Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話題など

R.ケンペ:ブラームス 交響曲第1番(LP)  

クラシック音楽を聴き始めた頃は千円盤レーベルのセラフィムやコロムビア・ダイアモンドシリーズには随分お世話になり、今でも聴きたい名盤が少なくないです。
今日はひじょうに懐かしい、セラフィム盤でルドルフ・ケンペ指揮、BPOのこれも昔、始めて買ったブラームス1番のLPです。はじめジャケットは黄土色でしたが、青灰色にかわり、これは中古で再入手したもの。micha
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しかし当時は卓上タイプの簡易なステレオしか持っていなかった、知り合いの家がちょっと本格的なステレオを買ったので、これをかけさせてもらったら、壮大なサウンドが刻まれているのにすっかり魅了された。1959年の録音だが、EMIらしい音質でホールの空間をよく感じ、今聴いても結構HiFiな好録音。
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ルドルフ・ケンペ:指揮
ベルリン・フィルハーモニーO
1959年録音 セラフィム(EMI原盤)


ブラームス 交響曲第1番ハ短調
第一楽章、序奏はヒートアップせず、清涼に始める、主部にはメロディアスな主題はなく、単純な音形とリズムでがっちり構築されているのが飽きることのない魅力、ケンペは涼しげなサウンドを基調に、ややゆっくりめにこの味わいをじっくり構える、
提示部、84小節で木管がffで出るところをぐっと響かせ、印象深い、
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また全楽章言えるが、弦をあまり張り詰めず、BPOの端正な運弓の味わいをよく聴かせる。展開部も強烈な響きを控え、清涼サウンドを保って聴かせる。
第二楽章はさらりとした感覚、ここもBPOの端正な弦、木管が味わいどころ、
第三楽章、短めの楽章でスケルツォではなく、終楽章への間奏のような位置づけのようだ、ここも端正に心地よくまとめる。
終楽章、緊迫感をもった始まりで、主部は整然とした第一楽章に対し、ドラマティックな内容、この有名なテーマに象徴されるが、
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vnのG線の開放を含む低域の響きが曲全般で味わい深い、このテーマのあと、ケンペは終楽章も清涼な響きを保ちながら、速度の急緩をもって白熱感に引き込む。終結部分では結構加速して熱くさせる、端正に進めてきただけに効果的だ。
以上、清涼で味わいある第1番である。

今日もご覧いただきありがとうございました。

category: ブラームス

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シェリング&シュタルケル:ブラームス 二重協奏曲  

ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調
この作品はブラームスが交響曲第4番を書いた後、次の交響曲として着想していたものを、不仲になっていたvn奏者J.ヨアヒムとの関係を戻そうと、協奏曲に変更して協力を求めたそうですが、交響曲から転作するのはピアノ協奏曲No.1と似た経緯です。2つの独奏楽器があり、オーケストラも充実しているので、協奏交響曲と言えるかもしれません。こういう曲では、複数のソリストと指揮者の顔合わせでどのような融合を成すかが興味引くところでもあります。
vcのシュタルケルは1962年のDG盤でも、シュナイダーハンのvn、フリッチャイの指揮と組んでいた。今回はvnがH.シェリング、B.ハイティンク指揮、RCOとの共演です。
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ヘンリク・シェリング:vn
ヤーノシュ・シュタルケル:vc
ベルナルト・ハイティンク:指揮
ロイヤル・コンセルトヘボウO
1971年録音 フィリップス


第一楽章はオケが力強い第一主題の一部を前奏してすぐカデンツァ、vcの印象的なソロが入り、続いてvn、2人のソロはあまり張り詰めず、しなやかタッチでいくようだ、あらためてオケが各主題を提示、木管が第二主題を奏で、清々しさを与える、
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2つのソロとオケが掛け合っていくが、緊密でデリケートな室内楽的味わい、ソロの歌い継ぎのところも、一人が弾き進むかのように決まる、巨匠同士の阿吽の呼吸、
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展開部は長く、二部構成のようだ。
第二楽章はホルンで始まる穏やかで歌唱的なテーマでけっこう長くvn、vcがユニゾンで続く、2人のソロの一体感も聴きどころ、vnの低音域が使われるがシェリングは深いヴィヴラートと適度なポルタメントで滋味を帯びた演奏、シュタルケルのvcもさすが一体の味わいで奏でる。
第三楽章はvcソロで始まるリズミカルで愛嬌のあるテーマが支配的、このリズムに乗り、vnとvcは掛け合ったり並行したり、オケの木管もソロの一員となって関わったり、多様で巧みな聴きどころが盛り込まれる。
初演の時は賛否別れて、大成功ではなかったようだが、この内容を聴衆が一度で味わい切るのは難しいかもしれない。

今日もご覧いただきありがとうございました。

category: ブラームス

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アシュケナージ:ブラームス ピアノ協奏曲No.1ニ短調(LP)  

今日はLP盤を廻してみました、かなりご無沙汰だったブラームスで、ピアノ協奏曲第1番ニ短調、これはブラームスの最初の交響曲として着想されたが、理由あってピアノ協奏曲に転作されたという作品、その特殊性が逆に魅力となっています。
V.アシュケナージのピアノ、初期のデジタル録音でCDもあるのですが、あえてLP盤のほうを聴きます。やはり弦楽の響きが滑らかに聴こえ、良いのですね?
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ウラディミール・アシュケナージ(ピアノ)
ベルナルト・ハイティンク(指揮)
ロイヤル・コンセルトヘボウO
録音1982年 LONDON
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CD表紙

第一楽章、4分の6拍子、マエストーソ、timp連打を伴う切り立った第一主題で始まる、一旦穏やかな主題で静め、再び始めの主題が対位法的に迫る、ハイティンク指揮RCOはバランスよく引き締める、ピアノソロは別のノクターン風の主題で入る、アシュケナージのピアノは剛腕というより、端正な印象、すべてがバランス良く整った演奏で心地よい。ピアノはコンチェルトソロというよりもう一つのオーケストラみたいな活躍に感じる、複数の主題が複雑巧みに折り重なり、奥深い、展開部ではオケのパートをピアノが再現、鍵盤のオクターヴを重ねた力強い響きが多用される。交響曲第4番を思わせるエネルギッシュな終結も素晴らしい。
第二楽章、アダージョ、亡くなったシューマンへの追悼の意も込められているという、宗教曲的雰囲気の楽章、静寂ながら後半ではピアノ、オケともに盛り上がりを見せる。
終楽章、ロンド、アレグロ・ノン・トロッポ、ロンド形式で古典派協奏曲を継承する要素が大きい、ブラームスらしい渋めだが急き立てるように印象的なロンド主題、間に入る副主題も多彩だが、ロンド主題を使ったフガートも聴かせ、ここもブラームスらしく期待に答えた内容、この頃としては古めかしく、古典派流のカデンツァも入る。終楽章ではだいぶピアニスティックな要素も聴かせる。

category: ブラームス

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O.スウィトナー:交響曲-ハイドンNo.88、ブラームスNo.4(ライヴ)  

O.スウィトナーのライブ盤が魅力、ということで、これまで2つ取り上げましたが、
モーツァルト 交響曲 No.39-41 N響ライヴ
ブラームス 交響曲第1番(ライヴ)
今回はハイドン交響曲第88番とブラームス交響曲第4番の入ったライヴCD-Rを見つけた。オケはSKB、数少ないスウィトナーのハイドンがまず興味深い、いずれも1981年6月の同演奏会の録音でたぶん放送用でしょう。聴き馴れたD.シャルプラッテンやDENONのセッション録音のサウンドとは異なり、オンマイク的で、渋く厚みを帯びた録音がD.G風で、いつもと違った趣きで聴けるのが面白い。

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オットマール・スウィトナー指揮 シュターツカペレ・ベルリン
1981年6月 ライヴ録音


まず、ハイドンの88番、第一楽章序奏はレガートで速めにさらりと行く、この録音の特徴か、vn群の個々の音が聴こえてくるようで、一人一人の味わいが重なって聴こえるようだ。主部は程良い快速で、しなやかな感覚を通す、提示部の反復を省略し、展開部の充実感に早く運ぶのは効果的かもしれない、再現部もテンポを少し巻きつつ終わる。第二楽章、旋律美の楽章だが、あまり引きずらず爽快にまとめる、ffも大袈裟にしない。気品に満ちたメヌエットもこの曲の人気の要素だろう、きりっと引き締めた演奏がいい。充実の終楽章、強弱の対比をつけ、展開部は意外なtimpの強打で入り、深みを持たせる、終結に入る前に溜めを置き、加速して輝かしく終わる。88番はスウィトナーお気に入りの曲だそうだ。

次はブラームス4番、'86年セッション録音のD.シャルプラッテン盤との比較も楽しみだったが、これは大いにあるv
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D.シャルプラッテン盤、1986年、セッション録音

清涼な響きでまとめながら、核心に迫ったところで灼熱のエネルギーを放つ、というスウィトナーらしさは同じだが、ライヴでは異なる作戦で攻めてくるようだ。
第一楽章の開始は86年盤ではさらりと枯淡の表情で入るが当盤はヴィブラート効かせ、じわっと躊躇うような入り、これで引き付ける、主部を整然と進め、終結に入るところで一旦テンポを落とし、徐々に徐々に加速していくのがじつにいい、フルトヴェングラーの危ない加速より上手い手法だ。
第二楽章で印象的なのが、88小節からの弦楽の聴かせどころ、これを厚い響きにせず、ぐっと控えながら充実感たっぷりの美音で奏でるところ、これは聴いてみてくださいとしか言いようがない。
第三楽章はかなり快速、ギビギビと快進撃、痛快な終結。
終楽章、パッサカリアはブラスによる主題提示は普通だが、次からが異様なほどじっくりしたテンポで、長い溜めを入れて行くような様相で引き付けていく、穏やかな中間部が終り、ブラスによる主題の再現のあと、
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132小節からのffは予測どおり、セッション盤を「非常に強い」とするなら当盤は「猛烈な」になるだろう。ここからはテンポアップ、timpは爆音を放ち、白熱のまま終結に向かう。

category: ブラームス

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O.スウィトナー:ブラームス 交響曲第3番  

ブラームスsym No.3を続けます。
昨日のフルトヴェングラーとは打って変わって、といえる、オットマール・スウィトナー指揮、シュターツカペレ・ベルリンによる1985年の録音。
この第3番は勇壮な印象を与えながら、じつは非常に複雑ナイーブな曲ですね。スウィトナーはブラームスも清涼、透明なサウンドで各パートの見渡しが良い、それをD.シャルプラッテンの詳細な録音が捉えている。

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オットマール・スウィトナー指揮
シュターツカペレ・ベルリン 
1985年

第一楽章は始まりからvaが行うように、シンコペーションが奏でられる部分が多く、
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全体が単純に拍子感が掴めない複雑な噛み合いをしている、1つのラインがあちこちのパートに飛び移ったり、こんな細かな仕掛けが隠れていたのか、と、漠然としていては気づかない内声の動きがある、まさに複雑な分子構造が有機的に繋がり合っている、これを指揮者は暗譜しているんだから並みの仕事ではない;スウィトナーは落ち着いたテンポで、無用なレガートを避け、節目を付けながら端正に進む。
第二楽章、弱音基調で弦は気体が漂うような響き、そこに木管の色彩感が浮かぶ、強奏部分でも"濃い"響きにしないが、内面的に熱い思いを掻き立てる。
第三楽章、これはもう涼やかそのもの、テンポもさらりとした感覚、中間部の最後、ppに入っていくところではぐっと集中させられる。
終楽章、普通のテンポだろう、急速に聴かせる意図はないようだ、弱奏の弦とファゴットの導入のあと29小節アウフタクトからの<fは金管、timpを含む強奏が相対的に強烈である、このスウィトナーらしい強音楽器にダイナミズムを委ねる響かせ方が良い、これは167小節のクライマックスでも見事。コントラバスのピチカートが深々と鳴るバランスも良い。各パートの仕組みがしっかり聴こえることによる緊迫感がある。第一楽章と同様、華々しく終わることなく、静かに終わるところがこの曲の特徴だが、スウィトナーはまさに繊細に引き付けて終わる。

category: ブラームス

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W.フルトヴェングラー:ブラームス 交響曲第3番(1949年 ライヴ)  

サヴァリッシュの正攻法なブラームス3番を聴いたあと、型破りな演奏も聴きたくなる、フルトヴェングラーのブラームス交響曲といえば、1番や4番は録音も多くいくつか聴いたが、3番はあまり記憶がない、長くしまい込んでいた第3番、1949年、BPOとのライヴ録音を聴く。しかし、このライヴ盤は聴衆の咳がうるさすぎる;復興途上の折り、人々の健康度が落ちていたのか?ちなみに咳が出やすい時に演奏会へ行く際はタオル地のハンカチを持っていくとよい、しっかり口に当てて咳をすればかなり吸音されて迷惑をかけない、もちろん感涙にも役立つ。

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ウィルヘルム・フルトヴェングラー指揮
ベルリン・フィルハーモニーO
1949年12月18日、ティタニア・パラスト、ライヴ録音


フルトヴェングラーの3番、久しぶりに聴いて驚く、音楽にも速度制限があるなら、完全に違反だ(笑)クレシェンドとともにテンポを加速するのを正式にはアッチェレランドと言うが、私達はテンポを"巻く"とよく言う、強烈に加速する場合は"巻きまくる"となろうか。
第一楽章、早くも開始から12小節までにこの飛び道具を仕掛けてくる、が、序の口、15小節からは一旦緩め、穏やかな推移、大袈裟なほどの深いヴィヴラート、しかしフルトヴェングラーには必然である、室内楽的な味わいを聴かせる、提示部の終りのクライマックスに向けて再び巻く、この提示部が反復され、展開部へなだれ込む、キレそうなほど巻いて、やがてぐっと沈静化する、再現部も同様であるが、終結部の凄まじい巻きまくり、ここまでやるとは。
第二楽章、緩抒楽章の深く抉るような表現もフルトヴェングラーらしい、休符には長い溜めを置く。後半では弦楽の燃え上がるような響きとうねりが圧倒する。
第三楽章、ゆったりと始まるが、フルトヴェングラーはこの楽章でも早々と"巻き"を使う、緩急のコントロールはあくまで音楽の起伏に対し重力の法則に従うような自然なデフォルメである、後半はまた弦楽が驚くほど燃焼する。
終楽章、異様なほどゆっくりと始める、このあとどうなるかはご推察どおり、指揮者と楽員は一蓮托生、無類の爆演を決行する。この時代の息吹を聴くようだ。

category: ブラームス

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W.サヴァリッシュ:ブラームス交響曲第3番(VSO盤&LPO盤)  

先般、ウォルフガング・サヴァリッシュの古い録音、ブラームスsym第1番(VSO)のLPが思いのほか良かったので、他の曲も新、旧と聴きたくなりました。そこで今日は第3番、VSOとの旧盤とLPOとの新盤の聴き比べです。

交響曲第3番ヘ長調
まずは1961年、ウィーン交響楽団との演奏
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time 9:05/8:56/5:55/8:21
全般に演奏時間からして、サヴァリッシュはやや速めのテンポを取る、
第一楽章は豪快に始まり、きりっと直線的に描く基調だ、ブラームスらしく、内声部がデリケートに絡んだ室内楽的な要素が多分にあり、大抵細やかな味わいの演奏になるところ、サヴァリッシュはそこもキッパリと折り目をつけ各声部を明確にする、いかにも"外科医"のイメージが湧いてくる。録音もそうしたところを詳細に捉えている。展開部も終結部もルバートは控え目で爽快に進む。
第二楽章、わりと速めで切れ目をつけ、表情は"淡々"と言うに近いが、この楽章の構成を丹念に聴かせるようだ。
第三楽章、第二楽章と同様、VSOの美音を聴かせながら表情付けは最小限に控え、それがブラームスの名旋律にふさわしい。
終楽章、速めのテンポでキビキビした感覚で通す、わずかにアッチェルランドも使い、<ff、あるいはいきなりffとなる箇所を切り立てる、ファンファーレ的にエネルギーを放つ167小節からのffはまさに思い切りよく炸裂、
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また167小節に至るまでの目まぐるしい"蓄積"がこたえられない。鋭角的に畳み込む痛快な終楽章として終わる。

続いて1991年録音、ロンドン・フィルハーモニーOとの演奏、
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time 13:45/9:18/6:31/9:05 (第一楽章提示部は反復あり)
全楽章、VSO盤よりゆっくり(標準的くらい)となっている、VSO盤になかった熟年の練られた味わいの中に情熱が籠る。
第一楽章の冒頭2小節はあまり豪奏にせず、3小節からぐっと力感を入れる、この最初の懐深い手法が全体に活かされる、まさに奥行きの深い楽章だ。36小節からの穏やかな主題、clがpで入り、さらにppとなるところは微かなほどに押さえられる、
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また気づかないほどのアッチェルランドで展開部へ入り、内向的な気分と発散の対比を存分に聴かせる。
第二楽章、VSOとの演奏よりずっと柔和になり、息づかい、間の深さと微かな弱奏でぐっと引き込む。
第三楽章、思いのほか弱奏でじわっと開始する、ここも柔和だがしつこい粘りはなく、そういう意味で淡々とした味もあるが、思い切った弱奏で一際夢想感に引き込む。
終楽章、弦楽とfgによる開始はぐっと弱奏、そして28小節目、金管が<fで鋭く立ち上がり、強奏へ導入する、サヴァリッシュのエネルギッシュな演奏を予感させる、そして期待どおり、起伏の深い演奏で進む、167小節からのファンファーレは極めつけの炸裂、終結部は穏やかになり、最後には第一楽章の主題が静かに再現され、眠りにつくように長くritして終わる、
この終結でのtimpの弱奏も大切な音として聴かせる、
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このtimpは何を意味するのか、第一楽章の主題の入りでも連打されるが、静かな回想か・・

ちょうど30年の時を経た、サヴァリッシュ2つの演奏、いずれも外面的には強い個性は出さない究極の模範演奏かと思っていたが、VSO盤の気迫、LPO盤の熟練味、それぞれに究極の魅力を持っている。

category: ブラームス

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W.サヴァリッシュ:ブラームス交響曲第1番(1961、VSO)  

エアコン要らずの5月らしい一日、リュート・レッスンに桑名まで出かけました、こんな日はドライブも心地よいv

今日もfontana盤です;中古セールで目に付いた1枚、1961年録音、W.サヴァリッシュ指揮、ウィーン響によるブラームス交響曲第1番、何度となく兼価盤で出ていた記憶だが、ずっと見送ってきたもので、今回何となく良さそうな予感がして購入。

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ウォルフガング・サヴァリッシュ指揮
ウィーン交響楽団 1961年


針を下ろしてPHILIPS原盤サウンドの充実感に満足、以前レビューしたB.ハイティンク指揮のハイドン交響曲のLPを思わせる秀逸なもので、バランス・エンジニアは楽譜を見ながら全てのパートが詳細に聴こえるように仕上げたのではないか、と思える名録音。総奏の中で弱音で奏でる楽器も浮び上ってくる、デジタル期の新盤を凌ぐ内容だ。甲高くもなくデッドでもない、潤いと厚みをもったPHILIPSらしいサウンド。(名演とされる、K.ザンデルリンクやK.ベーム&VPOの録音は響きがやや薄くて不満だった。)
中堅時代のサヴァリッシュは堅実そのもので全楽章何の違和感もなくスッキリと聴かせる、そしてウィーン響の演奏が味わい深い、第二楽章のコンマスのvlソロでその特質がピックアップされるが、優しさを帯びたヴィヴラート、これが合奏ではじつにしっとりしなやかなサウンドになり今も昔も変わりない。フルート等も同質で好ましい。ただしツーンと響くウィンナ・オーボエはクラリネットと同様、ノン・ヴィヴラート奏法だ。
第一楽章主部の78小節2拍目のように、短くずっしりとリズムを強調する箇所が多々あるが、引き締めると同時に心地よい余韻のような響きも聴かせる一瞬の上手さが魅了する。第二楽章はまさに弦の魅力を存分に聴ける。続く楽章もまったく隙のない完成度で聴かせる。サヴァリッシュのブラ1はN響、LPOもあるが、当VSO盤が一番気に入ってしまった;

ヴィヴラートは何のために入れるか、古くはバロック期、当時はピュア・トーンが基調でヴィヴラートは装飾音の一つ、特に印象づけたい音にトリルほど目立たず穏やかに装飾する、揺らし方は適宜変化する、といったものでしょう、近代のヴィヴラートは人間的情感を込める意味であるのでしょうが、気合いや力感を込める効果もあるでしょう、あまり強調されたヴィヴラートは痙攣にも近く音程を曖昧にして、あまり好きでないが、VSOやVPOの伝統的奏法は常に優しく音を揺らし、嫌味がなく好ましい。

category: ブラームス

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O.ヨッフム:ブラームス交響曲第1番('81 ライヴ)  

ブラームスの交響曲第1番には不動の名演がいくつもある。古くはフルトヴェングラーの演奏で、'51年に北ドイツ放送響(NDR)を振った録音が最も凄まじいと聞いたが、かつてLPを聴いたときは確かに、と思った。そのNDRを指揮したF.フリッチャイのライヴ録音も過去にレビューしたとおり、それを凌駕しそうな熱演で、CDが届いた日には思わず2度聴いてしまった。
また、引退直前のO.スウィトナーがSKBと来日公演したライヴ録音も、やり残した事を全開に表現したかのような凄さに感動した。

今日のO.ヨッフムのライヴ盤もそんな特別な、壮絶という言葉がふさわしい演奏で、これも2度続けて聴いてしまった。1981年、ヨッフム79歳、ベルリン・ドイツ響(旧ベルリン放送響)との演奏。音源はアナログらしいが、きわめて良好。

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オイゲン・ヨッフム指揮
ベルリン・ドイツ交響楽団
1981年、ベルリン・フィルハーモニー


第一楽章序奏はゆっくり、timpの只ならぬ強打を土台に風格で圧倒する、「こういう序奏が聴きたかった」と言える一つの理想。主部は普通かやや快速に、がっちり厳然とした演奏に徹する、ここはフルトヴェングラー時代とは違うが、とても納得できる会心の第一楽章だ。
第二楽章、一転してじつにロマンティシズムに溢れる、最近は聴けない演奏だ、弦楽の表情は流体のようにデリケートにつながり、強弱の懐も深く、特筆ものの第二楽章だ。
第三楽章、速いテンポをとり、終楽章の予潮のように急き立てる感覚。
終楽章、導入部から尋常でない力感、緩急、強弱、存分な表現でドラマティックな楽章を見事描き上げる、終結の圧倒感も凄い。

category: ブラームス

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W.サヴァリッシュ:ブラームス 交響曲第4番  

サヴァリッシュのブラームス交響曲といえば、第1番はTV放送でも何度か、生でも一度聴く機会に恵まれた。第3番もよく聴いた、しかし不覚にも第4番は憶えがない、そこで取り寄せたこの1枚、WARNER CLASSICSから出たロンドン・フィルハーモニックを指揮した録音、かつてはEMI、今はBRILLANT CLASSICSから全集として出ている。いつもどおり、端正で申し分ない演奏だろうと予測していたが、これは意外な隠し弾丸だった;

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ウィルフガング・サヴァリッシュ指揮
ロンドン・フィルハーモニックO
1989年 ロンドン、アビー ロード No.1スタジオ


第一楽章、速度を落とし、躊躇うようにじわりと始まる、しかしいつの間にか普通くらいのテンポになっている、全体としては堅実なまとまりだが、要所で効果的にテンポを落とし、深く引き付け、さりげなくテンポに戻す、ロンドン・フィルの練られた美音も格別、完成度の高い演奏で閉じる、
間を置かず第二楽章に入る、じっくりとしたテンポ設定、ホルンの開始音が上手い、88小節からの弦楽、vlも低い音域を弾く、渋い和声は魅力だが、
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大袈裟に深々と開始せず、涼やかに抑制され、徐々に情感を深め、ゆっくりめのテンポが効いてくる。ここもロンドン・フィルは極めつけの美しさである。
第三楽章、わりと落ち着いたテンポを取る、速いテンポで弾け散るような演奏もよいが、荒っぽくもなる、サヴァリッシュはあくまで整然とした美しさを崩さない。スケルツォに相当する楽章だが、ここでも弦の音がしなやかで総奏が雄大である。
間を置かず、第四楽章、標準的な感覚で端正に始まる、しかし弦にどこか尋常でない熱気も感じる、瞑想的な変奏を通り抜け、再び129小節で冒頭部分が戻ってくるが、
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ぐっとテンポを落とし、132小節ff、136小節sfが二段構えに圧倒的に轟く、ここから以後はサヴァリッシュの演奏として予想できなかった凄味で迫ってくる、ここは速くして演奏する例があるが、ゆっくりなのが効いて量感を増幅、決して乱暴にはならず、押しては引く効果を使い、端正かつエネルギッシュに終結する、アレグロ・エネルジゴ・エ・パッショナート、の忠実な演奏とも言える。タイプは違うがフルトヴェングラーも真っ青というところ、これは持っていて損はない名演だ。

category: ブラームス

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