Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

S.L.ヴァイス:プレリュード d-moll  

今、ヴァイスのロンドン写本にある、d-mollのfugaを弾いていますが、やはりフーガの前にはPreludeがほしい、そこで同じロンドン写本のd-mollソナタのPreludeを置くことに・・
これはヴァイスのPreludeの中でも特にカッコイイやつで^^m
しかし、譜を見ると、そう易々とはいかない(・・);
weiss pre d s
f 01f 02
②で10コースの押えにゾッとしたが、セーハじゃないので、大して問題なさそう、
f 03f 04
f 05
ほかはセーハを含む押えがあり、きれいに響かせないといけない、一番厄介なのは7コースの押弦を含む③かな、④もちょっときつい;また、パッセージの部分は右手の指順を上手く決めないといけない;
とは言え、練習積めば何とかなりそうに書いてあるのは、さすがにヴァイス^^またじっくりやってみます。

適当な参考動画がなかったので、チェンバロによる演奏、前半がこのPrelude、
you tube:Weiss - Prelude and Fuga
*画面のダブ譜にはいくつか間違い箇所がある

PS.譜の最後にWeisのサインがあるけど、"W"をendマークの波線を兼ねた書き方にしてあるのかな?^^

ご覧いただき、ありがとうございました。

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"楽"な楽器の保持  

ヴァイオリンの保持法などは完全に決まっていますが、リュートやギターの仲間は、歴史的にもこれで決まり、という保持法がありません。
クラシックギターの教則本では、左足を台に乗せ、その膝にギターを乗せることになっていますが、これは万人向けではないかもしれない?左足は常に高く上がり、左腕も押弦で筋肉が忙しい、体の左側にストレスが溜まるようで、これで長時間はきつい; 何か方策はないかと思っていたら"ギターレスト"が登場、早速使ったら楽になって、足台には戻れませんでした。m
guit res01guit res02
【*ギターとの接触部分に軟質ビニールが使われ、付けっぱなしだと塗装面が変質して痕が付いてしまう問題あり】
当時使ったのは左のタイプで、今は右のタイプが主流のようです、プロにも多く使われ、みんな足台は嫌なんだとわかりました;
bach g duo
you tube:Guitar Duo KM - Concerto BWV 972, I. Allegro, J.S. Bach

リュートに移ったときは"リュートレスト"なんてないし、以前のように"左に足台"は最悪;
楽器の底部にピンを付けて、ストラップで肩に掛けることにしました、歴史的にもストラップの例があるし、
lute st01
服などに掛けるところがあれば、↓こんな方法もあります、
lute st02lute st03
いずれも体が自由で楽な保持法です。
リュートの糸倉側に止めるには、↓ペグの間でバランスの良い位置に結べばよい、
11c lute
ストラップで椅子に座るとき、楽器の高さ調性で、右足を低い台に乗せますが、
asidai01g_201708111434100b9.jpg
押弦しない右腕側の足が多少上がるのはバランスも取れた感じで楽なんです、
人体工学的に説明できませんが;

小振りな19世紀ギターもストラップが具合よさそうです、
19c guit
you tebe:Ständchen by Mertz-Schubert / Pascal Valois - Romantic Guitar

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省エネで弾く  

ギター、リュートは殆ど常に重音奏法というか、複数の弦を押えるのが指の負担です、m
特に人差し指を寝かせて何本も押えるセーハ(バレー)なんて他の楽器にはないかな;押える時間が長いほどきつい、過度に力を入れると指にとって無酸素運動となり、次が続かない、
何本も押えるようで、じつはしっかり押えるべき弦と力を抜いてよい弦とあり、時間経過によっても力を抜いてよい所がある、この力配分をうまくやれば省エネ運動でくたびれない、
新しい曲を弾くときはこの加減がわからないが、練習を重ねるうちに要領がわかってくる、
tab01_20170716100539e9d.jpg
S.L.Weiss "L infidele" Musetteより
譜例のオレンジ枠の箇所はセーハに掛かるのは⑤コースと②コースだけですが、他の指の動きも影響してしっかり押え辛かった、
↓オレンジ枠箇所の押え
20170716.jpg
⑥~⑬コースの赤茶色の弦はローデド・ナイルガット、この鳴り具合も試しているところ

しかし時間経過による力配分でちょっと楽になってきました。
どうも音がうまく出ない;と悩みつつ練習を終え、あくる日、意外に楽だったりすることがあります、それだけ考えた、ということで、クールダウンした頭から要領がスっと出てきたり、日にち薬となるようです。
習いに行ったり、仲間を持つと自分では気づかない解決法を教えられ、助かります。
アコGさんから見れば「こんなん、何ともあらへんがな!」という事かもしれませんが^^;

ダブルコースの2本をきちんと押え、鳴らすというのも難しいです、
自分の指は中指、薬指はまあ普通ですが、
yubi cyubisaki.jpg
人差し指と小指の先が狭くて外しやすいです、1本だけ鳴り、もう1本がビリつきやすい;

ご覧いただき、ありがとうございました。

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パッセージの演奏  

パッセージの演奏は細かい音符をレガートに繋ぐ場合、1音ずつ粒立てる場合とあります、
"粒立て"のほうは切れ味があって心地よいものです、楽器によってそれぞれ奏法があります。m
ヴァイオリン属やヴィオラ・ダ・ガンバでは弓のダウン、アップの往復で最も得意でしょう、エレキギターでもピッキングのダウンとアップで鮮やかに弾きます、強拍がダウンかな。
息を吹き込む管楽器ではどうするか、まず口の中で「tu,tu,」と発音するタンギングで音をくっきりさせます、これが速くなると追いつかないので、「tu,ku,tu,ku」と発音するダブルタンギングを使います、同音を細かく区切る(トレモロ)例として、テレマンの曲ですが、vn、リコーダー、ガンバが快速に行います、
tele con
G.P.テレマン:協奏曲イ短調 第二楽章より
3人がピタっと決まると心地よいところです。また旋律で動く場合、
tele con02
同曲
リコーダーとガンバが3度のところ、特にリコーダーはフィンガリングとダブルタンギングのタイミングがピタっと合わせるのが難しそうな気がします、上級者は軽く吹くでしょうが;
tel con05
参考 you tube:Telemann: Concerto in A minor, TWV 52:a1
(Allegroは4:05~)

リュートではルネサンスluteやヴィウェラで行うフィゲタ奏法がこれに当ります、親指のダウンと人差し指のアップの交互弾弦です、
mu tab
オレンジがフィゲタ奏法のところ、(*イタリア式タブラチュアで一番下の線が①コースになる)
参考に今村さんのヴィウェラの動画を挙げます、
y imamura vi
you tube:Luys Milan: Fantasia XI / XVIII / XII (Y.Imamura, Vihuela)
一にも二にも、フィゲタでパッセージを弾きこなすのがルネサンスの醍醐味、これも左手の押えと弾弦のタイミング(左の押えが完了してから音を出す)が合わないと音になりません;
バロック期になるとフィゲタ奏法はなくなりますが、たまに親指、人差し指の交互が有効なところでは使います。

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リュートで弾くフーガ  

フーガの演奏に際しては、始まりのテーマに適切な締まりのある表情を付け、その後出てくるテーマも同様に統一しなければならない、のが基本です、
お馴染みバッハのBWV1000を例に、音を繋いだり、切り気味にしたり、(適切な強弱もあるが、長さだけに絞る)
bwv1000_20170620144508f88.jpg
(*譜例は一部、オクターヴ上げた編曲になっている)
仮にオレンジ線のように弾くとして(""は「切り気味」の意)、鍵盤の場合、鍵を離せば音は止まるけど、リュートの場合、バス開放弦は止まらない、
bwv1000 tab
赤丸のi)ii)も弾いた直後に右親指の背を当てて止められます、次は1つ上の弦なので簡単です。この曲は[6]などストレッタの部分もある。

今取り組んでいるヴァイスのフーガd-mollは、テーマにoct.跳躍があって、そこが魅力ですが、難しさも生じる;
weiss fuga
テーマの歌い方はオレンジ線のようにしました、特にoct.跳躍前の音は止めないと締まりがなくなる;赤丸のi)を止めるには右親指の背を使うにも次が跳躍するので難しい、ここは左手の指で触れて止める、次が開放弦なので左手はOK、しかしii)で困っている、右親指は次で跳躍するし、左手も次に押弦があるのでヒマはない;

一部だけ示したが、難しい箇所は多々でてきます;
しかしやる以上、聴く人は「フーガ」として聴いているので、楽器のハンディは認められない;きっちり、作戦たてて入念にやらないと・・^^;

PS.因みに今村泰典氏は両曲とも鍵盤か?と思えるほど完璧に弾いている^^;
imamura lute bachy imamura weiss

ご覧いただき ありがとうございました。

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次にやる曲  

このLPはナイジェル・ノースのデビュー盤で、過去に持っていたのを失い、3年前の正月、立ち寄った中古ショップで再度見つけた縁起物です^^
north visee 01north visee 03
オワゾリール 英国盤
north visee 02
1978年の録音だがひじょうに良好、ノース24歳くらいかな、この頃からひじょうに完成度高い名演でした。しかも、テオルボ、バロックguitar、バロックluteを持ち替えてロベール・ド・ヴィゼの作品だけ集めた凝ったアルバム、先々の活躍に期待させた人でした。2面にはバロックluteの嬰ヘ短調組曲と「ムートン氏に捧ぐトンボー」が入り、録音はガット弦のようで、今聴いても理想の演奏です。

そんなわけで?次に取り組みたいと思っていたのがヴィゼの作品、Saizenay本のP.199にある、11コースlute用の作品で、ニ短調の組曲にしました。
visee_201705101112248be.jpg
この曲は知る限り誰も録音していない?ヴィゼはパリ楽派とはちょっと離れた、ヴェルサイユ楽派でどの曲も旋律線が優美で楽しみです。
これと並行して、S.L.ヴァイスのニ短調のフーガも練習することに、
weiss fuga d
リュートには数少ない貴重なフーガ作品です、11コース、13コースlute、フル活用、また時間をかけてじっくりやりたいです^^

参考動画
weiss fuga
R.キルヒホーフのリュートで、ヴァイスのフーガd-moll
動画:Weiss, Sylvius Leopold - Fuga in D min

ほかに興味深いところで、チェンバロによる演奏もある、これは前半にプレリュードがつく、
動画:Weiss - Prelude and Fuga

ついでに、お馴染みのファンタジーc-moll(ラウテンヴェルク使用)
動画:Sylvius Leopold Weiss: Fantasia e Fuga
鍵盤ではゴージャスになりますね^^

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バロックリュートを始めたとき  

もう何十年と昔;初めてクラシックギターで暗譜して弾いたのが、このS.L.ヴァイスのファンタジーハ短調でした。(ギターではホ短調又はニ短調に編曲される)m
weiss fa tab
その後レパートリーは増えず;リュート曲など古い作品の編曲ものばかり漁ることが多かったです。(クラシックギターの主要レパートリーにさほど熱があがらず;)
ルネサンスリュートはギターと調弦法が近いので、馴染み易かったですが、
6c lute
6コース、ルネサンスlute
(*ギター調弦の③弦を半音下げるとルネサンスリュートと同じになる)
guit.jpg
バロックリュートとなると調弦法はかなり性質が違い、二の足を踏んでいました。
しかし、バロックlute曲をギターに編曲するのは似て非なる楽器ゆえに余計難しく、満足いく結果にならない・・
b lute
やがてバロックlute購入を決行し;独学で始めました。楽器の扱いや記譜法(タブラチュア)には先にルネサンスluteで馴染んでいたので、あとは調弦法の違いによる運指パターンの違いに馴染むことで、弦(コース)が多くなるのは大した問題じゃなかったです。
11c lute
11コース、バロックlute
ギターやルネサンスluteとの大きな違いは、五線譜で書くと流れている旋律も、バロックluteではアルペッジョみたいに弦が替って行く弾き方が多いこと、
weiss fa
これで音の粒が揃い、旋律をレガートにしないといけない、特に始めた頃はこれが未経験の難しさでした。
migite02.jpg
右手の爪をまったく使わないというのも、さらに勝手が違った記憶です;

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原典譜を見よう  

手稿譜は作曲者自身の手もあれば、助手を務めた人の手と思われるものがあります、アンナ・マグダレーナ・バッハの筆跡は夫とそっくりだという例もありますが、側近の手による信頼できるものでしょう。
bach vc 6
バッハ 無伴奏チェロ(ヴィオラ・ポンポーサ)組曲No.6より

今は楽譜ソフトなどで非常に見やすい楽譜も出回っていますが、一か所も写し誤りのないものはめったにないようで、写しの写しだったりもします。単なる誤写のみでなく、バロック期や古典派期の作品を19~20世紀の旋法趣味で音が変更されたり、本来無かった記号が付けられたりしています、それが標準楽譜のように通っていたり・・
以前、教室の集いでバッハの曲のCDをいくつか聴いて、皆で「間違い音探し」をしました、おかしな音に気付いたら、さっと手を挙げます。我々でも気づくような誤写された音をプロの奏者がそのまま録音している例もあり、原典を見ていないのがわかります。「新バッハ全集」にも誤写が多いと聞きます。

リュート関係の楽譜、特にバロック期は活字化されたものは僅かしかなく、ほとんど奏者は手稿譜のファクシミリを使うことになります。幸か不幸か前述のような弊害は少ない、ただ、写りが不鮮明で、記号なのか、汚れなのか判別つかないものはある;
visee te
ロベール・ド・ヴィゼ:アルマンド
手稿譜には活版譜では伝わらない、楽曲の表情が読みとれることもあります。

下はハイドン、交響曲第92番「オックスフォード」の総譜(第二楽章)、写譜屋がパート譜を作る原稿でしょう、
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ハイドン:交響曲第92番「オックスフォード」第二楽章
ハイドンも今はほとんどがR.ランドン版が使われるでしょうが、古い録音にはあちこち異なる音が聴こえます、こうした作品も後世の誤写や変更がないか、よく照合してみる意味はあるでしょう、専門家が気づかず、アマチュアが発見する例もありますから。

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メトロノーム  

S.L.ヴァイスの"L Infideie"は終曲のペイザンヌを練習中で大詰めです。やはりジーグやアレグロと同様、急速に華々しく決めたいところ。4分の2拍子ですが、メトロノームで1拍=105を目指すことになっています^^;たしかにこの速度でやっと聴き応えがでてくるような、、
met.jpg
MADE IN JAPAN
しかし、まずは80くらいで安定的になるようにしますが、あまりメトロノームを気にしても、ゆっくり積み上げた運指やタッチの注意点が曖昧になったりするし、悩ましいです;特に後半の下線のあたり、指がややこしいので集中が要ります。
paysane02.jpg
ペイザンヌ 後半
曖昧になるってことはまだ頭にしっかり焼き付いていないわけで、そこはまだ練習が足りない;完璧は無理でも、8割くらいにはする、これだけでも大変そうです;
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短く切って、レガートに  

バロックリュートの作品、S.L.ヴァイスの組曲 L'infideleも難題が多くて大変ですが、やっと終曲ペイザンヌの練習に入ったところです。
11c lute
少し、昨日の続きになりますが、いつも注意しているのが、レガートな連なりで、当曲、2曲目のクーラントに典型的な部分がありますが、6小節からのゼクヴェンツ、
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異なる弦を用いて響きが重なるよう、作曲者が考えています、 で記したように音を残し、次の音が鳴ってから止める、ただ楽器の都合上、全部分はできないので、13小節は同弦上でスラーを使っています、ここは弾き手の技で、ここの前と同質に聴こえるようにします、これが上手く行かないと美しくない;
また5曲目にミュゼットがあリますが、この舞曲は2拍子の歯切れ良い感覚を出したいところ、しかし心地よい流れも大事、
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を付けた音は短く、切れ目を置くのが良いです、また全般にバスの音も音価いっぱいより、短めに切るのが良い、ただし、レガートが内在するように、連なって聴こえる必要がある、こうしたい場面は多々ありますね。またリュートは強弱がついてしまうが故に、強迫と弱拍の音量が逆転したり、ギクシャクと崩れやすい、耳からのフィードバックで指をコントロールするのが大事です。

*シルヴィウス・レオポルト・ヴァイス(1687-1750)
s l weiss
バッハと同時代で、バロックリュート音楽を集大成した奏者。イタリアで学んだ時期もあり、リュートの特性を活かした旋律美も特徴、後期にはギャラント・スタイルも取り入れる。
バッハの「鍵盤とヴァイオリンのための組曲 BWV1025」がヴァイスとの共作であることに、近年、リュート奏者が気付いた、両者が交流を持った確たる証拠となった。
参考過去記事:
J.S.バッハ 鍵盤とヴァイオリンのための組曲イ長調 BWV1025
桐山建志&大塚直哉:バッハ ヴァイオリンと鍵盤の為の作品集 vol.5

今日もご覧いただきありがとうございました。

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