Micha クラシック&リュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

ムター&カラヤン:ベートーヴェンvl協奏曲  

このジャケットの写真、クラシック・ファンにはすっかりお馴染みのものでしょうね、私も以前CDで持っていたのですが。アナログ期最後の録音で中古店でこれを見つけて、LPで聴くとどうなのかもう一度聴き直してみようという気になりました。

アンネ=ゾフィー・ムター:vl H.von.カラヤン指揮:BPO
D.グラモフォン'79年録音、Rec.エンジニア:G.ヘルマンス

ムター be vl con

針を下してびっくり、ムターの生々しく鮮烈なvlの響き、CDにこんな音が入っていただろうか?と初めて聴くような印象。LPだと聴く姿勢が変わるのかもしれませんが;さすがカラヤンが見出だした天才ムター、16歳にして歴代の巨匠も顔負けなほどの技と高い音楽感性に驚きます。

第一楽章、じっくりとしたテンポ設定でティンパニの打音はとても弱音で始まります、が、やがて総奏に入ると強弱の幅をいっぱいに取っているのがわかります。ムターのスケールの大きな表現をカラヤンの前奏が予告します。ムターのソロが始まる、渓流の水のように澄んだ響き、弓使いの味わいも見事、冒頭から魅了されます。ムターはこれまで例がないほど超弱音まで表現に使いますが、名器の発する美音で遠達性があり、くっきり聴こえてきます。オケ楽器はソロを引き継ぐ場面が多々ありますが、BPOはさすが、ムターの繊細な表現に見事同調し受け継ぎます。長い楽章が長く感じない充実した時間が流れる、カデンツァはクライスラーの充実したもの、あざやかに決めます。
そして第二楽章、予想通り前奏から超弱奏です、盤面はしっかり清掃しないと埃ノイズに邪魔されます;弱奏のオケをバックにムターはさらに弱奏のソロ、ハーモニクスかと錯覚するような美音がくっきり浮かびます。弱音基調ゆえにクレシェンドがぐっと迫ります。この第二楽章もベートーヴェン緩叙楽章の傑作、ムターは余すところなく魅力を歌い上げる、最後はほとんど聴こえないレベルの弱奏になり、オケのフォルテが来ますが、この音量差の凄いこと;BPOの厚みが押し寄せます。やがてソロが終楽章をまさぐり、テンポを決めます、
終楽章、快調なテンポでリズムの楽しさを出します。ムターのあざやかな技巧と澄んだ響き、カラヤン&BPOらしい充実したオケ・サウンド、交互に楽しませながら、最後はスーパー・コントラバス軍団の魅力もちょいと聴かせ痛快に終わる。これほど満足できる音盤だとは思いませんでした。

category: ベートーヴェン

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K.リステンパルト:バッハ ブランデンブルク協奏曲  

バロックは聴きたいけどアルヒーフ盤は高くて手が出ない、そんな頃エラート盤とともにパルナス1000シリーズという兼価盤が出ていて結構親しみました。白地のシンプルなジャケットは感じのよいもの、気に入っていたのがこのシリーズから出ていたカール・リステンパルトのバッハです。管弦楽組曲を初めて求めたのもリステンパルトのLPでした。特に良かったのがブランデンブルク協奏曲の全集で、つい最近リステンパルトの演奏を集めた復刻CDが出てようやく再会できました。まさかまたリヒター盤のように直後に中古LPに出くわすことはないと思いますが^^;

リステンパルト bach
6枚組収録曲
フーガの技法、管弦楽組曲第1番~第4番
ブランデンブルク協奏曲全曲
3台のヴァイオリンのための協奏曲BWV1064
チェンバロ、フルート、ヴァイオリンと弦楽のための協奏曲BWV1044
2台のチェンバロのための協奏曲BWV1062
3台のチェンバロのための協奏曲BWV1063
3台のチェンバロのための協奏曲BWV 1064
4台のチェンバロのための協奏曲BWV1065


残念なことに管弦楽組曲だけ何故かマスタリングがよくない、録音レベルが高すぎてボリュームを下げることになる、バランスが高域寄りでトランペットが歪む、マスター音源が劣化しているのか?フーガの技法とチェンバロ協奏曲の音はまずまず。ブランデンブルク協奏曲は飛びぬけて良好、まあこれだけでも救われる。
さてブランデンブルク協奏曲、'65年の録音で思ったほど古くはない、昔LPで聴いたときはほんのりソフトな録音だと思っていたが、CDで聴き直してみると広いステレオ展開で音質は耳優しいが、くっきり芯のある音で味わい深い。これほど清涼感のあるブランデンブルク協奏曲の録音は他にないのではなかろうか?
第1番、弦楽は近距離音、遠距離音の二段構えのような設定で全曲演奏される、ソロ楽器が活躍する所では爽快な遠距離音となる。ホルンが意外なほど前に出て弦楽とは遊離したように大らかに狩の信号を聴かせる、最後のメヌエットでのホルンも豪快でいい、これぞこの曲の魅力と思わせる演奏。
第2番、トランペットはヘルムート・シュナイドヴィントという奏者ですが、アンドレやティボーと同レベルくらい上手い、高域もゆったり聴かせる、全曲ソロvlを務めるG.F.ヘンデル、リコーダーのH.M.リンデ、オーボエのピエルロらのしっくり溶けあった艶やかな音色がいい。
(*ソロvl奏者はあの大作曲家ヘンデルとフルネームが同じ)
第3番と6番、この録音は弦楽の音が美しいので、これらもひじょうに魅力、3番はvl群が透き通るように響き、6番はガンバの加わった雅びな響きが一段と冴える、テンポが速すぎないのも響きの美しさを味わえる。
第4番、第一楽章から美音でしっくり落ち着いた演奏、終楽章では2本のリコーダーがユニゾンになる所が多いがH.M.リンデ、G.ヘラーのぴたり一体化した響きが美しい、G.F.ヘンデルのvlも清涼で味わい深い。
第5番、ソフトな録音でありながら、R.ヴェイロン-ラクロワのチェンバロがくっきり響く、やはり芯のある良好な録音、ラクロワのソロは大袈裟な表現はないが気品高くまとめる。
全曲、完成度高く、爽快感溢れる演奏と録音で、リヒターやレーデルとは違った楽しみを与えてくれます。低音部も意外に分離よく聴こえ、バスパートをじっくり聴いてしまいます、良い旋律なんですね。

category: J.S.バッハ

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R.クーベリック:シューマン交響曲4、1番  

今日は暑くもなく、寒くもなく心地よい日よりでした。連休も間の平日を除いて晴れるそうでよかったです。新車に買い替えることになったのですが、納車が遅れるとのことで連休のドライブは見送り、まあどこへ行っても渋滞なのでこれでいいかも;(いつも悩むのがオプションです;)
さて聴きたい音盤が次々ひかえていて迷いますが、今日はラファエル・クーベリック指揮、BPOのシューマン交響曲、第4番と1番、1963年、D.G Rec.エンジニア:G.ヘルマンス。
先日の中古盤ですがジャケットも帯も黄ばみがなく真っ新な感じ、レーベル面にもスレた痕がない、新古盤かもしれません?再生音は上々。
第4番のほうは'78年sony録音のバイエルンRSOもありますが、バイエルン盤はだいぶ叙情的な表現になっていてsonyの鮮明な録音も合わせ魅力なんですが、当盤'63年のBPO盤はドイツ的といいますか、かっちり引き締まった魅力で聴かせBPOの上手さが光る演奏。また同演奏のCDはやや粉っぽく古さを感じてしまう音質ですが、LPだと摩訶不思議、潤いのある現役盤の音がするのです。

クーベリック シューマン

第4番、第一楽章、序奏の開始音、ずしっとバランスよく引き絞めてきます、やがてvl群の奏でる高音域の清々しさは抜群、CDでは気付きませんでした。主部はよく整い推進力でぐいぐい進める感じ、長い展開部は聴きどころ、管がリズミカルな音形をスパっと切って奏で、弦がレ・ミ・ファ・↑ファ・ミ・レ・#ド・レの動機で掛け合うところの切れ味が心地よい、再現部なしに入る終結部はぐっとテンポを上げ、金管高らかに勝利宣言する。アタッカで繋がる第二楽章はチェロとオーボエのユニゾンが寂しげに開始する、次に序奏部の再現があり、明るいく優しいvlのソロが入る、いずれもBPOの磨かれた美しいサウンド。第三楽章、力感を込め、よく締まったスケルツォ、中間部の清々しい風のような旋律、そして終楽章への入りの静かな緊迫感、ひしひしと迫るレ・ミ・ファ・↑ファ・ミ・レ・#ド・レの動機は本当に傑作です。終楽章は快調なテンポで切れ味よく行きます、終結部の加速感と金管の高鳴りも痛快。
第1番「春」も開始のブラスのファンファーレが太く輝き痛快に始まります。こちらも各楽章整った名演で何度も聴きたい内容です。変ロ長調で第一楽章にはシューベルトの第5番に似たリズム音形が出てくる、第三楽章がニ短調になるのも同じ、とても親しみやすい曲です。

category: シューマン

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D.バレンボイム:ハイドン交響曲44&49番  

これは中古盤ではなく、長く保管してきたものです。ダニエル・バレンボイム指揮、イギリス室内O 1975年録音、D.G
どこかのレコード店で見つけたのか取り寄せたのか憶えていません。バレンボイムによるハイドンは他に聴いたことがなかったですが、44番「哀悼」と49番「ラ・パッシオーネ」という二大短調交響曲の録音にどこか熱気を感じ、ありふれた演奏ではないだろうと期待したのは憶えています。やはり熱気を帯びたものでした。当時手に入る音盤で44番や49番をこれほど情熱的に演奏している例は他になかったと思います。特に44番の名演がほしいと思っていた頃です。これ以外に満足する演奏にはお目にかからなかった。

hay 44 49

久しぶりに針を下すと、ドイツ・グラモフォンの深みたっぷりの音がイギリス室内Oの美音と熱演を再現します。
44番第一楽章は当時の演奏例としては速いテンポ、開始音は厚みをもった強奏ながらしなやかな美音で響きます、強弱の対比をしっかりとり、急速な中にも緻密な表現が込められ、きっちりした様式感を崩さず、緊迫感で包みます。
第二楽章、メヌエットは近年の軽やかな演奏とはさすがに違い、重厚な楽章の一つと位置付けたような演奏。
第三楽章、アダージョ、ここはイギリス室内Oの弦の美質でじっくりと聴かせます。陽がさすようなホルンの滑らかな響きが良い。
終楽章、古楽器オケとは違う、絶対的な力感でこの楽章のエネルギーを押し出すのは圧巻。バレンボイムは端正に整えながら情熱感を見事に引き出します。
私の希望としてはバランス的に弦がもう少し控えめで管が浮上するのがよいのですが、これがこの頃の標準的な管弦楽なのかもしれません。
49番、この曲も緩叙楽章はじっくり、急楽章は急速に、と対比を付け、4つの楽章間で静と動の緊迫感を出し、最後まで引き付けます。

category: F.J.ハイドン

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B.ハイティンク:シューベルト交響曲第5番  

息子の寮にお古のアナログ・プレーヤーも送ることになった。LP盤も聴けるようにしたいとのことで、面倒な子供である;あちらのアンプにはフォノ・アンプが内蔵していないので、このフォノ・イコライザーを注文。ドイツ設計の中国産とのことで、1980円、国産では考えられない値段^^;送る前に試聴してみたところ、ノイズも出ないし音質も上々、私の使うプリメインの内蔵フォノ・アンプより良いかもしれない?これで故障しなければ大助かりv
アナログ再生は若者にも普及、といってもオヤジなど前世代が吹き込んでしまった部分も大きいかも^^;

フォノイコライザー

今日はイコライザーの試聴ついでにベルナルト・ハイティンク指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウOによるシューベルト交響曲第5番変ロ長調。1975年録音のPHILIPS、これも中古店で目についたLPで、ハイティンクによるシューベルト、PHILIPSの好録音に期待した。針を下すとバランス良く厚みを帯びたPHILIPSサウンドが広がり、アナログの黄金期を思わせる。

sch 5 hai

シューベルトがこの曲を書いた頃、ベートーヴェンはすでに第8番まで書いているというのにやや驚き、かなり古典回帰した作品ということになります。ベートーヴェンのような凝りに凝った内容は聴かれませんが、爽快な美しさに溢れ、やたら長くないのもこの曲に親しんでしまう要因かも。
第一楽章、遅いテンポはとらず、堅実にかっちり、古典的様式美を聴かせるのはハイティンクらしい。第二楽章も大袈裟にならず、すっきりとした面持ち、三部形式で構成的深さはないが、ハイドン的温もりとモーツァルト的優雅さを併せ持つような楽章、短調に移るとシューベルトらしいロマン派的味わいを聴かせる。ト短調で書かれたメヌエット(スケルツォ)はモーツァルト風でお馴染みの楽章、ここもハイティンクは標準的テンポできちんとまとめる、優美な第二楽章のあとをト短調のスケルツォできりっと引き締める。終楽章は第一主題のあたり、ハイドンの交響曲88番の終楽章に近い雰囲気を感じるがハイティンクの速めのテンポで古典的にかっちりまとめた演奏で一段とそれを感じる。

category: シューベルト

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M.アンドレ、J.ローラ:ハイドンtp協奏曲  

今日は夕方、息子の寮にオーディオ機器一式を送ってやりました。1つのダンボール箱にスピーカー、スタンド、小型のアンプなど詰め込み、重量はさすがに私の体力ではきつい、腰痛の再発に注意しながら、近くの某有名宅配社に持ち込みましたが、人けがなくどこが受付場所かもわからず、係員らしい人がソファに寝転んでいたので受け付けてもらった。手際もおっとり;(一応"ISO"とやらの認定を受けた事業所だが、まるで関係ないようなギャップが可笑しい^^;)やたらアクセクした昨今、こんな大らかな仕事場もいいじゃないかとほっとする、ちゃんと送ってさえくれれば文句ないし。

さて通販のaさんは早い、モールス・アンドレ、もう一つのハイドンtp協奏曲です。最後の録音でしょうかね?ヤノシュ・ローラ指揮:ブダペスト、フランツ・リスト室内Oとの録音です。EMI、1994年録音時はアンドレ61歳、老練な魅力ではあるがそれは演奏内容であって技巧のほうは全盛期のままですね、まだまだ衰える歳じゃない。

アンドレ ヤーノシュ hay tp

アンドレはハイドンtp協奏曲は数年おきに新録音を出していて、ライフ・ワークなんでしょう、共演する指揮者とオケが代わる度にそれまでとは違う美質の演奏を目指していて、焼きまわしではないですね。今回のローラ指揮:フランツ・リストCOはとにかく上手くて美しい。
第一楽章、弦の一際美しいサウンドでゆっくりめに始まるが、適度に音に区切りをつけ、引き締める、内声や木管もくっきり心地よく聴こえる、アンドレはこれまで以上に室内楽的なデリケートな表情をつけ、弱音でレガートに伸ばす音がひときわ良い。アンドレによるお馴染みのカデンツァはアレンジを加えられ、さらに聴きごたえがある。
第二楽章、ハイドンの音楽に愛情を注ぎこんだような前奏に続き、アンドレはもはやtpの響き云々を超えた、心の内面を訴えきるような演奏。長く引く音の中に語る味わいがある。
第三楽章はオケの前奏から結構、溌剌とした演奏を聴かせる、あくまでオケはぴしっと整い、アンドレのtpも美しくコントロールされ、内面的表情も丹念に聴かせる。
これは先日のJ.L.コボス盤とともに名盤に位置付けたい。独断で順位をつけると、一位がJ.L.コボス盤と当J.ローラ盤、二位がグシュルバウアー盤、三位がシュタットルマイヤー盤といったところでしょうか;高いレベルでの順位ですが。
なおカップリングされた、ヘルテルの協奏曲変ホ長調はtpの聴かせどころがいっぱい、また次のマルチェッロの協奏曲ニ短調は原曲がお馴染みのオーボエ協奏曲ですが、tpがイタリア・バロックの短調作品を吹くとまさに「夜空のトランペット」と言いたい魅力がでてきます^^そして最後のフンメル協奏曲変ホ長調、これがソロ、オケともに感動的な名演、前奏部の表現を聴くだけでじーんときます。アンドレが来日公演の際、ソロの出までいかにも楽しげに体でビートを取っていた姿が浮かびます。幸福感で満たされるとじーんとくるもんです。ローラ指揮:フランツ・リストCOの手腕で一際素晴らしいものとなっています。

ところで、アンドレの追悼盤としてEMIから出た13枚BOX「エターナル・モーリス・アンドレ」ですが、ハイドンtp協奏曲Hob.Ⅶe:1はJ.L.コボス盤とR.ムーティ盤が含まれています。

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ローラ盤も入っていれば文句なしでしたが;まあ、その他の多くの協奏曲やアンドレが手掛けた編曲作品も一挙に聴けるし、新譜CD1枚分の価格で13枚ですから申し分なしでしょう。なおJ.L.コボス盤はしっとり落ち着いた音の潤いというと、先日のLP盤に一歩譲る・・CDももちろん悪くないですが;

category: F.J.ハイドン

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C.ハスキル:モーツァルト ピアノ協奏曲27番  

昨日は職場の室内が29℃、頭がボーっとして車内では冷房をかけてしまった。夜は一転して北風がビュービュー、ちょうどよい陽気というのがないですね;まあ今日のほうが若干寒くてもサラリとした空気でいいです。ソメイヨシノの咲く頃は慌ただしいばかりで嫌いですが、4月下旬から5月、薄紫のツツジや青いヤグルマギクがあちこちで咲く頃はゴタゴタが一段落して爽やかな気分です。モーツァルトp協奏曲27番もこんな晴れ渡った気分。20番の開始部分は雹でも降ってきそうな鉛色の空?って感じですが;
今夜はちょっとヒーターを入れてLPを廻しました。先日ゲットしたクララ・ハスキル:p、フェレンツ・フリッチャイ指揮、バイエルン放送響のモーツァルト ピアノ協奏曲第19&27番の入ったヘリオドール盤です。

ハスキル mo 27

録音年は書かれていません、50年代でしょう、モノラル録音ですが、きりっと明晰な録音で何の不満もなく鑑賞できます。ステレオ時代の曖昧な録音よりずっといい。
モーツァルトのp協奏曲19番はオケ・パートがソロと綿密に関わった協奏曲の形式を一段と高めた作品で、フガートを用いた終楽章は圧巻。次の20番や22番、24番など楽器を増やしシンフォニックな作品に発展します。しかし最後の27番は再び編成を減らし、外面的には昔に返ったようでソロやオケによって一筋の美しい旋律が常に流れるような協奏曲で、形式上の野心は捨てて内面的な美しさを深めようとした作品に思います。
C.ハスキルのピアノは確かな技巧で余計なものを排除した純度の高い演奏と言えましょうか、情緒に走らず粒揃いの音でしっかり様式を整えます、ほんとにこれ以上のものは必要ない。フリッチャイのオケは前奏部分から魅了させられます。期待どおり柔軟で味わい深い弦楽で包み込み、木管が心地よく歌う。各楽章ともオーソドックスなまとめ方ですが、鮮明なモノラル録音でド真ん中から聴こえるせいか、その純粋な魅力が詳細に聴こえてきて集中させられます。ハスキルのピアノもくっきり豊かに響きます、グラモフォン原盤の優れたものはモノラルでも紹介してくるところ、さすがヘリオドール盤。

category: モーツァルト

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T.ファイ:ハイドン交響曲26、27&42番  

LP盤は貯まる一方でレビューが追いつきません;今日は一休み、T.ファイのハイドン交響曲です、19集まで来ました、順調なペースですね。今回のメインは42番でしょうが、美しく聴かせる方法はいくらでもある、と言わんばかり、全曲研ぎ澄まされ、聴きごたえ十分。

t fey hay 42

26番ニ短調「ラメンタツィオーネ」
交響曲80番のメヌエット(トリオ)でも登場したグレゴリオ聖歌の旋律が使われます。
第一楽章、シンコペーションが多用された第一主題は疾速感があり、ニ長調で快活な第二主題とで劇的な構成となる。ファイは展開部以後は反復せず、短くまとめる。
第二楽章、オーボエが聖歌の簡潔な旋律を演奏し、弦楽の美しい伴奏が並行する。後半ではオーボエにホルンが重なり聖歌を歌う。構成的な聴きどころは特にないが心鎮める楽章。
第三楽章、メヌエットが置かれるが通常のメヌエットと雰囲気が異なり、やはり劇的な内容を持つ。ファイはリズムをくっきりさせホルンをやや豪奏させるのが効いてくる。

27番ト長調、簡潔な曲の規模から、モルツィン家時代の作品とする説が有力に思えるが、こういう曲こそファイの手腕が効いてくる。
第一楽章、速めのテンポの中に強弱、切り、伸ばし、装飾など巧みな表現をぎゅっと詰め込み短い時間に音楽的魅力を凝縮させる。
第二楽章、ノン・ビブラートで弱音器付きのvl群によって遠くから響くグラス・ハープと錯覚するような透明純粋な響きでシチリアーノが演奏される。実際ハイドンの時代、グラス・ハープを発展させたアルモニカという楽器もあったのでそんなイメージを浮かべてもよいかもしれない、超弱音のあたり本当にそんな感じです。
第三楽章、開始からビシバシ、エネルギーを圧縮したように聴かせる、しかし乱暴さはなく、きりっと整っている。

42番ニ長調、それまでの作品から大きく歩を進めたような内容で簡潔にまとめていたソナタ形式が長大複雑になっています。
第一楽章、モデラート・マエストーソ、ファイは後半も反復して13:04と演奏時間も長くなりますが、ぜひとも2回聴きたい演奏なんですね、長丁場でも一音一音に集中した味わいを持たせる。展開部の充実は素晴らしく、一気に事を進めずじりじりと深めて行く、再現部の堂々とした風格はロンドン・セットを十分予感させる。
第二楽章、後期の作品のような金管やtimpも鳴り響く劇的な緩叙楽章ではないですが、少ない編成で強奏部分もなく13:22聴かせる内容です。地平線まで続く田園地帯とか、雪を湛えた山岳地帯などに行くと俗世を離れた静謐で神秘的な気分になりますが、それを音楽にしたような、緩叙楽章の傑作の一つかと思います。
第三楽章、メヌエット・アレグレットはくっきりリズムを弾ませ快活、トリオは弦のみで演奏されるがヴァイオリン属と言うよりヴィオール属を思わせる雅びな響きを聴かせる、ここもハイデルベルク響の研ぎ澄まされたような上手さです。
第四楽章、ハイドンが後期作品のようなロンド形式終楽章を書いたのはこれが最初ではないでしょうか、変化多彩で楽しさに溢れています。ファイは心地よい快速感できっちり味わいを凝縮させる。

category: F.J.ハイドン

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LPの盤面チェック  

LP盤を聴く前のクリーニングも体に染みついた儀式のひとつです。クリーニング用品も良いものが多種出ていますが、私の場合、使い慣れたものはクリーナーがARGENTO-116、スプレーはクリアトーン、いずれもナガオカから出ています。ARGENTO-116は小さめで形状が洗練されていて手に馴染み、おのずと丹念に拭き上げることになります。ベルベットの毛も密集していて埃を挟み取ってくれます。スプレーのクリアトーンも静電防止効果は完璧で数回吹き付ければ効果は持続します。クリーナーの滑りも軽くなるので潤滑効果もあるようで、針の摩擦も軽減しているかもしれません。これらで埃ノイズ無音の状態にできます。

クリーナー

先日の土曜日購入した中古LP、K.リヒターのバッハ、チェンバロ協奏曲ですが、第1番の第二楽章の途中、ボツッ、ボツッ とひどい突起ノイズが3回出ました、アルヒーフのヴィンテージとも言うべき素晴らしい録音なのに惜しい!;盤自体の突起なら諦めるしかないですが、何やら付着物らしきものが目視でわかりました。クリーナーでゴシゴシ乾拭きしても取れない;そこで試しにクリアトーンスプレーを局所的に吹き付け、乾かないうちに再度ゴシゴシやってみたら、取れました^^v確認プレイしたら、今度は出ない、
r bach cem
ホッとしました。

しかし音盤自体に不具合があることもしばしば、突起があったり、反りやうねりがあったり、うねり具合ではアームが跳ね上がったりします、そんな盤は端をセロテープでターンテーブルに貼り付け、ダビング録音して聴いていました。初めて針を下した音盤が素晴らしければなおのこと、音溝の最初から最後まで大きな問題なく通過することをハラハラしながら祈ります^^;
下の写真はK.ザンデルリンクのハイドン交響曲86番の入った1面、
突起
土星のリング内の小衛星みたいな突起が数か所、待望の盤に出会えてワクワクだったのに、これを見たときは顔面蒼白でしたが^^;光線的にははっきりした突起でも指で触れてみると平坦に近いんですね、実際この箇所でポツっと小さな突起ノイズは出ますが、鑑賞には支障ない許容範囲でした、いくら中古でもまるで聴けない不具合品は置いてないだろうとは思いましたが、こんな事に神経を使うのもアナログ盤の醍醐味・・?

category: オーディオ

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M.アンドレ&J.L.コボス:ハイドン tp協奏曲  

今日は午前中が法事、午後は息子の就職先の寮まで荷物運びに行ってきました。三重県の伊賀市内、私の地元の感覚では嘘みたいに広々した田園地帯の中に工業団地や住宅街があり、その一角にある寮アパートです。真昼間でも静かそうで、夜は星がよく見えそう、住みたいくらい^^;順調に走って片道3時間ですが、今日は帰りがかなりの渋滞;伊勢神宮の式年遷宮の影響らしいです、渋滞恐怖症の私にはキツイ;4時間かかって帰宅、これでも渋滞の終息頃だったおかげで早かったでしょう。

せめて寝る前に一曲、やはりハイドンです。前日ばったり出くわしたLP、モーリス・アンドレ:tp、ヘスス・ロペス・コボス指揮:ロンドン・フィルハーモニーOによるトランペット協奏曲、J.L.コボスとの共演ってとこに期待が走りました。

アンドレ コボス hay tp
録音1977年、EMI

盤状態は極めて良好、ノイズは皆無で針先が滑らかに溝に吸いつきます。
第一楽章の前奏、さすがハイドンのスペシャリスト、J.L.コボスらしい、隅々まで心地よく整った演奏で始まります、各パートのバランスの良さ、ずっしりくる量感、このままずっと前奏を聴きたい気分です。テンポはグシュルバウアー盤より少しゆっくり、アンドレはこの充実した管弦楽で大船に乗ったような、ゆったりとした演奏を始めます、元気に輝いていたグシュルバウアー盤とは対照的な魅力で、控えめで大きく飛び出さず、しっとり滑らか、J.L.コボスのオケとぴたり美質が噛み合いtpソロとオケの魅力を互いに譲り合って聴かせ、また両者の高い技量が静かに火花を散らすようでもある。44歳のアンドレ、まさに働き盛りで円熟度を増した感じです。
第二楽章はオケが極めてしっとり滑らかに前奏し、アンドレの開始音も息を呑むほど柔らかい、やはり従来より一段とゆったりした感じでしょうか。
終楽章、ゆっくりめのテンポですがくっきり切れ目をつけ、コボスらしい折り目正しさが溌剌とさせる、そこに言うまでもないアンドレの名演が重なる。
三つの楽章をどれもじっくり聴かせる。これは本当に買って良かった、と言うより買うべき名盤でしょう^^EMIの録音もしっとりとした味わい深いサウンドは飽きることがなく、格調の高さに一役かっています。

category: F.J.ハイドン

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今月はLPだらけ  

今日は聴かなくなったCDをかき集めて、いつもの中古レコード店に持ち込みました。私の持っているCDなんて、一般に売れ筋じゃないものが多いので、若干でも値が付けばとダメモトでしたが、意外に高額で買い取ってくれましたv せっかく寄ったので、LPコーナーも覗いたら、今日はバーゲンで売り場を拡張してかなりの音盤が置かれていました。「ゲスト店」ということで、他店の在庫品も出品されていました。同年輩の客が多いですが皆、CDコーナーのほうに集中していて、伝票をめくるみたいに手馴れた探しっぷりの人もいました。私はじっくりLPのボックスを演奏家やレーベルに着目しながら探します。お気に入りの1枚でも見つかればと思っていたら・・結局8枚;これでもCDを売った額の半分以下です。

4 13 lp01
左、クルト・ザンデルリンク指揮、ベルリン響 
  ハイドン 交響曲第86、87番
右、M.アンドレ:tp、ヘスス・ロペス・コボス指揮、ロンドン・フィルハーモニーO
  ハイドン トランペット協奏曲ほか

  
4 13 lp02
左、F.フリッチャイ指揮、BPO
  ベートーヴェン 交響曲第3番「英雄」
右、R.クーベリック指揮、BPO
  シューマン 交響曲第1、4番


4 13 lp03
左、K.ベーム指揮、BPOほか
  モーツァルト 序曲集
右、K.ベーム指揮、BPO
  モーツァルト 交響曲第40、41番「ジュピター」


4 13 lp04
左、A.ヴェンツィンガー指揮 バーゼル・スコラカントルム
  テレマン「ハンブルクの潮の満干」ほか
右、K.リヒター指揮&cem 
  バッハ チェンバロ協奏曲第1番ほか


盤面チェックで少しずつ針を下ろしてみた、すべて良好v
まず、ザンデルリンクのハイドン86番があったのは嬉しい、またM.アンドレのハイドン、トランペット協奏曲の未知なる盤を発見、バックはJ.L.コボスのロンドン・フィル、これはオケが充実して他の盤とは違う魅力がありそう。次に待望のヘリオドール盤、フリッチャイのベートーヴェン「英雄」'58年録音とは驚きの素晴らしい音響。ベームのモーツァルト「ジュピター」は'61年のBPO盤が断然名演だった。昔買い損ねていたヴェンツィンガーのテレマン「ハンブルクの潮の満干」もゲット、そしてリヒターのバッハ チェンバロ協奏曲もあらためてLPで聴きたい。
いずれもチョット聴きをしただけだが、特にグラモフォン、アルヒーフ盤はCDよりも音がキュっと締まって潤いと華があるのは不思議なもの、レコード盤とは、カッティングマシンとやらで盤面を削って音溝を彫るっていう、いささか荒っぽい方法でよく滑らかで美しい音が刻めるもんだと今でも不思議に思います;また1枚ずつレビューします。

category: オーディオ

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ミュンヒンガー:バッハ ブランデンブルク協奏曲2、6番  

このところ、トランペットのバロック演奏に注目してバッハのブランデンブルクcon第2番を中心に聴いています。自然倍音列の音しか演奏できない当時のナチュラル・トランペット、おのずと簡潔明快な旋律が書かれますが、それが不思議と印象的で魅力あるものとなります。子供の頃、ラジオ等から何気なく聴いていたバロック音楽の晴れやかな金管楽器の調べは強く印象に残っていました。おそらく、バッハやヘンデルの作品だったでしょう。バロックやクラシックを積極的に聴きだしたのはずっと後です。

今日はカール・ミュンヒンガー、シュトゥットガルト室内Oで管弦楽組曲、2、3番にブランデンブルク協奏曲2、6番を加えたアルバム。2、6番とはうまい具合に聴きどころが入っているv ブランデンブルク2番のトランペットはここでもA.シェルバウム、管弦楽組曲第3番のtpも担当していると思われます。いつの時代もトランペットの名奏者は希少なようで、シェルバウムも多くの録音をしているようです、ほかにK.レーデル、K.リヒター、さらにカラヤンとの共演もあります。

ミュンヒンガー

ブランデンブルク協奏曲第2番、録音は1959年、ステレオ録音ながら音質はモノラル時代の良質な録音の感じで明晰に各パートが聴かれ、手を加えていない生っぽさがいいです。ミュンヒンガーの指揮はドイツ的と言いましょうか、急速なテンポは取らず、一音ずつに気合いが入っていてキリっと締まり、おのずと整然としたリズム感が強調される、シェルバウムのtp、出来栄えとしてはレーデル盤のほうが良い感じだが、録音の明瞭さでは当盤が好ましく、一本勝負的な録音のスリルを感じさせ、これもtpの魅力でしょう、アンドレの木管楽器を吹くような柔らかさとは違い、あくまでtpらしい輝きと良い意味での粗野な味わいもいい。いずれにせよこれだけ吹ける人はめったにいなかったでしょう。
続く第6番、第一楽章はゆっくりめ、トゥッティは一音ずつをくっきり粒立て整然としたリズム感をだし、ソロ部では柔和な味わいを出しで対比をつける。リヒターやレーデルと共通するドイツ的味わいとミュンヒンガーならではの味がある。第二楽章はゆったり、ふくよかに。第3楽章は急がず、程よく粒立てながらジーグ的リズムに乗せ、弦の入念な歌い込みを聴かせる。

category: J.S.バッハ

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今日のLP狩り  

今日は休日出勤の代休、午前中は先日、食道にできた腫瘍の精密検査の結果を聞きに病院へ、「様子見で半年後に再検査、大きくなっているようなら、切除しましょう」とのことで、特に悪性というものではなさそうです。とりあえず半年くらい普通に暮らせそう、あまり長い先のことは考えません^^;

時間が余ったので午後はいつもの中古レコード店を覗きました。一昨日CDのレビューしたばかりのK.リヒターのブランデンブルク全集に出くわしてしまった!;中身もジャケットも新品みたいに良好、こりゃあ放って帰るわけにもいかない・・(笑)このショップはジャケットは古びていても盤状態の良いものだけを並べていて、希少なものであろうと630円均一なのが嬉しい。今日は以下の4点。

lp 4.9b
左、クララ・ハスキル:p F.フリッチャイ:指揮 BPO バイエルンRSO
  モーツァルト ピアノ協奏曲 第19&27番
右、カール・リヒター:指揮 ミュンヘン・バッハO
  バッハ ブランデンブルク協奏曲全曲


lp 4.9a
左、アンネ=ゾフィー・ムター:vl カラヤン:指揮 BPO
  ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲
右、クルト・レーデル指揮 ミュンヘン・プロ・アルテ室内O
  バッハ ブランデンブルク協奏曲第1、3、6番(1回目録音)

 
リヒターのブランデンブルクはひょこんと有ったりするからしょうがない;CDとはまた違ったテイストで楽しめるでしょう。ハスキルとフリッチャイ盤、モノラルですが緑ジャケットのヘリオドール名盤が増えましたv
若いムターとカラヤン盤もCDは聴いたけどLPは初めて。レーデルのブランデンブルクは先般、2、4、5番を入手したのでその補完です、ズバリ1000円の帯がいい・・以上が本日入手。

PS.以下は以前、ギター奏者、こんにゃくさんからのいただきもの。
lute lp
左、ミヒャエル・シェーファー:Lute
   フランスのルネサンス&バロック リュート音楽
右、ヴァルター・ゲルヴィッヒ:Lute
   バッハ、ブクステフーデほかドイツのリュート作品


ゲルヴィッヒやシェーファーは今日のリュート復興の総本山で、現在のリュート奏者の師匠の師匠・・と辿っていけばこの人達に行く付くというもの。これら大師匠らの音盤はまずCD復刻の見込みがない貴重なものです。
さて、じっくり聴いてレビューを書きたいです。

category: オーディオ

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K.リヒター:バッハ ブランデンブルク協奏曲  

トランペットなど金管楽器は本体に発音機構がなく、マウスピースに当てられた唇が、人の声帯と同じ原理で振動して音を発するもので奏者自身の持って生まれた身体や技量が大きく関わってくるのが面白く、聴きどころです。よってブランデンブルク協奏曲全集を聴く楽しみは第2番でのトランペットの妙技が大きな要素の一つです。
今日はカール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管弦楽団のバッハ、ブランデンブルク協奏曲。第2番のtpは先日のハイドンtp協奏曲で魅力たっぷりだったピエール・ティボーです。

ric bach bran

1968年の録音はアルヒーフ絶好調、何度聴いても飽きの来ないサウンド、この輸入盤復刻CDには満足していて、LP盤を探す必要はないでしょう・・出くわしたらどうなるかわかりませんが(笑)演奏、録音とも高級ドイツ車のような?完成度を感じます。
ミュンヘン・バッハ管弦楽団は第6番を除いて皆編成が大きく、ハイドンの後期交響曲も演奏できる規模です、しかもコントラバスを増強している、あのがっしりした骨組み感は低音の充実からくるものでしょう。全曲通して、快速な第一楽章が特徴です、がっしりした響きで何者にも邪魔されず、ぐいぐい進撃する感じ、しかし荒っぽさはなく、精度の高い練られた合奏音はキメ細かく味わい深い。第1番の第一楽章からはまってしまう。
さて第2番、リヒターの整然とした指揮のもと、P.ティボーのピッコロ・トランペットは快調で、最高音域の美しく澄み切った輝き、ここだけでも千金の値打があります。編成の大きな中で美音が突き抜けてきます。こんなふうに音が出せるか出せないか、個人差も大きいものと思います。H.M.リンデの艶やかなリコーダーほかソリスト達の一体感もすばらしい。
*参考動画:
Bach Brandenburg Concerto No. 2 1st&2nd
Bach Brandenburg Concerto No. 2 3rd

弦楽だけの多声部の第3番、リヒターの演奏は言うに及ばず、見事な仕上がり。
第4番、フーガで始まる終楽章が圧巻、低音部はベートーヴェンでも演奏するような充実ぶり。
第5番、第一楽章はくっきりと区切りを入れインテンポ、チェンバロのソロ部分さえもルバートはなく、武骨なほどに前進する。モダン・チェンバロの重々しさを含んだ響きも大きな編成ではか細くなる。
第6番、この曲だけは各パート1人ずつの編成、ヴィオラ・ダ・ガンバを含む雅びな響きは数ある演奏の中でも素晴らしく、例によって第一楽章の整然とリズムを刻み進んでいく様には引き付けられる。ヴィオラのソロが一際滑らかで美しい。終楽章の程よいテンポとジーグ風リズムにも心地よく乗せられる。

category: J.S.バッハ

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K.レーデル:バッハ ブランデンブルク協奏曲Ⅱ  

80年代からはもっぱら古楽演奏への関心が深まっていましたが、このところLP盤に親しんでいるせいか、バロックも50年代終わり~70年代の名演をもう一度聴き返しています。またバロックに欠かせないトランペット奏者達の名人技にも注目しています。
今日はクルト・レーデル、ミュンヘン・プロ・アルテ室内管弦楽団によるブランデンブルク協奏曲集で2回目の録音、第2番ではM.アンドレ登場です。

レーデル bran 2

2回目とは言え、録音は1962年と意外に古いんですね。1回目はステレオ録音ながら、音質はモノラル時代みたいで、懐かしい風合いの音源でした。当番はさすが60年代、音質に潤いが出て鑑賞には十分です。
第1番ヘ長調、第一楽章から一音一音にしっかりコシを持たせ、2拍子のリズムに乗り整然と進める、かっちりとした真面目な印象はリヒターと同じくドイツ的と言えましょうか。しかし硬さはなく弦も管もしなやかで味わい深い。バルヒェットのvlもキリっとした渋さと柔軟さで聴かせる。ホルンは派手に響かせず柔らかで端正。
第2番ヘ長調、これも第一楽章の整然とした2拍子に乗って運ばれる、1回目の録音よりやや速いテンポ、今日でも普通くらいでしょう、期待どおりアンドレのピッコロ・トランペットには魅了される、危なげな音は一つもなく余裕、高音域は滑らかな輝きで美しい。1回目の録音ではアドルフ・シェルバウムがtpを担当していたが、アンドレはシェルバウムに敬意をもってバロック演奏の手本としていたそうです。第三楽章の第一声からキレ味、輝きも申し分なし。
第3番ト長調、第一楽章は落ち着いたテンポで各パートをくっきりと聴かせる、渋めで柔軟さももつ弦楽は飽きがこない。ここでも整然とした拍子感で引き付けていく。第一楽章の主題をもとにチェンバロがカデンツァ風に演奏、終楽章に入るが、程よく快速、今日の古楽演奏のようなスリリングな疾走ではないが、各パートが折り目正しく引きしめて聴かせるのがごく当たり前の演奏ながら、実に心地よい。
第4番ト長調は第一楽章はゆっくりめ、長閑な物腰で演奏され、第二楽章は意外なほど荘重に演奏される、終楽章は普通くらいの速度でフーガで始まる弦楽の響きが味わい深い、今日の古楽演奏では空気に溶け込むようなスッキリした音作りが美しいが、この頃は一音ずつに味わいを持たせるのが普通の美意識でしょう。バルヒェットの堅実なソロvlが聴きどころ。
第5番ニ長調、レーデルのフルートはじめさすが堂に入った演奏、バックも充実した響き、ラクロワのクラヴサンがやや遠い響きでもう少しピックアップしてほしい。
第6番変ロ長調は原曲どおりヴィオラ・ダ・ガンバが入る、しなやかで雅な響きが加わり、第一楽章はバスの整然としたリズムに乗せて進む、ごく当たり前の演奏だが、これが飽きがこない。第二楽章は各ソロがじっくり歌い込む。第三楽章、レーデルの演奏は特に終楽章がいい、ちょうどいいテンポで折り目正しく、ヴィオラが味わい深く歌い、緻密に整って充実して終わる。

category: J.S.バッハ

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P.ティボー:ハイドン トランペット協奏曲  

イタリアは弦楽器の国、フランスは管楽器の国と昔から言われ、フランスの管と言えば、ニコレ、ランパル、ピエルロとたしかに名手が次々浮かんでくるが、極めつけはtpのM.アンドレでしょう。もう一人tpのピエール・ティボーがいます。あのホーカン・ハーデンベルガーの師でもあります。なぜかティボーは録音物が極端に少ない、他に思い当たるのはK.リヒターのブランデンブルクNo.2のソロくらい。過去にD.グラモフォンのO.ゲルデス指揮、バンベルク響とのLPを聴いて、演奏、録音とも素晴らしかったのを憶えています。ハイドンほかテレマン、L.モーツァルトなどtp協奏曲の名曲を集めたもので、復刻を待ち望んでいたが出てこない;今聴けるのは日本の群響と録音したハイドン。グラモフォン盤と同等の内容を期待して取り寄せました。ハイドンのほか未知の古典派作品、最後に現代曲と凝った選曲です。

hay tp con thib
① F.J.ハイドン
トランペット協奏曲 変ホ長調 Hob.Ⅶe-1
② ヨハン・ゲオルク・アルブレヒツベルガー
トランペット&弦楽のための協奏曲 変ホ長調
③ アンドレ・ジョリヴィエ
トランペット、弦楽&ピアノのための協奏曲

ピエール・ティボー:tp
豊田耕児:指揮、群馬交響楽団
1981年、利根沼田市民会館

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全体にはかつて聴いたとおり、スタンダードなまとめ方で安心しますが、アンドレ盤と一味違う魅力もあるでしょう、高音の極めつけとも言える鮮やかな響きは過去のグラモフォン盤を思い出します。
第一楽章から木管的なゆったりした表現もありますが、常に筋の通ったような安定感があり、魅力は高域、きりっと痛快な輝きでしかもきめ細かい美音はそうめったに聴けないでしょう。カデンツァでも再度その魅力を聴かせます。
第二楽章も余裕の技量で木管的な柔らかな開始音、ゆったりと歌わせながらも、僅かずつ切れ目を入れて単調に流れるのを避けます。
第三楽章、ここも安定感抜群、tpの跳躍したあとの高音の響きが美しい、バックのオケはもう少し押し出すところがあってもいいが、バランス良く手堅くまとめ味わいがある。ソロtpをじっくり聴かせる録音設定でしょうか、録音はナチュラル・サウンドでティボーの美音が申し分なく味わえます。アンドレ盤と交互に聴きたいような満足度です。

category: F.J.ハイドン

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手持ちの楽器Ⅳ  

バロックリュートがメインでルネサンスリュートは殆ど手がける暇がないのですが、いざという時?のために2本ばかりあります。この楽器は6コースで中古でTさんより手に入れたもの。ビル・ブラウン(英国)作とのことでラベルがないため製作年は不明、たぶん80年代でしょう。ヨアヒム・ヒーバー・モデルだそうです。

6c lute

特徴としては、表板が結構厚くニスもわりと塗ってあり、ボウルもがっちりしている、6コースで張力負担が少ないのもありますが変形はほとんどありません、100年でも耐ちそうです。高音弦はすっきりとして、鳴ってほしいポジションが鳴りやすい。低音弦の鳴り方は独特の雰囲気で、19世紀ギターを思わせる、ロゼッタが大きめで開口面積が広く、ボディ内の空気共振が効いた鳴り方に聴こえます。表板を薄くして反応を高め、音量を出す楽器とは方向性が違うように思います。オリジナル楽器に忠実に作ったらこうなったのか、製作家の工夫によるものかわかりませんが、弾きやすさもあって息子が練習に使っていました。

7cナット

購入時は貼りフレットの位置がずれていて、正しい位置に貼り直してもらい、ついでに黒檀のペグが具合よくなかったのでサクラ材のペグに替えてもらいました。またナット側の弦間隔が手に合わなかったので黒檀材を削り出してナットを自作しました。神経を使うのは弦溝の位置を決めるときです。たった6コースなので楽ですが、バロックリュートの弦溝決めとなるとホネです;気に入った楽器なら手をかけても使おうという気になりますね。

category: リュート

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