Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話題など

好録音再聴:リヒター、バッハ管弦楽組曲No.3&4(LP)  

今日もちょっと古い録音のLPです、古くからのバロックファンにはお馴染み、カール・リヒターのアルヒーフ盤ですが、同時期のフランスやイタリア系の音盤とはまるで違う趣きです。リヒターの演奏はまさしく楷書的で、直接音が主体の録音は決して綺麗なサウンドではないが;各声部が活き活きと湧きあがる、trpは鋭く、timpも生々しく押し出してくる、このある意味、武骨さにはちょっと嵌められてしまう;micha
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カール・リヒター:指揮
ミュンヘン・バッハO
1960~61年録音 アルヒーフ


管弦楽組曲No.3ニ長調BWV1068
序曲のグラーヴェはじっくりと反復される、フーガのアレグロに入ると各声部がしっかりとした足取りで整然と進められる。弦楽とob、fagoが重ねられる部分が多いが全員のぴたりと結束した合奏が筋肉質で味がある。弦楽のみのアリア、弦の編成は多いと思われるが、よく揃ったキメの細かい響き、何の飾りっ気もないが味わい深い。続く舞曲も序曲と同様に整然として活気に満ちた演奏。
動画→J.S. Bach Suite para Orquesta no 3 en Re Mayor, BWV 1068
演奏:K.リヒターほか

管弦楽組曲No.4ニ長調BWV1069
序曲、グラーヴェに続くアレグロは三連符に基づく付点リズムに終始するが、リヒターは折り目正しく引き付ける、trp、timpを含む祝祭的な作品と思われるが、弦と木管だけによる瞑想的な部分が少なくない、バッハらしい神秘的な要素が飽きさせない。この序曲はカンタータ第110番BWV110「喜び笑いあふれ」の第一曲に転用されている、
参考動画→Bach Cantate BWV 110-Unser Mund sei von Lachens
演奏:N.アーノンクールほか
カンタータが先に書かれた?ようにも思える内容だ。
終曲のレジュイサンスは傑作だ、複雑な対位法で書かれ、声部入り乱れたような聴き応え。
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レジュイサンス(弦パート):終わり近く
なお、この録音のCD化されたものは荒さが目立ち聴き辛かった、断然LPに軍配!
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category: J.S.バッハ

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F.ビオンディ:バッハ ヴァイオリン協奏曲ニ短調 BWV1052  

チェンバロ協奏曲第1番としてお馴染み、BWV1052といえば、バッハのコンチェルトの中でも最高傑作のひとつだが、原曲はvnソロの協奏曲と見て疑問の余地はない。残されているのは原曲のチェンバロへの編曲譜のみ、これまで多くのvn奏者が自ら復元を試み、演奏している。
いざ鍵盤編曲譜を見ると、どこまでが原曲の形で、どこまでが鍵盤的に書き直されたのか?本当に確信できる復元は難しそうだ、実際バッハ自身の編曲と原曲が残った曲でも、原曲を崩さずに移したところ、使用楽器らしく変えたところと様々だし^^;
BWV1052で明らかにvnの原曲どおり残したと思われるのはこの部分、
bwv1052 1st
まずA線の開放を弾きながら、同音異弦を響かせるところ、次はE線で出てくる、ここは引き付ける魅力で、バッハもあえて鍵盤的じゃないのを変更しなかったのではないか、今日チェンバロでの演奏もここは二段鍵盤の上段を活用して、同音異弦らしく響きを重ねて聴かせる方法(例:T.ピノック)もあり美しい、また同鍵上を左右の手を交互に使って弾く場合もある、これは切迫感があり、むしろvnの力強さに近い、後者の演奏例が多いようだ。

さて今日のビオンディのvnによる演奏は鍵盤的パッセージと思われる箇所を排除し、逆にvn的な要素を加えていて今までにない積極的な復元編曲が興味深い。復元が正しいかどうかより、音楽的に良い結果になることが大事かと。
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ファビオ・ビオンディ:指揮、vn エウロパ・ガランテ
ビオンディは各楽章、快速なテンポで闊達に決め、バッハの曲がイタリアのヴィルトーゾに委ねられたようで、そこも面白い。

category: J.S.バッハ

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ピノック:バッハ オーボエ・ダモーレ協奏曲  

バッハが声楽曲アリアのオブリカートでもよく使う、オーボエ・ダモーレは後のイングリッシュホルンであり、独特の魅力を持ったオーボエ属の楽器です。バッハの協奏曲も原曲譜が失われ、チェンバロ協奏曲BWV1055からの復元だそうですが、ソロはいかにもオーボエ・ダモーレらしい。いくつか音盤がありますが、やはりピノック盤、D.ライヒェンバーグ:ソロの録音が一番かな。
bach 3 konzerte
1984年、ロンドン
第一楽章の溌剌とした弦楽の開始、そこにゆったりとobダモーレが入る、この楽器の音はピンポイントではなく、その場で周囲に拡散して聴こえる、鳴り始めから印象深い。第二楽章はまさにこの楽器にふさわしい雰囲気、弦が同形のリズムで序奏するなか、obダモーレが哀愁を帯びたソロを歌う、聴きどころの楽章、終楽章は颯爽とした弦楽をバックにobダモーレのゆったりした歌いっぷりがいい、小忙しい旋律は似合わない楽器だ。

ところで、オーボエ・ダモーレの音が心地よく感じるのは写真のような、管の先に施した丸い膨らみの効果、
オーボエ
これと同質に感じるのが、人がナ行マ行を発音する際、鼻腔の膨らみを通して出す声だ、鼻づまりの声は心地よくない。
鼻くう

ここでまたリュートが登場^^;リュートのボディの断面は鼻腔の図と近い、この形状が心地よい音を作る重要な要素として維持されてきたのではないか?と思う。ソプラノ・リュートなど高域楽器ほど、その特徴がよく聴ける。テオルボサイズほどの低音になると、もはや形は何でもよいのかも??しれない^^;;

category: J.S.バッハ

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R.グッドマン:J.S.バッハ 管弦楽組曲第3&4番  

しばらく音盤鑑賞を休止していました。梅雨の最中、聴きたいのは晴々する音楽。
今日は随分前からあったロイ・グッドマンのバッハ管弦楽組曲第3&4番で、痛快、切れ味では今もピカイチの演奏で気に入っています。古楽器の天然素材らしい響きもよく味わえる。

bach suite 3 4
ロイ・グッドマン指揮、ブランデンブルク・コンソート
hyperion 1990


第3番ニ長調BWV1058
序曲のグラーヴェは付点リズムを強調した軽やかな感覚、アタッカで入るアレグロは一際快速、緊迫感のある主題のフーガは各パートが活き活きと湧きだしてくる、trpとtimpは景気良く押し出す、弦楽のvlをソロ演奏にして、危ういまでの快速が効いている。
次のアリアは引きずらずさっぱりとした基調、通奏低音をテオルボが奏で気分を変える、ここでもvlはソロで演奏、リピートでの装飾が趣味が良く、何度でも聴きたい。
ガヴォットも快速だが、圧縮した中にtrpはトリルを奏で、芸が細やか、ブーレー、ジーグとも快速基調、全楽章、妙技を込めながらもさらりとした感覚で一気に聴かせるところがいい。

第4番ニ長調BWV1059
こちらも序曲は軽やかに開始、trpとtimpが一際痛快に打ち出す、グラーヴェの中ですでに不思議な瞑想感も出てくる。アレグロの軽やかな付点リズムは第3番と対照的で入りの印象が何とも良いが、これも生命感が湧きだすテーマだ。オーボエ、ファゴットのみ、また弦楽のみで深い瞑想感を聴かせるところが、並みのフランス風序曲にはない、バッハならではの魅力、グッドマンはtrp、timpの出る箇所に絶妙な強弱対比を付け、ちょっと驚く効果を付ける。
次のブーレーがまた快速だが、リズムの快感を聴かせる、中間部でオーボエとファゴットのトリオとなるが、ファゴットは延々細かな動きが要求され、ここも危ういまでのテクニックが聴かせどころ。
最後のレジュイサンスは傑作だが、グッドマンは期待どおり、複雑な仕掛けの楽章を惜しげもなく痛快に推し進める。

追加で入っている、BWV29のシンフォニア、これは無伴奏vlパルティータBWV1006のプレリュードが原曲、メインパートはオルガンが演奏し、快速軽やか、そこに管弦楽が加わるとヘンデル風の輝かしい曲になる。

category: J.S.バッハ

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渡邊順生:バッハ ラウテンヴェルクのための音楽  

ラウテンヴェルク(リュート・チェンバロ)によるバッハの録音は結構古くからあるが、新しいところではNAXOS盤のエリザベス・ファーによる演奏、今回取り寄せたALM盤、渡邊順生の演奏があり、両CDの表紙には響孔周囲の写真が載っていて、そっくり、

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ALM RECORDS 2011年録音
それもそのはず、アメリカの製作家、ケイス・ヒル(keith hill)による同一の楽器のようだ。
lautenwerk by keith hill
同じ楽器を異なる奏者と録音スタッフで聴くのも面白い。
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見た目は普通のチェンバロだが、ガット弦を張っている、写真から察するに、一部ナイルガットに見える弦もある、しかしこれでリュートによく似た音が出るわけではない。そしてダンパー(消音機構)が無いそうだ。確かに金属弦より音の余韻は短いのでダンパーは要らないかも、むしろ適度に音が重なっていくところがリュート的な魅力となり、バッハもこれに惹かれたのではないか?幻想的な"残響音"を楽器自身が発している。よってあまりに急速な演奏は避け、余韻を味あわせる弾き方が望ましい。

渡邊氏の録音で興味深いのは選曲、ラウテンヴェルクに相応しい曲を1枚にまとめている。タブラチュアが残され、リュートでの演奏も多いBWV995や1000は除き、鍵盤向きな996、998、997、999を演奏、さらにソナタ ニ短調BWV964がいい、この原曲は無伴奏vlソナタNo.2 イ短調BWV1003をバッハ自ら鍵盤に編曲したと思われ、5度低く移調した響きもラウテンヴェルクに相応しい、原曲のvlソロと比べると、特に第二楽章フーガでは、決して"後付け"に聴こえない声部の補充がある、元々原曲が持っていた遺伝子が湧きだすようだ、バッハ以外にこんな編曲ができるだろうか?と思わせる。
なお、996、998の演奏は渡邊氏の師であるG.レオンハルトを彷彿させる。998の締めくくり、アレグロの足取りがじつに心地よい、左手は鍵盤的だが、通常の鍵盤作品よりはずっとシンプルである。バッハのいわゆる"リュート作品"は鍵盤曲ほど複雑に入り組んでいない分、明快な美しさが浮かんでくるのかもしれない。

category: J.S.バッハ

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桐山建志&大塚直哉:バッハ ヴァイオリンと鍵盤の為の作品集 vol.5  

先日のバッハBWV1025がきっかけで、日本の若手古楽奏者の演奏に興味が湧き、取り寄せた2枚組、桐山建志:vlと大塚直哉:cemがシリーズで録音した最後の第5集です。これはvl、鍵盤、そしてlute弾きにも興味引きそうな内容になっている、バッハの遺産目録には数台のヴァイオリン属や鍵盤楽器等に加え、高価なリュートが一つ、ラウテンヴェルクが2台あったそうです。バッハはやはりリュートにもご執心だったようですね。そんなバッハ家のプライベートな楽しみを伝えてくれるようなアルバムとなっています。音楽的にナチュラルで装飾のセンスも良い好演で聴けるのは嬉しい。

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2005-2006年、山梨市花かげホール

まず面白いのは無伴奏vlソナタBWV1001を大塚がチェンバロで弾いている、第一楽章アダージョの冒頭を使って短いプレリュードにアレンジして弾く(これがセンスいい)、続いてフーガとなるが、これはBWV1000のほう、つまりリュート・タブラチュアとして残された版を忠実に演奏している、
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フーガ ト短調 BWV1000 冒頭
BWV1000は実用的なリュート編曲版だが、当演奏ではあたかもチェンバロ用であるかのような自然さを感じる。エリザベス・ファーもラウテンヴェルクを使って同じ版で弾いていた。

注目の鍵盤とヴァイオリンのための組曲イ長調 BWV1025、これはバッハの楽譜どおり、チェンバロとヴァイオリンで演奏した録音は少ないと思われるので貴重だ。リュートで弾く場合に対しチェンバロではオクターヴ高く演奏されるのでヴァイオリンとの噛み合いも良い、第二楽章以後はヴァイスの原作がドレスデン写本にあり、これにバッハがvlパートを重ね、トリオになっている。このBWV1025の頭に新たに置いたファンタジアはどうか、楽譜を見るとやはり鍵盤パートはリュート的であり、これこそ二人のその場での共作ではなかろうか?
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ファンタジア、最後の部分
このバス弦を駆使した聴かせどころ、いかにもヴァイスらしい。ちなみにL.キルヒホーフはこの楽譜どおりリュートで弾いている。

ちょっと昔、巨匠演奏家の時代、バッハのvlソナタや無伴奏vlなどの楽譜に、当時の奏者が強弱や表情記号をびっしり書き込んだ"誰々編"とかいう出版譜が出回っていた、また鍵盤パートには今の通奏低音ではやらないような右手のリアライゼーションが書かれていて、取りあえずの実用版だったろうが、とてもこのままに聴きたいと思えるものではなかった。原典に忠実な楽譜がまず不可欠。

参考動画: Bach - SONATA FOR VIOLIN AND CONTINUO IN A DUR BWV 1025
Reinhard Goebel, Violin  Robert Hill, Harpsichord

category: J.S.バッハ

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J.S.バッハ 鍵盤とヴァイオリンのための組曲イ長調 BWV1025  

大バッハの作品ともなれば、たとえヴァイオリンを弾かない人でも、vn曲の楽譜を取り寄せてみようという興味は湧くでしょう、しかしS.L.ヴァイスのリュート曲なんて、本当にリュートを弾く人でもない限り、まず取り寄せたりしない;
そこで昨日話題にしたバッハのBWV1025です、これはバッハとヴァイスの共同作品、大まかに言うと、ヴァイスの書いたリュート独奏曲にバッハがヴァイオリンのオブリカートを加え、さらに冒頭楽章として、ファンタジアを書き加えたものです。この事実に気付いたのは音楽専門家ではなく、たしかアマチュアのリュート弾きさん、20世紀も終り頃です。想像するに"彼はヴァイスのドレスデン写本を弾きあさっていたら、この中でイ長調の組曲がどこかで聴き憶えがあった・・これバッハの曲にあったじゃん!"てな感じでしょうか^^?研究家の先生方も奇妙な曲だとは思っていたでしょうが、ヴァイスの曲までは目が届かなかったというわけ。
ヴァイスがバッハ家を訪れた際の(お仕事抜きの)至福の時間の産物かもしれません。
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シルヴィウス・レオポルト・ヴァイス(1687-1750)

鍵盤とヴァイオリンのための組曲イ長調 BWV1025
楽章は、ファンタジア、クーラント、アントレ、ロンド、サラバンド、メヌエット、アレグロ、と続いて結構長大。
クーラントの始まりを見てみると、鍵盤パートがヴァイスが書いた部分、
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左手が単純なのはいかにもバロックluteのバスらしい、バッハは鍵盤にとって合理的に変更している所もあるが、基本的にヴァイスのオリジナルを尊重していて、大きく変わってはいない。
vnパートはヴァイスの旋律からヒントを受けたようにポリフォニックだったり、並行で動いたり、無限の発想力を持ったバッハの才気を感じる。味わい深いコンチェルトの技の一端を見るようでもある。
こちらはヴァイスの原曲
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謎なのは冒頭のファンタジア、これはバッハ単独で書いたのか?よく見ると鍵盤の左手パートはヴァイスがバス弦を駆使した高度な作品のようにも思える、難しいけどリュート的で無理な変化記号もない、これも共同作品かも。
この作品でバッハはバロックリュート作品を鍵盤に置き換え、リュートの特性もよく知っているはず、BWV998みたいなメチャクチャ難しい曲をリュート曲だとして書くはずがない;

さてこんな珍重な曲の演奏は少ない、手元にあるのはルッツ・キルヒホーフのluteとジュリアーノ・カルミニョーラのvnによる演奏、
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2001年、SONY CLASSICAL
キルヒホーフはジャーマン・テオルボ(バス弦を長くしたバロックリュート)を使い、より響きを明確にしている。鍵盤のパートをリュートに戻して、つまりヴァイスのタブラチュアに置き換えての演奏で興味深い。

category: J.S.バッハ

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バッハの記憶  

昔、たまたまラジオのスイッチを入れて、何ともいえず良い曲が流れてきた、途中からだけどすぐにカセットテープに入れて、何度聴いてもいい。アナウンスによると「バッハ作曲、ブランデンブルク協奏曲第2番」とのこと。
べつに初めて聴いた感じではないんです、幼いころからラジオなどで耳馴染んでいたバロック音楽の特に良い曲として聴こえてきたわけです。音楽の予備知識なしに、いきなり頭の琴線を響かせた、バッハにはこういう子供のような白紙の頭を共鳴させる力があると思っています。これがバッハ、さらにバロックの数々を積極的に聴き始めたきっかけです。バッハ入門として、いきなり半音階的幻想曲とフーガなど聴かないほうがいいでしょう。
いつもバロックリュートで弾いているS.L.ヴァイスもバッハと交流のあった人です、ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタBWV1025は共同作品でその証し。

バッハの何か易しい曲でも楽しめないか、
電子チェンバロが、長く机替りになっている;
子供のピアノのお稽古に付き合って以来、ご無沙汰の鍵盤、
鍵盤
まあ、あと一年弱で暇を作る予定ですから、バッハの"音楽手帳"やインベンションなど易しいのをゆっくりやってみたいです、楽器によって指の筋肉の使い方が違うし、手を伏せた格好で動かす、というのは随分勝手が違います。指は速く動かせないのでまずは装飾音など省略。
リュートでバッハを弾く計画はありません;;鍵盤がいいんです;

category: J.S.バッハ

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アスペレン:J.S.バッハ チェンバロ協奏曲集  

限定発売で名演が多くお買い得なveritas 2cdより1セット、バッハのチェンバロ協奏曲集を注文したところ、私が最後で品切れになった。
チェンバロと指揮がボブ・ファン・アスペレン、合奏はメランテ・アムステルダムの演奏、収録は1台のチェンバロの為の作品に絞られて2枚組になっている。バックは各パート1人ずつ、 チェンバロをピックアップせず、自然なバランスで録音されている、どこかほっとするしなやかな響きで、聴いた瞬間、この表紙画のような雰囲気が漂う。終止インテンポで骨組みはしっかりした印象、ソロはさほど飾り立てず、スリリングな達演に巻き込むことも控え、作品自体の内容にじっくり引き込むようだ。

bach cem con
ボブ・ファン・アスペレン:cemb
メランテ・アムステルダム


CD1は初めに第2番ホ長調BWV1053、これは第1番と同格なほど傑作と思う、第一楽章は始まりは溌剌とした主題のリトルネッロだが、中間部が非常に凝った展開部となっていて、ソロと合奏パートが遊離したような不思議な部分もある、聴けば聴くほど深みにはまり、飽きることはない。第二楽章はシチリアーノだが、この曲にふさわしく充実している。終楽章も第一楽章と同じ構成をとり、半音進行のテーマが現れたり、じっくり聴き応えのある楽章だ。
次に第1番ニ短調BWV1052、第一楽章は全パートがユニゾンで打ち出す主題は力強いとともにストイックな味、失われたvl協奏曲が原曲だが、あえてvl的な奏法をチェンバロに写した書き方が効を奏していて、聴き手を引き込む。幾人かのvl奏者が復元を試みて、演奏しているが、完全にvlらしく復元できそうで、疑問に思う部分も残るのが奥が深いというか、本当にバッハの編曲は一筋縄ではいかない;

CD2にはめったに演奏されない第8番ニ短調BWV1059が最後に入っていて、これは隠し弾である、原曲はオーボエ協奏曲だそうだが、これも失われている。バッハの真作だろうか、と少し疑問も湧くのがまた、不思議な楽しみでもある。バッハは他の作曲家の作品も写譜したり編曲したりしているので、傑作として親しまれてきた曲が真作じゃない、なんてこともあるかもしれない;BWV1052でさえ・・??!これはバッハと関りのあった無名の作曲家をつぶさに調査しないとわからないでしょう;

category: J.S.バッハ

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K.リヒター:J.S.バッハ カンタータ BWV51  

先日、パっと目についたアルヒーフのジャケット、カール・リヒター指揮による、バッハのカンタータBWV51、199です。1971~72年の新録音でBWV51のtpはピエール・ティボーが吹いている、とくれば放って置けない;これも外販セールを覗いた甲斐があったというもの。
リヒターは'60年前後にも一連のカンタータ録音をしていて、BWV51も、マリア・シュターダーがspを歌った旧盤があるのだが、再録音したのは、tpのP.ティボーを迎えてのことか、この作品はtpの名手が不可欠です。当時はゴットフリート・ライヒェのようなtpの達人が演奏したことでしょう。当盤のspはエディト・マティス。また新録音は旧盤のマルチ・マイクさながら、という感じじゃなく、自然な音場感のあるもの、各パートのバランスの良さは変らずです。

リヒターBWV51
ソプラノ:エディト・マティス
トランペット:ピエール・ティボー
カール・リヒター指揮:ミュンヘン・バッハ管弦楽団


BWV51「全地よ、神にむかいて歓呼せよ」
1曲目、アリア「全地よ、神にむかいて歓呼せよ」からtpが活躍、ティボーのtpは明快でブリリアント、リヒターの演奏にはふさわしい、独唱にtp、弦楽がテーマを繰り返し重ねて行くコンチェルト風の形式。
2曲目、レチタティーヴォ「我らは宮にむかいて伏し拝む」、短調に変り、通奏低音のオスティナートにのせてレチタティーヴォが歌われる、後半はアリオーソ、
3曲目、アリア「いと高き者よ、汝の慈しみを」は前曲と同じく、イ短調で同じテーマを繰り返す通奏低音に自由な独唱旋律が見事に重ねられる。
4曲目、コラール「賛美と誉れ栄光」は2つのソロvlと通奏低音によるトリオに独唱がコラール旋律を歌う、このvlソロがまた美しい。
5曲目、前曲からアタッカで続くアリア「ハレルヤ」、フーガ形式だが厳密ではなく、独唱とtpの技巧的な要素を存分に盛り込み楽しませる。
BWV51は古楽のJ.E.ガーディナー、E.カークビー盤もお気に入りだが、リヒターによるスコアの全てをきっちり聴かせてくれる充足感は替え難い価値がある。 

category: J.S.バッハ

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