Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

パルサー惑星  

以前、大質量星が超新星爆発したあとに残るパルサー(中性子星)はまき散らした残骸物質を強い重力で再び引き寄せ、第二の惑星系を作るという話を書いた、これはパルサーが爆発の中心に残っている前提だが、この場合、惑星系は重金属が主成分となるらしい、
201605011.jpg
パルサー惑星系円盤想像図
しかし、パルサーは残骸物質を残したまま、大なり小なり移動しているようで、最高で毎秒1500kmで移動するものが知られる。こうした移動するパルサーは惑星系を作れるのか?

英・カーディフ大学のJane Greaves氏とイギリス天文学技術センターのWayne Holland氏によると、ふたご座、800光年にある「ゲミンガ・パルサー(Geminga pulsar」をハワイのサブミリ波観測装置ジェームズ・クラーク・マックスウェル電波望遠鏡(JCMT)で観測したところ、ゲミンガの周囲にアーク(弧状構造)を捉えた。
Geminga-Labels.jpg
左上へ移動するゲミンガ(黒丸内)、点線は衝撃波面、円筒形がゲミンガが通った跡。
0.45mmの赤外線波長で観測した擬似カラー画像(Jane Greaves / JCMT / EAO)

このアークは衝撃波面で、ゲミンガが超音速で天の川銀河内を移動することで発生した衝撃波に物質が巻き込まれ、一部の固体粒子がパルサーに向かって流れていくと考えているそうだ。パルサーは超強磁場をもっており、吹き出す電子プラズマが周囲の物質と衝突して衝撃波を作る。計算から、ゲミンガに捕まった恒星間粒子の質量は地球の数倍以上になるらしく、惑星系を作るのに十分と導かれる。
今回の観測は解像度が低いため、アルマ望遠鏡による詳細な観測が計画されている。

2003年にも衝撃波面(弧状構造)を持つパルサー「B1957+20」が見つかっている、このパルサーも秒速280kmで移動している、
b1957_comp.jpg
B1957+20(や座5000光年):X線観測衛星チャンドラ 撮影、緑が衝撃波面
パルサーは恒星間の物質を集め、新たな惑星系ができる可能性も示された、ただ、恒星とともに生れる普通の惑星系とは区別されるものだろう。
関連過去記事:宇宙の回転構造Ⅱ:パルサーと"パルサー惑星"?

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: 宇宙・天体

tb: 0   cm: 0

「高速度星」は大マゼラン雲から?  

空間内を秒速1000kmを超すような速度で移動し、銀河系の重力を振り切って飛び出していくような特異な星があることは以前にも書いた、m
005c.jpg
高速度星
その高速度の起因については様々説があって興味深い。(*今回、高速で移動する"中性子星"は除く)連星系が片方の星を失い、重力の相方がなくなって飛ばされた、あるいは重力の強い天体に接近して、スィングバイの力を得る、等々、今までの説が正しければ、高速度星は天の川銀河のどの方向にも見られてよいはずだが、なぜかほとんどが北半球のしし座、ろくぶんぎ座方向に見つかっているとのこと。
英ケンブリッジ大学 Douglas Boubert氏はこれに疑問をもち、新たな説が考えられた、これら高速度星は隣にある矮小銀河、大マゼラン雲からやってきている、というものだ。
Large Magellanic Cloud
大マゼラン雲:16万光年(ESA)
大マゼラン雲は星形成が活発で、星団の中の連星系からはじき出された星は、大マゼラン雲の質量が天の川銀河の1/10程と小さいため、その重力を振り切って飛び出しやすい、その一部が天の川銀河にやってきている、という可能性だ。また、大マゼラン雲は天の川銀河に対し、秒速400kmで相対的に動いているので、大マゼラン雲起源の星はその速度も維持してやってくる、また、しし座やろくぶんぎ座の方向に偏っているのも説明がつくらしい(図説がないので詳しくは不明)、たしかに高速度になるという点では有力説で興味深い。
Boubert_ioa02.jpg
大マゼラン雲の活発な星生成領域から跳び出す暴走星のイメージ図(資料:Amanda Smith)
(この図の物理的説明はない)

天文衛星ガイアの取得データが来年公開されるが、ガイアは個々の星の動きも捉えているので、そのデータの中に、この説の候補となる星が見つかるかも、と期待されている。

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: 宇宙・天体

tb: 0   cm: 0

宇宙初期の活動銀河  

宇宙で最初の星、ファーストスターは水素とヘリウム(+僅かなリチウム)だけで作られ、いずれも巨星で寿命も短かった、初期銀河もこうした星で形成され、多くの星が一斉に寿命を終え、超新星爆発していたと考えられる、狭い領域に小銀河が密集していて、衝突も頻繁にあり、スターバーストが起きて今よりも遥かに銀河は活動的だった、星の核融合で作られた重元素も銀河間に多くばらまかれたと考えられる。m
galaxy filaments
銀河フィラメント(銀河が密集する網目)
広島大学大学院理学研究科のNorbert Werner氏らの研究チームはX線天文衛星「すざく」で、10個の近傍銀河団の観測データを解析したところ、すべての銀河団の外縁部にある高温プラズマ中の"鉄"の含有率が太陽の1/3ほどで均一だとわかった。
suzaku.jpg
X線天文衛星「すざく」:現在は観測を終了している(JAXA)
銀河団という大きな領域で均一なのは、初期銀河の集まりの段階で非常に多くの超新星爆発があり、銀河風が重元素をまき散らし、混ざり合って銀河間が満たされたと推測されている、銀河同士が離れた時期であれば、物質の含有率は偏りがあるはずだ。
お馴染みの近傍銀河M82などは密集状態ではないものの、そんな頃の銀河の様子を今も見せているのかもしれない、
m82m81 m82
M82(1200万光年):左、X線、可視光線、赤外線の合成画像(NASA)
近くにある銀河M81の重力の影響で活動銀河となっているらしいが、銀河の上下に激しい銀河風を噴き出している、初期銀河は密集し合い、もっと活発だったと思われる、
先般は活動銀河の銀河風の中でも星が誕生して、一緒に噴き出されているという話を書いた、
銀河風の中で生れる星
初期銀河でもこれが起きたら、近接したいずれかの銀河に取り込まれそうだ?

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: 宇宙・天体

tb: 0   cm: 0

低質量星の脅威  

これまで、系外惑星が多く発見され、ハビタブルゾーンにあるらしいものも見つかっている、特に赤色矮星を廻る地球サイズの惑星が幾つも見つかり、生命の存在も期待されて、ここでも取り上げてきたが、またちょっと翳りのさす情報が入ってきた。

NASAゴダード宇宙飛行センターのChristina Kay氏らの研究チームが、低質量星でハビタブルゾーンが中心に近い惑星系を想定し、中心星からのコロナ質量放出(CME)による影響を調べたところ、低質量星は磁場が強く、CMEが非常に激しいらしい。
近距離にある惑星が"仮に磁気圏を持っていた"としても、それがCMEの圧力で縮小し、大気が露出して剥ぎ取られることになる、大気がなくなれば、水もなくなる。
防御層を失った惑星表面は中心星の放つX線の直撃を受ける、ということだ。
CME.jpg
強いCMEによって大気が剥ぎ取られる想像図(資料:Ron Miller)
今回モデルにしたのは、系外惑星が見つかっている低温の星ペガスス座V374だそうで、太陽系のCMEの情報を当てはめて考えられた、要するに中心星が低温で小さく、ハビタブルゾーンも中心星に近過ぎるのは、生命にとって適さない惑星だということになる。今回は「低質量星」という表現で「赤色矮星」とは表記されていないようだが、同じことと思われる。

trappist03_20170707084020181.jpg
参考:太陽系と赤色矮星「TRAPPIST-1」のハビタブルゾーン(緑色)比較

4月に取り上げた、系外惑星「プロキシマb」の環境予測 でも、過酷な環境らしいことを取り上げたが、今回は大気が剥ぎ取られるという脅威が加わった。
px b
プロキシマb地上の想像図:やはりこのようなの景色は望めないのか?
大気があるかないかくらい、やがてJWSTなどでわかるかもしれない。

地球は太陽に対し十分に距離のあるハビタブルゾーンである、マントル対流があり、磁場を持ち、太陽フレアなどから守るバリアもある、程良く傾いて自転している等々、挙げればきりがないほど奇跡的に好条件が揃っている。

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: 宇宙・天体

tb: 0   cm: 2

小惑星衝突ミッション  

過去には地球に、恐竜ほか多くの種を絶滅させた小惑星衝突があったのは事実、現在わかっているだけで、直径1km以上の近地球小惑星が1000個はあるそうだ、それ以下の小さな小惑星はほとんどわかっていないが、はるかに多いだろう。
観測網を強化させるのも重要だが、いざ、地球に重大な被害を与える軌道をとる小惑星が見つかった際の対応策の一歩として、NASAとESAが2022年に実験を行う予定なのがミッション「AIDA」:Asteroid Impact & Deflection Assessment である。
AIDA03.jpg
ESA
「DART」と名付けた宇宙船を小惑星「ディディモス」の衛星「ディディムーン」に送り、DARTを衝突させる、という計画。
*DARTはDouble Asteroid Redirection Test(二重小惑星リダイレクション試験)の頭文字で、上手く"投げ矢"になっている、連発撃ちなら"Darts"^^ 
*ディディモス(直径750m、岩石質とわかっている)
*ディディムーン(直径160m、12時間でディディモスを一周している、岩石質かどうかはわかっていない)

ナビゲーション,誘導システムで正確に中心を狙う、この小天体に対しインパクタとしてのDARTの質量は微小なものだが、秒速6km程の高速で衝突させ、僅かでも、軌道をずらすことができるかを調べるようだ。物体の運動量は質量×速度なので、速度で質量不足を補える。
dart 06
ESA:動画
you tube:Asteroid Impact Mission
この二重小惑星が選ばれたのは、単独小惑星では軌道の変化を測ることが困難だが、二重小惑星なら相対的位置変化で測れるからだそうだ。
esa you tube

今までにもこうした危険な小天体回避のアイデアはいろいろ聞いた、小天体にイオンエンジン・ロケットを着床させ、徐々に押して軌道をずらす、というのもあったが、着床させるのがまず困難だし、できたとしても、大抵の小天体は自転しているようで、ロケットの噴射方向が定まらない;粉々に粉砕するような爆破も無理だろうし、早い段階でちょっとだけ「玉突き」、というのは単純で一番有効な方法かもしれない、
AIDA01.jpg
ディディムーンが岩石か、硬い氷か、スカスカ状態か、いずれであってもインパクタが突き抜けないかぎり、運動エネルギーは受け取るはず、ただ変形や熱などに変わる損失があるかも?
先々に向けて有効な結果が得られることに期待したい。

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: 宇宙・天体

tb: 0   cm: 2

超新星爆発の原動力はニュートリノ  

先日のベテルギウスの件にも関連しているが、m
6月28日の情報で、大質量星の最後、超新星(以下、SN)爆発の物理的プロセスについて理化学研究所とマックスプランク天体物理学研究所がSNの残骸である「カシオペア座A」(11000光年)をモデルとして、コンピューターシミュレーションで再現した。
cas a 01
カシオペア座A:可視光で捉えたHST画像(中性子星は見えない)
Cassiopeia_A.jpg
同:可視光(黄)に加え、スピッツァー宇宙望遠鏡による赤外線(赤)とチャンドラ宇宙望遠鏡によるX線(青)画像の合成、中心の青い点が中性子星。
順序としては、晩年を迎えた大質量星の中心核が太陽質量の約1.5倍に達すると、まず中性子星が作られる、このとき大量のニュートリノが発生し、莫大なエネルギーを放出(温度は約5000億℃)、周囲のガスを超高温に熱する、このガスの動きが激しくなって爆発に至る、ニュートリノは大量のエネルギーを運ぶ役割をするそうだ。
周囲のガスは煮え立つように動きが激しいので、爆発力は均等にならず、非対象(非球状)に衝撃が拡がる、星内部で核融合で出来た重元素、および爆発時の超高温で出来た放射性チタン、放射性ニッケルなどが吹き飛ばされる、中心にあった中性子星は爆発の中心にあるとは限らず、重い物質が多い側と反対方向へ押し出される、逆に言うと中性子星に"蹴られた側"に重い放射性物質が多く集まり、非対象性が顕著になるそうだ。
カシオペア座Aは1680年頃に爆発が見えただろうと推測されるが、他のSN残骸と同じように爆風による残骸物質の拡がりは不均等だ。
Cassiopeia A s
拡大
上図:ニュートリノ駆動超新星爆発の3次元シミュレーションによる放射性ニッケルの時間経過画像、爆発の開始直後(3.25秒)から非対称性が顕著になる(6236秒)までの非球形分布を示す、 各画像に示された色は、下のスケールに従った爆風の速度を表す。
cas a 02
上図:青の部分は主に放射性ニッケルが放射性崩壊した鉄である、黄色の×印は爆発時に中性子星があった位置、白の×印は現在の位置で矢印の方向へ移動している。
理化学研究所記事 

大マゼラン雲の「SN1987A」のときも爆発が光で観測される前にニュートリノが観測されていた、星の外層に爆発が至る前に中心の中性子星が放ったニュートリノが光と殆ど同じ速度で届いていた。カシオペア座Aのシミュレーションからも、中性子星が爆発の中心に鎮座しているのは考えにくい気がする、大なり小なり動く?;

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: 宇宙・天体

tb: 0   cm: 0

アルマが捉えたベテルギウス  

冬の星座の代表であるオリオン座、左上の赤く明るい星ベテルギウス(脇の下の意味)は640光年にあり、太陽系に最も近い晩年を迎えた赤色超巨星の1つである、質量は太陽の20倍、ベテルギウスを太陽の位置に置くと、木星軌道(半径5.2au)に迫る大きさである。
参考:星の大きさ比較(Wikipedia)
少し昔まで恒星は望遠鏡でいくら拡大しても点にしか見えないものだったが、HSTが初めて超巨星のベテルギウスを実像で捉えた。恒星はガス体と言えるので、はっきりした表面の境界は捉えられないだろう。m
Orion_Head_to_Toe.jpgbetelgeuse hst
右画像:HST(NASA)
また、ESOのVLTによる観測で、周囲の広範囲にガスを放出した様子が捉えられている、
1024px-Nebula_around_Betelgeuse.jpg
ESO
ベテルギウスは脈動変光することが古くから知られており、2009年の観測で、15年前より15%小さくなっている、2010年のNASAの観測で表面温度が不均一で、整った球形ではなく、瘤状の膨らみをもった形らしいことがわかった。

2017年6月30日の情報で、アイルランド・ダブリン高等研究所のE. O'Gorman氏らがアルマ望遠鏡でベテルギウスを高解像度で捉えた、アルマとしては初めての恒星表面の観測となる。
betelgeuse alma
ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/E. O'Gorman/P. Kervella)
電波観測により、内層の高温部分を捉えているが、ここでも不均一な形状が鮮明に見られる。

将来、ベテルギウスが超新星爆発を起こすと、その自転軸の方向へガンマ線が放たれ、もし地球に向いていたら、被害をもたらすとされる、HSTの観測でベテルギウスの自転軸が太陽系に対し20°傾いているとわかったが、不安定な状態で、自転軸はそのままとは限らない?また爆発後は中性子星が出来ると予想されるが、爆発力の偏りで弾き出され、超高速で移動する例もあり、行先で接近を受けた惑星系は壊滅する;
過去記事:ベテルギウス

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: 宇宙・天体

tb: 0   cm: 0

銀河系の立体地図作り  

地球の平均公転直径は0.00003162光年(1.496億km)である、一方、リギル・ケンタウルスの距離は4.39光年、地球の公転直径を底辺として二等辺三角形を描いたら、m
001_20170622020653216.jpg
(*二等辺三角形になるとは限らないが、わかりやすくこうした)
A-C-Bの角度は0.0004127°になる、A点とB点の観測角度は半分ずつの0.0002063°の傾きとなる。最も近い星でたったこれだけ^^;
しかし、先日話題にした天文衛星「ガイア」は角度を36億分の1°まで測れると聞いた。
とは言っても「36億分の1°」なんてピンとくる数字じゃない;
gaia_20170622020905c55.jpg
天文衛星「ガイア」 
ガイアと同じ精度の測量機があるとして、地上の距離の測定に縮小して置き換えてみる、例として東京都心から富士山頂上まで約100kmだが、これを測るとする、
fuji map
限界精度にして、三角測量の底辺は最低どれだけあれば測定可能か、計算してみる、
半径100kmの円を描いたとして、円周は628km、
円弧の角度1°分は、÷360°で、1744mである、
さらに1°の36億分の1なので、
1744m÷3600000000=0.000000484444m
で、0.00048444mm となる、
測定場所は2点あるので、これの2倍取って、0.0009688889mmで、
東京都心から富士山頂までの距離を三角測量するのに、底辺は約0.001mmあれば測定可能ということになる!?
002b 04
地球の公転直径なんて、地上の測量に置き換えればこんなもん!ちょっと信じがたいが、3万光年まで測れるとは、こういうことで天文学的測量か・・
計算法や捉え方間違ってないかな^^;

なお、日本でもJasmine計画で、天文衛星を打ち上げる、初号機として、小型のnano-jasmineを2017年12月に打ち上げ予定、
Nano-JASMINE.jpg
天文衛星「nano-jasmine」
精度は過去のヒッパルコス衛星並みだが、ガイアは機能上明るい星は観測できないらしいので、nano-jasmineがこれを観測、星の立体地図作りを補い合うそうだ。

ご覧いただき ありがとうございました。

category: 宇宙・天体

tb: 0   cm: 2

esa動画:45万年の星の動き  

1718年、英国の天文学者エドモンド・ハレーは恒星も長い間に位置が変わる、固有運動を発見した、これは古代ギリシャの天文学者ピッパルコスが約1850年前に残した正確な星の位置表とハレーの時代の位置と比較してわかった。m
固有運動:あくまで地球から見た、相対的な天球上の位置変化)

1838年、ドイツの天文学者フリードリヒ・ヴィルヘルム・ベッセルは固有運動が大きい星は距離が近いと予測して、はくちょう座61番星の距離を年周視差により初めて測定した。ただ地上からの測定は大気の影響で角度に誤差が生じやすい。
年周視差:地球の公転直径を底辺とし、対象の星との間にできる三角形の角度)

こうした先人の観測手法を高精度に集約した観測衛星が、銀河系の立体地図を作りつつある、
1989年、esaが打ち上げた、天文衛星「ピッパルコス」に続いて、2013年、同じくesa打ち上げの天文衛星「ガイア」が恒星の距離、等級および固有運動の計測を行っている、
gaia.jpg
年周視差による距離測定イメージ
イメージ図に対し、実際の角度は極めて僅かだが、ガイアは36億分の1度まで計測できる。
20等級以下の10億個以上の恒星の測定を行う、半径約3万光年の範囲、銀河系の中心まで測定できる。ただし、個々の星の固有運動を含めた計測結果を得るために恒星1つに対し、平均70回の計測を要する、途方もないデータ量だ。

さて、今回、ガイアの観測成果の一部として、固有運動に基づき、現在から45万年後までの、オリオン座付近の星々の動きを表す動画が公開された。
you tube esa
you tube:The future of the Orion constellation
シアターモードで見ると、画面内の小さな星まで全て動いているのがわかる、遠い星はゆっくりで、手前を高速で横切っていく星も見られる。なお、この動画には星の"誕生と死"は表されていない、ベテルギウスは画面の外に出て行くが、その前に超新星爆発で消えるだろう。
今までも、こうしたシミュレーション動画はあったが、画面内の小さな星まで全てが観測に基づいた動きであるのは凄い。

PS:銀河系最大の球状星団、ω星団(ケンタウルス座)の星達の動きをHSTを用いた8年間の観測で捉え、この先1万年をシミュレーションしたもの、動画になるのは最後のほうである、
Omega Centauri
you tube:Zooming in on Omega Centauri Stellar Motion
固有運動が真っ直ぐ持続する動きだが、実際は星同士で重力が影響し合い、進路は複雑に変化すると思われる。

ご覧いただき ありがとうございました。

category: 宇宙・天体

tb: 0   cm: 0

EHT:ブラックホール直接撮影に挑戦  

一昨日の続きです。m
数年前から計画されていたことだが、2017年4月4日から10日間でブラックホールの直接撮影の試みが国際チームにより実施された、結果がわかるのは数か月後になるそうだ;
できれば可視光で見たいところだが、途中にガスや塵など視界を遮るものが多くて無理、そこで障害物を掻い潜ってくる電波で見る、しかし、電波は波長が長いので、解像度を上げるには極めて大きな電波望遠鏡を必要とする、そこで考えられたのが、離れた場所の既存の電波望遠鏡を干渉計として連動させ、データを合成すると、超大口径に匹敵する解像度を得られるという方法だ。これを地球サイズに展開したのが、超長基線干渉計:VLBI(Very Long Baseline Interferometry)である、
vlbi2.jpg
VLBI説明資料:国立天文台
VLBIはリアルタイムでの合成処理が出来ないので、各地のデータをレコーダーで持ち寄って合成作業がされる、この方法で行ったのが今回の事象の地平線望遠鏡:EHT(Event Horizon Telescope)計画だ。
EHT map
事象の地平線望遠鏡:EHT(Event Horizon Telescope)map
alma.jpg
EHTの一員、アルマ望遠鏡
使われる電波はサブミリ波で、水蒸気の妨げを受けるため、全地点の天候が良いことが条件で観測上の難点、また各地から持ち寄ったレコーダーのデータが膨大で、観測時刻を正確に相関させて合成しないと画像にならないので、あとの作業が大変なようだ。数か月後、合成により価値ある結果が出なければネットワークを拡大して再観測も予定されている。観測対象は以前から狙っていた、銀河系中心のいて座Aスターと活動銀河M87の超大質量BHである、
X-RayFlare-BlackHole-MilkyWay.jpg
いて座Aスター(銀河系中心 27100光年)
M87.jpg
M87(おとめ座 6000万光年)
いずれも実視径が大きく観測しやすいと見込まれる。はたして今回、満足のいく結果が得られるだろうか?理論に基づいた多くの想像図があるが、
BH06.jpgBH05.jpg
想像図:(左)国立天文台ほか
これらのどれに近いだろうか、あるいはまったく予想外?^^;自転に対する見る角度でも違うと思われるが、どの図も高速自転等によるドップラー効果は共通のようだ。
BH 02
一般相対性理論によれば、上図中央のように円形に見える予測だが、左のように縦に引き伸ばされて見えたり、右のように横長に見えるかもしれない、この見え方でBHの物理法則がわかるかもしれない。BHは高速で自転しているらしいが、それは銀河の自転軸と一致するのか?そうであれば銀河系のいて座Aスターは自転の側面(赤道)から見ることになる、M87はジェットの噴き出すところが自転軸だろう。

ご覧いただき ありがとうございました。

category: 宇宙・天体

tb: 0   cm: 0

プロフィール

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

FC2カウンター