Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

今村泰典:バッハ Lute作品 BWV1006aほか ≪追記あり≫  

今村氏のバッハ、リュート作品集を久々に聴いた。

これらの作品はまず、無伴奏vnやvcなどの原曲があり、鍵盤譜に編曲されたものが多い、これらをバロックluteで弾くとなると、適正な移調や、曲によって変則調弦(スコルダトゥーラ)を用い、様々な工夫が必要だ。
imamura bach
今村泰典:バロックリュート
1991年 ETCETERA


BWV1006aは無伴奏vnパルティータホ長調(BWV1006)が原曲で、同じ調で鍵盤譜への編曲が残されているが、
bwv1006a 01
原調譜(ホ長調)
バロックluteではヘ長調が適している、
bwv1006a tab01
移調Tablature(ヘ長調)
前半の[9]あたりから[28]まで、原調でvnのE線開放を延々使う部分があるが、luteではヘ長調に移調するので①コースFの開放で同様の効果が得られる、
ただ後半の[60]あたりから、同じく原調でvnのA線開放を同様に用いた部分が続く、
bwv1006a 02
しかし、バロックluteにはこれに該当する開放弦がないので、③コースを通常調弦のAから半音上げて、B♭に変則調弦して対応する場合が多い、
B lute tu
変則調弦
bwv1006a tab02
今村氏の起こしたTablatureもそのようだ。

今村氏の演奏は完璧な技法、プレリュードは快速なインテンポで覇気があり、粒立ち明快で強弱の推移がぐっと引き付ける、
続く各舞曲も、やはりバスラインもくっきり歌っていて心地よい。
you tube imamura
you tube:Prelude in E Major BWV 1006a J.S.BACH(Y.Imamura)
またフーガBWV1000も各声部のテーマがきっちり整っている、これほどの技術の演奏は他にないと思われる;
you tube:Fuga in G minor BWV 1000(Y.Imamura)

追記:①、②コースを半音下げて、ホ長調で弾く手段もあるそうです。
いずれも12ポジションまで使うことになります、ここは響板上のフレットで、大抵の楽器は音がペシャりますが、この楽器は内側に補強板があるようで、くっきり鳴ります、
13c lute
そういう意味では取り組んでいい曲かなと・・(笑;)

ご覧いただき ありがとうございました。

category: J.S.バッハ

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T.ピノック:J.S.バッハ チェンバロ 協奏曲No.1  

ある期間が経つと無性に聴きたくなる曲があり、バッハのチェンバロ協奏曲No.1がその一つ、久しぶりにLPを廻した。
t p bwv1052
トレヴァー・ピノック(指揮、チェンバロ)
イングリッシュ・コンサート 1979年


協奏曲No.1ニ短調BWV1052
いろいろ揃えたが、T.ピノックの指さばき鮮やかな演奏は手放せない、程良い快速でほぼインテンポ、整然と聴かせ、純度高く聴ける感じだ。
第一楽章、BWV1052は、はじめは刃金の筋が通ったような曲相に魅了されたが、原曲のvnの技法をそのまま鍵盤に移したところが引き付ける、譜例のような部分が20小節続く、
bwv1052 sc01
まずvnのA線の開放を弾きながら、同音異弦を響かせる、次はE線で出てくる、ピノックは二段鍵盤の上下を活用して響きを重ねて聴かせる、
またこの部分はD線を延々と弾く、
bwv 1052 sc02
同音が継続する上で転調する効果はこの曲に限らずバッハには多く聴かれる。
【*無伴奏vnパルティータBWV1006のプレリュードなども同様、このプレリュードもカンタータBWV29のシンフォニアに転用されるが、オルガン・ソロの上にvn的な技法を移している、これは変更してしまうと、つまらないだろう】
一方この部分、
bwv1052 sc03
もしかしたら、鍵盤的なアルペッジョに加筆しているかもしれないが、これは効果的。
第二楽章も短調なのが一味違う(ト短調)、バスが同じテーマを繰り返し、ソロの即興性を帯びた妙技が乗る。
終楽章、エネルギッシュな楽章で内容も充実する、原曲vnの多様な技法が推察され、ソロのクライマックスというべき部分が素晴らしい。
bwv 1052 sc04

ご覧いただき ありがとうございました。

category: J.S.バッハ

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N.ノース:バッハ「シャコンヌ」BWV1004(lute)  

バッハの「無伴奏vnパルティータNo.2ニ短調(BWV1004)」よりシャコンヌ、先日はオリジナルのヴァイオリン演奏だったが、今日は編曲もの、
当然、ギターやリュートにとっても難曲であるが、やるからにはバッハの原曲をその楽器ならではの美質(テイスト)で抱き込んではじめて納得できる。そのため原曲をよく理解し、自分の楽器が活きる適切な編曲が必要で奏者自身がやるほかないだろう。リュートによる録音もいくつかあった。
手持ちのナイジェル・ノースのバロックluteによる演奏、録音はノース、36歳頃である。
N N Lute
ナイジェル・ノース(バロックlute)
1990年録音 LINN

楽器はマイケル・ロウ作とあり、ジャーマン・テオルボと思われる、たっぷりとした余韻を響かせながらテーマを開始、原譜を見ながら聴くと、適切にバス音を加えている、また逆にこうしたところ、例:[189~]では内声とバスは余韻で繋げ、上声のみ弾いている、
T189.jpg
これもバロックluteの響き方に相応しく自然。
ギターやリュートはアルペッジョだけは得意である;よって[89]からは水を得た魚のように--(とまでは行かずとも)対応しやすい、
20170520.jpg
[89]~アルペッジョ、構成音のみ書かれている
原譜では1拍分だけ、vn調弦に合う例が書かれているが、リュートでは右弾弦の工夫しだいで融通が効く。ノースは半拍6連符分けは行わず、流麗に落ち着いて進める、
[201]からのアルペッジョはまさに変幻自在、
bwv1004 b
[201]~アルペッジョ、構成音のみ書かれている
リュートに相応しいセンスで聴かせる、バロックluteは余韻の美しさを聴かせるのが本分、あまりテクニカルに小忙しくなるのは不自然、(個人的にはこの曲自体、合わないと思っているが)その点もかなり上手く治めた好演だ。

あと手元には福田進一のギター編もあり、名器を存分に鳴らしての演奏だが、「バロック」という感覚ではないので割愛する。

動画をあさってみた、ホプキンソン・スミスはテーマの演奏から脱力したバロックluteの物腰を印象づける。
h s bwv1004
Hopkinson Smith : Chaconne de Bach (1988)
[89]~アルペッジォは始めから半拍6連符で行く(途中、パターンを変える)リュートに小忙しい技は合わないが、もともと響孔寄りを弾く人なので柔らかく、さらりと聴かせる。

ホセ・ミゲル・モレーノはジャーマン・テオルボの弦をシングルにして弾いている、複雑な技法には対応しやすそうだ。
J.S.Bach Chaconne Lute version - Bronzino(Jose Miguel Moreno)
じっくりとした印象で始めるが、アルペッジォやパッセージは鮮やかに駆け抜ける、アルペッジォ・パターンは一定で4声部分はギター譜によくある2声同時弾きを加えている。

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: J.S.バッハ

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R.ポッジャー:バッハ「シャコンヌ」BWV1004(vn)  

バッハの無伴奏vnパルティータNo.2ニ短調(BWV1004)の終曲シャコンヌはvnのみならずピアノ、クラシックギター、さらに奏者によってはリュートでも演奏される超名曲だ。(*個人的にはちょっと内容が重すぎる作品だが;)バッハの手稿譜に対し、各奏者がどんな姿勢で取り組んでいるかも興味深いところ。m
手元にある盤からまず、レイチェル・ポッジャーのバロックvnによる演奏を聴く。
(ヴァイオリンには詳しくないので推測多し^^;)
r p bwv1004
BWV1001、1002、1004のアルバム
レイチェル・ポッジャー:バロックvn
使用楽器:1739年、ジェノヴァのペザリニウス作
1998年 CHANNEL CLASSICS

シャコンヌ始まりのテーマの演奏がまず印象づけるが、ポッジャーはしなやかに粘る味わい、バッハの手稿譜のスラーやレガート記号の付いたところ、無いところの表情づけを忠実に弾き分ける、ロマン派的な大袈裟な強弱法、アゴーギグはなく、透明な音色で明快に通す。
さて、[89]から[120]まで長いアルペッジョ指定された部分が続く、一つの聴きどころだが、手稿譜は始めの1拍分のみ、アルペッジョ・パターンが記されているのみで、後は構成音と基本リズムが書いてあるだけ、
bwv1004 a
3声の部分は始めのようなパターンで行けそうだが、4声の部分がでてくる、いかに弾くかは奏者に委ねるところ、重音で2声一緒に弾いたり、半拍を6連符に分けたり、のちのvn奏者が実用版として書いた楽譜は多くあるようだが、
bwv1004 d
6連符にした例
ここは奏者のオリジナルを期待したい、ポッジャーは6連符で対応のようだ(素早くてよく聴き取れないが;)。
[201]~[207]も短いが同様にアルペッジョ指定があり、ここは4声が続く、
bwv1004 b
因みにこんなパターンの楽譜もあるようで、よく耳にするが、
bwv1004 c
あまり「アルペッジョ」という感覚じゃない、
ポッジャーはここも6連符で鮮やかに決め、終結に向け、穏やかに治める、好演の1枚だ。

PS.動画をいくつかあさってみた、
Viktoria Mullovaのバロックvnでの演奏、これは室内的で気張らず、弓をいっぱいに使わず、撥弦楽器の減衰する音を補うようで味わい深い。アルペッジョの4声部分は重音に見える?
v m bwv1004
動画:Viktoria Mullova: Chaconne (J.S. Bach BMV 1004)

Hilary Hahnはゆっくり目で端正だが、平坦に伸びた運弓の音は好みじゃない。
動画:J.S.Bach - Chaconne, BWV 1004 Hilary Hahn

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: J.S.バッハ

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今村泰典:S.L.ヴァイス ソナタ集 vol.2 (2008)  

昨日の続きになりますが、
抜群のテクニックで聴かせる今村泰典氏のシルヴィウス・レオポルト・ヴァイス、昨日取り上げた録音は1994年、CAPRICCIOレーベルだったが、その続編は間を置いて、clavesレーベルからvol.1とvol.2が出ている、手持ちのvol.2を聴く、録音は2008年、
Weiss Sonaten2_Imamura
imamura weiss
最初はロンドン写本にある、99と番号の付いた、ニ長調のソナタで本来Allemandeで始まるが、今村氏はロンドン写本の後ろにあるPreludeと充実したCapriccioを頭に付けている、これも難度は高いがギャラントな趣きで聴き応え十分、各楽章も長い、Couranteがじつに鮮やか、次のAngloiseが新鮮だ、リズムを際立たせるバスが今村氏の歯切れ良い演奏で引き立つ。
最後は単独でも演奏されるPassagalleで閉じる。
次はロンドン写本より、ハ長調のPreludeとFugue
weiss pre c
weiss fuga c
バスラインの忙しいフーガだが、ちょうど同演奏の動画があった、このとおり^^v
weiss y t
動画:Fugue in C Major / Silvius Leopold Weiss
快速で鮮やかに決まる(ヘンデルの鍵盤曲のようだ?)。
最後はドレスデン本の49ページと記されたト短調のソナタ、情緒深い傑作だが始まりはAllemande、そこで今村氏はロンドン写本のお馴染み、このPreludeを頭に持ってきている、
weiss pre g
終曲のPrestoは最も難度の高い部類で聴き応え十分の作品。

PS.当録音の使用楽器はアメリカの製作家、Cezar Mateusによる14コースのジャーマンテオルボで、Mateusの楽器も高評価のようだ。
imamura gt
製作家のサイトにこのレコーディングの件も紹介されている、
製作家サイト:Cezar Mateus Luthier

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: リュート作品

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今村泰典:S.L.ヴァイス Lute ソナタ集  

バロックluteというのは、⑥コースから下のバス弦は音階になっていて、開放弦なので、弾いたら鳴りっぱなしである、(このぶっきら棒さが、"らしさ"でもあるが^^;)m
2015.jpg
減衰の早いガット弦は放っておいてもよい部分もあるが、和音外となってしまう音など必要に応じて止めないといけない、スタッカートにしたい場合もある、この点わりと大まかな奏者もいれば、消音動作も綿密な運指のようにきちんと行う人もいる。右手、左手の使える指や手の平を駆使して止める方法は様々ある。
今日は1994年録音の今村泰典氏(Lute)による、シルヴィウス・レオポルト・ヴァイスのかなり難度の高い作品を聴く。
weiss imamura
レーベル:CAPRICCIO
weiss imamura02
今村氏はじつにハイテクニックの持ち主で、ヴァイスにしても、バッハにしても、鍵盤で演奏するかのように完璧なコントロールで、バス旋律もよく整っている。
最初のハ長調ソナタの頭にOuverture(フランス序曲)があり、このアレグロ部分はヴァイスの書いた最も高度なフーガだが、
weiss ouv c
アレグロの開始部分
ここは今村氏のテクニックが効いて、緻密に内容が聴ける。
トラック⑧には例のニ短調のフーガが入っているが、これはお手のもの、当盤と同じ動画があった、これも前半にプレリュードを付けている、
imamura weiss
動画:Silvius Leopold Weiss - Prelude and Fugue in D Minor
ヴァイスはソナタの最後に置く急楽章にけっこう長く充実した(難しい;)曲を書いているが、ハ長調のPresto(トラック⑥)、またイ長調のPresto(トラック⑭)など、今村氏は可能な最速のテンポを取りながら、各声部を綿密に整えて聴かせる。
しかし、バロックluteは響きの重なりが魅力の楽器でもあるので、どこを響かせ、どこを止めるか、適切な対応が必要だ;

PS.今村氏が当録音に用いたのは、ウンシージャ・モレーノ(スペイン)作、13c.バロックlute、ウンシージャの楽器はひじょうによく鳴るので知られていて、バス旋律も豊かに聴こえるが、響板がかなり薄いそうで、耐久性では心配なところがあった、マティアス・デュルビー(フランス)の楽器も同傾向だったが、よく鳴るリュートはリスクも大きいようだ。
imamura.jpg
ご覧いただき、ありがとうございました。

category: リュート作品

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N.ノース:S.L.ヴァイス vol.3 "Galanterie"  

ナイジェル・ノースの弾く、S.L.ヴァイスのvol.3 "Galanterie"が届いた。m
2012年5月に録音したvol.2と間を置かずの録音で、今回もL.ヤンソンの13コースluteを用いての演奏だが、使用弦のはっきりわかる写真が載っていた、ナイルガットとKFの組合せで、⑬コースはoct弦もKFのようだ。
n n weiss vol 3c
今回は曲もいい、まずドレスデン本の6曲目に入っているd-mollのパルティータ、ロンドン写本の後ろに入っているc-mollのソナタ、また両本に入っているヴァイスが唯一用いた調でf-mollのソナタ、と聴きどころが、現在最高と言える円熟味を湛えたノースの演奏で満喫できる。
n n weiss vol 3a
n n weiss vol 3b

d-mollのパルティータの頭、Fantasiaは1:26だが、もっと長く感じる充実した時間だ、ノースの表情豊かなアゴーギグが引き付ける、Allemandeの反復での装飾は流石!
Couranteは譜例のように---
weiss d cou01
---上声、内声、バスと3声が流れて行く書法が心地よい、後半にある2小節ずつのゼクエンツで、バスラインが開放バス弦へと移ったところ---
weiss d cou02
---ここはズシッと威厳の響きを聴きたいところ、ヤンソンの楽器とKF弦がよく応えているv
Gavotteも3声の類似した書法だ。
最後のGigueは充実して結構長い、高域で2声で始まるが---
weiss d gig
---バスラインは広い音域を動き懐深い感覚、ノースはテンポを落ちつかせ、始まりから絶妙なアゴーギグで聴かせ虜にする。

次のc-mollのソナタは他で聴いた記憶がない、頭のPreludeは幻想曲というべきもので、当CDのタイトルにふさわしいギャラント、あるいは"sturm und drang"の性格、ライナーノーツを見たら、ノースの解説にも同じ事が書いてあった^^
weiss c pre
バス声部のみで始まるのも異例で、C.P.E.バッハを予感させるような、多感な転調も多い、ただし写本ではこのPreludeだけが後から加えられたのか?筆跡が異なり、Allmande以後は同一の手になっている、
weiss c all
この事情はわからないが、ノースは写本のとおり順に演奏している、他者の曲?であるとしても、このPreludeはぜひ聴きたい魅力がある。
最後のf-mollのソナタも味わい深い。
ヴァイスの名演を聴きたい方にはお薦めのアルバムだと思う。

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: リュート作品

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W.カーター:バッハ リュート曲集  

リュートのCDを買う頻度は非常に少ないのだが;ちょっと興味ひかれる新譜が出ていた。
奏者のウィリアム・カーターはナイジェル・ノースに師事した人で、これまでパラディアンズなどのアンサンブルで通奏低音を録音した何枚かがあるが、非常に上手いと思った。
W.カーターはF.ソルやF.コルベッタなど、ギター系のソロ・アルバムは既に4枚出しているが、リュート・ソロはこれが最初のようだ、2014年に録音した、"BACH Reimagines BACH"と題されたアルバム、"バッハ演奏の再創成"を意味すると思われる。
収録はBWV1001、1006a、995 の3曲。
w c bach lute0120170303101104332_20170303144826b76.jpg
w c bach lute03
LINN レーベル
録音は会場の響きが心地良く、弾弦のかすかな表情までよく捉えている。

1曲目、ソナタト短調BWV1001
これは2曲目のフーガのみ、当時のリュート奏者が編曲したリュート譜が残っているが(これはBWV1000となる)、ここでは原曲の無伴奏vnソナタから全楽章編曲されている、師 N.ノースに近い編曲か。全体の印象は弱音基調で、vnソロの場合の張り詰めた趣きではなく、リュートらしいゆったり語る物腰である、Adagioは圧縮されたパッセージが多々あるが、そこも巧みに落ちついた自然な歩調にする、Fugaも急がず余韻を十分聴かせながら進める、淡彩を重ねていくような味わい。この曲の最後Prestoはリュートには不向きだと思う、個人的にはAdagioとFugaだけでよい。(*因みに、ラウテンヴェルクで録音した鍵盤奏者がBWV1000のほうを弾き、リュート奏者はBWV1001を再編曲して弾く例が多いのが面白い。)
2曲目、組曲ホ長調BWV1006a
この曲は無伴奏vnパルティータBWV1006にバッハ自身がバス声部を付けたラウテンヴェルク用と思われる二段譜が残っており、あとは奏者がリュート上に乗せる作業となる、ただ原曲どおり弾くには運指上の困難がある、カーターの演奏は、プレリュードは安心して聴ける歩調、最近はアクロバット的な急速演奏が多い中、逆に納得できる、遅くてだめってことはない。ブーレ、ジーグなど速い舞曲も個々の弦の余韻を聴く時間を与えるテンポだ。
最後は組曲ト短調BWV995
原曲は無伴奏vc組曲ハ短調BWV1011だが、これもバッハによるバスを加えた二段譜が残っていて、これに基づく演奏、カーターの使用楽器についての詳細はわからないが、通常の13コースリュートには無い、コントラGを弾いている。この曲もリュートらしい語り口で、3曲中最も好ましい出来に思える。4曲目サラバンドには装飾は行わず、1音ずつに神経を込めているが聴き手にはさらりと自然。ガヴォットは少々速め、ジーグはカナリー風のリズムだが、落ちついて音を紡ぎだすような演奏が良い。
特に人目を引く狙いではなく、リュート本来のキャラクターを貫いた自然な演奏で安らぐ、
これが"Reimagines"と思われる。

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: リュート作品

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E.ウォルフィッシュ:J.タルティーニ vn協奏曲集  

あのvnソナタ「悪魔のトリル」で有名なジュセッペ・タルティーニ(1692-1770)のvn協奏曲を取り寄せてみた。
昔からイタリアはヴァイオリンの国と言われるように、神がかった名人達がでている。
A.コレッリは楽譜にはない凄い装飾演奏を行ったらしいし、ヴィヴァルディの協奏曲はソロの妙技とともにシンフォニックな要素もある。続く世代として、F.M.ヴェラチーニやG.タルティーニが登場し、バロックを集大成する時期でもあった。彼らの演奏はまさにエキサイティング、白熱したものだったのではないだろうか、タルティーニのvn協奏曲もソロの技巧とバックの弦楽の効果で素晴らしいものだが、あまり多くの奏者が録音しているとは言えない。バロックvnで見事に演奏したのが当盤、エリザベス・ウォルフィッシュである。
j tar vn con j tar vn con02
helios(hyperion原盤)
5曲入っているが、いずれも魔性ともいえる、vnソロの高度な技巧に引き付けられる、
2曲目のト短調は4楽章で、第二楽章が半音進行のテーマによるフーガ、vnソロは活躍しないがこれが深い魅力、
3曲目のハ長調の第二楽章のテーマはシチリアーノ風で、ソナタ「悪魔のトリル」第一楽章の別バージョンのようだ、
最後のニ長調はバッハのBWV1052並みに長大に書かれていて、ソロと合奏群を十分に活躍させる、充実したコンチェルトに発展している。緩抒楽章ではvnの装飾的妙技を満喫させ、オルガン、テオルボの通奏低音が良い味わいを加える。終楽章はジーグ風のフーガとソロが巧みに絡み合う。
以上、これらはモダンの弦楽によっても魅力的だと思う。

ひとつの楽器に可能なことなら次々と新技法が生み出されるのが常だが、歴史は繰り返すというか、いつの間にかエレキ・ギターの世界でも凄い技が開発されて驚いている、このヴィヴァルディ「四季」など本来こういう曲だったと思わせる、
rock vi b2
動画→ Laura plays Summer Presto - Vivaldi (metal version two guitars)
エレGならではの技だが、凄く難しそう;

リュート曲のオリジナルにも、それなりに白熱した曲はある、バロック初期のA.ピッチニーニやカプスベルガーのトッカータなどもいけるし、
後期のS.L.ヴァイスならこのあたりかな、
weiss k
動画→ S.L.Weiss:Praeludium, Courante, Fuga And Presto In D Minor / Lutu Kirchhof
特にプレスト(6:42~)がいける、

ま、無理をせず楽しんでいきますが^^;
ご覧いただき、ありがとうございました。

category: その他・バロック

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好録音再聴:T.ピノック-ヴィヴァルディ「四季」 ほか  

アナログ盤の秋^^?針を下ろすのがすっかり楽しみになった好録音を聴きあさっています。
コレッリの合奏協奏曲やヴィヴァルディのソロ協奏曲はのちの交響曲の元にもなったと言われ、合奏体の響きの効果を聴かせます。ヴィヴァルディ「四季」はいろいろ聴いた中で最後に落ち着くのはピノック盤やホグウッド盤になりますが、代表でピノック盤(LP)です、
カートリッジはAT440MLbを使用、ブリリアントなアルヒーフ・サウンドは申し分ない。
pin vi 01
サイモン・スタンディジ:vn
トレヴァー・ピノック:指揮
イングリッシュ・コンサート
1981年録音 アルヒーフ(ドイツ盤 銀ジャケット)


は溌剌とリズミカルに始まる、鳥のさえずりは複数のソロが弾くがこれが透明感があって美しい。vnソロの切れ味に合奏もぴたり同調する。中間楽章でのS.スタンデイジの装飾演奏はバッハか誰かの一節を聴くような理知的センスが聴ける。終楽章もジーグ風の快調なリズム感と弦楽が心地良い。
は特にシンフォニックな楽しみを聴かせる、始まりの気だるさ、鳥達のさえずりもつかの間、強風が襲う、その前はぐっと弱奏にするが、ここが引き付けてじつにいい、そして嵐、強引な響きを使わず十分なダイナミズムを聴かせる、中間楽章の装飾も流石、装飾にも様式美がある。終楽章は再び嵐、ここも強弱の対比で効果をあげる。
、第一楽章は活気とともに、ソロvnのアゴーギグの緩急が絶妙、強弱の対比も引き付ける。中間楽章はチェンバロのアルペッジョに乗って弦楽が無から現れるような開始、全般にぐっと弱奏で行く涼やかな微風。終楽章はリズムを弾ませ、ソロの切れ味もよい。
、第一楽章は急速インテンポでソロの切れ味もあり、寒さに凍える感覚、中間楽章、ここは爽やかな美音と格調高い装飾。終楽章はソロ、合奏ともに氷上の物理法則を感じさせるみごとなアゴーギグ、そして吹雪、痛快に最後をきめる。
動画→Vivaldi: Le Quattro Stagioni - Trevor Pinnock & The English Concert
*イングリッシュ・コンサートも新しくなっている、斬新でもあくまで美しい音楽。
動画→The English Concert 最後のほう 1:41:58 からはパッヘルベルのカノン。

話のついでに、A.アンセルミが率いるイ・ムジチ盤(2012年録音)を改めて聴いてみた、
i musici
このSonyレーベルはなくなり、今は「DYNAMIC」レーベルで出ている
こんな刺激の極端な音は聴いたことがない、この奏法でコレッリなどは想像つかない; 昔の殻から脱してはいるが、古楽を繁栄しているとは感じないし、ロック感覚か?、彼らは何処へ向かおうとしているのか?
参考動画(ライヴ)→2014Vivaldi Four seasons-Spring-I MUSICI in Korea

今日もご覧いただきありがとうございました。

category: ヴィヴァルディ

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