Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話題など

モーツァルト「フィガロの結婚」序曲、ベーム vs セル  

「ハイドンくさいモーツァルトはいただけないが、モーツァルトくさいハイドンは魅力的だ」と書いた評論家がいます、言いたいことはわかるが、私の場合は逆、ガチっとまとめた、男気のモーツァルトならいけます。その典型がカール・ベームでしょうか。
オペラは映像付きじゃないと楽しめないので、音盤は序曲集やハイライト盤しか買いません。お気に入りのベーム、モーツァルト序曲集、CDも持っていますが、どうも高域が強く低音が出ない、これはLPの勝ち、落ち着いた響きにほっとする。
ベーム フィガロ
「フィガロの結婚」序曲を聴く、オケはベルリン・ドイツ・オペラO、快速なテンポ(4:14)で、短い時間に正確にブロックを組み込んだような厳格な演奏は背筋を伸ばされるようで、何度聴いても良いです。

もう1枚、こちらは先般レビューしたジョージ・セルのドヴォルザーク「新世界」におまけで付いていたLP、正規に売られている盤に「非売品」というのは変ですが、セルの名演をピックアップしたプロモーション盤を一般向けにも転用したとか?
セル フィガロ
B面の頭に「フィガロの結婚」序曲が入っている、かなり速い(3:57)、クリーヴランドOは、ミスった楽員に明日は無い、みたいに壮絶に合奏を決める、男気の演奏は予想どおり、レガートなんて関係ないようなビシビシ感の中、ふっと弱音を聴かせる表現なども気が抜けない、こちらもベーム盤よりキレていていい、お得な付属盤でした。

category: モーツァルト

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ハイドン オラトリオ「天地創造」  

いつの時代でも、この世界はなぜあるのか、いつ出来たのか(永劫の過去からあったのか?)という素朴な疑問は誰にもあるでしょう。また地球という極めて稀な楽園があることに感謝せねば、という思いも共通でしょう。ハイドンのオラトリオ「天地創造」は素晴らしい音楽効果をもってそんな思いを描いていると思います。
公開初演は1799年、また1808年、ハイドン76歳の誕生日を祝う演奏会ではA.サリエリの指揮で行われたそうです。

旧約聖書とミルトンの「失楽園」をもとに芸術の庇護者でも名高いG.van.スヴィーテン男爵が台本を担当、宇宙の誕生、生物の誕生、人間の誕生の3部になっていますが、単に神話的に書いていたわけではないでしょう。古典派時代というとだいぶ昔と錯覚しそうですが、すでにアイザック・ニュートン(1642-1727)はハイドンの生れる前の人であり、同時代人にはウィリアム・ハーシェル(1738-1822)の名があがってきます、そんな頃で宇宙や科学に関してもかなり進んだ知識のあった時代です。「天地創造」のストーリーもよく見れば、概ね現代の宇宙論や生物進化論にも重なるように思います。ちなみにハーシェルは天王星の発見や銀河系の拡がりを観測で掴んだことで有名ですが、本業は音楽家でハイドンとも親交あり!オーボエ奏者や作曲家としても活躍、ハーシェルの交響曲も聴いてみたいですね^^

第1部、さしずめ序曲に当たる「混沌の描写」は宇宙開闢前の"無"の状態、宇宙が生まれそうで生れない真空のゆらぎのようにも感じます。「光あり!」の大合唱はビッグバンを連想せずにいられません^^しかし「混沌の描写」は素晴らしい、長調とも短調とも着かない前衛的な音楽で、未知への神秘感は現代と同じ、それがハイドンらしい古典美の枠に収まっている。第1部は大地が植物で満たされるまでを描く。

第2部からは水の中に動物が満ち溢れる様子から描かれます。まだ人間は存在しないので、すべて天使達によって語られる。宇宙誕生同様に難しそうなのが生命誕生です。細胞が先か遺伝子が先か、という問いがあったとすれば、"同時"じゃないと生命はあり得ない、生命体と遺伝子はセットでしょう。ハーバード大学のJ.ショスタク教授らのチームは太古の地球環境を想定した実験で、単純な有機物(脂肪酸)の集まりが球形の膜を作り、同時に内部にコピー機能を担う核酸を作った、エネルギーを与えてやると、自己複製を作った、という生命発生と思われる再現に成功したそうです。これが本当に生命と言えるかどうかは置いといて、生命に向かうような化学反応は条件が整えば当たり前のように起こるようです。これからすると、惑星(又は衛星)がハビタブル・ゾーンにあり、水と有機物があり、生命誕生に必要な幾多の条件が"偶然"揃えば、生命の発生は"必然"として起こるということに・・。仮に単純な微生物が生まれたとして、それがいかに進化していくかが大きな謎です。化石調査の上では、単純な微生物時代が延々と続き、多細胞の高度な生物は地球時間のごく最近登場した。カンブリア期に一気に生物の種が増えた、と化石上は見えますが、徐々にそこに行きついた過渡的な時代もあったでしょう、複雑な生命体が突然増えるなんて、神の御業でもないかぎり考えられない;しかし自然淘汰だけで高度な生物になれるものなのか、今の自然界にも枯れ葉そっくりの蝶や、緑の葉っぱそっくりで虫食いの様子まで再現した擬態のコノハムシがいたり、ランカマキリなんてごく限られた場所での擬態ですね、これらを見ると神様が趣味で拵えたとも思えます^^;

第3部では、こんなことを考えたり、いずれCDを聴いたりする人間「アダムとエヴァ」が登場する、人間にまで進化するのも必然なのだろうか、「神は自らの姿のように人を造り」で始まる、人間は進化など飛び越して、神様に似た姿で登場した、と考えたくもなります。

H コッホ 天地創造

ということで、ヘルムート・コッホ指揮(1960年録音)の「天地創造」を聴いています、昔持っていたLPジャケットと同じデザイン、あらためて良い演奏だと思います。演奏については続編で書きます(笑)

category: F.J.ハイドン

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ハイドン好きになった経緯  

気ままに書いているブログですが、リュート・ブログとしての要素は初めから希薄です^^;
いつのまにかハイドン・ブログの要素が大きくなり、最近はLP関連も・・ラックを見ればハイドンの音盤が一番多いです。
いつの間にかハイドン好きになってしまった経緯を思いだしてみました。

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高校生の頃、名曲案内の本など借りたが、ドイツ三大Bなどのページはさすがに多かったがハイドンのページは少なかった、「交響曲の父」と音楽室には肖像が掲示されていたにも関わらず、レコードもせいぜいロンドン・セットの副題付きあたりしか、店頭には置いてなかった。
はじめは交響曲の番号が3桁に至っている凄さに興味が湧き、「時計」やら「太鼓連打」やら3桁番の交響曲のレコードを購入、いざ聴いてみると、ベートーヴェンほど熱気もなく、モーツァルトほど綺麗でもなく、淡泊?まあきちんと書かれた音楽だ、くらいにしか聴こえなかった、やはり名曲案内本のページが少ないのも無理ないか・・?繰り返し聴いたが今一つ味わいきれず時が過ぎる。

ある日FM放送でsym「告別」が流れ(A.ヤニグロ指揮だった記憶)、ハッとさせられた、「いいじゃん、この曲」ってさっそく適当なLPを探し、注文、あらためて「告別」の魅力に聴き入る、第一楽章のメロディックでない簡潔な短調の動機が引きつける、同盤に入っていた「ホルン信号」と19番も爽快で飽きることはない、当時レコード仲間だった友人に「いいだろう」と聴かせた^^、続いて35番、39番、「マーキューリー」など次々聴いてハマってしまった。レコード会社はハイドンの売り出し方を間違っている、後期作品の大層な副題が売りだったかもしれないが、初期の親しみやすい傑作をまず多く出すべきだったのでは?と思えた。当時の日本の物書きにはろくにハイドンへの認識なく評価している向きもあった、この手の古い名曲ガイドブックはあてにならない;

構えて聴くよりも、ふいに何処からか飛び込んでくる曲がとても良く感じることがある、やはりFM放送、クラシック番組はまめに流していたが、ラジオのスイッチを入れると、とても快活で充実感のあるよいシンフォニーが流れてきた、誰の曲だろうと、後でアナウンスを聞く、それが「ロンドン」とか「オックスフォード」だったりする、「おや、ハイドンだったの、いいじゃん!」という具合;ハイドンのいきいきとした魅力と構築性巧みな音楽が、すんなりと頭に共鳴して、突然、後期の作品の良さが感じとれるようになった。そんな頃、ドラティが交響曲全集盤を出したのを新聞広告で知り(大層な値段;)親にねだったが即却下された。
その後は渋いと思っていた弦楽四重奏がとても味わい深いとわかり、聴きだした。多種の楽器のための協奏曲にも魅力がいっぱい、トランペット協奏曲たるや(これもFMで)一聴惚れしたことは言うまでもなし。オラトリオやミサ曲にはハイドンのあらゆる技量が詰まっている。

モーツァルトももちろん好きですが、天才的過ぎる豊かな旋律の芳香といい、構成もよくでき過ぎで、逆に毎日聴きたいタイプじゃない。ハイドンは素朴さの中に飽きのこない味わいを見事築き上げている。作曲のたびに新たな工夫や仕掛けをセンスよくまとめあげ、初期から後期までこれほど進化し、時代の趣味に対応した作曲家は他に思い当たりません。
まあ好きに理屈はないわけで、要するにハイドンには最も親しみを感じている、なくてはならない、と書けば済むことですが^^今後もハイドンの感想は書いていきたいです。

category: F.J.ハイドン

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カラヤン:ブラームス交響曲第1番('63年盤)  

キンモクセイの香り漂うなか、台風が接近なんて、いいかげん勘弁してほしいですね、穏やかな秋に浸る暇もないです;ラニーニャ傾向で冬は寒い見込みとか;

今日はカラヤン&BPOのブラームス交響曲第1番、63年録音のLP、なぜか後の録音より好きなんですね、二つ折りジャケがやはりいいですが、今回は中身の良さそうな再発ものにしました、再生歴は少しありますが、盤もジャケも新しさが漂います、埃はこびりついておらず、軽くベルベットクリーナーで拭くだけでOKでした。

カラヤン bra sym1

針を下すとノイズなしで気持ち良い、しかし音が鳴りだすと、やけに弦がギラギラしつこい音でちょっと余計な音まで再生している感じ、「こんな音だったっけ?プレス原盤が劣化しているのか?」としばし戸惑う・・いつも使っているAT社のカートリッジとこの盤は合わないのかも?・・そこで出番の少ないシュアーのM75EDに替えてみた。しっくりと落ち着いたグラモフォン・サウンドになった、弦も滑らかv、くっきり拾うAT社よりも程よくエッジを丸めるシュアーM75EDがぴったりくる。
他の盤ではカートリッジがどれであれ、それなりに聴けるのに、この盤ではずいぶん違いを感じるのは不思議です。安いカートリッジの特性も役立つときがある。
演奏内容はオーソドックス、BPOの上手さと充実サウンド、いまさら書くまでもないでしょう。

category: ブラームス

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M.シェーファー:バロック・リュートの音楽 第3集  

先日のO.M.ドンボア氏のバロック・リュートの音楽 第2集に続いて出たのが当盤第3集、ミヒャエル・シェーファー氏による、いよいよ本格的にバロック・リュートの世界へ誘うような内容です。惜しくも40歳で亡くなったシェーファー氏の遺作録音でもあり、バロック・リュートとはこういうものか、と開眼させられた最初の録音でもあります。1977年、アナログ期最良の録音でしょう。このLPを聴くには通常よりかなりボリュームを下げる必要があります。通常が"9時"の位置なら"8時"くらい、これでリュートを間近に聴くくらいの音量です。録音レベルを大きくとっているので、トレース・ノイズも聴こえないSN比の高さ、バロック・リュートの極めて微かな表現まで再生されます。

シェーファー bl
1.デュ・フォー 組曲ト短調
2.ジャック・ガロ 組曲ニ短調
3.エザイアス・ロイスナー 組曲イ短調
4.ヨハン・ゴットフリード・コンラーディ 組曲イ長調(←ミスプリでイ短調とあります)
11コース、バロック・リュート:ミヒャエル・シェーファー
1977年、ハーレム、ルーテル教会 SEON


1曲目、2曲目はフランスのリュート奏者、音楽もまさにフランス語調と言えるでしょう。デュ・フォーのト短調の組曲は私も取り組んだ曲で、「ブランロシェ氏へのトンボー」という魅力的な曲が入ります、シェーファーの懐深い演奏を模範に描きながら苦闘しました;終止和音を弾くところ、掛留音をぐっと引っぱり、微かなスラー音で和音にして閉じる、こんな表現一つとっても深くデリケートな味わい。リュートだから出来る美しい装飾音もあります。
3曲目、4曲目はドイツ系の奏者と思われますが、フランスの流儀も継承しています、ロイスナーの組曲イ短調も味わい深く、最後のジーグはリズムの心地よさとテーマをカノン的に扱う凝った書き方がいい。ロイスナーも随分昔、別の組曲を練習して、ギター教室の発表会の中で披露させてもらった、ちょっと馴染みある人です^^
鍵盤曲などと違い、明確な構成を持たないブロークン・スタイルと言われる、リュート向きの音楽が紡がれますが、フランスのクラヴサン音楽にも影響したほど当時のリュート奏者は魅力的な演奏をしていたのでしょうね、楽譜(タブラチュア)に残されたのはほんの筋書き、即興もいっぱいやったことでしょう。
リュートが盛んだった時代も一人一人の奏者の個性も美質も違い、どれが模範的だとは言えなかったようで、リュート奏者を評論した書き物が残っています。20世紀になってシェーファーという逸材が資料研究をもとに最後は自身の音楽センスで、バロック・リュートの復活を投げかけたように思えます。ナイジェル・ノースなど優れた人が続きますが。

マイケル ロウ11c
マイケル ロウ11c
使用楽器:、1977年、マイケル・ロウ作 11コースLute

category: リュート作品

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R.ブラウティハム:ハイドン 鍵盤作品全集より  

私は決して、アナログ趣味ではなく、CDの早い普及を待ち侘びていたのですが、いつの間にか中古LP盤ばかり集めています;リサイクルに貢献?というより、かつての名盤も復刻CDより安く買えてしまうというのが大きいです^^;気になる中古盤ゆえのダメージですが、徹底クリーニングしてみると良好盤だったり、問題のあるケースは少ないようです。あとはカートリッジを替えて聴くリフレッシュ感が楽しいですね。

ということで、今日はCDにします^^
いつもの中古店で、今日は目ぼしいものはなさそう、と帰りかけたとき、新入荷コーナーでハイドンの鍵盤ソロ作品全集が目に止まったのが運のつき、フォルテピアノはR.ブラウティハム、15枚セットでソナタから小品まで入っている、お値打ち!と、;全集ものを完聴するのは大変とわかりつつも;;
hay fp sonata
ロナルド・ブラウティハム:フォルテピアノ
録音 BIS 1998~2002年


ブラウティハムは以前レビューした、J.M.クラウスのピアノ作品集で、唯一と言える名演を録音していたので期待してしまいます。まずはとっておきの曲から聴いちゃいました。

ソナタNo.52変ホ長調 Hob.ⅩⅥ-52
フォルテピアノはA.ヴァルターの復原モデル、幾分距離を置いた録音で透明感のあるよい響き、冒頭の和音など強奏すると鋭くフォルテ感が出るがモダンピアノのように重く響かない、軽やかな第二主題の弱奏はまさに繊細、低音がかなりズシっと響くが、細めの弦らしい音で武骨さはない、ハイドンの演奏には最適なのが感じ取れる。ブラウティハムは快速なテンポで完璧なコントロール、個々の音を粒立たせ、様式感もしっかり聴かせる。十分な溜めを置いて展開部へ、第二主題で軽やかに入り、幻想感とダイナミクスで魅了。
穏やかに始まる第二楽章、中間部では、同音連続が印象的で、低音のみ力強く弾かれるところなど、ベートーヴェン風?モーツァルトにこういうパターンはなさそうです。引き付けられる内容です。
終楽章、軽快に始まるプレストのロンド・ソナタ形式、ブラウティハムの鮮やかさたるや、ずーっとトリル演奏が続いているかのようなスピード(4:32)、しかし強弱表現などきっちり隙のない音楽を弾ききっている、痛快の極み。

もう1曲、皇帝賛歌による変奏曲Hob.Ⅲ-77を聴きました。お馴染み弦楽四重奏曲「皇帝」第二楽章のピアノ編曲版でハイドン自身によるもので、ハイドンは生涯を終える直前までこの曲を愛奏していたと伝えられます。
ブラウティハムはSQのように歌うのではなく、速めのテンポでカラリとした秋空の雰囲気で弾きます。ハイドンもナポレオン軍が押し寄せてくる中、そんな希望の湧く弾き方で周囲の人に聴かせたのでは?と思えてきます。

category: F.J.ハイドン

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O.M.ドンボア:バッハ リュート組曲No.3 ほか  

諸事情で長く楽器を休んでいますので、リュート・ブログとは名ばかり状態^^;
その昔、いつかリュートを手にしようと思わせた火付け役盤を再入手、懐かしく聴いたところです。同年代のリュート弾きさん達はまず間違いなく聴いたであろうSEONレーベルのシリーズで、これらは歴史的奏法によるバロック・リュートの初めての録音でしょう、オイゲン・ミュラー・ドンボア氏が2枚、ミヒャエル・シェーファー氏が1枚残しています。お二人ともリュート復興の先駆者ヴァルター・ゲルヴィッヒ氏のお弟子、しかしゲルヴィッヒ氏はルネサンス・リュートに留めていたので、バロック・リュートに関してはドンボア、シェーファー両氏が総本山と言えるでしょう、師匠の師匠・・と辿ればお二人に行き着くと言えます。今日はドンボア氏の第2弾、メインはバッハのリュート組曲第3番ト短調BWV995です。

ドンボア lute
1974年、セオン・スタジオ

再入手したLPは黒いレーベルのはずが白!「見本盤、非売品」とは何の目的で作られるんでしょう?レアものかも^^;針を下せば内容は過去に聴いたとおりです。
バッハのBWV995はご存じのとおり無伴奏チェロ組曲第5番と同一曲で、バッハの手による大譜表とリュート奏者による13コース・リュート用編曲譜(タブラチュア)が残されていますがドンボアはバッハの譜を尊重し、リュート編曲譜は参考程度のようです。バッハの譜のとおり演奏するには最低音にコントラGを必要とし、13コースではこの調弦が取れません、ドンボアは14コースlute(ニコ・ファン・デァ・ヴァールス作)を使い、全ての音を確保しています。
冒頭のプレリュードはフランス序曲に近い形式をとります、アレグロ部分ではフーガになるところ、ほぼ暗示的でリュートの技法にふさわしい上旋律に簡潔なバスを加えた書き方です。バッハのリュート曲とされる曲の中で最もリュートらしいですがそれでも難しいんですね;
ドンボアの演奏はきれいな音、というより、精神に深く踏み込んでくる響き、全楽章落ち着いた速度のインテンポで堅実に弾きますが、緩く張った弦、特に低音弦の脱力した響きが深みへと引き込み、高音弦の鋭く弾かれる音が緊迫感を出し、最後まで引きつけて行きます。弾弦音とスラー音の粒を揃えレガートに聴かせる、というバロック・リュートの基本技法や特有の装飾法、クーラントでのインネガル奏法など大いに模範ともなります。
B面にはリュートのオリジナル曲、コンラーディの組曲とヴァイスの「ロジー伯爵へのトンボー」が入っていますが、さすがにリュートの美質を満喫させる、この美質を活かしてバッハの作品を見事演奏するというのはなかなか苦労すると思います;

category: リュート作品

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M.アンドレ:ハイドン トランペット協奏曲 完結編  

先日、総集編と言いながら手元になかったパイヤール盤が届きました。これでまさに完結です。
ジャケットは1979年に兼価盤として発売されたものです。録音は'60年頃と思われますが、思ったより良い録音で、アンドレのtpもバックのオケも満足に味わえるものです。強奏部で幾分歪みが出ますが盤の問題でなく、マスター音源によるものと思われます。

アンドレ hay tp p
ハイドン
①トランペット協奏曲変ホ長調
tp:モーリス・アンドレ
②2つのホルンのための協奏曲変ホ長調
hor:ジョルジュ・バルボトゥ、ジルベール・クルズィエ
③オルガン協奏曲第1番ハ長調
org:マリー=クレール・アラン
J=F.パイヤール指揮、パイヤール室内O


さて、メインのtp協奏曲ですが、アンドレの録音では最も速いテンポ、他の多くの演奏から見れば普通くらいですが、アンドレのtpは完璧、初盤から完成形ですね、当時、トランペットの常識からして、とてつもない奏者が現れたと多くの人がこの録音を聴いて思ったでしょう。
第一楽章ではパイヤールの室内Oはしなやかな表現をとりながら、抜群の合奏でキリっと引き締まった印象を与える、timpの打音が強めに取られ溌剌とした演奏、アンドレのtpと良いバランスで響きます。
第二楽章、驚くのは緩抒楽章でしょう、フルートを吹くかのように十分ゆっくり、滑らかに安定的にtpを吹くのは凄く難しいことと思います。終楽章も速めのテンポの快演です。
オケの表現としては2つ目の録音のドイツ的なシュタットルマイア盤が好きですけどね。

2曲目に入っている2つのホルン協奏曲、これは一聴してハイドンの作品ではないな、と印象づきますが、ホルンのための古典派の佳作ではあると思います。

3曲目のM=C.アラン独奏によるオルガン協奏曲ハ長調はなかなかの快演、オルガンの管を使い分け多彩な響きも楽しませます。パイヤール室内Oとしっくり溶け合う響きもいい。

category: F.J.ハイドン

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巻雲  

今朝は少し小寒いほどでした、つい先日まで暑かったのに・・
久しぶりに秋らしいスッキリとした空、これも地球という一つの惑星の上空の大気を捉えた写真、と考えれば見方もかわってきます。こんな空が見られる惑星は極めて希少なんでしょうね。

巻雲

巻雲がたなびいていました「絹雲」とも書くそうですがどっちが正しいんでしょう。
写っていませんが、上空を飛んだ飛行機のひこうき雲が時間が経つと横にたなびいて、そのまま巻雲となっていく様子も見られました。

一方、下の写真、これも真昼間なんです。数年前撮ったものですが、異常に厚い積乱雲の下になり、夜同然の暗さになりました。

暗い昼

雲が厚いと赤い光しか透ってこず、まるで金星の上空のような、赤黒い空が幻想的?;

category: 科学・自然・雑学

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スメタナ弦楽四重奏団:シューベルトSQ No.14「死と乙女」  

クラシック・ビギナーの頃は弦楽四重奏なんて地味で聴けないと思っていたところ、何か1枚くらい聴いてみようと、このシューベルトSQ No.14「死と乙女」の兼価盤を購入、イタリアSQの演奏でしたが、曲の凄さに開眼させられました。その後はSQの父、ハイドンから聴かなきゃ、という経緯です;
さて昨日求めたスメタナSQの「死と乙女」がすっかり気に入ってしまいました。この作品は全曲、まさに死神が忍び寄るようなオカルティックな趣ですので、クールな響き、ゾクっとくる鋭さがあってよいと思いますが、スメタナSQはぴたりツボを得た印象。録音は地元、岐阜市民会館でのライヴ、1978年DENONのPCM録音で、音場の広がりは左右いっぱいではなく、ちょうどホールの中央席で聴くような感じ、近すぎず遠すぎず、いつもながらPCMの清涼なナチュラル・サウンドがいい。MCカートリッジで聴けばそれに応える音質です。

スメタナSQ sch

第一楽章から適度に快速ぎみ、各声部の小刻みな動きを緻密に聴かせ、クールに澄んだvl、深々としたvc、そして力強いトゥッティが深い淵に引き込んでいく、提示部で圧倒され、展開部、また再現部とゾクゾクの連続;
第二楽章、陰鬱な歌曲からの主題と6つの変奏、シューベルトらしい和声進行、vcが主旋律を弾き、vlがオブリガートを弾く、続いて全楽器による激しい変奏・・静寂と熱気が入り混じる見事な変奏楽章。
第三楽章、魔性の者の踊りのようなスケルツォ、短いが切れ味抜群の魅力、中間部ではしばしの安らぎ。
終楽章、ここも急速で死神が迫りくるような小刻みな主題、推進力とともに各声部のシンフォニックな交わりも見事、テンポを速めた終結部がさらに熱気をおびる。スメタナSQは大味を付けず緻密なアンサンブルでかっちりと決める。

category: シューベルト

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カラヤン&VPO:ベートーヴェン交響曲No.7   

連休はどうにか心地良い天気のようです。台風26号の進路がやや気になりますが (気象庁:予報図) 連休中さえ好天なら、あとは野となれ・・です^^
今日は岐阜の中古ショップへ、何か1枚でもよいLPがあれば、と覗きました、結果、以下の3枚。
10-13 lp
上左、カラヤン指揮、VPO ベートーヴェン交響曲No.7
上右、カラヤン指揮、BPO メンデルスゾーン交響曲No.3「スコットランド」
下、スメタナSQ、シューベルトSQ No.14「死と乙女」他
 

再生歴が少しでもあれば、レーベルの穴の周囲にターンテーブルのセンター軸と擦れ合った痕跡が残りますが、今日の2枚にはその痕がなく盤面もきれい、新古盤のようです。もう1枚にはしっかり痕跡がありましたが問題なし、何気なく購入した3枚とも良好盤で、"歯ブラシ"の出番なしでした。

まずは英デッカ1959年のHi-Fi録音も楽しみなカラヤン&VPOのベートーヴェン交響曲No.7から聴きました。後年のBPOとの演奏よりも良いとする声が多いのもわかる気がする。テンポは快速だが程々、カラヤンは覇気にあふれ、VPOの合奏はBPOも真っ青なほど決めている。またフルトヴェングラー時代の表現法もちらほら感じる。'83年のBPOとのカラヤン色を強めた演奏にはないこの時期のスーパー指揮者らしい完成した魅力があります。
カラヤン be sym7
カラヤン指揮、VPO ベートーヴェン交響曲No.7  英デッカ1959年

第一楽章、序奏の開始音はガツンと短く、ウィンナobがツーと尾を引く、この印象が後年の演奏と違う、主部は快速だが速すぎない、展開部ではピアニッシモをぐっと弱めクレシェンドが効く、全般に緻密な演奏設定で構成感もきっちり、引き付けられる。
第二楽章、アレグレットらしいテンポだが、後年のように過度にレガートではないのがいい、自然に受け入れられる。
第三楽章、快速に始めるがトリオ部分では十分緩め、対比をつける、またこの楽章でも強弱幅を大きくつける、が最強音は終楽章に取って置く。
終楽章、ここはさすがに速い魅力で始めるが、他に例がないほどではなく程よい、ほんとに急速感でキレまくるのは終結部に向けてである。第三楽章まで控えていたエネルギーが炸裂して終わる。

category: ベートーヴェン

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M.アンドレ:ハイドン トランペット協奏曲 総集編  

無理に総集編にすることはないですが;
クラシックを聴き始めた頃から、トランペットで魅了してくれたモーリス・アンドレ、ハイドンのtp協奏曲の録音は私の知る範囲で以下のとおりです。

アンドレ hay 2
左、1960年頃、J.F.パイヤール&室内O(エラート)(未聴)
セッション録音としては最初のものでしょうから、これもぜひ聴きたいです。
右、1966年、H.シュタットルマイア&ミュンヘン室内O(アルヒーフ) LP
一昨日取り上げたところ。演奏の完成度とアルヒーフの録音がすばらしい。

アンドレ hay 3
左、1971年、T.グシュルバウアー&バンベルクSO(エラート) CD
tpソロは前録音の延長戦のようですがバンベルク響の大編成をバックにアンドレもスケールを大きくしたような響き、室内オケだけじゃなく、こういう録音もほしかったところです。
表紙写真は後年のものですね。
右、1977年、J.L.コボス&ロンドン・フィルハーモニーO(EMI) LP
この演奏からアンドレは新天地を開いた様子、テンポはゆったり、のちにハイドン交響曲の名演を録音するコボスの充実したオケにアンドレの一歩控えた落ち着いた響きによるデリケートな表現が重なる。

アンドレ hay 4
左、1984年、R.ムーティ&フィルハーモニアO(EMI) CD
ムーティ流のややレガートなハイドンが颯爽と演奏されるなか、アンドレが逆に寄り添って吹いているようなゆとりを感じる。
右、1994年、J.ローラ&フランツ・リスト室内O(EMI) CD
まず、バックが素晴らしい、アンドレは円熟の極致でしょう、第二楽章のtpの響きにはハッとさせられ、じーんとくる。

平均して6、7年間隔で録音されていますが、このほかにセッション録音はあるでしょうか?

category: F.J.ハイドン

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M.アンドレ:ハイドン トランペット協奏曲(アルヒーフ盤)  

モーリス・アンドレはハイドンのtp協奏曲をライフワークのように数年置きに様々な指揮者&オケと録音を残しています。手元にはほぼ揃っていますがパイヤール盤だけがまだありません^^;アンドレのハイドンは何枚かレビューしましたが、今日あらためて聴くのはシュタットルマイアと共演したアルヒーフのLP盤です。オーソドックスゆえに気づきませんでしたが、あらためて聴き返してみると以前ハイドン音盤倉庫のDaisyさんがレビューで評価されたとおり、これもトップにあげるべき一枚ですね。
アンドレ hay tp01
↓盤は厚手で反りなし、銀レーベルは完全光沢、盤そのものが逸品の意匠です^^
アンドレ hay tp02
A)
F.J.ハイドン トランペット協奏曲変ホ長調
M.ハイドン トランペット協奏曲ニ長調
B)
F.X.リヒター トランペット協奏曲ニ長調
J.M.モルター クラリネット協奏曲ト長調
ソロ モーリス・アンドレ:tp ほか
ハンス・シュタットルマイア:指揮、ミュンヘン室内O


1966年録音(アンドレ33歳)の演奏は若い時期のひとつの完成形のようです。
覇気にあふれ、コントロールされ尽くした安定した美しさで金管的魅力も十分聴かせる、緩抒楽章での比類ない柔らかさ、当時の絶好調の仕上げのような演奏です。そしてシュタットルマイア指揮ミュンヘン室内Oは抜群の合奏で格調高く、白銀のように高貴な弦楽の味わい、これ以上求めることはない、それがアルヒーフの水も漏らさぬ好録音で記録されています。D.グラモフォンから出たCD化されたサウンドも良好で申し分ないですが、初盤のアルヒーフLPでもぜひ聴きたいと取り寄せた次第。いつもながら銀のレーベルをターンテーブルに乗せると気分も引き締まる^^針を下ろすと一段としっとり滑らかな弦楽、輝くべき音は輝くサウンドは絶品、アルヒーフらしい無色透明の器に収めたような理想の録音です。評価は★★★★★とします^^
盤質は期待以上に良好で提供者に感謝したいほど。
その後アンドレは次のステップとして、J.L.コボス、ムーティ、J.ローラなどと新盤を録音し、ゆったりテンポに変り、tpの新たなアプローチを聴かせていきます、共演する指揮者&オケの美質も聴きどころですね。いずれもアンドレ各時期の完成形でどれが一番と単純に順位はつけられません。

category: F.J.ハイドン

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K.リステンパルト:バッハ 管弦楽組曲No.3 &4  

もう一度聴いてみたい、と頭に浮かんだLP盤がここ1年ほどの間に大方再入手できてしまいました。アナログ時代はとっくに終わっているのに・・あるもんですね^^今日は懐かしいコロムビアのパルナス1000シリーズで、カール・リステンパルト指揮、ザール室内Oのバッハ 管弦楽組曲No.3&4が届きました。もう40年以上前の盤でしょうか。
やはり、長い間再生されなかった盤特有のザリザリノイズが出ます、何やらしつこい付着物が溝に詰まっているようで、ベルベットクリーナーでは歯が立ちません。そこでスポンジに水と中性洗剤を含ませ盤に塗ります、毛先の細い歯ブラシ(デンター・システマ等)で溝に沿ってブラッシングしますが、
ブラシ
今まで①の要領でやっていましたが、これはやんわりと撫でる程度、そこで角度を変えて②のようにやっています。毛先に力が入り、汚れを突き出すのではないかと・・今日は念入りにやりました。水ですすいだら、すぐ拭き取ります。さて再生、ほとんどノイズ無音になりましたv

以前、リステンパルトの同演奏の復刻CDを求めましたが、完全にCD化失敗のもので、帯域バランスの復元を間違えたような、高域ばかりやかましく低音が出ないという、とても聴けないものでした。
リステンパルト bach suite b

今回届いたLPはもちろんそんなことはない、過去に聴いて保障済みです。やっと自然な音が聴けました;コントラバスがズンと出てくるv
リステンパルト bach suite
M.アンドレほか二人の奏者で3本のtpが鳴る華々しい曲ですが、tp音が歪むのは元からのようです、古い録音ゆえ仕方ない部分もあります、が弦楽の響きは滑らかで美しい。60年代の名演のひとつでしょう。
第3番の序曲、どっしりしたグラーヴェに続き、アレグロが快速で爽やか、次のアリアはザール室内Oの弦楽の美音。
リステンパルトの演奏で第4番がじつは昔から気に入っていて、グラーヴェに続くアレグロをずいぶんゆっくりめに演奏するのですが、それが悠然とした雰囲気でいいんです、そこにtpやtimpがスパっと入るところもいい。序曲は交響曲の第一楽章以上に重要、ここが良くないと始まりません。
バロックのトランペットがとにかく好きで、最も初期に買った懐かしいLPです。ヘンデルの「王宮の花火の音楽」もtpが派手に鳴って好きでした^^

category: J.S.バッハ

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ミヒャエル・ハイドン:トランペット協奏曲d-dur アンドレvsシェルバウム  

懲りずにトランペットを続けます。昔も今もトランペットの上手い演奏というのは人を引き付けてやまないものですね。
今日は弟ハイドンのミヒャエルの作品、トランペット協奏曲ニ長調。L.モーツァルトのニ長調と同じくらい好きな曲ですが、聴きどころは第一楽章アダージョ、音階を徐々に上り、「3点イ音」という超難度の高音を吹くところ。聴く側も緊張します;第二楽章アレグロは緊張を解くように明るく楽しい、ここでもtpの魅力を聴かせます。
ミヒャエル・ハイドンの活躍したザルツブルクにはアンドレアス・シャハトナーというtpの名人がいて恐らくこの人が演奏したものと思われます。この頃のtp奏者はtpの演奏のみで雇われることはなく、他の楽器も兼務できるのが条件だったそうで、シャハトナーはvlも弾いたそうです。

初めにM.アンドレの演奏を2枚、
アンドレ m hay tp
左は1966年、H.シュタットルマイア指揮、ミュンヘン室内Oとの演奏、難所の音はさすがにアンドレといえど難しそうで、ちょい乱れます。
参考動画: M.André, M.Haydn Concerto in D major
しかし、演奏全体はじつに美しいもので安定した美音は他に例がないでしょう。シュタットルマイア&ミュンヘン室内Oも非常に美しい。
右のもう一枚はブダペスト・フランツ・リスト室内Oとの共演、1978年、こちらのバックもさすが美しいですが、例の難所は、難しそうだけど決めている!演奏全体はアルヒーフ原盤のシュタットルマイア盤が好きですけどね。

さて、この難曲を最初に録音したのは、おそらくA.シェルバウムではないでしょうか、昨日レビューしたLPに入っています。
シェルバウム m hau tp
tpを絹の感触のように吹いてしまうアンドレの超人技とは異なり、シェルバウムはtpらしい、ある意味ほっとしますが、名演に変わりはないです。難所の音は・・どうにか決めている;シェルバウムは兄ハイドンの変ホ長調よりこちらが得意かもしれません^^バックのK.リステンパルト&ザール室内Oも美しい弦楽で支えます。

ちなみにW.マルサリスはどうでしょう
参考動画: Wynton Marsalis: Michael Haydn - Trumpet Concerto in D major
ばっちり決めているv

古楽器tpの演奏も
参考動画: Michael Haydn - Trumpet Concerto in D Major; Brian Shaw, Baroque
ピッチが低い分だけ有利かも?

トランペットはマウスピースの大きさや形状で音の出しやすさが変るそうですが、とにかく唇が目的の音に振動しなければ音は出ない、難しさは昔から変らないものと思います。

category: その他・古典派

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ハイドン トランペット協奏曲 A.シェルバウム vs A.ハーセス  

べつに"vs"にすることはないですが;トランペット漬けがもう少し続きます。
先般レビューしたA.シェルバウムのハイドン、tp協奏曲のドーナツ盤(モノラル)ですがマスター音源はステレオだったようで、LPも入手しました。ドーナツ盤のAM放送を聴くようなチープな音に対し、こちらはD.Gらしい好録音で聴けます、盤質も良好。
シェルバウム hay tp con
ハイドン トランペット協奏曲変ホ長調
アドルフ・シェルバウム:tp
クリストフ・ステップ指揮:北ドイツ放送交響楽団
1959年 D.グラモフォン


クリストフ・ステップ指揮のNDR(北ドイツ放送SO)は第一楽章前奏から、ドイツ的なかっちり引き締まった演奏、テンポは標準的でじつに心地良い。シェルバウムのtpはバロック期の作品における簡潔明朗な表現とは違い、金管的な響きを控え、古典派協奏曲の豊かな表現を目指しているようです。第二楽章では一段と木管的な柔らかな響き、終楽章では快活に、ここでtpらしい輝きを楽しませる。シェルバウム以前にもハイドンtp協奏曲の録音はありましたが、ステレオ期に入ってからの最初の名盤はこれでしょうね。

もう一枚、CDでアドルフ・ハーセスの演奏も聴きました。昨年のアンドレに続いて今年4月にはハーセスも亡くなり、大御所2人が逝ってしまいました。ハーセスはシカゴ響の首席奏者を53年も務めたアメリカtp界の神様的な人ですね。
ハーセス hay tp con
オムニバス盤より
ハイドン トランペット協奏曲変ホ長調
アドルフ・ハーセス:tp
クラウディオ・アバド:指揮、シカゴ交響楽団


アバド指揮するシカゴ響はNDRと比べるとやはりアメリカ的、第一楽章からどっしり重量感で迫ってきますが、しなやかな弦や木管の響きから、一流の上手さは伝わってきます。ハーセスのtpには体格の良さみたいなものを感じる、滑らかな光沢と持久力のある安定したパワー、いかにもシカゴ響の中で活躍してきたようなボリューム感でソロを聴かせる、第二楽章はゆったりビブラートが目立ち、ここはシェルバウムを思わせる、バックのフルートや弦も同質の演奏で温もりのある第二楽章、さすが同オケ奏者の息が合います。終楽章は力強く健康的に閉じます。このような体格のよいハイドンもいいです。

シェルバウム&ハーセス
A.シェルバウムとA.ハーセス
両アドルフは共に91歳の生涯でした。

category: F.J.ハイドン

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バウムガルトナー:バッハ ブランデンブルク協奏曲No.2ほか  

トランペット関連を続けます、今日はルドルフ・バウムガルトナー指揮、ルツェルン祝祭弦楽合奏団とソリストによるブランデンブルク協奏曲です。'60年代初頭あたりは第一期バロック復興でステレオ録音もすっかり向上し、多くの録音が残されました。ブランデンブルク協奏曲の録音でまず問題なのが第2番、tpを吹ける人がいないということですね。バッハがこの超難曲を書いたのは吹ける人がいたからでしょうが、当時ライプツィヒにはゴットフリート・ライヒェというtpの超名人がいたそうです。
ライヒェ
ゴットフリート・ライヒェ 1667-1734  

第2番で使うのはこの絵のようなホルン型が有利らしいです。第2番を初演したのはライヒェか?不明ですが、当時のtp奏者組合(ギルド)のレベルは高かったんでしょうね。たぶんその後第2番が演奏されることはなかったでしょう。バロック復興の20世紀になって始めて第2番のtpを再演したのが、アドルフ・シェルバウムだそうです、アンドレやティボーが登場するまで、第2番を吹けるのはシェルバウムただ一人、ということで第2番の演奏のために駆け回ったそうです。当然、録音も多種ある。
アンドレ、シェルバウム
アンドレ、シェルバウムのツーショット、いい写真です

さて、バウムガルトナー指揮のブランデンブルク協奏曲第2番、テンポ設定は標準的、演奏に特異性を発するところはないですが、きわめて堅実な好演かと思います。
ブランデンブルク ルツェルン
指揮とvl:ルドルフ・バウムガルトナー、tp:アドルフ・シェルバウム、ob:ヘルムート・ヴィンシャーマン、
rec:ハンス・マルティン・リンデ、fl:オーレル・ニコレ、cem:ラルフ・カークパトリック
ルツェルン祝祭弦楽合奏団、1959~1960年録音


バウムガルトナーはvlをW.シュナイダーハンに師事、ここでもソロを弾いていますが、大味にせず控え目で堅実、ヴィンシャーマンのobはさすが味わい深い、リンデのrecはいつもながら冴える、そしてシェルバウムのtpが好調、決めるべき音を決めます。原盤アルヒーフらしい録音で各ソロが明瞭に聴けます。
第3番は落ち着いたテンポ、当時としては標準的でしょう、弦奏者各々の音がピンポイントで捉えたように浮き立ち、運弓の味わいがくっきり、一歩踏み込んだような聴かせ方です。
第5番はチェンバロがラルフ・カークパトリック、カデンツァのソロもインテンポでかっちり演奏します。バウムガルトナーのvl、ニコレのflの質の一体化したアンサンブルも良い。

category: J.S.バッハ

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P.ティボー:ハイドン トランペット協奏曲ほか(D.G盤)  

ピエール・ティボーのtp協奏曲集Ⅰ(D.G盤)です。執念でアンテナを張っていたらやっと見つかりました^^v、昔、安もんの卓上ステレオしかなかった頃に聴いても素晴らしい音響で、演奏の美しさに魅了され、再度手にしたかった盤です。ジャケットはだいぶ草臥れ、盤も埃だらけ、例によって洗剤洗い、デンターシステマのブラッシング方法をいつもと変えてやってみたら、見事ノイズは少ない状態にできました。ほぼ問題なく再生できます。
指揮のオットー・ゲルデスはD.Gのプロデューサーでもあります。録音はG.ヘルマンス、透明感のあるHi-Fiサウンドに仕上げています。

ティボー hay tp
A)
G.トレッリ、トランペット協奏曲ニ長調
J.ハイドン、トランペット協奏曲変ホ長調Hob.Ⅶe:1
B)
G.P.テレマン、トランペット協奏曲ニ長調
L.モーツァルト、トランペット協奏曲ニ長調
ピエール・ティボー:tp
オットー・ゲルデス:指揮、バンベルクSO
1970年録音 D.グラモフォン


日本で手に入る範囲では?録音物が極端に少ないP.ティボーですが、魅力はtpの高貴な輝き、最高音域まで乱れのない透明な美しさでしょうか。
さて、ハイドンから、
第一楽章はわりと快速(近年では普通くらい)、バンベルク響のあまり重くない溌剌とした前奏で始まる、ティボーの安定した技で、前述どおり美音のtpが魅了していく、キレ味よく、サクサク進める。M.アンドレのゆったり、柔らかな演奏とは対照的な美質と言えましょう。カデンツァはティボーによるもの、高域の演奏を含め曲中のテーマをバランスよく織り込んでいる。
第二楽章、アンダンテらしくリズム感も出す、バンベルク響のバックは涼やか、tpは弱音ながらティボーらしい美音を保ち、木管的なカンタービレな演奏と言うより淡麗な味わい。
第三楽章、快調なテンポ、バンベルク響のバックもよく整い心地よい始まり、tpも技巧的になるがパッセージも見事に決め、完成度の高い演奏で締めくくる。
カップリングされた他の曲も聴いてみましょう、
テレマンのトランペット協奏曲ニ長調がまた絶品、高域を使うバロック期作品の魅力をティボーのtpが堪能させる、そしてtpが休みの第三楽章もいいんですね、バンベルク響はバロック演奏にも長けていて美しいサウンド、編成が大きめで爽快な弦楽が、小編成のバロック合奏団には聴けない深みを聴かせる、終楽章、tpは最高域を長く響かせて痛快に閉じる。
L.モーツァルトも同様にとても美しい。当盤も★★★★★です。
先般のピエール・ティボー:tp協奏曲第Ⅱ集と合わせ、名盤が揃いました。縁があれば、次はヘルート・シュナイドヴィントなど狙ってみたいです。

category: F.J.ハイドン

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