Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

C.アバド:ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」  

C.アバドと言えば、以前はどんな作品も見事にこなすスーパー指揮者のイメージしかなかったのですが、ハイドンの交響曲シリーズが出たあたりから、受け止め方が変ってきました。しっかりツボを聴かせてくれるし、ピリオド演奏の利点も取り入れているようです。
BPOと録音したベートーヴェン交響曲全集も15年の隔たりしかないVPO盤とはがらりと違う新指向、オケ・サウンドを根本から築き直したようで、全楽章テンポが速くなり、軽やかで、健康的になったようです。カラヤンにもベームにもこんな変貌はみられませんね。演奏史上、重厚にエスカレートしたオケ・サウンドを見晴らしの良いものにして、楽譜の中の大事な音を弱音であっても明確に聴かせるべく制御している。第3番「英雄」もひじょうに好演です。

アバド be sym3
ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」
クラウディオ・アバド指揮、ベルリン・フィルハーモニーO
1999年 ベルリン、フィルハーモニー


第一楽章、2つの開始音にはぜんぜん留めを入れず、すんなり快速に主部へ入る、弱音基調の中の柔軟なデュナーミク、ダイナミクスはズバっと入れるがクドくない、スっと収めるスマートさ、提示部から各木管や内声弦の動きがくっきり聴ける、ブラスも強烈に鳴らさず透明、timpの存在が際立ち、ダイナミクスの効果も十分。長い展開部の後、再現部でさらに盛り上がる、長丁場で着々と積み上げた内容が一気に全開となって終わる。
第二楽章もかなり弱音で始め、弦が主題を歌うというより、しみじみと語るように表現、ここもVPO時代とまったく違う、豪奏にまで至らず、心地よいダイナミクスを聴かせる。フーガに入ってもあまり力まず、清涼に音を重ねる。木管のハーモニー、あるいはホルンの低音、終番での鋭いtimp、各パートの主張している響きを明確に聴かせる。
第三楽章、弱音だが快速で小気味よくリズムが始まる、ぐっとフォルテに持っていく、トリオのホルンはやや粗野でナチュラル・ホルンを思わせる輝き、ふたたびスケルツォの心地よさを聴かせ、鋭い輝きで終わる。
終楽章もかなり速い、乱奏的始まりは切れ味鋭い、続く弦楽の弱奏は気体の漂うようなデリケートな響き、フガートの部分でも弦楽、木管、各パートが見渡しのよい音の重なりを織りなす、和音の響きも良く最後まで濁った音塊を聴かせない。ホルンが高らかに主題を奏するところ、ここも粗野な輝き、付点リズムをちょっと強調したりするのがいい、終結も切り立った響きで痛快。

category: ベートーヴェン

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昔の趣味:平安仮名  

独身の頃はいくらでもヒマがあったのでいろいろやりました。仲間と望遠鏡積んで、郊外に出て天体観測などもよくやりました、真っ暗な場所でごそごそやっているので、警らのお巡りさんに職質されました;
若者ならフォークやアコギが普通だった頃でしょうね、古楽が普及した今なら別ですが、当時リコーダーなんかに興じていたのは私くらいです;

一応先生についてやっていたのはお習字です、字が下手すぎたのではじめは実用書道のきちんとした字を習っていましたが、やがて興味を持ったのが平安仮名、昔は「女手」とも言われた仮名文字で、今もご婦人方に人気の雅びな書です。これにはまって、実用書道そっちのけになりました。流麗な線の運びには音楽にも似た美しさがあります。平安期の書家のファクシミリをひたすら真似て書くのが楽しみでした。もちろん仲間はできない、

粘葉本和漢朗詠集
左、粘葉本和漢朗詠集(ファクシミリ) 右、真似した字

左のお手本は完璧な書です^^;時を超えて偉人に接するようで、タブラチュアのファクシミリを見てリュートをまさぐるのと似た感覚です。
楽器でも鍵盤やギターがきちんと弾けて、歌の伴奏でもできれば、いろんな場で役にも立てますが、どうもそっちの方向には行かない性分で、実用云々より、好きなことが優先です(笑)

category: 科学・自然・雑学

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スンドクヴィスト:J.M.クラウス 交響曲第4集  

歴史の陰に隠れていた実力派作曲家、ヨーゼフ・マルティン・クラウスを優れた演奏で知らしめてくれたのはNAXOSレーベル、P.スンドクヴィスト指揮、スウェーデン室内Oでしょう、第1集から魅了されました。最後の第4集はすでに傑作を録音してしまったので、落穂拾い的内容かと勘違いしていましたが、さにあらず、聴きごたえのある作品をとってあったんですね。第4集の交響曲はさらりと聴ける内容ではなく、彫が深い、対位法を駆使し、大きな構造の中に緻密な構造を組み込んだ味わいたっぷりな作品です。

1. 教会のためのシンフォニア
2. 交響曲 ヘ長調 VB145
3. 交響曲 ニ長調 VB143
4. 交響曲 変ホ長調 VB144~ラルゲット(第2のヴァージョン)
5. 議会行進曲
(録音: 2000年5月 スウェーデン、オーレブロー・コンサート・ホール)

kraus sym 4

1. 教会のためのシンフォニア
単一楽章ですが、序奏をもつソナタ形式、tp、timpを伴った祝祭的な序奏に始まる、主和音の間を上下するような動機で主部が始まり、いきなりフーガである、バッハの管弦楽組曲序曲とソナタ形式の交響曲が融合したみたいな、提示部から対位法で満たされ、展開部のような凝り様、本当の展開部はどうなるのか、やはりフーガは続く、転調で深みへ持っていく、一旦終息、休符を置いて再現部へ、複雑な作品をスマートに終結。

2. 交響曲 ヘ長調 VB145
第一楽章、味わいのある序奏を持つが結構長大な楽章でもある、しかし無駄な長さではない、すっきり素朴な動機、大きな動きの中に素早く切れ味のよいパッセージを内包するのが非常に聴きごたえあり、やはり対位法が多用され、展開部での複雑で手の込んだ充実ぶりはそう簡単に言い表せない、再現部、終結部まで気の抜けるところがない。ハイドン先生でもここまで徹底した曲はないかもしれない。
第二楽章、親しみやすい歌謡調の主題の変奏曲、美しいフルートのソロも入れば、短調でバロック風の弦楽を聴かせたり、ほかでも聴いたようなありふれた変奏は聴かせない。
終楽章、ハイドンを思わせる、ロンド風ソナタ形式か、小刻みな音形で快調に進む楽章で、彫の深い第一楽章と対照的。

3. 交響曲 ニ長調 VB143
序奏を持たず、主部の複雑な構成はVB145と同様だが、爽快な流れも持つ、対位法の部分を置き、流麗な部分で繋ぐような。展開部の入りからゾクゾクするような期待を抱かせ、応える、複雑な構成、キレキレの推進力、予測のつかない技が最後までくり出す。
第二楽章、ほっと一息つかせるような主題の変奏曲、が、なかなか優美に発展していく。この曲でも フルート・ソロが入るが、いかにもクラウスらしい旋律の冴えがあり、独特の趣を放つ。
終楽章、ロンド風だが、ここがまた対位法的でVB145とは違う充実ぶり、弦楽が延々とフガートを聴かせるが、適度なところで流れをかえて変化のある構成にする。終結がもったいぶらず、あっさり終わる。

4. 交響曲 変ホ長調 VB144~第二楽章ラルゲット(第2のヴァージョン)
シリーズの第1集に入っていた交響曲VB144の第二楽章は短調の美しい楽章だったが、当盤で第2ヴァージョンが紹介されている、こちらは長調でまた美しい、単独に聴いても良いほど。

category: J.M.クラウス

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昔の趣味:リコーダー  

私が一番長くやっているのはリュートですが、始めはギターでした、しかし、クラシックギターの主なレパートリー、タレガ以後に自ら取り組む気が起らず、自分が好きなのはバロックだったので、ふとリコーダーを吹いてみたくなり、A=440のプラスチック製で独学練習を開始、いつの間にかアルトリコーダーの運指を覚え、楽譜を見れば大方、指が動くまでにはなりました(今は完全に忘れましたが;)、ギター仲間に伴奏譜を渡し、ギターそっちのけで、バロックの小品を楽しんでいました。しかしその先へ続くには独学じゃ無理で中断、今一本持っている楽器も記念的コレクションにすぎません。上手く吹ければ魅力なんですけどね;

タケヤマ リコーダー
竹山 アルト(メープル)A=415 

幼少のころから、おそらくラジオ放送で耳にしていたバロックのリコーダーの音には理屈抜きの愛着があり、学校で吹くリコーダーとはまったく別物でした。今でもヘンデルやテレマンのリコーダー作品は魅力な鑑賞対象ですし、バッハのブランデンブルク、2番と4番もフルートが代奏しているのは好きじゃありません。
その後もギターに本腰を入れることなく、リュートを手にしたしだい、リュートへの思い入れはリコーダーとは違った角度からになります、これは大人好みの音でしょう。タブラチュアを読む、というのもいつの間にか自力で馴れていました、好きなことはこんなもんですが、好きじゃないことは百回教えられても覚えられません^^;

category: 楽器について

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S.ラトル:ベートーヴェン交響曲第6番「田園」  

ベートーヴェンの交響曲の奇数番は確かに本腰を入れた傑作ですが、偶数番はいわばスピンオフ的作品で、凝縮された内容はやや乏しいところもあるが、奇数番にはない魅力もあります、私的には8番が最も好きなのですが、一般には6番「田園」が人気でしょう、次が4番、最後が2番と。第10番も書きかけて絶筆になっているそうですが、完成しなくてよかった内容みたいです。

さて、ラトルの「田園」を聴きました、ラトルのピリオド演奏によって、VPO伝統の魅力が影を潜めているかというと、そうではない、弦楽に集中すると、ヴィヴラート控え目とはいえ、ちゃんとVPO伝統の味わいが聴こえる、弦の弓奏位置、弓の力のかけ具合などで音色は変ってきますが、とても微妙なテクニックでしょう、団員全員がこのVPO伝統の奏法を引き継いで、血の通った絹の感触のような響きを奏でます。
第6番に関してはラトルのテンポ設定は意外にオーソドックス、終楽章はさらにゆっくりです。レガートで情感深い表現が多く、先日のアバド&BPOのほうがずっとピリオド指向に感じます。

ラトル be sym 6
ベートーヴェン交響曲第4番、第6番「田園」
サイモン・ラトル指揮 ウィーン・フィルハーモニーO
2002年 EMI


第一楽章、聴きなれたテンポで開始からとてもしなやか、rit表現もじんわりと息が長い、この曲では流線美を印象づけます。ppはかなりの弱音を使い強弱の起伏を大きく取るのはラトルらしい、各パートの見通しのよいバランスはいつもどおり、VPOの美音を活かし、ピリオド奏法でありながら、全般には旧来的なまとめ方にも感じる、終結でも意外なほど息の長いritを行う。
第二楽章、テンポは普通くらい、遠方からの響きのようにかなり弱音で始めるが、楽章全体にも弱音傾向、弦は適度なヴィヴラートを入れる、ここはVPOだと感じる弦楽サウンド、弱音でぐっと引き付け、清涼にクレシェンドする。最後の鳥の声、flは遠方、ob、clarは近く、と立体的、終結もじんわりritして終わる。
第三楽章、スケルツォは標準的テンポだが、ピリオド・オケ的な切り立った表現となる、金管も透明で鋭さを出す、2拍子の舞曲に入る前の低音弦の加速に迫力があるのはアバドと同じで効果的、舞曲は極めて活気を帯びる。やがて雨粒が落ち始め、遠くから雷鳴が聴こえ出す。
第四楽章、嵐の勢力は"強い"といったところ、先日のアバドは"非常に強い"クラスだった;ラトルは嵐の中でも弦楽の味のある運弓を聴かせる余裕がいい、これが結構重々しく、被害が出そうな嵐だ^^
終楽章、かなりゆっくりテンポ、厚い響きではないが、VPOの極めつけといえる弦の美音がレガートに始まると感動的、vaの内声も味わい深い、VPOサウンドを新時代的に見事活かした演奏かもしれない。最後の夕べの祈りの情景ではさらにテンポを落とし、強弱の懐深く、終結もじっくりritして終わる。
EMIの録音はくっきり、ナチュラル。

category: ベートーヴェン

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B.ハイティンク&クリーヴランドO:ハイドン交響曲第86番 CD-R  

ハイドンの魅力を結集したような交響曲第86番、1976年のハイティンク指揮、クリーヴランドOのCD-Rが届きました、以前レビューしたハイティンクのSKDを振った86番も屈指のお気に入り盤ですが、今回はクリーヴランドO、ってところに興味が湧きます。録音は放送用のテープで、古い磁気テープの弱点、ヒスノイズ、ワウフラッター、左右チャンネルのふらつき、がそのまま出ていますが、それを飛び越して演奏の覇気が伝わってきます。ドイツより、アメリカの聴衆の前のほうが指揮者もエキサイトするのかもしれません?^^ハイティンク47歳当時の演奏、まだまだ若々しいでしょう。2004年のSKDとの演奏は新時代感覚でしたが、当盤は70年代らしさも感じさせます、ハイティンクもアバド同様、進歩を見せますね。

hai hay sym86
ハイドン 交響曲第86番 1976年
マーラー 交響曲第9番 1973年 
ベルナルト・ハイティンク指揮、クリーヴランド管弦楽団


ハイティンクの演奏はいつもながら、余計な飾りっ気なく、純粋な感覚、ハイドンの演奏には理想的です。端正に整いながら、ガツンと来てほしいところもちゃんと心得ている。

第一楽章、序奏はクリーヴランドOの豊かな美音を聴かせるようなレガートな表現、ダイナミクスはズンと押し出す、主部は一転して快速、覇気にあふれ、弦の清涼な響きとずしっとくる力感で、アメリカ・オケ的な魅力も拾い上げている気がする。展開部ではさらに迫りくる、展開部の終わりの決めっぷりも痛快、再現部ではオケ側も気合いが入ってきたように聴こえる。
第二楽章、SKDとの演奏よりはゆっくりのテンポだが、普通くらいでしょう、クリーブランドOのふくよかな弦の響きを聴かせる。しかし、のっぺりと流れる緩抒楽章にはしないのはさすが、構成感を捉え、短調の部分ではハイドンならではのファンタジーをよく表現する。
メヌエットも後年よりはややゆったりして、70年代風の感覚もある、クリーヴランドOのダイナミックサウンドで切れ味のあるメヌエット、トリオでの穏やかな気分との対比が際立つ。
終楽章、ここは快速、極めつけ、エネルギーをまとい、迷いなく快進していく、ライブならではの熱気に包まれ、さすがのハイティンクも冷静沈着の域からちょっと踏みだして勝負しているかように感じる、が、ちゃんときめているv

当盤もハイドン音盤倉庫Daisyさんのレビューで情報を得たもの、こちらもリンクします。
ハイドン音盤倉庫、ハイティンク/コンセルトヘボウ管の奇跡、99番(ハイドン) 

category: F.J.ハイドン

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C.アバド:ベートーヴェン交響曲第6番「田園」  

アバド&BPOのベートーヴェン交響曲は揃えてなかったので、「田園」を聴くのもこれが初めて、やはりVPOとの旧盤との違いは大きく、新感覚の演奏、各楽章テンポは速まり、第一楽章、第二楽章は弱音基調なので、ボリュームは上げ過ぎないで聴く必要があります。かつてのBPOの厚くしなやかな響きで満喫させる方法から脱し、透明感のある響きで、各パートを明確に、描写的な田園を描いていきます。録音はもはや、かつてのD.Gサウンド云々よりも、あくまでナチュラル・サウンドの方向ですかね、EMIもそんな感じですが。

アバド be sym6
2000年、ベルリン フィルハーモニー
↑もうちょっとジャケット・デザインを良くしてほしいところ、


第一楽章、弱音ながら、速めのテンポが活き活きとした感覚、強弱、音の切り方など室内楽的な緻密な表現で表題にふさわしい情景を連想させる。ソナタ形式だが、あまり構成を意識せず、自然な流れに心地よく身を任せるのみ。
第二楽章も速めでしょう、12拍子のリズム感も聴かせ、快調さもあるのがいい、あまりにゆっくりレガートでは大抵眠ってしまう^^;涼やかな風を受けながら遠方の景色を展望するような感覚、最後の鳥達の声も自然界らしい良い描写。
第三楽章、スケルツォ楽章らしく、速めのリズムが快調、ホルンが刺激的に吹奏する、2拍子に変り、舞曲に入る前のコントラバスが力強く加速して押し出すのが効果的、スケルツォに戻り、加速して次の楽章へと繋ぐ、
第四楽章、低音弦のぐっと弱音のトレモロが近づく嵐の不気味さを表現、いよいよ嵐本番、突然の雷鳴と突風が凄まじい、アバドは他に例のないほど脅威的に表現する、金管の豪奏、ティンパニの強打はまさに猛烈な風雨、近接落雷である、深い居眠りも確実に醒める^^;それでもコントロールの整った響きは見事。
終楽章、従来はオケの美音の聴かせどころ、とレガートに厚い弦楽をかぶせるような演奏が多かったが、アバドは自然体に戻した感覚、歯切れの良さも持たせ、響きも涼やかにまとめる。
第四楽章の飛びぬけた刺激とともに、これはお気に入りの「田園」となりました。

category: ベートーヴェン

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7c ルネサンスluteにガット弦  

matuoさんの新作7コースluteにガット弦を張るのは初めてだったはず、弦だけ購入して今日まで保留していました;いずれもaquila製で、5コースはV105、6コースの低音にV145、7コースの低音にC195を張ってみました。

matuo 7c

思っていたより、雰囲気出ます^^ガット弦に反応が良いのは好ましい傾向、一時Tさんよりお借りした、英国製リュートに近い感じだったので期待したのですが、やはり進歩している、これでちょっと楽しくなりそう。
私はバロックluteより前から手にしていたのにルネサンスが苦手で、フィゲタ奏法ってのが滑らかに出来ません、1コースなんかパシパシとうるさく、粒ぞろいの音にならない、以前はA=440にしていましたが、どうも甲高く指に硬い、その後415にしてきましたが、もうちょっと下げることによって、指触りが柔らかく、弾き易そうです。J.ダウランドなんか、低い落ち着いた響きが合うようですし。

category: 楽器について

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S.ラトル:ベートーヴェン交響曲第7番  

日曜日はNHK-Eテレで、クリスティアン・ティーレマン指揮、VPOのベートーヴェンを聴きました、VPO伝統の弦の美音も放送から伝わってくるようでした。第九の第3楽章など絶品ですね。全楽章、美音で貫き、VPOの弦のヴィヴラートは深くしない柔らかな肌合いが特長で透明感がある、声楽陣も同じく、一時代前の声を張り上げる歌唱ではなく、言葉を丹念に歌いあげるようでした。これも現代的な演奏の一つでしょうか。

さて今日はS.ラトル指揮、VPOのベートーヴェン交響曲第7番、ヴィヴラートを抜いたピュア・トーンですが、それでもVPOの滑らかさは聴こえてくるようです。弦、管のバランスから、編成は少し小さくしているかも、重々しい響きはないが、演奏のスケールは小さく感じない。

ラトル be sym7
2002年 EMI

第一楽章、序奏は意外にやんわりと始める、弦の上向音階を2度聴き、14小節目から総奏でぐっと加速、クレシェンドしてここで聴き手を掴む、このあとはエネルギッシュ、主部への繋ぎは弦と木管がデリケート、主部は快速で涼しげなサウンドをベースに、ブラスとtimpのパワーがダイナミクスを受け持つ、いわゆるピリオド・バランス。付点のリズムをレガートにしたり、鋭くしたり、変化を付けながらつねに浮き立たせるのが心地よい、かなりの弱音からクレシェンドするのは痛快、展開部も各パートを克明に聴かせながら、レンジの広い表現、再現部、終結もピリオド奏法ながらパワフルに聴かせて終わる。
第二楽章、テンポは聴きなれた速度、低音弦のテーマはリピートで極度にpppにする、ここで引き付ける、va、vlと引き継いで徐々にクレシェンドしていくが、ノン・ヴィヴラートでもやはりVPOらしい弦の美しさも際立つ、ブラス、timpが出るとシンフォニック。
第三楽章、速めでスケルツォの小刻みなリズムが心地よい、timpが鋭い打音を入れたあとのppの対比が大きく、彫の深さも魅力。トリオはあまり遅くせず、涼しげに流し、ダイナミクスは予想どおり鋭い、が耳に重たい響きではない。
終楽章、始まりは普通くらいのテンポ、提示部の終わりにかけてやや加速、展開部に入ってテンポを落ち着かせる、再現部から終結にかけて熱狂していくところで、思い切った加速、これは自然な推移でしょう。カラヤン、アバドは始まりから急速で圧倒するが、ラトルはテンポ加速の手法で痛快に終わる、フルトヴェングラーの血管切れそうな熱狂とは一味違う冷静なコントロールを感じる、あくまでオケ・サウンドは清潔を保つ。

category: ベートーヴェン

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過去の楽器達  

昔のデータを入れてあったCD-Rに過去に所有していた楽器の画像がありました、ちょっと懐かしい。私がリュートを始めた頃は、こんな楽器も出回っていた頃でした。
aria 13c

これはさておき;
本格的な楽器がほしいと、名古屋の加納さんに注文したのが、この13コース、
kano 13c
故障の心配などない、しっかりと作られたもので、音量はやや控え目でしたが、キメの細かい透き通った音で、バロックリュートに取り組む意欲が湧きました。

その頃はギターも少しはやっていて、リュートと両立できるよう、指頭で弾きやすい19世紀タイプを購入、石井栄さんのラコート・モデル、本格的な音を聴かせてくれました。
isii R
これでギター仲間の合奏にも加わり、汎用楽器となりました。

一方、良好なルネサンスリュートがなかったので、注文したのが、松尾さんの7コース、H.ゲルレ・モデル、
7c matuo1
短めの弦調で十分な音量の出るものでした。その後同モデルの新作に出会い、現在持っている楽器に買い替え、旧作より音に華があって進歩がみられます。
7c matuo2

楽器仲間の影響でバロックギターに手を出し、その独特の調弦法の響きに魅了されました、A.ホプキンス作、セラス・モデル
bg a h
G.サンスなどの易しい曲を弾きましたが、これものめり込むと大変な楽器で本腰を入れないといけません;水損事故の際の損傷が激しく、その後はきっぱり諦めました。

始めて手にした11コース、バロックリュート、松尾さんの楽器で、H.フライ・モデル、良材で美しく作られたものでした。
matuo11c
弦長67cmで押さえ易く、これにガット弦を張って、フレンチにのめり込む始まりでした。

category: 楽器について

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ガット弦(低音用)の計測  

歴史的な弦を作っているメーカー、アキーラ、ガムゥト、キルシュナーなどは低音弦の品番をプレーン・ガットの太さに置き換えた表示をしています。a社の150は1.50mm、g社は1.50mmとすばり表示しています。しかし、g社によくあるんですが、パッケージの表示と違う中身が入ってきたことが数回あったので注意がいります(凄いときはパッケージだけで中身がカラのときも;)、プレーン・ガットなら外径を測ればすぐわかりますが、a社のローデド・ガットやらg社のGimped gut、またナイロン芯の巻弦も外径からはわかりません。いつも以下の方法で確認しています。

まず、下が弦の重さと長さからガット相当径を計算する式です。
ガット計算

精密秤で弦の重さを実測し、長さも測る、
左はg社ローデド・ガット(C180)で3.94g、長さ1.20m
右はg社Gimped gut(1.50mm)で2.30g、長さ0.94m

計量
計算結果は、
ローデド・ガット:C180→1.77mm
Gimped gut:1.50mm→1.53mm

両者、ほぼ正確に出来ています、冬の乾燥を考えれば少し軽い(細い)くらいが適正でしょう。

ちなみに両弦の実際の外径
直径
ローデド・ガット:C180→1.28mm (71%)
Gimped gut:1.50mm→1.21mm (81%)

圧縮率はローデドのほうが高いですね。

ガットの低音弦というのはボコっと鳴るだけだけど、何故か味があるんですね^^;

category: 楽器について

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修理歴  

幾度が紹介している写真の11コースlute(たぶんH.フライ・モデル)、これもT氏より譲りうけたものです。マイケル・キャメロン(英)作だそうですが、内部にラベルがなく、製作年はわかりませんが、80年代と思われます。

11c01_20140215013334aef.jpg
11c修理前
修理前

11c02.jpg
ボウルはハカランダ、クラックが生じやすい

入荷時は一応弾ける状態ではあったのですが、その後幾度か修理に出し、自力でもいろいろ調整しました。現役バリバリとはいかないので、やや庇いながら使っています。

1.黒壇材を削りだして、ナットを自作、具合のよいスペーシングに変更。
2.ペグ穴がだいぶ開いていたので、水濡らし法で回復。
3.貼りフレットがなかったので、取り付けとボウルのクラック補修依頼。
4.2009年、水損事故により大幅な最接着修理と再塗装を依頼(これは想定外!)
5.原因不明のビリ音の原因を突き止めてもらい補修(ブリッジの端が 浮き上がっていた)。
6.弦高を下げるため解体、ボウルの端を削って表板を最接着、パーフリングが羊皮紙に替る。


4.の事故は想定外でしたが、これがなかったとしても経年劣化の修理は結局必要だったでしょう。しかし、あれこれいじくっても、当初の鳴りっぷりは変りません。博物館に所蔵されたオリジナル楽器の内部を見ても、かなりの修理歴が見受けられますが、作り直さず、枯れ込んだボディが珍重されたのでしょうか。

11c03.jpg
低音に張った、ローデドガットで深い響きがでる。 

M.キャメロンはオリジナル楽器の修理を多数経験した人だと聞きます。楽器の本質を捉えているような、さすがT氏推奨のことはあり、当11コースはガット弦によく反応するので、良い楽器を判断する基準になるのでは?と思っています。木材は十分枯れ込んでいるようですが、どういう作り方をすれば良い楽器になるのか、いまだにわかりません、思ったほど表板は薄くなかったり、軽量でもないけど、鳴る楽器はあります。

category: 楽器について

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J.E.ガーディナー:ハイドン交響曲第90番  

さて、昨日揃った音盤を聴いていきます。まずはガーディナー指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウOのハイドン交響曲第90番から、2010年ライヴ録音のCD-R、これはライブ録音としては驚きの好録音です。演奏前の拍手や会場の物音で澄み渡った空気感を感じさせ、演奏に入ったサウンドの鮮明なこと、並みのセッション録音より良いくらいです。またこの第90番というのは、終楽章の聴衆の反応も聴きもので、ライヴ向き?の曲でしょう。
RCOのピリオド奏法はもう消化し尽くした表現法の一つでしょう、ガーディナーは単に古楽オケもどきにせず、RCO持ち前のサウンドも聴かせる、そこはアーノンクールも同様でした。

ガーディナー hay sym90
ハイドン 交響曲第90番ハ長調
シューマン 交響曲第2番ハ長調
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮、ロイヤル・コンセルトヘボウO
2010年


第一楽章、涼やかなピュア・トーンで始まる、序奏は主部の動機を導きだす、主部は快速、総奏に入るとダイナミクスは鋭く、古楽器timpが轟く、fl、obが奏でる第二主題が装飾を加え美しい、この装飾演奏はS.ラトル、T.ファイの上を行く鮮やかさ。展開部の入りは不協和をよく響かせて印象づける、対位法的な部分を強奏、弱奏の対比大きく、がっちりと緊迫感で引き込む。全パートが見渡しよく聴こえるのも良い。
第二楽章、長調、短調が交互に入る変奏形式、優しい主題には愛着を覚える、短調に入ると一変、鋭く切り込む、中番から長調の変奏をflがソロで吹く、終番ではこれを弦楽四重奏の形でも聴かせるのが凝った魅力、RCOはさすがパーフェクトと言える腕前。
メヌエット、アレグレットくらいの速さで颯爽と、弦が一段と涼やかで、レガートに弾いたり、timpを伴ってきっぱりと切ったり、変化が心地よい。トリオのobソロも期待どおり美しい。
終楽章、ちょうど良い快速度で活気に満ち、速いながらも、きっちり整った緻密な合奏が心地よい、展開部はエネルギッシュな推進力、そして終楽章の終わりの仕掛け、おそらく知っている聴衆は知らない人々の反応も楽しむ、ざわめきも曲の一部となって、ステージと客席がなごやかな一体感を得る。

category: F.J.ハイドン

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本日の入荷盤  

今日は中古ショップの収穫ではないです。
一か月ほど前とか、数日前とかバラバラに注文してあったものが、たまたま今日、まとまって届いてびっくりしています(笑)いずれも兼価盤や中古盤ですが、以下のとおり。

cd01.jpg
左、J.E.ガーディナー指揮、RCO ハイドン交響曲第90番&シューマン交響曲第2番
右、J.リンドベルィ:lute、J.ダウランド リュート作品全集(4CD)
 


ハイドンの交響曲90番は86番に次いですっかりハマってしまった曲、このガーディナー盤はサンプル音源を聴いて、ほしいと思っていたものです。リンドベルィのダウランド全集はBIS原盤の抜粋盤で端正な演奏と秀逸な録音が気にいっていたもの、奏者が3mほど前に居るような実在感のある録音はリュート録音では珍しいです。レビューはあらためて。

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C.アバド指揮、BPO ベートーヴェン交響曲第3、4番(左)、同第5番、6番(右)

C.アバドがBPOを振ったベートーヴェンの最終盤ですが、過去のVPOとの録音と比べるとだいぶ違う、やはり自分流の型を固めず進歩する人だと思います。これもレビューはあらためて。

カラヤン be sym 5
カラヤン指揮、BPO ベートーヴェン交響曲第5番 1962年 英国盤LP

最後はカラヤン&BPOのベートーヴェン「運命」ですが、じつはカラヤンの「運命」をLP盤で買ったのはこれが初めて;ジャケットのデザインなどから国内盤のLIMITED EDITIONと同じだろうと思っていたのですが、この英国盤はAccolade(称賛)というタイトル、驚いたのは音の素晴らしさです、第5番一曲で盤の両面スペースをいっぱいに取ったカッティング、縦横無尽にサウンドが拡がり、押え込んだ感じがない、CDに勝る情報量です、弦のキメ細かい美音、第三楽章でのスーパーコントラバス群団の地を揺さぶるような圧倒的響き、終楽章での金管の突き抜けるような輝き、そして内周の最後まで音が歪まないクリアサウンド、DENONのPCM盤も凌駕するような、D.G盤でもほかにない何か特別仕様のシリーズでしょうか?それとも国内盤も「運命」のLPだけ同様に素晴らしいのでしょうか、LIMITED EDITIONも聴き比べてみたいところ;
PS:LIMITED EDITIONの出品物写真と比較したところ、カッティングは異なるようです。またB面に「未完成」が入ったものは比較するまでもないでしょう;

category: オーディオ

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コダーイSQ:ハイドン 弦楽四重奏曲《鳥》《蛙》  

これは去年ポチったコダーイ弦楽四重奏団によるハイドン弦楽四重奏曲全集(NAXOS)、これほど中身の整った全集ものはなかなかないです。コダーイSQのオーソドックスながら古臭くない、新感覚の表現、どれを聴いてもちょうど良いテンポで溌剌としているが極端に過ぎることもなく、見事なアンサンブルで貫かれ、身を委ねて作品の真価を味わえる。爽やかで潤いのある理想の録音にも満足。

kodaly sq box

今日は中期あたりの好きな曲、Hob.Ⅲ:39《鳥》、Hob.Ⅲ:49《蛙》、楽しそうな副題付きの作品です。

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Hob.Ⅲ:39ハ長調《鳥》
第一楽章、アレグロ・モデラート、まさにハイドン先生らしい明るい気分にしてくれる、鳥の声を思わせる弾むテーマには気品もある、第二主題も同じリズム感で統一され、快調な雰囲気を貫く。展開部は短調が続き、終り部分はやや幻想的、短調のまま疑似再現的なところを少し置き、主調に戻って再現部、終結のまとめ方が粋。
第二楽章、スケルツォ・アレグレット、速めのメヌエットともとれるが落ち着いた雰囲気、魅力はトリオ、鳥の副題はまさにこれでしょう、弦の高域でのさえずりが美しい。
第三楽章、アダージョ・マ・ノン・トロッポ、ハイドンらしい滋味あふれる変奏楽章、あまり技巧的にならず始めのテーマの味わいで第一vlが変奏する。
終楽章、ロンド・プレスト、軽快で小走りなテーマを各パートが掛け合う密度感はまさにハイドンの魅力、短いが小気味よい終結。

Hob.Ⅲ:49ニ長調《蛙》
第一楽章、アレグロ、副題からはユーモラスなものを期待するが、この楽章に"蛙"はまだ登場しない、シンコペーションで快調にリズムが繋がれた、ハイドンにはやや珍しい撫で肩な楽章、ボッケリーニやJ.M.クラウスの室内楽で聴かれる流麗な歩調を感じる。パート間の掛け合いも流線的に入り組んで心地よい、展開部もこの歩調で短調の深みを聴かせる、ほぼ型どおり再現部へ移り、終結するがよく整った美しい楽章。
第二楽章、ポコ・アダージョ、ソナタ形式のようだ、悲歌的な主題に始まるがすぐ長調に移る、簡潔な展開部では転調を聴かせる。
第三楽章、メヌエット・アレグレット、メヌエット主題に蛙が跳ねるような音形が出るがさほど特徴的ではない、トリオの主題は軽やかで、長い休符が何度も置かれる、じっとしては動きだす蛙のイメージかもしれない。
終楽章、アレグロ・コン・スピリット、この第一主題がvlの同音異弦の重音で始まり、これが蛙の声でしょう、随所で聴かせる、ユーモラスな主題が展開部ではマジな音楽になるのが、ハイドン先生の味なところ、しかしよく鳴きます、終結ではvcがヒキガエルの声を出し、静かな合唱で終わる。

category: F.J.ハイドン

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S.ラトル:ベートーヴェン交響曲全集  

またも、BOXセットをポチってしまった;サイモン・ラトル&VPOのベートーヴェン交響曲全集、なんだか世間では好評、不評が交錯しているようで、後者のほうが目立つ気がする。不評のコメントを読むほど逆に興味が湧くし、大抵そういうのは私好みだったりする^^いくつか抜粋して聴いてみると、なるほど、従来タイプの名演が好みの人からは不評が出るかも。

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ラトルの当全集は、ハイドンの演奏でも馴染んだピリオド・スタイル、編成もフル編成のような分厚いサウンドではなく、透明感があり、管、打楽器も明確、従来のお定まりの演奏法から脱して、作品の真価を再構築しようという新時代の人というのはわかっていたことで、方向性は先日のC.アバドも年配ながら同じだと思う。またアバドもラトルも新たな改訂を施されたベーレンライター版の楽譜を使用している。
伝統の奏法を重んじるウィーン・フィルがラトルを指揮台に迎え、これほど徹底した古楽指向が聴けるのも面白いし、見事にやっている、時代は移り変わる。オーボエはいつものウィンナ・タイプのようにツーンと突き抜けてこない、普通のタイプを使っているのか?
「英雄」の第一楽章の推進力、「運命」の終楽章も凄い、「田園」の第二楽章は美しい、終楽章でVPOらしい絹の感触の弦を聴かせる。第7も序奏から新しい魅力、詳しくはあらためて。

category: ベートーヴェン

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C.バンキーニ:コレッリ vlソナタop.5 No.1~6   

コレッリのvlソナタで古楽奏者以外で今出ているのはA.グリュミオー盤くらいですかね。これも貴重な名演かと思いますが、今となっては演奏史を振り返る資料と言わざるをえません。演奏は楽譜どおり重厚に弾く、チェンバロも型どおり用意された伴奏といった感じ。
バロックヴァイオリンの先駆者と言えば、エドゥアルト・メルクス、はじめてコレッリの時代の研究に基づく見事な装飾演奏を行っていて、大昔、アルヒーフ盤の取り寄せを頼んだところ、ついに届かなかったという経験があります;いずれ中古盤を見つけたいです。

今日は昨日と同じvlソナタ 作品5 No.1~5で、キアラ・バンキーニ:vlによる演奏、彼女もS.クイケン、G.レオンハルト、N.アーノンクールらと出会い、モダンvl奏者から転向、アンサンブル415を結成している。415というのはバロック・ピッチのことでしょう。まだ古楽が今ほど受け入れられていなかった頃らしいネーミング。
バンキーニおよび通奏低音の演奏は、ここまでやるか、といえる華々しいもの、録音は室内的な響きで各楽器は鮮明に聴ける。

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vlソナタ 作品5
No.1ニ長調、No.2変ロ長調、No.3ハ長調、
No.4ヘ長調、No.5ト短調、No.6イ長調
キアラ・バンキーニ :vl
カティ・ゴール :vc
ルチアーノ・コンティーニ :アーチlute
イェスパー・クリステンセン :cemb


No.1ニ長調では全員参加、第一楽章、長く引くvlの開始音の間に、3人の通奏低音が目いっぱい和音を散りばめる、続いてバンキーニも音価の最後の瞬間まで装飾パッセージを込める、ここだけで原譜の音符の数十倍は音が出ているでしょう;長い溜め、速度の伸縮をしながら、全員が同じ組織体のようにうごめく、掴みはばっちり。次のアレグロはテヌートぎみに活気をつける、終止音はぐっと伸ばし、装飾を込める。第三楽章は駆け抜けるようにキビキビと、次のアダージョのじみじみとした味わいと対比となる。終楽章はリズムにエッジを立て、アーチluteもくっきりバスラインを弾き、強調する。
No.2変ロ長調はチェンバロのみが付く、すっきりした響き、第三楽章アダージョはvlは装飾控えぎみでその分cembのリアリゼーションが繊細な聴かせどころとなる。
No.3ハ長調はvcが抜け、通奏低音はcembとアーチluteの撥弦系の響きだけになり、バスラインは二人が重ねて弾くので明確で心地よく、和音は分離的に弾くところもあるが、合同で鳴らすところもあり、ギター合奏風の響きも思わせ面白い。
No.4ヘ長調、通奏低音は全員、第一楽章アダージョではかなりcembが活躍するが、少し過剰にも感じる、第二楽章フーガ的なアレグロは快調で魅力、テーマがチェロに来たところが良い。アダージョ楽章はつぶやくようなvlの表情、cemb、アーチluteもふさわしい響きで支える。終楽章、全楽器のキビキビ切れの良さが爽快。
No.5ト短調はvcとcembが入る、第一楽章アダージョのリピートに移る間をcembのパッセージが繋ぐ、第二楽章ヴィヴァーチェは3拍子でこれまでの曲よりリズムが切り立つ、スタッカート表現をcembとvcが補強する。
No.6イ長調、最後を飾るべく通奏低音は全員、アダージョ楽章のvl、vcの対話が味わい深く、他の二人が程よく飾る。
全曲通して、vlも終始見事だが、通奏低音も各々聴きどころを存分に加えてくれる、退屈に思った楽章は一つもない。

category: A.コレッリ

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L.Van.ダール:コレッリ vlソナタop.5 No.1~6  

今日は南岸低気圧で当方は雪のち雨、一日中冷え々として、どこにも出かける気がしませんでした。音楽を聴くにはできるだけエアコンを止め、無音の電気ヒーターだけにしたいところ、今日はさすがに足りません;

コレッリの続き、ヴァイオリン・ソナタの作品5の6曲はコレッリの力作でしょうか、特に聴きごたえがあります。いずれも5楽章で、1プレリュード的な緩抒楽章、2対位法的な急楽章、3パッセージ鮮やかな急楽章、4短調で深みのある緩抒楽章、5舞曲的な急楽章、という構成(曲によって3と4が入れ替わる)。今日はルシー・ファン・ダールのvl、ボブ・ファン・アスペレンのorg or cemによる演奏。L.Van.ダールはS.クイケン、B.Van.アスペレンはG.レオンハルト、古楽の大御所に師事した人です。

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vlソナタ 作品5より
No.1ニ長調、No.2変ロ長調、No.3ハ長調、
No.4ヘ長調、No.5ト短調、No.6イ長調
vl:ルシー・ファン・ダール
org & cem:ボブ・ファン・アスペレン


澄み渡ったような録音で、オルガンの響きが深く、vlの実在感もある。
この曲集は最初に聴くNo.1の第一楽章グラーヴェが奏者の表現、腕前を嫌がうえにも印象づけます、簡潔な骨組みの旋律のみ書かれた楽譜から湧きだすインスピレーションで、鮮やかで気品ある装飾演奏で開始します。Van.ダールは緩めに張った感じの弦をしなやかに歌わせ、パッセージを加える、間を十分に取り、グラーヴェはリピートされるが当然パターンの違う装飾を行う、しなやかな動きの中にキリっと気合いがこもる。数ある演奏の中で、特別抜きん出たところはないが、模範的と位置づけできそうな演奏。アスペレンは控えめながらソロを上手く受け止めた自然なリアリゼーションが良い。次の楽章アレグロはvlは重音奏法で二声を弾くのでトリオ・ソナタのように聴こえる、続くもう一つのアレグロはvl的なパッセージ、アルペッジョなど鮮やかな動きで引きつけ、次のアダージョは短調となり、vlと鍵盤による魅惑的な和声に浸らせる。最後も重音奏法で多声的に始まる、ジーグ風のリズムで閉じる。
同様の似たような構成の曲が6曲続くが、調を変え、6色の宝石のようです、各楽章の演奏時間は短いのに充実感はたっぷり。No.4ヘ長調の第二楽章はヘンデルのフーガ楽章を思わせる晴れやかさが良いです。ただ一つ短調作品のNo.5ト短調は冒頭楽章の憂いに満ちた入りから魅了する。

category: A.コレッリ

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P-Jan ベルダー:コレッリ 教会ソナタop.1  

コレッリの作品というのは、どれから聴こうかと迷う必要ありません、CDがあれば頭から順に聴けばいい、洗練され尽くしていて、無駄な曲がありません。またコレッリの作品群はうまい具合にCD一枚とか二枚とかに切り良く収まるんですね。BRILLIANT CLASSICSのBOXセットからCD1、1681年出版のSonate da Chiesa(教会ソナタ)作品1の12曲を聴きます。

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教会ソナタop.1
No.1 ヘ長調、No.2 ホ短調、No.3 イ長調、No.4 イ短調、
No.5 変ロ長調、No.6 ロ短調、No.7 ハ長調、No.8 ハ短調、
No.9 ト長調、No.10 ト短調、No.11 ニ短調、No.12 ニ長調


基本的に、緩-急-緩-急、4楽章のトリオ・ソナタ、緩抒楽章の聴きどころは和声、急楽章はポリフォニックな仕組みと舞曲風のリズムですが、旋律はこれ以上良くしようがないほど、神がかっていますね。1曲目No.1 ヘ長調のアレグロでは音階をただ上るだけのテーマが他のパートの支えで、美しい旋律に聴こえてしまいます、複雑な仕掛けはないんだけど。No.2 ホ短調は冒頭グラーヴェから霊感に満ちている、そこにテオルボとオルガンが相性の良い響きで加わり、魅力この上ない、No.11 ニ短調も同様の魅力。
No.7 ハ長調は3楽章でアレグロで始まるが、リズミカルで爽快なテーマが印象的、チェロに代わってテオルボがバス旋律を弾く演奏もあり、この曲には効果的だが、当演奏はチェロが担当、このチェロによるバスはvlパートと対等で味わい深い、この録音は一段とチェロをよく捉えている。中間楽章グラーヴェの和声の美しさ、短いながら宝石のような作品。
最後のNo.12 ニ長調の第二楽章largo e puntatoではまたバス旋律が音階のオクターヴ下降を繰り返すだけのものだが、これが二つのvlに助奏された主役のように美しく聴こえるから不思議。

ピーター・ヤン・ベルダー率いるムジカ・アムフォンのメンバーで二人のヴァイオリン、チェロ、テオルボ、そしてオルガンがベルダー、二つのvlが重なる和声も美しいが、テオルボとオルガンの芸の細かさに耳を奪われる。通奏低音のパートはバス旋律に和音記号の数字が書かれているだけだが、和音進行をたどれば自然発生的に別の音のラインが出来る、経過音など加えれば立派な旋律になるわけですが、もう、奏者は半分、バロックの作曲家状態ですね、装飾法も時代や地方によって違うと思いますが、コレッリでは、モンテヴェルディ時代からあるようなイタリアらしい装飾が聴かれます。二つのvlも通奏低音も統一感のある第一線のセンスです。

category: A.コレッリ

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リュートの点検  

近々、リュート再開に向けて、楽器の点検をしています。ガット弦が理想なのは承知のうえですが、普段の取扱がホネなので、通常はこの弦を使っています。

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いずれもaquila社で、高音には"NNG"ナイルガットという弦、これはガットと同じ比重に作ってあるそうですが、大いに伸び、ガットとはかなり性質が違いますが、これなりの味わいで使うことになります。低音は同社の巻弦"D"、これはギター用に作られている巻弦よりずっと倍音を少なく作られています、オクターブ弦とのコンビネーションで使います。NNGは黄色く染色されるようになって、パっと見、ガットのようですが、今日は3本だけ、本物のガットに替えました、どれでしょう↓^^

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最近は楽器への負担、指への負担を軽減しようと、ピッチを下げて使うことを考えています。写真の11コースリュートの場合、今張ってある弦でA=415hzにすると、合計張力は53kgになってしまいます。A=392hzに下げると48kgで、5kg軽減になる、もうちょっと下げてもいいかな;リュートは懐中電灯の明かりで透けてしまうほど、薄い響板、とても華奢な楽器です、人の体重ほどの張力をかければ、やがて故障しても不思議はないです。

GT透視

category: 楽器について

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今村泰典:S.L.ヴァイスのフーガ作品  

数年前、日本を代表するリュート奏者、今村泰典さんのワン・レッスンを授けたことがあります。氏のレッスンにはリュート譜(タブラチュア)とそれを鍵盤譜に書き写したものを用意する必要がありました。今村氏は鍵盤奏者でもあり、リュートではなくチェンバロでそれを弾きながら曲の構成も五線譜上で捉えつつ、のレッスンとなります。

弦をやたらと張って指で弾くという楽器のバロックリュート、演奏上の制約はかなり大きい、バス部は解放弦だけで弾くという大らかな楽器、よってパッサカリア、シャコンヌといった同じバス進行を繰り返す変奏曲はリュートには打ってつけで、沢山の作品があります。一方フーガなどという組織立った形式は大の苦手、音を出すだけで大変なのに、止めるべき音は止めないと音楽にならない、リュートの大家ヴァイスでさえ、フーガ作品はわずかです。単独に書かれたフーガはロンドン写本の中に①フーガ ハ長調、②フーガ ニ短調の2曲だけ、あとはフランス風序曲として書かれた曲のアレグロ中間部ですが、これもきっちり充実したフーガはドレスデン本の③ソナタ ハ長調の序曲くらいでしょう。フーガを聴いたという満足感のあるのは以上の3曲だけ。
今村氏は鍵盤奏者的視点で妥協せず、完璧な技巧でこれらのフーガ作品を録音しています。

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CAPRICCIO

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claves

CAPRICCIOレーベルには上記の③ソナタ ハ長調と②フーガ ニ短調を聴くことができます。もう1枚のclavesレーベルには①フーガ ハ長調が入っています。

①フーガ ハ長調は堂々たるフーガでしょう、ヘンデルのフーガ作品を思わせる晴れやかさと霊感を帯びた傑作。短調の中間部(喜遊部)がありますが、ここも別のテーマで簡潔なカノンを聴かせます。
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 ①フーガ ハ長調冒頭

②フーガ ニ短調
、これはさすが短調でバロックリュートに似合うテーマと響きというか^^不協和音を入れた終わり方も粋です。和音進行で一瞬鳴るだけだけど、よく聴かせたい音はちょっぴり伸ばして強調します。
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②フーガ ニ短調冒頭

③ソナタ ハ長調
の序曲はテクニカルな走句の入ったグラーヴェが終わり、明るいフーガの主題が快調に始まる、始めの声部が歌い終わらぬうちに次の声部が歌い出す、ストレッタの書き方で、リュートのためのフーガとしては密度感がありインスピレーションの冴えた傑作、これは鍵盤で弾いても聴きごたえあるでしょう。
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 ③ソナタ ハ長調、序曲のアレグロ冒頭

いずれも演奏時間は3~4分という短かさですが、リュートにとっては大曲でしょう;よくぞヴァイスは書いてくれた、という貴重な曲です。今村氏はくっきりと音の粒立ちを付け、消音処理の大変なバス弦もきっちり消音し、各声部を明確に聴かせます。もちろん技巧だけじゃなく、音楽表現も味わい深い。①フーガ ハ長調は何人かの奏者が録音していて、N.ノースの演奏も見事です。しかし③ソナタ ハ長調の序曲は今村氏以外の録音は聴いたことがありません。

category: リュート作品

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汎用カートリッジ  

アナログ盤鑑賞を始めて月日が経ち、カートリッジもいくつか集めましたが、あまり頻繁に交換するというのも面倒になり、最近はこのAT-DS3を付けっぱなしです;
届いたとき、発砲スチロール枠で本体を挟んだ簡易な紙パッケージで、いかにも業務用品といった感じでした、ヘッドフォンのMDR-CD900STみたいな?
太めのカンチレバーで針圧3.0~4.0g、強めの針圧のおかげか、がっちりトレースする、出力が大きく帯域もフラット、オケに量感が出る。特徴的な魅力はないが、ノーマルで、意外に繊細でもあり、弦楽がしっとり落ち着く、D.GやDENONの好録音にも合う。

AT DS3
audio-technica AT-DS3

ということで、たまに他のカートリッジを使っても、これに戻してしまいます。MCカートリッジの音を聴いた後でも物足りない感じなく聴けます。頼りになる本品も生産終了となり、針だけは当分供給はありそうですが、まあこれだけ予備を置いとけば十分でしょう^^;

さて、今日は昨日のセレッション・スピーカーで取り止めもなく聴きあさっておました、コレッリのvlソナタを様々な演奏に聴き惚れていたところ、レビューはあらためて書きます。

category: オーディオ

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中性子星(パルサー)  

宇宙スケールでの時間経過に対し人間スケールの時間はあまりに短かすぎて、太陽系外の遠くの天体が動いたり、星座の形が変ったり、なんて様子はめったに見られません。しかし望遠鏡のレベルが上がり、遠くの天体を可視光以外の領域で観測すると、天体の激変の様子を目の当たりにできます。これはお馴染み、おうし座にある、かに星雲、

SN 1054
SN 1054

1054年に超新星爆発を起こした恒星の残骸、2014年の現在、960年でここまで広がったんですね、この広がる様子をたかだか80年の一生の間に実感するのは難しいでしょうが、中心にある中性子星(パルサー)は別です。

かにパルサー
かにパルサー、中心が中性子星、一番内側のガスリングの直径が約1光年
チャンドラX線宇宙望遠鏡撮影


恒星サイズで自転していたものが直径10kmほどの中性子の塊になると自転速度は1秒に30回という超高速になる、フィギュア・スケート選手がスピンをするとき、手足を身体軸に寄せると回転速度が上がるのと同じ原理ですね、
これはパルス光の変化をスローで再生したもの→wikipediaより、明るさが強弱2段階あるのは地球に対する自転軸の傾きからくるものでしょう。
このパルサーはほぼ光速でパルサー風を放っています、これで星間ガスがリング状に吹き流され、その速度も光速の1/2くらいとか、画像の一番内側のガスリングでさえ、直径1光年だそうですが、わずか数週間で、ガスが内側から吹き流され、画像の様子が変化するそうです。惑星探査機ボイジャーが最果ての海王星まで行くのに12年かかりますが、それが数週間で1光年スケールでの変化を見られるとは!とてつもない激変を見ていることになります。

ほ座ベラ・パルサー
ほ座、ベラ・パルサー

オリオン座のベテルギウスが爆発して、中性子星が残ることになったら、すさまじいスケール変化を、かに星雲とは比較にならない間近で見ることになるんでしょうね、ベテルギウスの自転軸はわずかにずれた地球向きだそうですから、広がる様子は見やすいでしょう^^

category: 科学・自然・雑学

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