Micha クラシック&リュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

F.ブリュッヘン:ハイドン45,48,49番  

ブリュッヘンによるハイドン疾風怒涛期の演奏を聴いた記憶がなかったので興味ありました。オケはエイジ・オブ・エンライトメントで、45、48、49番のアルバムです。

hay 45 bru

これらの曲ともなればさすがに灰汁の強さはなく、オーソドックスで晴朗な響きで聴かせますが、巨匠らしいよく練られた演奏に思います。聴かせどころを漏らさず聴かせてくれる演奏、これで十分でしょう。

45番「告別」の魅力はまず第一楽章での内声のシンコペーションが不安な切迫感で引きつける、展開部以後は一押しも二押しも聴かせる書法。夢想的な第二楽章は通常より速めのテンポですが、短い時間に上手く聴かせ切ってくれる感じ^^第四楽章の展開部で弦群が切迫して演奏する途中、管群がパーっとハーモニーを入れる場面などじつに良いですが、この録音は潤いを帯びた響きで弦がしなやか、管も色彩感よく聴こえます。なお当演奏では2本のオーボエの音色に違いがあるのも面白い、1本はツーンと鳴り、もう1本は丸みのある音、偶然ですがこれも効いています。

48番「マリア・テレジア」はティンパニが入りますが、深々とした鳴りで、まさに下支えする響きで心地よい。第一楽章展開部は静かな短調ではじまり、ユニゾンを聴かせる部分を経て、弦の上声と低声によるポリフォニックな掛け合いがあります、そこへヴィオラのトレモロが割って入る・・このへんじつに味な構成ですが、あらためて気づいたしだい。風格たっぷりの48番です。

49番「受難」は充実した第一楽章アダージョが聴きどころですが、弦の上に管が鮮やかに響き、満ち足りた気分にしてくれます。第二楽章は切れ味、活気に満ちています、オーボエの音がやはり効く。メヌエットがゆったり悲哀感を奏でたあと、終楽章は急速キレまくり!ウマいアンサンブルで余計凄みを感じる、ここはさすがブリュッヘンらしいエネルギーかな。

18世紀Oのライブ録音は出来のよさに差がありましたが、この録音は理想的、O・リベラ・クラシカ盤のような生演奏的サウンドの正直な録音も好きですが、この録音はスタッフによる、音楽的な仕上げがセンスよく成されているようです。

category: F.J.ハイドン

tb: 0   cm: 0

T.ファイ:ハイドン交響曲第53番「帝国」  

傑作の53番、T.ファイを聴かずにおけ、と言われてもムリですね^^;当然のごとく取り寄せてしまいます。
やはりオケの近くに寄った克明な録音で聴けます。

hay 53 fey

さて、第一楽章の序奏、初めはカチっと音を切り、荘重さを強調します。ジュピター・テーマはもちろんレガートに。主部は期待どおりの快活さ、適切な強弱のうねりを持たせた表現で引きつけます。展開部の緊張感もいい、なお第二主題の演奏で、提示部ではvlにobをダブらせ、再現部ではflをダブらせていたんですね、vlのキュンとした音にflが重なると特に高域で雅な味わいがあります。
第二楽章、この曲ではブラスとティンパニを用いたダイナミックな変奏はなく、穏やかに進められます。弦の美しさは申し分なく、ぐっと弱音に下げて聴かせる部分もありますが、よけいに聴き手は集中させられる演奏効果です。
メヌエットは思いのほかゆっくりなんですが、ビシっとメリハリをつけた開始で、このメヌエットの特徴が意外に強調されます。もちろんレガートな味わいも入れる。トリオを挟んで、聴きどころはメヌエットの最後、カデンツァでも入るかのようにフェルマータとなり、vlのソロが入ります、しばらくアダージョのテンポで進め、テンポに戻って終結します。メヌエットだけでドラマティックな顛末がついたみたいです。何かやってくれる期待はここにありました^^
終楽章はA版、カプリチォが先に演奏されます。リズム快調で86番を彷彿させる見事な曲なので、当然ファイは全開で応えてくれます。最後のティンパニで華々しく終わるところがいいです。次にB版が入っていますが、どちらかというと、私もA版をまず優先したいですね。

カップリングされた54番もじつにいい^^

category: F.J.ハイドン

tb: 0   cm: 0

鈴木秀美:ハイドン 交響曲第53番「帝国」  

さてお次は鈴木秀美:指揮、O・リベラ・クラシカによるハイドン「帝国」です。
2003年、東京・浜離宮朝日ホールでのライブ。例によって録音はとてもナチュラル。

hay 53 suzuki

第一楽章、冒頭から炸裂、休符を置いて弦の涼やかな"ジュピター・テーマ"を聴かせ、再び鋭く、序奏を聴いただけで期待感たっぷり。主部はぐっと静かに始め、ちょっと溜めを持たせたトゥッティの踏み込みが鋭い、ティンパニはT.ファイ盤を凌駕するような叩きっぷり、しかし、過激とは感じない、こうあってしかるべきだと納得する。展開部の前半、第一主題によって思い切り盛り上げ、第二主題を挟み、今度は第一主題を無重力的に神聖な表情に扱い、また提示部で鋭い踏み込み。このエネルギーはブリュッヘン譲りか?それ以上の切れ味です。
第二楽章、弦の美しさ申し分なし、素直に聴くのみです。
第三楽章、かなり速めで快調、あれこれ言う事なしですね^^;このメヌエットは43番「マーキュリー」のメヌエット同様気に入ってしまいました。
終楽章はA版カプリチォのほうを演奏していますが、第一楽章同様、もはやモダン、古楽、関係なしの快演です。なお別の演奏会のアンコールで演奏したB版も続けて入っています。

先般の86番の入ったアルバムとともに買って良かったと思います。鈴木氏はブリュッヘン、クイケン、T.ファイはアーノンクールと系譜は異なりそうですが、こちらも新譜が楽しみになってきました。
カップリングされたモーツァルト、fl協奏曲No.2がすばらしいですが、あらためて。

category: F.J.ハイドン

tb: 0   cm: 0

B.クイケン:モーツァルト fl協奏曲No.2  

あまり長くなく、作曲家の魅力が詰まっている協奏曲の傑作というと、ハイドンならtp協奏曲、モーツァルトではfl協奏曲No.2あたりでしょうか、オーボエ編もいいですが。
録音としては古いほうになりますが、fl協奏曲No.2の名演としてまずあげたいのが、バルトルド・クイケンのフラウト・トラベルソ、S.クイケン指揮、ラ・プティット・バンドによる演奏です。

moz fl k

デジタル初期らしく、やや高域が強調された音ですが聴きづらいほどではありません。
バロックでも親しんだB.クイケンのトラベルソが何より味わい深い、安定した技術のみならず、この楽器の翳りを帯びた慈味を最初に聴かせてくれました。
トラベルソによるモーツァルト協奏曲の録音はこれが最初だったかもしれません?とても新鮮でした。
第一楽章、ソロが始まり、例の長ーく引く音、ノン・ヴィブラートのくすんだ響きが空気に溶けるような感じで素晴らしい、B.クイケンの安定した技、トラベルソの音量内での奥行きいっぱいの表現、兄S.クイケンのバックはぴたり質を揃えた繊細な伴奏で支えます。
第二楽章、まずオケはバス部を少し切りぎみにリズムを表出、淡々とした表情で始まります、そこにトラベルソがレガートに入ります、ここではB.クイケンは無伴奏曲を吹いているかのように、かすかな弱音まで用いた孤独な雰囲気となります。雑念を全てはらい、慈愛だけを残したように歌いあげます・・オケも大切に息を合わせ、これはじーんときます。
第三楽章でほっと平常心に戻してくれるのも感動的なんですね。この曲はあまり長々としたカデンツァの演奏はいらないですね。
とにかく、この第二楽章の演奏を聴いて以来、ちょっとやそっとの演奏じゃ、そっけなく感じるようになってしまいました;ハイドンtp協奏曲の第二楽章も同様・・じーんとこなきゃいけませんね^^

category: モーツァルト

tb: 0   cm: 0

A.フィッシャー:ハイドン53番「帝国」  

これもフィッシャー盤中、指折りの名演となっています。どうも中番あたりに良い録音がありますね。

hay 53 fi

Haydn - Symphony No. 53 in D major "L'Impériale"

序奏はまさにラルゴのテンポで休符の溜めを効かせながら風格たっぷり、この演奏でもティンパニの響きが実に良く、落ち着いた短めの余韻で明確に鳴り、心地よくリズムに乗せてくれる。主部もあまり急がないテンポでくっきりエッジを立て、展開部の緊張感、充実感が際立ちます。なお再現部に入ると主題を適度にカットしているところ、ハイドンの冗長を避けた上手さで、じらせずに次へ進みます。(あえて効果的にじらすときもありますが)
第二楽章でフィッシャーは適宜、弦パートを一人ずつにして、室内楽的に聴かせるところ良い効果です。ここでもウィーンの伝統的な弦の音づくりが聴けて味わいがあります。ピリオド指向の軽やかなサウンドの中に伝統が活かされているようです。またウィンナ・オーボエの音も効きますね、独特だけど古楽器的でもある。
メヌエットは簡潔な美しさが魅力、ティンパニの3拍子がハマります。フルートとヴァイオリンをダブらせた響きのアイデアは75番のトリオにもありました。たぶん作曲時期も同じ頃なのでは?
終楽章はハイドンによる差し替え用の異稿があって、これも頻繁に演奏された人気を物語っています。ここではB版とされるソナタ形式のプレストが演奏されています。こちらが良く演奏されるそうで、ドラホシュ盤もこれです。昨日のクイケン盤ではA版のカプリチォが演奏されています。(C版とされるものは偽作らしいので除外されます)両版には特に共通性はなく、どちらが好きかというと甲乙つけ難いんですね、喜ばしいことに^^最近はT.ファイ盤のように両方録音するのが普通になってきたみたいです。

category: F.J.ハイドン

tb: 0   cm: 0

S.クイケン:ハイドン 53番「帝国」  

シュトルム・ウント・ドランクというのは本来、文学世界の革新期をさすもので、音楽も含むものか疑問の説もあります。とは言えハイドンの50番台あたりまで、感情の優越といえる作品が多くあるのは確かです。第52番など、この時期の短調作品が最高調に達したものでしょう。
しかし次の53番「帝国」はパリ・セットに近いような大きな進歩があります。52番とは時期の離れたもので、実際書かれたのは1779年頃だとされています。70番台あたりの番号が付いてしかるべきでしょうね。イギリスやフランスへ渡った楽譜が演奏され、いち早くハイドンの名声を広めた作品でもあるとのこと。
まずはS.クイケン、La Petite Bandeから聴きました。1988年録音、Virgin classics

hay 53 ku

第一楽章、荘重な序奏のあと、ホルンとチェロがユニゾンで開始する、この響きも新しい試みでしょうか、この動機は主和音を上下するだけの単純な音形ですが面白い、大いに展開性を期待させます。第一主題が支配的で楽章全体も骨格のしっかりした印象を与えますが、切れ味のよい素材も織り込み、小味を効かせます。展開部はやはり第一主題が中心でポリフォニックな書法、第二主題も挿入してけっこう長大に充実させます。
第二楽章はフランス民謡に基づく変奏で、85番の第二楽章にも通ずる親しみやすい出来栄え、これもフランスで人気をかったことでしょう。
第三楽章は104番のメヌエットを愛らしくした感じで、まさに歯切れ良い3拍子が心地よさと気品をもたらします。トリオではvlにフルートを重複させる、音の合成をやっています。
終楽章は軽いフィナーレじゃなく、86番にも負けないような楽しさと活気にあふれ、第一楽章とバランスした充実した構成をもっています。異稿のある終楽章のA版、カプリチォの方を演奏しています。
以上、クイケンの演奏は各楽章、適切なテンポでくっきりと引き絞め、またプティット・バンドの美音も魅力的な好演、録音も鮮明に音場が広がります。
53番も全楽章聴きどころ満点、他の演奏も次々聴きたい傑作ですね^^

category: F.J.ハイドン

tb: 0   cm: 0

カラヤンのベートヴェン「田園」'62年  

脈絡がないですが、カラヤン、BPOのベートーヴェン交響曲第6番です^^;
このところ古楽系に浸っていましたので、ちょっと耳直し、対極的なところを聴くのも新鮮かと・・

be 5 6 kara

3度のステレオ録音のうち、全般には最初の60年代録音がやはり好きですね、録音も最も好音質ですし。
この62年録音は過去にLP盤ももっていましたが、最初第一楽章に針を下ろしたとき、やけに音量が小さいと思いました、ボリュームを上げると針トレース音が目立つだけ、録音のレンジを下げているのではなく、本当に控えめの音量で演奏しているんですね、しかしそれなりに味わい深く聴かせていきます。第二楽章も控えめ、B面に針を下ろすとスケルツォの始まりはやはり控えめ、クラリネットの上手さと美しい音が印象的です。やがて嵐の描写に入ると驚くほどの大音響となります、ここにダイナミックレンジを合わせた演奏設定だったわけです。しかしブラスは清朗な響きなので喧しいと感じさせないのは流石、上手くて量感たっぷりなコントラバス軍団も強力な下支えとなります。終楽章はゆっくり、遠慮なくBPOの弦の魅力、渋い輝きを沸き立つように堪能させます。全体には例によってレガート基調、あえて拍打ちを明確にせず、聴き手を前へ前へと押し流していく、そんな感覚です。
CDになってはじめてノイズに邪魔されず、この演奏設定をしっかり聴けるようになりました。こういう演奏が聴けるのはカラヤン、BPOだけでしょう、独自の価値を持っていると思います。

category: ベートーヴェン

tb: 0   cm: 0

T.コープマンのモーツァルト36番  

ここでトン・コープマン指揮のモーツァルト「リンツ」もあらためて聴いてみました。
1991年、モーツァルト・イヤーの日本公演でモーツァルト交響曲全曲演奏をやった、東京芸術劇場でのライブ録音です。

moz t k

34,35,36,38,41番を集めたアルバムで、39、40番はスタジオ録音が別にでています。当盤のアムステルダム・バロックOの主席チェロにはJ.T.リンデンの名前もあります、コンサート・マスターはアンドリュー・マンゼ。今や次世代をリードしている人達ですが、ここでもう全曲演奏を奏者としてやっているわけですね。

36番ですが、第三楽章が少しゆっくりめなのを除いて、演奏時間はJ.T.リンデン盤とほぼ同じ、柔軟なタッチが基調で丹念な歌いこみ、聴きどころは共通に思う部分が多いです。
解説によれば、当時はバロック時代とさほど事情はかわらず、演奏表現の詳細は楽譜に記されておらず、演奏者の即興性が求められたとのこと。この演奏ではティンパニに連打音を加えたり、終楽章で適宜、木管や弦の旋律が装飾されたり、今でこそ珍しくない演奏が先駆けて行われているのも刺激的な聴きどころです。
この演奏は当時TVでも放送されましたが、NHKの録音スタッフも関わっているようです。例によってあくまでナチュラル音ですが、会場のせいか高域が吸い取られ、ややデッドな響きですが支障のない程度です。

コープマンやリンデンのような演奏で録音良好なハイドンの全集があれば、即ほしいかな、お値段も問題ですが^^

category: モーツァルト

tb: 0   cm: 0

J.T.リンデンのモーツァルト36番  

さっそく、J.T.リンデン、MAAのモーツァルト全集、36番「リンツ」から聴きました。

moz36

古典派を演奏する古楽オケの弦は音量が弱いにもかかわらず、さほど大勢ではない場合が多いです、第一vlだけでも4~5人程度だったり。狙いは"大勢が弾く量感"よりも、"集約された1本の楽器の音"のように美しく響き、パート音としてしっかり聴こえるのが大事ということでしょうか。実際ザワついた音よりも一点集中した美音のほうが存在がはっきりして、第一vl、第二vl間など和音が美しく聴こえます。当時も特別な機会を除けば、ほとんどの演奏はエステルハージ・オケくらいの規模が普通だったことと思います。当盤もそれくらいの編成のようです。ザロモン・オケくらいに増強したクイケンのラ・プティット・バンドも音づくりの本質は同じかと思います。
J.T.リンデンはチェロ、ガンバ奏者で、T.コープマンに師事、アムステルダム・バロックOの奏者も務め、数々の古楽演奏の場で活躍しています。

jtl

さて、36番ですが、短期間の録音にもかかわらず、よく練られた演奏です。
Mozart: Symphony 'Linz' No.36 J.Ter Linden
序奏部の最後の響きがじつにいい、じんわりと弾く弦にドスンと管打が重みを入れるタイミングが絶妙、一瞬のことですがこの曲の聴きどころになっています。主部は快活ななかでも、各音のデュナーミク、適切な切り具合による細やかな歌いこみ、じっくり聴く内容が詰まっています、自身も弦奏者であるし、師コープマンの演奏も彷彿とさせます。
第二楽章はさらにそんな表現が深まります。ただ流麗なだけの演奏じゃ眠くなるところ、そうはさせません^^フォルテとなるべきところ、意外に弱音で弾きます、聴き手の気分をフォルテへと誘い、そこで美音を聴かせます。(これは音量に乏しいギターやリュートでは必須の技ですね )
メヌエットは幾分早めですが、清々しさ抜群。
終楽章は普通くらいのテンポ、全楽章でも言えますが、柔らか基調の中で、きりっと気分を絞める好演です。
録音はどこか強調したようなところのない、ナチュラル音質です。中低域の量感に欠けた録音はダイナミズムに支障をきたしますが、その問題もなくバランスも良好。

category: モーツァルト

tb: 0   cm: 0

全集もの  

完全全集とか部分全集とかいうのにはあまり興味なかったのですが、最近は内容が良く、超安いというのが目白押しですね。これは先日届いた、ヤープ・テル・リンデン指揮、Mozart Akademie Amsterdamのモーツァルト交響曲全集です。

moz sym

新譜CD1枚の値段で11枚組というのには恐れ入る。2001年~2002年に集中録音したものだそうで、演奏、録音ともに優れていて出来のムラがありません、ここが気に入りました。ブリュッヘン盤のような時間をかけた入念な演奏ではないかもしれませんが、全曲、古楽オケによる自然体の秀演、作品そのものの良さを知るには最適かもしれません。35番以後はいくらでも名盤がありますが、それ以前が満足いく演奏で一挙に揃うのは嬉しいです。追々レビューを書いていきたいです。

ついでながら以前に揃えた下記の全集。

moz hay

左がR.レヴィン:pf、 C.ホグウッド指揮、エンシェント室内Oによるモーツァルト、ピアノ協奏曲全集?です。
全集といっても完全じゃなく、21番、24番、25番、27番と後期の傑作どころが欠落しています。名演がいくつも存在する曲は割愛したということでしょうか?めったに聴けない初期から20番以前までがほぼ揃うということで気の効いた内容かと思います。演奏は一流で申し分なし、録音もオワゾリール絶好調です。これについても追々・・

category: モーツァルト

tb: 0   cm: 2

J.M.クラウス 交響曲ホ短調  

久しぶりにヨゼフ・マルティン・クラウスを取り上げます。
過去にも取り上げたディスクですがお馴染みNAXOSのP.スンドクヴィスト指揮、スウェーデン室内Oの秀演で第3集の最後に入っている交響曲ホ短調 VB141。

kraus3

ハイドン、モーツァルトの短調交響曲を凌ぐような劇的でエネルギッシュな作品です。クラウス26歳頃の作曲のようでC.P.E.バッハやグルックの劇的スタイル、またハイドンの書法の影響も受けているそうです。

第一楽章Allegro spiritoso、連打バスの上に快調に曲を進めるホモフォニックな書き方ではなく、ハイドンで言えば45番じゃなく、95番のような構成感。彫りの深い印象的な主題で始まります。展開部の書法から再現部の劇的な表現まで見事なものです。
Kraus Symphony in E minor I Allegro spiritoso

第二楽章Adagio、ホ長調にかわり、ハイドンにもありそうな歌唱的な親しみやすい旋律のテーマ、このセンスも一流どころと感じますね。モーツァルトほど粘らず程々の味がいいです。二部形式の後半の楽想も美しい、ホルン・ソロを聴かせて閉じます。
Kraus Symphony in E minor II Adagio

終楽章Presto、この楽章が凄いんですね、音楽史的にもよくこの時期に書いたもんだと思います。提示部でかなり劇的で、そのオーケストレーションが見事です。展開部ではポリフォニックな技も冴え、終結に向けての闘争感も痛快です。"悲哀"には縁がない闘争の音楽ですね。ロマン派を先取りしているとも言われます。
Kraus Symphony in E minor III Presto

決して多くはない古典派の短調交響曲、このほかヴァンハルなどはメロディックに運ぶ書法でそれぞれスタイルが違い、長調作品以上に個性がでてくるようで面白いです。

category: J.M.クラウス

tb: 0   cm: 0

T.ピノック ハイドン48番  

48番「マリア・テレジア」
T.ピノック指揮、イングリッシュ・コンサート 1989年

hay 48 p

ハイドンはオーストリア女帝マリア・テレジアと、娘で後のフランス王妃マリー・アントワネットにゆかりの曲、48番と85番を書くことになります。献呈のために書いたわけじゃなく偶然ですが。
マリア・テレジアがエステルハージ家を訪問した際、歓迎のために演奏されたのが事前に出来ていた48番ということです。しかし高音のホルン(又はトランペット)が華々しく、場にふさわしい雰囲気です。久々に聴いてあらためて良い曲だと思います。
第一楽章、これほど溌剌と楽しい表情で書くのはハイドン以外にはヴァンハルくらいでしょうか?旋律の明るさとリズムの乗りが絶好で、ティンパニの打ちどころもツボで心地よく快調に曲は運ぶ。しかし明るいだけじゃなく、翳りの部分も置き、対比があります。
第二楽章、これもこの時期の典型的な緩叙楽章で弱音器を付けたヴァイオリンによる夢想的な雰囲気、ホルンの聴かせどころも置いています。二部形式と思われますが前半は反復、後半でさらに夢想感を深めます。
メヌエットは快活で高貴な雰囲気をたたえます。一方、トリオは短調で瞑想的。
終楽章は比較的簡潔ですが第一楽章とバランスのとれた華々しさでスッキリと曲を閉じます。

ピノックの演奏は堅実でよく整ったアンサンブル、安心して聴けます。トランペットの加わった版もあるようですが、この演奏ではホルンのみ、透明で柔らかなホルンが上手いです。
録音はブリリアントで引き締まった聴き心地よいアルヒーフ・サウンド、内声の動きもくっきり聴こえます。
R.グッドマンのhyperion録音も悪くはないですが、このようにもう少し澄み切った音質ならいいのに、少々惜しいですね。

category: F.J.ハイドン

tb: 0   cm: 0

鈴木秀美、ハイドン86番  

ここ数カ月、ハイドンから抜け出せません(笑)当面聴く予定のCDはラックから出してありますが、まだ目白押しです。順番に迷いましたが、今日は鈴木秀美指揮、O・リベラ・クラシカの86番です。
鈴木氏は18世紀o、ラ・プティット・バンド、両オケのメンバーとしても活躍した実績がありますから、大いに期待してしまいます。ハイドン、モーツァルトの比較的演奏されない作品やヴァンハルなど優れた作品もプログラムに積極的に取り上げ、録音しています。このCDもライブです。モーツァルト31番とハイドン83番がカップリングされたもの、全曲気に入っていますけどね。

hay 86 su

86番ですが、各楽章、テンポはブリュッヘン盤に近いです。どっしり構えた雰囲気はブリュッヘンを思わせるし、繊細な音づくりはクイケンを思わせる・・
第一楽章、序奏はとても聴き馴れた雰囲気^^主部はあまり急がず、フレーズ間など節目となるところで、姿勢を正しながら進める感じが聴き取れ、楽章の味わいをじっくり聴かせます。ティンパニはすべての打音が明快に入り、リズムを心地よく決めます。
第二楽章、弱音部分はきわめて美しいですが、強奏になっても透明感のある響き、耳疲れなどまったく起さない美音で埋められています。
メヌエット、冒頭はズバっと切れ味よく、短調部分の空気のようなしなやかな表現が際だちます、トリオは音量を押さえ穏やかに対比をつけます。
終楽章は文句なしのいい曲ですが、トランペットの透明感ある響きが一段と華やかに聴こえます。

この盤の魅力は録音の素晴らしさも大きなウエイトでしょう、音はあくまでナチュラル、帯域バランス、解析度、すべて文句なし。レーベル特有のサウンドに仕上げようというところはまったく感じられず、無色透明な姿勢が日本の技術者的でもあります。スピーカーを通じて最もリアルに聴けた印象です。

category: F.J.ハイドン

tb: 0   cm: 0

B.ヴァイル、ハイドン43番  

ここ数日、疲れのせいか、長いというわけでもないハイドンのsymphonieの途中で眠くなったりします;;
今日はやっと最後まで聴いたB.ヴァイル指揮、ターフェル・ムジークOの43番「マーキュリー」です。

hay 43 b

第一楽章からひじょうに味わい深いです。ソナタ形式ではあるのですが、明確な息の長い主題旋律が聴かれず、第一主題群やら推移部やら、いくつかの器楽的な短い素材が繋がれていくように聴こえます。整った形式感よりも細やかな気分の移ろいが重要になっている疾風怒涛期の特徴と言えましょうか、魅惑的な素材もあり、瞑想的に陥る部分もあり・・言葉にするのは難しいです^^;参考にT.ピノックの演奏:Joseph Haydn - Symphony No. 43 1st
第二楽章は深く落ち着いた気分、弦が主体ながら管が効果的に入り充実しています。これは二部形式でしょうか、後半、同じゼクエンツによる和声の移ろいが聴きどころで深いですね。
メヌエットは瞑想的な前楽章と対照的で、明快そのもの、これほど簡潔で美しいメヌエットはほかにないでしょう?簡潔だけど良い旋律で短いながらとても印象的。ヴァイルのじつにスッキリした演奏が効いてきます。
終楽章も器楽的素材が繋がれていく感じ、緻密な内容で味わい深いです。

このシリーズ録音にはハイドン研究家のR.ランドンも監修に関わっているそうで、1枚のディスクに同時期の作品がカップリングされています。全集にはならなかったけど、最初期とロンドン・セットを除いた主要なところを上手く拾ってあるようです。
透明感のある秀逸な録音が疾風怒涛期の作品を一段と美しく聴かせます。楽器の音色も鮮やかに感じ、和声を奏でるオーボエがぐっと前に出てきて、小刻みに弾く弦楽をバックに大らかに曲を流していきます、楽器間のバランスもいいですね。

category: F.J.ハイドン

tb: 0   cm: 0

鈴木秀美のハイドン75番  

もうひとつハイドンの75番を聴きました。以前、同盤にカップリングされたJ.B.ヴァンハルの交響曲ホ短調の件で取り上げた、鈴木秀美指揮、O・リベラ・クラシカです。このヴァンハルのホ短調もじつにいいのですが、今日はハイドン75番です。

hay 75 lc

序奏の冒頭、弦の総奏は古楽器らしくあまり重く響かないけど、緊迫感はあります。そのあとのティンパニを伴ったトゥッティが一段とインパクトがあります。主部は早めのテンポでキビキビと、ぴしっと決めながら優秀なアンサブルを聴かせます。金管とティンパニは明快に強奏群として活躍します。弦のみによる瞑想的な部分と思いきった対比がつきます。
第二楽章、安らかな主題の演奏もただ緩やかに流さず、適切に切れ目をつけて、ダレた感じになりません。チェロのソロの部分、弱音で目立たず主題を弾いているヴァイオリンが逆に耳をそばだたせます。
一風変ったメヌエットは活発な演奏、トリオのvlとflは昨日のフィッシャー盤より一段とぴたり一体化したような演奏、普通はvlとflで旋律を分け、ハーモニーを演奏しそうなところ、ユニゾンにしちゃうところがユニークですね。短いけどこのメヌエットも聴きどころです。
終楽章はちょうどいいテンポで押し出し感も十分で痛快。曲の内容はもう少し長くもできそうですが、ハイドンは思い切って鋏を入れ、長い休符で次へ移り、聴きどころだけ残すような感じです。

演奏はじつに溌剌としていますが、あまり粘るようなところはなく、そこは和風と言えるかもしれません?録音も優秀ですが、やや弦が乾いた響きに感じます、が爽快とも言えるでしょう。

category: F.J.ハイドン

tb: 0   cm: 0

フィッシャーのハイドン75番  

このところ、聴くのに時間を取られ書いている暇がなかったです。ハイドンのsymphony、まだまだ未聴の傑作がでてきます。
お馴染みの73番「狩」やこの75番が書かれた時期はエステルハーザはオペラ上演が多く、ハイドンの交響曲はブランク期だったようです。また、宮廷外の作曲注文に応じて良い許可が出た頃でもあります。
75番を聴くといつでもパリ・セット級の曲を書く準備OK、という感じ。それまでの作品で聴いた事のない響き、旋律趣味など新しい試みが聴かれます。二つの楽器の融合音や隠し音的な試みも・・

hay 75

第一楽章は力強さと静寂が交互に押し寄せる劇的な序奏のあと、弦で軽やかに主題が始まり、ティンパニを伴ったトゥッティが響く、これが一段と豪快に切れ味よく連打されます。展開部は静かに始まり、第一主題による展開が力強く、次に静かに憂いを帯びた様子も聴かせ、再現部に行きます、コーダのこれまた活きのいいこと。
第二楽章、弦には弱音器、夕べの祈りといった雰囲気で始まる変奏曲、元のテーマは大きく変化させない変奏が続き、チェロ・ソロの変奏がありますが、左脇で弱音ヴァイオリンがかすかに元のテーマを弾いている響きのバランスがいいです。
メヌエットのテーマがなんとも不思議で魅力、何かの民族音楽からヒントを得たかのような?トリオでは1本のヴァイオリンとフルートが同じ旋律を奏で、まるで猫と小鳥が一緒に歌っているような愛嬌のある響きです。
終楽章ははじまりはいつものハイドン、しかしトゥッティに入るといつにも増した炸裂と緊迫、この演奏では適宜vlパートをソロにして聴かせる変化の付け方がいい、演奏時間3分半ほどの終楽章ですが聴きどころ十分、下手に冗長になるよりずっといいです。

フィッシャーの全集は録音の出来などムラがありますが、この盤は最高の出来、単独盤だとしてもほしいくらい。
オーストリー・ハンガリー・ハイドン管弦楽団はVPOやVSOのメンバーも入り、ウィーン的な伝統の音作り、弦の柔らかなヴィブラートを伴う潤いのある音は、淡白になりがちな古楽器よりもときに効果的に思えます、オーボエもウィンナ・オーボエですね。一方、全体にはピリオド指向の響きも意識していて、この75番の演奏もそうです。新旧の魅力が融合したような希少な演奏かもしれません。

category: F.J.ハイドン

tb: 0   cm: 0

アーノンクールの「オックスフォード」  

今回はDVDです。一つくらいアーノンクールの指揮ぶりも見られるハイドンがほしいと思っていたところ、1枚ありました。
ハイドン、交響曲第92番「オックスフォード」、C.バルトリによるソロ・カンタータ「ナクソスのアリアンナ」及び「ベレニーチェのシェーナ」
N.アーノンクール指揮、Concentus Musicus Wien
2001年7月、シュティリアルテ音楽祭(グラーツ)でのBBC収録です。

hay dvd

さすがに映像が入ると、指揮の意図も伝わってきて一段と引きつけられます。
さて、92番ですが第一楽章序奏から、弱音ながら身の詰まったような充実した味わいが響きます。主部は普通くらいのテンポ、弦がなでやかに属七を奏で、トゥッティの主和音を豪快に鳴らします、この押し寄せては引く繰り返しがこの楽章の魅力でもありますが存分に聴かせます。内声部の味な動きもいいんですね。展開部は突如問題が起きた描写のように始め、解決策を探るような動き・・このあたり"物語″を感じます、いくつか試行錯誤ののち、緊迫した山場を描き、再現部、終結部と進みながら見事解決して終わります。効果的な速度変化をつけながらの演奏です。
第二楽章はあまりにカンタービレな演奏はちょっと嫌気がさしますが、アーノンクールは程よくドライ感覚、されど表情があり、語る感じ。中間部の短調部分はテンポを早め、思い切り劇的に、ここはT.ファイと共通かな。ハイドンがよく使うターンなどの装飾音型を切れ味よく聴かせます。
メヌエットも典雅を通り越して鈍重に感じる演奏はいただけませんが、やはりアーノンクールは期待どおり、爽快かつ刺激的に演奏します。
終楽章もテンポはほどよく快速ですが、構築感は丹念に描きます、炸裂するダイナミズム、キビキビした中にも弦による涼やかなレガート音を入れて飽きさせません。
画像はPCで見ましたが、音声をシステムへ飛ばしたところ、録音も優秀で、DHMのパリ・セット盤のようです。

動画サイトにも紹介されていますが、音の状態が悪すぎるのでリンクはやめました。

category: F.J.ハイドン

tb: 0   cm: 0

プロフィール

最新記事

最新コメント

カテゴリ

最新トラックバック