Micha: Classic音楽とLuteの楽しみ

クラシック音楽とリュート、宇宙・科学の話など

バッハの編曲術  

バッハは教会、世俗カンタータ合わせ、200曲を超える数を書いているが、さすがに全て新作で、というのは無理だっただろう、前作を転用するのは常、とくに器楽曲として書かれたもので、カンタータの内容にふさわしいものを冒頭のシンフォニア等に編曲しているが、これがまた面白い。

カンタータ「われ心より至高なるものを愛す」BWV174
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you tube:J. S. Bach: Ich liebe den Hochsten von ganzem Gemute (BWV 174) (Koopman)
ご存じ、ブランデンブルクcon.の第3番、弦楽だけの原曲に管楽器が加わる。

カンタータ「神よ、我ら汝に感謝す」BWV29
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tou tube:J.S. Bach~ Cantata BWV 29 'Wir danken dir, Gott, wir danken dir': Sinfonia
これもお馴染み、無伴奏vnパルティータ ホ長調 BWV1006のプレリュード、バッハはお気に入りだったのか、これをラウテンヴェルク用にも編曲している→(you tube:BWV1006a
 
カンタータ「我ら多くの艱難を経て」BWV146
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you tube:J.S. Bach Cantata BWV 146 "Wir mussen durch viel Trubsal"
これはあのチェンバロ協奏曲No.1の第一楽章、ソロがオルガンになり、管弦楽とのコンチェルトになる。

前奏曲とフーガ ニ短調 BWV539のフーガ
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you tube:J.S. Bach - BWV 539 - Fuga d-moll / D minor
カンタータではないが、無伴奏vnソナタ ト短調 BWV1001のフーガをオルガン用に編曲している、いかに声部を加えたかが興味深い。
bwv1001 fuga
原曲
また、バッハ側近のリュート奏者による編曲も残っていて、BWV1000 とされている、
bwv1000_201712292020590b1.jpg
you tube:Johann Sebastian Bach: Fuge BWV 1000 / Andreas Martin, Lute

カンタータ「笑いは我らの口に満ち」BWV110
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you tube:Bach - Cantate BWV 110 - Unser Mund sei von Lachens
これは管弦楽組曲第4番、序曲からの編曲、管弦楽に合唱が加わっている、どちらが先に成立したのか?あるいは、カンタータに転用することも見越して作曲していたり?^^

無伴奏vn作品のように隠されていた声部をバッハが具現化してくれているようで興味深い。
カンタータのシンフォニアはCDの空き時間によくカップリングされ、いろいろ楽しめる。

バッハ以外の後世の編曲も多くある、あのトッカータとフーガ ニ短調BWV565(偽作説あり)をストコフスキーだったか、orch.編にしている、異様な大味で、これも「好きじゃない・・」の一つだ、トッカータとは即興性をもったソロ楽器のための曲で、演奏のキレ味を聴かせるもの、それを大勢でワサワサ合奏しても、もどかしいだけ;
ムソルグスキーの「展覧会の絵」のorch.編も同様かな、ピアノのほうがいい;

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G線上じゃないアリア  

ご存じのとおり、「G線上の・・」とはバッハの管弦楽組曲No.3ニ長調(BWV1068)のアリアを19世紀のヴァイオリニスト、アウグスト・ウィルヘルミがvnとpfのために編曲、ハ長調にしてG線のみで弾くようにしたもので、それ以来、通称となっている。
原曲に弦の指定はなく、跳躍のあるバスの上で、vn1とvn2の掛合いと和声の響きが魅了する、
BWV1068.jpg
G線だけで弾いて、何か良くなるとも思えないが、現在でもご丁寧にウィルヘルミ編が弾かれるようだ、バックがorch.でも・・
you tube:Air On The G String, J. S. Bach - Anastasiya Petryshak

さて、このアリアの真に美しい演奏はどんなものか、いろいろ探ってみた、古いところで、カール・リヒター盤、同時期のバロック演奏家達とは一線を引いたような存在感で、ミュンヘン・バッハOの緻密な合奏はひと味、上質に感じた。
bwv1068 k ric
you yube:Karl Richter J.S.Bach - Orchestral Suite No.3 D-dur

次はカール・リステンパルト指揮、ザール室内Oの演奏、じつは初めて耳にした音盤がこれだった、当時としてはオーソドックスな演奏だろう。
bwv1068 k ris
you tube:J. S. Bach Orchestral Suite No.3, Karl Ristenpart

以上は20世紀的演奏だが、古楽演奏が盛んになった頃の代表として、C.ホグウッド指揮、エンシェント室内O、この頃からこのアリアは"弦楽合奏"と"各パート一人ずつ"の演奏例があり、ホグウッドは合奏、T.ピノックの初盤は一人ずつだった、さすがに響きが透明で美しい和声が聴けるようになった。
bwv1068 hog
you tube:J.S. Bach Orchestral Suite BWV 1066-1069, Christopher Hogwood

最後はラインハルト・ゲーベル指揮、ムジカ・アンティクヮ・ケルン、これももう30年前の録音になるが、今も特筆したい演奏だ。
bwv1068 mak
you tube:Bach Orchestral Suite no.3 BWV 1068, Musica Antiqua Koln
各一人ずつで、さすがに小音量だが、vn1とvn2がデリケートな弓使いでそれぞれ心地よい装飾を行い、和声の色合いには耳をそばだてたくなる。

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"ペダル チェンバロ"による バッハ:オルガン曲  

PCの故障とネット回線の引き換え工事がちょうど重なり、更新を休んでいました、今日より再開します。
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ネット通販もなかった頃、アメリカのアウトレット・ショップから定期的にCDカタログが送られてきて、"レーベル、曲目、演奏者"のみ記してあるリストから選び、注文票をFAXして取り寄せていた、暗中模索に近いが;結構良い希少盤が手に入った。
今日取り上げるのもその1枚で「Pedal harpsichord」という文字が目に付き、それだけで思わず注文した;

bach pe cemb02bach pe cemb01
オルガン曲はオルガンで聴くのが一番、かもしれないが、足鍵盤のあるペダル・チェンバロはオルガン奏者の練習用だけでなく、立派なコンサート楽器でもあると感じたしだい、当盤の奏者、ダグラス・アムリン(Douglas Amrine)はアメリカ生れのオルガン奏者、アムステルダムでG.レオンハルトにオルガン、チェンバロを師事している。
アムリンはチェンバロ的な技法、装飾を行いながら、楽器の魅力を活かしているのが素晴らしい、録音も良好。
収録曲
d a bach pe cemb
特に好きなのは、足鍵盤でテーマが始まるパッサカリアとフーガ ハ短調BWV582で、ゴトゴトと機構音が伴い、打楽器的な補助効果にも聴こえる、手鍵盤の変奏が始まると華麗に魅了する、それにしてもこの曲は変奏が進むにつれて引き込む傑作だ、オルガンに対し、少しも物足りなさを感じない充実感で聴ける、
音が持続して重なるオルガンより、減衰するチェンバロは次に重なる声部の出だしが分離して聴き易い、後半にフーガが続くが、このように低音がジグザグ進行するのは足鍵盤に都合よく、切迫感がでて、一挙両得だ、
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ただ、このような長い持続音はどうするのだろう?
リュート音楽なら小節の頭くらいで再度弾くが、
bwv541.jpg

以前にはyou tubeに良い参考動画がなかったが、今回、D.アムリンの演奏が挙がっていた、
d a you tube
you tube:J.S.Bach: Passacaglia in C Minor BWV 582
プレリュードとフーガ ト長調 BWV 541も良い曲だ
you tube:J.S.Bach: Prelude and Fugue in G Major BWV 541
今でもこれに勝る良い録音は他に見つからない。

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オルガンに空気を送るフイゴ職人

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"バロックtrp"による Brandenburg Con No.2  

ラッパ類なんて誰が考え付いたのか、喉の奥の声帯と同じことをマウスピースに当てた唇にやらせようという難しそうな楽器だが、その輝かしい響きには比類がない;バロック期には楽器奏者の中でもtrpの名手は一番地位が高かったと聞く。
バロック・トランペットとは、何の仕掛けもないナチュラル管で、このように右手で持ち、左手は腰に当てる、という構えが正しいらしい、m
b trp01b trp03

しかし、現代の聴衆は常に正確な音程で当たり前、という耳を持っている。
現代、バロックtrpとして使われる楽器は大抵、trp奏者のマイケル・レアードが考案した、管の途中に補正孔(vent hole)が施され、これを開閉して音程を補正するものだそうだ。
naumann-trumpet1_20171126014632623.jpg
ナチュラル管的な音を損なわないので、古楽器として受け入れられている、現代のコンサートでは完全に昔のままの楽器を用いるのは難しく、他の楽器にも同様な面があり、リュート属もピッチの安定する現代素材の弦を使うのが殆どだろう、バロック楽器の性質を損なわない変更なら、問題はないと思う。
この補正孔付きバロックtrpで演奏したブランデンブルクcon No.2(BWV1047)は今や多くの録音があるが、手元にある盤では、ニクラス・エクルンドやウィリアム・ワースの演奏が見事で、その純度の高い音は機構の付いたtrpにはない魅力だ。
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左:エクルンド、右:ワース盤

参考動画:J.E.ガーディナー指揮のブランデンブルクcon No.2、
you tube:BBC Proms 2010 - Bach Day 6 - Brandenburg Concerto No. 2

ただし、S.クイケンだけは妥協せず歴史に拘り、ブランデンブルクconの1回目の録音(DHM)ではナチュラルホルンを用い、2回目の録音(ACCENT)で、真正なナチュラルtrpを演奏できる ジャン-フランソワ・マドゥーフを起用している、
s k bwv1047
trp:ジャン-フランソワ・マドゥーフ
シギスヴァルト・クイケン指揮、ラ・プティット・バンド

動画にはマドゥーフが吹く第2番の終楽章が挙がっていた、歴史的構えである^^v
b trp05
bwv1047 s k
you tube:Bach 2nd brandenburg Kuijken La Petite Bande Osaka

バッハの時代、ゴットフリート・ライヒェのような超名人がいて、BWV1047もこうした奏者のために書かれたのだろう。
fig1931.jpg
ゴットフリート・ライヒェ(1667-1734)

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J.S.バッハ「チェンバロ協奏曲No.1」ベスト盤(独断)  

○○さん個人の感想・・的、無責任シリーズ;
大バッハのcemb.協奏曲No.1ニ短調 BWV1052はいつ聴いても甘さを殺した深い味わいだ、
今日も強引に選んだ4枚、

第一楽章、はじめは刃金の通ったような曲相に魅了されたが、原曲のvnの技法をそのまま鍵盤に移したところが引き付ける、譜例1、2のような部分が20小節続く、
sc bwv1052 01
sc bwv1052 02
譜例1ではvnのA線の開放を弾きながら、同音異弦を響かせる、次はE線で出てくる、また譜例2はD線を延々と弾く、以上から失われたvnの原曲も同じニ短調だったと推定できる。
第二楽章も短調なのが一味違う(ト短調)、バスが同じテーマを繰り返し、ソロの即興性を帯びた妙技が乗る。
終楽章、エネルギッシュな楽章で内容も充実する、原曲vnの多様な技法が推察され、ソロのクライマックスというべき部分が素晴らしく、左手パートが力感を入れる(譜例3)、
sc bwv1052 03

古楽演奏が定着する前はK.リヒターの演奏をよく聴いた、独自の演奏スタイルで、同時期、他のバロック演奏家らの似たり寄ったりとは違っていた。第一楽章始まりから、鋼のように整い厚みを帯びたアンサンブルが引き付け、チェンバロ・ソロと整然一体となる。
k r bach cemb02k r bach cemb01
カール・リヒター:cemb.
ミュンヘン・バッハO
1971年 ARCHIV(LP)
 

you tube:Harpsichord Concerto in D minor BWV 1052, Karl Richter

そして、大御所G.レオンハルトの演奏は欠かせない、それまでは聴けなかった古楽器によるバロックの活き活きした切れ味を聴かせた、K.リヒターより前に録音されているが、それが手に入ったのは後だった気がする。(じつはカップリングされたC.P.エマヌエル・バッハの協奏曲ニ短調がもっと気に入っている^^)
g l bach cemb con
グスタフ・レオンハルト:cemb.
レオンハルト・コンソート
1967年 SEON

you tube:Concerto in D minor, 1. Allegro, BWV 1052 - Gustav Leonhardt

その後は、T.ピノック、T.コープマン、B.van.アスペレン、L.U.モーテンセン、O.ダントーネなど聴いてきた。

その中で、やはりT.ピノックの指さばき鮮やかな聴き応えは見事、程良い快速で、ほぼインテンポ、整然として、純度高く聴ける感じだ、譜例1の部分は二段鍵盤の上下を活用して響きを滑らかに重ねている。
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トレヴァー・ピノック:cemb.
イングリッシュ・コンサート
1979年 ARCHIV(LP)

you tube:Concerto For Harpsichord And Strings In D Minor BWV 1052 T.Pinnock

もう一つ良かったのはO.ダントーネ盤、こちらはその後も進展した古楽奏法が反映し、弦楽の美しさも魅力の好演、譜例1の箇所は同鍵を左右の手で連打して引き付ける。
o d bach cemb
オッタヴィオ・ダントーネ:cemb.
アカデミア・ビザンチナ
2007年 L'OISEAU-LYRE


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有田正広,A.マンゼ:バッハ 管弦楽組曲No.2ほか  

寒暖差のせいか、体調を崩し、力が出ません;
気に入ったCDなど聴いて静養しています。
過去に挙げた、BRILLIANT CLASSICSのBOXでバッハ管弦楽組曲とブランデンブルクcon(*こちらは元は別レーベルだったムジカ・アムフォンの演奏)のセットは良い内容でした、
今日は組曲No.2とNo.4の再掲です。
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アンドルー・マンゼ指揮、ラ・ストラヴァガンツァ・ケルン
fl.トラヴェルソ:有田正広
1994年録音


第2番、入念に練り上げたアンサンブルが聴きどころ、4曲中第2番はポピュラーゆえにあまり聴かないのですが、有田正広がfl.トラヴェルソを吹く当演奏は特筆ものですばらしい、序曲のグラーヴェから満足、トラヴェルソはソロ部分以外は1st,vlと重ねて演奏される、有田の安定した美しいトラヴェルソとマンゼの弾くvlとが緻密に同化している、お互いの音を聴きながら見事に質感を合わせている。こんな充実したグラーヴェはなかなかない、グラーヴェの終わりからふっとアレグロに入る瞬間が良い、アレグロに入ってもflとvlの一体感は維持する。
続く舞曲、特にゆったりしたサラバンドでは同様の魅力を聴かせる。各楽章、程よいテンポでじっくり聴かせる。

第4番、これはtrp、timpの無い版が使われる、しかし不足感はない、
序曲のアレグロは一番好きなところ、弾むような一貫したリズム、深く迷い込む転調、バッハならではのフランス風序曲で、不思議な力で引き付けて行く、マンゼの演奏はツボを掴んで快調。続く舞曲もこの作品は面白い、最後のレジュイサンスは傑作。

またこれらの2枚にはカンタータのシンフォニアが2曲挿入されていて、1曲はBWV29、原曲は無伴奏vlやギター、リュートでも演奏されるBWV1006のプレリュード、バッハは編曲を数々聴かせるが、ここではオルガンがソロを弾き管弦楽が加わる、trpやtimpが鳴るところはバッハのイメージを示していて、無伴奏曲の参考にもなるでしょう。
もう1つはBWV146のシンフォニア、この原曲はBWV1052、チェンバロ協奏曲No.1の第一楽章の編曲、これも元々はvl協奏曲でここではオルガンがソロを弾く、この霊感に満ちた曲に木管が加わり、ホールトーン豊かな一味違う趣きで味わえる。

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今村泰典:バッハ Lute作品 BWV1006aほか ≪追記あり≫  

今村氏のバッハ、リュート作品集を久々に聴いた。

これらの作品はまず、無伴奏vnやvcなどの原曲があり、鍵盤譜に編曲されたものが多い、これらをバロックluteで弾くとなると、適正な移調や、曲によって変則調弦(スコルダトゥーラ)を用い、様々な工夫が必要だ。
imamura bach
今村泰典:バロックリュート
1991年 ETCETERA


BWV1006aは無伴奏vnパルティータホ長調(BWV1006)が原曲で、同じ調で鍵盤譜への編曲が残されているが、
bwv1006a 01
原調譜(ホ長調)
バロックluteではヘ長調が適している、
bwv1006a tab01
移調Tablature(ヘ長調)
前半の[9]あたりから[28]まで、原調でvnのE線開放を延々使う部分があるが、luteではヘ長調に移調するので①コースFの開放で同様の効果が得られる、
ただ後半の[60]あたりから、同じく原調でvnのA線開放を同様に用いた部分が続く、
bwv1006a 02
しかし、バロックluteにはこれに該当する開放弦がないので、③コースを通常調弦のAから半音上げて、B♭に変則調弦して対応する場合が多い、
B lute tu
変則調弦
bwv1006a tab02
今村氏の起こしたTablatureもそのようだ。

今村氏の演奏は完璧な技法、プレリュードは快速なインテンポで覇気があり、粒立ち明快で強弱の推移がぐっと引き付ける、
続く各舞曲も、やはりバスラインもくっきり歌っていて心地よい。
you tube imamura
you tube:Prelude in E Major BWV 1006a J.S.BACH(Y.Imamura)
またフーガBWV1000も各声部のテーマがきっちり整っている、これほどの技術の演奏は他にないと思われる;
you tube:Fuga in G minor BWV 1000(Y.Imamura)

追記:①、②コースを半音下げて、ホ長調で弾く手段もあるそうです。
いずれも12ポジションまで使うことになります、ここは響板上のフレットで、大抵の楽器は音がペシャりますが、この楽器は内側に補強板があるようで、くっきり鳴ります、
13c lute
そういう意味では取り組んでいい曲かなと・・(笑;)

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T.ピノック:J.S.バッハ チェンバロ 協奏曲No.1  

ある期間が経つと無性に聴きたくなる曲があり、バッハのチェンバロ協奏曲No.1がその一つ、久しぶりにLPを廻した。
t p bwv1052
トレヴァー・ピノック(指揮、チェンバロ)
イングリッシュ・コンサート 1979年


協奏曲No.1ニ短調BWV1052
いろいろ揃えたが、T.ピノックの指さばき鮮やかな演奏は手放せない、程良い快速でほぼインテンポ、整然と聴かせ、純度高く聴ける感じだ。
第一楽章、BWV1052は、はじめは刃金の筋が通ったような曲相に魅了されたが、原曲のvnの技法をそのまま鍵盤に移したところが引き付ける、譜例のような部分が20小節続く、
bwv1052 sc01
まずvnのA線の開放を弾きながら、同音異弦を響かせる、次はE線で出てくる、ピノックは二段鍵盤の上下を活用して響きを重ねて聴かせる、
またこの部分はD線を延々と弾く、
bwv 1052 sc02
同音が継続する上で転調する効果はこの曲に限らずバッハには多く聴かれる。
【*無伴奏vnパルティータBWV1006のプレリュードなども同様、このプレリュードもカンタータBWV29のシンフォニアに転用されるが、オルガン・ソロの上にvn的な技法を移している、これは変更してしまうと、つまらないだろう】
一方この部分、
bwv1052 sc03
もしかしたら、鍵盤的なアルペッジョに加筆しているかもしれないが、これは効果的。
第二楽章も短調なのが一味違う(ト短調)、バスが同じテーマを繰り返し、ソロの即興性を帯びた妙技が乗る。
終楽章、エネルギッシュな楽章で内容も充実する、原曲vnの多様な技法が推察され、ソロのクライマックスというべき部分が素晴らしい。
bwv 1052 sc04

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N.ノース:バッハ「シャコンヌ」BWV1004(lute)  

バッハの「無伴奏vnパルティータNo.2ニ短調(BWV1004)」よりシャコンヌ、先日はオリジナルのヴァイオリン演奏だったが、今日は編曲もの、
当然、ギターやリュートにとっても難曲であるが、やるからにはバッハの原曲をその楽器ならではの美質(テイスト)で抱き込んではじめて納得できる。そのため原曲をよく理解し、自分の楽器が活きる適切な編曲が必要で奏者自身がやるほかないだろう。リュートによる録音もいくつかあった。
手持ちのナイジェル・ノースのバロックluteによる演奏、録音はノース、36歳頃である。
N N Lute
ナイジェル・ノース(バロックlute)
1990年録音 LINN

楽器はマイケル・ロウ作とあり、ジャーマン・テオルボと思われる、たっぷりとした余韻を響かせながらテーマを開始、原譜を見ながら聴くと、適切にバス音を加えている、また逆にこうしたところ、例:[189~]では内声とバスは余韻で繋げ、上声のみ弾いている、
T189.jpg
これもバロックluteの響き方に相応しく自然。
ギターやリュートはアルペッジョだけは得意である;よって[89]からは水を得た魚のように--(とまでは行かずとも)対応しやすい、
20170520.jpg
[89]~アルペッジョ、構成音のみ書かれている
原譜では1拍分だけ、vn調弦に合う例が書かれているが、リュートでは右弾弦の工夫しだいで融通が効く。ノースは半拍6連符分けは行わず、流麗に落ち着いて進める、
[201]からのアルペッジョはまさに変幻自在、
bwv1004 b
[201]~アルペッジョ、構成音のみ書かれている
リュートに相応しいセンスで聴かせる、バロックluteは余韻の美しさを聴かせるのが本分、あまりテクニカルに小忙しくなるのは不自然、(個人的にはこの曲自体、合わないと思っているが)その点もかなり上手く治めた好演だ。

あと手元には福田進一のギター編もあり、名器を存分に鳴らしての演奏だが、「バロック」という感覚ではないので割愛する。

動画をあさってみた、ホプキンソン・スミスはテーマの演奏から脱力したバロックluteの物腰を印象づける。
h s bwv1004
Hopkinson Smith : Chaconne de Bach (1988)
[89]~アルペッジォは始めから半拍6連符で行く(途中、パターンを変える)リュートに小忙しい技は合わないが、もともと響孔寄りを弾く人なので柔らかく、さらりと聴かせる。

ホセ・ミゲル・モレーノはジャーマン・テオルボの弦をシングルにして弾いている、複雑な技法には対応しやすそうだ。
J.S.Bach Chaconne Lute version - Bronzino(Jose Miguel Moreno)
じっくりとした印象で始めるが、アルペッジォやパッセージは鮮やかに駆け抜ける、アルペッジォ・パターンは一定で4声部分はギター譜によくある2声同時弾きを加えている。

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R.ポッジャー:バッハ「シャコンヌ」BWV1004(vn)  

バッハの無伴奏vnパルティータNo.2ニ短調(BWV1004)の終曲シャコンヌはvnのみならずピアノ、クラシックギター、さらに奏者によってはリュートでも演奏される超名曲だ。(*個人的にはちょっと内容が重すぎる作品だが;)バッハの手稿譜に対し、各奏者がどんな姿勢で取り組んでいるかも興味深いところ。m
手元にある盤からまず、レイチェル・ポッジャーのバロックvnによる演奏を聴く。
(ヴァイオリンには詳しくないので推測多し^^;)
r p bwv1004
BWV1001、1002、1004のアルバム
レイチェル・ポッジャー:バロックvn
使用楽器:1739年、ジェノヴァのペザリニウス作
1998年 CHANNEL CLASSICS

シャコンヌ始まりのテーマの演奏がまず印象づけるが、ポッジャーはしなやかに粘る味わい、バッハの手稿譜のスラーやレガート記号の付いたところ、無いところの表情づけを忠実に弾き分ける、ロマン派的な大袈裟な強弱法、アゴーギグはなく、透明な音色で明快に通す。
さて、[89]から[120]まで長いアルペッジョ指定された部分が続く、一つの聴きどころだが、手稿譜は始めの1拍分のみ、アルペッジョ・パターンが記されているのみで、後は構成音と基本リズムが書いてあるだけ、
bwv1004 a
3声の部分は始めのようなパターンで行けそうだが、4声の部分がでてくる、いかに弾くかは奏者に委ねるところ、重音で2声一緒に弾いたり、半拍を6連符に分けたり、のちのvn奏者が実用版として書いた楽譜は多くあるようだが、
bwv1004 d
6連符にした例
ここは奏者のオリジナルを期待したい、ポッジャーは6連符で対応のようだ(素早くてよく聴き取れないが;)。
[201]~[207]も短いが同様にアルペッジョ指定があり、ここは4声が続く、
bwv1004 b
因みにこんなパターンの楽譜もあるようで、よく耳にするが、
bwv1004 c
あまり「アルペッジョ」という感覚じゃない、
ポッジャーはここも6連符で鮮やかに決め、終結に向け、穏やかに治める、好演の1枚だ。

PS.動画をいくつかあさってみた、
Viktoria Mullovaのバロックvnでの演奏、これは室内的で気張らず、弓をいっぱいに使わず、撥弦楽器の減衰する音を補うようで味わい深い。アルペッジョの4声部分は重音に見える?
v m bwv1004
動画:Viktoria Mullova: Chaconne (J.S. Bach BMV 1004)

Hilary Hahnはゆっくり目で端正だが、平坦に伸びた運弓の音は好みじゃない。
動画:J.S.Bach - Chaconne, BWV 1004 Hilary Hahn

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