Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

アルゲリッチ:チャイコフスキー ピアノ協奏曲No.1  

名曲ゆえに、あちこちで耳にするチャイコフスキー ピアノ協奏曲No.1ですが、お金を出して音盤を買ったというのはこれが初めてです;アルゲリッチの切り立ったような達演はさすが、録音も申し分なく、コンサート・ピアノの長い余韻が透明感をもって再生されます。レーベル面は国内盤とほぼ同じですが、ドイツ盤はどことなくキリっとした感じです^^

チャイコ pf con
マルタ・アルゲルッチ:pf
シャルル・デュトワ指揮、ロイヤル・フィルハーモニーO
D.G ドイツ盤


第1番はピアノ協奏曲の代名詞とも言える存在かもしれません、金管に始まる印象的な冒頭、続くピアノの和音を入れた雄大なテーマ、これは誰の耳も掴むでしょう、ピアノ・ソロのヴィルトーゾ性もオーケストレーションもばっちり、よく出来た曲です。しかし外面的な華麗さを散りばめただけに聴こえ、深く精神に踏み込んでくるところが乏しい?(チャイコフスキーのvl協奏曲は慈愛の念を感じて結構良いのだが・・)
世間でも好き嫌いの分かれる曲のようですね。程度の差はあってもブラームスが好きでチャイコフスキーも同じくらい好き、という天秤のつり合う人は少ないかも?
ドイツ三大Bでも、バッハとブラームスは一曲も無駄がない気がしますが、ベートーヴェンだけは、超傑作の傍ら、周囲に踊らされて作ったような駄作とされる曲もあったりします;まあ話のタネに聴いてみたりしますが;

category: その他・ロマン派

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再版音盤の比較(K.リヒターのハイドン)  

LP盤というのは一度生産終了し、再版する際には新たなミキシング、カッティングによるプレス原盤が作られると思いますが、過去にもレビューした、K.リヒター&BPOのハイドン交響曲94、101番、これは出るたびに特にB面の101番が大きな違いがありました。過去に国内盤の初盤と思われる盤を持っていましたが、これは音溝が内周いっぱいまでに刻まれて、サウンドの厚みは十分でした、ただ終楽章に入るとさすがに歪みが大きく聴きづらかった。
次に購入したものは手元にあり、ジャケットは初盤と同じだが、カッティングをし直してあって、B面101番は写真のように、音溝がやけに外周側に寄せられ、内集の余白が大きいのに驚いた。終楽章の歪みが殆ど無くなったのは良いが、細められた音溝は高域が小やかましく、中低域がボリューム感に欠ける響きで、何とも物足りない。数年後、兼価盤となって出たD.G.RESONANCE盤では初盤ほどではないが、少し元に戻したカッティング、これでまあ普通に聴けるし内周歪みも目立たない、ちょうど良い具合に収まった感じで、LP盤としては一番良い。

リヒター ハイドンlp
左:第2版、右:D.G.RESONANCE盤、ともにB面、101番

しかし、このリヒター盤に関しては、CD化が上手くできていて、CDが一番良い;弦楽はキメ整い、中低域のバランスの良い豊かさ、当然ノイズも歪みもないv、結局、最後にスピーカーから出る音が好ましいかどうかが問題で録音方式は何でもよいわけですね。

リヒター ハイドンcd

A.クリュイタンスのBPOとの名演、ベートーヴェン交響曲7番(EMI)もCD化されたものがとても良いです。

category: オーディオ

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回想、連続聴きⅡ:ハイドン交響曲第86番  

さて、回想、連続聴きレビューⅡ、今日は永遠の傑作、ハイドン交響曲第86番です。すっかりハマり、日中も頭から曲が離れないほどでした^^これも古い順に以下のとおり、並べてみると思っていたより少ないかな;
幸い86番はハイドンの自筆譜が公開されています→Symphony No.86 Full Scores
活版印刷は無味乾燥だが、自筆譜には表情があるんですね。

B.ワルターのハイドン86番
ブリュッヘンのハイドン86番
フィッシャーのハイドン86番
B.ドラホシュのハイドン86番
T.ファイのハイドン86番
R.グッドマンのハイドン86番
クイケンのハイドン86番
アーノンクールのハイドン86番
追記:カラヤンのハイドン86番
鈴木秀美、ハイドン86番
N.マリナー:ハイドン86番
B.ヴァイル:ハイドン交響曲86番
Van ワース:ハイドン交響曲86番
S.ラトル:ハイドン交響曲86番
K.ザンデルリンク:ハイドン交響曲86、87番 LP
ヒュー・ウルフ:ハイドン 交響曲第86番
B.ハイティンク:ハイドン交響曲第86番(ライヴ) 
C.デイヴィス:ハイドン交響曲第86番 LP

hay 86

さて、これらの盤でもともと倉庫に眠っていたのが、ワルター、ブリュッヘン、ラトル盤でした、これらで目覚めて次々聴きだしたのですが、いま最も紛失したくないのをピックアップすると、ワース、S.ラトル、ハイティンク、C.デイヴィス、続いて、ブリュッヘン(旧盤)、グッドマン、アーノンクール、鈴木秀美、ヴァイル、といったところですね。また素晴らしい新盤が出てくるのを楽しみにしたいです。

category: F.J.ハイドン

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回想、連続聴き:ハイドン交響曲第102番  

最近は何を聴くか、その日暮らし、気の向くままにやっていますが、以前は同一曲を様々な演奏者で連続聴きレビューをやった時期があります。ブログ開始の頃はまだテンションがあったせいか^^;手始めがハイドンの交響曲第102番でした。
古い順に以下のようになります。過去に書いたことが、今もそう思うかあやしいもんですが、再度順に聴いてみるのも楽しいと思います。青はCD、オレンジはLPです。

バーンタインのハイドン102番 2012/04/19
J.テイトのハイドン102番 2012/05/01
カラヤンのハイドン102番 2012/05/05
S.クイケンのハイドン102番 2012/05/06
ブリュッヘンのハイドン102番 2012/05/17
C.デイヴィスのハイドン102番 2012/05/18
R.グッドマンのハイドン102番 2012/05/20
S.ラトルのハイドン102番 2012/05/23
アーノンクールのハイドン102番 2012/05/25
C.アバドのハイドン102番 2012/05/27
T.ファイ:ハイドン交響曲102番ほか 2012/11/16
I.ボルトン:ハイドン交響曲102、103番 2012/12/22
B.ワルター:ハイドン交響曲102番 2013/02/04
C.デイヴィス:ハイドン交響曲101、102番を聴く 2013/08/10

回想hay 102
これらは★★★★★です

まず印象に残ったのがS.クイケン盤、古楽オケの透明感は最高でした、モダン・オケでピリオド指向の最も良くまとまった飽きることのないのがS.ラトル盤、C.アバドも新時代感覚で溌剌とした魅力でした。そしてI.ボルトンの質感、量感ともに満足の新時代演奏、B.ワルターは古き時代ではあるが、ぐっと引き付ける全盛期の演奏、C.デイヴィスは期待を裏切らないハイドン指揮者、LPで再度聴いて満足。今後はスコアを見ながら詳細に聴いてみようと思います、また新たな楽しみとなりそう。
スコア・ページ→ Haydn Symphony No.102

category: F.J.ハイドン

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O.スウィトナー:ベートーヴェン交響曲第7番 LP  

スウィトナーのベートーヴェン交響曲はCDで全部揃えたのですが、盤によって音の仕上がりにばらつきがあり、第7番などはやけに音が小じんまりと丸められ、こんな演奏なのだろうか?と疑問に思っていましたが、同録音のLP盤を聴いてみたところ、その違いに驚きました。
音源がPCMにもかかわらず、CDはまるで昔のカセット・テープにダビングしたみたいにクウォリティが下がっているが、LPでは爽やかなvl群の高倍音、木管の色合い、空気を揺さぶるコントラバス、バランスの良さ、音場の実在感、こんな優れた録音だったのかと目が覚める。

オットマール・スウィトナー指揮、シュターツカペレ・ベルリン
1981年 東ベルリン、キリスト教会
B&K社製マイクロフォン使用
D.シャルプラッテン、日本コロンビア共同制作

スイトナー be sym7

スウィトナーの演奏はいつもながら、vlはゴリゴリ弾かず清潔、管楽器、timp、低音弦の音圧をもって強奏表現を行う、スウィトナー・バランスとでも言いましょうか、耳疲れなく、気合いのこもった演奏を聴かせます。
第一楽章、序奏は清潔にさらりと始める、序奏の終わりは主部の付点リズムを弄り出し、木管が確定して主部が始まる、この動機のリズムが楽章を支配する。スウィトナーは主部は意外と落ち着いたテンポ、第一主題、第二主題とも空を舞うように雄大、一方リズムはがっちり地を踏みしめるような力強さ、付点リズムを幾分強調して、自然法則のような力感の推移を聴かせるのはスウィトナーらしく思える。展開部のクライマックスでは一段とtimp、ブラスがパワフルに押し出す、第一vlが強すぎない分、内声弦の小刻みなリズムがよく聴こえ、これもエキサイティングな要素である、F.リストのピアノ編曲ではたしか省略されている音だが、オケならではの醍醐味を聴かせない手はない。終結も力強く痛快、ハマってしまう第一楽章です。
第二楽章、アレグレットとしては普通のテンポ、低音弦が淡々と始める、va、vlパートが追って行くが、あまり感傷的にならず、七分目に押さえた表現が、聴き手の心理で高揚させる。
第三楽章、スケルツォは程よい快速、小刻みに引き締めるが響きはあくまで清潔、トリオではやはり思い切ったダイナミクスで轟かせる。
終楽章、速すぎない程度に快速、この楽章も冒頭に示されたリズムが支配していく。SKBの合奏はBPOやRCOほどびしっと決まっていないが、不思議と引き締まって聴こえる、弦楽はあくまで清潔に響く範囲でクレシェンドさせ、極めつけの音として、管やtimpを轟かせて決め、何度も出てくる冒頭に示されたリズムが白熱していく。清潔な響きとエネルギッシュな要素を見事両立して閉じる。

同録音CD DENON
スイトナー be sym7cd
そういえば第3番「英雄」もCDは響きが浅い気がする・・;第6番「田園」はgoodなんだけど。

category: ベートーヴェン

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C.アバド:ハイドン交響曲第96番「奇跡」&協奏交響曲  

そのうちに、と思って買い伸ばしになっていたアバド指揮、ヨーロッパ室内Oの96番、105番が届き、シリーズ全て揃いました。当盤は1986年録音、これもまさに新時代の演奏で、なおかつ肩を並べる演奏はざらに無さそうに思います。
レパートリーの広い大指揮者アバドが、古典を得意とする指揮者達を凌ぐような"ハイドン指揮者"さながらの演奏を聴かせたときは意外に思ったものです。J.テイトは端正なハイドンを聴かせたが、ちょっと穏やかすぎる、J.L.コボスは同じく端正だがちょっと肩肘張った真面目さが目立った、いずれもオケは優れている。そこで二人より年長のアバドがヨーロッパ室内Oでとっておきのハイドンで打ってきた、という運び。天才指揮者の朝飯前の仕事ではなく、じっくり温めてきた演奏に思えます。あと94番、99番あたり聴きたかったですね;

ハイドン交響曲第96番「奇跡」、協奏交響曲(第105番)
クラウディオ・アバド指揮、ヨーロッパ室内O
1986年、ウィーン・コンツェルトハウス

アバド hay 96 105

96番「奇跡」、ハイドン好きが望むことはすっかり心得ているような、聴き始めから最後まで、不満なところなく、すんなりと聴ける。
第一楽章、序奏は清涼かつ味のある響きで開始、ぐっと弱奏にして次への起伏をつける、主部は程よい快速、しなやかな弱奏にドシっとインパクトのあるダイナミクスで引き付ける、かっちり構築美を示しながら常に耳心地良い響きで、細かく聴いても丹念な音楽性が詰まっている。展開部が終わり再現部に入る間(溜め)が長いが、ひじょうに効く^^
第二楽章にもtimpを伴ったダイナミクス、または弦だけによる強奏もあるが、そこを耳に重たい響きにしないのがいい。短調に入ってからの深み、美しさ満点の楽章を申し分なく仕上げる。
メヌエット、堂々たる主題は過度に重くせず、さわやかに聴かせる、オーボエ・ソロのトリオはリピートで弦楽伴奏をぐっと弱奏にして、それが引き込む。
メヌエットから間を置かず、快速に終楽章に入る、弱奏で美しくロンド主題を始め、短調の総奏に入ったインパクトが痛快、そしてまたぐっと弱奏の主題に戻り、涼やかさとエネルギーの交錯、これほどすっきり、きっぱりとした終楽章は他に聴いたことがなく圧巻。

105番、オーボエ、ヴァイオリン、ファゴット、チェロを独奏楽器とする協奏交響曲変ロ長調、ハイドンが書いた協奏交響曲はこれ1曲のみ、ある評論家がハイドンの弦楽四重奏曲と交響曲の技を組み合わせたような傑作だ、と言ったのを憶えています。確かに4つのソロパートの掛け合う充実感だけでも素晴らしい、そこにオケも重要パートとして関わってくる。この曲はなにか風変わりな要素を加えたり、新時代感覚を取り入れたり、といったところがなく、純粋に古典派らしい美質のみで見事に完成していて、2曲目を書く必要なさそうです。しかし終楽章では主部に入る前に、vlのレシタティーボを入れるなど、ハイドンらしい味なところもあります。アバドと4人のソリストの演奏の見事さを忘れて、曲そのものに聴き入ってしまいました^^

category: F.J.ハイドン

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ムジカ・アムフォン:A.コレッリ、作品全集  

思わず、ポチってしまった、アルカンジェロ・コレッリの作品全集(10枚組)です。
バッハやテレマンの演奏で素晴らしさは実証済みのP.Jan.ベルダー率いるムジカ・アムフォンの演奏なら期待を裏切ることはないだろうと。またコレッリの作品自体が絶対数が少なく、推敲を重ねたまさに音楽の規範ともいえる完成度の高いものばかり、それがCD10枚に収まり、まったく無駄がないです。録音は程よい残響で各楽器が明瞭に聴ける。

コレッリ BOX
アルカンジェロ・コレッリ作品全集10枚組 
ピーター・ヤン・ベルダー&ムジカ・アムフォン
2004年、ブリリアント・クラシックス


まずは各盤をチョット聴きしてみた。トリオ・ソナタ(教会ソナタ、室内ソナタ)にはじまり、唯一コレッリの管楽器作品とされるトランペットと2つのvl、通奏低音のためのソナタが見事、続いて名作ヴァイオリン・ソナタ集、合奏協奏曲集と収まっている。
まず、何といってもvl奏者の手腕が不可欠だが、これまで数多の録音がされた古楽演奏のトップに位置する内容でしょう、洗練された装飾演奏も期待どおり楽しませる。そして通奏低音も重要、チェロ、オルガン、チェンバロ、テオルボほかリュート属が曲に応じて適宜組み合わされ、和音楽器は一小節ごとに宝石を散りばめたようなリアライゼーションを奏でていく。
楽譜に残っているのはソロ楽器の旋律の骨格と和音を示す数字が添えられたバス旋律のみ、当時はコレッリ自身を含め、各楽器のスペシャリストが揃い、はじめて成立した音楽でしょう。これらの全集録音とは偉業と思います。
80年代頃から優れた古楽演奏によるコレッリが聴かれるようになり、さらに磨きをかけた最新の演奏を聴くと、あのクリスマス協奏曲だけでもゾクっとくる素晴らしさ、もはや昔のバロック・ブームの演奏などはまるで聴く価値はないでしょう、こればかりは古いLP盤を掘り起こす気にはなりません;古楽は新しいほうがいい?^^ 

category: A.コレッリ

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C.アバド:ハイドン交響曲第103番「太鼓連打」  

クラウディオ・アバドのお気に入り盤はいくつかありますが、今日久しぶりに聴きたかったのは迷った末、ハイドンの「太鼓連打」。
ベームやカラヤンの巨匠時代の演奏もあれば、マリナーやC.デイヴィス、ハイティンクなどハイドンの魅力を見事捉えた演奏、またブリュッヘンやクイケンの古楽オケ、と様々交錯する頃、アバドはどんな演奏かと期待したものです。アバドはヨーロッパ室内Oの柔軟な演奏力で古楽指向も吸収した新時代のハイドン演奏の先駆けにも思います。1989年録音の「太鼓連打」などは最新の評判の高い演奏に引けをとらず、ミンコフスキも及ばない、I.ボルトンでやっと比較し得るかなという感じです。

ハイドン 交響曲第103番「太鼓連打」&102番
クラウディオ・アバド指揮、ヨーロッパ室内O
1989年、D.G

アバド hay 102

第一楽章、フェルトを巻かないマレットで叩く古楽器timpによる痛快なソロ、今でこそ普通だがアバド盤で始めて聴いた。これが会場の響き具合もよく聴かせる、序奏はあまり引きずらずさらりと行く、弦楽は涼やか、主部は程よく快速、重くない響きで各パートの見通しが良い、ダイナミクスの切れ味よく、溌剌と始める、一音一音に込められた絶妙のデュナーミクは並ではない、休符をやや伸ばし、次へ入る間が引きつける、小気味よい推移で楽章を見事まとめる。
第二楽章もあまり遅くしない、リズム感も出しながら、弦楽のしなやかな味わいも聴かせる、総奏のダイナミクスも切れがよく重すぎない響きが良い、vlソロも魅力で、コンマスの手腕であろうか、控えめながらセンスの良い装飾を聴かせ、価値を上げる。
メヌエットも速めで軽やか、リズムの切れが良い、短調では充実感のある響き、トリオは幾分ゆっくり、クラリネットが活躍するが、ここでもちょっぴり装飾を入れてお洒落感覚も聴かせる。ふたたび快活なメヌエットが心地良い。
終楽章、やはり快速だが、ロンド風の総奏と弱奏の押しては引く対比を聴かせながら、展開部から終結へと盛り上げていく構成の見事さをかっちりと聴かせ、痛快にまとめる。
102番共々、全楽章不満なく聴かせてくれる演奏はそんなにないです。アバドの96番、105番は名演だそうですがまだ持っていないので、ぜひ聴きたいです。

category: F.J.ハイドン

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【追悼】クラウディオ・アバド:ベートーヴェン Symphony No.7  

1月20日、指揮者クラウディオ・アバド氏が胃癌のため80歳で亡くなりました。
詳細:Wikipedia
私は演奏家については誰それに師事したとか薫陶を受けたとか、経歴はあまり読みあさらず、ただ演奏を聴いてこういうタイプの演奏家だと感じることにしていますが、アバド氏は旧来の巨匠タイプから脱した、新進気鋭の指揮者というイメージでした。アバド流という決まった型があまりなく、作品に適した演奏スタイルを取り、見事にやる人だという気がしています。
よって若い頃の姿しか頭になく、晩年の写真を見ると知らぬ間に時が経っているのに驚きます。そういう自分もたまに免許証の写真など見ると、恐ろしく歳食っているのに驚きますが;頭の中は30代くらいで止まっています、それ以後は何年経とうが∞です(笑)
今日は巨匠をしのんで、ベートーヴェンsym No.7を聴いてみることにしました、申し訳ないことに演奏内容は記憶していなかったのですが、しまいっぱなしでもったいないことをした、と思ったしだい。
弦はカラヤン時代の厚い響きでなく、室内楽的でしなやか、細やかなデュナーミクが聴かれ、ブラス、timpのダイナミクスはドシっと切れ味よく、常にリズム感覚の心地よさを聴かせる。

アバド be sym 7
1999年、ベルリン・フィルハーモニー

第一楽章、序奏の開始は強烈でなく、バランスの良い響き、ぐっとクレシェンドする盛り上げがよい、主部はわりと快速、間を置かず次へ踏み込んだり、間を置いたり、ツボを得た推移が上手い、美音で控え目にクレシェンドをかけ最後に思い切ったダイナミクスを入れる心地よい刺激、そして活き活きしたリズム感、ベームにもカラヤンにもない魅力があふれ、ヨーロッパ室内Oとのハイドンの演奏でも聴かせた古典派演奏の技がここでも聴けたようだ。
第二楽章、アレグレットらしく遅くないテンポ、木管の和音のあと、低音弦は気だるく、淡々と始める、繰り返しは微かなppとなる、va、vlへとテーマが移るにつれBPOの優美な弦の味わいを聴かせる。やんわりと流すだけでなく、びしっとした表現でも引き付ける。
第三楽章、スケルツォは快速で溌剌キビキビと始める、しかし弦に適度にしなやかさを持たせ、気品を保つ。トリオは弦を押さえ、木管アンサンブルを聴かせた後、総奏で思い切ったダイナミクスを響かせる。timpは古楽器か?のように鋭く轟く。
終楽章、二度鳴らす開始音はやや溜めを入れてどっしり、その後はカラヤンを凌ぐフルスロットルで快進、アンサンブルはさすがだが、ここではドイツ的な精巧、冷静にまとめるという感覚でなく、情熱的というほかない、フルトヴェングラー、C.クライバーのような作戦めいた感はなく、自然に血が湧きあがるような白熱感、展開部から終結までの凄いこと。

category: ベートーヴェン

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馬頭星雲  

オリオン座の馬頭星雲といえば、後方の星雲の明るさのシルエットとなった"暗黒星雲"の代表のように知られてきました。と言っても真っ暗じゃなく少しは星の光に照らされている部分もありますが、可視光の画像では上の画像のように見えますね。しかし、赤外線で撮った下の画像では、後方の星雲は完全に透けてしまい、馬頭星雲が明るく見慣れた積乱雲かのように浮かび、迫力ある臨場感です。

可視光
馬頭星雲1
赤外線
馬頭星雲2

実際現場へ行けば、ほとんど真空のような希薄なガスと塵が数光年という広がりで集まっているわけですが、はるか遠方からなら、濃厚な雲のように見えちゃうんですね、なんかスケール感覚に錯覚が起きます。馬頭星雲の中にも瘤状に雲が集まったところが見えますが、これから原始星と惑星系が誕生する所でしょう。

さて下はオリオン星雲の中で、原始惑星系の誕生する現場です。中央に輝きだしたばかりの原始太陽、周りには惑星系となるガスと塵の円盤がありますが、後方の明るい星雲の前にあるものは黒いシルエットで様子がよくわかります、手前や側面から明るい恒星に照らされて繭のように全体を囲むガスが見えているのもあります。

原始惑星系
原始惑星系

画像からはどれも小っぽけな存在のように錯覚をしてしまいますが、全体は太陽系サイズのはずですね、最外周部を囲む塵はオールトの雲みたいに惑星系の外縁に残り、やがて彗星の故郷とかいわれる所になるのでしょうか。

category: 科学・自然・雑学

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カラヤン:ベートーヴェン交響曲No.8 LP  

D.G LIMITED EDITIONのシリーズ、すっかり音質が気に入ってしまったので、目につけば集めています。カラヤン&BPOのベートーヴェン交響曲No.4&8がありました。これも未聴盤のようで盤質良好。1962年、ベルリン、イエス・キリスト教会での録音、これがベストに思います。美しくリメイクされたD.Gサウンドを聴くのが楽しみになりました。この黒いレーベルの盤は良いのが揃っているようです。
昨日は東のスウィトナー、今日は西のカラヤンというわけですが、演奏といい、録音といい、本当に異なった美質の音盤が楽しめます。

ベートーヴェン 交響曲第4番、8番
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ベルリン・フィルハーモニO
1962年、ベルリン、イエス・キリスト教会

カラヤン be sym8

第一楽章、速いテンポで颯爽と始まる弦の響きは厚いが爽快、BPOの機動力抜群のアンサンブル、がっちりした骨組みを感じさせながら、しなやかなレガート音を重ね、推進力の心地よさ、展開部では一層エキサイトさせる。もう一つの英雄交響曲と言ってよさそう。
第二楽章、快速だがテンポは昨日のスウィトナーよりやや落ち着いた感じ、しかしフォルテの切れ味、ダイナミクスは強力。
第三楽章、ここはゆったり、厚い響きでじんわりと始まる、BPOの弦は一際しなやかに、この優雅な主題に耳を引き付ける。トリオのホルンとクラリネットもさすがスーパー管楽群団の技量が透き通るように響く。
終楽章はいつもながら、とても速く、充実した終楽章を密度感高く聴かせる。速いけど荒っぽさがなく、すべてが俊敏に整えられた心地よさ。第8番は強弱の落差がくっきりして、じりじりと表現する場は少ないだけに、これが見事にはまる。

category: ベートーヴェン

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O.スウィトナー:ベートーヴェン交響曲No.8 (PCM-LP)  

オットマール・スウィトナー指揮、シュターツカペレ・ベルリンのベートーヴェン交響曲はCDで全部揃っているのですが、80年代DENONのPCM録音をわざわざカッティングしたLP盤の再生音とやらを、つい1枚聴いてみたくなりました。ノイズひとつない盤質の良さといい、アナログ盤末期の逸品、これも日本が世界に誇る優秀製品ですね。第1番と第8番のカップリングも、スウィトナーの演奏が気に入っているので格好。

ベートーヴェン 交響曲第1番、8番
オットマール・スウィトナー指揮:シュターツカペレ・ベルリン
1983年 東ベルリン、キリスト教会

suit be sym8

いつものように鮮度のよいナチュラル・サウンド、第8番もLPの片面にどうにか収まるがあまり余裕のない演奏時間、しかし何ら不足ない量感で押し出す。東ベルリン、キリスト教会の空間に響きわたるリアル感もすばらしい。第8番は長大でなく短時間に中身の圧縮された内容が聴ける、ハイドンに近い楽しみ方となります。
第一楽章、アレグロ・ヴィヴァーチェ・エ・コン・ブリオ、快速なテンポで始める、スウィトナーは弦楽はすっきり透明に響かせ、ブラス、ティンパニのダイナミクスがどっしり音圧をもって押し出すが、強引な感覚がなく自然な質量移動のような強弱表現がいい。提示部では第一vlを控えめに、内声弦のトレモロによる動きを浮かせ、構成がよく聴ける。展開部は対位法も聴かせ、思い切った転調で推移、スウィトナーはぐいぐい白熱させる、最後は軽くクールダウンして終わる。
第二楽章、アレグレット・スケルツァンド、この楽章がスケルツォ楽章の位置づけに思う。スウィトナーは速めのテンポで闊達な心地良さで進める。弦のフォルテによるトレモロがぐっと鋭く入る。彫の深い表現。
第三楽章、テンポ・ディ・メヌエット、(メヌエットのテンポで)という表示のみで、のらりくらりと始まるこの楽章は緩抒楽章の代わりの位置づけに思える。弦の奏でる主題はリズムを強調せず、優雅で浮遊的な旋律、そこにブラスとtimpが大らかにダイナミクスを入れる。トリオでのホルンが実に柔らか、クラリネットの滑らかな透明感も良い。スウィトナーのこの楽章は絶品。
終楽章、アレグロ・ヴィヴァーチェ、程よい快速で演奏、自由度の高いソナタ形式、ハイドンの交響曲第102番の終楽章も斬新でしたが、この終楽章もどこかそんな方向のベートーヴェンのアイデア満載の充実感。スウィトナーは清涼なサウンドを保ち、びしっと気合いの入った演奏で閉じる。

category: ベートーヴェン

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球状星団  

球状星団という天体もいったい何ものなのか、昔から気になっているものです。ハローという銀河を取り巻く球状の領域に分布し、古い星(100億歳以上)ばかりが重力の結びつきで球状に集まっている、というものです、中心の密集部では星間距離は数光年ではなく"数光日"レベルの混み合いぐあいとか。

M80.jpg
M80 銀河系内

ひとつの説が、宇宙初期の矮小銀河が合体をくり返し、大型の銀河が形成されるとき、すでにあった密集度の高い星団が銀河を取り巻く周回軌道を回るようになった、ただ銀河合体の際に星間ガスの圧縮が起き、大量に新しい星が生れ、星の材料のガスの多くが消費され、残ったガスも中心の銀河に吸収され、星間ガスを失った星だけの集まりが残り、そのまま年老いて球状にまとまっているというものです。
一方、大小マゼラン雲の中には珍しく青く若い球状星団があるとされます。マゼラン雲は銀河合体の経験がない、宇宙初期の矮小銀河の生き残りとされ、その分我々の銀河系よりも遥かに星間ガスも豊富で新しい星が一斉に生まれ、かなり密集した星団も出来うるでしょう。

ngc265.jpg
NGC265 マゼラン雲内

NGC265は小マゼラン雲内の散開星団ですが、わりと星の数は多いようです、しかし球状星団ほどの重力の束縛力はなさそうで、これもやがて散らばっていくでしょう。

category: 科学・自然・雑学

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M.Grauwels:F.ドヴィエンヌ フルート協奏曲集  

古典派音楽の探索をしていますが、今日はマエストロ・与太さんの紹介による初登場、フランソワ・ドヴィエンヌのフルート協奏曲集です。ドヴィエンヌはフルートの名手でファゴットも得意としたフランスの作曲家(詳しくはWikipediaに)、NAXOSの当アルバムの3曲を聴いて、なかなか優れた人だと思います。フランス持ち前のセンスもあるでしょうが、きちんと整った協奏ソナタ形式で充実した作品です。フルート・ソロもさすが充実した聴きどころ。注目していきたい人ですね。

フランソワ・ドヴィエンヌ(1759-1803)
1-3. フルート協奏曲 第7番 ホ短調
4-6. フルートとファゴットのための協奏交響曲
7-9. フルート協奏曲 第2番 ニ長調
マルク・グローウェルス:フルート
Alain de Reijckere:ファゴット
ベルナール・ラバディ:指揮、ワルーン室内管弦楽団

ドヴィエンヌ fl con 01

フルート協奏曲 第7番 ホ短調
第一楽章、オケによる印象的な短調の主題で始まるがメロディックな美しさもあり、どちらかと言えばヴァンハルの短調作品を思わせる、前奏の第二主題は長調、ここからフルート・ソロが加わる、再び第一主題をオケが聴かせ、短調の新たな主題によるフルート・ソロが始まる、ソロパートの妙技が冴える。全体には長調が主体で健康的な旋律美。展開部、再現部と型どおり進むがカデンツァは置かれない、ソロの妙技は十分聴かせたので無くてもよいと思える。
第二楽章、アダージョは優美なフルートソロとさりげなく支えるバック、カンデンツァを2度置く、ハイドンの交響曲24番第二楽章にも近い穏やかな美しさ、高域を吹いて終わり、ほぼ間を置かず終楽章へ入る、特長的で魅力な短調のロンド主題を奏でる。間奏がさすがテクニカルで聴きどころ。
フルートとファゴットのための協奏交響曲
第一楽章、総奏で始まるがあまりシンフォニックな印象はない、が健康的で快調な魅力、前奏からフルートは第一vlと重ねて演奏する。フルートソロから始まり、ファゴットが受け継ぎ、2つの楽器が重なる、和声の並進行、反進行、対位法的掛け合いで聴かせていく、ファゴットの低音から高音への跳躍、楽器独自の個性も聴かせる。展開部は緊迫した聴かせどころもある、カデンツァでは2つの楽器が見事に絡む、きちんと様式にのっとった書き方で次の展開も予測どおりだが、予測に不満なく応えるところが良い。
第二楽章、アンダンテ、モーツァルトに近い優美さを感じる。
第三楽章、活気にみちたロンド主題、こちらはハイドンに近い感じ、ファゴットの跳躍を用いたソロが心地よい。
フルート協奏曲 第2番 ニ長調
この曲が一番気に入った感じ、前奏が流麗であり切れ味もある、標準的にとても美しくできた曲、フルートソロもまさにフルート協奏曲の良いお手本のようだが、次々溢れるセンスで満たされ、どこかで聴いた曲の焼きまわしのようなヤボったさがない。展開部のじわじわ深みに誘うところも良い。
第二楽章、短調となる、フルートソロが孤独感を歌う、長調部分になると、モーツァルトfl協奏曲No.2第二楽章をちょっと思わせる味わい。これはフルート名曲集のオムニバス盤に入れても良さそう。カデンツァのあと、弦楽が消え入るように終わり、フルートソロが終楽章のロンド主題をまさぐる、そして快調な終楽章、ベートーヴェンの前にもこの手法、あったんですね、この主題が軽やかで洒落ている、テクニカルなフルートソロが間奏して魅了する。
録音も良好、ひじょうに楽しめる1枚です。

category: その他・古典派

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M.Barmert:J.B.ヴァンハル 交響曲、3曲  

今日は爽やかに古典派を聴きたい気分、そんなとき格好なのがヨハン・バプティスト・ヴァンハルですね。久しぶりに聴く、マティアス・バーメルト指揮、ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズによる、交響曲ト短調、ニ長調、ハ短調の3曲です。
ヴァンハルの短調交響曲はハイドンの疾風怒涛期作品のようなエネルギーあふれる作風と違い、常に流線型のメロディックな美しさを聴かせるところが他にない魅力。

van sym 01
van sym02

ト短調、第一楽章は弦楽でしっとり始まるほの暗い気分の第一主題だが快調、ヴァンハルらしい短調作品の魅力、対照的な長調の第二主題は明るさを満喫させる、展開部は第二主題を軸に優美な転調で進むが特に後半が魅力、再現部も変化を付け展開部に続けて魅了する。
第二楽章はオーボエ・ソロによるコンチェルト風の楽章だが、意外に単純な旋律を繰り返す、ここは奏者の装飾演奏を求めた楽章かもしれない。
メヌエットは短調にもどり、ヴァンハルらしい優美な主題、ハイドンならカノン仕立てにしそうなところ、ヴァンハルは普通にやる、トリオは再びオーボエのソロだが、ここはソロらしい旋律を奏でる。
終楽章、短調で第一楽章になりそうな内容、跳躍音形の追いたてるような動機で始まるが、すぐ長調に転じ、明るい第二主題が対比をつける。第一主題が軸の展開部、ここも転調の推移が魅力、再現部の充実も第一楽章同様の構成。

ニ長調、timp、tpを含む祝祭的交響曲、これはハイドンの作品に迫るがっちりした構成、ただバーメルトの当演奏は爽やかではあるが、もう少しテンポを速め、踏み込んだ表現をとれば密度が増すと思う、T.ファイならきっとそうするだろう。
第一楽章、ダイナミクスで開始するがぐいぐい迫るところは少ない、第二主題の繰り返しで、二度目に裏拍にビートを置きかえるのが面白い。展開部もじっくり進める構成、これまでの主題を転調、変化させて聴かせる。ハイドンほどの濃密な書法はないが、聴きやすく書く、というのも一方で求められるでしょう。コーダを設けて華々しく終わる。
第二楽章、歌唱的なテーマのアンダンテ、ヴァンハルの旋律の個性がちょっと他には聴き覚えない味わい。
第三楽章にアレグロを置き、終楽章にメヌエットを置くのが珍しい、アレグロではかなり祝祭的華々しさがあり、展開部は結構踏み込んだ醍醐味を聴かせる。終わったように休符を置いて、終結部の続きを始め、次の典雅なメヌエットへ繋がる、トリオではオーボエのソロが入る。

ハ短調、これぞヴァンハルならではの魅力、全楽章短調でtp、timpが入る堂々たる曲はあまり憶えがない、流麗だけど嫌味がない、ハイドンもモーツァルトもこういうタイプは書いていない。ここでのバーメルトの演奏はぴりっと気合いを感じるよい演奏。
第一楽章、ヴァンハルでまず思い浮かぶのがこの第一主題、となってしまうほど、短調で優美な動機、そしてtimpを伴った後半がぐっと引き締める、第二主題らしいものが聴かれず展開部へ、第一主題の展開、押しては返す転調、不協和音の響くクライマックスが素晴らしく、終結まで魅了する。
第二楽章、アンダンテ、二部形式で短いが第一楽章の気分を緩めず弦楽のみによる深い味わい。
メヌエット、ヴァンハルの個性が光る短調の優美なメヌエット、トリオは弦楽にフルートを重ねるがメヌエット主題とさほど雰囲気を変えない。
終楽章、アレグロ、切迫感ときれ味の良さが痛快、第二主題による展開部もカノン、転調の手法が効き、聴きごたえ十分、終結まで見事に引き付ける。

category: J.B.ヴァンハル

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E.ファー:バッハ リュート作品全集(ラウテン・ヴェルク)  

リュート関連を続けます。
過去にもちらっと取り上げたCDですが、エリザベス・ファーのラウテン・ヴェルク(ガット弦を張ったチェンバロ)による演奏でバッハのリュート作品全集です。バッハが所有していたというラウテン・ヴェルクなる楽器は実際どのような姿、構造だったか不明だそうで、鍵盤楽器だったことは間違いないでしょうが、今までにも録音物でいくつかの試みが紹介されてきました。
CD表紙の写真を見る限り、E.ファーの使う楽器は通常の二段チェンバロにガット弦を張ったもののようです。しかし真っ白な弦も一部あり、リュート用の合成弦(ナイルガット)にも見えます。まあ、金属弦よりは雰囲気が近づくというくらいで、音にはあまり関心ありませんが、鍵盤奏者がどう表現するかが興味あるところです。

bach lute farr
bach lute farr2

1曲目、組曲No.3 BWV995から、どこかリュート奏者を意識したような間を取りながら始める、最低音コントラGの響きが結構リュート風で深みがある。アレグロになっても突っ走らず、足元を確かめながら次へ進む、和音もリュート風に散らして弾く。さすが張られている弦数が多いだけあって、共鳴音が豊か。アルマンド以下、各舞曲の反復での装飾は鍵盤ならではの聴かせどころ。ガヴォット、ジーグでさえ、慎重な足の運び。原曲譜に従いG.レオンハルトのようなアレンジなしで、なかなか聴かせる。
2曲目、組曲No.1 BWV996はもともと鍵盤的な曲、しかしパッサジォに続くフーガはいかにもリュートで弾くように難しそうに間を取る;ブーレーやジーグもあまり急がずじっくり;
3曲目、組曲No.2 BWV997、プレリュードはリュートらしい魅力の曲だが、ここではあまり粘らずさらりと、別の角度から聴かせるようだ、でも少しぎくしゃくした味も加える。次のフーガはリュートにとって難曲、これもわりとさらりと行き、曲の構成を聴かせる。最後のジーグは慎重な速度だが、じりじり迫る感覚があって良い。
4曲目、前奏曲、フーガ&アレグロ、この曲はいかにもリュート風の味わいを付ける、プレリュードはフレーズごとに溜めを入れる。フーガはリュートではちょっと困難な速度、少しぎくしゃくさせるがここは鍵盤の強みでフーガの構成を聴かせる。アレグロは鍵盤ならもうちょい速く弾くところ、リュートやギターでもある速度、意外なほど間を入れる;しかしこれにハマってくるので音楽的なんですね。「まあ、落ち着いてじっくり聴いてョ」という感じ^^
6曲目、フーガBWV1000は、あくまでリュート用に編曲された版(タブラチュア)で演奏する凝り様、フーガ部も喜遊部も整然と弾く中にも、次のしっかり聴かせたい音の前に間(溜め)を置く、あくまで音楽的効果のリズム的快感の妙技。
7曲目、組曲No.4 BWV1006a、おなじみ無休動のプレリュードはリュート的速度、なんとも味のある進め方、音の粒が揃ってしまうチェンバロでさらっと弾いたら味気ないでしょう。ブーレーやジーグも意外とゆっくり、反復での装飾が十分聴きどころ。
なお、追加されたBWV964とBWV990もラウテン・ヴェルクの金属的でない響きがよく合うようで魅力的。

category: J.S.バッハ

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歴史的響き・ガット弦  

久しぶりに楽器の話題です。
A.セゴビアがギターにナイロン弦を使って以来、ギターはナイロン弦が常識、その後リュートにも通常はナイロン弦という流れになりました。ギターについてはナイロンを張る想定で楽器自体が開発されてきたと思いますが、リュートは本体だけ歴史的に作られ、それにナイロンを張っています。不合理ではあるのですが、今の演奏環境からして、弦の耐久、調弦の安定を優先してナイロン系を使うのが殆どです、私も普段はそうです;ちなみに下の写真はガット系の3種

ガット弦
①プレーン・ガット:羊腸を依って乾燥させ、研磨して太さを整え、オイルを染ませたもの、高・中音用
②ヴェニス・ガット:羊腸を縄状に巻き合わせ、太くしたもの、低音用
②ローデド・ガット:羊腸に銅化合物を染ませ、重さを補充したもの、低音用


歴史的リュートは初期は6コースで合計張力もさほどではなかったですが、バロック期は11~13コースという2倍程の数になります。楽器本体の強度はほとんど変わっていないので、全体に張力を下げないと楽器を破損します。バロック期のリュート奏者の絵ではほとんどがブリッジ近くを弾いていますが、緩い張力に対応した弾き方でしょう。

lute弾弦
バロック期、リュート奏者の右手

またバロック期のリュートの表現は左手による装飾音など繊細なものとなり、緩い張力が奏法にも好都合だったはずです。ガット弦は伸び率の少ない性質なのでエネルギー損失が少なく、緩くても鳴るんですね、よってガット弦の使用を経験するのはとても意義があります。
ただし、注意が要るのは張力の設定で、ぐんぐん伸びて細ってしまうナイロン系と同じつもりで選んではいけない、70~80%はじめから緩いものを選ぶことですね。あるいはピッチを下げて緩くするかです。

gut01.jpg
6コース・ルネサンスリュートにガット弦を張ったところ、ちょっと強めです

gut02.jpg
11コース・バロックリュートの低音にローデド・ガットを使用したところ、緩めですがナイロン芯の巻弦より図太く、力のある鳴り方です。

録音では以前レビューしたN.ノースのヴァイスのCDなどでその響きが味わえます。

category: 楽器について

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再版盤の音質  

一昨日レビューしたばかりの、カラヤン&BPO(1962年)のベートーヴェン第七ですが、再版のD.G LIMITED EDITION盤が気になって、置いてある店を憶えていたので、まず寄ってみました、予定通り購入v、もう一軒ショップをハシゴしようと思ったら、地下鉄で人身事故があったそうで一時運休、大変な混雑だったので諦めて帰ってきました。

be sym7 カラヤン新

さて盤面を見ると、旧盤とは異なるカッティング、未聴盤らしくきれいな状態、期待して針を乗せてみる、やはり期待どおり、新録音かと思えるほど音の粒子が細かくなったようで、全体にもふくよかなバランスでじつに良いオーケストラ・サウンド。旧盤は骨太でやや粗い、昔ながらのD.Gらしいサウンドで、LIMITED EDITIONシリーズは70年代の向上したカッティング、バランス技術で再版されているようです。

DG新
D.G LIMITED EDITIONシリーズ

ほかに、アルヒーフの名演を再版したシリーズもたぶん全て新たなカッティングで、同様に音質が向上しています。書籍などは初版本に価値が付きますが、LPも折りたたみジャケット時代のものは風格はあります、が中身が向上していれば兼価盤ジャケットでいいですね。

アルヒーフ新

category: オーディオ

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J.S.バッハ パッサカリア(&フーガ)ハ短調 BWV582  

さあ、明日から正月休みのおまけ、しかし寒くなりそう;

バッハをはじめ、オルガン曲というのに久しく触れていなかったです。意外に最新の名演盤というのが出てこないんですね?私はパッサカリアやシャコンヌという形式が小規模ながらリュート音楽にも多く出てくるので好きなんですが、中でもバッハのBWV582が凄い。1710年頃の作品、まずテーマがいい、このテーマの原作はフランスの作曲家とのこと。
曲構成はWikipediaに詳しい解説があります。音楽というのは100%人間がこしらえたもの、しかし人文学を越えた音の自然法則があり、バッハは最高の研究者にも思えます。
まずはトン・コープマンの演奏から、録音は教会の響きのよく入った音空間の素晴らしいもの。

コープマン org
トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
トッカータ、アダージョとフーガ ハ長調 BWV564
パッサカリアとフーガ ハ短調 BWV582
トッカータとフーガ ニ短調 BWV538「ドリア調」
トリオ・ソナタ 第1番 変ホ長調 BWV525   etc
org:トン・コープマン 


足鍵盤の低音で深々とテーマが始まる、リード管の鋭い響きで変奏が始まる、装飾を多く散りばめるコープマンだがここではあまり目立たずバッハを誠実に組み上げる。
変奏が進むにつれ声部が厚くなったり、足鍵盤が休みになったり一時沈静化しては、さらに凄い変奏に入る、三連符の切迫感、足鍵盤の細かい動き、足鍵盤は演奏に好都合なジグザグの旋律となるが、これが力強い躍動感となって引き込む、パッサカリアが終わりそのまま変奏の続きのように同テーマのフーガに入る、バッハの霊感が最高潮に高まって壮大に終わる。

もう一つ興味深い、ペダル・チェンバロによる演奏。これはだいぶ以前、アメリカのアウトレット・ショップから取り寄せたCDでカタログに書かれた"Pedal Harpsichord"という表記が目に付き注文してみたのですが、これが当りでした。ペダル・チェンバロはオルガン奏者の練習用であったことも確かですが、この録音、ダグラス・アムリンによる演奏はチェンバロ音楽らしい要素も加えた名演だと思います。楽器は別体に作られた足鍵盤部に通常の二段鍵盤チェンバロを載せたものです。歴史的楽器で録音は鮮明、ナチュラル。

bach passacaglia b
Fantasia and Fugue in G minor BWV 542
Meine seele erhebt den herrn BWV 733
Toccata and Fugue in D The Dorian BWV 538
Prelude and Fugue in G major BWV 541
Prelude and Fugue in E flat major BWV 552
Passacaglia in C minor BWV 582
Pedal Cembalo:Douglas Amrine


足鍵盤によるテーマの響き、ゴトゴト機構音を伴いながら長い余韻を持ち、なかなか雰囲気が出る、オルガンのような音の変化がない代りにチェンバロ的な装飾を弾きながら気品にみちた表現で進め、オルガンの響きに少しも引けを取らない充実感、整然と進む足鍵盤のバスに対し、手鍵盤声部でリズムの伸縮を行う妙技も聴かせる。またペダル・チェンバロで弾くと、音が持続して重なるオルガンよりも声部の動きが聴きとりやすい、足鍵盤の動きが速くなると、機構音が打楽器のようにアクセントとして聴こえ効果的、一段と躍動感がでてくる。フーガに入っても魅力的、最後はチェンバロ風の即興的な結尾部を挿入して、きらびやかに華を添えて終わる。
・・こりゃあオルガンよりいいかな・・

category: J.S.バッハ

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カラヤン:ベートーヴェン交響曲第7番 BPO 1962 LP  

雨があがって、またぐっと寒くなるようですが、今日はじっくり暖房して、LP盤もターンテーブルに載せて多少温まった状態で針をのせました。
今日はカラヤン&BPO、1962年録音D.G盤です、二つ折りジャケットの古いものですが、盤は問題なくノイズはありません。サウンドはD.Gらしい厚み、渋さと滑らかさがバランスした良い響き、ひょっとしたら、これも再版盤は新カッティングかもしれず、もっと良いかも?ちょっと気になるところ・・
先般レビューした1959年のVPO盤との聴き比べでもあります。録音の質がだいぶ違うので比較し辛いところもありますが、

カラヤンbpo be sym7
1962年、ベルリン、イエス・キリスト教会

第一楽章、序奏の開始はたっぷり尾を引く鳴らし方、ここからVPO盤とは変わった様相、速めでレガート感覚も増した、カラヤンらしい演奏が完成した印象、主部もレガート基調の推進力、速いけれどコントロールされ尽くしたしなやかさと、強弱の彫りの深さがある。フリッチャイのじっくり溜めを入れた演奏と対照的でぐいぐいと進める。
第二楽章、アレグレットは速いが低音の始まりから音をひじょうにレガートに繋ぎ、速すぎる感覚を押える、最高潮でのBPOのvl群の響きは流石に高貴で見事。コントラバス群もたっぷり響かせ懐深い楽章にする。
第三楽章、速めだが極端という感じはなく、スケルツォのキビキビしたリズムが心地良く決まる、フォルテではtimpを粗野なまでに打ち、強弱を目いっぱい取り、雄大な楽章にする。
終楽章、始まりからいきなり限界的な急速、これはVPO盤よりさらにキレた感じ、しかしBPOはほとんど乱れなく、ビシっと締める、弱奏部分では若干テンポを緩め、クレシェンドで再加速する感じ、大抵、素早い演奏でtpは遅れぎみになるところ、そこもBPOはクリア、タイムラグのある楽器達もタイミングを狙った巧みな合奏でしょう、重厚さを失わず一糸乱れぬスーパー・オケぶりは流石。

category: ベートーヴェン

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銀河ウォッチング  

ハッブル宇宙望遠鏡の捕えた幾多の画像は一日見ていても飽きません、特にギャラクシー・ウォッチングが好きです。先日、M104(ソンブレロ銀河) に似た銀河は記憶にないと書きましたが、あるもんですね、これはNGC7049、

ngc7049.jpg
NGC7049

1億光年の距離にあるそうですが、バルジというか楕円銀河部分の規模が大きく、ガスを含む渦巻きがリング円盤に近い状態ですっぽり内部に収まっている、M104と同じような形成過程があったかのように見えます。他にも同タイプと思われる銀河があり、銀河と、銀河間空間の境目がはっきりしないほど星の数が物凄いです。なにかエネルギッシュに感じます。

下は地上望遠鏡の頃からお馴染みの姿、エルダヌス座のNGC1300、棒渦巻型銀河の代表のような眺めです。どうしてこんな形になるんでしょう;元々の回転面と違う角度に反れて廻りだしたような??

ngc1300.jpg
NGC1300

我々の天の川銀河もちょっとバルジが伸びた棒渦巻型だそうですが、これも銀河合体の結果ですね、ハッブルで見たNGC1300はバルジの中心に向けてガスの暗黒帯が伸びているのと、中心にもガスの渦か?なにやら構造が見えますね。

category: 科学・自然・雑学

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カラヤン:ベートーヴェン交響曲第9番「合唱」1962年LP  

年明けの第九です。
だいたいの内容は憶えていたつもりでもじっくり聴いてなかった、カラヤン、BPOの1962年録音です。これもD.G LIMITED EDITION、もしかしたら先日のK.ベーム、BPOの第七と同じく、カッティングし直したものか?こちらは旧盤を持っていないのでわかりませんが、80年代デジタル期に録音した第九より良いのではないか、と思える再生音です。しなやかで味のある弦の響き、透明感のある金管、ベルリン、イエス・キリスト教会での好録音が一段と冴える感じです。D.Gの二つ折りジャケット時代の盤より、カッティングも新たにした再版盤が狙いどころかも。

カラヤン be sym9
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮、ベルリン・フィルハーモニーO
S:G.ヤノヴィッツ A:H.レッセル T:W.クメント Br:W.ベリー
1962年 ベルリン、イエス・キリスト教会


第一楽章は激しさもありますが、流麗な楽章だと思います、キメ細かい弱音で始まる、いつも通り速いテンポ、速いけれどレガートでBPOの一糸乱れぬ合奏が、次へ次へと追い被さるように推進して行く、ぐっと弱音に抑え、じわっとしたクレシェンド、強弱の起伏も高速機の下降、上昇のように空を舞う感覚で、まさに流麗。展開部の怒涛も存分に聴かせる。
第二楽章、小刻みで速いが、緻密な合奏でスケルツォの切迫感を聴かせる、トリオの部分では幾分速度を緩め、対比を付ける。第一楽章とともにカラヤンならではの魅力が聴かれます。低音楽器や一部の管楽器など音の立ち上がりにタイムラグのある楽器はその分タイミングを速めるなど絶妙の合奏コントロールなのでしょう。
第三楽章、2つの主題を持つ変奏曲だが、ドラマティックな構成も取る、ここはアダージョらしくゆったりと演奏、フルトヴェングラー、あるいはフリッチャイのようなインパクトはないが整った美しさ、BPOの美音が一際神聖な楽章として奏でる。
第四楽章、乱奏的に始まり、バス弦のレシタティーボとなるが、BPOスーパー・コントラバス群団が深々と響く、LP1枚に収めた第九ながら充実したサウンド、歓喜のテーマは低音部から速めのテンポでぐいぐい積み上げ、声楽部へ入る。W.ベリーのバリトン独唱が始まるが、あまり張りつめず落ち着いた感じが良い、G.ヤノヴィッツのソプラノはきりっとした歌声で4人の重唱を引き締めるように聴こえる。テノール独唱の後、しばしオケの演奏となるが、ここは急速にせず、闊歩するように力強く聴かせる。バックの合唱はライヴでよくある大人数ではないでしょう、オケ、独唱、合唱のバランスが良い、録音音楽ならではの良さかもしれません。

category: ベートーヴェン

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G.セルシェル:11弦ギターによるバロック  

昨日は町内で葬儀があり、斎場の受付の手伝いをしてきました。年末年始に亡くなる方が続き、お寺さんは時間刻みで予定びっしりだったそうです。
今日は休みの最後、おもいッッきりのんびりするつもりが、いつもと変りなかったです;

今日はイョラン・セルシェルの11弦ギターのアルバム、たしか古楽器じゃないギター演奏のレビューは初めてだと思います;たまたまカーラジオから聴こえてきたバッハ、G線上のアリアのギター編曲が見事だったのでさっそく注文した記憶です、単に名曲集じゃない内容にも満足。

セルシェル 11cg2
セルシェル11g a

選曲は馴染みの名曲に、リュート奏者さえ見逃していた隠れた傑作を交互に取り上げた、セルシェルらしい内容です。
1.はヴァイスのパッサカリアで11弦の深い響きに引き込む。
2~のパッヘルベルの組曲嬰ヘ短調がなかなかの魅力で光っている、アルマンドからヴァイスも及ばない色香を放つ、セルシェルは深い溜めを入れながら魅力を深める、サラバンドの和声進行も味、ジーグはリズム取りが快調。
7.バッハのG線上のアリア、これはオクターヴ跳躍のあるバスラインはそのままの形がいい、6弦ギター編曲譜ではそこができないし、ほぼ主旋律を弾くのみの簡易な編曲が多いが、セルシェルは内声旋律もほぼ弾き通す編曲で聴きごたえがある。じつは11弦ギターとアーチリュートは同じ調弦、自分でも編曲に挑戦したが、"弾ける楽譜"が作れず、断念^^;
続いて8.おなじみペツォルトのメヌエットを美しく弾いて和ませ、9~はBWV1001をじっくり、この曲は最初のアダージョが好きで、奏者がどう表現するか楽しみ、セルシェルは拍節の伸縮、強弱など巧みで撥弦楽器にふさわしい呼吸はさすがお手のもの、フーガ以後も気品良くまとめる、もうちょい武骨な味があっても好きですけどね;
ほかにも15. E.G.バロン、17~ J.A.ロジなどリュート奏者も録音しない作品を紹介している。
21.ヴァイスの「ロジー伯のためのトンボー」も11弦の深みを活かし、セルシェルなら当然と思える名演、装飾音などリュート音楽をよく研究しているのが覗える、ギターの音の美質とリュートに勝るダイナミックレンジも効いています。

category: その他・バロック

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ヘッドフォン  

今日はずっと使っていなかったヘッドフォンでも聴いてみました。ヘッドフォンというのは音にクセを感じるものが多く、クラシックではまずvl属の響きが自然でないと使えません、妙に金属質だったり、モコモコ籠ったり、帯域がアンバランスなものもあります。必要なければ使わないのですが、スタジオ・モニターのSONY MDR-CD900ST はノーマル音質でフラット・バランス、スピーカーの再生音に対し大きな違和感がなく、値段も手ごろなので持っています。

MDR CD900STa
SONY MDR-CD900ST

密閉型で、耳とイヤーパッドで作られる空間が音作りに関わってきます、髪の毛はかき分けてぴたり頭にくっつけて性能発揮、イヤーパッドがヘタってきたら別売の予備に交換です。
いくつか馴染みの音源を聴いてみましたが、特に細かく聴こえるというわけじゃなく、落ち着いた音質で中低域にほどよく量感が付きます。聴きづらさのない音といいますか。
でも、スピーカーで聴くのがやはり一番です^^;

PS.イヤーパッドに汗が付くと表面の劣化が早いので、スピーカー用のサランネットを被せています、内側に緩くたるませて輪ゴムで止めれば耳にフィットして音にも影響ないようです。
まあ、なしでもよいですが;
サランネット

category: オーディオ

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O.スウィトナー:モーツァルト交響曲No.38「プラハ」 PCM LP  

今日もサウンドの素晴らしい盤に針を下ろし楽しんでいます。過去にもレビューしたオットマール・スウィトナー指揮、N響のモーツァルト交響曲第38、36番のLPですが、38番「プラハ」をあまり聴いた記憶がなく、あらためて聴いたしだい;これもPCM録音。

アポロ11号で月に人間が降り立ったというのも夢を実現した瞬間で感動しましたが、それ以上に感動したのはボイジャー1号、2号が送ってきた木星から海王星までの各惑星や衛星の接近画像です、木星の美しくもあり怖いような大気の迫力から、土星の漆黒の宇宙を背景とした繊細なリング、最果ての大惑星、海王星の幻想的な青さなど壮観の極み。また各衛星たちも、たぶん月や水星に似たクレーターだらけの天体だろうと予想していたら、さにあらず、まるで天然の美術品の数々を見るようでした、人気どころはエウロパ、エンケラドス、トリトンあたりかな、私はガニメデとミランダも結構好きです;

ガニメデ ミランダ

これが極めて鮮明な画像で送られてきて、デジタル技術の勝利、ボイジャーのパラボラが発する電波は小さな電球1個分の電力だそうで、それでも劣化なく画像再生ができるんですね。
このデータ伝送技術をいちはやく録音に取り入れたのがDENONのPCM録音。磁気テープのアナログ録音と違い、経年劣化することもない、永久保存可能なマスター音源です。この音源からアナログ盤を作るにあたっては、カッティングやプレスの技術も今まで以上でないと、優れた音源も意味がないわけで、すべてDENONが水準を上げた完成品となっているわけですね。これならアナログ盤時代がもう少し続いてもよかったと思えます。

sut moz 38
1979年録音 荒川区民会館
オットマール・スウィトナー指揮、NHK交響楽団


さて、スウィトナーの「プラハ」、オーケストラが一つの優れた楽器のように響きます。純白の画用紙に色彩を重ねたような自然な音色、終楽章まで歪まずクリアに聴ける、荒川区民会館の響きの特長まで感じる。
第一楽章、序奏は速めのテンポをとり、さらりと進める、荒川区民会館は高域の反射が緩めで穏やか、量感たっぷりのバス部とティンパニが押し寄せ、やがてvl群がくっきり爽快に響く、ここで並みの録音ではない鮮やかさを感じる、主部も速めのテンポをとり、力を抜いた大らかな進行の中にきりっと粒立った各声部の音、まさにスウィトナーらしい美質で聴かせる。展開部の溢れ湧く充実した構成もきちんとバランス良く整理されて聴こえてくる。
第二楽章もあまり遅くせず、爽快な表現、甘く粘っこい演奏は嫌気がさすが、スウィトナーの美質はここも素晴らしく聴かせる。
第三楽章、軽快なはじまりで、ここも速めでさらりとした表現、展開部は対位法的でかなり迫りくる内容で聴きどころだが、そこは十分な力感をもって聴かせる、それでも清潔な響きを保つ。
これも希少な名盤です。

category: モーツァルト

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K.ベーム:ベートーヴェン交響曲第7番 BPO盤  

今年の休みは長いけど、あっと言う間に過ぎそうです。
正月気分で、馴染みの名曲を聴いています。過去にもレビューしているカール・ベームのベートーヴェン交響曲第7番、BPO盤ですが、1958年録音D.グラモフォンの名盤、長く持っていた1枚はもう40年ほど経つものです、何度聴いたかわかりませんが、盤状態はいまだ健在。

ベーム be sym7a
1958年 ベルリン、イエス・キリスト教会
recエンジニア:ハインリヒ・カイルホルツ


下は予備として購入した同録音のD.G LIMITED EDITION、VPO盤はよく出ていますが、BPO盤はちょっと希少ですね。コリオラン序曲が追加されていて、新たにカッティングされたプレス原盤です。カッティング・マシンの性能やバランス技術がアップしているとしたら、良音質も期待できそうです。幸いこの盤も新盤状態。
聴いてみると旧盤よりvl群の音がキメ細かいようで充実した味わい、理想の弦楽サウンド、低音もゆったりとして量感は十分、音場の広がり感もよく、名録音がさらに磨きかかった感じです。これは良い!LIMITED EDITIONシリーズは結構狙い目のようです。

ベーム be sym7b

演奏は何度も聴いていながら、新たに気付くこともあるもんです。
第一楽章、序奏は程々の強奏で引き締め、ぐーっとクレシェンドして雄大にするところが何度聴いてもすばらしい、主部は普通くらいのテンポでじつに堅実、設計図どおり寸分違わず構築したようで、踏み込んだ表現はないが、飽きることのない完成度。
第二楽章、不滅のアレグレットはゆっくり、感情移入は七分目くらい、冷静な一面も感じさせながら端正に進めるところが、かえって引き込まれる。
第三楽章、スケルツォも急がず、深い強弱で立体感のある充実した楽章にする。
終楽章、熱狂的な楽章も速すぎるテンポを避け、一点の綻びもないほどに厳格に決める、姿勢を正される気分。C.クライバーの終楽章もたまにはよいが、ベームなら飽きることなく聴ける。
最後のコリオラン序曲もベームの表現がぴったりくるようで良い。エグモントはフリッチャイ、コリオランはベームが最高v

category: ベートーヴェン

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N.ノース:ヴィゼ テオルボ、ギター&リュート作品集 LP  

謹賀新年

さりげなく年が明けました。今年も多くは望みません、ぼちぼち、ほどほど、のらりくらりと何とか過ごせればいいです。皆様よろしくお願いします。
今日はまた、息子と一緒に名古屋の街をほっつき歩きました。大手百貨店以外は元日休みのようで地下街も軒並みシャッターが締まっている。初売りは明日のようで、電車も道も込み合っていないのは助かった。いつもと違う中古ショップは営業していた。特に初売りらしいことはなく普通の営業でした。ここはジャズ、ロック、ポップス系がメインの店、息子の買い物が目的で今日はなにも買わないつもりでいたが、クラシックのコーナーがちょっぴりあり、暇つぶしに覗くとポツリとこれがあったんですね、また盤が私を呼んだ?^^
リュート奏者、ナイジェル・ノースのデビュー盤、ロベール・ド・ヴィゼの曲集の英国盤が500円のコーナーにありました、"こいつぁ春から・盤"です^^v息子もお目当ての盤が意外にあったようで、気分良く食事して帰宅。

visee north
1978年録音 オワゾリール

レーベル面は国内盤より小さめで紫の色調が良い、メタル原盤も違うかも。ノース氏の写真が若い、最近はマカロニ・ウエスタンに出てきそうな髭をたくわえたおっさんですが;若くして完成期のような名演が聴けます。盤質は良好、この録音ではガット弦を使用のはず、針を下ろすとくっきりとして味わい深い音に驚きます。昔持っていた国内盤の記憶よりずっと良いような。
1面には14コース・テオルボの作品、クープランやリュリの作品からの編曲です、クープランのロンド-シャコンヌ、リュリの「ヴェルサイユの洞穴」序曲などルイ王朝の象徴のような気品あふれる曲は良いですね。
2面にはまずバロック・ギター、1面のテオルボでも演奏した「ヴェルサイユの洞穴」を今度はギター編でも聴かせます、このバロック・ギターのラスゲアート奏法が柔らかく爽快、これは理想の響きです。ヴィゼの作品は駄作というのがなく、どれを聴いても旋律美と気品があり、これは趣味・様式の勝利でしょうか。
2面の後半は11コース・バロックリュート、組曲嬰ヘ短調が深く魅力的、最後のジーグはリズムの気品ある取り方がとても良い。最後のムートン氏のためのトンボーが深い憂いを帯び、トンボーの代表格のような作品。
この盤でも3種の楽器を得手不得手なく見事手中に収めていて、実に器用な人でもある。
意外な所で探していた盤に出くわし、とりあえず良い滑り出しです。

category: リュート作品

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