Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

タブラチュア、活版と手書き  

リュート・タブラチュアは演奏のイメージを紙面に書いたものとも言えます。もちろんこのとおりにすらっと指が動くわけではないので;相当の練習は要りますが、少なくとも五線譜から運指を決めるような手間は軽減されます。

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上段はルネサンス時代の活版印刷によるもの、この頃はリュートを弾く人も多く、印刷出版されました。タブラチュア専用の活版があり、何も音がないところには"横線の活字"を入れて繋ぐわけですね。これも馴れでしょうが、字間が詰まりすぎて、音価も掴み辛く、設計図のように無味です;
バロック時代になるとリュートを弾くのも限られた人になってきて、下段のように手書き譜が主流です。バロックリュートの作品では、細かな装飾記号やスラー記号、その他演奏指示の書きこみが必要になり、活字では対応できなくなったこともあるでしょう。文字の筆勢や適度な字間隔から表情が読みとれます、肉筆の力ですね。このタブはヴァイスのハ長調のプレリュードですが、初心者向けの曲でもあるようで?左手の運指番号が細かく書かれていて、さすが合理的な運指です^^
手書きタブラチュアは同じ調弦の楽器を手に、300年以上前の奏者に直接手ほどきを受けているような感覚です。

現代は五線譜もタブもPCソフトできれいに書けますが、写し間違いや、表情書き込みなど不十分だったりするので、必ず原典譜を見る必要がありますね。原典を見て、なるほどと気付くことがあります。

category: 演奏について

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フリッチャイの「英雄」  

ハイドンの時代までは交響曲は長くても30分前後(これ以上長いと聴衆が居眠りしだす?)というのが普通だったかもしれません。それをベトーヴェンは第3番で一気に約50分という長大なものにしました。これで中身が無いと超退屈なシロモノになるところ、音楽史がベートーヴェンの力量を発揮させる筋書きだった?ような傑作ですね。
第1楽章は冒頭のトゥッティの2打で引きつけ、息の長い推進力に乗せられて行きます。じりじりと長いクレッシェンドの効果が得られるのも曲の長大さゆえですね。第2楽章では深みのあるフーガが聴かれます、終楽章もフーガなど多くの技法を織り込んだ変奏曲になっていて、変奏の一つを聴くだけでも充実しています。

今日は珠玉の1枚、F.フリッチャイ指揮、BPO盤を聴きました。1958年D.G

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フリッチャイはヴァイオリン、クラリネット、トロンボーン、打楽器の演奏を習得しているそうで、オーケストラ指揮者になる準備万端ですね^^
「英雄」でもやはり弦楽のしなやかな"弓"の表情が味わえます、ピアニッシモの超弱音から強奏まで幅をもたせ壮大かつ、じっくりと聴かせていきます。(K.ベームの場合、ほどほどに押えてカチっとまとめ上げますが)第2楽章も申し分なし、きわめつけは終楽章、終盤近くで金管が高らかにテーマを吹奏しますが、フリッチャイは驚くほど豪奏にしています(ベームもカラヤンも比較的穏やかにしていますが)、ここを聴かせるために進めてきたみたいな・・'58年D.Gはこの透明感と厚みを帯びた金管の音響を歪みなく漏らさず録音しきっています!LP盤では針が追いつかなかったかも?;
カップリングされている「エグモント」序曲も最高、ここまで心揺り動かす演奏はないですね。

category: ベートーヴェン

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バッハのコンチェルトⅡ  

次はブランデンブルク協奏曲です。新盤を買うのは久しぶりです。
アンドレス・ガルベッタ指揮:スイス・バロック・ソロイスツが最先端の古楽演奏を聴かせます。世界にはこうした優れた団体がしのぎを削っていることと思いますが。

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全体に速めのテンポを取りながら、短い時間の中に音楽表現をしっかり盛り込み、小忙しく聴こえません。各楽章のリズム感を楽しませます。
第2番で、ニクラス・エクルンドが吹いているバロック・トランペットが注目ですが、さすがに上手い、柔らかな響きで難しい最高音も美しく鳴らします。これだけ難なく吹ける人は、F.インマーとエクルンドくらいでしょうか?これで曲集の価値が上がります^^
第3番の"中間楽章"はいかなる扱いか不明、という学究的理由で終楽章への軽い導入程度のソロで済ませる例が多かったですが、久しぶりにチェンバロによる積極的な演奏が入ります、学究云々より、音楽を聴かせる姿勢が好感もてます。
地味にも受けられがちな第6番、私はとても好きですが、"こういう演奏が聴きたい″とイメージしていた演奏で、第1楽章が心地よい活気と気品があります。
第5番がまたいい、このテンポだと独奏チェンバロが小忙しくなるところ、聴かせる和音ではじわっと間を取り、リズムの柔軟な伸縮が音楽的で落ち着いた気分で聴かせます。これはバロック・リュートでも多いに参考にしたいところ^^トリルも始まりから速く弾かず、指さばき達者にガチャガチャ聴かされるよりずっといいです。

録音は耳に優しい響きで、各楽器の音が明晰、昨日の仏ハルモニア・ムンディ盤と同系に感じます。これもシステムの前でじっくり鑑賞する演奏です。
今や老舗レーベルもお値打ちに買えて、NAXOSは特に兼価盤ではなくなりましたね;内容が勝負になってきたかな。

category: J.S.バッハ

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バッハのコンチェルト  

このところ、古楽演奏の新しいものを集めていませんでした。久しぶりにバッハを2組取り寄せました。
まずこれ、アンドルー・マンゼ:vl&指揮、The Academy of Ancient Music のヴァイオリン協奏曲集、第2vlにレイチェル・ポッジャーを迎えての演奏です。収録曲は2vl協奏曲BWV1043、vl協奏曲No.1BWV1041、vl協奏曲No.2BWV1042、2vl協奏曲BWV1060(原曲:vl&ob協奏曲) 仏HM

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快活なテンポを取りながら適正に感じ、とても充実しているのは、まさに音楽性豊かだからだと思います。一音ごとのディュナーミク、装飾法等々、表現すべてが洗練され、研ぎ澄まされています。2つのvlのコンチェルトでは個性の違う、マンゼとポッジャーの競奏バトルが楽しめます^^
原曲がvlとobのコンチェルトを2つのvlで演奏しているのも興味深いですが、弦だけとなった涼しげな響きもいいものです。オーボエならバックの弦楽と旋律が同じところも常に分離した音で聴けますが、ヴァイオリンの場合、弦楽の一部となって、ソロが消えたり現れたりする違いも面白いです。

録音は最近のレコーディングの傾向でしょうか、耳触りのよい音質ながら、個々の楽器が明晰に聴こえてきて、デリケートな演奏内容がよく聴けます。全体の音の溶けあいもいいです。

古楽演奏というのは日々進歩して留まることがないと思えますね。

category: J.S.バッハ

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カラヤンの「ハフナー」「リンツ」  

思えばカラヤンの指揮するモーツァルトの「ハフナー」「リンツ」「プラハ」は聴いたことがなかったので、ちょうどお値打ちなEMI盤があったので購入しました、35番~41番が入った2枚組です。

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一聴して驚きの演奏、ネコ科の動物を思わせる、機敏でしなやかな身のこなしというか・・
「ハフナー」といえば元々メリハリ感のある曲ですが、ここまでレガートにした例は記憶にありません。拍の頭をきっちり揃えた感じには、あえて聴かせず、弦は少し前のめりに弾き始める感じ、音符は目一杯伸ばし、次の音がかぶさってくるような、普通は少しリタルダンドをかけるところも、かまわず押し進める、空虚な間は全くなく、美音で埋め尽くされている、外観はまったりレガートでも頭の中にはくっきり拍節を感じる、、「リンツ」以降の曲も一貫した演奏スタイルで、カラヤン・タクトの不思議なマジックにかけられたようです^^;何度か聴くとすっかり耳馴染んできます;
結論として、私は嫌いじゃないです。ほかでは絶対聴けないような美質を築きあげているように思います。気に入る人は★★★★★だし、アンチ派は★☆☆☆☆となるような危ない線でもありそうですが;
録音は'70年で、40番や41番を聴くと、'78年録音のD.G盤に近い演奏です。70年代EMIの録音も重厚さでは一歩引きますが、D.Gの録音と質的には大きな差異はなく、他の録音も同様に整った響きですね、弦の音がとてもよく、そのへんも気に入りました。

category: モーツァルト

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ジュリアーニ ギター協奏曲  

超お値打ちレーベル、BRILIANT CLASSICS のマウロ・ジュリアーニのギター協奏曲集で、これは本当にお買い得でした。
guitar: Claudio Maccari , Paolo Puglise
Leader: Andrea Rognoni , ENSEMBLE OTTOCENTO

演奏者についての詳細はわかりませんが、ギターもオケも一流の古楽演奏です。それまで聴いて満足した、という演奏はなかったのですが;これはいけます、このCDに限っては聴ける、といった感じ^^;使用ギターはガダニーニなど19世紀のオリジナルのようです。

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やはり傑作はギター協奏曲第1番でしょうか、第2番も良いです。
まず、前奏のオーケストラが立派なもので聴かせます、同じサークルだったJ.N.フンメルと共通する作風だと思います。このままクラリネットかチェロの協奏曲にも行けそうな雰囲気ですが、オケは徐々にピアニッシモまで音量を下げ、聴衆の耳を19世紀ギターの音量へと誘導します、ここは上手いですね、そしてガダニーニの楽器がオケと自然に溶け合う、"クラシック"な音質を持っているのもわかります。A.トーレス以後のスパニッシュ・ギターは別系統の楽器ですね。
ソロを伴奏する部分では弦楽は1名ずつに減らして弾いていますね、ギターが埋もれることなく聴けます。

ちなみにベートーヴェンのトリプル・コンチェルトを聴くと、フンメルらと同時期、同じ趣味も持っているなと感じます。

category: その他・古典派

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バレエ組曲「くるみ割り人形」  

チャイコフスキーはあまり集めないのですが、「くるみ割り人形」はビギナーの頃親しんだ名曲で懐かしさがあります。最初はカラヤン指揮、フィルハーモニアOの17cmLPで聴いていました、赤い透明のビニル盤でした。序曲では低音楽器が使われず、童話の世界らしい「夢」を演出しているのが見事です。

オーケストラを生で聴くようになって、あの圧倒的な音量、"厚みと潤い"を聴くと録音音楽なんて乾燥した薄っぺらなものだと思いました。まあこれは仕方がないです。
グラモフォンの録音も"4D"の時代に入ってから、さすがにそれまでの伝統の録音とも一線を画した感があります。充実した再生音を聴かせる基本理念に変りはないと思いますが。
このジェームズ・レヴァイン指揮、VPOの「くるみ割り人形」など耳親しんだ曲だけに録音の進歩が実感できます。

くるみ割り人形

弦の各パートはそれぞれ1つのまとまった響きとして聴いていましたが、弦の1人1人の音が聴こえてくるような明晰な音です、管が鳴っている位置や音の広がる感じ、金管の音の厚み等々実在感が増し、これでも生の音には遠く及ばないでしょうが、かなりイメージは迫ったように聴こえます。オーディオ評の高かったガーディナー指揮の「惑星」も同様ですね。

レヴァインの演奏は全体にやや快速なテンポで、リズムの躍動感を常に表出しています。最後の「花のワルツ」も優雅な演奏はいっぱいありましたが、ここでもリズムを引き絞め、今までにない新鮮な感覚で心地よいです。エンディングも大見栄きるようなリタルダンドをかけず、スッパリ終わる、こういうの好きです^^
録音と合わせて良い内容です。

category: その他・ロマン派

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J.M.クラウスのレクイエム  

作曲年からすると、クラウス19歳の頃となります。モーツァルトと同年生まれですからずっと先に書いていますね。
総演奏時間26分ほどで、各曲は短くてオケの前奏もないのが物足りないですが、こういう曲は機会音楽なので演奏される場の都合もあるでしょう、短いながらもクラウスの才気が感じられ、第6曲のHuic ergoなどゾクっとくる合唱の響きがあります。第3曲のKyrieはフーガで書かれていて短いけど後のモーツァルトを彷彿とさせますが、クラウスは大バッハの孫弟子にあたるそうで、既に対位法書法は得意だったかもしれません。伴奏のオーケストレーションの手腕も良く、もっと聴きたいところで終わるんですね^^;声楽曲ではクラウスもセンスのよいメロディ・メーカーで、各曲とも美しいです。
動画
J.M.Kraus Requiem 1/2
J.M.Kraus Requiem 2/2

kraus req2

なぜかクラウスは数こそ少ないですが優れた演奏でCD化されますね(例外も少しありますが;)このCDはGyorgy Vashegyi率いるOrfeo Orchestraと声楽陣による古楽演奏で、録音もホール・トーンがよく入った美しいものです。

クラウスの宗教曲でオラトリオ「イエスの死」がありますが、これは充実しているようなのでぜひ聴きたいです。

category: J.M.クラウス

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太鼓連打 Ⅱ  

好きな曲については何度も書きます^^
103番はハイドンにとって最後期の"大詰め"の作品でもありますが、104番ほど対位法など作曲技法を凝らしたところは強調されず、楽器の数や音色の変化で純粋にシンフォニックな響きの面白さを追求した作品にも思います。
第1楽章はティンパニ・ソロのあと低音による瞑想するような序奏を聴かせ、一転して簡明で明るい主部の第一主題が弾かれます、"大詰め"の作品とは思えないほど、かしこまった様子じゃない明るさがいい^^メヌエットもおっとりしたテーマが深刻な短調に転じる対比もいい、ロンド形式の様相が目立つ終楽章も響きの変化を聴かせながら快調でワクワクさせます。

対照的ながら、魅力的な2枚です、
hay 103

ジェフリー・テイト指揮:イギリス室内Oは小編成の響きながら、軽薄さはなく、管やティンパニが程よい量感を持たせ、グンと押し出すシンフォニックな響きが小気味よいです。これくらいの編成がちょうどよいかもしれません。全奏の音にも荒っぽさがなく美しく溶け合っています。テンポは適切、誇張した表現はなく、聴かせるツボはしっかり押えた演奏で何度も聴きたくなります。テイトのロンドン・セットは質の揃ったバランスの良い録音で、結局全部集めました^^

一方、演奏しだいで、たっぷり重厚なのもいいんですね、カラヤン指揮:BPO、カラヤンが過去にVPOと組んだ録音も名演ですが、長年築かれたBPOとの美質による演奏もぜひ聴きたいと思いました。
テンポはちょうど良い、特異な表現は一切なく、すべてがオーソドックスで最上の演奏を聴かせます。ベートーベンと変わらない編成でしょう、弦は厚みを帯びていますが、常に爽快、上手い人だらけのキメの整った弦楽を聴くだけでも価値あります^^あっさりした舞曲風の第1楽章も充実感たっぷりに聴けます。
第2楽章のコンマスのソロもインテンポでさっぱりと弾かれますが、それでも超上手いキレを感じさせます。
第3楽章は短調に入ると弦の厚さが効きます。
第4楽章は比較的快速ですが、速くても重厚感を失わないのはカラヤンですね。

L.バーンスタイン指揮、ニューヨーク・フィルの演奏がありました、
動画:Symphony No. 103
弦が厚い!;でも痛快^^

category: F.J.ハイドン

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ハイドン トランペット協奏曲  

トランペット続きです、
先日のエクルンドのハイドン tp協奏曲もまさにトップ・クラスのものでしたが、ほかに興味ある3枚を聴き比べました。といっても録音条件が違うので単純比較はできませんが。

hay trm

まず、ホーカン・ハーデンベルガー(tp) ネヴィル・マリナー指揮アカデミー室内O、
ハーデンベルガーはアンドレに続く大器と言われ、この録音の時は25歳くらいで若いです。
第1、3楽章は速めのテンポをとり、抜群のテクニックで装飾的な演奏もキレが良いです、マリナーも活気のあるバックを演奏させます。 第2楽章はゆっくり、カンタービレな味わいを存分聴かせ、先人を凌駕するような意気込みを感じます。録音はわるくないですが、やや紗のかかったようなフィリップス・サウンド?で、輝きが丸められている感があります。バックのオケも奥に引っ込んだバランスで、ソロがトランペットなんだから、遠慮なく充実サウンドで聴かせてほしいところ。

次はお馴染み、モーリス・アンドレ(tp)、バックはハンス・シュタットルマイア指揮ミュンヘン室内O、
アンドレは何度も録音していますがグラモフォン盤ということで選びました。アンドレを聴き馴れているせいか、標準的なテンポに感じます。演奏はいつもの安定感、ふくよかな音色、安心して味わえます。バックのオケも充実して弦の響きも味わいがあり、まさにグラモフォン・サウンドで仕上がっています。指揮者の表現も聴かせます。

最後はウイントン・マルサリス(tp) レイモンド・レッパード指揮ナショナル・フィルハーモニーO、
マルサリスもテクニックは申し分なく、金管らしい光沢が魅力です、これは録音も関わっているでしょう、バックのオケも鮮明で(甲高くはない)自然な光沢のあるデジタル時代のSONYサウンドらしく仕上がっていて、オケの演奏も十分味わえます。

演奏は三者三様に良いものがあり、どれが一番と言えませんが、録音の満足度が大きな要素になってくる感じです。

category: F.J.ハイドン

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エクルンドのバロック・トランペット  

先日はニクラス・エクルンドのモダン・トランペットについても書きましたが今日はバロック・トランペット(ナチュラル・トランペット)の演奏です。代々トランペット奏者のお家で、この人は4代目だそうです。あのモーリス・アンドレも父親がアマチュアながらトランペットの上手い人だったそうで、親父の存在は大きいようです^^;

trum vo1

シリーズの第1集だけに、テレマン、モルター、ファッシュ、L.モーツァルト、トレッリなどお馴染みの曲が入っていますが、それだけ技量がわかります。1曲目のテレマンでツカミはばっちりですね^^
動画
Trumpet Concerto No 1 in D Major - Adagio
Trumpet Concerto No 1 in D Major - Allegro
※CDはもっと鮮明で美しい音です

安定した技術できわめて透明で美しい響き、トリルも見事です。モルターはわりと技巧的な曲です。モーツァルトの父レオポルトの協奏曲も簡潔ながら美しい曲で昔から好きですが、これも極めてすばらしい、高音の吹き始めが柔らかくフルートでも演奏しているように滑らかに曲が運びます。
また、バックのN-E.スパルブ指揮ドロットニングホルム・バロック・アンサンブルが高いセンス、気品にあふれた演奏で、古楽演奏の完成期を思わせます。こういう団体にこそ、数々レコーディングしてほしいですね。ソロ、オケ共に優れた名盤に間違いないでしょう。

PS.ドロットニングホルム・バロック・アンサンブルは既にたくさんのアルバムを出していましたね、BISレーベルが多いかな。

category: その他・バロック

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カラヤン&BPO来日公演CD  

1988年5月、カラヤンが亡くなる前年の来日公演のライブ録音で感慨深いです。
ブラームス1番とモーツァルト39番が入っています。

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カラヤン&BPOの録音はD.Gのバランス・エンジニア:G.ヘルマンスによって録音芸術として完成されているだけに、ここではいつもと違った"耳"で録音されているのが興味深いです。NHKが放送用に録音した音源でCDの裏表紙にはⓃⒽⓀCDのロゴが載っています。おそらくいつもN響を録音しているスタッフでしょう、これをD.GがCDのためにリマスタリングしたそうですが、明らかにいつものD.Gサウンドとは違います。DENON風というか?明晰かつ心地よい音質で、サントリーホールの空間に響く、美しく厚みのあるBPOのサウンドを見事に収録しています。録音スタッフも入念に準備をしたことでしょう。D.Gサウンドにすっかり馴らされた耳には、こんなふうにも聴こえるのか、と新鮮ですし、カラヤン&BPOのゆるぎない素晴らしさも伝わってきます。
両曲ともD.Gによるデジタル期のCDが既にあるので、聴き比べてみるのも楽しいかと思います。

category: ブラームス

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ドヴォルザーク「新世界より」  

高校生の頃です、始めてこの曲のLPを買って聴いたときは、この曲の溢れるような温情に感動して、第一楽章でもう目頭がじーんときました。
そのとき買ったのはジョン・バルビローリ指揮、ハレ管弦楽団のもので、コロムビアの千円盤シリーズで出ていましたが、今持っている復刻CDを見ると録音はEMIとなっています。1958年録音というのも意外です、当時、新録音かと思っていたほど良好なんです。今聴いても十分現役盤の音です。

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その後友人が買ったヘリオドール盤のフリッチャイ、PBO(1959)を借りてみてまた驚き、ブラスの厚みを帯びた響きが生っぽく、彫りの深い録音で、当時からグラモフォン盤は一味違うなと、ビギナーの私の耳にもズバっと感じ取れました。表情に合わせ適切にテンポを動かしたフリッチャイの演奏がまた懐深い!
これも復刻CDが出るのを期待していたものです。良いものは何度でも再版されますね。

category: ドヴォルザーク

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K.ベームのJ.シュトラウス  

ヨハン・シュトラウスはオケ・ピット並みの小編成で演奏される例も多く、それなりに楽しめますが、ブラームスと同時代の編成ですから、大編成のサウンドでも聴いてみたいところです。
またVPOニューイヤー・コンサートのライブ録音はフル編成でも満席の聴衆で響きが吸い取られています。いまひとつ満足な録音が少ないです。

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カール・ベーム、VPOの録音('71~72)はフル編成でレコーディングの為に録られたもので、シンフォニックな響きで楽しめます。またこの録音ではいつものグラモフォン・サウンドとは違い、一頃の英デッカを思わせる、HiFiサウンドで残響も豊かなんです、「電光と雷鳴」などオーディオ的にも楽しめます。優雅で華やかなJ.シュトラウスにはふさわしいサウンドかもしれません。ベームの演奏は特に誇張したところはなく、鑑賞のための演奏で、「南国のばら」は感動的です。LP対応時代の演奏時間のせいか、CDとしては残り時間が結構あって「こうもり」序曲や「ウィーンの森の物語」も入れてほしかったですね;

category: その他・ロマン派

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チェンバロ協奏曲Wq.17  

Miklos SpanyiソロのC.P.エマヌエル.バッハの鍵盤協奏曲を1枚追加しました。
特にお気に入りはニ短調のWq.17です、どうもニ短調に好きな曲が多いです。
SpanyiはE.バッハの鍵盤作品全曲録音に取り組んでいますが、これは始めのころの録音、チェンバロとフォルテ・ピアノを使っています。録音はきわめて良好、これを聴くときはトーン・コントロールで少し高音を強めて、チェンバロのキラキラした倍音を聴こえやすくします。

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楽器

サンプル動画:Keyboard Concerto in D minor (Wq.17):1st

第一楽章は多感様式の"春の嵐″を思わせる激しさはバロックや次の古典派の安定感のある音楽とは違い、前衛的ともいえる味わいですね。通常の人間界とは少し違った世界に入り込んだような不思議な感覚を覚えます。オケが沈黙してソロのみになったり、弦が弱音で和声を入れたり、低弦がダイナミズムを補強したり、さっきはオケが演奏したパートを今度はソロが演奏したり、ベートーヴェンの時代にも使われる書法ですね。
第二楽章は弱音器を付けた弦で「アダージョの名曲」に加えてもよさそうな旋律で始まりますが、ここでも多感様式らしい風が吹きます。
第三楽章はふたたび情熱的、偶然でしょうが"ファンダンゴ"を連想するようなリズムの取り方が心地よく魅力です、弦の奏でる不協和音が印象的。

category: C.P.E.バッハ

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フリッチャイの「第九」  

ベートーヴェン交響曲第9番、1957年録音というのに驚きます、ステレオ最々初期の頃でしょうか。
私なんかまだほんの幼子、家の近所は思いっきり田舎で国道さえもまだ舗装されておらず、往来にはダイハツのミゼットがのどかに走っていた頃、ステレオ装置なんて一般家庭にはなく、ターンテーブルの小さなプレーヤーをラヂオの外部入力に繋いで聴いていました。レコード盤はエボナイトで、落とすと割れてしまいまいた。この頃流行っていた歌謡曲を聴けば超懐かしいです。

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「第九」に戻りますが、この演奏を聴くと、まだBPOにはフルトヴェングラー時代の息づかいが少なからず残っているように聴こえます、フリッチャイはそれを活かして自分の演奏を繰り広げているように思います。演奏時間は各楽章、フルトヴェングラーより2分ほど短いくらい、曲自体が長いのでほとんど差は感じません。
第1楽章はとても壮大で深淵、心洗われる第3楽章は極めつけ、終楽章の声楽が入る前の演奏が壮大でまず感動的、声楽陣もすばらしい顔ぶれで申し分ない歌唱。半世紀以上前の録音ですが、先日の「大ミサ曲」と同じくらいのレベルで、弦もブラスも声楽も支障なくその響きが味わえる名盤です。

category: ベートーヴェン

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ピアノ協奏曲「皇帝」  

かなり前、レンタルショップで借りた、アレクシス・ワイセンベルク(P) カラヤン指揮BPOのベートヴェン「皇帝」がとても良かった記憶なので購入しました。1974年録音 EMI

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ワイセンベルクの冴えわたったピアノに、やはりバックが素晴らしい、カラヤンの指揮は強奏の拍の頭を柔らかく弾き始めさせ、乱暴に聴こえることが一切なく、練り上げられたアンサンブルが重厚しなやかで一段と美しく聴こえます。先日のM.アンドレとの競演でも共通です。第二楽章の祈るような弱音の旋律もこれ以上ないほどきめ細かく表現されます。
またEMIの録音が、グラモフォンの良好な録音と変らないような音質で、バランス・エンジニアはWolfgang Gulichという人ですが、こちらにも"カラヤンの耳"がいたのでしょうか^^

ところで、ベートーヴェンのこの時代にはすっかりオーケストラ編成も、曲の規模も大きなものとなりました。それなりに曲は充実していないと、冗長で退屈なシロモノになってしまいますね;その意味でベートーヴェンが"一人横綱"になってしまい、肩を並べる人が見当たりません。ピアニストとしてライバルだった、J.N.フンメルのピアノ協奏曲を聴いたところ、聴かせどころはありますが、全体にやや希薄でベートーヴェンのように冒頭から最後まで引きつけるものがありません;シューマンと同時代で、ピアノ・エチュードで有名なブルグミュラーの交響曲を聴いてみたのですが;確かにその頃のスタイルですが、聴き入らされるところがほとんどなかったです;まあその後は、作曲、演奏、指揮、と徐々に専門分野に分かれていく時代となりますが。

category: ベートーヴェン

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S.ケルメス:J.M.クラウス カンタータ集  

古典派時代には声楽で器楽コンチェルトなみの高度な技巧で聴かせるコロラトゥーラが多く書かれました。モーツァルトのオペラ、あるいはミサ曲の中でも登場する曲にも名曲があり、「魔笛」の夜の女王のアリア「復讐の炎は地獄のように我が心に燃え」などすぐ思い浮かびますね。
ところで「北欧のモーツァルト」と呼ばれる、ヨゼフ・マルティン・クラウスもモーツァルトと対等、あるいは凌ぐほどの作品を書いています。
バロック・ソプラノのシモーネ・ケルメスが歌う、クラウス作曲のオーケストラ伴奏声楽曲のアルバムがあります。

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レシタティーボとアリアによるカンタータが4曲。器楽作品で聴くクラウス独自のニュアンスは目立たず、典型的な古典派音楽というか、モーツァルトの曲だ、と言っても信じてしまいそうな雰囲気です。
クラウスは声楽曲でも一流のセンスがありますね。いずれも高度なコロラトゥーラを楽しめますが、中でも2曲目のカンタータ「春」の終曲は圧巻で規模が大きく、技巧も最高で、ピアノ・コンチェルト並みの装飾的旋律でカデンツァが入り、"声楽コンチェルト″ですね^^
動画:J. M. Kraus - VB 47 - La primavera  アリアは8:10から

W.エールハルト指揮の古楽オケも良いアンサンブルで、このアルバムの冒頭に劇音楽「オリンピア」の序曲を置き、カンタータの曲間にもこの劇中曲を挿入して気が利いています。録音は極めて鮮明かつ聴き心地のよいものです。

PS.「オリンピア」序曲といえばこちらのサイト、いきいきした演奏で気に入りました。
Olympie: Overture

category: J.M.クラウス

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大ミサ曲 ハ短調  

昔、緑色のジャケットで出ていたヘリオドール盤(グラモフォン原盤)はどれを買っても充実した内容で満足していました。近年はフリッチャイなどの再版CDが出ると、無意識に、といっていいほど^^集めていました。

モーツァルト、大ミサ曲ハ短調K.427
F.フリッチャイ指揮、ベルリン放送交響楽団、聖ヘトヴィヒ大聖堂聖歌隊
マリア・シュターダー:S ヘルタ・テッパー:A エルンスト・ヘフリガー:T イヴァン・サルディ:B
これもとりあえず買って(もったいなくも)保留してあったのですが、演奏、録音(1959年)のすばらしさに驚きます。昔、LP盤を買って冒頭部分だけ聴いて、こりゃいいぞと思って間もなく盤を損傷してしまい、それっきり縁が途絶えていました;

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ソプラノのM.シュターダーの清潔な声は(好きな声です)技巧的な声楽曲でもあるところ、思いのこもった歌いぶりにまず感動、フリッチャイ指揮のベルリン放送響はBPOのときと同じ、弦の柔軟で味わい深い演奏を常に聴かせ、深く息を吸って祈りを捧げるような演奏、少々古いと思いこんでいた録音も見事なグラモフォン・サウンド、全てにホロリとさせられます。買っておいて良かったです^^

この作品はウィーン時代のモーツァルトが、スヴィーテン男爵に提供されたバッハやヘンデルの作品に触れ、即座にその影響が現れたものとしても興味深いです。明らかにバロックへの回帰があり、第2曲のGloriaはヘンデルの祝典音楽的だし、第10曲Credoもヘンデルのデッティンゲンのテ・デウムをちょい連想します^^一方、第3曲のLaudamusは思い切りモーツァルトらしい、当時流行ったコロラトゥーラをソプラノが聴かせる、といった内容盛り沢山の傑作ですね。ソプラノがアルト音域を歌ったり、アルトがソプラノ音域を歌ったりするところも面白いです。

もう1枚、好きな盤があります、
J.E.ガーディナー指揮、イギリス・バロックO、シルヴィア・マクネアー:S ほか
古楽演奏らしい美質が聴かれるとともに、豊かな響きで重厚感が失われていない名演ですね。こちらはソプラノ&アルト、ではなくソプラノ2人が起用されています。

PS.ヘリオドールといえば、W.シュナイダーハン:vl、O.ヨッフム指揮、BPOのベートヴェン ヴァイオリン協奏曲がでていましたが、これぞ名盤といえるものでした、5月に復刻されるそうで楽しみ。

category: モーツァルト

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「オックスフォード」  

第92番「オックスフォード」
第一楽章の序奏はト長調の和音で始まり、主部の第一主題動機を弄るように暗示します。主部に入り、弦で奏される動機は、曲の途中から始まったような印象ですが、属七で始めているからですね、珍しいです。元気な全奏に入って主和音となります。愛嬌のある第二主題が登場しますが、第一主題から派生した感じで、明確に第二主題とは言えないかもしれません?これが短調となって展開部を開始します。展開部の見事さは終楽章でも堪能できます。
ハイドンらしい冴えを感じる傑作です。それだけに演奏には拘ってしまい、集めたLPやCDの数も多いです。

hay 92
etc.

小細工なしのあくまで自然な演奏、サウンドは重すぎず軽すぎず、ちょうど良いテンポ、オーケストラの一体感、ベスト・バランスの録音、これらが叶えられていれば満点です。この曲では木管のパッセージに下手にスラーをかけると気が抜けちゃう、キビキビと粒立たせるのがいいです。時間にして一瞬の間の表現の善し悪しが音楽では勝負になってきますね、ハイドンではそこを失敗したら聴きようがない・・;

そこで、私にとって最高の1枚はコリン・デイヴィス指揮のコンセルトヘボウ・アムステルダムOとなります。このコンビでパリ・セットからロンドン・セットまで質の揃った録音がされていて、ほかにも愛聴盤が多いです。
ベーム&VPOはちょっと重いけど、さすがに格調高い。
ブリュッヘン指揮の18世紀O、あらためて聴くとこれもいいです。モダン・オケ以上にダイナミックレンジをとったようなショッキングな強奏とメリハリ感、92番ではとても効いています、同時に細やかなコントロールも聴かせます。PHILIPSの録音は音の鋭さを適度に和らげ、聴きやすいです。
ロイ・グッドマン&ハノーヴァー・バンドもブリュッヘンに負けないメリハリ感、幾分テンポは速めですが速すぎず、キビキビと痛快です。

category: F.J.ハイドン

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ヴェラチーニの序曲  

フランチェスコ・マリア・ヴェラチーニ(1690~1768)
この人について詳しい資料が見つかりませんが、ざっとした伝記では父にヴァイオリンを学び、タルティーニさえ舌を巻く腕前だったそうで、様々な災難や不運に惘れながらも78歳の生涯を全うしています。
どのように学んでいったのかわかりませんが、A.コレッリをよく継承した室内ソナタが豊かな楽想で美しく、こういうイタリアの作曲家かと思っていましたが、時はバロック後期、いろんな様式で書いていますね。この曲などいいですね。
Sonata Accademica No.5, Op.2

興味深いのはドレスデン宮廷のフリードリヒ・アウグスト王子のために書いたという、6曲のフランス風の序曲(管弦楽組曲)です。

veracini
参考:
Ouverture Ⅱin F dur
OuvertureⅠin B♭dur

管弦楽組曲といえば、バッハやテレマンが緩-急-緩の序曲を発展充実させたドイツの音楽ともなっていた頃ですが、ヴェラチーニの書いた序曲は、リュリの活躍した、ルイ14世の頃の宮廷に響いた音楽を彷彿とさせるほど、当時としては古風ということになりましょうか?アウグスト王子はこういう曲がお好きだったのか。6曲のうち最後の変ロ長調だけは4楽章の風変わりなものになっています。

2枚CDが手元にありますが、まず古楽器でムジカ・アンテクヮ・ケルン、例によってメリハリを効かせた活気ある演奏。もう1枚はアルベルト・マルティーニ指揮:アカデミア・フィラルモニチ、こちらはモダン楽器ですがピリオド傾向で、作品の良さは十分楽しめます、こちらの演奏が親しみやすいかも?

category: その他・バロック

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