Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

T.ピノック:J.S.バッハ チェンバロ 協奏曲No.1  

ある期間が経つと無性に聴きたくなる曲があり、バッハのチェンバロ協奏曲No.1がその一つ、久しぶりにLPを廻した。
t p bwv1052
トレヴァー・ピノック(指揮、チェンバロ)
イングリッシュ・コンサート 1979年


協奏曲No.1ニ短調BWV1052
いろいろ揃えたが、T.ピノックの指さばき鮮やかな演奏は手放せない、程良い快速でほぼインテンポ、整然と聴かせ、純度高く聴ける感じだ。
第一楽章、BWV1052は、はじめは刃金の筋が通ったような曲相に魅了されたが、原曲のvnの技法をそのまま鍵盤に移したところが引き付ける、譜例のような部分が20小節続く、
bwv1052 sc01
まずvnのA線の開放を弾きながら、同音異弦を響かせる、次はE線で出てくる、ピノックは二段鍵盤の上下を活用して響きを重ねて聴かせる、
またこの部分はD線を延々と弾く、
bwv 1052 sc02
同音が継続する上で転調する効果はこの曲に限らずバッハには多く聴かれる。
【*無伴奏vnパルティータBWV1006のプレリュードなども同様、このプレリュードもカンタータBWV29のシンフォニアに転用されるが、オルガン・ソロの上にvn的な技法を移している、これは変更してしまうと、つまらないだろう】
一方この部分、
bwv1052 sc03
もしかしたら、鍵盤的なアルペッジョに加筆しているかもしれないが、これは効果的。
第二楽章も短調なのが一味違う(ト短調)、バスが同じテーマを繰り返し、ソロの即興性を帯びた妙技が乗る。
終楽章、エネルギッシュな楽章で内容も充実する、原曲vnの多様な技法が推察され、ソロのクライマックスというべき部分が素晴らしい。
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ご覧いただき ありがとうございました。

category: J.S.バッハ

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N.ノース:バッハ「シャコンヌ」BWV1004(lute)  

バッハの「無伴奏vnパルティータNo.2ニ短調(BWV1004)」よりシャコンヌ、先日はオリジナルのヴァイオリン演奏だったが、今日は編曲もの、
当然、ギターやリュートにとっても難曲であるが、やるからにはバッハの原曲をその楽器ならではの美質(テイスト)で抱き込んではじめて納得できる。そのため原曲をよく理解し、自分の楽器が活きる適切な編曲が必要で奏者自身がやるほかないだろう。リュートによる録音もいくつかあった。
手持ちのナイジェル・ノースのバロックluteによる演奏、録音はノース、36歳頃である。
N N Lute
ナイジェル・ノース(バロックlute)
1990年録音 LINN

楽器はマイケル・ロウ作とあり、ジャーマン・テオルボと思われる、たっぷりとした余韻を響かせながらテーマを開始、原譜を見ながら聴くと、適切にバス音を加えている、また逆にこうしたところ、例:[189~]では内声とバスは余韻で繋げ、上声のみ弾いている、
T189.jpg
これもバロックluteの響き方に相応しく自然。
ギターやリュートはアルペッジョだけは得意である;よって[89]からは水を得た魚のように--(とまでは行かずとも)対応しやすい、
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[89]~アルペッジョ、構成音のみ書かれている
原譜では1拍分だけ、vn調弦に合う例が書かれているが、リュートでは右弾弦の工夫しだいで融通が効く。ノースは半拍6連符分けは行わず、流麗に落ち着いて進める、
[201]からのアルペッジョはまさに変幻自在、
bwv1004 b
[201]~アルペッジョ、構成音のみ書かれている
リュートに相応しいセンスで聴かせる、バロックluteは余韻の美しさを聴かせるのが本分、あまりテクニカルに小忙しくなるのは不自然、(個人的にはこの曲自体、合わないと思っているが)その点もかなり上手く治めた好演だ。

あと手元には福田進一のギター編もあり、名器を存分に鳴らしての演奏だが、「バロック」という感覚ではないので割愛する。

動画をあさってみた、ホプキンソン・スミスはテーマの演奏から脱力したバロックluteの物腰を印象づける。
h s bwv1004
Hopkinson Smith : Chaconne de Bach (1988)
[89]~アルペッジォは始めから半拍6連符で行く(途中、パターンを変える)リュートに小忙しい技は合わないが、もともと響孔寄りを弾く人なので柔らかく、さらりと聴かせる。

ホセ・ミゲル・モレーノはジャーマン・テオルボの弦をシングルにして弾いている、複雑な技法には対応しやすそうだ。
J.S.Bach Chaconne Lute version - Bronzino(Jose Miguel Moreno)
じっくりとした印象で始めるが、アルペッジォやパッセージは鮮やかに駆け抜ける、アルペッジォ・パターンは一定で4声部分はギター譜によくある2声同時弾きを加えている。

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: J.S.バッハ

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R.ポッジャー:バッハ「シャコンヌ」BWV1004(vn)  

バッハの無伴奏vnパルティータNo.2ニ短調(BWV1004)の終曲シャコンヌはvnのみならずピアノ、クラシックギター、さらに奏者によってはリュートでも演奏される超名曲だ。(*個人的にはちょっと内容が重すぎる作品だが;)バッハの手稿譜に対し、各奏者がどんな姿勢で取り組んでいるかも興味深いところ。m
手元にある盤からまず、レイチェル・ポッジャーのバロックvnによる演奏を聴く。
(ヴァイオリンには詳しくないので推測多し^^;)
r p bwv1004
BWV1001、1002、1004のアルバム
レイチェル・ポッジャー:バロックvn
使用楽器:1739年、ジェノヴァのペザリニウス作
1998年 CHANNEL CLASSICS

シャコンヌ始まりのテーマの演奏がまず印象づけるが、ポッジャーはしなやかに粘る味わい、バッハの手稿譜のスラーやレガート記号の付いたところ、無いところの表情づけを忠実に弾き分ける、ロマン派的な大袈裟な強弱法、アゴーギグはなく、透明な音色で明快に通す。
さて、[89]から[120]まで長いアルペッジョ指定された部分が続く、一つの聴きどころだが、手稿譜は始めの1拍分のみ、アルペッジョ・パターンが記されているのみで、後は構成音と基本リズムが書いてあるだけ、
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3声の部分は始めのようなパターンで行けそうだが、4声の部分がでてくる、いかに弾くかは奏者に委ねるところ、重音で2声一緒に弾いたり、半拍を6連符に分けたり、のちのvn奏者が実用版として書いた楽譜は多くあるようだが、
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6連符にした例
ここは奏者のオリジナルを期待したい、ポッジャーは6連符で対応のようだ(素早くてよく聴き取れないが;)。
[201]~[207]も短いが同様にアルペッジョ指定があり、ここは4声が続く、
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因みにこんなパターンの楽譜もあるようで、よく耳にするが、
bwv1004 c
あまり「アルペッジョ」という感覚じゃない、
ポッジャーはここも6連符で鮮やかに決め、終結に向け、穏やかに治める、好演の1枚だ。

PS.動画をいくつかあさってみた、
Viktoria Mullovaのバロックvnでの演奏、これは室内的で気張らず、弓をいっぱいに使わず、撥弦楽器の減衰する音を補うようで味わい深い。アルペッジョの4声部分は重音に見える?
v m bwv1004
動画:Viktoria Mullova: Chaconne (J.S. Bach BMV 1004)

Hilary Hahnはゆっくり目で端正だが、平坦に伸びた運弓の音は好みじゃない。
動画:J.S.Bach - Chaconne, BWV 1004 Hilary Hahn

ご覧いただき、ありがとうございました。

category: J.S.バッハ

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好録音再聴:リヒター、バッハ管弦楽組曲No.3&4(LP)  

今日もちょっと古い録音のLPです、古くからのバロックファンにはお馴染み、カール・リヒターのアルヒーフ盤ですが、同時期のフランスやイタリア系の音盤とはまるで違う趣きです。リヒターの演奏はまさしく楷書的で、直接音が主体の録音は決して綺麗なサウンドではないが;各声部が活き活きと湧きあがる、trpは鋭く、timpも生々しく押し出してくる、このある意味、武骨さにはちょっと嵌められてしまう;micha
r bach01
カール・リヒター:指揮
ミュンヘン・バッハO
1960~61年録音 アルヒーフ


管弦楽組曲No.3ニ長調BWV1068
序曲のグラーヴェはじっくりと反復される、フーガのアレグロに入ると各声部がしっかりとした足取りで整然と進められる。弦楽とob、fagoが重ねられる部分が多いが全員のぴたりと結束した合奏が筋肉質で味がある。弦楽のみのアリア、弦の編成は多いと思われるが、よく揃ったキメの細かい響き、何の飾りっ気もないが味わい深い。続く舞曲も序曲と同様に整然として活気に満ちた演奏。
動画→J.S. Bach Suite para Orquesta no 3 en Re Mayor, BWV 1068
演奏:K.リヒターほか

管弦楽組曲No.4ニ長調BWV1069
序曲、グラーヴェに続くアレグロは三連符に基づく付点リズムに終始するが、リヒターは折り目正しく引き付ける、trp、timpを含む祝祭的な作品と思われるが、弦と木管だけによる瞑想的な部分が少なくない、バッハらしい神秘的な要素が飽きさせない。この序曲はカンタータ第110番BWV110「喜び笑いあふれ」の第一曲に転用されている、
参考動画→Bach Cantate BWV 110-Unser Mund sei von Lachens
演奏:N.アーノンクールほか
カンタータが先に書かれた?ようにも思える内容だ。
終曲のレジュイサンスは傑作だ、複雑な対位法で書かれ、声部入り乱れたような聴き応え。
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レジュイサンス(弦パート):終わり近く
なお、この録音のCD化されたものは荒さが目立ち聴き辛かった、断然LPに軍配!
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category: J.S.バッハ

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F.ビオンディ:バッハ ヴァイオリン協奏曲ニ短調 BWV1052  

チェンバロ協奏曲第1番としてお馴染み、BWV1052といえば、バッハのコンチェルトの中でも最高傑作のひとつだが、原曲はvnソロの協奏曲と見て疑問の余地はない。残されているのは原曲のチェンバロへの編曲譜のみ、これまで多くのvn奏者が自ら復元を試み、演奏している。
いざ鍵盤編曲譜を見ると、どこまでが原曲の形で、どこまでが鍵盤的に書き直されたのか?本当に確信できる復元は難しそうだ、実際バッハ自身の編曲と原曲が残った曲でも、原曲を崩さずに移したところ、使用楽器らしく変えたところと様々だし^^;
BWV1052で明らかにvnの原曲どおり残したと思われるのはこの部分、
bwv1052 1st
まずA線の開放を弾きながら、同音異弦を響かせるところ、次はE線で出てくる、ここは引き付ける魅力で、バッハもあえて鍵盤的じゃないのを変更しなかったのではないか、今日チェンバロでの演奏もここは二段鍵盤の上段を活用して、同音異弦らしく響きを重ねて聴かせる方法(例:T.ピノック)もあり美しい、また同鍵上を左右の手を交互に使って弾く場合もある、これは切迫感があり、むしろvnの力強さに近い、後者の演奏例が多いようだ。

さて今日のビオンディのvnによる演奏は鍵盤的パッセージと思われる箇所を排除し、逆にvn的な要素を加えていて今までにない積極的な復元編曲が興味深い。復元が正しいかどうかより、音楽的に良い結果になることが大事かと。
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ファビオ・ビオンディ:指揮、vn エウロパ・ガランテ
ビオンディは各楽章、快速なテンポで闊達に決め、バッハの曲がイタリアのヴィルトーゾに委ねられたようで、そこも面白い。

category: J.S.バッハ

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ピノック:バッハ オーボエ・ダモーレ協奏曲  

バッハが声楽曲アリアのオブリカートでもよく使う、オーボエ・ダモーレは後のイングリッシュホルンであり、独特の魅力を持ったオーボエ属の楽器です。バッハの協奏曲も原曲譜が失われ、チェンバロ協奏曲BWV1055からの復元だそうですが、ソロはいかにもオーボエ・ダモーレらしい。いくつか音盤がありますが、やはりピノック盤、D.ライヒェンバーグ:ソロの録音が一番かな。
bach 3 konzerte
1984年、ロンドン
第一楽章の溌剌とした弦楽の開始、そこにゆったりとobダモーレが入る、この楽器の音はピンポイントではなく、その場で周囲に拡散して聴こえる、鳴り始めから印象深い。第二楽章はまさにこの楽器にふさわしい雰囲気、弦が同形のリズムで序奏するなか、obダモーレが哀愁を帯びたソロを歌う、聴きどころの楽章、終楽章は颯爽とした弦楽をバックにobダモーレのゆったりした歌いっぷりがいい、小忙しい旋律は似合わない楽器だ。

ところで、オーボエ・ダモーレの音が心地よく感じるのは写真のような、管の先に施した丸い膨らみの効果、
オーボエ
これと同質に感じるのが、人がナ行マ行を発音する際、鼻腔の膨らみを通して出す声だ、鼻づまりの声は心地よくない。
鼻くう

ここでまたリュートが登場^^;リュートのボディの断面は鼻腔の図と近い、この形状が心地よい音を作る重要な要素として維持されてきたのではないか?と思う。ソプラノ・リュートなど高域楽器ほど、その特徴がよく聴ける。テオルボサイズほどの低音になると、もはや形は何でもよいのかも??しれない^^;;

category: J.S.バッハ

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R.グッドマン:J.S.バッハ 管弦楽組曲第3&4番  

しばらく音盤鑑賞を休止していました。梅雨の最中、聴きたいのは晴々する音楽。
今日は随分前からあったロイ・グッドマンのバッハ管弦楽組曲第3&4番で、痛快、切れ味では今もピカイチの演奏で気に入っています。古楽器の天然素材らしい響きもよく味わえる。

bach suite 3 4
ロイ・グッドマン指揮、ブランデンブルク・コンソート
hyperion 1990


第3番ニ長調BWV1058
序曲のグラーヴェは付点リズムを強調した軽やかな感覚、アタッカで入るアレグロは一際快速、緊迫感のある主題のフーガは各パートが活き活きと湧きだしてくる、trpとtimpは景気良く押し出す、弦楽のvlをソロ演奏にして、危ういまでの快速が効いている。
次のアリアは引きずらずさっぱりとした基調、通奏低音をテオルボが奏で気分を変える、ここでもvlはソロで演奏、リピートでの装飾が趣味が良く、何度でも聴きたい。
ガヴォットも快速だが、圧縮した中にtrpはトリルを奏で、芸が細やか、ブーレー、ジーグとも快速基調、全楽章、妙技を込めながらもさらりとした感覚で一気に聴かせるところがいい。

第4番ニ長調BWV1059
こちらも序曲は軽やかに開始、trpとtimpが一際痛快に打ち出す、グラーヴェの中ですでに不思議な瞑想感も出てくる。アレグロの軽やかな付点リズムは第3番と対照的で入りの印象が何とも良いが、これも生命感が湧きだすテーマだ。オーボエ、ファゴットのみ、また弦楽のみで深い瞑想感を聴かせるところが、並みのフランス風序曲にはない、バッハならではの魅力、グッドマンはtrp、timpの出る箇所に絶妙な強弱対比を付け、ちょっと驚く効果を付ける。
次のブーレーがまた快速だが、リズムの快感を聴かせる、中間部でオーボエとファゴットのトリオとなるが、ファゴットは延々細かな動きが要求され、ここも危ういまでのテクニックが聴かせどころ。
最後のレジュイサンスは傑作だが、グッドマンは期待どおり、複雑な仕掛けの楽章を惜しげもなく痛快に推し進める。

追加で入っている、BWV29のシンフォニア、これは無伴奏vlパルティータBWV1006のプレリュードが原曲、メインパートはオルガンが演奏し、快速軽やか、そこに管弦楽が加わるとヘンデル風の輝かしい曲になる。

category: J.S.バッハ

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渡邊順生:バッハ ラウテンヴェルクのための音楽  

ラウテンヴェルク(リュート・チェンバロ)によるバッハの録音は結構古くからあるが、新しいところではNAXOS盤のエリザベス・ファーによる演奏、今回取り寄せたALM盤、渡邊順生の演奏があり、両CDの表紙には響孔周囲の写真が載っていて、そっくり、

watanabe bach01
ALM RECORDS 2011年録音
それもそのはず、アメリカの製作家、ケイス・ヒル(keith hill)による同一の楽器のようだ。
lautenwerk by keith hill
同じ楽器を異なる奏者と録音スタッフで聴くのも面白い。
watanabe bach02

見た目は普通のチェンバロだが、ガット弦を張っている、写真から察するに、一部ナイルガットに見える弦もある、しかしこれでリュートによく似た音が出るわけではない。そしてダンパー(消音機構)が無いそうだ。確かに金属弦より音の余韻は短いのでダンパーは要らないかも、むしろ適度に音が重なっていくところがリュート的な魅力となり、バッハもこれに惹かれたのではないか?幻想的な"残響音"を楽器自身が発している。よってあまりに急速な演奏は避け、余韻を味あわせる弾き方が望ましい。

渡邊氏の録音で興味深いのは選曲、ラウテンヴェルクに相応しい曲を1枚にまとめている。タブラチュアが残され、リュートでの演奏も多いBWV995や1000は除き、鍵盤向きな996、998、997、999を演奏、さらにソナタ ニ短調BWV964がいい、この原曲は無伴奏vlソナタNo.2 イ短調BWV1003をバッハ自ら鍵盤に編曲したと思われ、5度低く移調した響きもラウテンヴェルクに相応しい、原曲のvlソロと比べると、特に第二楽章フーガでは、決して"後付け"に聴こえない声部の補充がある、元々原曲が持っていた遺伝子が湧きだすようだ、バッハ以外にこんな編曲ができるだろうか?と思わせる。
なお、996、998の演奏は渡邊氏の師であるG.レオンハルトを彷彿させる。998の締めくくり、アレグロの足取りがじつに心地よい、左手は鍵盤的だが、通常の鍵盤作品よりはずっとシンプルである。バッハのいわゆる"リュート作品"は鍵盤曲ほど複雑に入り組んでいない分、明快な美しさが浮かんでくるのかもしれない。

category: J.S.バッハ

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桐山建志&大塚直哉:バッハ ヴァイオリンと鍵盤の為の作品集 vol.5  

先日のバッハBWV1025がきっかけで、日本の若手古楽奏者の演奏に興味が湧き、取り寄せた2枚組、桐山建志:vlと大塚直哉:cemがシリーズで録音した最後の第5集です。これはvl、鍵盤、そしてlute弾きにも興味引きそうな内容になっている、バッハの遺産目録には数台のヴァイオリン属や鍵盤楽器等に加え、高価なリュートが一つ、ラウテンヴェルクが2台あったそうです。バッハはやはりリュートにもご執心だったようですね。そんなバッハ家のプライベートな楽しみを伝えてくれるようなアルバムとなっています。音楽的にナチュラルで装飾のセンスも良い好演で聴けるのは嬉しい。

bach 1025
2005-2006年、山梨市花かげホール

まず面白いのは無伴奏vlソナタBWV1001を大塚がチェンバロで弾いている、第一楽章アダージョの冒頭を使って短いプレリュードにアレンジして弾く(これがセンスいい)、続いてフーガとなるが、これはBWV1000のほう、つまりリュート・タブラチュアとして残された版を忠実に演奏している、
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フーガ ト短調 BWV1000 冒頭
BWV1000は実用的なリュート編曲版だが、当演奏ではあたかもチェンバロ用であるかのような自然さを感じる。エリザベス・ファーもラウテンヴェルクを使って同じ版で弾いていた。

注目の鍵盤とヴァイオリンのための組曲イ長調 BWV1025、これはバッハの楽譜どおり、チェンバロとヴァイオリンで演奏した録音は少ないと思われるので貴重だ。リュートで弾く場合に対しチェンバロではオクターヴ高く演奏されるのでヴァイオリンとの噛み合いも良い、第二楽章以後はヴァイスの原作がドレスデン写本にあり、これにバッハがvlパートを重ね、トリオになっている。このBWV1025の頭に新たに置いたファンタジアはどうか、楽譜を見るとやはり鍵盤パートはリュート的であり、これこそ二人のその場での共作ではなかろうか?
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ファンタジア、最後の部分
このバス弦を駆使した聴かせどころ、いかにもヴァイスらしい。ちなみにL.キルヒホーフはこの楽譜どおりリュートで弾いている。

ちょっと昔、巨匠演奏家の時代、バッハのvlソナタや無伴奏vlなどの楽譜に、当時の奏者が強弱や表情記号をびっしり書き込んだ"誰々編"とかいう出版譜が出回っていた、また鍵盤パートには今の通奏低音ではやらないような右手のリアライゼーションが書かれていて、取りあえずの実用版だったろうが、とてもこのままに聴きたいと思えるものではなかった。原典に忠実な楽譜がまず不可欠。

参考動画: Bach - SONATA FOR VIOLIN AND CONTINUO IN A DUR BWV 1025
Reinhard Goebel, Violin  Robert Hill, Harpsichord

category: J.S.バッハ

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J.S.バッハ 鍵盤とヴァイオリンのための組曲イ長調 BWV1025  

大バッハの作品ともなれば、たとえヴァイオリンを弾かない人でも、vn曲の楽譜を取り寄せてみようという興味は湧くでしょう、しかしS.L.ヴァイスのリュート曲なんて、本当にリュートを弾く人でもない限り、まず取り寄せたりしない;
そこで昨日話題にしたバッハのBWV1025です、これはバッハとヴァイスの共同作品、大まかに言うと、ヴァイスの書いたリュート独奏曲にバッハがヴァイオリンのオブリカートを加え、さらに冒頭楽章として、ファンタジアを書き加えたものです。この事実に気付いたのは音楽専門家ではなく、たしかアマチュアのリュート弾きさん、20世紀も終り頃です。想像するに"彼はヴァイスのドレスデン写本を弾きあさっていたら、この中でイ長調の組曲がどこかで聴き憶えがあった・・これバッハの曲にあったじゃん!"てな感じでしょうか^^?研究家の先生方も奇妙な曲だとは思っていたでしょうが、ヴァイスの曲までは目が届かなかったというわけ。
ヴァイスがバッハ家を訪れた際の(お仕事抜きの)至福の時間の産物かもしれません。
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シルヴィウス・レオポルト・ヴァイス(1687-1750)

鍵盤とヴァイオリンのための組曲イ長調 BWV1025
楽章は、ファンタジア、クーラント、アントレ、ロンド、サラバンド、メヌエット、アレグロ、と続いて結構長大。
クーラントの始まりを見てみると、鍵盤パートがヴァイスが書いた部分、
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左手が単純なのはいかにもバロックluteのバスらしい、バッハは鍵盤にとって合理的に変更している所もあるが、基本的にヴァイスのオリジナルを尊重していて、大きく変わってはいない。
vnパートはヴァイスの旋律からヒントを受けたようにポリフォニックだったり、並行で動いたり、無限の発想力を持ったバッハの才気を感じる。味わい深いコンチェルトの技の一端を見るようでもある。
こちらはヴァイスの原曲
bwv1025 co tab

謎なのは冒頭のファンタジア、これはバッハ単独で書いたのか?よく見ると鍵盤の左手パートはヴァイスがバス弦を駆使した高度な作品のようにも思える、難しいけどリュート的で無理な変化記号もない、これも共同作品かも。
この作品でバッハはバロックリュート作品を鍵盤に置き換え、リュートの特性もよく知っているはず、BWV998みたいなメチャクチャ難しい曲をリュート曲だとして書くはずがない;

さてこんな珍重な曲の演奏は少ない、手元にあるのはルッツ・キルヒホーフのluteとジュリアーノ・カルミニョーラのvnによる演奏、
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2001年、SONY CLASSICAL
キルヒホーフはジャーマン・テオルボ(バス弦を長くしたバロックリュート)を使い、より響きを明確にしている。鍵盤のパートをリュートに戻して、つまりヴァイスのタブラチュアに置き換えての演奏で興味深い。

category: J.S.バッハ

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