Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

A.シュテック:F.リース ヴァイオリン協奏曲 ホ短調  

先日、フェルディナント・リースの2つのホルン協奏曲で取り上げた盤ですが、今日はカップリングされたヴァイオリン協奏曲ホ短調です。
代々、ベートーヴェン家とリース家は同郷、ボンの音楽家として関わりをもってきたが、ベートーヴェンは少年期にリースの父フランツ・アントンにvnを学んでいた、後にウィーンで活躍を始めたベートーヴェンのもとへ息子リースが弟子入りした、という関係です。
1809年、一時ボンへ帰郷したリースは父と共に「ボンの冬のコンサート」を開き、父がソロを弾くよう書かれた唯一のvn協奏曲です。演奏時間30分弱と、長大ではなく、聴きどころの詰まった良い作品です。幾分渋めだがメンデルスゾーンのvn協奏曲のような親しみ易さもあります。演奏はvnソロがシュパンツィヒ四重奏団の1st vnでもある、アントン・シュテック、
ries horn con
アントン・シュテック(ヴァイオリン)
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ(指揮)
ケルン・アカデミー(ピリオド楽器)
2007年録音 cpo


ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 op.24
第一楽章、Allegro non troppo ホ短調で始まる主題を聴くとシューマンの時代の趣きも多分に感じる、timpの入らない編成も作品の性格に相応しい、ソロパートは父アントンの名人ぶりを伺わせる、vnの装飾的な動きは同輩のルイ・シュポアを思わせる部分もある。オケ・パートの活躍も充実、シュテックのピリオド奏法によって、曲の魅力が透明に浮び上る。
第二楽章、Andante quasi larghetto 穏やかで安息感に満ちた始まり、vnソロと見事なオーケストレーションでよりロマン派的な深みを感じさせる。
終楽章、Rondo allegro 休みを置かずロンド主題に入る、ホ短調のリズミカルで親しみやすい主題が良い、ロンド楽章の書法はベートーヴェンと共通に思えるがソロとオケ・パートを多重的に楽しませる技はさすが。オケが沈黙し、ソロの部分があるが、重音奏法が美しい。
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参考動画→Ferdinand Ries-Violin Concerto Op.24-Anton Steck(1st)

PS.当盤の最初に「盗賊の花嫁」序曲 Op.156が入っていますが、これがまた、ベートーヴェン「エグモント」序曲とシューマン「マンフレッド」序曲の中間的魅力で引き付ける曲です^^

category: F.リース

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C.ヒンターフーバー:F.リース ピアノ協奏曲(No.6)ハ長調 Op.123   

全曲取り寄せたフェルディナント・リースのピアノとオーケストラのための作品集ですが、クリストファー・ヒンターフーバーの一流の演奏による全曲録音は偉業と言えるでしょう。グロット指揮のニュージーランド交響楽団もバランスの良いサウンドで卒なく支えている。(ベートーヴェンも録音してほしいところ) F.リース
ries pf con 123
クリストファー・ヒンターフーバー (ピアノ)
ニュージーランド交響楽団
ウーヴェ・グロット (指揮)
2005年録音

リースのピアノ協奏曲、作曲順に聴いていこうと思います。まずは1806年に書かれたハ長調op.123です。(*作品番号等は作曲順と整合していないようです)

ピアノ協奏曲(第6番)ハ長調 Op.123
第一楽章、アレグロ・コン・スピリット、溌剌とした主題だが、まず弱奏で主題を提示して、あらためて総奏で堂々と提示、前奏部のオーケストレーションは見事だが、モーツァルト時代に19世紀の息吹が加わったようだ。ピアノソロは弱奏の入り、モーツァルト~ベートーヴェンが築いた書法を見事引き継いでいる、ソロとオーケストラの組み合う充実感、聴き手を捉える力感、推進力も備えている。弟弟子、ツェルニーの協奏曲のような物足りなさは感じない。
第二楽章、ラルゲット・コン・モート、木管の導入音で始まり、ピアノソロにはだいぶロマン派的なテイストも感じる、木管ソロをはさみながら、ダイナミックな部分も聴かせる。
終楽章、ロンド・アレグロ・ヴィヴァーチェ、第二楽章とは休みを挟み、総奏による導入と、ピアノの即興的な導入があり、次に軽やかなロンドテーマが提示される、この楽章もピアニスティックな聴きどころ、オーケストレーションの手腕、バランスのとれた技量でまとめられている。後半に入って、オケが意外なダイナミズムで引き付けたり、斬新なところもある。終結は大袈裟にならず小気味よい。
初作がこの出来栄えなので続きが楽しみ。
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フェルディナント・リース(1784-1838) 

category: F.リース

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M.A.ヴィレンズほか:F.リース 2つのホルンのための協奏曲  

ベートーヴェンの弟子、フェルディナント・リースの興味ある協奏曲のアルバムで、当盤はカップリングされたヴァイオリン協奏曲がお目当てで取り寄せたが、まず"2つのホルン"がとても気に入ったので、今日はこちらについて書きます。
"ヴァイオリン"のほうも素晴らしいが、あらためて^^

現代のホルンはピストン操作で管の長さを変え、必要な音程を得られる構造だが、昔は自然倍音のみ発音できるナチュラル・ホルンだった。朝顔に手を入れて空気抵抗を変え、音程を操作するストップ奏法が開発されて、ある程度自由な演奏ができたが、素早いテクニックは難しかった、また手を差し入れた度合で音にミュートがかかる、という変化が起きる、これもホルンらしい味と言える。
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ナチュラル・ホルン
モーツァルトなど古典派期のホルン協奏曲はこの楽器のために書かれ、複雑な演奏はできないため、曲も簡潔であった。フェルディナント・リースの時代でもホルンは変らなかった。
リースは2つのホルンのための協奏曲を書いているが簡潔な作品ではなく、ピアノ協奏曲並みの規模と内容になっている。これを当時のままナチュラルホルンで演奏した当盤の録音は貴重なものかも、
ries horn con
トゥーニス・ファン・デア・ズヴァールト (ホルン)
エルヴィン・ヴィーリンガ (ホルン)
ケルン・アカデミー (ピリオド楽器)
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ (指揮)
 


2つのホルンのための協奏曲 変ホ長調 WoO 19
第一楽章、古典派後期のスタイルで、前奏はあのフンメルのtrp協奏曲のような明るい活気がある、主題はピアノ協奏曲にでも編曲できそうなもので、前奏部を聴いているとピアノ協奏曲が始まるみたいな雰囲気、2つのホルンで勇壮に和声を奏でるところ、また1つが旋律で1つがアルペジョを吹く、まさにピアノ風のところ、と巧みに聴きどころが作られる。このアルペジョがいかにもたどたどしいが、あえてそれを"味"として狙ったようだ。つい聴き入ってしまう味わいがあり、モーツァルトのホルン協奏曲を思わせる要素も多分にある。
第二楽章、短調の始まりはホルン作品らしくない印象だが、長調に転じる、ここではホルンの伸びやかに歌う美しさを聴かせる、ホルンの"最低音"など技巧的な聴かせどころも置く、中間部は短調で劇的となる。
休みを置かず終楽章のロンドに入る、2つのホルンが対決するような掛け合いを聴かせたり、長いトリルを奏でたり、わりと長丁場に聴きどころを盛り込む。これがナチュラルホルンだからこそ面白いのかもしれない。
ソロ楽器の特徴抜きで言っても、ベートーヴェン時代の協奏曲として良く出来ていて、リースの高い技量とセンスを感じる。

category: F.リース

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シュパンツィヒSQ:F.リース 弦楽四重奏曲 Vol.1  

NAXOSやcpoレーベルは知られていなかった作曲家を次々紹介し、特に優れた人はシリーズ化して売り出していますが、世界中の人々のニーズが細かく掴めるようになったネット時代になりはじめて成り立つ事でしょう。
フェルディナント・リースもベートーヴェンの回想録を書いた人、として知られてきたらしいですが、それだけの存在にされてきたのは不当な扱い、ベートーヴェンの存在が"木星"サイズなら、リースは"土星"くらいいってるでしょう^^師にはない魅力もあるし、
今日はcpo盤でリースの弦楽四重奏曲第1集を聴きます、演奏がまたひじょうに期待できるシュパンツィヒ四重奏団でcpo盤にふさわしい。
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シュパンツィヒ弦楽四重奏団
2004年録音 cpo


当盤の2曲はハイドンの時代に回帰したかのようなスタイルを基盤としていて、時代の隔たりが感じられないほど、見事に書かれていて、新しい要素もある。

四重奏曲WoO.37 ハ長調(1827年作)
1827年の作だが、主題の趣味からして第一印象はハイドンの最後期、プロコヴィッツ四重奏曲の続編かのような味わい(ここが魅力)、ベートーヴェンの"プロコヴィッツ"より、肩の力の抜けたほっとさせる趣き、しかし書法の充実度には目を見張るものがある、何十曲も書いてきた人みたいな。
第一楽章アレグロ・コン・ブリオはvcの低音で動機を提示する意外な始まり、明るく快活な第一主題が立ち上がる、提示部は快調流麗で申し分ない、展開部での対位法的手腕はもちろん、十分練られた内容は見事、定石通り再現部に移るが、8:08という演奏時間もちょうど良い。
第二楽章アンダンティーノ・コン・モート、短調の主題で沈んだ気分で始まる、変奏曲と思うが、多彩な気分の移ろいを聴かせる。
メヌエット、モデラート 主題が各パート間を素早いカノンで雪崩れるように移るのが引き付ける、トリオの開始はvcの遠い雷鳴で始め、各パート弓を弾ませる奏法的面白さを聴かせる。
終楽章、アレグロ-ラルゲット-アレグロ、すばしこい小動物を思わせる動機で意表をつく、これを巧みに絡ませて立体的な聴き応えを作って行く、この楽章にはラルゲットの中間部があるが、共通の主題で気分を変える、再びアレグロに戻り、リース新案?ともいえる秘技を加えて痛快に終わる。

四重奏曲 変ホ長調 WoO.10 (1805年作)
こちらは1805年作で、ハイドンが存命の頃、前述のWoO.37の22年も前だが、そんな隔たりを感じない、こちらが後の作品だと言ってもおかしくないほど。
第一楽章アレグロ・モルト・モデラート、第一、第二主題ともじつに流麗、かつ嫌味のない美しさで、こちらはモーツァルト型?の要素もある、しかし展開部は肉迫してくる聴き応えだ。
第二楽章にメヌエットが置かれる、リズムの重量箇所の変化が面白く、シンフォニックに引き付ける、
第三楽章アダージョ・カンタービレ、変奏曲と思われるが、気品のある主題に始まり、劇的な推移でシンフォニックな聴かせどころも置く。
終楽章、ロンド:アレグロ・モデラート、ロンド形式の中に変奏要素も加えた書き方のようだ、歌謡的な親しみやすいロンド・テーマを聴かせたあと、いきなり切れ味鋭いパッセージの掛け合い、こんな穏やかさと緊迫感を交互に聴かせていき、楽章全体は劇的な構成でまとまっている。

以上、2曲とも何度聴いても飽きない逸品と言える。シュパンツィヒ四重奏団はこうした初めての作品を安心して聴かせる。
PS.もう1枚のアルバム、Vol.2が出ているが、こちらは新時代らしい書法で、内容も素晴らしい、レビューはあらためて。

category: F.リース

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H.グリフィス:F.リース 交響曲第6番  

全集で取り寄せたフェルディナント・リースの交響曲集、順次聴いていますが、先人のハイドン、師のベートーヴェンを引き継ぎながら、オリジナリティーも十分に聴かせ、ユニークな作品もあります。今日は特にそれを感じる第6番。micha
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ハワード・グリフィス指揮、チューリッヒ室内O
2002年録音 cpo


交響曲第6番ニ長調op.146 (1822)
第一楽章はLarghetto con motoの序奏で始まる、弱奏で始め強奏が対比する勇壮な響き、序奏の最後に主部の動機をゆるやかに前置きする、Allegroの主部に入り、一転して付点リズムの陽気な第一主題となる、始まりから軽くフガートを聴かせる凝り様、そして雄大に発展する、ブラス群が4拍子間に6連符を打つのが変化技で面白い、展開部は緊迫で始まり、ロマン派的で充実している。再現部は簡潔にまとめ、小気味よく終わる。
第二楽章にメヌエットModeratoがくる、ニ短調になったメヌエットの主題がヘンデル又はパーセルを思わせるバロック趣味で、バス旋律も通奏低音的だ、それをロマン派オケの器に収めたような出来栄えがとても良い、トリオは楽しくレントラー風、木管とホルンが交互に美しいテーマを奏でる。メヌエットの再現はそのままではなく、小編成になり、チェロのバス旋律が細かくなりバロックらしさを決定的にする、短いが一度聴いたら耳に残る魅力の楽章だ。
第三楽章Larghetto con motoは静かに、いかにもロマン派的で細やかな味わいで始め、旋律美のセンスが冴える、ダイナミックな展開があり、全体はドラマティックな推移を聴かせる。
休みを置かず終楽章Allegro con brioに入る、これがシンバル、トライアングルが入った行進曲風だ、ちょっとヨハン・シュトラウスを思わせる、しかし、ただ賑やかな終曲ではない、ソナタ形式で、リースの手腕が効いた充実感、展開部は対位法を含めた見事な内容、再現部に盛大に入るのも行進曲のツボを得ている、そして急速にテンポアップしながら終結部に入る、短い緩抒部分を置いて行進曲に戻り、痛快に終わる。
偶然か、先日のルイ・シュポアの「第6番」 と似通った趣向のような?
演奏例も少ないであろう作品を研究家グリフィスは完成度高い演奏で聴かせてくれる。

category: F.リース

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F.リース:ピアノとオーケストラの作品集(NAXOS)  

先日来、新たに楽しんでいるベートーヴェンの弟子、フェルディナント・リースですが、ピアノ作品もぜひじっくり聴きたいところ、ひとまずNAXOS盤を取り寄せました。 micha
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以下の作品がCD5枚に入っています。
ピアノ協奏曲(協奏曲第2番)変ホ長調 Op.42 (1811)
ピアノ協奏曲(協奏曲第3番)嬰ハ短調 Op.55 (1812)
ピアノ協奏曲(協奏曲第4番)ハ短調 Op.115 (1809)
ピアノ協奏曲(協奏曲第5番)ニ長調 「田園風」Op.120 (1814)
ピアノ協奏曲(協奏曲第6番)ハ長調 Op.123 (1806)
ピアノ協奏曲(協奏曲第7番イ長調 「イングランドからのお別れコンサート」 Op.132 (1823)
ピアノ協奏曲(協奏曲第8番)変イ長調 「ラインへの挨拶」 Op.151 (1826)
ピアノ協奏曲(協奏曲第9番)ト短調 Op.177 (1832-33)
スウェーデンの国民歌による変奏曲 ハ長調 Op.52 (1813)
「ルール・ブリタニア」による変奏曲 変ホ長調 Op.116 (1825)
序奏と華麗なるロンド ハ長調 Op.144 (1825)
序奏と華麗なる変奏曲 ヘ長調 Op.170 (1833年以前)
序奏とポロネーズ 変ホ長調 Op.174 (1833)
序奏と華麗なるロンド 変ホ長調 WoO 54 (1835)
*Wikipediaのリストでは一部誤りがあり、上記の赤文字が正しいです。
演奏は全曲、クリストファー・ヒンターフーバー:ピアノ、ウーヴェ・グロット:指揮、ニュージーランド交響楽団で、2005-2011年録音です。ヒンターフーバーの卓越したピアノ、グロットのオケともに申し分なく聴けます。

リースのピアノ協奏曲はピアノテクニックとしては確かに師ベートーヴェンをそっくり引き継いでいると言えます、さらにオケパートの充実も師匠譲り、同時期に活躍したヨハン・ネポムク・フンメルの協奏曲は平明でいまいち深みに乏しいですが、エレガントなピアノの作風はモーツァルトからショパンへの橋渡しになっています。一方リースの作品には集中させられます、Op.177など古今の名作に入れてよさそう。しかしリースには弟子がいなかったので、ベートーヴェン流は途絶えるのかな?
これらもあらためて感想を書いていきます。

category: F.リース

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H.グリフィス:F.リース 交響曲第5番  

フェルディナント・リースの交響曲はいずれも演奏時間30分代で終わるように書かれていて、師ベートーヴェンのような長大な作品はありません、両端楽章を充実させたら、中間楽章を短縮するなど、聴衆の集中できる時間を考慮しているのかもしれません。しかし短めに書かれた楽章が意外に魅力だったりします。H.グリフィス指揮、チューリッヒ室内Oの演奏で、今日は第5番ニ短調を聴きます。micha
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ハワード・グリフィス指揮、チューリッヒ室内O
1997年録音 cpo


この作品はリースが師を模倣していると言われる典型でしょうが、第一楽章は劇的な導入音を置いたあと、「運命の動機」と同じパターンが始まる。(結局これは全楽章に登場する)
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F.リース 交響曲第5番、開始部
師の「第5番」を意識した作品かもしれない、素材は借用していても、新たな魅力が生まれています。この運命の動機自体、ベートーヴェン固有のものでなく、
遡ってハイドンの交響曲No.78ハ短調を見てみると、
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ハイドン 交響曲No.78 第一楽章 展開部
第一楽章提示部の終りに類似した動機が出てきます、この動機で展開部を対位法の聴きどころにしています。のちにはブラームスも「第1番」で隠し技のように使っています。
PS.ヴァンハルの曲にもこの動機がありました。

F.リース 交響曲第5番 ニ短調 (1812-1813)
第一楽章 Allegro 力強く劇的な要素とともに切れ味よい快調さもあり、グリフィスは強弱、cresc.を深くとって、快速で緻密な演奏に仕上げる。第二主題は明るく新感覚を思わせるが同時に師の「英雄」に似た流れも出てくる、展開部の書法も手の込んだもので聴き応え十分。
第二楽章 Larghetto con moto.Quasi Andante 穏やかで親しみ易い主題、ロマン派的な情緒細やかな楽章、ここもちょっぴり運命の動機が忍ばせてある。
第三楽章、スケルツォ Allegro assai-Trio この楽章の主題も印象に残る良い旋律、ぐっと引き付けるスケルツォでキビキビとしたリズムにやはり運命の動機が効果的に組み込んである。
終楽章、Allegro 弱奏で緊迫したロンド風主題で始まる、運命の動機が対位法的に組み込まれ、オーケストレーションも見事、展開部はまず木管が歌う主題を置き、いよいよ運命の動機を畳み込む、終結は急速になり、熱狂に巻き込んで終わる、同じ動機を全楽章で使うところと合わせ、シューマンの「第4番」のスタイルを思わせる。
リースの作曲技法は筋金入り、シューベルト、シューマンの上を行っているかも。

category: F.リース

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H.グリフィス:F.リース 交響曲第4番  

さて、先日取り寄せたフェルディナント・リース(1784-1838)の交響曲全集(全8曲)ですが、不思議と、初めて聴くように思えない作曲家で、これも古典派後期~ロマン派へと、ドイツ音楽の路線にある人だからでしょう。師のベートーヴェンを引き継ぐ語法も見せますが、明らかに内容は次の時代です。ときにハイドンに回帰したり、またバロックとロマン派がタッグを組んだような曲まであり、面白いです。H.グリフィス指揮による演奏は、こうした作品を初めて聴くには理想的でしょう。今日は中ほどから第4番を聴きます。micha
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ハワード・グリフィス指揮、チューリッヒ室内O
2001年録音 cpo


交響曲第4番 ヘ長調 op.110
第一楽章 Andante-Allegro まず短調でアンダンテの緊迫した序奏が置かれ引き付ける、序奏の終りと主部が繋っていて、2本のホルンが柔らかく動機を奏でる、一転して明るいヘ長調、シューマンの「ライン」を思わせる雄大さと細やかな情緒で聴かせる楽章だ、安らかな第二主題のあと再び雄大となる運びも良い、展開部は対位法の聴きどころだが短め、しかし再現部以後の充実で聴かせる、終結部は急速になり盛大に終わる、このあたりもシューマンを予期させる。
第二楽章 Andantino この緩抒楽章の主題を聴くと、リースも師に負けず普遍的な美しい旋律を書く人だと思う、vcや木管のソロを挟み、ベートーヴェンの「田園」的な雰囲気と、押し寄せるシンフォニックな聴きどころもあり、対位法の妙も聴かせる。
第三楽章 Scherzo.Allegro 快活なスケルツォはベートーヴェンの「英雄」を思わせるが、始まりからフーガの書法が歯切れ良いリズムに組み込まれる、決して師の二番煎じにはなっていない、管楽器同士の掛け合いも心地よい、トリオはvcが優美なソロを聴かせ、再びフーガのスケルツォの切れ味が効く、短いが傑作のスケルツォ楽章だ。
終楽章 Finale.Allegro molto 短く序奏的な部分を置き、勝利宣言的な華々しさに至る、展開部への入りも同様に行うが、展開部の充実感、終結にかけての推進力、畳み込み、技法の冴えた申し分ない終楽章だ。

同盤の第6番もじつに良いですが、あらためて。

category: F.リース

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H.グリフィス:F.リース 交響曲全集  

未知の作曲家の探索、古典派からドイツロマン派のあたりも興味あるところで、行き着いたのがフェルディナント・リース(Ferdinand Ries 1784 - 1838)です。近年はもはや未知どころか有名になりつつあるようで、楽しみな作曲家です。 micha
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フェルディナント・リース
リースはベートーヴェンと同じボンの生れで、リース家も音楽家でした、ベートーヴェン家との関わりも当時からあったそうです。やがてベートーヴェンがウィーンに出て活躍するようになり、F.リースはベートーヴェンのもとへ弟子入りしました。師に替ってピアノを演奏したり、難聴が悪化した師の補助もしていたということです。
詳細→Wikipedia:Ferdinand Ries

リースが没後、忘れられた存在になってしまったのは、師ベートーヴェンの作風を模倣している、流行から遅れた作風だった?、弟子がいなかった、など原因が挙げられるそうですが、経緯はともかく、仮に師の模倣が多かったとしても、それなりに作品が優れていれば十分魅力であり、聴かない手はないわけです。いつも一緒にいる人とは語り口も似てきて当然、特にピアノ作品は師の技法をよく継承していて強く感じます。しかし語る中身はあくまで本人が創造したものです。
ドイツ3大Bに挙げられるほどの師ベートーヴェンですが、ときにご愛嬌で"駄作?"に入るような曲も書いている、しかしこの優秀な弟子はすっかり洗練されていて、若い世代らしく、さらにロマン派の世界へと踏み込み、その精神はシューマンへと繋がるのではないかと思います。
おそらく近年、再評価が進んだとみえ、録音物も増えています。無名の作曲家といえば、演奏も冴えない(研究の足りない)マイナー盤がたまに出ていた頃とは違い、近年はよく研究された優れた演奏で出てくるのは嬉しいです。まず取り寄せたのが、信頼のハワード・グリフィス指揮、チューリッヒ室内Oによる交響曲全集です。
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抜粋で聴いてみたところ、確かに師のよく使う主題に告示したものは出てきますが、中身はあくまで独創的、初めて聴く作曲家に思えないのは洗練度が高いせいか、ピアノ作品も集めたいところ;
感想はあらためて書いていきます^^

category: F.リース

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