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Micha: Classic音楽・Lute・宇宙

クラシック音楽とリュート、宇宙・科学の話など

J.M.クラウス:作品集(5枚組)  

ベートーヴェンの弟子で、ピアノのエチュードで有名なカール・ツェルニーは著書や教授活動で優れた人だったが、ピアノ協奏曲を聴いたところ、確かに優秀でよく出来てはいるが真面目すぎて、はじける面白さがない;兄弟子のフェルディナント・リースは結構いける、
「作曲」で残る人は限られてきそうだ。
 
ヨーゼフ・マルティン・クラウス(1756-1792)はグスタフ3世の元で活躍した「スウェーデンのモーツァルト」と例えられるが、だいぶ作風は異なり独創性が強く、優美な趣きもあり、はじける要素は十分、無名の一群に埋もれさせる人ではない。
j m kraus
Joseph Martin Kraus
クラウスの作品はNAXOSがシリーズで出したのが復興に貢献したとされるが、W.エールハルトはそれより前から優れた演奏で録音を手掛けている、NAXOSのシリーズは数こそあるが粒揃いではなく、20世紀半ば風の古いスタイルの演奏者もあるので、選ぶ必要がある;
CAPRICCIOレーベルから出ていた、コンチェルト・ケルンゆかりのW.エールハルトほか、flのM.サンドホフ、シュパンツィヒSQなどによるクラウス作品の名演をまとめた絶好の5枚組アルバムがお買い得で出ている、(1枚ずつ集めたお気に入りが全部入っている^^;)
kraus cd 01
TUWER RECORDS amazon
内容に相応しくオシャレな表紙、他のレーベルからも良い演奏は出ているが、当アルバムを凌ぐものはないと言える、

you tubeでいくつか曲目を拾ったが、当アルバム以外からも好演を一部挙げる、
まずは劇附随音楽「オリンピエ」より序曲、これを聴いたとき、"有名作曲家"レベルの才気を感じ、他にもいろいろ聴いて、ただ者じゃないと思った。
you 01
you tube:Joseph Martin Kraus: Ouverture zu der Oper "Olympie"
演奏は本当に気が抜けない、0.何秒の絶妙なデュナーミクだけで、音楽の活力が変る、

次に交響曲を1つ、変ホ長調 VB.144
you 02
you tube:Joseph Martin Kraus (1756-1792) - Symphony in E flat Major
メヌエットはなく、両端楽章はポリフォニックな書法で充実、シチリアーノ風の緩叙楽章の旋律美も一流、

声楽曲で、カンタータ「春」より、アリア
Sop:ジモーネ・ケルメス
you 03
you tube:Joseph Martin Kraus - Cantata "La Primavera", VB 47
緩叙部分を挟むがソプラノのコロラトゥーラの技巧はヴァイオリン協奏曲を思わせる凄さで、カデンツァも入る、これはモーツァルトと同系でイタリア風の作品、

室内楽でフルート五重奏曲 ニ長調 VB 188
マルティン・サンドホフ:fl、シュパンツィヒSQ
you 04
you tube:Flute Quintet in D Major, Op. 7, VB 188:
I. Allegro moderato II. Largo III. Finale. Con brio
fl協奏曲風の響きにもなるが、各パート対等で緻密な室内楽の書法、第2楽章は充実した変奏だが、主題にはクラウスが生い立ちのどこかで身につけたような、独特の趣きの美しさがある、終楽章は快活な運びに緻密なパートの掛合いがある。
以上、新時代の優れた演奏でこそ、良さがわかる、

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category: J.M.クラウス

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古典派の短調:J.M.Krausの作品  

ドイツ出身で、先日のボッケリーニとは逆にヨーロッパ最北のスウェーデンに移って活躍したのが、ヨーゼフ・マルティン・クラウス(1756-1792)である、初めて聴いた頃、こりゃ只者じゃないと思った。 
Joseph_Martin_Kraus_20190206091931a1c.jpg
Joseph Martin Kraus
クラウスは疾風怒濤の潮流を継承し、交響曲はマンハイム楽派のスタイルを、またJ.S.バッハ直系の対位法を習得(彼の師、J.C.キッテルは大バッハの弟子であった)、さらにC.P.E.バッハやC.W.グルックの劇的な作風の影響も受けていると言われる。
彼は早くから交響曲を手がけ、失われた作品を含むとかなりの数に昇ると推測されるらしいが残されているのは14曲である。
まず1曲目はニコラス・マギーガン指揮、Capella Savariaによるくっきり誠実な演奏で、sym嬰ハ短調 VB140
n m kraus vb140
you tube:Symphony in C sharp minor, VB 140
I. Andante di molto,Allegro
II. Andantino
III. Minuetto I, Minuetto II
IV. Allegro
このように短調Symで第1楽章に序奏を持つ曲は他に憶えがない、グルックの歌劇序曲を思わせる、(参考:C.W.グルックの歌劇「アルチェステ」序曲、you tube:Gluck Alceste Overture John Eliot Gardiner
主部の動機が鋭いトレモロで始まるのも革新的だ、序奏部や第2楽章の対位法も深みがある、作曲されたのは1782年、ハイドンがNo.78ハ短調を書いたのと同年である、音楽修行の旅でウィーンを訪れたクラウスはハイドンに献呈するため、1783年この曲をハ短調(VB142)に改作している、また同年ハイドンはNo.80ニ短調を書いている。
クラウスのSymハ短調 VB142をG.アントニーニ指揮、Kammerorchester Baselの演奏で、
g a kraus s c moll you
you tube:Kraus Symphony VB 142 | Giovanni Antonini | Kammerorchester Basel
第1楽章の主部は大幅に改作され、メロディアスな主題で始まるが白熱感は維持、メヌエットは省かれるが他の楽章は原作VB140の魅力を残し、充実させている。
最後に短調Symをもう1曲、ホ短調 VB141、P.スンドクヴィスト指揮、スウェーデン室内Oの演奏を挙げる、
p s kraus vb141
you tube:J. M.Kraus: Symphony in E minor VB141, Swedish Chamber Orchestra
I. Allegro spiritoso
II. Adagio non tanto ma con espressione
III. Presto
*リンクに不備があったので修正済み
VB140やVB142とはテクスチュアが異なるが、終楽章Prestoの緊張感といい、バロック的手法を凝らしながらも新しく、独創性がある。それゆえヴァンハルなどウィーンの人気作曲家らに比べ、馴染むのに少々時を要するかもしれない。
作品の真価が聴ける演奏法と録音技術の発達した近年になって復活してきた作曲家だ。

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category: J.M.クラウス

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コンチェルト・ケルン:J.M.Kraus Sym Es-Dur  

古典派期のヨーゼフ・マルティン・クラウス(1756-1792)は、現在のドイツ、バイエルン州ミルテンベルクの生まれで、スウェーデン国王、グスタフ3世に見いだされ、スウェーデンに移った、作曲のほか劇作家、画家としても活躍したマルチ芸術家だった。 
j m kraus
Joseph Martin Kraus
1782年から4年間、ヨーロッパ音楽修行に送られ、恵まれた待遇だったようだ。ウィーンではハイドンに会い、交響曲VB142を献呈している。ハイドンはモーツァルトに匹敵する才能と評したと伝わるが、作品の内容からして、ありそうな話、クラウスはフリーメイソンにも加入し、モーツァルトと会った可能性もある。
フランス革命が起きて間もなくの1792年、庇護者だったグスタフ3世が暗殺され、クラウスも同年末、結核で他界した。
Gustavo III
Gustav III

さて、クラウスが書いた交響曲でとくに親しみ易く聴きどころも十分なのが、変ホ長調VB144あたりだろうか、録音はNAXOSのスンドクヴィスト盤もあるが、コンチェルト・ケルンの演奏が特に良い。
j m kraus sym cd
ヨーゼフ・マルティン・クラウス 交響曲変ホ長調 VB144
コンチェルト・ケルン
1991年 CAPRICCIO

第1楽章、アレグロ、序奏を置かず、確固とした動機で始まり、ホモフォニックで颯爽とした推進力を持つ、コンチェルト・ケルンは爽快な弦とバスのリズムや内声弦のトレモロがキビキビ引き締める。第2主題は穏やかでゆったりflトラヴェルソが重なり華やぐ、提示部の終わりは明るく高揚させ、反復は省略、短調の展開部の入りで弦楽がぐいっと引き付け、緊張の始まり、第1主題後半を用いて深める、展開部後半は第2主題で明るく、再現部は回想するようにまとめ、終結部も明るく終わる。
第2楽章、ラルゲット、シチリアーノ風で短調の悲歌的な主題が涼やかな弦で始まる、オーボエが加わり繰り返す、印象に残る名旋律だ、中間部は長調主題に変わり、obが奏でるがこれも表情が美しい、また始めの短調に戻る三部形式。
第3楽章、アレグロ、楽章の始まりから弦による凝った対位法で始まる、やがてトゥッティの快調な部分に入る、このあたりが第1主題群か、やや構成は複雑のようだ、快活な推進力で進め、提示部を反復する。展開部の入りも緊迫感があり、突き進む、やがて冒頭の対位法を少し再現するがトゥッティが割って入り、そしてまた対位法を複雑、念入りに聴かせる、ここは見事。再現部に当たりそうな部分も聴きどころを入れて、スパっと終結する。
you tubeにコンチェルト・ケルンの演奏が挙っている、
j m kraus vb144 you
you tube:Joseph Martin Kraus (1756-1792) - Symphony in E flat Major

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category: J.M.クラウス

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R.ブラウティハム:J.M.Kraus fp Sonata   

今朝は曇り、危険な暑さが続く中、曇り空がこんなに有り難く思うことはない;

J.M.クラウスのピアノ作品は全部集めてもCD1枚に収まってしまう少なさでモーツァルトとは大違い、3楽章のまとまったソナタが2曲と単一楽章の作品、あとは小品が数曲しかない、
クラウスはピアノの達人だったという話は聞かない、自ら演奏会で披露することもなかった?、よって作品数も少ない、と単純に捉えるべきか・・あるいはこれ以上の曲は書けないと思って別の仕事に精を出したのか・・この可能性も否定できないほど、ソナタで書かれた2曲は集約されたような内容で素晴らしい。特にソナタ ホ長調(VB196)はひじょうに充実しており、演奏時間も3つの楽章で30分弱という大曲になる。 
どちらかというとハイドン風なかっちりした形式感で、ロマン派的精神も予感させる。
ハイドンの鍵盤ソナタでも名演を聴かせているR.ブラウティハムのfpで久方ぶりに再聴、
kraus vb196
ヨーゼフ・マルティン・クラウス ピアノ作品集
ロナルド・ブラウティハム:フォルテピアノ

第一楽章、自信に満ちた第一主題で始まる、強と弱、動と静、彫りの深い楽想で提示部だけでも味わい深い、休符(溜め)を置いて短調の展開部に突入、右手の疾走するパッセージの下で、左手が怒涛のように第一主題を展開するのは圧巻で、ここは絶対的に指さばきの鮮やかさがないと魅力半減だろう、ブラウティハムは鮮やかでダイナミック、
第二楽章は自由な幻想曲ととらえるべきか、鍵盤のあらゆる表情、語り口を聴かせ、楽想もセンスがいい、途中で終楽章に入ったか?と思うような軽快なアレグロ部分が置かれ変化多彩。
第三楽章は親しみ易いテーマによる変奏曲だが、ありきたりではなく、じつによく練られていて、変奏から変奏への繋ぎ方が良い、「次はどう変奏しようか?」と弄るような、今まさに作曲しているような表情が聴かれる、短調となってベートーヴェンの「月光」を思わせる変奏も聴きどころ、内容たっぷりの第二楽章をもう一つ聴くような約10分間である。これはもうベートーヴェンの大作を聴くのと同じ姿勢で味わうべき;
録音数は多くないので選択枝は少ない、BISレーベルから出ているRonald Breatigamのフォルテ・ピアノによる演奏が技のキレ、表現ともに群を抜いて素晴らしい。

ホ長調(VB196)はyou tubeからMario Martinoliの演奏を挙げる
kraus vb196 b
you tube:Joseph Martin Kraus (1756-1792) Piano Sonata in E major VB196 (1787)
*3つの楽章は続きで再生される
使用楽器はAndreas Stein作に基づく
fp a ste
もう一つのソナタ 変ホ長調(VB195)は幾分小作りだが、それでも22分前後の作品、こちらはモーツァルト的な軽快さがあり、VB196とは違った楽しみがある、終楽章が凝っているかな。
これはyou tubeにブラウティハムの演奏があった、
kraus fp you2
you tube:J.Martin Kraus: Piano Sonata in E flat major VB 195

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A.ホルステッド:J.M.Kraus 序曲&交響曲集  

こう暑いと何を聴こうと考える気も起こらない;しばらく聴いていない好きな曲がいい、 
取り出したのはアンソニー・ホルステッド指揮、エイジ・オブ・インライトゥメントOの演奏で1枚だけ録音された、J.M.クラウスの序曲&交響曲集、今では貴重なものとなった。
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アンソニー・ホルステッド指揮、エイジ・オブ・インライトゥメントO
1991年、MUSICA SVECIAE

MUSICA SVECIAEはスウェーデンの音楽史をたどるレーベルで、スウェーデン政府が資金を出し、王立音楽アカデミーが製作した優れた内容だった。
ヨーゼフ・マルティン・クラウス(1756-1792)にはベートーヴェンやモーツァルト同様、今の我々にも共鳴する斬新な力がある。その作品はNAXOSレーベルにシリーズ録音されて知られるようになったが、これに先立ち、コンチェルト・ケルンや今日取り上げるA.ホルステッド指揮による録音がクラウス没後200年に合わせて出ていた。先日も書いたように、曲の真価が聴ける演奏が確率された良い時期に復活したと思う。

劇音楽「オリンピエ」序曲、短調作品で劇的な序奏で始まる、主部は概ねソナタ形式だが、提示部のあと簡潔な展開部があって再現部は提示部をそのまま、最後に序奏部もそのまま再現して終わる、構成は明快であまり手は込んでいないが、閃きを一気に書きとめたような、ぐっと来るクラウスの魅力を印象づける。ホルステッドによる演奏は内声弦の動きもよく聴かせ、木管の立ち上げどころも良い、見渡しの良い古楽サウンド。
「オリンピエ」はyou tubeに当演奏があった、
kraus o you
you tube:Joseph Martin Kraus - Ouverture to Olympie(劇音楽「オリンピエ」序曲)

交響曲ハ短調VB142、過去作の嬰ハ短調VB140が原曲で、ハイドンに献呈するためハ短調に改作したのがVB142になり、第一楽章が大幅に書き直されている、対位法的な序奏は、オーロラを見るような?幻想感が良い、主部の主題はメロディアスになったが、バスや内声による切迫感のあるリズムは残している。ホルステッドの構成を捉えた演奏で希薄にならず、引き付けて行く。第二楽章は変奏曲のようだがバスの動きは対位法的、クールな主題で気分を沈静化させ、弱音の弦の和声が美しく響き幻想的でもある、メヌエット楽章は除かれ、終楽章、アレグロ・アッサイ、これは悲哀というより激動、クラウスの魅力の大きな要素、原曲VB140とほぼ同じだが、展開部をよりドラマティックに改作している、vl群の怒涛のトレモロの下で内声、低音部が力強い掛け合いをするのは圧巻、終結部も同様の手法で、白熱して終わる。
参考動画はConcerto Kölnの演奏を挙げる、こちらも名演
vb 142 you
you tube:
Joseph Martin Kraus-Sinfonie c-moll-Concerto Koln

交響曲ハ長調VB139、まずハ短調の深く幻想的な序奏がある、主部は一転、明るく活気のある第一主題、穏やかながら印象的な第二主題がでる、ソナタ形式ではあろうが、あまり明確に形式感が掴めない不思議な感覚を抱かせる、クラウスらしい魅力を持った楽章。第二楽章も形式が掴めない自由なカプリチォ風の曲だろうか、不思議な魅力で包み短く終わる。終楽章はいかにもロンドらしい楽しげな主題、ソナタ形式の枠もあるようだ、展開部で少し聴きどころを置き、この楽章も短く切り上げている。
参考動画:こちらもConcerto Kölnの演奏
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you tube:J. M. Kraus - VB 139 - Symphony in C major

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北欧の古典派:J.M.クラウス  

先般は南欧イタリアからスペインに移ったL.ボッケリーニについて書いた、同じラテン諸国だが、他の諸国とは一風違うエスパーニャな曲を書いていた。 
今日はドイツ出身でスウェーデンに移り、王室付き音楽家になったヨーゼフ・マルティン・クラウス(1756-1792)、モーツァルトと同年生まれである。
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Joseph Martin Kraus(1756-1792)
スウェーデンはスカンジナヴィア半島の西に北上してくるメキシコ湾流のおかげで、緯度の高い地域にありながら、極寒が和らぎ、四季のある気候で、白夜、オーロラの見られるところ、こういう環境に居ると芸術的感性も一風変わってきそうな気がする、
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クラウスの作品もいくつか聴くと、国際趣味だったり、独創性が出ていたり、興味深い、1781年に国王グスタフ3世の宮廷作曲家になり、翌年から4年間、イタリア、ウィーンなどへ音楽修行に出ている。ハイドンの所も訪れ、交響曲を献呈している。

グスタフ3世に捧げられた弦楽四重奏曲は3楽章が多く、2楽章の曲もあり、芸術に造詣の深い国王の希望に叶った作品に違いない、型どおり楽章を揃えて退屈させるより良いと思う。
その1曲、弦楽四重奏曲ニ長調、op.1-4(VB184)の終楽章、とくにこの楽章は印象強い、
j m kraus sq
J.M.クラスス四重奏団
you tube:J. M. Kraus - VB 184 - String Quartet Op 1 No. 4 in D major
この情熱を帯びたリズム感覚はどこかラテン的血統に似ている?北欧人だってこれくらい書くよ、って言われりゃそれまでだし、民族音楽にあるかもしれない、しかし標準的でありふれた古典派音楽とは異風のところがやはり面白い。
このほかクラウスはフーガの技法を用いた曲が魅力で、その1つ、弦楽四重奏曲ト短調op.1-3(VB183)
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J.M.クラスス四重奏団
you tube:J. M. Kraus - VB 183 - String Quartet Op 1 No. 3 in G minor
第一楽章は導入部でテーマを予告、このテーマのフーガに入り、テーマは少しずつ変形する、
j m kraus
中間部らしき部分があり、再び導入を聴かせて再現部か、ここでもフーガに変化を付けて聴かせる、こういうのもインテリ?国王の好みだったかもしれない。
因みにクラウスの師、J.C.キッテル(1732-1809)は大バッハの弟子だった人だ。

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J.M.クラウスSQ:J.M.クラウス 弦楽四重奏曲 op.1-4  

よくある、一般ウケする古典派音楽とは一味違う趣きをもった、ヨーゼフ・マルティン・クラウス(Joseph Martin Kraus 1756-1792)はドイツ出身、スウェーデン国王グスタフ3世のもとで王室付きの芸術家として活躍した。王に献呈された弦楽四重奏曲からは、王とクラウスのインテリジェンスの高い関係が伝わってくる、m
Gustavo-III.jpg
グスタフ3世
フーガの技法で書かれた傑作もある、楽章の数も3つ、あるいは2つ、と定形にこだわらず、余計な楽章は割愛し、王が満足する内容に絞った、そんな作品群に思える。
その中の傑作op.1-4(VB184)を聴く、演奏は古楽器SQで、W.エールハルト率いる、その名もJ.M.クラウス四重奏団、
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ヨーゼフ・マルティン・クラウス四重奏団
レーベル:CAVALLI RECORDS
 


弦楽四重奏曲 ニ長調 op.1-4(VB184)
第一楽章 Allegro
主題は明確なタイプではなく、流麗に始まる、
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vn1とvcの間で印象的な掛け合いが目立つが4パートによるポリフォニックで調の移ろいもデリケートな書法、ソナタ形式だが各部の区分けを意識する必要ないような流れに聴こえる。
また、このパターンはクラウスがよく用い、スマートな歩調だ、
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第二楽章 Larghetto
ニ短調の悲痛な面持の主題で書かれた変奏形式だが、
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"変奏の楽しみ"は二の次で、あくまで音楽の内面に引き込んでいく、中間部で長調となり、始めのテーマに戻る、
終楽章 Allegro molto
クラウスならではの才気が効いた傑作楽章に思う、fで始まる主題は切り立ったリズム、これが全体に緊張を与えながら、[7]からのpのデリケートな要素が交錯するが、
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僅かな緩和を入れて引き付けていく、展開部では一段と緊迫、北欧の宮廷でスペイン風?にも聴こえる熱情的な曲が演奏されたのだろうか、こんなのはハイドンも書いていない、J.M.クラウスSQは切れ味よく曲の持つ躍動感を目一杯に聴かせる。
kraus you tube
tou tube:J.M.Kraus String Quartet Op.1-4 in D major(VB 184)
1. Allegro (0:00)
2. Larghetto (5:48)
3. Allegro molto (13:49)


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Concerto Köln:J.M.クラウス 交響曲ニ長調 VB143  

ハイドンはN.エステルハージ侯という音楽に造詣の深い主君に仕え、活躍の場が大都市から少し距離を置いていたのが他の作曲家にはない独創性を持つこととなったと言われるが、時折取り上げるヨーゼフ・マルティン・クラウスもやはり芸術の理解者だったスウェーデン国王、グスタフ3世のもとで活躍、ありふれた聴きやすい曲より、自らと主君の満足できる創作に集中して、独創性を持つに至ったのではないだろうか。交響曲や室内楽でも対位法を駆使し、複雑で緻密、精神性の高い作品が多い。

今日は交響曲ニ長調 VB143、これも傑作と思う、両端楽章は気軽に聴き流すタイプではなく、通好みといった作品、コンチェルト・ケルンによる、魅力を研ぎ出したような演奏で聴く。
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コンチェルト・ケルン
1991年


第一楽章 Allegro、第一主題は優美ではないが、対位法向きの素材で始まりから凝った書法だ、ここではさほど急速に聴こえず、第二主題でキレのよい急速感が出るため、二重構造のように聴こえる、提示部だけで展開部を含むような内容、展開部ではさらに書法が緻密で、また劇的な要素も湛え、なかなかの聴き応え。
第二楽章、変奏形式、あまり甘美にならずクラウスらしい良いテーマだ、flがソロを取る場面が多く、コンチェルト風でもある、あのfl五重奏曲ニ長調(VB188)を思わせる、クラウス独特の才気に満ちた変奏、Concerto KölnのM.サンドホッフのflトラヴェルソが味わい深い。
終楽章、ロンド風ソナタでテーマは第一楽章の第一主題に近似した主題、これまた非常に凝った書法で十分に技を織り込む、あまり長引かせず、きっぱりと終る。
(楽譜を引用したいが、残念ながら今のところ見つからない)
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Joseph Martin Kraus(1756-1792)
参照動画:J.M.Kraus-VB 143-Symphony in D major(Concerto Köln)

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好録音再聴:J.M.クラウス-フルート五重奏曲  

古典派は多くの作曲家達が共通様式で書く時代だったが、そこに個性を見出すのが面白い、
J.M.クラウス独特の個性もすっかり気に入ってしまった。
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ヨーゼフ・マルティン・クラウス(175-1792)はドイツ出身でスウェーデン国王、グスタフ3世の宮廷作曲家となり、1782年から4年間、イタリア、ウィーンなどへ音楽修行に出ることとなった、ハイドンを訪ね、交響曲ハ短調(VB142)を献呈している、また彼はフリーメイソンに加入し、モーツァルトと面識をもった可能性もある。ハイドンはクラウスを「モーツァルトに匹敵する才能」と言ったと伝わるが、作品からあり得る話だと思える。
今日はJ.M.クラウスのフルート五重奏曲ニ長調、1783年にウィーン滞在中に書かれたことから、Vienna flute quintetと呼ばれる、これは古典派室内楽の珠玉の傑作と言いたい。
flは名人級に書かれていて、5つのパートが対位法的に巧みな書法になっているうえ、まるで即興的にできたかのような、流麗なはこび、あの「タルティーニの夢の悪魔」のような存在から授かったような、インスピレーションに満ちた曲だ。

フルート五重奏曲ニ長調(VB188)
第一楽章、アレグロ・モデラート、弦楽のみで息の長いテーマが始まる、
sc vn 1st
13小節からflが高域でコンチェルト風に入る、
sc fl
とは言え、あくまで室内楽、以降flは1つのパートとして扱われ、5つのパートが織りなす巧妙な対位法的絡みが素晴らしい、ソナタ形式だが、あまり形式を意識させずに進む、展開部、再現部との境も区別しがたいほど充実、終結もじつに念入りで長い楽章だが短く感じる。
第二楽章、緩抒楽章のテーマは純粋で気取りのない味わいがクラウスらしくて良い。各楽器が交替で変奏するが、変奏の手腕よりも自然な美しさに惹かれる。
終楽章、これも巧みな内容でスリリングなアンサンブルの面白さを盛り込んで、引き付けてやまない。クラウスはフーガ書法も巧みだが、この作品では用いず、それが功を奏している。

手元には2枚のCDがあるが、まず、ヤープ・シュレーダー(vn)率いる5人の演奏、
kraus fl qu01kraus fl qu01cd
Lena Weman, treversflote
Jaap Schroder, violin
Per Sandklef, violin
Bjorn Sjogren, Viola
Kari Ottesen, Cello

ひじょうに端正な好演で、作品の真価を詳細に聴かせてくれる。
参考動画:Joseph Martin Kraus - Flute Quintet in D major

もう1枚はコンチェルト・ケルンゆかりのメンバーの演奏、
kraus fl qu02kraus fl qu02cd
マルティン・サンドホッフ(fl.トラヴェルソ)
シュパンツィヒ弦楽四重奏団
 
amazon
こちらは腕利きの5人が快速に演奏、心地よいアゴーギグや装飾を効かせた魅力的快演、
第一楽章は提示部の反復をして、12:59となるが、もっと聴きたいほど。
第二楽章は清涼、終楽章も切れ味よく引きつける。

今日もご覧いただきありがとうございました。

category: J.M.クラウス

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D.A.カーペンター:J.M.クラウス ヴィオラ協奏曲集(再聴)  

ある期間、聴かずに寝かせておいた曲をあらためて聴くととても良かったりしますが、過去に取り上げた音盤の再聴もしていきたいと思います。micha
そこで今日はヨーゼフ・マルテイン・クラウス(1756-1792)のヴィオラ協奏曲集です。これらはクラウスが活躍したスウェーデンのルンド大学図書館に保管されていた作曲者不明だった楽譜で近年日の目を見たもの、クラウスの作品とみてほぼ間違いないと判定されVB番号が付けられています、まあ聴けばクラウスの真作であろうことはすぐわかります。古典派作品でヴィオラの為の充実した協奏曲ってあまり聞かない?ので貴重な作品と言えるでしょう。
演奏はヴィオラ・ソロが1986年生、ニューヨーク出身のデイヴィッド・アーロン・カーペンター、彼は長身で、ヴィオラがヴァイオリンに見えてしまうそうで。テクニックは申し分なく堅実な演奏を聴かせる。バックはフィンランドのタピエラ・シンフォニエッタですっきり引き締まり、作品自体、演奏歴は少ないだろうが洗練された感覚。
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1.ヴィオラ協奏曲変ホ長調 VB153c
2. ヴィオラ協奏曲ハ長調 VB153b
3. ヴィオラとチェロのための協奏曲ト長調 VB153a
デイヴィッド・アーロン・カーペンター(ヴィオラ)
リッタ・ペソラ(チェロ・・3.)
タピオラ・シンフォニエッタ
2011年11月7-9日 エスポー タピオラ・ホール


モーツァルトのvn協奏曲は主題の跳び抜けた特徴がまず耳を捕えるが、典型的な古典派コンチェルト様式だ、クラウスのこれらva協奏曲も様式的には同様だが、じっくり聴くべき立派な内容を持ち、飽きさせない。va奏者には大いに取り上げてほしい作品だ。

va協奏曲変ホ長調 VB153c
形式的には典型的な古典協奏曲、オケで始まる前奏から爽やさと活気で冴えている、カーペンターのvaはvnを聴くかのような艶やかな美音、重音奏法も含む結構テクニカルな要素を聴かせる、時折クラウスらしい旋律の特長が聴かれる、オケがぐっと入り込んで聴かせる部分も聴きどころ。
第二楽章、旋律美はもとよりヴィオラからこんな透き通った音が出るのかと少々驚く。
第三楽章、ロンド・モデラート、テンポはゆったりの楽章だが、ヴィオラの切れ味よいパッセージが楽しめる。ありふれたロンドじゃなく深い聴かせどころあり。
参考動画:VB153c

va協奏曲ハ長調 VB153b
爽快溌剌とした主題による前奏が魅力、vaソロはまさに一流のメロディー・メーカーらしく変幻自在に楽しませる、オケも心地よい力感でシンフォニックに支え展開部も引き込む。
第二楽章は起伏の深いソロ・パートが聴かせる。
終楽章、ロンド・アレグロ、これは軽快な楽章でちょっとモーツァルトにもありそうな雰囲気で楽しい、ヴィオラの重音奏法もそんなに聴いた憶えなく、ソロも存分に聴かせる。
PS
.カデンツァはベートーヴェンのvn協奏曲、第1楽章を引用か、
参考動画:VB153b

vaとvcのための協奏曲ト長調 VB153a
独創性もあり、この曲が一番の傑作かも・・これはヴィオラとチェロのダブルコンチェルトが聴けると期待したが、チェロは多くの部分でヴィオラの並行和声を弾くなど助奏的な扱いで対等の掛け合いはない、よって実質ヴィオラ協奏曲の要素が大きい、とは言え、第一楽章の前奏は聴き手を掴む雅やかな感覚と活気でソロの旋律も同様である、助奏とはいえvcの存在は味わい深いものにしている。
PS.カデンツァの主題は明らかにハイドン vc協奏曲No.1の主題を使っている。
第二楽章は意外にも短調で総奏でやや異様な始まりで引き付ける、長調に転じvaの旋律にvcが和声で寄り添い、一部掛け合いも聴かせる。クラウスならではと言える楽章だ。
第三楽章、ロンド・アレグロ・モデラート、軽快なロンド、この楽章で初めてvaとvcが対等に扱われる、短調の主題からvcが主導し、vaが伴奏にまわる、中間に緩抒部分を置いたり、急速な部分を置いたり複数の楽章が繋がったような変化をつける、ソロとオケ楽器の掛け合いもあったり、クラウスの独創性を感じる楽章である。
参考動画:VB153a

category: J.M.クラウス

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