楽章は充実した変奏だが、主題にはクラウスが生い立ちのどこかで身につけたような、独特の趣きの美しさがある、終楽章は快活な運びに緻密なパートの掛合いがある。
以上、新時代の優れた演奏でこそ、良さがわかる、

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古典派の短調:J.M.Krausの作品  

ドイツ出身で、先日のボッケリーニとは逆にヨーロッパ最北のスウェーデンに移って活躍したのが、ヨーゼフ・マルティン・クラウス(1756-1792)である、初めて聴いた頃、こりゃ只者じゃないと思った。 
Joseph_Martin_Kraus_20190206091931a1c.jpg
Joseph Martin Kraus
クラウスは疾風怒濤の潮流を継承し、交響曲はマンハイム楽派のスタイルを、またJ.S.バッハ直系の対位法を習得(彼の師、J.C.キッテルは大バッハの弟子であった)、さらにC.P.E.バッハやC.W.グルックの劇的な作風の影響も受けていると言われる。
彼は早くから交響曲を手がけ、失われた作品を含むとかなりの数に昇ると推測されるらしいが残されているのは14曲である。
まず1曲目はニコラス・マギーガン指揮、Capella Savariaによるくっきり誠実な演奏で、sym嬰ハ短調 VB140
n m kraus vb140
you tube:Symphony in C sharp minor, VB 140
I. Andante di molto,Allegro
II. Andantino
III. Minuetto I, Minuetto II
IV. Allegro
このように短調Symで第1楽章に序奏を持つ曲は他に憶えがない、グルックの歌劇序曲を思わせる、(参考:C.W.グルックの歌劇「アルチェステ」序曲、you tube:Gluck Alceste Overture John Eliot Gardiner
主部の動機が鋭いトレモロで始まるのも革新的だ、序奏部や第2楽章の対位法も深みがある、作曲されたのは1782年、ハイドンがNo.78ハ短調を書いたのと同年である、音楽修行の旅でウィーンを訪れたクラウスはハイドンに献呈するため、1783年この曲をハ短調(VB142)に改作している、また同年ハイドンはNo.80ニ短調を書いている。
クラウスのSymハ短調 VB142をG.アントニーニ指揮、Kammerorchester Baselの演奏で、
g a kraus s c moll you
you tube:Kraus Symphony VB 142 | Giovanni Antonini | Kammerorchester Basel
第1楽章の主部は大幅に改作され、メロディアスな主題で始まるが白熱感は維持、メヌエットは省かれるが他の楽章は原作VB140の魅力を残し、充実させている。
最後に短調Symをもう1曲、ホ短調 VB141、P.スンドクヴィスト指揮、スウェーデン室内Oの演奏を挙げる、
p s kraus vb141
you tube:J. M.Kraus: Symphony in E minor VB141, Swedish Chamber Orchestra
I. Allegro spiritoso
II. Adagio non tanto ma con espressione
III. Presto
*リンクに不備があったので修正済み
VB140やVB142とはテクスチュアが異なるが、終楽章Prestoの緊張感といい、バロック的手法を凝らしながらも新しく、独創性がある。それゆえヴァンハルなどウィーンの人気作曲家らに比べ、馴染むのに少々時を要するかもしれない。
作品の真価が聴ける演奏法と録音技術の発達した近年になって復活してきた作曲家だ。

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コンチェルト・ケルン:J.M.Kraus Sym Es-Dur  

古典派期のヨーゼフ・マルティン・クラウス(1756-1792)は、現在のドイツ、バイエルン州ミルテンベルクの生まれで、スウェーデン国王、グスタフ3世に見いだされ、スウェーデンに移った、作曲のほか劇作家、画家としても活躍したマルチ芸術家だった。 
j m kraus
Joseph Martin Kraus
1782年から4年間、ヨーロッパ音楽修行に送られ、恵まれた待遇だったようだ。ウィーンではハイドンに会い、交響曲VB142を献呈している。ハイドンはモーツァルトに匹敵する才能と評したと伝わるが、作品の内容からして、ありそうな話、クラウスはフリーメイソンにも加入し、モーツァルトと会った可能性もある。
フランス革命が起きて間もなくの1792年、庇護者だったグスタフ3世が暗殺され、クラウスも同年末、結核で他界した。
Gustavo III
Gustav III

さて、クラウスが書いた交響曲でとくに親しみ易く聴きどころも十分なのが、変ホ長調VB144あたりだろうか、録音はNAXOSのスンドクヴィスト盤もあるが、コンチェルト・ケルンの演奏が特に良い。
j m kraus sym cd
ヨーゼフ・マルティン・クラウス 交響曲変ホ長調 VB144
コンチェルト・ケルン
1991年 CAPRICCIO

第1楽章、アレグロ、序奏を置かず、確固とした動機で始まり、ホモフォニックで颯爽とした推進力を持つ、コンチェルト・ケルンは爽快な弦とバスのリズムや内声弦のトレモロがキビキビ引き締める。第2主題は穏やかでゆったりflトラヴェルソが重なり華やぐ、提示部の終わりは明るく高揚させ、反復は省略、短調の展開部の入りで弦楽がぐいっと引き付け、緊張の始まり、第1主題後半を用いて深める、展開部後半は第2主題で明るく、再現部は回想するようにまとめ、終結部も明るく終わる。
第2楽章、ラルゲット、シチリアーノ風で短調の悲歌的な主題が涼やかな弦で始まる、オーボエが加わり繰り返す、印象に残る名旋律だ、中間部は長調主題に変わり、obが奏でるがこれも表情が美しい、また始めの短調に戻る三部形式。
第3楽章、アレグロ、楽章の始まりから弦による凝った対位法で始まる、やがてトゥッティの快調な部分に入る、このあたりが第1主題群か、やや構成は複雑のようだ、快活な推進力で進め、提示部を反復する。展開部の入りも緊迫感があり、突き進む、やがて冒頭の対位法を少し再現するがトゥッティが割って入り、そしてまた対位法を複雑、念入りに聴かせる、ここは見事。再現部に当たりそうな部分も聴きどころを入れて、スパっと終結する。
you tubeにコンチェルト・ケルンの演奏が挙っている、
j m kraus vb144 you
you tube:Joseph Martin Kraus (1756-1792) - Symphony in E flat Major

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R.ブラウティハム:J.M.Kraus fp Sonata   

今朝は曇り、危険な暑さが続く中、曇り空がこんなに有り難く思うことはない;

J.M.クラウスのピアノ作品は全部集めてもCD1枚に収まってしまう少なさでモーツァルトとは大違い、3楽章のまとまったソナタが2曲と単一楽章の作品、あとは小品が数曲しかない、
クラウスはピアノの達人だったという話は聞かない、自ら演奏会で披露することもなかった?、よって作品数も少ない、と単純に捉えるべきか・・あるいはこれ以上の曲は書けないと思って別の仕事に精を出したのか・・この可能性も否定できないほど、ソナタで書かれた2曲は集約されたような内容で素晴らしい。特にソナタ ホ長調(VB196)はひじょうに充実しており、演奏時間も3つの楽章で30分弱という大曲になる。 
どちらかというとハイドン風なかっちりした形式感で、ロマン派的精神も予感させる。
ハイドンの鍵盤ソナタでも名演を聴かせているR.ブラウティハムのfpで久方ぶりに再聴、
kraus vb196
ヨーゼフ・マルティン・クラウス ピアノ作品集
ロナルド・ブラウティハム:フォルテピアノ

第一楽章、自信に満ちた第一主題で始まる、強と弱、動と静、彫りの深い楽想で提示部だけでも味わい深い、休符(溜め)を置いて短調の展開部に突入、右手の疾走するパッセージの下で、左手が怒涛のように第一主題を展開するのは圧巻で、ここは絶対的に指さばきの鮮やかさがないと魅力半減だろう、ブラウティハムは鮮やかでダイナミック、
第二楽章は自由な幻想曲ととらえるべきか、鍵盤のあらゆる表情、語り口を聴かせ、楽想もセンスがいい、途中で終楽章に入ったか?と思うような軽快なアレグロ部分が置かれ変化多彩。
第三楽章は親しみ易いテーマによる変奏曲だが、ありきたりではなく、じつによく練られていて、変奏から変奏への繋ぎ方が良い、「次はどう変奏しようか?」と弄るような、今まさに作曲しているような表情が聴かれる、短調となってベートーヴェンの「月光」を思わせる変奏も聴きどころ、内容たっぷりの第二楽章をもう一つ聴くような約10分間である。これはもうベートーヴェンの大作を聴くのと同じ姿勢で味わうべき;
録音数は多くないので選択枝は少ない、BISレーベルから出ているRonald Breatigamのフォルテ・ピアノによる演奏が技のキレ、表現ともに群を抜いて素晴らしい。

ホ長調(VB196)はyou tubeからMario Martinoliの演奏を挙げる
kraus vb196 b
you tube:Joseph Martin Kraus (1756-1792) Piano Sonata in E major VB196 (1787)
*3つの楽章は続きで再生される
使用楽器はAndreas Stein作に基づく
fp a ste
もう一つのソナタ 変ホ長調(VB195)は幾分小作りだが、それでも22分前後の作品、こちらはモーツァルト的な軽快さがあり、VB196とは違った楽しみがある、終楽章が凝っているかな。
これはyou tubeにブラウティハムの演奏があった、
kraus fp you2
you tube:J.Martin Kraus: Piano Sonata in E flat major VB 195

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A.ホルステッド:J.M.Kraus 序曲&交響曲集  

こう暑いと何を聴こうと考える気も起こらない;しばらく聴いていない好きな曲がいい、 
取り出したのはアンソニー・ホルステッド指揮、エイジ・オブ・インライトゥメントOの演奏で1枚だけ録音された、J.M.クラウスの序曲&交響曲集、今では貴重なものとなった。
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アンソニー・ホルステッド指揮、エイジ・オブ・インライトゥメントO
1991年、MUSICA SVECIAE

MUSICA SVECIAEはスウェーデンの音楽史をたどるレーベルで、スウェーデン政府が資金を出し、王立音楽アカデミーが製作した優れた内容だった。
ヨーゼフ・マルティン・クラウス(1756-1792)にはベートーヴェンやモーツァルト同様、今の我々にも共鳴する斬新な力がある。その作品はNAXOSレーベルにシリーズ録音されて知られるようになったが、これに先立ち、コンチェルト・ケルンや今日取り上げるA.ホルステッド指揮による録音がクラウス没後200年に合わせて出ていた。先日も書いたように、曲の真価が聴ける演奏が確率された良い時期に復活したと思う。

劇音楽「オリンピエ」序曲、短調作品で劇的な序奏で始まる、主部は概ねソナタ形式だが、提示部のあと簡潔な展開部があって再現部は提示部をそのまま、最後に序奏部もそのまま再現して終わる、構成は明快であまり手は込んでいないが、閃きを一気に書きとめたような、ぐっと来るクラウスの魅力を印象づける。ホルステッドによる演奏は内声弦の動きもよく聴かせ、木管の立ち上げどころも良い、見渡しの良い古楽サウンド。
「オリンピエ」はyou tubeに当演奏があった、
kraus o you
you tube:Joseph Martin Kraus - Ouverture to Olympie(劇音楽「オリンピエ」序曲)

交響曲ハ短調VB142、過去作の嬰ハ短調VB140が原曲で、ハイドンに献呈するためハ短調に改作したのがVB142になり、第一楽章が大幅に書き直されている、対位法的な序奏は、オーロラを見るような?幻想感が良い、主部の主題はメロディアスになったが、バスや内声による切迫感のあるリズムは残している。ホルステッドの構成を捉えた演奏で希薄にならず、引き付けて行く。第二楽章は変奏曲のようだがバスの動きは対位法的、クールな主題で気分を沈静化させ、弱音の弦の和声が美しく響き幻想的でもある、メヌエット楽章は除かれ、終楽章、アレグロ・アッサイ、これは悲哀というより激動、クラウスの魅力の大きな要素、原曲VB140とほぼ同じだが、展開部をよりドラマティックに改作している、vl群の怒涛のトレモロの下で内声、低音部が力強い掛け合いをするのは圧巻、終結部も同様の手法で、白熱して終わる。
参考動画はConcerto Kölnの演奏を挙げる、こちらも名演
vb 142 you
you tube:
Joseph Martin Kraus-Sinfonie c-moll-Concerto Koln

交響曲ハ長調VB139、まずハ短調の深く幻想的な序奏がある、主部は一転、明るく活気のある第一主題、穏やかながら印象的な第二主題がでる、ソナタ形式ではあろうが、あまり明確に形式感が掴めない不思議な感覚を抱かせる、クラウスらしい魅力を持った楽章。第二楽章も形式が掴めない自由なカプリチォ風の曲だろうか、不思議な魅力で包み短く終わる。終楽章はいかにもロンドらしい楽しげな主題、ソナタ形式の枠もあるようだ、展開部で少し聴きどころを置き、この楽章も短く切り上げている。
参考動画:こちらもConcerto Kölnの演奏
vb139 you
you tube:J. M. Kraus - VB 139 - Symphony in C major

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北欧の古典派:J.M.クラウス  

先般は南欧イタリアからスペインに移ったL.ボッケリーニについて書いた、同じラテン諸国だが、他の諸国とは一風違うエスパーニャな曲を書いていた。 
今日はドイツ出身でスウェーデンに移り、王室付き音楽家になったヨーゼフ・マルティン・クラウス(1756-1792)、モーツァルトと同年生まれである。
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Joseph Martin Kraus(1756-1792)
スウェーデンはスカンジナヴィア半島の西に北上してくるメキシコ湾流のおかげで、緯度の高い地域にありながら、極寒が和らぎ、四季のある気候で、白夜、オーロラの見られるところ、こういう環境に居ると芸術的感性も一風変わってきそうな気がする、
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クラウスの作品もいくつか聴くと、国際趣味だったり、独創性が出ていたり、興味深い、1781年に国王グスタフ3世の宮廷作曲家になり、翌年から4年間、イタリア、ウィーンなどへ音楽修行に出ている。ハイドンの所も訪れ、交響曲を献呈している。

グスタフ3世に捧げられた弦楽四重奏曲は3楽章が多く、2楽章の曲もあり、芸術に造詣の深い国王の希望に叶った作品に違いない、型どおり楽章を揃えて退屈させるより良いと思う。
その1曲、弦楽四重奏曲ニ長調、op.1-4(VB184)の終楽章、とくにこの楽章は印象強い、
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J.M.クラスス四重奏団
you tube:J. M. Kraus - VB 184 - String Quartet Op 1 No. 4 in D major
この情熱を帯びたリズム感覚はどこかラテン的血統に似ている?北欧人だってこれくらい書くよ、って言われりゃそれまでだし、民族音楽にあるかもしれない、しかし標準的でありふれた古典派音楽とは異風のところがやはり面白い。
このほかクラウスはフーガの技法を用いた曲が魅力で、その1つ、弦楽四重奏曲ト短調op.1-3(VB183)
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J.M.クラスス四重奏団
you tube:J. M. Kraus - VB 183 - String Quartet Op 1 No. 3 in G minor
第一楽章は導入部でテーマを予告、このテーマのフーガに入り、テーマは少しずつ変形する、
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中間部らしき部分があり、再び導入を聴かせて再現部か、ここでもフーガに変化を付けて聴かせる、こういうのもインテリ?国王の好みだったかもしれない。
因みにクラウスの師、J.C.キッテル(1732-1809)は大バッハの弟子だった人だ。

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