Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

ミヒャエル・ハイドン-トランペット協奏曲ニ長調(3枚)  

昨日に続き、トランペット協奏曲で、今日は弟ミヒャエル・ハイドンの作品、ニ長調です。昨日の兄ハイドンの協奏曲は当時のtrp奏者、アントン・ヴァイディンガーが発明した、低域でも半音階が演奏できるキー・trpのために書いたものだが、ミヒャエルの曲はバロック期と変わらぬナチュラル・trpの為の作品、micha
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よって自由度の高い高音域で演奏される、このニ長調 MH 104は2つの楽章からなり、前期古典派的な作風が良い、アダージョの第一楽章で「3点A」という、trpでは記録的な高音を要求されることで知られる。
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第二楽章はアレグロの明るい楽章。

1枚目、最初にレコーディングしたのはおそらく、アドルフ・シェルバウムだろう、このグラモフォンのLPに入っているが、
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アドルフ・シェルバウム:trp
カール・リステンパルト:指揮
ザールブリュッケン放送室内O
1962年 D.グラモフォン

1曲目には兄ハイドンの協奏曲が入れられ、2曲目だが、シェルバウムはこの高音域で吹く曲こそ本領発揮で魅力に思える、「3点A」も何とかクリア、録音史の快挙かもしれない。バックはカール・リステンパルト指揮、ザールブリュッケン放送室内O、古い録音ながら明瞭で、しなやかな弦楽の味わいも聴ける。

2枚目はM.アンドレ、昨日取り上げたLPで、こちらも兄ハイドンの次に入っている、
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モーリス・アンドレ:trp
ハンス・シュタットルマイア:指揮
ミュンヘン室内O
1966年 アルヒーフ

アンドレは高音域を吹くバロック作品向けに開発されたピッコロ・trpを用いている、
p trp
「3点A」はアンドレでさえ、ぎりぎり鳴らしたように聴こえる、恐ろしい曲のようだ。しかし全般はさすがに滑らかで安定感のある演奏だ。バックのH.シュタットルマイア指揮、ミュンヘン室内Oはリステンパルトとは一味違う充実感。
参考動画:M.アンドレの演奏→ Michael Haydn. Trumpet Concerto in D major, MH 104
「3点A」は2:49の後から、

3枚目はルベン・シメオのアルバム第3弾から、ここではオケに代ってオルガンが伴奏する編曲で行われている、
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ルベン・シメオ:trp
アレホ・アモエド:organ
2011年 エイベックス・マーケティング

シメオの演奏は師アンドレと同じピッコロ・trpで、第一楽章をゆっくりたっぷりと聴かせる、始まりから滑らかこの上なく、装飾も取り入れる、「3点A」はまだ余裕がありそうな吹きっぷりに驚く;技術的には"新記録"を作る人がやがて現れる。
残念なのはこれほどのtrpソロがオルガン伴奏という点である、ソロと通奏低音の為の作品ならこれでよいが、当曲のほかにもヴィヴァルディなどバロックの協奏曲が入っていて、みな、バックは表情豊かな弦楽を想定した曲だ。オルガンのアレホ・アモエドは伴奏の達人だそうで、適切なパイプを選び雰囲気を出してはいるが、表情的ではないオルガンだけでは、物足りないというか違和感がある、ぜひオケと再録してほしい、と思わずにいられない結果だ。

このほか参考動画:
W.マルサリスの演奏→Michael Haydn - Trumpet Concerto in D major - Adagio
Brian Shawのナチュラルtrpによる演奏→Michael Haydn - Trumpet Concerto in D Major

今日もご覧いただきありがとうございました。

category: M.ハイドン

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M.ハイドンのレクイエム(再掲)  

当ブログを始めた頃に取り上げた、弟ハイドン、ミヒャエルのレクイエム(ジキスムント大司教葬送の為のミサ曲)を久々に聴きました。
ザルツブルグでモーツァルトと仕事仲間だったミヒャエル・ハイドンは後のモーツァルトの宗教曲に影響を与えたと言われ、興味が湧くところですが、それを知らなくとも十分魅力の聴ける傑作でしょう。
まず始めのRequiem aeternamの深さに引き込まれる、2度音程の繰り返しは死の世界に誘うようなゾクっとくる響き、悲しみを湛えながら、クールな要素もあり、バスの一貫したリズム、要所で打ち鳴らされるtrpとtimpが毅然と引き締めて行くようで素晴らしい。
近年の傾向として、使われるtrpは古楽、モダンオケ問わず、ナチュラルtrp、この透明な響きは宗教曲ではなお大切に思える、短調楽章はピカルディ終止だが、清朗な響きが相応しい。
Dies iraeを聴くとあの"モツ・レク"を思い出す、こちらはやや渋く控えめな面持ちだが、やはり迫りくる魅力を持つ。
Benedictusが優美でバスからソプラノまで順に独唱が追い重なり、合唱で締めくくる。
Cum sanctis tuis は合唱によるフーガ、終曲にRequiem aeternamを独唱陣で再現、続いて再びCum sanctis tuisのフーガ合唱で終わる。
全曲ともバックのオケ・パートも充実した支えとなって聴き応えがある。

手持ち盤はロバート・キング(左)とアイヴァー・ボルトン(右)の2枚、
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しなやかでじっくり構えたR.キングも名演だが、ライヴ録音のボルトンは適度な力感で押してくるのが魅力。

参考動画: Michael Haydn: Requiem, MH. 155 | Raphael Pichon

category: M.ハイドン

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I.ボルトン:M.ハイドン レクイエムほか  

ミヒャエル・ハイドンのレクィエム(ジキスムント大司教葬送の為のミサ曲)はその後の多くの「レクイエム」の規範となったと言われるほど、確かに何度聴いても素晴らしい、もう一枚、アイヴァー・ボルトンの演奏が気になって取り寄せた。2004年ザルツブルク音楽祭のライヴ録音だがサウンドも申し分なく良好。オケも合唱団もやや編成は大きいようだが、あくまで清涼なサウンドにボリュームを持たせる。

W.A.モーツァルト: カンタータ 「悔悟するダヴィデ」 K.469
ミヒャエル・ハイドン: レクィエム(ジキスムント大司教葬送の為のミサ曲)

イリーデ・マルティネス(S)、アンア・ボニタティバス(A)、
クリストフ・シュトレール(T)、ルチア・ピサローニ(Bs)
アイヴァー・ボルトン(指揮)、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団
ザルツブルク・バッハ合唱団

2004年 ザルツブルク・モーツァルテウム大ホール(ザルツブルク音楽祭ライヴ録音)
 

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まず、一曲目にモーツァルトのカンタータ 「悔悟するダヴィデ」 K.469、これは1771年、亡くなった音楽家の遺族らのために開かれた無料の演奏会のため、作品を提供することになったモーツァルトが、新作を書く時間がなく、直前に作曲されていた有名なハ短調ミサK.427を改作、というより、新たな楽章(第6、8曲)を追加して、ラテン語のミサ曲の歌詞をそっくりイタリア語のカンタータとして入れ替えたもの、歌詞はダ・ポンテが受け持った可能性があるとのこと。
音楽内容はほぼハ短調ミサK.427を聴くのと同じだが、第8曲Tra l'oscure ombre funesteが素晴らしい、深淵な前半に続き、明るいコロラトゥーラのアリアが聴きどころを加える。
やはり冒頭楽章から魅力的、独唱が第一ソプラノと第二ソプラノで、(第二ソプラノをアルト歌手が歌う演奏もある)概ね第一はソプラノで第二はアルトを受け持つが、その域に収まらず、両音域に渡って思い切った跳躍のある歌唱が感動を呼ぶ。ボルトンの力感の入れ方はハイドンのシンフォニーで聴かせたとおり、痛快で全楽章充実感たっぷりに聴かせる。

さて2曲目がミヒャエル・ハイドンのレクィエム(ジキスムント大司教葬送の為のミサ曲)、同じ宗教作品でもモーツァルトや兄ハイドンの曲を聴く際には、つい歌唱技巧や作曲技法の充実ぶりに耳を奪われるが、M.ハイドンの当曲などは純粋な精神性にまず惹かれる、前曲のモーツァルトを聴いた後でも、それに圧倒される。
やはり冒頭楽章Requiem aeternamは重要でしょう、前奏および合唱が繰り返す2度音程はぞっとくるほど深い悲しみを表すが、一定したバスのリズムとtpとtimpが入れる力感が毅然として引き締める、そして次のDies iraeがぐっと来る、またオケ・パートの音楽がじつに魅力的で声楽を支えている、このあたりもモーツァルトに引けをとらない。全楽章芸術的完成度が高く最後まで集中力が緩むことはない。終曲もRequiem aeternamが再現されるが、ここでは合唱だったのを4人の独唱が歌う、そしてアレグロのフーガ合唱に移り華々しく閉じる、短調楽章はみなピカルディ終止になている。
M.ハイドンのレクィエムは過去にピリオド楽器によるロバート・キング指揮のレビューも書いたがこれもじつに良かった。ボルトンの演奏法もモダン・オケのピリオド・モードで同様に満足だが、こちらは十分なボリューム感をもって響きわたるのが痛快、なおtp、horn、timpは古楽器を用いているが、timpの力感鋭く、またtpが常に透明で柔らかく美しい。
参考動画:Michael Haydn Requiem C minor Finnish RSO, A Mustonen
やはりこれですねv

category: M.ハイドン

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ミヒャエル・ハイドン:ミサ曲「聖ウルスラ」  

過去にレクイエムを取り上げた、R.キングによるM.ハイドンの2枚組ですが、もう一枚ミサ曲「聖ウルスラ」MH546を聴きました。
sop:キャロリーン・サンプソン ほか ロバート・キング指揮、キングス・コンソート&合唱団

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まずCD1のレクイエムを聴いたときは圧巻でした。第1曲のIntroitusからして、掛留によって二度上の音が重なる響きを繰り返す深淵さには虜になります・・さすがに名曲と認識されているようで、このような映像もネットで見られるほど。 Michael Haydn Requiem C minor Finnish RSO

CD2のミサ曲「聖ウルスラ」は1793年に作曲され、M.ハイドン56歳頃の作品です。レクイエムが34歳頃ですからだいぶ後年の円熟期でしょう。第1曲Kyrieのとても優美な旋律、すんなりと耳に入ってきます、C.サンプソンのsopも心地よい。Gloriaは8:44の規模、合唱、ソロにオケ・パートも充実して切れ味も持ち、クライマックスを置きます。tpの聴かせどころもあり、timpとのコンビで引き締めます。参考:Missa Gloria
Credoは3部に分かれますが、終りのEt resurrexit tertia dieが素晴らしい。Sanctusは穏やかですが後半でアレグロになりまた明るく盛り上げる。Benedictusはtpが心地よく優美な前奏、続いてsp独唱が美しい旋律。
終曲Agnus Dei、モーツァルトにも出てくるような慈愛に満ちた曲で、Douna nobis pacemを続けて盛り上げ、終結は弱音にして静かに終わるセンスの良さ。

旋律美だけ取っても明らかに普遍的価値をもつ作品で、今日演奏される頻度が有名作曲家達と桁違いに少ないのは不当と言えるでしょう。モツ・レク10回なら、ミヒャ・レク8回はあってもおかしくない・・M.ハイドンは勤勉ではあったが野心家ではなかったせいか、目立たないけど、このような声楽曲では兄ハイドンを越えているし、モーツァルトとも対等な位置に思えます。人耳を引く技巧的な遊び心は控えめですが、真っ当な音楽として一流でしょう。

category: M.ハイドン

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ミヒャエル・ハイドン「レクイエム」のPV?  

以前にも取り上げました、弟ハイドン、Michael Haydnのレクイエム(シグムント大司教のためのレクイエム)ですが、本当にモーツァルト「レクイエム」も凌駕するほどの深淵な作品です。
こんな映像を見つけました、
Michael Haydn Requiem C minor Finnish RSO, A Mustonen

マイケル・ジャクソンのプロモーション・ビデオかと思いましたが、これは同じMichaelでもミヒャエル・ハイドンです^^映像はちょっと不鮮明ですが、演奏はなかなか、教会やコンサート・ホールでの映像もいいけど、こういうのもいいですね、雰囲気バッチリ。古楽オケのハイドンとか、J.M.クラウスの短調交響曲なんかこんな映像にしたら、人気倍増かも!

category: M.ハイドン

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R.キング:ミヒャエル・ハイドン "レクイエム"  

そんなわけで、ミヒャエル・ハイドンのRequiem for Archbishop Siegmund(シグムント大司教のためのレクイエム)のCDを取り寄せました。白地に文字だけのジャケットがいい。
1枚ものと思いこんでいたら、コンパクト・ケースでMissa in honorem Sanctae Urelae を加えた2枚組でした。

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演奏はロバート・キング指揮、キングス’コンソートに4人の独唱者。演奏のほうは申し分なく、録音も音質、バランスともに最良です。
古典派好きのはずの自分としては不覚にも目を向けてこなかった弟ハイドンの傑作です。古典派の好楽家にはとっくに有名な曲のようですね^^;M.ハイドンがわずか1歳の子を亡くした後に書かれたということもあって、特別な気持ちも入っていることと思います。作曲技法の手腕云々は全面に出ず、第1曲、Introitusからすっかり音楽に身を委ねたくなる。なかなか旋律美の作曲家でもありますね、兄ハイドンも宗教曲は弟のほうが上手だと言っていたそうで?

のちのモーツァルトのレクイエムに影響を与えたのは間違いないだろうと言われます。がモーツァルトは未完で亡なり、弟子の手に委ねられたため、突然曲のクウォリティが下がったり?つぎはぎ感を感じます・・演奏するならジュスマイアー版でよいと思うのですが、モーツァルトの手が入っていない楽章は削ったという版もあって、Benedictusなど良い曲なのに削られているのはまた物足りないです。M.ハイドンのほうは全曲本人によって完成されているので問題なく最後まで聴けます。おススメの作品。
どうしても商業的に売れる有名作曲家ばかり取り上げられますが、録音なり演奏会でこうした作品をもう少し取り上げてほしいですね。

category: M.ハイドン

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