Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

アンティーキ・ストゥルメンティ:C.グラウプナー 管弦楽組曲  

ある作曲家の作品のほとんどがタイムカプセルみたいに一か所に保管され、近年になって一斉に公開される、なんて例はほかにないでしょう、バロック後期の大家クリストフ・グラウプナー(1683-1760)がその人です。
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当時は、テレマン、ヘンデルに次ぐ人気をほこり、生涯の大半を主君ヘッセン=ダルムシュタット方伯の宮廷楽長として活躍したそうです。
詳細→Wikipedia:Christoph Graupner
グラウプナーは過去に2つ取り上げましたが、待望のtrp入り管弦楽組曲の1枚が届きました。
c g ouverture
ラウラ・トッフェッティ&トビアス・ボンズ指揮、アンティーキ・ストゥルメンティ
2007年録音、stradivarius

あらためて感じるのは、大バッハの曲は深い精神性に加え、ヴィヴァルディなどの影響もあってか、フレーズの長い旋律美も持っていて、これが後世の演奏法にも映える要素かもしれません、テレマンやグラウプナーとなると器楽曲の主題はとてもシンプルで、当時の演奏法を研究し、デリケートな演奏の妙技がないと聴かせようがないですね。
前回取り上げたフィンランド・バロックOもひじょうに良かったですが、今日の演奏は1997年、フランクフルトで結成されたアンティーキ・ストゥルメンティで、vnのラウラ・トッフェッティとvcのトビアス・ボンズ、二人が指揮するそうです、こちらもひじょうに上手い演奏で、第一線の古楽奏者の集まりです、
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アンティーキ・ストゥルメンティ

組曲ニ長調 GWV420(1730)(編成 trp1,2、timp、vn1,2、va、bass)
フランス序曲を持つ組曲で、この序曲が演奏時間の半分近くをしめる、2本のバロックtrpが入るが、ひじょうに上手い、グラーヴェからテレマンでもバッハでもない、グラウプナー独特の雰囲気が新鮮、vnパートにobを加えているが、この素早い上行パッセージを粒立てて演奏しているのが見事、
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アレグロに入り、vn1で始まるフーガのテーマにまず魅了される、息の長いテーマが低音パートへ順々にじっくり重なっていく幾何学、
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数多く聴いたフランス序曲でこれは最高!短調のグラーヴェに一旦入る、ここの和声の移ろいがデリケートで深い、アレグロに戻り反復する。
序曲だけで圧巻だが、続く舞曲が洒落ている、原譜の編成はtrp1,2、timp、vn1,2、va、bassのみだが、適宜ob、recなど木管を加え、舞曲ではタンバリンや鈴のようなパーカッションを入れている、このセンスも良い。
5曲目には管弦楽曲には意外な?Tombeauが入る、トンボーは死者に捧げる曲、ニ短調になり、trpとtimpも加わりながら、リュート音楽にあるような、細やかな内面性も聴かせる。

組曲ニ長調 GWV421(1749)(編成 trp1,2、timp、vn1,2、va、bass)
この曲は動画サイトでも聴いた→Graupner - Ouverture in D GWV 421 (1/2)
GWV420と編成は同じで、やはりグラウプナーならではの冴えと切れを聴かせる、グラーヴェから一言では言えない魅力が迸る。アレグロでは、下属音Aと主音Dしか出ないtimpをtrpに伴い旋律パートに加えるのが痛快で面白い、この書き方は他の作曲家もよく行っている。
続く舞曲もしっかり捉えきった演奏で聴かせる、全曲あくまで旋律的にはシンプルなので、まさに"美の壺"を捉えた演奏が必須だ。

category: J.C.グラウプナー

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芥川直子:J.C.グラウプナー Harpsichord パルティータ集  

先日聴いたグラウプナーの管弦楽組曲も、聴き返すほどに良い曲で、聴き馴れたバッハやテレマンと一味違うセンスが楽しみです。簡潔な旋律を基に隙のない応答で作り上げる音楽はテレマンに近いかも。簡単に憶えられそうな甘美な旋律を避け、一捻りある感じが飽きない。
今日は日本のチェンバロ奏者、芥川直子によるパルティータほか聴きどころであろう作品を集めた1枚。グラウプナーは鍵盤の名手でもあったそうで、さすがにそれが覗える、パルティータ中に長い曲はないが、無駄のない時間を過ごせる。

grau cem
パルティータ イ長調
パルティータ ハ短調
シャコンヌ イ長調
パルティータ へ短調「冬」
芥川直子:ハープシコード  2007年


パルティ-タ イ長調の始め、プレリュードは言い換えればパッサジォとフーガ、鮮やかなパッセージを散りばめた前半はポリフォニックな要素も少し入る、短いフーガが続くがテーマが練られていて味がある。話がそれるが、バッハのBWV996は真作ではない疑いをもっているが、ちょうどこんな感じで各曲も長くないところも似ている。次のアルマンドはヘンデルにもありそうな親しみやすさ、クーラント、メヌエットは個性的、7曲目にアリアと5つの変奏が入る、変奏で名手らしい手腕が聴ける。最後のジーグは快活な魅力で、どんな奏法かわからないがギターのラスゲアート風の響きを聴かせ面白い。
ほかにハ短調、ヘ短調のパルティータが入るが個性的で耳新しい発見がある、左手の奏でるバス旋律が簡潔ながら充実した表情や力強さを持ち引き付ける。
圧巻は単独曲でやや長大なシャコンヌ イ長調、テーマの次からすでに技巧的だが、まさに多数の音符がこぼれ落ちるようなパッセージを詰め込んだ変奏が凄いし、良い意味で派手派手、バッハも名手だがこれほど痛快な曲はないかもしれない、これは一聴の価値大有り、芥川直子は鮮やかに決め、NAXOSの名盤の一つと言えそう。録音も充実感のある響き。

category: J.C.グラウプナー

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フィンランド・バロックO:J.C.グラウプナー  管弦楽組曲集  

過去にも話題にしたバロック後期ドイツの作曲家ヨハン・クリストフ・グラウプナー(1683-1760)はテレマン、ヘンデルに次ぐ人気を誇りながら、膨大な作品は200年もお倉入りしていたそうです(詳細、wikipedia:Johann Christoph Graupner)20世紀の終盤、ピリオド演奏が盛んになった良いタイミングで復活してきたと言える。バッハ、ヴィヴァルディなどと違い、古楽器とその奏法で初めて真価が聴けるタイプでしょう。遅ればせながら管弦楽組曲のCDを購入、

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組曲 ヘ長調 GWV450
組曲 ト長調 GWV458
組曲 ヘ長調 GWV451
フィンランド・バロック管弦楽団
シルッカ=リーサ・カーキネン=ピルク(指揮&ヴィオラ・ダモーレ)
2013年5月20-22日 シウンティオ教会


今回はフインランド・バロックOによる、ソロ楽器にflトラヴェルソ、シャリュモー(クラリネット系の楽器)、ヴィオラ・ダモーレ、ホルン、ファゴットを含む多彩な組曲、フランス序曲で始まり、舞曲が続くものだが、ソロ楽器達が合奏協奏曲のように扱われる、バッハの管弦楽組曲No.2のような息の長い旋律を聴かせるタイプと異なり、簡潔で器楽的なテーマを各声部が組手で曲を形造って行く、どちらかというとテレマンに近いが、独自の作風というべきと思う。数少ない弟子のJ.F.ファッシュは確かに近い作風に感じる。

組曲 ヘ長調 GWV450
(ソロ楽器、トラヴェルソ、ヴィオラ・ダモーレ、シャリュモー)
序曲のグラーヴェから早くも3つのソロ楽器を聴かせる、どれか1つがメインになることなくソロ群の扱いである、続くフーガの主題は当然簡潔だが、練られた味がある、フーガの間にテレマン風の快活なソロ群の演奏が入り見事に連なる。2曲目は活発なガヴォット、ここでも快活なソロが魅力。4曲目のサラバンドはゆったりと各ソロ楽器の美しさを聴かせる、ヴァイオリンとは明らかに違うヴィオラ・ダモーレの倍音の雅な響き、シャリュモーとトラベルソの柔らかな響き、優しい音の楽器が揃った魅力。5曲目は異色な感覚のポロネーズ、終曲はゆったり感覚のメヌエット、中間部は3つのソロを聴かせる。

組曲 ト長調 GWV458
(ソロ楽器、ヴィオラ・ダモーレ、ファゴット)
これもフランス流の序曲で始まる、ソロが活躍するのはアレグロに入ってから、ヴィオラ・ダモーレをファゴットが助奏する形、ヴィオラ・ダモーレの重音奏法が美しい。2曲目アリアは農民の踊りを思わせる、ドローンの入った活発な音楽。3曲目サラバンドはまたヴィオラ・ダモーレのしなやかな魅力としっとりした曲相、アーチリュートの奏でるリアリゼーションが雰囲気を引き立てる。5曲目ラルゴはファゴットが先導しヴィオラ・ダモーレが続く、バックはピッチカートで伴奏するきわめて繊細な楽章。終曲メヌエットもソロが楽しませるが、全体にヴィオラ・ダモーレが魅了する作品。

組曲 ヘ長調 GWV451
(ソロ楽器、トラヴェルソ、ヴィオラ・ダモーレ、シャリュモー2、ホルン)
この曲が最もソロ楽器が賑やかであるが、おのずとホルンの存在は大きく聴こえる、グラーヴェからホルンが朗々と響く、フーガに入ったあと、バックが止み、ソロ楽器の透明感のある重奏、とくにホルンの美しさに魅了される、これは名演。3曲目のサラバンドでやはりソロの美しさが満喫できる。4曲目メヌエットは快活で心地よい、ロンドのようにソロ演奏が挿入される。終曲にはシャコンヌが置かれる、月並みではない練られた主題で味わいがある、当然、ソロ楽器による変奏も入るが、ホルンの妙技は聴き応えがある。

グラウプナーはバッハ並みの膨大な作品量だそうで、続々と録音物が出てくるでしょうが、聴いていくとなると気が遠くなります;

category: J.C.グラウプナー

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