Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話題など

T.ファイ:ハイドン 交響曲No.102  

ハイドンの最高傑作と評されることも多い102番はいろいろ集め、お気に入りもあるが、今日はT.ファイの演奏を再聴する。
PS.ハイドン探求 三次科学技術教育協会にもちょうど掲載されたところ。

第二期ロンドン交響曲はさすがに19世紀的構えを持ってくる、ベートーヴェン時代に入ると作品は大規模になり、退屈な駄作も生まれやすいが、ハイドンは無駄のない凝縮された管弦楽曲として聴かせるところが良い、102番は緻密な構築でハイドンならではの魅力も全開。
feu hay 102
トーマス・ファイ 指揮
ハイデルベルク交響楽団
2012年  Hänssler Classic


交響曲No.102 変ロ長調
第一楽章 Largoの序奏はじっくり、スコアのスタカート記号も涼やかに通す、主部Vivaceは速めで活気に溢れる、vn1が弾く第一主題に基づくパッセージを[57]からvn2が引き継ぎ、vn1は第二主題に属すパートを弾く---
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---vn1、2が左右に分かれた配置で立体感がよく聴きとれる、
[80]からファイはrit.して[92]のffをフェルマータする---
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---このffをどぎつい響きにせず、量感を持たせるのが良い。テンポも効果的に変化させるが、提示部の反復は幾分速めに始め、活気を増す。展開部では[155]のfからぐっとテンポを上げるのが的を得たように効果的だ、続く[161]からの対位法が緻密に畳み込む---
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---vaだけが異なる動きを重ねている。
再現部~終結にかけては、これまでのハイライト・シーンのように圧縮され、[243~]など、さらに雄大に発展するようで素晴らしい。
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第二楽章 Adagio 滑らかなvn群とvcのソロに始まる、モダン楽器によるピリオド奏法というのは第三の魅力かもしれない、この緩抒楽章でもそれを感じる、[9]からは少しテンポを上げ、場面が変わった気分をだす、ミュート付きtrp、timpが穏やかな楽章のダイナミズムを受け持つ、ほぼスコアに従った清涼な演奏だ。
メヌエット まさにAllegroのテンポでビシバシ行き、活気に溢れる、新時代の斬新さを聴かせる、ファイはルバート、フェルマータを上手く用い、その対比が活気を高める。[50、52]ffの力感も痛快に効く、
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穏やかなトリオはゆっくりとなり、ob、fagが装飾を楽しませる。
終楽章 Presto 演奏時間4:23と快速だが、きっちりと決まったアンサンブルが心地よい、総奏の響きもパンチが効くが、大編成の重たい響きとは違う、終結は一段と急速に締める。

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: F.J.ハイドン

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O.ダントーネ:ハイドン 交響曲No.80  

先日のO.ダントーネ盤の続き、今日はNo.80について、短調作品だが、先日のNo.78とはまたスタイルの異なった作品に思える。
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オッタヴィオ・ダントーネ 指揮
アカデミア・ビザンチナ
2015年 DECCA


交響曲No.80ニ短調
第一楽章 Allegro soiritoso ニ短調の第一主題はバスに明確に現れる、
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vn、vaのトレモロが重なり緊迫感があるが、そのままには行かないユーモアが仕込まれる、提示部の最後、[57~64]にのみ現れるヘ長調の第二主題はワルツ風、平和でじつにおっとり、
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ダントーネは第二主題の入りにルバートをかけ、より表情を出す。展開部の頭は[65,66]と2小節、全休符があり、予想に反してまた第二主題が始まる、[118,119]の休符のあとも同様、[128]からは第一主題が威勢よく進み、「146]のフェルマータで一区切り、また第二主題が出そうな予感だが、第一主題が続く・・ 間を置き、次はどっちの主題が出るか聴き手の予測をみな覆すような進め方だ、展開部以後は第二主題に主座を奪われた感がある。楽章の後半に反復記号はないようだ、確かに一度が効果的。ダントーネは張り詰めたスタッカートの力感の間に柔軟なレガート、強弱法を聴かせ、ユーモアも十分心得た耳心地の良さだ。
第二楽章 Adagio 気品ある主題のソナタ形式、これも「十字架上の七つの言葉」まさにその時期を思わせる緩抒楽章、多彩な変化を聴かせ緊迫した場面も見せる、[24]から続けて(p)で奏でるflは芳香漂うような効果、当演奏のflトラヴェルソは一際心地よい。
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メヌエット ニ短調の淡々としたメヌエット、トリオは交響曲No.26にも登場したグレゴリオ聖歌風の主題で印象づける。
終楽章 Presto この楽章もユーモアだ、2拍子でアウフタクトから繋がるシンコペーションであることを知らないと、引用譜の"紫線"のように拍節を勘違いしてしまう;
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正しくは"オレンジ線"だが、一度頭に残るとテンポが速いせいかスコアを見ても、間違い癖が取れない、vn2のパートもクセモノだ;
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[110]からの管パートもパターンが変わり紛らわしい、聴衆の戸惑いにほくそ笑むハイドンが浮かんでくる作品、ダントーネは快速、緻密に共謀する^^;

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: F.J.ハイドン

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O.ダントーネ:ハイドン 交響曲No.78  

DECCAレーベルが出した初の古楽器orch.によるハイドン交響曲全集はC.ホグウッドとF.ブリュッヘンがすでに録音したものに、欠落曲であるNo.78~No.81の4曲をO.ダントーネ指揮、アカデミア・ビザンチナによる録音で補完した、というのは過去に記事にした。m
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古楽器orch.による全集
個人的にはホグウッド盤の未完に終わったNo.75までと、ブリュッヘン盤の大方は持っていたし、ダントーネ盤が単独に出たおかげで、この全集は必要なくなった。しかし、欠落していたNo.78~No.81も単独ではめったに録音されない隠れた傑作だ、今日はNo.78について、
dan hay sym
オッタヴィオ・ダントーネ 指揮
アカデミア・ビザンチナ
2015年 DECCA


交響曲No.78ハ短調
第一楽章 Vavace 全パート、fユニゾンで緊迫した動機を開始、
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ダントーネはスタッカートを鋭く引き締める、[16]からは流麗となり、vn1、2が掛け合う、
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[55]からは「運命の動機」に近い第二主題が変ホ長調で登場、
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展開部[76]から、まずは冒頭の動機を置き、休符の後、第二主題が対位法的に扱われる、[88~93]では第一主題動機(木管は反転型に変形される)による対位法が続く中、vaのみが第二主題を重ねている、
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以後も縦横緻密な書法で魅了、[134]からが再現部と思われるが、聴くだけでは何処からか区別つかないほど最後まで巧みな書法が満載である。
第二楽章 Adagio ハイドンが緩抒楽章のみで構成される「十字架上のキリストの最後の7つの言葉」を書く4年ほど前の作品になるが、ここでもソナタ形式による、内容の深い緩抒楽章になっている、清涼にしなやかに演奏されるが、cb.2台のやや大きい編成によるp~ffの奥行きが効いている、控え目ながら反復でflが装飾を聴かせる。
メヌエット Allegretto すっきり軽やかな主題、トリオの始まりに心地よいアゴーギグを入れる、メヌエットの反復でもflが装飾し、[23]から[24]フェルマータにかけ、vn1ソロが美しい装飾パッセージを加えている。
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終楽章 Presto ロンド風ソナタ、ハ短調の主題で始まるが 陽気な部分が多い、[41]アウフタクトからハ長調、ここでob、flが交互にソロを聴かせる、[50]でflがオクターヴ下がるのが面白い、[99][103][107]と全休符を置き、期待感を抱かせ、[108]からのポリフォニックな書法に誘う。
以上、なんと言っても第一楽章が見事な内容。
ダントーネの演奏は最新の洗練されたピリオド感覚で魅了する。
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ご覧いただき、ありがとうございました。

category: F.J.ハイドン

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T.ファイ:ハイドン交響曲No.44「哀悼」  

何がきっかけでT.ファイのハイドンを聴き始めたのか、思い出せない;はじめは古楽器orch.の演奏かと錯覚してしまった。このNo.44の入ったvol.8は早くに手元にあったが、これまで記事に挙げそこなっていた。最初聴いた頃は前例のない演奏法に度肝を抜かれた。
当盤についてはハイドン探求 三次科学技術教育協会ブログでもちょうど掲載中だ。
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トーマス・ファイ 指揮
ハイデルベルク交響楽団
Hänssler Classic


交響曲No.44ホ短調「哀悼」
第一楽章 Allegro con brio 作曲年が近い46番とは姉妹作品のようだ、以前にも書いたようにこの楽章の動機が鏡で反転した形をとり、46番もロ長調であるが、短調に向かう傾向が強い。
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提示部の1回目、ファイは急速でほぼインテンポ、バス部も力強く、強弱の対比も深く、ぎゅっと引き締めた感覚、反復では動機部分のテンポを大きく落とし、突如謎に行き当たったような感覚、すぐに元の急速に戻るが、反復を利用したこのような表現は初めてである、強弱の起伏もツボを突いてくる、展開部も熱気溢れるが、[115]からvn1がppで切れ切れに主題の一部を弾くところ、[117]3拍目からobが和声を重ねるのが霊感豊かで効果的、
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終結前の[141~146]で弦がpで対位法になる部分も神秘的だ。
メヌエット Allegretto、上声とバスが一小節遅れた完全カノンで書かれていて、ファイは速めでさらりと演奏、凝縮されて心地よい、トリオはカノンではないが対位法で雰囲気を繋ぐ。
第三楽章 Adagio 例によってvnが弱音器を付ける緩抒楽章だが、ファイはppくらいの弱奏で開始、少しでも騒音があると聴き辛い、夢想世界のような響き、旋律の動きに対し自然な強弱の起伏、後半に入るとより瞑想的な魅力、ハイドンの才気が冴える傑作楽章。
終楽章、まさしくPresto assaiのテンポで駆け抜ける、それでも各パートの動きをくっきり聴かせる、ffではhorの荒々しい響き、バスの力感が押し出す。後半展開部[96]からはバスが動機を繰り返し、上声が怒涛のトレモロ、[104~110]はva、vn2でoct.跳躍のある畳みこみが圧巻、
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また後半反復の際、ファイは終結前の[174] 3拍目の休符を長いフェルマータにして、深く溜めを置いて終わる。

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: F.J.ハイドン

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T.ファイ:ハイドン 交響曲No.49「ラ・パッショーネ」  

T.ファイのハイドンもいくつか揃えながら、聴き覚えのない曲があり、vol.6にある有名どころ、49番「ラ・パッショーネ」を聴き漏らしていた。49番は歌詞のないキリストの受難曲の設定と考えられる、4つの楽章はそうしたドラマティックな要素を持つ。
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トーマス・ファイ 指揮
ハイデルベルク交響楽団
2005年 Hänssler Classic


交響曲No.49ヘ短調「ラ・パッショーネ」
第一楽章 Adagio 悲痛な面持ちで始まる、ファイは十分ゆっくりなテンポでレガート基調である、[10]からに見られるアクセント記号もことさら強調せず滑らかに行く、
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[36]からの総奏ffではhornを張り詰め緊迫感を強調する、弦の低い音域によるシンコペーションもじわっと来る効果、よく使われる手法に思える、
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提示部の終り、[39]からvnが弱拍のみ奏でるのはリズムの違いはあるがモーツァルトのレクイエム「ラクリモサ」のorch.パートを思わせる、(よく使われるパターンなのか?)
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moz re 2
またファイは休符に効果的なフェルマータをかけ、次への緊迫感を高める。後半の反復は行わず、アタッカで第二楽章に入る、これも効果的だ。(*反復すると13分ほどになる)
第二楽章 Allegro di moltoはvnが2分音符の主題、バス部が急速感をもった主題で始まる二重対位法で書かれる、
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始めはobをバス部に重ね、これが切迫感を出すのに効いている。
[14]から幾分穏やかな第二主題がでる、
[37]からのvn1、vn2、vaと続くカノンは度々現れ、引き付ける、
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ファイは思ったほど急速なテンポにはせず、楽章の緻密な構成を聴かせる、総奏ではhornを粗野に響かせ熱気を帯びる。
メヌエット Allegretto ヘ短調ですっきりした主題、主旋律と対位法的なバス旋律でバロック的書法、トリオはヘ長調となり簡潔なもの、急楽章に挟まれるので、比較的ゆったり演奏する。
終楽章 Presto ここは急速感十分にびしっと決めている、バスを強く、力感を込める、[21]のfに入ると心もち加速していくように聴こえる、展開部に入った[57]からも同様に感じる。vnパートがたびたび大きな跳躍を聴かせるのも緊迫感を強くする。

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: F.J.ハイドン

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有田正弘:モーツァルト fl協奏曲No.2  

国内盤があり、いつでも買えるものは後廻しになるが、これもぜひ聴きたいと思いつつ先送りになっていた、有田正弘氏のflトラヴェルソによる演奏、さすが日本の第一人者、2006年の録音だが、最先端の内容だろう。オケは寺神戸亮(vn)がリードする東京バッハ・モーツァルトO(ピリオド楽器)。flソロの管弦楽作品を集めた2枚組アルバムより、fl協奏曲No.2を聴いた。DENONの録音もこの上なく鮮明でナチュラル、各楽器の特徴まで聴こえてくるようだ。
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有田正弘(フラウト・トラヴェルソ)
寺神戸亮(リーダー)
東京バッハ・モーツァルト・オーケストラ
横浜みなとみらい小ホール 2006年 DENON


fl協奏曲No.2ニ長調 K.314
第一楽章 Allegro aperto、前奏は活気のある良いテンポで、しなやかタッチ、弦の美しさが際立つ、tuttiの力感も十分、flソロが始まるとオケの伴奏は各パート1人ずつが奏でるようにしている、これは当時の演奏習慣でもあったそうで、1本のflソロとバランスが取れ、弦パートは複数人が奏するよりも明瞭で美しい、[37]~など、vnが2本のみとなり、純粋な響きだ。
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有田氏のflトラヴェルソは高貴な雰囲気を漂わせ、特異な要素なく味わい深い、
第二楽章、Adagio ma non troppo ここも弦楽tuttiのしなやかさが印象的に始まる、そしてflソロになると伴奏も一人ずつ、この楽章はこれが一際効いてくる、[11]からflソロはぐっと弱音基調で囁くように内面的、2本だけのvn伴奏もデリケートに溶け合う、flソロは跳躍後の高音が一際滑らかで、これだけでも価値が高い、
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適切な装飾も加え、この曲の第二楽章の理想と思える。
終楽章、Rondeau Allegro ちょうど良い心地よいテンポ、テクニカルな楽章でもあるが、完璧でさらに鮮やかな装飾も見事、常に寄りそう伴奏の弦が美しく耳を引く。

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: モーツァルト

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T.ファイ:ハイドン 交響曲No.54  

ハイドンの交響曲54番もひじょうに優れた内容を持ちながら、単独盤ではあまり見かけないのがもったいない曲だ。全楽章バランスの取れた充実度がある。T.ファイのすべて心得たような演奏で聴くのがまた良い、15集で53番「帝国」とカップリングされている。
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トーマス・ファイ 指揮
ハイデルベルク交響楽団
2011年 Hänssler Classic


交響曲No.54ト長調
第一楽章 Adagio maestosoで付点リズムの荘重な序奏、ファイはパンチは効かせるが響きは涼やかなのが良い、Prestoの主部、弦が弾くリズミカルな旋律が第一主題だが、目立たない、同時に吹くhornが主題に聴こえる、総奏に入ると極めて活気に満ちる。
展開部は[65~129]と長く、第一主題で始まり、[109~117]で短い対位法を聴かせ、
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[118]からfzの力強い推進に移る、斬新さと活力に満ちた楽章。
第二楽章 Adagio assai、疾風怒涛期タイプの緩抒楽章として最もデリケートな傑作かもしれない、さすがにI氏も褒めている。vnには弱音器が付く、ファイはvnにpppレベルの弱奏を用い、管の音は現実のように、vnは夢想世界のように響かせる。前半の[42]からは例によってvn1をソロにする効果を使う。短調となる後半[50]から、スコアにはppの指定があるだけだが、ファイはこの例のような強弱法を取り入れ、奥行きを深める、
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そして展開部でobが加わり転調の移ろいを聴かせる、
再現部もすんなり型どおりでなく、[107]で意外な転調がある、[117]からカデンツァとなり、vn1、2、各1人の美しい二重奏を聴かせて閉じる。
メヌエット Allegrettoは跳びはねるユーモラスな主題、trp、timpも粗野なほどに効かせる、弦楽のみの弱奏との対比が大きい。トリオはテンポを緩め、一転して柔和な表情、メヌエットの再現では、timpのリズムに即興がある。
終楽章 Prestoも引き続き活力があり、入念に書かれた内容を持つ、ファイはバス部の動きを強調して聴かせ、終楽章に彫りの深さも与える、また反復の際、vn1の[74]および[78]のアウフタクトに上行パッセージの装飾を入れ、これが決まっている。
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ご覧いただき、ありがとうございました。

category: F.J.ハイドン

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モーツァルト:協奏曲 K.314、古楽器による演奏  

K.314といえば、お馴染みモーツァルトのオーボエ協奏曲ハ長調(1777)とフルート協奏曲No.2ニ長調(1778)で、同一曲であり、一般にはobのために先に書かれ、flのためにほぼ変更なく移調編曲されたと言われるが、確証はないそうだ。ob協奏曲の草稿は1920年に指揮者で研究家のベルンハルト・パウムガルトナーがモーツァルトの息子の遺品から発見している。
モーツァルトは自ら演奏したこともあって、ピアノ協奏曲が断然多いが、明快な管楽器のための協奏曲はやはり聴きやすく心地よい。m

じつに多くの録音があるが、当時の楽器、バロックob、flトラヴェルソによる録音が意外に少ない、半音進行やパッセージなどクロスフィンガリングの難しい技術の要りそうな曲でもある。
例として第一楽章に、難しそうな半音進行[147]もあるが、
1 mo ob 02
2 mo fl 02
もちろん、ここばかりではない。それぞれの楽器に応じ、適した変更がされた部分があるが、曲そのものの魅力は損なわれず・・というかflではより魅力的な効果を加えているようだ、
[44]はflではオクターヴ跳躍になる、
3 mo ob 01
4 mo fl 01
第二楽章はさすがにモーツァルトの群を抜いた美質が際立つ、緩抒楽章でのこのような旋律の跳躍的動きが心を満たす。
moz fl con02
第三楽章ロンド・アレグロは軽快で、より技巧的、装飾的な聴きどころを置く。

手元にある音盤で、まずバロックobによる演奏、
moz ob con
アルフレード・ベルナルディーニ(バロックob)
ジョナサン・コーエン(指揮) アルカンジェロ  
2014年 hyperion

今のところ、バロックobでこれに勝る演奏は見当たらない、コーエン指揮のアルカンジェロは程良く快速、透明感心地よく、vn2やvaのパートも明瞭に聴ける、この曲はソロの入りから聴かせどころだが、ベルナルディーニの滑らかさは申し分なく、バロックob独特の高域のツーンとくる響きは格別、装飾を加えた演奏もセンス良い、モダンobに対し、ある程度のぎこちなさ、というのが出るものだが、当演奏は流麗で、手作りな味わいが貴重だ。
第二楽章では、より"声"に近い表情を出せるのがわかる。
終楽章、幾分落ちついたテンポで装飾的パッセージをぴたりと決め、端正に引き付けて行く、カデンツァの演奏で一部、オケのobがハーモニーを添わせる。

次はflトラヴェルソによる演奏、
moz fl con
菅きよみ(flトラヴェルソ)
鈴木秀美(指揮) オーケストラ・リベラ・クラシカ
2003年 Arte dell arco

過去の録音ではバルトルド・クイケンの演奏が今も名演として価値が高いが、DHMによる録音は少々音質が硬いのが惜しかった。
近年の演奏で当盤はナチュラルな好録音も含め、貴重だと思う、菅きよみのflトラヴェルソのまったく淀みのない技術は素晴らしい。
第一楽章、当時に倣い前奏部分からソロflもvn1のパートを一緒に吹く、この一体の響きから魅力である、ソロの入りまで沈黙するよりこのほうが良い。急楽章においても微妙な音程のゆらぎを効果的に用い、flトラヴェルソならではの深い表情が感じられる。
第二楽章、弱奏でこの上なく柔らかで神聖な趣きに満たされる、純正な音程の味わい。
終楽章、装飾的動きが転がるように心地よい、ソロとオケがポリフォニックになる部分も弱奏で明瞭に聴ける。

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: モーツァルト

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T.ファイ:ハイドン 交響曲No.36  

T.ファイが活躍中の録音もいくつか聴いています。
今日は20集に入っている36番、これも初期作品として好きな曲で、先日グッドマンで聴いた17番と作曲年も近く、第一楽章は近似した作風が見られる、ただしこちらは4楽章ある。
fey hay 36
ハイデルベルク交響楽団
トーマス・ファイ指揮、2013年
Hänssler Classic


交響曲No.36変ホ長調
第一楽章 Vivace 装飾的で快調な主題が用いられるが、ファイは溌剌と切れ味良い。
例として[10]からのように
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vn1とvn2の主題の受け渡しが巧みで、全体にそんな書法が効いていて魅力、ここはvn1、2の左右配置で明確。[18]からのfでファイはhorを豪奏させ、気合いが入る、
[36]~[43]の短い部分が第二主題かもしれないが、
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展開部では断片的に現れる、
[1]~[60]が提示部、[61]~[120]が展開部、[121]~[165]が再現部、と区分され、展開部だけで提示部と同じ長さになる、[83]で一区切り置くようだが、
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大いに聴きどころで冗長さはない。
なおファイは展開部の[101]から一回目の演奏で心もち加速しているように聴こえる?いつの間にか元に戻り、反復ではインテンポに感じる。
第二楽章 Adagio は管は休みで、vnとvcによる二重協奏曲、しかもバロックのリトルネッロ形式で書かれる、センスの良い初期古典派的な趣きで、2人のソロは雅やかに聴かせる。
メヌエット、ゆっくりめでリズムはくっきり弾ませた演奏、トリオも含め、特に際立った特徴はない。
終楽章 Allegro(Presto) 上声部とバス部が対位法的に書かれる部分が多い、ファイは快速に引き締める。第一楽章の充実は素晴らしいが、この時期、メヌエットや終楽章は秀作ながら、十分に引き付ける内容とはいかないようだ。

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: F.J.ハイドン

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R.グッドマン:ハイドン 交響曲No.17  

今日はちょっと気分を変えて、R.グッドマンのハイドンを聴く、じつはこのCD、間違えて重複注文してしまった;17番~21番の5曲が入っているが、初期作品というのもじつに魅力があふれている。今日は3つの楽章で書かれた17番について、
good hay 17
ロイ・グッドマン指揮
ハノーヴァー・バンド
1993年録音 hyperion


交響曲No.17ヘ長調
第一楽章 Allegro 装飾性を帯びた流麗な主題が使われるあたり、また展開部が長大で充実した内容を持つところ、36番に近い作風に思える。じつに心地よい主題で始まる、
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ここをグッドマンは引き締めた表情をつけ、活気に満ちた感覚で開始の印象が魅力、ホグウッド盤も美しい演奏だが、もう一歩踏み込んだ楽しさ。
展開部はひじょうに長く[55]~[112]に渡る、第一主題で始め入念な書法、[80]でひと区切りだが、vn2は快調に繋がる、
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以後、流れの良さを保ちながら縦横無尽の書法が見事に続く、再現部[113]~は凝縮して変化を持たせて終る。当演奏はこの後半も反復するのが良いv
第二楽章 Andante,ma non troppoはヘ短調となり、簡潔なソナタ形式、
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感傷的な主題で、旋律美の楽章、グッドマンは節目の感覚を入れながら清涼にまとめる。
終楽章 Allegro molto 3/8拍子の軽快な楽章で疾風怒涛期のような緊迫に引き込む要素はなく、初期古典派らしい趣き。

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: F.J.ハイドン

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