Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話題など

C.ホグウッド:バッハ ブランデンブルク協奏曲  

主だった団体が次々ブランデンブルクを録音している頃、ホグウッドもそろそろ・・と期待された録音です。ホグウッドが選んだ楽譜はいずれもバッハの初稿に近いものだそうで、他では聴けない貴重なもので新鮮でもある。一味違うことをやるのはホグウッドらしい。腕利きの奏者を集め、僅か2日で録音完了というのも驚き。
ワンポイント録音でオワゾリールのスタッフがマイクのセッティングにも苦心したとか。適度な広がりを持ち、室内楽的に各パートを明瞭に拾っている好録音で、個々の楽器の特徴まで聴こえてくるようです。

ホグウッド ブランデンブルク 1984
1984年 オワゾリール

第1番、後の改訂版と異なり、楽章は3つ、ピッコロvlが使われない、響きがつまらないか、と言うとそんなことはない、改訂版にはない魅力がある。第一楽章、快調にバスや内声にくっきりリズムを出させ、vlパートはしなやかな弓使いを聴かせる、ホルンも鋭い響きを出しながらもレガートな運び。第二楽章、ク・エンビゲのobソロに始まり、vlソロが続く、ピッコロvlじゃないのでオクターブ低くなるが、この落ち着いた柔らかな雰囲気もいい。マッキントッシュのvlは大味にならず、つねにサラリとした基調だが、清涼な響きが耳心地よく飽きさせない。第三楽章がメヌエットで終曲になる。トリオⅠとⅡが入るのみでポラッカは後に追加されたもの。ホグウッドもこのメヌエットはゆったりしなやかな魅力で聴かせる、トリオⅠではobが反復で良い装飾を入れる。トリオⅡは2つのホルンと重音奏法のソロvlの組み合わせ(改訂稿ではvlがobに替わる)だがホルン&vlのほうが斬新に聴こえ、こっちが改訂版ではないかと思える。
第2番、バロックtpはフリーデマン・インマー、さすが安定した美音で高域も伸びやか、合奏全体が軽やかで透明感を帯び、4つのソロ楽器が音の万華鏡を見せてくれるようで、あらためて曲の魅力に捕えられる。とは言え無秩序ではなく、巧妙極まりない構造を持ったゆえの楽しさでバッハの偉大さを感じる。各ソロパートに加え、バックの弦楽、バスパートの動きを聴くと、各パート単独でも整った旋律で、いったいどうやったらこんな見事にまとめ上げられるのか、第2番一曲だけでも神業に思えます。
第3番、これは標準的名演、快活で特に終楽章では折り重なるパートがくり出す切迫感が見事。
第4番、バロックvlの大御所、ヤープ・シュレーダーをソロvlに迎えての演奏。第一楽章、トゥッティ及び2本のリコーダーはくっきりと切れ味よく始める。シュレーダーのvlは大袈裟にならず、すっきりした清涼感で堅実に進める。第二楽章、テンポは遅くせず、リズム感も出して軽やか、この楽章ではリコーダーがメインでシュレーダーのvlは伴奏役のように控えめに聴かせる。終楽章、適度に快速で滑らかにフーガを開始、ここも気負った感じなく楽章の魅力を隈なく爽快に聴かせる。
第5番、これは聴き馴れた改訂版と大きな違いが聴かれ、特にチェンバロが第一楽章のカデンツァが短く、それ以外にも随所に違いはあるものの、曲の大筋に違いはない。ホグウッドのチェンバロは大見栄切らず端正、そこにマッキントッシュのすっきりしたvl、スティーブン・プレストンのほんのりしたトラベルソが寄り添い、意気込みを押えた落ち着いた雰囲気が飽きさせない。第二楽章も3人のソロがごく純粋に清涼に聴かせる。第三楽章、マッキントッシュの心地よいvlで開始する、軽やかな足取りでホグウッドのチェンバロも鮮やかだが、節度も保ち、気品高くまとめる。
第6番、第一楽章は快調なリズム感をよく聴かせ、全曲通して言えますが、弦楽のしなやかな魅力を存分に聴かせる、ヴィオラ・ダ・ガンバの細やかな装飾音がよく聴こえ華を添える。
全曲さらりと作り上げたようで、がっちりした内容を感じさせる、名盤かと思います。

category: J.S.バッハ

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T.コープマン:バッハ ブランデンブルク協奏曲  

ブランデンブルクを続けます。
今日はトン・コープマン、アムステルダム・バロックO、コープマンも日本公演の映像を何度か見ましたが、チェンバロを弾きながら、体が一つじゃ足りないみたいに、いきいきと発散するような指揮ぶりを思い出します。
これは6曲揃っています、1983年、エラートの録音はなかなか秀逸で音場の広がりよく、各楽器も明瞭に聴こえてきます。コープマンはリズムをあまり重くせず、快調に次へ次へとウィットに富んだ表情で運ぶのが魅力。またソロvl奏者が曲によって変わり、その個性も楽しめます。古楽奏者は多国籍集団でもありますね。

コープマン bach bra

第1番、豪快なホルンと弦楽のしなやかな味の対比がいい。第二楽章、ク・エンビゲのobソロが美しく歌い、モニカ・ハジェットのピッコロvlの透明しなやかな響きが魅了する。第三楽章もピッコロvlの華奢ながらくっきり透明な響きが耳を引く。第四楽章メヌエットはやんわりと上品に、トリオⅠ、ポラッカ、トリオⅡが入るが、ポラッカが速めでエッジを立てたように闊達で印象的。
第2番、バロックtpは英国の奏者でクリスティアン・スティル・パーキンス、どんなタイプの楽器か不明ですが、ちょっと難しそうに吹いています、パッセージのキレがイマイチ、最高音も擦れぎみ、しかし美しく鳴らすところもある。まあ大らかな味です。合奏全体の響きは美しく、わるくない。第二楽章はtp以外のソロ楽器と通奏低音が即興巧みに味わい深く対話する。
第3番、これはピノック盤に近い闊達な演奏、中間のカデンツァはコープマンの結構長いソロが入り、聴きどころ。終楽章もピノックと同じ快速度、きっちり整った合奏でジーグの快活さを美音でまとめる。
第4番、第一楽章、意外とリズムはくっきりと取る、2本のリコーダーは柔らかく溶け合い、M.ハジェットのソロvlはやはり柔軟繊細な美音、テクニカルな部分でも力が抜け、流麗に聴かせる。第二楽章はゆっくりめでコープマンの通奏低音が即興的リアリゼーションを存分に聴かせる。ハジェットのvlも同様、充実した緩叙楽章となる。終楽章は快速に流麗に決める。
第5番、第一楽章、コープマンお得意の装飾音を初めからふんだんに聴かせる、ここでのソロvlはロイ・グッドマンが務める、チェンバロが主役ながらグッドマンもハっとするような味な装飾を聴かせるのは流石、ヴィルベルト・ハーゼルゼットのトラベルソも深みのある響きで魅力。さてコープマンのカデンツァ演奏、後半のパッセージの続くところが圧巻、疾走をパタっと止めて思い切り溜め(休止)を置き、再び疾走!第二楽章、ここもゆっくりテンポを取り、3人のソロが装飾を存分入れながらの対話、これぞバロックの楽しみ。終楽章はジーグのリズムで快調、チェンバロ・ソロが切れ味よく決める。
第6番、第一楽章はやや速めでリズムの心地よさを聴かせる、チェロと似ているようで違うヴィオラ・ダ・ガンバの雅びな響きが分離して聴こえる。第二楽章、ゆったり2つのヴィオラとチェロの対話、そこへチェンバロの通奏低音が美しく飾る。終楽章、ジーグのリズムをくっきりとさせてトゥッティが始まる、細やかなソロもあれば、ぐっと押し寄せる力感も聴かせる。ガンバは単純なパートだが、やはり響きの魅力を作り出している。
各曲とも終結をやんわりと、力感を込めたあとスっと力を抜くような雅びな響きで終わる。

category: J.S.バッハ

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T.ピノック:バッハ ブランデンブルク協奏曲  

ブランデンブルク協奏曲の録音史でピノックも外せないですね。これもアルヒーフ盤CD全曲を持っていましたが、あいにく録音の蒸着面が剥げ落ちてしまい、第1番、6番省略のD.G兼価盤を再度購入。1982年録音、ピノックは鍵盤の達人で古楽演奏を親しみやすい演奏ですっかり定着させた立役者の一人だったと思います。最近、ブランデンブルクの新録音も出したようですが。
各曲の演奏時間を見ると、レオンハルト盤と大きく違わない、リズムの踏み込みはレオンハルトほど強くはないですが、くっきりと心地よく、全曲爽快に聴かせます。またアルヒーフらしいバランスの取れた明瞭な録音でありながら、サウンドも良好。

ピノック bach bra
トレヴァー・ピノック指揮&チェンバロ
イングリッシュ・コンサート
1982年録音 アルヒーフ原盤


第2番、バロックtpはマイケル・レアード、この奏者は上手いですね、安定感があり、最高音も柔らかく吹きこなしている、朗々と引く長い音も美しい。ピノックの全集を完成度高いものにしている功労者でしょう。全曲通して活躍するS.スタンデイジのバロックvlも淡々とし過ぎず、随所に味わいを出す。
第3番、リズム心地よく、いきいきと演奏する第一楽章、各パートとピノックの通奏低音がバランス良く聴こえてくる。vlの短いソロでカデンツァを弾き、終楽章は快速なテンポで歯切れよいジーグのリズム。低弦もたっぷり響きながらくっきりとした演奏でついてくる。
第4番、晴れわたった気分のサウンドで始まる、スタンデイジのvlはデリケートな撫でやかさと、切れ味の使い分けが味わいどころ、二人のリコーダーが奏でる間のバックやvlの内声旋律の味わい深いのにも気づく。終楽章、フーガ形式をいきいきと、また柔和な感覚ももたせて進める、2本のリコーダーのユニゾンが完璧に一体化して美しい。スタンデイジのvlソロは重音のトレモロを意外と力強く弾くのが印象的。
第5番、第一楽章はリズムをくっきりさせ、快調にサクサク進める、ピノックのチェンバロは淀みなく流れのままにサラサラと行く、くっきりさせた基盤にスタンデイジのvlが程よく柔らかい感覚で重なるのが良い。ベズノシウクのflトラベルソはいつもながら上手すぎるほど、ピノックのカデンツァも大袈裟な溜めを置かず、快調な心地よさで聴かせる。終楽章のチェンバロ・ソロが鮮やかに決めまくっています。これほどサラリと完成度高く演奏した第5番も珍しいのでは?何年経っても遜色ない味わいがある。

category: J.S.バッハ

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G.レオンハルト:バッハ ブランデンブルク協奏曲  

私は「以前持っていたLP盤を消失した」、とかよく書きますが、CD時代になって多くは自ら処分しちゃったのと、残して置いたお気に入りのLPも2009年、火災でススと消火水で汚損し、処分してしまった(洗浄すれば使えた)のが原因です。辛うじて倉庫に押し込んであった僅かなLPだけ無事、なおCDは簡単に洗浄できたので殆ど残っています、しかし酸を含んだ煙にやられてアルミ蒸着が剥がれてしまったCDもありました。多少データが欠損しても再生できますが、こうなるとだめです。
酸落ち
紙のライナーノーツは多くが濡れてだめになりました。よって中古店で漁るのも、まずはもう一度聴きたい音盤探しが半分目的です。

SEONレーベルから出ていたG.レオンハルト指揮するブランデンブルク協奏曲も全集LPを持っていました。ボックス入りで全曲の自筆譜ファクシミリの冊子が入った貴重なものでした。今回1枚もので第1番と第6番の省略された兼価盤で久しぶりに聴きます。
レオンハルト bach bra
1976~1977年録音 SEON原盤

レオンハルト盤が古楽奏法を本格的に行った最初のもので、初めて聴いたときはそれまで馴染んだ演奏の数々とは大きく違うのに驚きました。ゆったりと流す音楽ではなく、まず発音の基本が異なり、粒立てた一音一音に多様な表情を付けた奏法には引き付けられます、歌うと言うより語る感覚?この演奏以来、共通語法の古楽ラッシュが始まった感があります。ソリスト達も、F.ブリュッヘン、S.クイケン、A.ビルスマ、ルシー・ファン・ダールなど超豪華メンバー。録音は心地よいサウンドというよりも、演奏内容をよく捕えた、幾分渋いながら鮮明なものです。
第2番のバロックtp奏者はクロード・リッパス、この時期の演奏ではよく健闘していると思います。これ以前にもエドワード・タールの見事なバロックtp演奏がありましたが、タールのtpはホンル型にくるくる巻いたものでした。リッパスのtpはどんなものかデータはありません。
第3番、第一楽章からリズムがくっきり、各パートはもちろん一人ずつでそれぞれの響きの持ち味が聴ける。終楽章はそれまでの常識よりとても速い、しかしジーグのリズムとして捕えるならこれくらいのテンポは必要となる、スピード感と折り重なる多声が痛快。
第4番と第5番は、S.クイケンのvlとブリュッヘンの笛、そしてレオンハルトのチェンバロ、その後は聴けない顔合わせが貴重です。第4番ではS.クイケンの切れ味よいバロックvl、第5番はレオンハルトのチェンバロは言うまでもなし、ブリュッヘンの幽玄な味を帯びたfl.トラベルソが聴きどころです。

category: J.S.バッハ

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N.ノース:S.L.ヴァイス リュート作品Ⅱ  

ナイジェル・ノースのシルヴィウス・レオポルト・ヴァイス:リュート曲、第2集が届きました。輸入盤で少し日にちがかかりました。
今回は"Cantabile"と題されたアルバム、前回同様CDとケースのデザインが美しいです。

north weiss2
north weiss2b

収録曲はいずれも、ロンドン写本から、また使用楽器データも以下のとおり、
north weiss2c

一部オリジナルの組み合わせを替えていますが、パッサカリア、チャコーナ、フーガを含む聴きごたえのある選曲です。当時も組曲を構成する曲は必ずしも固定されておらず、組み替えは行われたでしょう。2曲目イ長調のチャコーナは私も過去に取り組んだことのある好きな曲です、冒頭テーマからリュートが心地よく鳴るポジションを使うんですね^^
さて、"現代のヴァイス"と呼ばれるノースの演奏ですが、あれこれ言いだすときりがない「実りの秋」のような演奏。タイトルのとおり常に流麗な歌が流れ、自然な拍の伸縮、リピートでのセンスの良い装飾や変奏、細かな音が追加されてもそれが流麗な旋律に溶け込んでいる、弾弦位置も適切に移動し音色変化の味わい、小作りじゃない豊かさがあります。同ゼクエンツが続き、長いトリルを何回も入れるとくどいので、3回目は前打音だけにする、これがいい、ワンパターンを避けますv、私などちょっと装飾を企てると技術に足を取られ、歌が空中分解してしまいますが;
今回第2集でノースはバスライダー付きの13コース・リュートを用いていますが、製作はやはりラルス・ヤンソンでヒストリカルな復原楽器のようです。また今回はガット弦での演奏も注目。低音弦は写真ではどうやら加重加工のされていない、プレーンなガットのようです。ここで問題は普通に考えるテンションを得ようとすると、かなり太い弦を張ることになるが、極端に太い弦を張っても音程が鈍るだけ、テンションは緩くてもほどほどの太さに留めるのが現実的。ノースもそんな設定のようです。

バスライダー
このバスライダーというペグボックスにちょこんと上付けされた、足場の弱々しい糸巻部は、かなり緩く張るからこんな作りでよかったのではないかと思います。ちなみに写真のオッティガー作13コースluteのバスライダーは初めから13コース仕様なので丈夫そうに出来ています、ここは現代仕様と言えましょう。11コースだった楽器にわずかな接着面積で継ぎ足し貼りしてある楽器もあります。
ガット弦は伸度の少ない性質なので、エネルギー損失が少なく、緩く張っても楽器を鳴らす力があり、指で感じる手ごたえもしっかりしていますね。ラルス・ヤンソンの楽器はとても豊かにガットに反応していて名工の手になる共通の鳴り方です、これも信頼の証でしょう。この底力のある響きの味は現代の巻弦では得られず、聴いても、自分で弾いてもハマってしまうものです^^

category: リュート作品

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S.クイケン:バッハ ブランデンブルク協奏曲第2番  

'80年代あたりは古楽ラッシュとでも言いましょうか、名だたる演奏家や団体が次々、名曲どころを録音しました。ブランデンブルク協奏曲などは必須レパートリーでしょうね。トランペット漬けになった勢いでブランデンブルク協奏曲第2番に注目しながらいろいろ聴いています。
古楽と言っても何から何まで昔のままに、とはいかないようで、たとえばトランペット。ナチュラル・トランペットと安易に呼んでいましたが、本当にナチュラル管と言えるのは何の仕掛けもない管を曲げただけの楽器のはず。しかし現代、古楽演奏で使われているのは、高域演奏で正確な音程を得やすいように、途中に穴を3つとか4つとか設けたものが多く使われ、指で開閉して音程調整するそうで、完全な"古楽器"ではないそうです。変な言い方ですが現代の古楽器?F.インマーやN.エクルンドもこの補正穴付きの楽器だそうです。F.インマーはDVDで楽器を見ましたが確かに穴付きのtpです。思えばリュート属だって、現代の公開の演奏会で狂いやすいガット弦を張って通奏低音を弾くなんてことは現実的じゃない、ナイロンはじめ現代素材の弦を殆どの奏者が使っているでしょう。聴き手もガット弦じゃなきゃダメだと言う人もいないでしょう。古楽器と言えど正確な音程を当り前に求める現代の聴衆に応えるには古楽器本来の性質を逸脱しない範囲で妥協策も必要。若干響きは変わってもバロックなど古楽が自然に再現できる楽器であればいい、というところでしょうか。
今日は昨年12月にも書いたS.クイケンのブランデンブルクですが、第2番を再度聴きました。S.クイケンの拘りは徹底していて、一回目のブランデンブルクcon録音で第2番にトランペットを使わず、ホルンを用いたのも、完全な古楽器といえるトランペットを吹く奏者がいないから、ということでした。(ホルンで演奏してもよいというのはバッハの指定) 近年クイケンが2回目の録音をしたブランデンブルク協奏曲集の第2番では真正のナチュラルtpを演奏するフランスの奏者、ジャン-フランソワ・マドゥーフを起用しています。写真ではホルンを吹いていますが右がご当人。

クイケン bach bra 

これで正真正銘、バッハの時代に響いたであろう第2番が再現された、S.クイケンの妥協しない拘りが叶ったと言えるでしょう。これを知らずに最初聴いたときは何とも難しそうに吹いているな、と思いましたが、事情を知って納得です。前例があるかどうかわかりませんが、唯一のナチュラルtpの希少な第2番ではないでしょうか、音程補正の仕掛けなしの楽器を吹き方だけで調整する、技術としては大変なものと想像します。
今後は補正穴を設けたトランペットは"ナチュラル"と呼ばず便宜的にバロック・トランペットと呼ぶことにします。このバロック・トランペットは偽物か、というとそうは思いません、現に古楽の中に溶け込んだ美しい音ですし、ナチュラルtpの本質を崩さず最小限に工夫を施したものと思います。

category: J.S.バッハ

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システム紹介  

私がいつも座っている前のシステム全景です、あまり美しくない^^;
過去にも書きましたが、両脇の自作スピーカーは18年になります。ユニットはウーファーがフォステクスFW187、ツィーターが同社FT38D、いずれも今は生産していません。それぞれ重量がFW187:2.8kg、FT38D:0.91kg、とマグネットのでかいもので、音場は緻密に描きます。これといった色付け感のないニュートラルな感じで様々な音盤の特徴が聴こえてくるようです。スピーカー本体はバスレフ・スリットのある所まで、その下は台です。

システム全景

中央の機器はプリメインがDENON:PMA390-SE、CDデッキが同社:DCD-755SE、レコード・プレーヤーが同社:DP-500Mといずれも普及品クラス。繋いであるケーブル類もホームセンターにある一番安いものです。
古楽器のヴァイオリン属、チェンバロなど各楽器の味わいが自然に聴こえればいい、古典派オケくらいまでは量感的にもいける、大編成のときはサブ・ウーファーで補助、といった具合です。

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一頃は、メーカー製スピーカーをいくつか購入したり、真空管アンプを組み立てたり、部屋が物だらけになりました;高級材とされるケーブル類も試しましたが結局みな処分して、すっきりさせました。

category: オーディオ

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経年比較  

M.オッティガーの13コースluteの経年変化です。
1年半おきくらいに新品の頃との変化を記録しています、幸いデジカメが壊れないので同じ条件で撮れていると思います。

経年比較2013

表面板のスプルースには軽くニスを染み込ませて研磨してありますが、素肌に近いですね、スプルースの質によっても差は出ると思いますが、この楽器は特に褐色化が加速的です、製作時からよく枯れた材料だったかもしれません。指板の中央はココボロ材ですが、これも赤みがかった色が褪せてきました。音は、新品の頃と変りなく感じます。
故・田端義夫さんのギターみたいに年季が入るのはまだかなり先です^^;

category: リュート

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W.マルサリスのトランペット協奏曲集  

このところ、トランペット漬けになっています;
今日は、過去にハイドンtp協奏曲で少しだけ取り上げた、ジャズ・トランペッター兼クラシック奏者、ウィントン・マルサリスのtp協奏曲集をじっくり聴き返してみました。
マルサリスはあくまでクラシック奏者に徹しているのは確かだが、ジャズ・トランペッターらしいプレイ精神も根底に漂わせている気がして、心にくいような・・^^
ヨーロッパ系のtp奏者とはやはり違うアメリカン・サウンドでしょうか、輝かしさが基調ですが、ヴェネチアン・グラスをキーンと叩いたような、芯のある透明な美音で特に高域が魅力。レイモンド・レッパード指揮:ナショナル・フィルの演奏がとても良いのにも気づきました。録音は弦楽器1つ1つが聴こえるような、SONYらしい鮮明さですが、耳心地よい滑らかサウンド。

マルサリス tp
1. ハイドン トランペット協奏曲変ホ長調
2. L.モーツァルト同ニ長調
3. フンメル同変ホ長調(フンメル)
4. ヴィヴァルディ 2つのトランペットのための協奏曲ハ長調RV537
5. テレマン 3つのトランペットのための協奏曲変ロ長調
6. パッヘルベル 3つのトランペットと弦楽のためのカノン
7. ビーバー 8つのトランペットと管弦楽のためのソナタ イ長調
ウィントン・マルサリス:tp
レイモンド・レッパード指揮:ナショナル・フィルハーモニーO (1-3) 1982年録音
              イギリス室内O (4-7) 1987年録音


1.ハイドン:tp協奏曲、まずレッパードの活気に満ちた前奏が良い、マルサリスはアンドレ風の木管的、室内的表現はあまりないが、高音から低音までくっきり明快な心地よさ。第二楽章はあまりカンタービレに陥らず、適度に切りながらリズム感に乗せる。しかしレッパードはバックの旋律をひじょうに優しく聴かせる。さすがにマルサリスも柔らかな表現。第三楽章、前奏がやはり活気を帯び、心地よいダイナミズムを聴かせる、マルサリスは速いパッセージ音を1音ずつ鮮やかに区切って聴かせるのが痛快、他では聴けない終楽章の魅力となっています。

2.L.モーツァルト:tp協奏曲、グルックと同時期、前期古典派らしい雰囲気でtpの魅力を十分聴かせる名曲です。第一楽章でオクターブ跳躍した高音をアンドレやエクルンドは弱音から柔らかく立ち上げ、ゾクっとくる魅力ですが、マルサリスはくっきりと立ち上げる、美音なだけにこれも痛快な魅力。第二楽章、レッパードのバックもくっきりした表現で引き付け、マルサリスは切れ味よい装飾(変奏)を加える。もちろんジャズの即興とは違うがスリリングな楽しみは確か。

3.フンメル:tp協奏曲、この曲で特にレッパードのバックがすばらしい、表現的にはハイドンと共通ながら、前奏や間奏部分が長いので聴かせどころとなりますね、2nd.vlなど内声をくっきり粒立たせ、1st.vlがレガート、区切りを使い分け適切に歌い、緻密な強弱法で力感の入れ方が的を得ていて、すっかり共感させられる、アンドレのバックを演奏したJ.ローラを凌ぐかもしれない?かっちりまとめ過ぎず適度に捌けた響きも良い、やる気満々の前奏で引き付けます。とても良い気分でソロが始まる。短調の感傷的な第二楽章の始まりは古典派世界から離れた気分、長調に転ずるとモーツァルト風になり、楽しませる。圧巻が終楽章、もともとアクロバット的なこの楽章を一段と速いテンポでマルサリスもオケもびしっと決めている。このキレまくった熱気はもはやクラシックから離れた気分でもある^^

以下、ヴィヴァルディはじめ、複数のtpによる協奏曲ですが、すべてマルサリスによる多重録音、ダビングしても音質劣化しないデジタル時代の利点で、最後のビーバーの曲は八重録音だそうです。

PS.フンメルのtp協奏曲は原曲はホ長調で書かれていますが、現在は一般的なtpで演奏しやすい変ホ長調に移調されることが多いそうです。当盤も変ホ長調です。マルサリスが2000年に録音した「ザ・ロンドン・コンサート」というアルバムでは原調のホ長調で演奏されています。他にホ長調で演奏しているのは、H.ハーデンベルガーとN.エクルンドの例があります。半音高い分だけでも華やかになりますかね。

category: その他・古典派

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テレマン:トランペット協奏曲ニ長調  

私はトランペットには触れたことはないのですが、ホルンなら知人のを吹かせてもらったことがあります。はじめはスカーっと空気が通るだけの音^^;悪戦の末、やっと唇が振動しプォーっと鳴ったときは感動!それで満足^^金管の難しさを体感しました。

さてtp協奏曲の定番、テレマンの協奏曲ニ長調ですが、先日のO.E.アントンセンの見事な演奏を聴くといろいろ聴いてみたくなります。意外に手元にあるのは少ないです。
まずはM.アンドレの2枚、左は1974年録音(EMI)カラヤン&BPOとの演奏、テレマンの原曲をもっとtpの魅力を出そうと旋律を一部高域に移した編曲がよく使われますが、ここではグレーベ編とあります。各楽章ゆっくりのテンポでtpを伸びやかにたっぷりと聴かせる、カラヤンのBPOは厚みを帯びながらも清涼なサウンド、カラヤン・バロックとでも言いましょうか、濃厚に聴かせます。もう1枚右、1984年録音のR.ムーティ&フィルハーモニアOとの演奏は異なる編曲が使われ、一味違います。tpソロは原曲を重視したのか、高域に移すことをせず、第4楽章の終りも華々しい高音を吹くものでなく、落ち着いた終結です。ムーティのオケは厚くならず、清々しく聴かせます。
tele tp2

次にナチュラルtp、古楽演奏です。ナチュラル管はまさにすんなりとした管で気流を乱す仕掛けがなく、透明感のある音が魅力。左はフリーデマン・インマー:tp、R.ゲーベル&MAKの演奏、1986年アルヒーフ。インマーは柔らか基調の良い音です。ナチュラルtpの大らかなトリル、第二楽章ではtpの出だしが、"巻き舌"的発音となり、これもナチュラルtpらしい味わいです。ゲーベルはアタックの強い演奏をしますが、tpが休みの第3楽章はことのほか雅びに演奏します。さすがに原曲版のようです。もう1枚右、スウェーデンの名奏者N.エクルンド:tp、N.E.スパルブ&ドロットニング・ホルム・バロック・アンサンブル、これは極めつけ、ナチュラルtpを吹いているとは思えない技、スパルブのバックも洗練されつくしたような、古楽演奏の魅力を放つ。第3楽章の美しいこと。この曲、第3楽章がけっこう聴きどころなんですね^^
tele tp1

最後はtpのバロック演奏の原点ともいえるようなLP、アドルフ・シェルバウム:tp、K.レーデル&ミュンヘン・プロ・アルテ・室内O、録音年不明ですがステレオ初期頃でしょう。のちのバロック・サウンドの清々しい録音とは違い、生っぽく録れています。アンドレ以後の洗練された演奏が確立される前の、トランペットらしい、ごく素朴な表現、響きがかえって新鮮に感じます。第4楽章は高音を吹いて終わる。やがて物々しいバック演奏が増えていきますが、レーデルのバックは、さらりと自然に支えます。
エラート盤

category: G.P.テレマン

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アントンセン&テイト:ハイドンtp協奏曲ほか  

今日はノルウェーのtp奏者、オーレ・エドワルド・アントンセンのデビュー盤、tp協奏曲集です。本当にM.アンドレの再来と呼ばれる人が次々出ているんですね。これもアンドレの存在、さらにはアンドレに影響を与えたA.シェルバウムからの系譜かもしれません。当アルバムの選曲もアンドレの足跡をたどるかのようです。
アントンセン及び演奏について詳しくはDaisyさんのハイドン音盤倉庫をご参照ください。

アントンセン
1. トランペット協奏曲変ホ長調(フンメル)
2. 同ニ長調(テレマン)
3. 同変ホ長調(ネルーダ)
4. 同ニ長調(タルティーニ)
5. 同変ホ長調(ハイドン)    
tp:オーレ・エドワルド・アントンセン
ジェフリー・テイト指揮:イギリス室内O
1993年EMI


バックがJ.テイト&イギリス室内Oとくれば聴かずにいられません^^アントンセンは正統路線を磨き上げたような演奏、きわめて安定した技巧と滑らかで澄んだtpは申し分なし、トリルを入れるところの一音ずつの粒立ちと切れ味はアンドレさながら。テイトはハイドン交響曲で聴かせた魅力をもってバックを務めます、弦は強く出過ぎずしなやか、そして管とのバランスが良く、常に心地よいサウンドで味わいよくまとめる、イギリス室内Oの上手さが前面に出ない自然さがいいです。当然、古典派の2曲、ハイドンとフンメルはすばらしい。前奏部分からじっと聴き入ってしまう、J.L.コボスのように骨格感は強くないがテイトならではの良さ。またテイトによるバロックの演奏は初めて聴くことになるが、そのしなやかな響きはJ.L.コボスよりぴったりきますね、何だか故パイヤールを聴くようにしっくりくる^^おなじみテレマンの協奏曲ニ長調は数ある録音で屈指の名演かも、アントンセンのtpの美しさは言う事なし、第4楽章の終結音は和音を昇り、原曲よりオクターブ高く吹く、この音だけで千金の値打でしょう。(余談ですが当盤のライナーノーツにはテレマンの生没年が1748-1831とありますが誤りで、1681-1767ですね)もうひとつ、イタリア後期バロックのタルティーニの協奏曲ニ長調も魅力、たしか原曲はvl協奏曲と聞いた記憶ですが、tpの魅力を引き出すかのような曲です、この曲の演奏もアンドレ以来かも?アンドレの来日時に聴いて、とても印象的で、エラートからN.マリナーがバックの録音が出てすぐ買ったものです。tpがイタリアン・テイストの曲を吹くと独特の魅力を放ちます。

category: F.J.ハイドン

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骨董盤Ⅱ:アルヒーフ  

良質の新米を天然水で炊きあげると、味付けなしで美味しく食べられるし飽きることがないですが、グラモフォンやアルヒーフの黄金期の録音を聴くと、そんな味わいに感じます。ベーム、フリッチャイ、リヒターなど収めた録音の弦楽はまさに銀舎利サウンドだし、木管や金管も特定の色合いに染まっていない生っぽいサウンドが魅力です。

先日、アルヒーフの古い頃のLPを見つけました。A.ヴェンツィンガー指揮:バーゼル・スコラ・カントルムのテレマン:水上の音楽「ハンブルクの潮の満干」ほかの入ったもの。
arc初期
まさしく銀のレーベル、こんなに輝いていたんですね。ARCHIVの文字の上にはグラモフォン共通のチューリップ・マークが入っていない、そのかわりレーベルの外周に青いラインの縁取りがあります。録音はレーベルのイメージどおり、色付け感がなく、天然水で研いだような音、各パートがくっきり聴こえてきます。なおこの盤は'61年録音ですが、後に再カッティングされたものが出ていて幾分ソフトな響きにまとめられています。

次は最も見慣れた時期のもの、同じくA.ヴェンツィンガー指揮:バーゼル・スコラ・カントルムでこちらはヘンデルの水上の音楽、
arc中期
上にチューリップのマークが入ります、レーベル面の光沢は幾分ソフトになっていますが気品のある銀です。録音は'65年、水上の音楽っていうと爽やかサウンドの録音物が多い中、ガッチリ真面目に録音されています^^ここまでは輸入盤の頃でした。

最後は'67年録音のK.リヒターのバッハ:ブランデンブルク協奏曲(国内盤)
arc後期
印刷レイアウトは変っていませんが、銀が完全につや消し、というかほとんどグレーです。国内盤が作られるようになってジャケットの解説もレーベルにも直接日本語が印刷されています。盤質は良くなっていますが、カッティングは初期とは変っているかもしれませんね。すばらしいサウンドに変りはないですが。やはり初期の銀レーベルは魅力で、気分も引き締まります。
そしてCD時代になったら、みごと銀が復活、なんたって盤自体、銀盤ですから^^;外周の青ラインも復活。
音楽自体とはまったく関係ない、マニア話でした;

category: オーディオ

tb: 0   cm: 2

L.U.モーテンセン:バッハ チェンバロ協奏曲BWV1053ほか  

過去にリコーダーの人達とアンサンブルに挑戦した時期がありますが、バロック音楽のバス・パートを弾くというのは実に楽しいのですね。簡潔ながら上声パートを受け止めるような動きの心地よさ、音楽を支えている、という達成感みたいなものもありますし。バッハの曲ともなれば、そのバス・パートに集中して聴いてみるのも一興、実に味があります。

さて、先日のムローヴァ盤ですっかり気に入ってしまったBWV1053ですが、ほかに音盤はなかったか探したら、ラーシュ・ウルリク・モーテンセン:cem、コンチェルト・コペンハーゲンのバッハ:チェンバロ協奏曲第1集に入っていました。cpoレーベルも優れた古楽CDを出しています、ちょっとマイナーものが多いですが;

モーテンセン bach

チェンバロ協奏曲第2番ホ長調 BWV1053
第一楽章、この楽章はトィッティとソロを交互に演奏するリトルネッロ形式が基盤ですが、A-B-Aの部分に分かれ、Aが型どおりのリトルネッロ、Bがフーガ作品で言う喜遊部に相当するところ、喜遊部といってもひと息つくような部分でなく、A部を基に霊感の趣くままに転調、テーマの変化などバッハならではの深い技法と楽想を聴かせます、展開部的な内容ですね、再びAに戻りますが、ただの再現ではなく、ソロには見事な装飾パッセージが入り、盛り上げて終ります。
第二楽章のシチリアーノは嬰ハ短調となり、チェンバロのソロが並みの作品以上の深い気分の移ろいを聴かせます。
第三楽章、アレグロで快活、チェンバロの鮮やかなパッセージが導入してトゥッティが始まる、この楽章もA-B-Aの形をとっているんですね、Bはやはり聴きどころで、半音進行する新たなテーマが出てくるところなど、ヴィルトーゾ的な通の作品に思えます。
モーテンセン&コンチェルト・コペンハーゲンの演奏は基調としてリズムをくっきり歯切れよくしながら、弦の涼やかなレガート音を重ね、チェンバロの小回りな切れ味やルバート、近年的な古楽演奏の魅力で聴かせます。そしてバス・パートをじっくり聴いてみるのもいいです^^

この盤のもう1曲、魅力はおなじみチェンバロ協奏曲第1番ニ短調BWV1052、この曲の第一楽章でトゥッティの奏でる主題はユニゾンで広い音域を動き、バッハの息子達の書いた多感様式を先取りしたようだ、という解説もありますが、たしかに引き付ける主題です。こちらもモーテンセンの演奏が鮮やかで、前に取り上げたダントーネ盤とともに近年古楽の魅力十分に聴かせます、快速に演奏する終楽章が痛快。

category: J.S.バッハ

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骨董盤  

このLPもぶらりと中古ショップに寄って見つけました。
K.ベーム、BPOのモーツァルト協奏交響曲2曲で、表紙はグラモフォンお馴染みのものですが、二つ折りじゃなく薄っぺらな紙のジャケットです。昔の歌謡曲のLPもこんなジャケットだった記憶で懐かしい感じ。

be mo con2

表示価格は1800円ですが兼価盤じゃないですね、こういう値段の頃。レーベルも古いデザインのようです。いつ頃のものでしょう?昭和40年代頃なら骨董品ですね、500円でした^^こんな頃なら、まともなステレオ・システムなんてそんなに普及していなかったでしょう、今やっと真価を聴けるのかも。

be mo con1

針を下ろしてみると音質は立派なもの、盤そのものは痛んでいない様子ですが、溝にはまり込んでいる埃がなかなか取れず、オーディオ・テクニカの湿式クリーナーをもってしても完全には取れず(優れものなんですが)。
水道水洗いは最近ミネラル分が結晶化するせいか逆にノイズが出るようになった・・少し前は良かったのに?

at クリーナー

それならば最後の手段、いささか乱暴ですがそのまま再生しちゃう、針先が埃を掻き出してくれる^^;そのあとクリーナーで拭く。2、3度やればかなり埃ノイズは消える・・あまり積極的にはやりたくないですが;この程度で痛むようなら、塩ビ盤の寿命なんてすごく短いはずです。
やっと普通に聴けるようになりました。vlとvaのための協奏交響曲、始まりのトゥッティの主題からじつに整った響きが素晴らしい、ここだけで厳しいまでの練習を積んだ音に聴こえます、二人のソロもすばらしい。

そうこうしてるところ、息子から電話が入り、送ったレコード・プレーヤーを接続したそうで、針圧調整などは帰宅時に説明してありましたが、「再生はできるけど、ジーというノイズが出っぱなし」というので、アース接続を忘れていないか確かめたところ、案の定;さっそく接続させ、「すっごくいい音で聴けるようになった」と一段落^^;

category: オーディオ

tb: 0   cm: 2

N.ノース:S.L.ヴァイス リュート作品Ⅰ  

リュート奏者、ナイジェル・ノースと言えば昔、オワゾリールから出たド・ヴィゼの作品のアルバムLPを思い出しますが、テオルボ、バロック・ギター、バロック・リュートを見事弾きこなし、デビュー盤からしてとても完成度が高く、筋の良い人だなと思いました。その後もソロ演奏、通奏低音で優れた録音を次々聴かせてくれた、今やリュート界の大御所の一人です。
リュート関係者はご存じのとおり、2009年、家族などに関わる心労のせいか心臓病にかかり、療養のため約1年間演奏活動を休止したそうで、復帰後最初の録音がこの"The Heart Trembles with Pleasure"と題されたアルバム、ヴァイスonlyの録音です。参考画像:Fantasie C minor

ノース ヴァイス
1.序曲 変ロ長調 2.パルティータ ト短調 3.ソナタ ヘ長調
4.ファンタジー ハ短調 5.ソナタ ハ短調 6.シャコンヌ 変ホ長調

2010年録音、St アンドリュース教会

楽器はH.フライ・モデルの11コースlute(ラルス・ヤンソン作、スウェーデン)、黄色い弦はNewナイルガットのようです。ヴァイス、ロンドン写本の作品ですが、さすが巨匠の演奏ですね、曲の持つ息使いを捕えきったような絶妙な強弱、間のとり方、リピートにおける洗練されきった装飾演奏、軽すぎず重すぎず、美しく弦が重なるレガートな響き、すべて参考にしたいような演奏です。特にパルティータ ト短調やファンタジー ハ短調は自分でも取り組んだことがあるだけに、あまりの差にちょっとヘコみますが^^;当盤はパルティータ ト短調のメヌエットの演奏中、小鳥のさえずりが入っています、録音会場の教会周辺の環境の良さがわかる気がします。
ノース氏のその後の健康が気にかかりましたが、ヴァイスの新譜Cantabile: Music for Lute by S.L.Weiss Vol. 2が出たので安心しました。これもぜひ聴きたいです、じっくりでいいので続編を期待したいですね。

category: リュート作品

tb: 0   cm: 5

手持ちの楽器Ⅴ  

2001年、松尾淳 作のジャーマン・テオルボです。
師匠のジャーマン・テオルボを弾かせてもらい、自分も長い低音弦を弾きたい、という理由だけで購入しました^^;余韻が長く響くのが魅力で。長いというだけで扱いは意外と楽なんです、調弦もしやすく、弾き勝手も普通の13コース・リュートと同じです。

matuo gt
弦長:70cm、96cm 13コース M.ホフマン・モデル

松尾さんの楽器は国内使用を想定し、故障しにくい構造になっているようで、12年目になりますが殆ど変形もおこらず、弾きやすい状態が保たれています。補強すればするだけ、鳴りは犠牲になりますが、良いところでバランスがとれていると思います。この楽器のおかげでやる気も出て、S.L.ヴァイスの曲に積極的に取り組むことができました。

category: リュート

tb: 0   cm: 2

F.フリッチャイ:ベートーヴェン交響曲3番「英雄」-LP  

昔からグラモフォン盤の盤面を目視すると、良い音がしそうだな、と直感します。大音量部分では溝のスペースを十分取り、弱音部分ではぐっと溝を詰めてある、盤面スペースを節約して充実した音を刻んであるメリハリのある溝の並びが見てとれます。
さてそのグラモフォン原盤で、今日は取って置きのフェレンツ・フリッチャイ指揮:BPOのベートーヴェン交響曲「英雄」。過去にCDでのレビューを書きましたが、当LP盤の素晴らしさで再度書きます。
'58年の録音ですが、先日のベーム盤('61年)を凌ぐ素晴らしいサウンドで超ピアニッシモの弦楽からくっきり明晰に聴こえるS/N比の高そうな音、最強音の金管も歪むことなく、爽快に響く録音の見事さがまず魅力。それでフリッチャイのスケールの大きな演奏が収められています。

フリッチャイ be sym3
フェレンツ・フリッチャイ指揮:ベルリン・フィルハーモニーO
1958年録音 D.グラモフォン Rec.エンジニア:G.ヘルマンス


第一楽章、快速で小刻みに構成された楽章ですが、その様式感もしっかり聴かせながら、弦楽ならではの柔軟な弓使いの味も一貫して聴かせます。木管ソロの滑らかな響きを聴かせるところは、他のパートを控え気味にする。長い展開部ともう一つの展開部のような再現部、更に盛り上がる終結部とフリッチャイはスケール大きく痛快に聴かせる。
第二楽章、じっくりしたテンポで深淵、葬送行進曲部ではvl群やチェロ群の深い味わいを聴かせる、長調の中間部は英雄の生涯を回想するかのよう、やがてトランペットが豪快に鳴る、再び短調の主題となり、フーガとなるが荘重というより壮絶といえるほどの圧巻。
第三楽章、超ピアニッシモの弦のスタッカートで始まるが、スケルツォのリズムにハマる、弱奏と強奏の入れ替わり忙しく、強奏になるとtimpの打音がリズムを強調するが、スタッカートの引き絞めは一貫していて、これが心地よい。トリオのホルンも程よく粗野で味がある。
終楽章、序奏は一瞬、vl群が先に鳴りだし、遅れて他パートがドっと鳴る、時間差攻撃のじわっとくる凄み、さすがフリッチャイ!^^続くパッサカリア風の変奏は技法を駆使した盛り沢山の内容、フリッチャイはもちろん着実に演奏していく、極めつけは終結前のホルンによる主題の豪奏でトロンボーンが入ったかと錯覚する響き、ここもちゃんと針がついていき無事再生できました^^vこれほどスケール大きな「英雄」は他にないかも。

category: ベートーヴェン

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V.ムローヴァ:バッハ ヴァイオリン協奏曲  

久しぶりの古楽の新譜です、古楽演奏も新世代に継がれ、ますます洗練され魅力的な演奏が当たり前のように聴けるようになりました。今日はvlの女王と称され古楽の世界に踏み入ったヴィクトリア・ムローヴァと活躍めざましい古楽奏者オッタヴィオ・ダントーネが組んだバッハのvl協奏曲と編曲もの協奏曲のアルバム。 
昨年取り上げた筋金入りの古楽奏者、A.マンゼとR.ポッジャーのvlによるバッハのvl協奏曲を中心としたアルバムも素晴らしかったが、この二人はBWV1060(vlとobのための協奏曲ニ短調)を2つのvlで弾いていた。今日のムローヴァ&ダントーネはvlとチェンバロのソロでしかもvlはobパートを弾いているのが興味深い。
さすがに最新録音は"CD"の器が必要です;

ムローヴァ bach vl con
1.vl協奏曲No.2ホ長調BWV1042、2.vl協奏曲ニ長調BWV1053、3.vl協奏曲No.1イ短調BWV1041、
4.vlとチェンバロのための協奏曲ハ短調(原曲:vlとobのための協奏曲ニ短調BWV1060)
ヴィクトリア・ムローヴァ:vl、オッタヴィオ・ダントーネ:指揮&チェンバロ
アカデミア・ビザンチナ


vl協奏曲No.2ホ長調BWV1042
第一楽章、開始のトゥッティから快活なリズムと絶妙な強弱法、爽快な弦楽で引き付ける、ムローヴァはこの曲では一切装飾をしないが、一つ一つの運弓がくり出す美音と表情を大切にしているようだ。深い強弱法、拍節の切れ味で集中させる。カデンツァ風のところでダントーネのチェンバロがいいアドリブを入れる。楽章の終り方の心地よいこと、全体にも言えますが修辞法的な強弱、テンポ、力感のコントロールが素晴らしく、最近の古楽演奏の共通語法のようです。昔の真面目インテンポもわるくないですが。
第二楽章は弦楽の繰り返す伴奏の中からムローヴァのvlが無から立ち上がるようにすーっと聴こえてくる、やはり一つ一つの運弓の味わいが抜群。
第三楽章、速めのテンポでリズム打ちを強くせず軽やか、爽快。ソロvlは跳ねまわるように切れ味よく痛快。

vl協奏曲ニ長調BWV1053
この曲はチェンバロ協奏曲として残され、原曲はvl若しくはob協奏曲とされる。これをvl協奏曲に"復原"しての演奏。BWV1053はなかなか聴きごたえある傑作です。
第一楽章、トゥッティで開始される曲だが、vlソロだけで導入してトゥッティに入るセンスの良さは誰のアイデアか感心する。おそらく鍵盤的にアレンジされている部分をvl的にするもよし、そのまま鮮やかな装飾的演奏とするもよし、ムローヴァは後半で装飾的演奏を存分に聴かせる。
第二楽章、シチリアーノ、月並みじゃなく深い楽想を湛えた曲です。ムローヴァ、ダントーネの冴えわたった演奏で申し分なし。
第三楽章、溌剌とした楽章でもともと魅力がある、中間部で半音上昇の意外な旋律が現れるのもありふれていない傑作に感じる、今まで気づかなかったがBWV1052にも引けを取らない傑作に思えます。ムローヴァ&ダントーネによって一際美しい。(このBWV1053はダントーネがチェンバロ協奏曲でも演奏しているので聴き比べも面白い)

vl協奏曲No.1イ短調BWV1041
おなじみの曲です、第一楽章は活気よく爽快、第二楽章も重く引きずらず、リズミカル。ダントーネの入れるチェンバロの分散音もいい。終楽章も快活、頭の拍を短く切りジーグ的なリズムを弾ませる、ソロvlも切れ味よく、サクサク進める。

vlとチェンバロのための協奏曲ハ短調BWV1060(原曲:vlとobのための協奏曲ニ短調、*残されているのは2台のチェンバロのための協奏曲ハ短調)
ここではvlとチェンバロというソロ楽器の組み合わせから、ちょっとブランデンブルク協奏曲第5番を思わせる響きでもある。vlがobパートを弾くというのも似ているようでいつもと違って聴こえるのが面白い。終楽章が快速で痛快、確かにチェンバロ2台で弾くよりもパートの分離が良く聴こえ、大いに成功と言えましょう。
これも本当に買ってよかった1枚。

category: J.S.バッハ

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G.セル:ハイドン交響曲第94番、92番  

ハイドンの「驚愕」あたりを聴いていると、ベートーヴェンよりもモーツァルトよりも、純粋な交響曲だなという感じがします。音の重なり、掛け合い、進行の面白さ、音楽の基本要素だけで大袈裟なものはなく長すぎない時間で巧みに構成されている。
先ごろ亡くなったコリン・デイヴィス氏もそうでしたが、今日のジョージ・セルもハイドン交響曲の純粋な楽しみを聴かせてくれます。「驚愕」と「オックスフォード」のぜひ聴きたいカップリングがありました。

szell hay 92 94
94番「驚愕」'67年録音 92番「オックスフォード」'61年録音
ジョージ・セル指揮、クリーヴランド管弦楽団


94番「驚愕」
第一楽章、序奏はさらりと行きます、主部は適切なテンポ、提示部を聴いただけで、ひじょうにツボを心得ているな、と期待させます。くっきりと粒立てた表現で内声弦の聴こえてほしい音もしっかり聴こえ、構成感が味わえます。強奏音はスパっと短く切り、重くなりすぎず、活気に満ちています。この一言では言えない充実した楽章を不満箇所なく存分に聴かせます。
第二楽章、びっくり音のフォルティッシモもズバっと切り、しつこく響かせない。過剰な表情を付けず、素朴に変奏を歌い上げる。
メヌエット、ゆっくりめのテンポですが、重く引きずらず、リズミカルで最後まで心地よい。
終楽章、この楽章はある程度速いのがいいでしょう、クリーヴランドOの鍛え抜かれた合奏力で痛快に決める。

92番「オックスフォード」
第一楽章、序奏は意外にじっくりと深い味わいを込めます、これが美しい。主部は94番でも述べた表現で、各パートの動きを明快にし、構成の見事さを余すところなく聴かせます。ツボを押えきっていて、展開部はわくわくします。
第二楽章、旋律美の楽章ですが、撫でまわす歌い方はせず素朴に行くのがいい。短調の中間部も歯切れよくするので耳にもたれない。
メヌエットの主題は重々しくなりやすいが、ここも歯切れよくして60年代の演奏にありがちな重いメヌエットになっていないのがいい。
終楽章、構成が充実しているだけに、あまり速くせず、じっくり、最後まで期待に応えてくれる。

この94番、92番というのはなかなかデリケートで、満足いく演奏というのが意外に少ないです。録音が捕えきっていないという場合もありますし。デイヴィスやセルの録音は数少ない名盤だと思います。

category: F.J.ハイドン

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ベーム&BPO:ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」  

カール・ベームの「英雄」は'61年、BPOと録音したものがいい、と音楽ファンの声も多いですが、私も確かにこちらが好きです。設計図どおり、きちっと築かれたような演奏で、それが何度聴いても飽きることがありません。録音は鮮明と言えるものではないですが、全パートをバランスよく緻密に捕えていて、ベームの演奏としっくり同化したような完成度で、荒っぽさがなく落ち着いて聴けるサウンドがいい。新録音のようなオーディオ的魅力はないにもかかわらず、針を下してから最後まで聴き入ってしまいます。過去に二つ折りのジャケット入りを持っていましたが、いつの間にか失ってしまい、中古店で兼価盤となって出たものと再会しました。

ベーム BPO be 3
1961年、D.G、ベルリン、イエス・キリスト教会

第一楽章
、ちょうどいい力感でがちっと切る冒頭の二打、快速なテンポで整然と進みますが、淡々とではなく、旋律の流れはちゃんと柔軟で味わいがある。提示部はわりと短く展開部から再現部、終結部が長大、ベームは力感の推移のツボを押え、ごく当たり前に純化したような演奏で進めます。寸分の隙もない統率感です。
第二楽章、三部形式で葬送行進曲に始まり、明るい中間部、そしてフガートが圧巻の第三部、緩叙楽章でも冷静に構成を捕えたような演奏でじわじわと引き付けます。
第三楽章、この演奏がまたいい、ピアニッシモで始めるが快速なテンポでスケルツォのリズムを一段と際立たせ、じつに小気味よい、強奏部分に至る前に引き付けてやまない。そして強奏部のたたみこむような連打音が痛快、これもかっちり整った合奏でさらに痛快に聴こえる。トリオのホルンの響きも心地よい。
終楽章、乱奏的な序奏で引き付け、全体にはパッサカリア風の変奏曲のようで、第二楽章でも見せたポリフォニックな書法など多くの技法が盛り込まれた楽章は見事ですね、ベームは先にも述べた究極の純化とも言うべきまとめ上げで申し分なしです。逆に言えば一歩抜きん出た表現、聴かせどころもほしいと思えてきますが、それは他の指揮者に求める楽しみということになります。

category: ベートーヴェン

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