Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

ボッケリーニ・エディションより:pfとvlのためのソナタ  

今日もBRILLIANT CLASSICSのBOXセット、以前一部取り上げたボッケリーニ・エディションよりvlとpfのためのソナタ集です。ボッケリーニといえばスペインに移ってからの作品がやはり魅力ですが、これらはイタリア時代の曲、純粋な古典派第一線の作品として聴かせます。ピアノの技法や曲想から感じるのはモーツァルトより、A.サリエリの作風に近い感じですね。軽やかな古楽器のヴァイオリン、フォルテ・ピアノによる繊細な演奏は申し分なし、作曲家の頭に閃いた響きが伝わってくるようです、こうでなきゃボッケリーニの真価は聴き辛いでしょう。

ボッケリーニ ed
フォルテピアノ:Franco Angeleri
ヴァイオリン:Enrico Gatti


1曲目変ロ長調G25op.5-1および2曲目ハ長調G25op.5-1は3楽章の整ったソナタ、第一楽章はpfとvlが交互に主旋律を弾いたり、助奏したり、センスの良いテーマが歌い継がれ、標準的ながら美しく退屈させない。緩抒楽章はイタリアらしい情緒に溢れる、ハ長調のほうは短調に変り感傷的、終楽章は軽快に切れ味よく駆け抜ける。
3曲目変ロ長調G23op.5-3は二つの楽章、第一楽章モデラートは旋律美が一段と光る、第二楽章アレグロは闊達でvlとpfの間髪いれない掛け合い、和合が良い。
4曲目ニ長調G28op.5-4、第一楽章は安らかなアンダンテ、第二楽章で気分一転、交響曲ニ短調G506op.12-4“悪魔の家”第一楽章のアレグロ部分と同一曲が置かれる、pfとvlの2つでシンフォニックな気迫を聴かせ、これは圧巻。終楽章ロンド・アレグレットで再び落ち着く。
5曲目ト短調G29op.5-5、第一楽章、短調作品になると後のスペイン時代にありそうな一面も感じる、vlがシンコペーションを多用しリズムの快速感をけん引する、短かいが魅力的な楽章。第二楽章アンダンテ・レントは長調でここはモーツァルト的味わいも聴かれる。終楽章プレストは短調にもどるが、長調に移る傾向が多い、軽快な魅力で駆け抜ける。
6曲目変ホ長調G30op.5-6、第一楽章アレグロ・マエストーソはいかにも楽天的なマエストーソで始まるがpfが伴奏しvlが短調のテーマを歌うなど変化に富んだ味わい。第二楽章ロンド・アレグレット、まさにロンドのお手本のようだが、挿入部分のセンスは光る。

category: L.ボッケリーニ

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ボッケリーニ・エディションより 弦楽四重奏曲  

またもBOXものに手を出してしまいました;ブリリアント・クラシックスのボッケリーニ・エディション、しかし今回はボッケリーニの聴きどころである五重奏ものなど室内楽の大半はブリリアント・クラシックス自社録音だそうで、優れた演奏家を起用した内容の高いものです。弦楽五重奏曲が全曲揃っているのが目玉でしょう。
まずは弦楽四重奏曲を初期から晩年までの4曲を集めたCD30から聴きます。

bocch quartet
・弦楽四重奏曲第90番ヘ長調 Op.64-1 G248 1.Allegro molto 2.Adagio non tanto 3.Allegro vivo ma non presto
・弦楽四重奏曲第19番ニ長調 Op.15-1 G177 1.Prest 2.Allegro rondeau
・弦楽四重奏曲第36番ト短調 Op.24-6 G194 1.Allegro vivo assai 2.adagio 3.Minuetto-Trio
・弦楽四重奏曲第55番イ長調 Op.39 G213 1.Allegro moderato 2.Minuetto 3.Greve 4.Allegro giusto
ペーターゼン四重奏団 録音1991年 原盤カプリッチョ


モダン楽器の四重奏団ですが、作品の真価をよく表現した良い演奏だと思います。
2曲目の19番ニ長調が最も初期のものですが、ボッケリーニがスペインに移って3年目頃の作品、2つの楽章でまだイタリア・スタイルも感じられる曲ですが、すでにハイドンの四重奏曲に匹敵する4パートの緊密な掛け合いを聴かせ、さらに快調な推進力が魅力で、まさに天才の技でしょう。
3曲目36番ト短調は先日のビオンディ&エウローパ・ガランテの演奏にも入っていた傑作、ビオンディはテンポ変化をつけた繊細な表現も入れていましたが、こちらはインテンポ快調、これもいいです。第一楽章Allegro vivo assaiは J.M.クラウスで親しんだような魅力の短調楽章、快調で展開部もぐっと深みを聴かせます。第二楽章adagioは優美に楽しませ、第三楽章Minuetto-Trioは弦の技巧の妙技も聴かせる。
4曲目第55番イ長調は4つの楽章となり、一段と充実してきます、4パートの対等な扱いはさりげなくこなし、次々と楽想が湧き出し、隙なく優美快調な第一楽章、第三楽章の短調のGreveはぐっと翳りを帯び、終楽章はまさにラテン的でリズム的にもキレまくった楽しさ、もちろん構成の巧みさも聴かせる。
さかのぼって1曲目90番ヘ長調、晩年の作品とは思えない元気さ、第一楽章はハイドンの充実した四重奏団の終楽章にも近い内容、シンコーペーションで次の拍へと繋ぎ、ほぼ無窮動的に突き進む痛快さ。展開部も4つのパートが活き活きと掛け合う、ちらりとスペイン音楽的リズムも顔をだす。第二楽章は旋律のセンスの良さをあらためて聴かされる。第三楽章、ここでもハイドン的な構成の巧みさが聴ける、陽気でリズミカルだが、それが展開部で短調となった趣がいい。ハイドンも民謡風な曲を書くのでボッケリーニも親しみやすく感じる。

category: L.ボッケリーニ

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ビルスマ:ボッケリーニ/チェロ協奏曲ほか  

朝から毎年恒例の人間ドックに行ってきました。まあ、あちこち悪くなってくるのは仕方ないですが、聴力検査だけは毎年OKで、何とか維持したいところです;

今日はD.ハルモニア・ムンディ50周年BOXより、CD14、A.ビルスマのチェロ独奏とジーン・ラモン&ターフェルムジーク・バロックOによるボッケリーニのチェロ協奏曲、交響曲各2曲のアルバムです。ボッケリーニのチェロのソロ・パートはヴァイオリンを上回るような技巧がこらされ、優美な旋律とオケ・パートも充実した聴きごたえがあります。またここに入った交響曲2曲も傑作です。いずれも純イタリアの古典派様式で書いていた頃の作品のようです。

bocch vc con

L.ボッケリーニ
チェロ協奏曲第7番 ト長調 G480
交響曲 変ロ長調 Op21-5G497
チェロ協奏曲第10番ニ長調 G483
交響曲 ニ短調 Op.12-4G506「悪魔の家」
 アンナー・ビルスマ(Vc)
 ジーン・ラモン(指揮&Vl)
 ターフェルムジーク・バロック・オーケストラ
録音 1988年9月


チェロ協奏曲第7番 ト長調 G480
オケは弦楽のみ、
第一楽章はレガートで爽快に演奏されます。いかにもイタリア趣味の優美な旋律が耐えることなく進められます。ビルスマのチェロは艶やかな高域、豊かな中低域、美しく鳴ります。
第二楽章は低音楽器は休みでチェロ・ソロとvl、vaのみの涼やかな伴奏、朝霧がたちこめた景色のようで、愁いと孤独感を歌い上げます、旋律のセンスは流石。
第三楽章は活気をおび、バックの弦楽もチェロ・ソロ並みのパッセージを聴かせて切れ味よい、チェロはそれを上回る技巧、それを難なく弾きこなし、心地よく音楽は流れる。ボッケリーニの難しいところと言われます。

交響曲 変ロ長調 Op21-5G497
第一楽章、快調この上ない楽章、心地よい冴えた楽想が続々浮かんで隙間なく繋がれていく、イタリア・シンフォニアの典型でしょうか、初期のモーツァルトもJ.C.バッハもここまでいっていないかも?
第二楽章、短調で愁いを帯びますが、やはり旋律趣味が良い、和声の深みも聴かせる。
第三楽章、快活なリズム、旋律の切れ味が心地よい。

チェロ協奏曲第10番ニ長調 G483
こちらはオケにオーボエとホルンが入ります、
第一楽章は前奏をシンフォニックに楽しませ、チェロ・ソロは一段とテクニカルに聴かせる、ソロに対しオケ楽器も室内楽的に関わってきて緊密な内容。
第二楽章は前奏から極めて雅び、オーボエが積極的に使われチェロと二重協奏曲的に聴かせる部分あり、オケの聴かせどころも多いのが魅力。
第三楽章はきわめて快活、チェロは最高に技巧的、オケの弦楽もそれに迫る演奏で、チェロとオケの緊密な掛け合いが圧巻です。シンフォックな聴かせどころも忘れません。これも名演の難しそうな曲ですが、ビルスマは完璧なうえに余裕を持って音楽にします。

交響曲 ニ短調 Op.12-4G506「悪魔の家」
第一楽章、なにやら不気味な予感のする序奏がフォルテで開始します、主部は長調で極めて快活で明るい、走句で埋められたような楽章ですが、隙間なく緊張を維持します。
第二楽章、弦楽のみで切れ切れの旋律のテーマではじまります。静けさの中にもどこか忍び寄る不安を感じさせる。
第三楽章、第一楽章の序奏が再び現れ驚かせる、主部はいよいよ悪魔達の登場、魔性の者達の饗宴騒ぎか?「恐いもの見たさ」という人間の本性を突いたような迫力の楽章です。同時に短調楽章の魅力を結集したような美しい曲でもあります。

category: L.ボッケリーニ

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ボッケリーニ:ギター五重奏曲第4番「ファンダンゴ」ほか  

ルイジ・ボッケリーニ(1743~1805)といえば一般にはあの有名な「メヌエット」で名前だけは知られているでしょう、ギター関係者にはギター五重奏曲第4番の終楽章「ファンダンゴ」が有名。しかし「ハイドン夫人」と呼ばれるほど作品は膨大、魅力的で掘り起こし甲斐のある人ですね。イタリアのルッカでチェロ、コントラバス奏者の父の家に生まれ、チェロの名手となり、20代半ばまでヨーロッパ各地で演奏活動、26歳でスペイン王室に招かれ、その後の人生はスペイン王室付きの音楽家として過ごす。作風はそれまで純イタリア的な古典派音楽でしたが、スペインに移ってからはご当地の伝統音楽と古典派様式を高い芸術性で融合させていて、民族楽派の走りとも言われます。チェロの超名人であることから、弦楽器の高い妙技を聴かせる室内楽や協奏曲の傑作が目白押し、交響曲も聴きどころです。 ハイドンのかっちりした様式美に対し、ボッケリーニは特にスペイン時代から様式を自由に崩し、優美な旋律を次々用いて構成する型にはまらない楽しさが魅力です。
手始めにファビオ・ビオンディ率いるエウローパ・ガランテ(古楽器)による室内楽集です、すべてスペイン時代の作品のようです。まさに名手達の演奏、繊細な超弱音から驚くダイナミズム、室内楽ながらシンフォニックでもあります。この2枚組アルバムが655円とは申し訳ないほどの内容。

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CD1
1. 弦楽五重奏曲イ短調作品25の6 G.300
2. 弦楽五重奏曲ハ長調作品25の4 G.298
3. 弦楽五重奏曲ニ短調作品25の1 G.295
4. 弦楽五重奏曲ホ長調作品11の5 G.275~メヌエット
CD2
1. ギター五重奏曲第4番ニ長調 G.448「ファンダンゴ」
2. 弦楽四重奏曲ト短調作品24の6 G.194
3. ギター五重奏曲ハ長調 G.453「マドリードの帰営ラッパ」
 
ビオンディ&エウローパ・ガランテ/ボッケリーニ:室内楽曲集(2CD) Virgin
ファビオ・ビオンディ(ヴァイオリン)
 エンリコ・カサッツァ(ヴァイオリン:CD1)
 ロレンツォ・コリッタ(ヴァイオリン:CD2)
 エルネスト・ブラウケール(ヴィオラ)
 マウリツィオ・ナッデオ(チェロ)
 アントニオ・ファンティヌオリ(チェロ:CD1)
 ジャンジャコモ・ピナルディ(ギター:CD2)
 マウロ・オッコニエロ(カスタネット:CD2-3)


短調作品がいいですね、CD1の1曲目、弦楽五重奏曲イ短調作品25の6から魅了される、第一楽章の叙情たっぷりの小回りな旋律、各パートの隙のない受け答え、流れも良い、情熱もあれば極めて繊細でもある。展開部に相当する部分は深みを帯びる、チェロが弓を弾ませ、弦を連打する奏法で、ギターのラスゲアートを思わせる響きを出す。第二楽章:メヌエット、第三楽章:ラルゴ・カンタービレも優美で少しも退屈させない。終楽章はリズム的妙技を各パートの絡みで聴かせる、まさにラテンの血が生み出す魅力でしょう。CD1でもう一つ魅力なのが弦楽五重奏曲ニ短調作品25の1、第一楽章ラルゲットは第二楽章の序奏のようでもあります、間を置かず第二楽章に入る、これが旋律も優美ならシンコペーションを用いたリズムも快調で魅力満点です。
CD2の最初はいよいよギター五重奏曲第4番ニ長調「ファンダンゴ」です、第一楽章パストラーレで長閑に始まります、ピナルディのギターはバロック期から19世紀タイプの中間のような、ロココ・ギターのような楽器でしょうか、まろやかで楽器本体が心地よく鳴る音です。第二楽章アレグロ・マエストーソも充実している、チェロのハーモニックスが木管が入ったように聴かせる。最後のファンダンゴの魅力はあらためて言うまでもないでしょう、切れ味よいリズムをぴしっと決め、ギター、弦楽ともに繊細な味わいも聴かせ単に楽しい舞曲で終わらせない第一級のファンダンゴです。パーカッションに前半ではタンバリン、後半ではカスタネットが切れ味よく入り、盛り上げますv次に入っている弦楽四重奏曲ト短調作品24の6、これがまた優美快調ですばらしい。

★ところで、これらボッケリーニのスペイン期の室内楽を聴いてすぐピンときたのが、北欧で活躍したヨゼフ・マルティン・クラウスです。クラウスはハイドンやグルック、古くはバッハなどドイツ系を継承しているのも間違いないでしょうが、特に器楽作品でのクラウスらしい旋律趣味はドイツ系の誰とも違ったテイストだと思っていました。叙情的で小回りな旋律やシンコペーションを使ったリズムの快調な運び、最も似ていると思うのはスペイン時代のボッケリーニです。以前取り上げたクラウスのフルート五重奏曲やその他の室内楽、交響曲にもよく似た旋律の語調が聴かれるんです。これは偶然なのか?(にしてはよく似ている)、クラウスはボッケリーニの作品に触れたことがあるのか?互いにヨーロッパ各地を訪れた足跡はあるのですが、最北と最南の両者の接点を示すような情報は今のところ見つかりません。

category: L.ボッケリーニ

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