Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話題など

M.シュパンニ:C.P.E.バッハ 鍵盤協奏曲集vol.18  

今日はお気に入り作曲家の一人、カール・フィリップ・エマヌエル・バッハです。
ミクローシュ・シュパンニによる鍵盤協奏曲のアルバムは結構集めましたが、エマヌエルの作品番号というのが複数あってお目当ての曲を探すのがややこしい;シュパンニはしばらくの間、タンジェント・ピアノを用いての録音が続いたが、Wq43/1-4を入れた第18集はチェンバロを使っています。
大バッハの二男エマヌエルはギャラントな前古典派に位置しますが、やや特殊な「多感様式」という当時ドイツで風靡した表現衝動の斬新な音楽です。初期のハイドンにもエマヌエルの影響を受けた作風が見られます。
c p e bach02
ミクローシュ・シュパンニ(チェンバロ)
コンチェルト・アルモミコ・ブダペスト
2011年録音 BIS


協奏曲ヘ長調Wq43/1
第一楽章はホルンが加わり、快活流麗な楽章、これはハイドンの鍵盤協奏曲にも聴かれる味わい、しかしfとpの対比、休符による動と静がピリっと引き締める、終止をとらずチェンバロ・ソロが第二楽章へ移る、弦楽が重なり瞑想的な緩抒楽章、休みなく突如と終楽章プレスティッシモのトゥッティが始まり、意表を突く。
協奏曲ニ長調Wq43/2
第一楽章はアレグロ・ディ・モルトだが、途中2か所ソロによるアンダンテが挿入される、これは多感様式らしい急激変化の聴かれる楽章、ナチュラルホルンが力感を補強する、またしても第二楽章への繋がり方が唐突、ここではホルンに替りflトラベルソをvnパートに重ね、ほの暗い気分のアンダンテとなる、しばし穏やかなチェンバロ・ソロを聴かせ、再び翳りを帯びたオケ、と繰り返す、休まず終楽章アレグレット、ロンド形式かハイドン風の明るさで始まり、典雅な雰囲気を通し、転調の妙を聴かせるがさほど緊迫感はない。
協奏曲変ホ長調Wq43/3
第一楽章、アレグロ、わりと撫でやかな主題に始まり、総奏でぐっと力感の対比をつける、ソロは穏やかに流れる、ソロとオケが意味ありげな対話を交わす、続けて第二楽章ラルゲット、オケはvnにトラヴェルソを重ねる、短めで雅びな楽章、まだ続きがありそうにして突如終楽章プレストに入る、終楽章はソロ、オケともに快活な切れ味と緊迫感。
協奏曲ハ短調Wq43/4
この曲はちょっと変わった構成で、4つの短い楽章からなり、第一楽章と終楽章が同一、ただし終楽章はヘ短調で開始し、カデンツァが入るので第一楽章の続きかもしれない。
c p e bach
間にポコ・アダージョとテンポ・ディ・メヌエットが入り続けて演奏される、1つの楽章とも取れそうだ、曲はエマヌエルの短調作品らしい魅力を聴かせる。

高域を幾分強調して聴きます、少しだけでチェンバロが心地よく、くっきり浮びます。
amp_201609021315576ce.jpg

category: C.P.E.バッハ

tb: 0   cm: 0

K.ヒュンテラー:C.P.E.バッハ fl協奏曲A-moll Wq.166 ≪追記あり≫  

今日も北西の風でカラっとした晴天、暑くもなく快適でした。micha
音楽を聴くにも気分よく、こんな日が続くとありがたいのですが・・^^
空の写真16時半
単なる空の写真、16:30頃

さて、またまたエマヌエル・バッハです、今日はコンラート・ヒュンテラーのflトラヴェルソ、トン・コープマン指揮アムステルダム・バロックOによるC.P.E.バッハ fl協奏曲全集(5曲)より、先日と同じくA-moll Wq.166を聴きます。
これは廃盤になってしまった後、オークションで手に入れましたが、ヒュンテラーのトラヴェルソの上手さ、コープマンらしい活き活きとして柔軟な感覚もあるバックがすばらしく、またナチュラルな好録音でなかなかの名盤です。
c p e bach wq166
コンラート・ヒュンテラー(flトラヴェルソ)
トン・コープマン(指揮) アムステルダム・バロックO
1986年録音 エラート


fl協奏曲A-moll Wq.166、
第一楽章、アレグロ・アッサイは疾走する多感様式、爽快さとぐっと迫る力感(強弱対比)も十分、flらしい、味わいのあるソロで始まるが、81小節から87小節まで、原曲の鍵盤そのままの長く息をつかせぬパッセージがでてくる、ブレスなしに突き進む、もちろん難しそうなのはここだけではない。細かく聴くと、T.コープマンの通奏低音(cembalo)もすばらしい、ソロ旋律に対する、ポリフォニックなリアライゼーションが巧みで多いに楽しみを増す。
第二楽章、アンダンテ、付点のリズミカルな感覚を置き、さらりと快調に進める、味わいのあるソロパートに弦の和声が爽快。ここでもコープマンのcembaloが華を添える。
終楽章、ソロとバックが掛け合いをする書かれ方、程良くリズムを刻み、柔軟な美しさも聴かせる。当全集の他の作品も聴き応え十分で、これは多感様式を極めたfl協奏曲傑作集のようなもの、無駄な作品は一つもない。

*flトラヴェルソは構造が単純だけに複雑なクロスフィンガリング(途中の穴を開けて、下の穴を押える)を多用して音を作る、例えばG♯とA♭は違う押さえをする場合もある;
運指
参考→flトラヴェルソ運指表(トヤマ楽器) 
もちろん吹き方でも大きく変化するが、非常に難しそうだ。無段階にポルタメント可能な作音楽器であり、その微妙な表現がモダンflとは大きく趣きを異にする。

追記:参考動画、モダン楽器による新時代感覚の演奏
a jack
フルート: 吉岡次郎、アンサンブルJACK
C.P.E.Bach / Flute Concerto in a minor Wq 166; H431

category: C.P.E.バッハ

tb: 0   cm: 0

P.ガロワ:C.P.E.バッハ:フルート協奏曲A-moll Wq.166ほか  

micha
昨日に続き、C.P.エマヌエル.バッハです。今日はNAXOS盤、パトリック・ガロワがソロのfl協奏曲で、オケはケヴィン・マロン指揮、トロント室内O、モダン楽器によるピリオド・モード、すなわち現代の古典派モードと言える。
gallois.jpg
パトリック・ガロワ:フルート
ケヴィン・マロン:指揮、トロント室内O
2002年 NAXOS


まずはfl協奏曲A-moll Wq.166、これは昨日の鍵盤協奏曲A-moll Wq.26と同一曲で、flソロのために編曲されたもの、鍵盤的な分散された旋律をfl向きにまとめた部分もあるが、あえて鍵盤そのままのパッセージをflで演奏する、スリリングな聴きどころも満載。
第一楽章、昨日のM.シュパーニの鍵盤演奏に対し、かなりハイテンポに疾走するスマートな前奏に始まる、ガロワのflはモダン楽器で当然flトラヴェルソとはフィンガリングも違うと思うが、トラヴェルソを彷彿させる、"装飾ヴィヴラート"を随所で聴かせ、また装飾音も巧みに取り入れる、
第二楽章、マロン指揮、トロント室内Oの弦楽の入りはノンヴィヴラートの爽快な響きで開始、ガロワのflも同質で、装飾的聴きどころも置く、前古典派らしい雅びな雰囲気を湛える。
終楽章も快速ぎみに軽やかにまとめる、それでもエマヌエル・バッハのぐっと粘るような音楽は味わえる。fl以外にもvnやvcがソロを補助するような室内楽的な聴きどころがある。
全楽章、スマートにまとめていて、これなりに良いが、好みとしてはもうちょいゴリゴリ押してくる凄味があっても良いと思う。

もう一つ、こちらはよく演奏される、fl協奏曲D-moll Wq.22も聴いてみた、こちらも全体に爽やか感覚にまとめる、
第一楽章アレグロはじっくり聴かせるような内容であり、落ち着いたテンポを取る、ガロワの鮮やかで緻密な装飾が良い。
第二楽章、爽快に、けっこうじわりとした聴かせ方、flソロが存分に味わいどころを作る。
終楽章アレグロ・ディ・モルト、まさに疾走するスリリングな楽章、ここもスマートに決めるが、欲を言えば、パワフルな凄味も効かせてほしいところ。
NAXOS盤の中では傑作盤になるが、やはり明朗なモダンflと、flトラヴェルソの何ともいえぬ翳りをもった響きには決定的な違いがある。

こういう曲こそ、活気ある"ライヴ動画"が見たいと思う、もちろん生で聴けたら最高^^
ライヴ
参考動画→C.P.E. Bach - Concerto for flute in D minor Wq 22
PS.ホルンさんがちょっと不調です、ジャーマンテオルボが入ってますが、ちょうどこの頃のドイツのリュートで、通奏低音に使われたでしょう。

category: C.P.E.バッハ

tb: 0   cm: 0

M.シュパーニ:C.P.E.バッハ 鍵盤協奏曲A-moll Wq.26  

michael
このところ、ご無沙汰していた作曲家の作品を聴いてみます。
大バッハの二男、カール・フィリップ・エマヌエル(1714-1788)は父よりも有名だったそうで、ベルリンのバッハと呼ばれ、プロイセン王国フリードリヒ2世のもとで活躍、膨大な作品を書いている。自ら名手であった鍵盤のための協奏曲は数多く、これらを原曲として、他の旋律楽器、フルート、チェロ、オーボエ等の協奏曲に編曲している、おそらく一緒に活躍した名手達のためだろう。今日はミクローシュ・シュパーニのタンジェント・ピアノ独奏による、協奏曲A-moll Wq.26、(これはフルート協奏曲A-moll Wq.166に編曲されているが、異なる作品番号が付くのでややこしい;)
c p e bach wq26
ミクローシュ・シュパーニ(タンジェント・ピアノ)
ペトリ・タピオ・マットソン(指揮)
オーパスX アンサンブル

タンジェント・ピアノはピアノの一種で強弱演奏可能だが、木片が弦を叩く仕組みで、クラヴィコードとフォルテピアノの中間のような、軽やかな響きが特徴、チェンバロとは明らかに趣きが異なる。
t pf
タンジェント・ピアノ

鍵盤協奏曲A-moll Wq.26
この曲はまずfl協奏曲で聴いて、すっかり魅了された、エマヌエルの鍵盤作品、全曲録音をしているシュパーニの確信をもったソロをバックの弦楽が骨格のしっかりした演奏で支える、
第一楽章、アレグロ・アッサイは多感様式ならではの魅力、前古典派に当ると同時に、この時期ドイツを中心に風靡した様式趣味でエマヌエルが最高峰に立つだろう、のちのハイドン、ベートーヴェンに影響する音楽趣味でもある、冒頭の力強い主題が基盤となり、感傷、憂い、安らぎの間を揺れ動く各主題が交錯、協奏曲の書法であるオケパートをソロが再現する場面も引き付ける、カデンツァを置いて冒頭を再現して終わる。
第二楽章アンダンテは前古典派らしい清々しい楽章、ハイドン初期の鍵盤作品を思わせる。
終楽章、アレグロ・アッサイ、第一楽章の疾走感に対し、こちらはリズムをくっきり、踏みしめる、そこにソロと弦楽が切れ味のよい掛け合いで進める。
エマヌエルの協奏曲は、弦楽が重音奏法を多用し、ソロの合間に力強く入って来る、またバス旋律も鋭く入ってきて、緊迫感が維持される、優美・流麗な音楽とは異なる方向の魅力。

category: C.P.E.バッハ

tb: 0   cm: 0

ベルリン古楽アカデミー:C.P.E.バッハ フルート協奏曲ニ短調Wq.22  

先日話題にあげた、C.P.E.バッハのフルート協奏曲ニ短調の名演をもう一枚ほしいと思い、取り寄せたのがこれ、シュテファン・マイ指揮、ベルリン古楽アカデミー、flトラヴェルソがクリストフ・フントゥゲボールト。弟クリスティアンの作品とカップリングされていて、表紙にはクリスティアンの肖像が載っている。

c p e bach fl con d moll
DHM 2002年 ベルリン
先日の動画サイトの演奏で、これが気に入ってしまった。
もう一つ、このライヴ動画も素晴らしい。

カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ
フルート協奏曲ニ短調Wq.22、第一楽章はベルリン古楽アカデミーのしなやかな響きとともにガチっとした枠組みを聴かせる、強奏に対する弱奏をぐっと引いて聴き手を深く引き込む、flソロはバックのしっかりした枠組みに乗っかり、自由な遊び心を感じさせる、巧みな装飾演奏がよりくつろいだ気分に導く。
第二楽章の爽やかな風のような始まりは古楽器ならではと言えるだろう、flソロも遥か遠くから聴こえるように始まり、とても内面的な語りかけをしてくるようだ、明朗に鳴るモダンフルートに対し、笛と風の音を合わせたようなflトラヴェルソがよりふさわしい。
終楽章、オケは快速に、がっちりとテンションを上げて前奏部分で引き付ける、バスの力感、内声のトレモロが弱奏部にも緊迫感を与える。flソロは意外なほど優雅なゆとりを感じさせる美音に徹し、テンションは上げない、常に緊迫感を与えているのはバックのオケだ。

category: C.P.E.バッハ

tb: 0   cm: 0

コレギウム・アウレウム合奏団:C.P.E.バッハ シンフォニア集  

一昨日は息子とともにまた名古屋の百貨店の中古盤合同セールに行ってきた。近頃は、また手に入りそうなものは見送り、輸入盤も高価なだけであまり興味の湧くものはなく、物色しない。未整理の300円~400円均一コーナーあたりに希少なものが見つかる。かつての懐かしい兼価盤ではセラフィムやヘリオドール盤は結構あるが、コロムビアのダイヤモンドシリーズは何故か少ない、今回数枚見つけて検盤コーナーで中身を見てみると、この手の兼価盤らしく、いかにもビギナーが扱った痕跡だらけで状態が良くない、よって断念;一方、カビ臭そうな古びたジャケットでも盤は良好なものもある。
その中から今日はコレギウム・アウレウム合奏団によるC.P.E.バッハの4つのハンブルク交響曲、未聴盤のように良好、これは私が最初に聴いた古楽器オケでもある。良い録音だったのは記憶していたが、針を下ろして驚き、1968年の録音でこれほど鮮明なhi-fiだったとは、古楽器の弦楽特有の響きが瑞々しい、下手な最新録音より聴き応えがある!

c p e bach sym
カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ
4つのハンブルク交響曲
コレギウム・アウレウム合奏団 
1968年録音


当時は古楽器オケの弦楽の魅力以上にC.P.E.バッハの凄さ、に圧倒された、弦楽器だけなのに、これほど多彩な音楽になるのも素晴らしい。全曲、楽章間の休みを置かず、アタッカで続ける、そうあるべき音楽である。全曲そうだが、よくありそうなカンタービレな旋律も安易な和声進行も出てこず、インテリジェンスな音楽と言えようか。

1曲目、ロ短調Wq.182-5、第一印象としてC.P.E.バッハの魅力に引き込むには絶好の曲、コレギウム・アウレウムは強弱の対比を深くつけたインパクト、この当時にC.P.E.バッハの真価を聴かせる演奏をしているのは素晴らしい、通奏低音にG.レオンハルトが加わっている。1st楽章アレグレットは跳躍の大きな彫の深さ、2nd楽章は涼やかで幻想的、終楽章プレスト、これぞ疾風怒涛、躍動するリズムに動と静、常に切迫的に動くバスはJ.M.クラウスの交響曲嬰ハ短調1st楽章を思わせる。コレギウム・アウレウムのバスは力感とキレがいい。
2曲目、イ長調Wq.182-4、1st楽章が印象的で清らかな下降パッセージで始まり、総奏の力感と快調さが交互に来る、後半のポリフォニックな部分も引き付ける。進展を予測させず、突如2nd楽章に突入、この楽章間の繋がりもまた聴かせどころである。2nd楽章もまた不思議さで引き付ける。終楽章は軽快だが、その快調さがじつにいい、もちろん変化多様な内容。
3曲目、ハ長調Wq.182-3、1st楽章、ハイドンにもありそうな快活な動機で始まり、本当に弦楽だけというのを忘れる深い構成、そしてアタッカで入る2nd楽章、この楽章の調性は"転調"と記されているが、アタッカで突如、異様で凄みを帯びたバス音に始まり、まさにE.バッハ極めつけと言える深い転調の楽章、ここは当盤最高の聴きどころか。終楽章、とても親しみ易いロンド主題で始まるが、続きは一筋縄ではいかない;
4曲目、変ロ長調Wq.182-2、1st楽章は心地い軽妙さと深く抉るようなバス部との対比がいい、2nd楽章はバスのピチカートを交え、静謐なvlの響きと和声変化がいい、アタッカで入る終楽章プレストは快調なリズムにポリフォニックな掛け合いで決める。

聴き終えてC.P.Eに駄作は一つもなく、コレギウム・アウレウムの演奏、H.M&BASFの録音とも素晴らしい、これは再購入して良かった。
ちなみに息子は19枚購入、お目当て盤+得体の知れない盤も聴くのが楽しみなようで(笑)

category: C.P.E.バッハ

tb: 0   cm: 0

G.レオンハルト:J.S. & C.P.E.バッハ チェンバロ協奏曲  

今日は朝から体調がわるく、血圧が57-82でフラフラ、やむなく休みをとりました。涼しかったのはいいけど午後から激しい雷雨、誘導雷を避けるため、PCやTVのコンセントとアンテナ線を外しておいたら、楽しみにしていた番組を録画しそこない、まったく雷というのは忌々しい;
こんなときは気を取り直して耳馴れた名作をのんびり聴くのが一番。G.レオンハルトによる、父子バッハのチェンバロ協奏曲、これがあったか、とふと取り出した。

js cpe bach cem con
グスタフ・レオンハルト:指揮、チェンバロ &合奏団

父のニ短調BWV1052はお馴染みですが、レオンハルトの演奏は堂々たる風格、T.ピノックの闊達に貫いた演奏に対し、幾分落ち着いたテンポで、弦楽は柔軟な味わいをもたせ、整然と進む、カデンツァのソロも溜めを入れすぎず、さらりとセンスよく収める。第二楽章はレガートな弦でテーマを演奏、O.ダントーネの演奏同様、チェンバロは同音の2拍目を弾きません、バス部はこのテーマを整然繰り返し、チェンバロのソロが鮮やかに乗る。終楽章も速すぎないテンポでじっくりとした切迫感で引き付ける。
エマヌエルのニ短調Wq23、これはレオンハルトは過去にもコレギウム・アウレウム合奏団と組んで録音しており、よってこの曲は古楽器以外の演奏は聴いたことがありません、それより前にエマヌエルの交響曲集を聴いていて、その魅力に取りつかれ、さらに当協奏曲に圧倒される。まさに多感様式、跳躍の多い動き、多様な転調、鋭いパッセージ、引き付けてやみません。穏やかながら、やはり平穏には済まない第二楽章、そして疾風怒涛の終楽章は第一楽章に勝るスリリングな切迫感。エマヌエルの兄弟達も同様式の曲を書いていますが、ずば抜けた霊感は後にも先にもエマヌエルが最高でしょう。

category: C.P.E.バッハ

tb: 0   cm: 0

L.レミー:C.P.E.バッハ チェンバロ協奏曲 Wq38,30,37  

今日はluteレッスンの日でしたが、昨日から急な腰痛に見舞われ、残念ながら予定を繰り延べしてもらいました。座ったり立ったりがしんどく何もできません;
音楽でも聴いて静養の一日です。
今日は気分を変えてC.P.E.バッハのコンチェルト、エマヌエルの作品はWq番号で憶えているつもりですが、まだあやふやです、鍵盤協奏曲はなにしろ多くて;ふとラックから取りだしたのがWq38,30,37の入ったcpoレーベル、演奏はルトガー・レミー:指揮とチェンバロ、レサミ・ド・フィリッペ。cpoはさほどメジャーじゃないけど、優れた作品を優れた演奏で提供する、興味深い録音の宝庫です。エマヌエルはメジャーですけどね。まさに多感様式だが、前期古典派のドイツ圏に生れたバロックでも古典でもない、音楽史の道筋から少し枝分れしたような特殊な魅力に溢れている。これはハイドン、ベートーヴェンにも影響を残しているようです。

c p e bach con

さてこのCDは魅力な3曲が入っていたはず、
1曲目、へ長調Wq38第一楽章は溌剌とした楽しさに溢れている、快調なリズム感を止めることなく、いつものエマヌエルらしさもあるが、この溌剌とした主題の切れ味は初期ハイドンの鍵盤協奏曲も思わせる、ハイドンはエマヌエルの作品の多くを独学で研究したそうだから、それも頷ける。楽しい楽章とは言え、調の移ろいや多彩な変化を十分聴かせる。
第二楽章は短調、一変して趣きが変る、2本のflトラヴェルソが加わる、独立したパートはなく、1st,2nd:vlと重ねるだけだが、翳りを帯びた雰囲気を嫌が上にも深める、モダンflだったらこうは行かないだろう;
終楽章、第一楽章の快調さと比べ、凝った構成、長調楽章であることがあまりはっきりしない、vlソロが印象的な前奏、突然の長い休符、予測を許さない動と静が聴き手を最後まで惑わせ、引き付ける。
2曲目、ロ短調Wq30
第一楽章、主題はエマヌエルの短調作品らしい魅力を帯びて開始、半音進行もあれば、跳躍、転調も思い切った切れ味、どの曲もそうだが、鍵盤のソロは見事ではあるがあまり耳を奪われず、斬新な構成を聴いてしまう。実際、鍵盤が長く聴かせるという所はないし、鍵盤は美しい繋ぎ?
第二楽章は、和声の美しさと弦楽の押し出すダイナミズムが耳を引く、チェンバロの穏やかな流れが気分を落ち着かせる。ソロとバックは対等な重要性をもっている。
終楽章、切れ味のある付点リズムの活気で支配された楽章、ソロは鍵盤らしいアルペッジョを奏でる部分が多いが楽章の骨格はバックが作り上げる。
3曲目、ハ短調Wq37
第一楽章、力強い付点の動機で始まり、急速な切迫感をもった主題、ゆるやかな主題、強弱の対比、とにかく構成的に魅了する、フレーズの終わりにトリルを入れてまとめるのはいつもながら。ソロは長々とアルペジョを奏で、バックが涼やかな助奏をいれるあたり聴きどころ。いずれにせよ、予測の立たない構成で引き付けていく。
第二楽章、これは爽やかな楽章、短い前奏ですぐソロが始まるが、美しく穏やかな流れで進む、転調の移ろいもよい。
終楽章、前2曲とはまた異なる活発なジーグ風の楽章、終始このリズムに引き付けられる。

category: C.P.E.バッハ

tb: 0   cm: 0

G.レオンハルト:C.P.E.バッハ交響曲集  

Bach's Sons エマヌエルのCDをもう一つ、G.レオンハルト指揮、エイジ・オブ・エンライトメントO、1988年、Virginの録音。
12声部(弦楽にフルート、オーボエ、ホルン各2、ファゴット1)の交響曲Wq.183よりNo.1~No.4、そして弦楽による交響曲Wq.182よりNo.5です。興味深いのはWq.183の4曲で、エマヌエルの作風爆発と言えましょうか。
歌唱的な旋律要素が少なく、感覚的であり、偶発的でもある。現実か夢想か区別つかない世界を明確に描いた絵画を見るような、こんな音楽がこの時代に成立していたのも驚きです。音楽史の進化の道筋にありながら、突然変異を起こしたかのような様相。

c p e bach sym

一曲目Wq.183-No.1 D-dur、第一楽章はvlによる同音の連発で開始、そこへ鋭くバスが切り込む、これが繰り返され、トゥッティの疾走、木管の掛け合い、ユニゾンの疾走・・とエネルギーが炸裂します、終結は力を抜いてフッと終わる。
第二楽章は木管中心にユニゾンか並行和声で気だるい旋律が奏され、簡単にvlのピッチカートが合いの手を入れ、コントラバスがやたら低い音域でバス旋律を弾く、この開離した音程の間を埋める声部は無い、なんとも異例で奇妙な響き。
終楽章は快調さがありますが、パタリと足を止め、緩叙句が入り、再稼働、の繰り返し。
動画:C.P.E.Bach Symphony No.1 in D major, Wq.183

以下No.2~No.4も「何だ、これは!?」と思わせるシュールレアリスム的?音楽が続きますが、ほんとにハマります。
このような作風はハイドンにも受け継がれ、ハイドンによく登場する単純で不思議な旋律は音楽を印象深く、飽きのこないものにしています。さらにベートーヴェンにも影響し、あの「コリオラン」序曲を思い出してみても、第二主題部以外は直線定規で描いたような音形ばかりで構成する斬新さは顕著な例かと思います。「運命」の動機もしかり。

当CDの最後に入ったWq.182-No.5 B-mollはエマヌエルの最も親しみやすく魅力的な曲でしょう、雅な旋律の要素もあり、終楽章の疾風怒涛は見事です、バスの切迫感がいい。
動画:C.P.E. Bach - Symphony For Strings in B Minor

またこの録音は最新盤に引けをとらない鮮明さで、ホルンや低音部に音圧があって、押し出してきます。エマヌエルの音楽にふさわしい音響。

category: C.P.E.バッハ

tb: 0   cm: 0

C.P.E.バッハ:チェンバロ協奏曲ト短調 Wq6  

聴き親しむということは大事で、C.P.E.バッハもハイドン同様、昔はピンと来なかった曲もいつの間にか良さがわかるようになります。C.P.E.バッハのコンチェルトはどれを取っても、つまらないものがありません。
多感様式を最も深めた人で、巧みで多彩な転調、インスピレーションは父バッハから授かったものが少なくないかもしれません。
C.P.E.バッハのコンチェルト全曲を録音している、ミクローシュ・シュパーニ:Cem コンチェルト・アルモニコによる第3集からチェンバロ協奏曲ト短調(Wq6)です。

c p e bach wq6

これも圧倒されるような傑作で、俗世の臭気を感じない不思議な異世界に誘われたような感覚です。コンチェルト・アルモニコはスケール感大きく、立体感のある演奏。鍵盤ソロの加わった交響曲といった感じですね。
動画サイト:C.P.E.Bach Harpsichord Concerto G minor, W.6 Miklós Spányi

第一楽章(ト短調)速度表示なし、とのことで、曲相から速すぎないアレグロのテンポを取っています。付点リズムで主和音を下降する鋭く深々した主題で始まります、楽章全体がこの付点リズムが基調で切迫感を出します。弦楽オケはppからffまで幅広く、オケに対して鍵盤は弱音なので、伴奏時はぐっと伴奏モードに切り替えますが、トゥッテイはシンフォニックに聴かせます。ソロは主題の途中から入ります。転調による気分の変化、鍵盤ソロがなだらかに続くと思いきや突然、弦のトゥッテイが割って入る、また思いがけない弦楽からソロへの切り替え、安易に予測させない進行が最後まで引き付けます。
第二楽章(変ホ長調、Largo)無風状態ともいえる動きの緩やかなテーマが弦で始まります。楽章全体が沈静感を帯びていて、鍵盤ソロは長いトリルで入るものの、瞑想的な旋律を奏で不安要素は少ないです。短いカデンツァを置き、弦楽で消え入るように終わります。
第三楽章(ト短調、Allegro di molto)再び凄みを効かせたテーマによる楽章です。ソロが始まる前の弦楽で魅了します。鍵盤ソロはテクニカルな聴かせどころですが、弦楽も力強く割って入り、曲全体のエネルギー感を欠かしません。全曲甘ったるい悲哀感はなく、理知的、ストイックな魅力で締めくくります。
BISの録音はホールトーンを十分入れた鮮明なもので、スケール大きく満喫できます。

カップリングされたイ長調(Wq8)ニ長調(Wq18)も素晴らしいですが、あらためて。

category: C.P.E.バッハ

tb: 0   cm: 0

プロフィール

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

FC2カウンター

ブロとも一覧