Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話題など

R.ゲーベル:管弦楽組曲No.3&No.4  

ラインハルト・ゲーベル、ムジカ・アンテクヮ・ケルンと言えば過激な表現、とか評されがちですが、あくまで古楽奏法の美を極限ま追求した結果と思います。
今日はバッハの管弦楽組曲のNo.3とNo.4、同じ編成ながらタイプの異なる魅力ですね。聴けばもちろんゲーベルらしい演奏ですが、現時点ではこれが一番と言えるほどいいです。全パート1人ずつの編成、アルヒーフの録音はややオフマイク的で、鮮明でありながらさらりと口溶けのよい感覚のソフトなサウンドに仕上がっています。

ゲーベル bach suites
1985年 アルヒーフ

第3番 序曲のグラーヴェ、二重付点のリズム切れ味よく、F.インマー率いる3人のバロックtpは室内的奏法で柔らか、本革を張ったtimpはさほど強打せずとも瞬発力のある心地よい鳴り方で、始まりから引き付ける。アレグロに入るととても速いが、弦やobが柔軟な感覚を失わず常にしなやか、小忙しくなく速いテンポの快感に引き込む。各パート1人ずつならではの装飾演奏が入る。2曲目のアリアが絶品、チェンバロの和音を開始に無から立ち上がるしなやかなvl、弱奏の中での繊細な強弱、まさに即興的な装飾音、透明な美音で埋め尽くされるアリア。これを聴いたらG線だけで弾く編曲なんて滑稽なお遊びに過ぎない。ガボット、ブーレ、ジーグいずれも重い響きはなくtpとtimpのダイナミクスは心地よい瞬発力となって各曲のリズムの快感を聴かせる。
第4番も序曲の開始は清涼な弦の響きに対し、timpのやや濁った粗野な響きが生っぽく力があって味わい深い、アレグロは一貫したリズム・パターンをやんわりとした基調で進むが弦がリズムを切り込みよく強調したり、tpとtimpがズバっと打ち込んでくる変化がじつに良い、飽きさせない演奏。続く各舞曲もそれぞれの魅力を引き立てる、終曲のレジュイサンスはリズム的面白さの傑作だが、ゲーベルはまさに期待どおりの快演を聴かせてくれる。
聴き心地良いサウンドながら、古楽器ならではの天然材的な響きもよく捉えた好録音です。

category: J.S.バッハ

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エクルンド:バロック・トランペットの技巧 第4集  

久しぶりのNAXOS盤ですが、最初aさんに注文したところ、入荷が伸び伸びになり、ついに受注キャンセルの通知がありました;そこでTさんに注文してみたら、すんなり入荷して届いた!そういえば過去にもTさんなら入荷しにくい盤も届いていた記憶、レコード専門筋のほうが流通ルートが良いのかな?
というわけで、今回はバロック・トランペットのニクラス・エクルンドの第4集です。収録曲はバロック後期から前期古典派あたりですね、ナチュラル・トランペットの名手が活躍した時代、この頃の明快な音楽様式はtpにぴったり、高音域での魅力を存分に聴けます。
とにかく、ベートーヴェンやブラームスみたいに難しいこと考えず、夢心地で楽しく聴ける音の宝石箱です^^vエクルンドはふらつきのない安定した美音、アンドレ並みの演奏をバロック・トランペットで実現します。ドロットニングホルム・バロック・アンサンブルもいつもどおり冴えわたっている。

エクルンド tp4
1997年録音 バロック・トランペット:ニクラス・エクルンド
N=E.スパルブ&E.H.タール指揮、ドロットニングホルム・バロック・アンサンブル

*ナチュラル・トランペットと書いたときは歴史的古楽器(管に何も仕掛けがないもの)を差し、バロック・トランペットと書いたときは音程補正穴を設けた現代仕様の古楽器?を差します、エクルンドが使用するのは後者です。

1. J.A.グロス(1701-1783)tp協奏曲 d-dur
未知の作曲家ですが、tpの好作品、短い3楽章で前古典派らしい美しい旋律で、跳躍した高音やトリルがエクルンドは見事。
2. M.ハイドン(1737-1806) tp協奏曲No.2 c-dur
アンドレが録音しているのは第1番だが、これは第2番、同様に最高域の音を要求される。弦にflが2本入ったバック、さすが弟ハイドンの旋律美、第一楽章アダージョでもリズムに節目を入れる、tpの最高音はもう少し難しそうにスリル感があってもよさそうだが、エクルンドは滑らかそのもの^^、第二楽章、明るく活気に満ちた表情をくっきり引き立てて演奏。これもtpの名曲ですね。
3. J.M.モルター(1696-1765) tp協奏曲No.2 d-dur
三つの楽章だが短調に転じた第二楽章アダージョが聴きどころ、tp協奏曲としては意外に繊細で深い憂いに満ちた楽章でやや長い、ソロは長く滑らかなトリルで始まるがエクルンドは見事に決め、終始滑らかな美音。続く終楽章が簡潔ながらフーガ的に始まり充実した閉じかた。
4. J.W.ヘルテル(1727-1789) tp&ob協奏曲 e♭-dur
この曲はtpとobの二重協奏曲、バロックobは室内のトランペットと呼ばれていたほど、その響きには近似性がある、もちろんtpも室内的に吹かれる、2つの楽器ソロが同時に開始する響きはtpが2本かと錯覚する、バロックobはウルフ・ビュレンヘード、エクルンドと息ぴったりの演奏で、今どっちが吹いているのか一瞬わからないほど質の揃った響きで和声も美しい、なお第二楽章ではobのみとなる。終楽章は再びtpとobの溶け合い。
5. G.P.テレマン(1681-1767) tp協奏曲No.2 d-dur
同じニ長調のお馴染みの曲とは別の第2番、同じく緩急緩急の4楽章でちょっと長め。バックは弦楽でなく、オーボエ、ファゴットで編成され、管楽アンサンブルの響きで聴かせる。チェンバロの通奏低音が唯一の弦。tpがソロをとるがobもソロを助奏する主要パートです。(っていうか旋律に制約のあるナチュラルtpの協奏曲は皆そんな書かれ方で、ほぼ自由に旋律を吹けるようになったのはA.ヴァイディンガーがキーtpを開発してからです。)テレマンらしい快活な魅力を存分に聴かせる。
6. G.F.ヘンデル(1685-1759) 歌劇「アタランタ」序曲
このヘンデルの序曲は、アンダンテ、ヴィヴァーチェ、アンダンテと3つの楽章が表示されていますが、アンダンテはフランス序曲の付点のグラーヴェで次のフーガ風ヴィヴァーチェへ繋げて演奏されます、どこかで聴いた感じ・・テレマンのターフェル・ムジーク第2集の第1曲、tpの入る序曲とあちこちが似ている、思えばヘンデルはテレマンの曲をそのまま借用している作品もありますね。
しかし、バロック・トランペットというのは技術は難しいでしょうが天使の楽器と言うべき魅力ですv

category: ルネサンス・バロック

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F.フリッチャイ盤、6点セット  

ついにセット売りに手を出してしまいました;ほしいと思っていたフェレンツ・フリッチャイのJ.シュトラウス名曲集の同録音が2枚!スペア付きで入った気の効いたセットです^^v
この6点(盤数7枚)を870円でゲット。盤質はいずれも問題なく、内袋から出すとパっと静電気を帯び、空中の埃を吸いつける新盤状態のものもありました、フリッチャイ盤に今でもこんな出物があるんですね。

フリッチャイ01
左、ベートーヴェン交響曲第9番「合唱」BPOほか
右、コダーイ組曲「ハーリ・ヤーノシュ」ほか BRSO


ベートーヴェンの第九をLP盤1枚に詰め込んだものはあまり好きじゃないので、手を出さなかったのですが、これはカッティング技の妙と言いますか、なかなか充実したサウンドで収まっています、ダイナミックレンジは復刻CDのほうが勝りますが、これはこれでじっくり聴きたいと思わせます。第三楽章は途中で切れます:

フリッチャイ02
左、モーツァルト歌劇「後宮からの誘拐」全曲 BRSOほか
右、モーツァルト大ミサ曲ハ短調K.427 BRSOほか


モーツァルトの歌劇「後宮からの誘拐」は1963年の録音ですが、モノラル録音というのに驚く、それでも音質は好調のD.Gサウンド、これほど満足感のあるモノラル録音というのは初めてです。思えば映像のないオペラを音だけ聴くのですから、ステレオにする必要もない、むしろモノラル音に集中したほうが想像力も膨らむ感じです。兼価盤ながら、ジャケットには解説も訳文もしっかり付いた立派なものです。フリッチャイはオペラ指揮者に徹し、序曲からかっちり整った演奏で進める、K.ベームかと思わせます^^
大ミサ曲はヘリオドール盤をすでに持っていますが、これは新盤状態のD.Gスペシャル盤、絶好の予備盤です。

フリッチャイ03
左、J.シュトラウス名曲集 BRSO(ヘリオドール盤)
右、同録音(D.Gスペシャル盤)


さて、お目当てだったJ.シュトラウス、D.Gフランスの復刻CDも素晴らしく、過去にもレビューしましたが、今回のLPは期待どおり、懐深い低音、滑らかなvl群、くっきり鮮やかな木管、豪快なブラス、シャキっと立ったパーカッション、CDよりも一歩踏み込んだ味わいが針を下ろした瞬間、聴かれる。フリッチャイの録音にはD.Gのスタッフは特別の思い入れがあるかのように?名録音が多いんですね。
フリッチャイは一曲目「こうもり」序曲からシンフォニー指揮者の手腕で圧倒する、アンネン・ポルカのこれほど重厚な演奏は他にない、ワルツではvl群がポルタメントを効かし、J.シュトラウスの洒落っ気もたっぷり聴かせつつ、第一級の管弦楽に仕上げる、ラデツキー行進曲は一流の吹奏楽に弦が加わったような豪快なサウンド、バス・ドラムの音圧が押し出す、こんなラデツキーも他で聴いたことないです。トリッチ・トラッチ・ポルカも切れ味痛快、最後の「ウィーンの森の物語」のツィターは奏者不明だが名演で、撥弦楽器をやる者にとって共通の歌わせ方の妙技を教えられるようでもある。録音もツィターのサイズ感をよく表している。
病と闘いながら振ったとは思えないフリッチャイの見事なJ.シュトラウスは、LPでもCDでもお薦め盤ですね、ボスコフスキーも、ベームも、カラヤンも真っ青でしょう^^

category: オーディオ

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O.スウィトナー:モーツァルト交響曲「パリ」「ハフナー」  

今日は"再入手LP"ではなく、以前から持っていたものです。当ブログの初期に取り上げた、オットマール・スウィトナー指揮、モーツァルト交響曲2枚組のセラフィム盤をあらためて聴いたところ、「パリ」「ハフナー」がじつに良いので再度書きます。スウィトナーはまあ大抵の曲は標準的テンポなんですが、当盤の31番、35番はとても速いのが意外です、ターンテーブルの回転数を間違えたのかと思うほど、シュターツカペレ・ドレスデンの演奏もびしっと決まりちょっと他では聴けない快演、スウィトナーが同じSKDを振った29番の大らかさとはえらい違いです。録音データはなく、60年代前半かと思われます。

スイトナー mo 31 35

31番「パリ」第一楽章は総奏で元気よく開始、響きは低弦がたっぷり、vl群がすっきり、スウィトナーらしい一貫した涼しげな音作りです、しかし切れ込みの鋭さが徹底している、速いテンポでモーツァルトの小回りな旋律を細かな直線が組み合わさったような表現できっちりと決める。木管や低音がゆったりカノンを奏でる間、vl群が奏でるトレモロがきりっと立って、背筋が伸びるような心地よい時間が流れる。展開部は見事だが再現部が一段と聴きどころに書かれている。終結部はモーツァルトらしく冗長で大袈裟だが、スウィトナーの手にかかると、クドさが消えてすっきり聴かせて閉じる。第二楽章も淡々と聴かせるのが良い。終楽章は速いというほどのテンポは取らず、ポリフォニックな聴かせどころを丹念に演奏する。

35番「ハフナー」この第一楽章がまた速いが、これにはハマる;珍しく提示部が反復される演奏だが、そうしないとすぐ終わってしまうでしょう。「パリ」と同様、細かい音符を緻密に決めながら、拍を大きく捉えたように聴かせて行く、入れ籠のような見事な構造に感じる、timpの打音がくっきり心地よく、折り目を付けていく。第二楽章はさらりと涼やかに。メヌエットはゆっくりめのテンポだが、テヌートでくっきりとリズムを立てて引き締める。終楽章、強弱の対比を大きくとって緊迫感をもって進める。これも究極の表現の一つと言えるでしょう。

モーツァルトの甘く情緒的な演奏はすぐに飽きるが、K.ベームの骨太の演奏、あるいは手法は違うが当盤のスウィトナーの演奏なら何度でも聴きたいと思えます。

category: モーツァルト

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プログレッシブ・ロック  

うちの息子がLP盤を集めだしたのは、60~70年代のプログレッシブ・ロックというジャンルにはまったのが原因のようです。私にはこのへんの音楽の分類はさっぱりわかりませんが、

pink floud
ピンク・フロイド WISH YOU

このジャンルの人気LPはやたら高価な値が付くんですね;オークションでも競争者が現れない私のクラシックLPなどかわいいもんです。このジャンルもCD化されたものは、何だか音が窮屈で、LPで初めて本来の音が聴けるとのこと。昨日はLP数枚もって帰省し、MCカートリッジで聴きたいというので、一緒に聴いてみました。今まで聴こえなかった音が聴こえると言う・・確かにこれも音響にはこだわりたくなる気がします。どうやら職場にもLP好きの人がいるらしく、カートリッジならこれだよ、と言い含められたようで、

spu classic g mk2 
SPU Classic G MkII

私でさえ持ってないのになんちゅーことを・・(笑)当面は安い中古盤をぼちぼち集めるのが先でしょと言い含めました。

category: ポップス・etc

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クーベリック:ベートーヴェン交響曲第8番  

ベートーヴェンの交響曲第8番はリズム的魅力など第7番との双生児的な要素ももち、これまでにないユニークさもあり、小規模ながら充実しています。ティンパニの調律をオクターブにして、全曲に打音を多用しているのも特長です。ベートーヴェン自身「小さい方」と言って愛着をもっていたそうで。
今日はラファエル・クーベリックのベートーヴェン交響曲全集より第8番、オケはクリーヴランドOを起用しています、これも合いそうな気がする。全体にズバっと切れ味よく威勢の良い演奏で曲の特長を小気味よく決めます。

クーベリック be sym8
1975年 録音

第一楽章、3/4拍子、快速なテンポでエネルギッシュに始める、ティンパニの打ちどころが1拍目だったり、アウフタクトだったり、変化するのが面白く、きっぱりとダイナミックスを打ち出して聴かせる。ヘミオラでリズムをとった展開部、終結部のぐいぐい踏み込むような力強さ、圧縮された充実感、そこはクリーヴランドOの弦が爽快に響いて暑苦しくならないのがいい、すっきりクールダウンして終わる。
第二楽章、スケルツァンド、有名な愉快な主題、適切なテンポで軽やか心地よい。ベートーヴェンらしく単なる軽い楽章としては終わらせない。鋭いトレモロは力強く決める。
第三楽章、実質、第二楽章がスケルツォに代わる位置づけなので、この楽章は典雅なメヌエットを置くのが効果的でしょう、しかしハイドン時代のものとはだいぶ違う、ここもティンパニによるアクセントが印象的に多用される。トリオは木管中心で長閑、ロマン派的な印象も感じる。
終楽章、ロンド風ソナタ形式だが厳密な形ではない、ティンパニとファゴットのオクターブ跳躍などユニークな工夫に溢れる。ポリフォニックな展開部以後が見事、やはり短かい中に凝縮された聴かせどころがいい、終結のしかたは第5番的だが、この曲では身構えた感じはなく、スッパリと終わる感じ。
クーベリックは全曲じつに溌剌と進めながら、折り目正しく整える。
やはりこのLPも復刻CDに対し、音に太さがあり、弦のしっとり感が良いです。

category: ベートーヴェン

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A.ヴェンツィンガー:バッハ ブランデンブルク協奏曲 LP  

さて今回はアウグスト・ヴェンツィンガー指揮、バーゼル・スコラ・カントルムのブランデンブルクconです。レオンハルト盤よりさらに四半世紀ほど前の録音でしょう。
ヘリドール盤から、よくこんな古い録音が出たもんだと思います。昔は第2巻だけ持っていましたが、1950年代初頭、アルヒーフの初期盤で出た記念碑的な録音でもあるようです。勿論モノラルで音質もさすがに古いです^^;

ヴェンツィンガー bach bra

奏者の顔ぶれはvcとガンバ奏者で指揮のA.ヴェンツィンガー、レオンハルトの師であるチェンバロのエドゥアルト・ミュラー、リコーダーのグスタフ・シェック、フルートはヨーゼフ・ボップ、オーボエはヘルムート・ヴィンシャーマンの名があります。古楽専門の大学バーゼル・スコラ・カントルムを創設、教鞭をとった人達。バーゼル・スコラ・カントルム合奏団というのは常設の合奏団ではなく、レコーディングや演奏会のたびに結成しているそうです。古楽復興の黎明期ですから、すべてが完璧とはいっていないし、楽器のデータもありません。一部現代仕様の楽器もまじえているようですが、一応ピッチはA=415Hzのバロック・ピッチで聴こえてきます。チェンバロはモダン・チェンバロに聴こえますが、vl属の弦楽器はレオンハルト盤と共通の倍音が歪み混じりにキンキン響きます。編集などしていない一発勝負的な録音はありのままが伝わってきて、やはり熱気というものを感じます。こういう感覚は最新録音では味わえません。
いずれの曲もテンポは今聴いても標準的に感じるが、歴史研究に殆ど無頓着だった第一期バロック・ブームの数多の演奏とは一味ちがう。
第1番ではメヌエットの真ん中に置いたポラッカで活発なリズムに変えるところがさすがと思わせる。
第2番のtp奏者はアダム・ツェーヤー、楽器の仕様は不明だがA.シェルバウムの前に吹いている人がいるわけです、あまり上手いとは言えませんが、そこそこ健闘しています。
第3番は弦楽だけなので少し録音に有利なようで、詳細に聴けます、古楽器のvl属の響きが古い録音なりに伝わってくるし、熱気を感じる演奏です。
第4番は終楽章が意外に堂々として痛快。
第5番のフルートはヨーゼフ・ボップ、明らかにトラヴェルソの響きだが、この時代よくあった細かく震えるヴィヴラートがどうも好みじゃない;チェンバロのE.ミュラーは見事。
第6番、これも弦楽だけでしかも高音楽器がないので一番聴きやすい録音となり、雅びな味わい、が、ちょっと音程を外したような音も聴こえてくる。
以上、第3番が一番気合い入って聴けますが、この2枚も演奏史の足跡のようで興味深いです。

category: J.S.バッハ

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G.レオンハルト:バッハ ブランデンブルク協奏曲LP  

1990年代~2000年代のバロック演奏のCDを聴くと、情報量の多い優秀な録音ではありますが、実に耳当たりよく美化されすぎたサウンドとも感じます。先日入手したSEON(1976~1977年録音)のLP、レオンハルト&合奏団のブランデンブルクconを聴くと、逆にとても新鮮に聴こえます。ヴァイオリンの倍音がツーンと生っぽいし、オーボエ、チェンバロなどもピンポイントでくっきり聴こえ、コントラバス、ファゴットはゆったり深く、ホルンは空間に拡がる。リアルな映像が展開しているように聴こえます。復刻CDと聴き比べて・・ほとんど同じだとも言えるんですが、味覚で言う舌触りやスパイシーさがチョットだけLPが良く感じて聴き入ってしまう、そのチョットの違いが人間の贅沢な要求なのかも?

レオンハルト ブランデンブルク
1976~1977年録音 SEON

全曲、レオンハルトらしい指揮で、くっきりリズムを立てた演奏できりっと気分を引き締め、ブリュッヘン、クイケン兄弟、ビルスマといった古楽演奏の親方達は、もう完成といえる演奏で、まったく古いと感じさせません。

第1番、速いテンポは取りませんが、きりっと引き締まる、第二楽章のS.クイケンのピッコロvlが一筋の銀線のように引き立って味わい深い、またオーボエがクレシェンドの際に装飾ヴィヴラートを入れるところが効く。最後のメヌエットはゆっくりしたテンポですが、これが優雅。
第2番、クロード・リッパスの演奏するバロックtpの写真がありました、やはりクルクルと巻いたホルン型、途中に音程補正の穴があります。
バロックtp
F.インマーやエクルンドほど流麗ではないが見事決めています。第二楽章ではS.クイケンのvlとブリュッヘンのbfが聴きどころ。
第3番、弦楽だけになると、くっきりした当録音も手伝って一段と味わい深く、各奏者のデリケートな表現が聴かれる。終楽章は当時としては最速、今でも緊迫感を与える演奏です。
第4番、ここはS.クイケンの聴かせどころ、線は細いがバロックvlならではの味わいを初めて聴かせた演奏ですが、さすが第一人者、その後のプティット・バンドでの再演より良いかもしれない^^
第5番、その後は聴けないレオンハルト、S.クイケン、ブリュッヘンのトリオは貴重、レオンハルトのチェンバロが冴え渡る、ブリュッヘンのトラヴェルソが見事で、第一楽章の装飾ヴィヴラートは引き付ける。
第6番、ヴィオラ・ダ・ガンバの入った雅びなサウンド、これも当録音が各楽器の音をくっきり拾い分け、味わい深く飽きることはない。下手に残響を多く入れて和らげると気が抜けてしまうでしょう。

ブリュッヘンほか

その後数多の古楽団体によるブランデンブルクconが出ても、不動の価値を持ち続ける名盤だと思います。

category: J.S.バッハ

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R.クーベリック:ベートーヴェン交響曲第5番「運命」  

D.グラモフォン、LESONANCEシリーズのクーベリック:ベートーヴェン・シンフォニーは新古盤状態で次々手に入っちゃいます。クーベリックのベートーヴェン交響曲全集はCDも持っていましたが、低域にゆったりとした量感がなく、物足りなかったです。LPでやっと本来のバランスで聴けた、こうでなきゃ^^
2面に分けて第5のみ入れた余裕のカッティングです。ティンパニがどっしりとダイナミクスの芯を成し、総奏がぴたり着いてくる、豊かなコントラバス、そんな第5には不可欠な響きが全曲通して聴かれる。
第5のオケはボストン響を起用、クーベリックが各曲にそれぞれのオケを選んだ理由は書かれていませんが、なんとなくわかる気がします。

クーベリック be sym 5
ベートーヴェン交響曲第5番「運命」
ラファエル・クーベリック指揮、ボストン交響楽団
1973年 D.G ボストン


第一楽章、ゆっくりめでしょう、開始の動機にはフェルマータをあまりかけず、全体の様式感をきっちり表現するように、インテンポ感覚に進める、バランスの良いオケ・サウンドで魅了しながら、じりじりと熱気の中に引き込まれる。
第二楽章、2つの主題をもつ変奏曲、開始のチェロ群の響きが充実して美しいのが印象的、続く木管やvlも滑らかな美しさを聴かせる、後半ではブラスを豪快に鳴らし、第二楽章を雄大に印象づける。
第三楽章、あまり遅くせず、スケルツォの雰囲気をだす、コントラバス群はフリッチャイ&BPO盤のような地の底から響くような深さはないが、満足のサウンド、CDではイマイチ押し出し不足に感じた。
暗いトンネルを抜け最後の最後にクレシェンドがかかり、第四楽章への入り、ここも大きな溜めは置かず入るが、凄味は十分、第四楽章は輝かしくリズムの躍動感を強調する、ブラスやティンパニがダイナミクスの主軸となり、弦はしなやかな美音を大切に演奏、ゴツゴツした響きは聴かせない。終結の加速は息をのむがボストン響はきっちり合わせ、痛快な終わり。
クーベリックは熱気を帯びた作品の第5を冷静さも持ちながら、ツボを心得たオケ・サウンドと様式感、何度でも聴きたい見事な演奏設定でまとめています。

category: ベートーヴェン

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F.フリッチャイ:ベートーヴェン交響曲第5番「運命」LP  

A面には「運命」、B面には「未完成」というのがお定まりだった頃、2面に分けて「運命」が入っている本格的な兼価盤というのは珍しかったです。フリッチャイ指揮、BPOの「運命」、緑のジャケットのヘリオドール盤を再入手したく、探していたところ、なかなか無い、ふと眼に着いたのがこれ、二つ折りジャケットの国内盤があったとは知りませんでした、何時頃発売されたものでしょう?内容は緑ジャケットと同じ。

フリッチャイ be sym 5
ベートーヴェン 交響曲第5番「運命」
          「エグモント」序曲
フェレンツ・フリッチャイ指揮、ベルリン・フィルハーモニーO
1961年録音


幸い盤状態も良好、あらためて針を下ろすと、60年代初頭、D.グラモフォン最高の名録音だと思います。復刻CDも決して悪くないんですが、渋くしっとりした輝きのvl、ゆったりと深いコントラバス、滑らかな木管、すべてが音楽的に良い仕上がりの音で再生されます。
フリッチャイの第5番は全楽章ゆっくり、第一楽章、運命の動機から弦楽を丁寧に響かせる、一音ずつ噛みしめるように、じりじりと進展させ、がむしゃらに速い演奏とは違う引き付けかた。第二楽章も安息感で始め、時間をかけて引き込んでいく。第三楽章、ここでのコントラバスの響きが聴きどころ、これほど深く豊かに聴ける録音は他にない、終楽章への入りが素晴らしい、ティンパニがクレシェンドで連打するが、最後でぐっと速度を落とし、溜めを入れて息をのませる、終楽章の勝利宣言はじっくり輝かしく、さほど強奏ではないが、強奏に聴かせる。ブラスが透明感のある響きで痛快、白熱した中でも弦楽の味わいを魅力的に聴かせる、ゆっくり進めてきただけに最後の加速が効く。
次に「エグモント」序曲が入っていますが、これは数ある演奏の中で今でも最高にいいです。強弱とテンポの深い起伏、これほど引き付けられた演奏はほかにありません。内周にありながら歪みなく再生できるのも嬉しい、再入手できて本当に良かったv 

category: ベートーヴェン

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N.マリナー:ハイドン交響曲No.92「オックスフォード」  

C.デイヴィス盤とともに、フィリップスにはハイドンの名演、名録音が多い、先日求めたマリナー盤を聴いて思います。ジャケットの帯には例によってキャッチフレーズが、「フレッシュな現代的感性によるパパ・ハイドン」とはまさに。ハイドンのシンフォニーの真の魅力が聴けるようになった草分け的演奏でしょう。パっと目に止まり反射的に購入^^正解でした。特に「オックスフォード」の納得いく快演というのは意外にないんです。なんだか余計な音楽的手腕を投入して嫌味に聴こえる演奏が少なくない・・実直素朴な名演がいいんです。アカデミー室内Oのちょうどいい編成の響きと名手揃いのアンサンブル、フィリップスの各パートをしっかり捉えた見通しのよい録音、好条件が揃っています。

マリナー hay 92
ハイドン 交響曲第92番ト長調「オックスフォード」
      同第104番ニ長調「ロンドン」
ネヴィル・マリナー指揮、アカデミー室内O  1976年 フィリップス


第一楽章、アカデミー室内Oの美しい序奏から魅力的、主部は快速、属七和音の導入が小気味よく、トゥッティの力感はコントラバスとtimpがずっしりきて思い切りよく対比をつける、ここまで聴いただけで、いい、木管部と弦楽が対等で強奏部でも各パートが明瞭に聴き分けられる、この演奏で始めて聴こえたパートもある。展開部も見事に巧妙な構成を聴かせる。
第二楽章、アダージョ、カンタービレに始めるがアカデミー室内Oの弦楽は一流でさすが安っぽさがない、弱音で始め、短調の中間部はスパっと切り替え、力感を込めて切れ味よく迫る。
第三楽章、メヌエット(アレグレット)は程よく活気をつけ、歯切れよい。のったりとした重さがないのがいい。
終楽章は快速、アカデミー室内Oは一糸乱れぬアンサンブルでかっちり決める、無窮道的な終楽章の推移の心地良さを快調に聴かせて、スパっと終る。余計なものは何もない快演。
前時代の音の塊のようなオーケストラ音で聴かせていたハイドン演奏は聴きづらくなる;

category: F.J.ハイドン

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ルベン・シメオ:トランペット協奏曲集  

"M.アンドレの再来"と言われるトランペット奏者は次々出てきますが、1992年、スペイン生れのルベン・シメオは極めつけの天才のようです。父はトランペット教師、M.アンドレのマスター・クラスを受けて、その後只一人の弟子となり・・まあ輝かしい経歴はネット検索しましょう^^
当盤はシメオ2枚目のアルバム、かつてのハーデンベルガーやアントンセンに習い?早くもトランペット協奏曲の定番を惜しげもなく聴かせてくれます。録音時は16歳のはずですが、上手すぎる!さらに幸いなのは、バックが素晴らしいこと、指揮者のケン・シェは1980年、カナダ生れの東洋系、日本で研鑽を積んでいて経歴は略しますが、ひじょうに優れたセンスの指揮者と思います。オケはオーケストラ・アンサンブル金沢、バックは完全にピリオド・モードで、古典、バロック、それぞれの時代のスタイルで演奏します。今やこれが若手演奏家の普通の演奏姿勢かもしれません。録音もまた、very good!

シメオ tp con

1.ハイドン、tp協奏曲変ホ長調
第一楽章、前奏から見事、弦楽の滑らかな美しさに溌剌としたダイナミクス、ソロtpが柔らかく始める、音は滑らかな美音で安定しきり、完璧にコントロールされ、伸ばされる1音の強弱が表情豊か、カデンツァは前例がないほどテクニカルなもの、最高音の美しさにも魅了される。
第二楽章、師アンドレと同じく、ゆっくりのテンポ、オケはヴィヴラートを控えた涼しげな響き、tpは弱音を安定的に伸びやかに歌わせ、ほんとにフルートか声楽並みに聴かせる。
終楽章、落ち着いたテンポだが、オケは心地よい活気を持たせる、tpについては文句のつけようがない、音楽的デュナーミクをこれほどやってのけるとは;また程よくレガートにも聴かせる。
2.フンメル、tp協奏曲ホ長調
原曲どおりホ長調の演奏です。
第一楽章、前奏から良い、私が希望する要素が全部聴かれるv、tpはハイドン同様、美音で伸びやか、エッジを立てて活気を聴かせる所とレガートにする部分をセンス良く分けているが、ソロとオケが見事同調してまとめている。もはや技術が上手いとかいう事は忘れて、音楽的にどこまで高めているかに集中させられる。
第二楽章、演奏の見事さは書くまでもないでしょう。この第二楽章を聴いていつも思うのは、ポール・モーリアGオーケストラのレパートリーにしたらヒットしたんじゃないかと?「白夜のトランペット」とか^^
終楽章、予想通り、tp、オケとも見事に決める。timpの鳴らしっぷりも古楽オケっぽい。
3.タルティーニ、tp協奏曲ニ長調
さて、ここからはバロック、オケもバロック期の古楽モード、どこかの古楽合奏団に入れ替わったかと思わせる。タルティーニの当曲はvl協奏曲が原曲ですが、面白いほどtp向きの曲で、アンドレがtp協奏曲として愛奏した曲ですが、アントンセンも名演を録音しています。当盤はケン・シェの指揮で一段とバロック・テイストで味わえます。シメオのtpは味な装飾も加え、師アンドレを超える名演と言えましょう。終楽章ではカンデンツァを入れる、古典期に近い作品だけにぴたり決まる。
4.テレマン、tp協奏曲ニ長調
この曲は演奏の数だけ楽しめる、飽きない名曲、
第一楽章、シメオの美質とも言える、弱音の伸びやかな美音で始まる、バックも美しい、
第二楽章、バックがほんとに古楽だ^^シメオの装飾入りの演奏も。
第三楽章、O.アンサンブル金沢の古楽をじっくり鑑賞、このままコレッリの合奏協奏曲を演奏できそうな雅びな演奏。
終楽章、快活だが、やはり滑らかな美しさも聴かせる。全曲シメオのtpは室内楽的で、劈くような響きは一切ない。

シメオは若干16歳でこの演奏とは驚き、単にトランペットが上手い天才じゃない、今後の活躍が大いに楽しみ。また指揮者ケン・シェにも注目です、ハイドンなど録音してほしいです。

category: F.J.ハイドン

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秋の中古盤セール  

連休は予想どおり、名古屋で中古盤セールをやっていました、主催店+参加店でフロアーも拡張されて、かなりの量;さすがに全部見てまわるのは面倒で、今日は1枚350~450円のコーナーに絞り、さっさと選んでさっさと帰って来ました(笑)
収穫は以下のとおり、今回はめずらしくD.G盤がないです。

11 3 lp a
左、G.セル指揮、クリーヴランドO、ブラームスsym No.1(1966年録音)
右、G.セル指揮、クリーヴランドO、ブラームスsym No.3ほか(1964年録音)
 


11 3 lp b
左、G.セル指揮、クリーヴランドO、ブラームスsym No.4ほか(1966年録音)デジタル・リミックス盤
右、N.マリナー指揮、アカデミー室内O、ハイドンsym 「オックスフォード」&「ロンドン」(1976年録音)
 


11 3 lp c
G.レオンハルト指揮、合奏団、バッハ、ブランデンブルク協奏曲全集(1976~1977年録音)

格安のコーナーだったので、多少の不具合品は覚悟していたが、いずれも内袋から出すとパっと静電気を帯び、空中の埃を吸いつけた、新盤らしい反応!スプレー掛けして軽く拭くだけで良好に再生できますv
G.セルのブラームスsymはちょうど揃えたかったところ。ちなみにセルのブラームスsym No.4はマルチチャンネルのマスターテープからデジタルでリミックスした後、LP化、"ADA"になるのかな、通常のLP盤より、クウォリティが上がり成功しています。
マリナーのハイドン「オックスフォード」が期待以上にいい、あとでじっくり聴こう・・
最後のレオンハルト盤は初版はBOX入りでSEONのレーベルも黒でしたが、これは二つ折ジャケットの再版盤です、これに針を下ろしてちょっと驚いています、明らかにCD化された音より生々しい鮮烈な音、初版LP盤もこんな音だったろうか?レオンハルトのチェンバロ、S.クイケンのvl、ブリュッヘンの笛、そして第2番のtp等々くっきりと聴こえる、2000年代の録音物にも負けない音質、これもリミックス原盤か?
今日はお得な買い物で、気分もよし^^

category: オーディオ

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R.クーベリック:ベートーヴェン交響曲第7番  

なぜかD.グラモフォンのLESONANCEシリーズ(国内盤)は新古盤状態のものが多く出まわっているようです。どこかの在庫が一斉放出されたみたいに?ジャケットは経年による若干の黄ばみはあるものの手ずれの痕跡がなく、盤はまさに未聴の様子、未聴盤は静電気を帯びやすい、よって初スプレーをかけますが、埃はこびり付いてはおらず、クリーナーが摩擦感なく滑って簡単に除去できる、感触ですぐわかります。
今日の盤もその一つ、ラファエル・クーベリックが1曲ごとにオーケストラを替えたベトーヴェン交響曲全集、世界の名オケ総なめで話題になったシリーズからVPOを振った第7番です。昨日のベーム盤同様、伝統の音を保ちながら70年代のクウォリティを高めたD.Gサウンド、歪み感の少ない好録音です。

クーベリック be sym7
1974年、ウィーン

クーベリックはフルトヴェングラー時代を継承する指揮者と言われますが、この演奏はその影響下を感じません、ベートーヴェンの第7は「舞踏の神化」と言われるリズム感の強い曲ですが、それは土台でじつは非常に流麗な曲でもあることを感じさせ、なおかつ引き付ける演奏です。

第一楽章、序奏、主部とテンポは普通で特に強調されたものはありませんが、VPOを柔軟に歌わせ、ゴツゴツした響きは聴かせません。弦の響きは爽快、木管もバランス良く聴かせ、丹念なデュナーミク、強弱の懐深さで引き付けていく。
第二楽章、ここも標準ともいえる聴きなれたテンポで、オケ・サウンドを美しく保ち、後半の強奏に入ったところで壮大に聴かせます。
第三楽章、ここはステルツォらしく、快活なリズム感を出しますが、強拍、弱拍の弾き分けを緻密に、制御が行き届き、小忙しくは感じません、弱奏部をぐっと弱めてクレシェンドを効かせる。これら丹念な表現がしっかり聴こうという気にさせて、引き付けます。
終楽章、快速ですが、きちっとしたコントロールの効く範囲、やはり肉迫する表現の前にオケの美しさを保つ、終結に向けて熱気を帯びていくのが魅力の楽章ですが、トランペットがぐっとクレシェンドして飛びぬけて鳴るのに驚くが、爽快で上手い効果だと思います。

category: ベートーヴェン

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K.ベーム:モーツァルト セレナードNo.9「ポストホルン」  

モーツァルト、ザルツブルク時代最後あたりの作品だそうですが、こういう曲を書くのはモーツァルトには朝飯前?力作の部類に入らないかもしれませんが、充実内容で祝祭曲らしい思い切り能天気なところもじつに楽しい。
一方、ベームはこういう曲でさえ、大真面目に、その場限りの曲でなく、不変の価値をもたせます。ベームは様々な表情をもったモーツァルトの作品に対し、「センチメンタル(感傷的)な表現は排除する」と語っており、演奏家の持ち味ではなく、作品そのものに語らせることに徹する。たしかにモーツァルト以外の演奏でもそれは感じますが、とかく感傷的(官能的)に演奏されがちなモーツァルトを他では聴けない筋金入りの演奏で聴かせてくれます。

ベーム ポストホルン
1970年 ベルリン、イエス・キリスト教会

なお、この録音はBPOと、お馴染みイエス・キリスト教会での収録、60年代初めと変らぬD.Gサウンドですが、1970年録音の当盤はさすがに音のクウォリティが上がり、音溝から針で拾う過程が一つの楽器であるかのように味わいを生みます。弦楽は甲高くもなくデッドでもなくしっとり、バランスも良く、飽きの来ないサウンドです。

第一楽章、演奏時間からすると大曲ですね、短かい序奏アダージョ・マエストーソに始まり、主部はアレグロ・コン・スピリト、これは立派な交響曲の内容で活気にあふれています、この時期のモーツァルトらしい楽しさ。
第二楽章メヌエット・アレグレット、第一楽章の堂々とした雰囲気を引き継いでいるかのようなメヌエット。
第三楽章、及び第四楽章と木管楽器のソロによるコンチェルト風の楽章が続く、機会音楽だけに長い演奏時間も要求されるんでしょう、これらは時間を満たすのも目的?美しい旋律を聴かせますが、中休みといった感じも・・
第五楽章、アンダンティーノ、ニ短調、この楽章だけ短調でセレナードには不似合いな深い楽想、オペラの悲劇的場面の音楽のようです。後期に書く短調作品とはちょっと違った趣もいい。
第六楽章、2曲目の気品あるメヌエット、トリオが2つあり、第一トリオではピッコロが使われ、第二トリオではポストホルンがドミソの3音だけによる簡潔な信号を吹く、高音のホルンですが、ほぼトランペットの響きに近い。
第七楽章、フィナーレ、プレスト、ソナタ形式で第一楽章とバランスした充実した曲です、展開部ではジュピター交響曲を先取りしたような2種のフガートが聴きどころ、ベームはここでも速すぎるテンポを避け、きちんと様式感を聴かせる。
セレナードとは言え、これだけ内容をもった曲なので、ベームが充実した録音を残したのもわかる気がします。これは何度でも聴きたい音盤です。

category: モーツァルト

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