Micha クラシック&リュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

ナットの溝幅  

リュートの糸倉はなぜ後ろに折れているのか?諸説ありますが、楽器を構えた状態で調弦するとき、ペグが近くなるのは良い、しかしナットへの圧力が強いので調弦がやや合わせ辛い、反面、調弦が合えば、その状態で食い止めている、という効果もあるようです。ちょうど折れるカドになるのがナットで、断面のカーブや弦溝の状態など、調弦の具合に影響します。
11c lute

先般、KF弦に戻したナットの補修をしました、手持ちのリュートは元々、低音弦の溝幅は巻弦の太さに対応していました、近年はガット、KF、Loaded Nylgutなど、径の太いものを使うようになり、溝がそのままでは開放弦で異音を発することがあります、
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弦が嵌り込んでいないため、ナット上で振動して、ビーンと"サワリ"みたいな音が出ます、
ぴったりでなくてもよいので、溝が弦を食い止められるように調整します、
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この細ヤスリ1本でなんとかなります、拡げ過ぎもいけないので注意してやります、ブリッジの弦穴を拡げるにも重宝です。
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*径:1.2mm

追記:あとナットの断面の形状も影響しやすいと思います、
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ナットのカーブがすぐに下がっていく形なら、弦の振動はナットの端で止まりやすいですが、平坦な部分が長くなっていると端で振動が止めにくいと思います、ギターやテオルボ型のナットはどうしても下図の状態になりますね。

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: リュート

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Making an EMS Lute Kit  

動画サイトに楽器製作の様子もいろいろ紹介されているようです、
もちろん良い楽器の動画もありますが、

なんか見覚えのある姿が・・
怖いもの見たさで目に付いてしまった、EMSのリュート・キット、
(*EMS:国際郵便の略号じゃありません)
Early Music Shopといえば昔から、古楽器のキットや完成品を出しているようです。

これは最近のものではなさそう?ですが、EMSからリンクされている動画です、
EMS01.jpg
you tube:Making an EMS Lute Kit

EMS02.jpg
湿気対策?・・・・・;
ems lute 03
ビニル線フレット
バックに流れているのは同楽器の演奏かな、
マイッタというか・・
パラレル・ワールドの、一見似ているようで違う世界を覗いた気分^^;
"むこう"ではこれが普通なのかもしれない・・
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最近のキット(お値段はKingham のケースより安い!)

わざわざご覧いただき、ありがとうございました;

category: リュート

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やっと切れた!【Loaded Nylgut】  

9月3日午前11時頃、リュートケースの中から"パンッ"という余韻を伴った音がして、
「おっ、ついに!」と思って開けたら、13コースluteの⑪コースが切れていました^^
13c lute cd
Aquilaのローデド・ナイルガットで、赤みが濃い色なので、2016年製造のものです、切れた箇所は指板上の位置で、断面はこのようにプッツリ破断した様子です、
a l ngl ng
こういう太い弦が切れるというのは歴史上初めてでしょう!^^;

代りの弦を注文するにも、また10日ほどかかるし、同時期の在庫品でまた切れるのが届いても困るし、ひとまず、もとのKF弦(フロロカーボン)に全部戻しました、
13c lute kf
もし再注文するなら、期間を置いて新しく入荷したものにしたいです、Aquila社は材料を替え、改良品を出すと言っているそうで。
ついでに2つの11コースluteもKFに戻しました、
11c lute kf
しばらくぶりにKF弦で鳴らすと、懐深い低音が出て、こちらも捨て難い良さがあります、
このままでいくかもしれません?
筆者個人の見解です

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: リュート

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弦の止め方  

また楽器のメンテの話です、次は別の話にします;

低音弦のローデド・ナイルガットはさらに切れたという知らせを聞く、購入した時期からみて、同じ生産ラインだったと思われるが、うちの楽器ではまだ1本も切れていない?
l ng
糸倉が後ろに折れたリュートでは、弦がナットに強く押しつくので、調弦を上げた場合、糸倉のほうがテンションが高くなっている、ここも切れやすいところかもしれない、
この13コースluteでは、
13c lute
・弦のナットと摩擦する部分には固形石鹸を塗った、
・ペグが遠い弦はアラミド糸で繋いだ

という対策で糸倉内では少しは持ちこたえているかもしれない、しかし、張ってある中間でも切れるそうなので、もろいことは確かなようだ。

もう一点、細いナイルガットだが、①コースがブリッジでよく切れると聞く、これもなぜか自分の楽器では1度も切れたことがない? 1、2年張りっぱなしのもあったような;
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NG40
切れるとしたら、この交差した所だろう、
bridge.jpg
ブリッジの穴に弦を2回通して絡めたりするが、こうすると思い通りの弦高で止めやすい、
弦の細い③コースくらいまでなら可能、
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2回通したあと、普通に絡める
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普通は①のように止まるが、2回通しすると滑りが止まり、②、③のような止め方がしやすい
2回通しの場合、交差した所の圧力を軽減しているかもしれない?いずれも推測だが^^;

"弦高調整"のついでに、バロックギターのブリッジを見ると、「下駄式」と呼んでいるが、こんな様子、開口を▼形にして接着部を広くしたものもある、
b gutar01
ダブル弦の間隔を調整でき、①コースはダブル、シングル、どちらも対応できる、
さらに、このようにブロックを挟み込んで、弦高調整も可能なようだ。
b guitar02
はじめからブロック使用タイプと思われる

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: リュート

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ローポジションのフレット  

前にも書きましたが、自分の指は低反発でフニャっとしています、m
「撫で撫で」するにはいいかも(笑)
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リュートの弦を、指先で押さえるにも、セーハするにも、弦が指の方に沈み込み、押えが弱くなるのが悩み;特にローポジションはフレット間が開いているので、
11c lute o
指の態勢によっては、フレットの傍を押え難い場合もある、ローポジションのフレット径が0.7㎜くらいだと、かなり辛い;最低でも0.9mmはほしい、
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先日、11コースluteのナットを補修した際、思い切って太いフレットガットを巻いたら、結構押えが効くのがわかりました、
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これなら指に沈み込んでも、なお押え込める、⑤コース以下なら弦自体が太いので押えやすくなるけど;①~④コースあたりが助かる、
1フレットで1.0mm以上、5フレットで0.8mm切らないくらいが良い、
f gut
フレットガット:1.15mm
ちょっとだけナットを高くすれば太いのが巻けるし、ハイポジションも順じて調整すれば弦高にも影響はない、ブリッジ側の高さからして、限度はあるけど、押え辛い楽器はこのように設定し直してみようと思います。
ローポジションから順に決めていきますが、もし次に巻いたのが太過ぎてビリった場合、外すのももったいないので、サンドペーパーで適度に削ります、
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指板を削らないよう両サイドにテープを貼って・・;

ご覧いただき、ありがとうございました。

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ナットの底上げ  

古いほうの11コースluteはナットを作り替えた際、どうやら低音側を低くしすぎたようで、低音の開放弦がフレットに当っていました、
11c lute01
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また作り替えというのも大変なので、ひとまず、ナットの底に薄いプラスチック板を接着し、低音側を高めに、傾斜をつけて削りました、
nut 02
nut b
*こんな要領で削った
とりあえず、問題は解決v
ちょっと弾いてみて、微妙な弦高の具合は溝の深さで調整しました。

このリュートは弦高を低く補修済みなので、フレットは1ポジションから徐々に細くしていく加減が難しいです、スタートの1フレットは1.15mmにしてあります^^;
11c lute03
しかし、①コースのⅦポジションで指板から弦の下面まで2.7mmと、ひじょうに押えやすくなっています。
このリュートにもローデドNGを⑨~⑪コースだけ張ってみました、
11c lute02
これも良いけど、今までのKF弦(フロロカーボン)もわるくない感じ、KF弦は減衰が早いので、"ボン"と低音の出が強く、フレットにビリつくことも少ないです。

余談:一昨日の記事でふと気づいたのは、
tiger.jpg
peg 13c
自分は同じ回転物がいくつも並んだ構成美が好きなんだと・・(笑)

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低音弦が切れる!?  

待望の低音弦が出た、と喜んだばかりですが、
そのAquila、ローデド・ナイルガットが一部「切れてしまった」という報告があります、最低音の太いのでさえ・・気を揉ませますねえ^^;
l ng
切れた箇所はブリッジやペグ付近ではなく、張ってある中間だそうです、モダンギターの④,⑤弦が切れるのはよく聞きますが、巻弦ではない太い弦が切れるというのは前代未聞、
ローデドNGの鳴り方はひじょうに好ましいので発売以来、よく売れていると思うけど、一連の製造の中で起きた問題か、根本的な品質の問題か?根本的であれば世界中のユーザーのところで切れているでしょう、
Aquilaは次の製造では切れないものを出すと言っているそうですが。

ちなみに私の13コースluteには7月5日に張りましたが、
今のところ切れて・・(確認)・・いません^^;
13c lute
こんなふうに糸と連結させるとやばいのかもしれないけど;
"麺"に例えると、ツナギの成分が足りないのかな?
しかし失敗はあるものの、Aquilaほど新製品に前向きな弦メーカーはないので、今後の改良に期待したいです。

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リュート譜 いろいろ  

リュート譜(タブラチュア)はルネサンス期までは愛好家人口も多く、活版印刷されて出ていた、アルファベットや音価の活字と、音がない所は"線の活字"を並べて印刷されていた、m
R Dow
ロバート・ダウランド曲集より
バロック期になると、プロ奏者や限られた愛好家の間で、もっぱら筆写して伝わり、たくさんの印刷物は必要なかったようだ、
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saizenay写本より
saizenayは当時の有名なリュート奏者の良い作品を集めた写本で貴重な一つ、
J Gallot
ジャック・ガロの曲集より
j bit
ヤコブ・ビュットナーの曲集より
J.ビュットナーの曲集は非常にきれいに書かれた例だ、いずれも曲の終りに"減衰波線"が大抵書かれている、

*そういえば、羽ペンを作って書いてみたことがある、
hane pen s
拡大画
ボールペンのように筆圧がかけられないので、丁寧に書く習慣がつく;

そして、バロックリュートで欠かせない作曲家、シルヴィウス・レオポルト・ヴァイス、その作品の多くを占めるドレスデン手稿譜は、ヴァイスの活躍したドレスデンの図書館に保管されていた、これらは複数人の筆跡が混ざっていて、
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①~④ S.L.ヴァイス、ドレスデン手稿譜より
ヴァイス自身の筆もあるかもしれない、書き方の流儀は様々で、一曲の最後には"減衰波線(または螺旋)"の印が付いたり、無かったり、組曲の終曲に"Fine"と書いてあったり、
この図書館は戦時中も空襲を免れ、消失せずに残ったのは幸運だった、バッハなら写しや出版譜があちこちにあっただろうが、ヴァイスはここがやられたらおしまいだった;

地味な譜面が続いたので、ちょっと絵画を(勝手にセリフを付けてみた^^)
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Gerard van Honthorst 画
ヘラルト・ファン・ホントホルスト(1592-1656)は、バロック期オランダの画家、リュート奏者を描いた作品もけっこうある、燭光の室内をリアルに描いた作品が多い、
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上:オリジナル画、下:絵を再現した写真

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理想のテンション  

バロック期のリュート奏者はどれくらいのテンションで弦を張っていたのか?ブリッジ近くを弾く例が多いのでたぶん緩かったことと推察しますが、奏者それぞれで差はあったでしょう。
b lute01b lute02
バロック期のよくある例
現代では、プロの方々で公開演奏する人は強めに張っているかもしれませんが、いわゆるプライヴェートな使い方で、ちょうど良いところはどれくらいか?
リュート弾きの皆さんはどれくらいで張っておられるか、参考に知りたいところです。

因みに私の場合はこんなところです、A=415hzで計算していますが、適宜ピッチを下げることもあります、
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13コース バロックリュート(弦長 69.5/78cm)
緩めのほうと思いますが、緩いなりに右手はブリッジ寄りに手応えの良い位置へいきます。
ただし、上の計算表は弦メーカーが用意しているcalculatorと同じく、弦が伸びない仮定の計算結果で、選定のときの目安値です。テンションは弦長内の弦の質量を基に計算しますが、実際、弦は伸びて数値は下がります。

新しい弦を張るとき、弦のナット位置に印を付けておき、巻いて安定した頃、また印を付けると、全体の何%伸びたかわかります、
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伸びた分だけ質量が減ったわけで、弦長70cmの楽器で10cm伸びたとすると、弦長内に残っているのは87%になり、テンションも同じ率だけ下がることになります。しかしそれが実用上、ちょうど良い張り具合なら問題ないわけで、計算上のテンションではないというだけです。
ガット弦は伸び率が低いのでテンションは強く保たれる、ナイロンやNG等はかなり伸びる性質なので、選定を考慮すべきでしょう。

楽器の性質や強度、奏者の弾き方で変わってくるので、これが標準、と決めにくいでしょうが、すぐ変形したりしない範囲ですね;

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ローデドNGに張り替え  

頼んであった低音用の弦、ローデド・ナイルガット(以下、NGL)がようやく全部届き、昨夜は13コースluteの張り替えをしました。ゲージの"115"と"120"がなかなか入荷せず、それは抜きにして送ってもらいました。
13c 01
NGLの難点としては、最初張るとき非常に伸びて、ペグの巻きしろが足りなくなるという点、また⑥~⑧コースに使う細めのゲージに振動不良の確率が高いところ、もしダメだったら、KF弦のままにしようと思ったが、今回のは使えそうv
伸びが多いことへの対策として、どれくらい伸びるか印を付けておき、その位置から伸びない性質のアラミド糸などに連結してペグに巻く、
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巻く前、連結部は指板上の丸印の位置にあります、巻いて調弦が合うとき、ちょうどナットを超えるくらいにします(越えるときはちょいと摘みあげる)、ペグボックス内での伸縮がないので、ペグが遠い⑥~⑧コースも微調弦がしやすいですv
NGLの良い点としては、柔らかくて巻き付けがしやすい、また、他の硬質の弦はナットに当る部分で"折れ形"が付いて微調弦し辛くなるが、
ore kata
その問題も少ない、最初は伸びるが、安定するのは早い、太いものは振動不良が少なく、音程が明確になる、といったところ。シングルに張るテオルボの低音、弦長の短いルネサンスluteやヴィウェラにも具合良いでしょう。
ひとまずNGLでいきますが、今まで張っていたKF弦もわるくないです、もっと図太い鳴り方がいいな、と思ったらKF弦かな^^;

PS.7コースluteの⑤コース用:1本を半分に切って節約、ギリギリとどいた;
7c lute01
ご覧いただき、ありがとうございました。

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