Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

F.ビオンディ:ITALIAN VIOLIN SONATAS  

G.タルティーニに親しんだ流れで、イタリアの後期バロック、vlソナタ集を聴きます。コレッリの次の世代の作曲家達は本当に充実しています。コレッリの作品は聖典のようなものだったでしょう、それを引き継ぎ、バロックを集大成すると同時に、ヴァイオリンの国らしく、vlの技もしのぎを削るようです。
今日の演奏はバロックvlのファビオ・ビオンディ率いるエウロパ・ガランテ、過去にレビューしたボッケリーニの室内楽集でも名演を聴かせました。

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最初はF.M.ヴェラチーニのソナタ ト短調、ヴェラチーニという人も興味尽きないです、実に多くの書法を聴かせてくれる。このソナタの初めの楽章は大枠はフランス序曲で、過去にレビューした管弦楽編成の序曲ではルイ王朝を彷彿とさせる序曲を書きながら、この曲は一味違う、付点のグラーヴェはそれらしいが、アレグロになるとフーガ書法じゃなく、vlソロと低音が闊達な旋律で凌ぎ合う二声の音楽、イタリア的な旋律の楽章となっているのが面白い。ヴィオンディのvlはややコシの強いエネルギッシュな演奏で、装飾音のキレ、急速楽章での張りつめた感覚を存分に聴かせる。第二楽章のアリアは優美な中に切れ味のよい装飾を走らせる、テオルボが心地よい対旋律を入れる。終楽章ジーグがいい、弾むリズムを強調し、最後にはvlの弓の背で叩く奏法まで使う、楽譜には書かれていないであろう、活きたアドリブ感覚で楽しませる。
2曲目はP.ロカテッリのソナタ ニ短調、これは緩急緩急のコレッリ型ソナタ、緩抒楽章の優美さとセンスの光る装飾、急楽章は極限までテンポを上げた緊迫感と柔和な表現の両立が見事。
4曲目、F.ジェミニアーニのソナタ イ短調、これは重音奏法による第一楽章アンダンテがじつに味わいがある、コレッリをしっかり引き継いだ人だが、霊感の深い作風で魅了する。第二楽章は長調に変り、これは次の古典派期に踏み込んだギャラントな書法に思える。
最後にタルティーニのソナタ ト短調 この作品も《悪魔のトリル》よりは落ち着いているものの、深い霊感を帯びている、第一楽章ラルゴはオルガンとテオルボによる通奏低音が一段と雰囲気を深める。第二楽章アレグロ、vlの技法を駆使したようなスリリングな魅力。終楽章アレグロ・アッサイ、第二楽章とはリズムを変え、やはりスリリングな楽しみ。

category: その他・バロック

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弦材の研磨  

今日もチマチマと楽器の手入れで、音盤を聴く時間がつぶれました;
13コースluteの⑪コースに張っていたPVF弦は径1.48mmでしたが、できればもうちょいテンションがほしい、しかし、ひとつ上の1.66mmでは強すぎる、この間の径がほしいところ・・1.61mmくらい。失敗覚悟でPVF弦の研磨をやってみました、方法は弦の端を板で挟んで転がして回転させ、サンドペーパーで繰り返し削っていくという手作業です、均一に削れなければ振動不良になりますが、今回はマグレか上手くいった、1本出来りゃ、それでいい^^v

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写真の特に白っぽく見えるのが⑪コース、電子秤で目的の重量になったのを確認して張る、振動状態も良好、ズシっと手ごたえ感のある良い低音が出ますv
こんなブトい弦なんてギターでは考えられないでしょうが、リュートのこのあたりは開放弦を弾くだけなのでいいんです。

ついでに7コース、ルネサンスluteも低音をPVFに交換、やはり低音の出方が好ましく、J.ダウランドで使う⑦コースDの響きが味です^^

7c

category: 楽器について

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R.リヒター:タルティーニ vlソナタ《悪魔のトリル》  

CD表紙のとおり、今日もG.タルティーニ《悪魔のトリル》です^^
S.ホーキング博士は宇宙を創造するのに神はいらない、と言っていますが、私もたぶんそうだと思います。万物の秩序を築く神も、破壊と堕落の権化=悪魔も人間の心に存在している。音楽も高度な創造物でありながら、最終目的は快楽であり、究極の快楽のためなら悪魔に魂も売る、タルティーニの心に棲む神と表裏一体の悪魔の産物かもしれません。

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LINN レーベル

先日のアンドルー・マンゼの無伴奏vlによる《悪魔のトリル》も凄かったですが、当盤ルドルフォ・リヒター:vlソロほか通奏低音つきの、これまた聴きごたえ満点の演奏、先日も紹介した動画サイトの演奏は当CDのものでした、リヒターのvlはマンゼに負けず劣らず、そしてガンバやアーチリュートの通奏低音が魔性の演奏に大いに加担する、演奏は動画でお聴きのとおりです。
パラディアンズは以前、バロックvlのレイチェル・ポッジャーがメンバーだったパラディアン・アンサンブルのリニューアルグループで、R.リヒターがvlを引き継いだ素晴らしいデビュー盤でもあります。
第三楽章の"悪魔のトリル"はこの楽譜の部分ですね、恐ろしく難しそうです;

譜例

E.メルクスの古い演奏は、ベーシックに聴かせてくれたので、最新の古楽演奏の演出ぶりがよくわかります。当盤は今のところ最高ですね。(★★★★★)

ところで、タルティーニの逸話に基づく表紙の絵も傑作で気に入っています、少々わざとらしい描写ですが、この悪魔の顔がいい^^

devils portrait

実在のおじさんにこんな顔をさせてモデルにしたみたいで、ちょっと笑ってしまいます。

category: その他・バロック

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手書き譜  

今、三次科学技術教育協会さんのブログでも話題に取り上げておられる、自筆譜についてですが、非常に興味深いですね。ハイドンの数ある作品の中で、泣く子も黙る傑作、交響曲第86番の自筆譜がネット上で鮮明に見られるとは本当に幸いなことです。草稿があってその清書かもしれませんが、すぐ演奏用のパート譜作りにまわされる原稿なので、読み間違いのない程度に手早く書いた感じですかね、しかし音符一つ一つの筆勢から、ハイドンの頭の中に響いていた音楽の息遣いが感じられるようです。
《悪魔のトリル》もタルティーニが目覚めたあと?書いたとされる草稿があるとしたら、見てみたいものです;

また私どもが普段付き合っているリュート・タブラチュアですが、これもバロック期の作品は殆どが手書き譜で残っています。たぶんリュートが専門家や一部の愛好家のものとなっていったため、大量の印刷が必要なくなり、筆写物で十分だったのでしょう。下はリュート弾きにはお馴染みのsaizanayという写本の1ページ、実際演奏で読みやすいよう書かれています。

saizenay.jpg

これを書いた人も当然リュート奏者でしょうから、演奏のイメージも筆に反映します、作曲者の草稿ではないですが、非常に美しい筆跡で多くの美しい曲が集められていて、弾こうという意欲を掻き立てます、これを見ればさっと指が動きそうで?・・^^;こういう感覚は活版印刷譜にはないですね;
もう一つ、下がリュート最後の大家、S.L.ヴァイスのドレスデン写本から軽快なジーグです、いかにも快調な流れが視覚的にわかります、タブラチュアは奏法譜なので、これを見ればリュート弾きはどんな響きがするか見当がついてわくわくするんですねv
この写本も過去には有名出版社の印刷物を数万円で買うしかなかったですが、今はネット上で鮮明な画像が公開されています。

Dresde 5Gig

ちなみに下がルネサンス期の活版印刷譜、きれいにできた印刷ですが、ちょっと味気なく、スペーシングが詰まっていて見づらい感じです;

活版印刷

普通の文書でも手書きには何らかの表情が現われ、活字は無表情になってしまうのと同じことですかね。

category: その他・バロック

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A.マンゼ:タルティーニvlソナタ《悪魔のトリル》ほか  

バロックvlのアンドルー・マンゼによるG.タルティーニの悪魔のトリルは無伴奏で弾いているということで、興味が湧き聴いてみました。たぶんタルティーニの夢に現れた悪魔も一匹で、通奏低音奏者までいなかったと推測すると、こんな響きだったかもしれない^^;もちろん楽譜には低音パートはありますが、vlだけでも聴ける多声書法のようです。
マンゼは無伴奏で弾くことによって自由度を増し、通常は聴けないような装飾、挿入句を駆使して、バッハの無伴奏vlソナタにも引けを取らない内容を聴かせます。英国の奏者は何事も端正というイメージがありましたが、ここまで踏み込んでやるとは驚きです。

manze devils sonata
harmonia mundi 1997年

第一楽章は幽玄な面持ちで始まる、テンポの伸縮と運弓の細やかな味わい、微かに擦れる弱音から、ゾクっとくる不協和音の鋭い立ち上げ、反復での装飾やパッセージの追加が満載、シチリアーノ風の楽章を怪しの世界を覗く雰囲気で満たす。
第二楽章、軽やかに始め、休符を伸ばし、次に入る間が「まだまだ」と言わんばかり、リピートでの装飾のキレが快調、歌っているというより、表情たっぷりに台詞を語る演奏、後半での同ゼクエンツの繰り返しや半音進行など、悪魔めいたインパクトを存分に弾く。
第三楽章、アンダンテでは、しつこいようなポルタメントを使い、怪しさたっぷり、アレグロに入るにも徐々に加速して自然な繋がり(成り行き)、重音奏法の最中、常にトリルが入るところはやはり圧巻。熱気を込めた終結だが、最後はアルペッジョで洞窟の中のこだまが消え入るように終わる。
二曲目以後、変奏曲やソナタもvl一つで充実の演奏。

category: その他・バロック

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リュート、太い弦の張り方  

乗りかかった船で続けます;
巻弦を張ることを想定したリュートは弦穴が小さく、歴史的なガット弦など太い弦が通りません。ドリル刃で元の穴を中心に広げると、不具合がおきることがあります、
弦穴
図①のようにダブル弦が接近することになり、弦がぶつかりやすくなります;根気のいる作業ですが私は細い丸ヤスリ(径1.2mm)を使ってできるだけ②のように広げています。ペグの穴は中心から広げればよいですが。
ヤスリ
細ヤスリは国産がいいです、粗悪品はポキっと折れます; 

また太いPVF線というのはブリッジに巻くのが困難です。写真は線の端6cmくらいをカッターナイフの背を使い、板の上でさすって細くした状態です、仕上げはサンドペーパーでザラつきを取ります。
弦端

これでブリッジに巻きやすくなります。細くした部分がブリッジ前に出ないように巻きます。
ブリッジ

ちなみに使用したPVF線はクレハシーガー《万鮪》のピンクラベル、試しに張ってみたら、硬度的に最も良く、Aquilaのヴェニス・ガットみたいなずっしりくる音に驚きました、まさに重厚な音楽のベース。
あいにく13コースluteの⑥コースにちょうどよい径のPVF線がなく、ここだけ巻弦というのもアンバランスなので手持ちのgimped gut:1.12を張りましたが、NG112も試そうかと思っています、これで金属レス、Gutレス、合成素材onlyで古の音に近づくのが狙いです^^;

ツヤ消し
写真右は素材そのまま、左は細かいサンドペーパーで軽くさすって、つや消しにした状態、べつにそのままでもよいですが、つやなしのほうがガットの触感に近いのでこうしています。 

category: 楽器について

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13コースluteも、巻弦廃止  

連続書きです、今日はこればっかしですねー;;連休中にやっておこうと思って。
13コース、バロックリュートも低音弦をフロロカーボンに替えました、こちらも良い感じです。

13c bl

ちなみに使用したPVF線のゲージですが、
11コースlute 弦長66cm
⑥1.05mm ⑦1.17 ⑧1.28 ⑨1.38 ⑩1.48
⑪1.66
13コースlute 弦長69.5cm
⑥(gimped 1.12) ⑦1.05 ⑧1.17 ⑨1.28
⑩1.38 ⑪1.48 ⑫1.48 ⑬1.66


ぴったり理想のゲージは揃っていないので、その場合、緩いのを張りました、13コースluteの⑪コースはだいぶ緩めですが、それでも深々とした鳴りで不足はありません。これらのPVF弦を単独に弾いてもボコンとしか鳴りません、しかし短い余韻で低音をよく押し出します。オクターブ弦とのコンビネーションで歴史的な深い味のバス音に十分迫ります。
本物のガット弦は湿度変化によるピッチ不安定が悩みでしたが、PVFならその影響なし、これも嬉しいところ^^;

一方、現代の弦、巻弦のクリアで長い余韻もまたいい、どちらかというとこの音に惚れ惚れしてリュートを始めたようなもんですが、最近は懐深い低音が欲しくなりました。弦はどちらかの方針で揃えたほうが良いですね。

category: 楽器について

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追記:11コースlute、巻弦の廃止   

フロロカーボン弦を11コース目にも張ることができました。

11c 04

ブリッジに結ぶ部分だけ、削って細くしたら簡単に巻けますv
端の5~6cmくらいをカッターナイフの背のほうで引っ掻いてやると楽に削れます、後はサンドペーパーで毛羽立ちを落とせばきれいになります。gimped gutより音も好ましい。

category: 楽器について

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11コースlute、巻弦の廃止  

もう1つの11コース、バロックリュートには低音に巻弦を張っていましたが、やはりオーセンティックな音を出したい。
しかしガット系の低音弦は高価だし、すべて良品とは限らないのが悩みで・・;
師匠からの朗報で、新しく出た大物釣り用のフロロカーボン糸を張ってみました。まさか低音にこれを張るとは思いませんでしたが、

11c 01
11c 02
11c 03

ガット単線よりは細い、ローデドよりは太い、といったところ、素材の質(硬度)がちょうど良いみたいで、短めの余韻で力のある鳴りで良い雰囲気、振動状態も良好、ナットの滑りがよく調弦しやすい。たぶん湿度の影響も受けずピッチの安定もよいでしょう。表面は軽く研磨してツヤ消し状態にしました。
惜しいことに11コースだけはブリッジに巻くのが困難で、ここだけガット系gimpedを張りました。しかし、10コースまではガット系不要といえるくらい音楽的に鳴るんです。もう巻弦に戻すこともないでしょう。

category: 楽器について

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E.メルクス:G.タルティーニ vlソナタ《悪魔のトリル》ほか  

「ヴァイオリンの高等技法」と題されたこのアルバムは随分長く倉庫に眠っていたもの、バロックvl復興の先駆者、エドゥアルト・メルクスによる演奏です。最新の古楽演奏にはまだ遠いものと言えますが、メルクスの真面目で堅実な演奏は優れたスタート点になっていると思えます。バロックvlの透明感のある響きはLP盤から十分に再現されます。
4曲入っていますが、今日はジョゼッペ・タルティーニの2曲について。

悪魔のトリル メルクス
エドゥアルト・メルクス:バロック・ヴァイオリン
ライオネル・サルター:チェンバロ
ヴォルター・シュルツ:チェロ


主題と30の変奏
コレッリのvlソナタop.5-10の親しみやすいガヴォットの主題を使った30もの変奏曲、同じ和声進行で行くところからシャコンヌにも近いが、高度な変奏曲としての要素が強い。vlのあらゆるボゥイング技術を取り込んだ練習曲でもあるそうだが、左手技術も高度なもの、変奏曲というのは出来がよくないと退屈なものだが、この曲は次々と新鮮な変奏が立ち上がる、重音奏法による2声の掛け合いも多く、vlの超名人だからこそ書ける緊張感、よく30パターンも浮かぶものだと思う。メルクスは堅実で模範的演奏だが、練習曲のような味気無さはなく素晴らしい鑑賞対象。

vlソナタ ト短調《悪魔のトリル》
こちらは先日も話題にした、《悪魔のトリル》、エピソードは有名で、タルティーニが夢で悪魔から伝授された曲を、目覚めてから書きとめようとしたが、夢の何分の一にも至らなかったとのこと、しかし、夢の中から少しばかりは掴んで持ち帰ったようなオカルティックな雰囲気を持っている。第一楽章の重音奏法の突如立ち上がる響きはゾクっとくるし、2声の下の音が不安感を誘う、第二楽章テンポ・ジュスト・デッラ・スクオラ・タルティニスタ、と長ったらしいテンポ指定だが;アレグロのリズムとねばっこい装飾音が、小悪魔がいたずらして廻るような可愛らしい感じで、不思議なもの見たさの人間の本性を楽しませる感覚。第三楽章はアンダンテとアレグロ・アッサイが交互に3度繰り返えされる、このアレグロ・アッサイで弾かれるトリルが副題の由来だそうで、重音奏法で2声を弾きながらトリルが連続する難技巧の曲、難しすぎるから悪魔のトリルなのか?

現在は古楽奏者による凄みを利かせた演奏もあるが、最初に聴くにはこのメルクスの堅実で誇張の過ぎない演奏が、曲を知っておくのに絶好。
奏者は不明だが、古楽奏者によるよい動画がありました、演出たっぷり。
動画サイト: 《悪魔のトリル》 

category: その他・バロック

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K.ベーム:J.シュトラウス ワルツ、ポルカ集  

しばらくぶりにLP盤を廻しました。
カール・ベーム指揮VPOのJ.シュトラウスはCDは持っていたので、どうしようか迷ったのですが、LPのサウンドは一味違うかもしれない、という誘惑に負けて購入したしだい;
針を下ろすと予感どおり、違うんです、同じ録音でもマルチ・トラックからのバランスの取り方で変わるのでしょうが、別の録音かと思えるほど。CDのほうは残響成分を多く入れ、会場の空間を感じさせる、英デッカみたいな仕上がりになっていて、これなりに良いのですが、LPのほうは耳馴染んだ独グラモフォンらしい仕上がり、やや武骨なほど太く生々しいサウンドで味わい深く、集中させられます。
ベームのJ.シュトラウスは遊びっ気を帯びた表現は最小限、信頼して聴ける第一級のオーケストラ音楽として演奏する、ブラームスでも聴いているような飽きることのない味わいです。

ベーム J シュトラウス
1971年、ウィーン、ムジークフェライン大ホール 録音技師:ギュンター・ヘルマンス 

A面の皇帝円舞曲は数ある演奏の中でこのベームの演奏が最も気にいっています。メインの主題が弱奏のあとぐっと驚くほど力強く立ち上り、風格を持たせるところは最高。
トリッチ・トラッチ・ポルカでさえ、軽妙にしすぎず、がっちりした感覚。
B面最初のポルカ「電光と雷鳴」はCDでもかなり迫力でしたが、直接音がしっかり響く当LPではバス・ドラムがさらに空気を揺さぶり、圧巻。
次にワルツ「南国の薔薇」、これはシュトラウスのワルツで一番好きな曲なんですが、ベームのシンフォニックな演奏でこれも最高の充実感。
ピチカート・ポルカがまた素晴らしい、弦のピッチカートのみの小曲がこれほど深く豊かな音楽だったかと少し感動する^^これも当LPの豊かなサウンドで始めて味わえます。
J.シュトラウスはフリッチャイ盤と当ベーム盤の見事な管弦楽を聴くと、あとはどれを聴いても物足りなくなりそうです。

PS.ベームがVPOを振ったブラームス交響曲全集はLPもCDもサウンドは同じ仕上がりでややスリムに聴こえます。このJ.シュトラウスのLPのようにもう少しサウンドに太さがあると良いと思うのですが。

category: その他・ロマン派

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J.M.クラウス四重奏団:J.M.クラウス四重奏曲第1集  

さて、乗り出した船で、クラウスの室内楽を続けます。
今日は随分前に手にしたお気に入り盤、その名もヨーゼフ・マルティン・クラウス弦楽四重奏団による、2枚のアルバムの第1集です。1st.vlで率いているのはW.エールハルトです、先日のfl.トラヴェルソのM.サンドホフと同じく、コンチェルト・ケルンゆかりの人はJ.M.クラウスに力を入れているのか、名演盤を出しています。やはり共通なのはキレ味抜群の緊迫感をもって聴かせるところ、もちろんこの上ない繊細さも魅力。
当盤の録音は会場の響きが石質だが、わるくない、演奏の鋭さが増して効果的v

レーベル:CAVALLI RECORDS 
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ロ長調op.1-2、快調な魅力の第一楽章、穏やかながら気分の移ろいが深い味の第二楽章、スケルツァンド・アレグレットの終楽章、ロンド主題の間に鋭さを聴かせ、ふっと終わる。
ヘ短調、短い楽章が2つのみ、アンダンテ・ディ・モルトはほの暗く幻想的、2つ目の楽章はアレグレットで明るさに転じるが、ちょっと悩みどころも聴かせる。
ハ長調、第一楽章は長めで、たっぷり内容を持つ、展開部が期待に応え、深く掘り下げ、ゾクっとくる味わい。
以下2曲は先日のM.サンドホフ盤にも入っていた曲、
ト短調op.1-3、フーガの第一楽章はさすが、こちらの演奏もいい、第二楽章ロマンツェはわりとさらりと演奏する、終楽章、こちらは比較的ゆっくりと、がっちりリズムを踏みしめるように弾くのがまた効果的。
さて最後が傑作、ニ長調op.1-4、ちょっと楽譜を引用、

kraus sq

第一楽章の一部だが、赤枠で囲ったところ、これはクラウスがよく使うリズミカルで快調な節回しの一つ、これを聴いただけでクラウスらしい。
そして終楽章はまさに痛快フルスロットル、鋭い静と動のインパクト、この楽章の魅力を群を抜いて全開に聴かせる。チェロの弓を叩きつけるような奏法はギターのラスゲアートのように情熱的、当盤もクラウス・ファン必聴でしょう。ちょっと入荷がむずかしそうな雰囲気かな;
TOWER amazon

category: J.M.クラウス

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M.サンドホフほか:J.M.クラウス フルート五重奏曲&SQ  

タルティーニのvlソナタ「悪魔のトリル」はタルティーニの夢の中に現れた悪魔が人間には思いつかない霊感に満ちた曲を聴かせ、目覚めた彼はそれを書きとめようとしたが、夢で聴いた曲には遠く及ばなかったという伝説が残るそうです。またシューベルトは眠りかけに閃いた曲をすぐに書きとめられるよう、眼鏡をかけたまま寝ていた、という話も聴きます。それほど芸術家にとっての閃きとは夢にでてくるような掴みづらいデリケートなものかもしれません。
今日取り上げるJ.M.クラウスのフルート五重奏曲などは、夢の中の閃きをそのまま楽譜に書き切ったような傑作に思え、この曲を聴いただけで、クラウスが並みはずれた才気の持ち主と感じられます。またM.サンドホフ:fl、シュパンツィヒ四重奏団の演奏の素晴らしさも嬉しい、サンドホフはコンチェルト・ケルンの創立メンバーでもあり流石、シュパンツィヒSQも作品のデリケートな魅力をみごと掬いあげている、クラウス・ファンなら必聴の名盤です。
先日のNAXOS盤のような演奏ではマイナス面のほうが多く、これを最初に聴いてクラウスをつまらない作曲家だと多くの人が錯覚してしまったら由々しきことです。

ヨーゼフ・マルティン・クラウス
フルート五重奏曲 ニ長調、弦楽四重奏曲 ト短調 op.1-3、弦楽四重奏曲 ニ長調 op.1-4
マルティン・サンドホフ (fl.トラヴェルソ)、シュパンツィヒ・クァルテット
録音: 3-6 April 2001, Barocksaal, Kloster Benediktbeuern, Germany
CAPRICCIO レーベル

kraus fl quin
CD情報

フルート五重奏曲 ニ長調
第一楽章、アレグロ・モデラート、快速な演奏でも12:59という長大な楽章、すっきりとして小回りの効いた、クラウスらしい旋律に溢れる、弦のみでの始まりからいい、頭の音をちょい伸ばし、残りを素早く軽やかに弾く、またちょっとしたルバートなど、表現センスが冴えている。そしていいところでflが鳴りだす、殆どどこかのパートがシンコペーションを奏で、快調な流れを絶やさず、各パートが複雑に綾を成す、チェロがしばし休止して低音がない部分では、まさに夢の中を浮遊して行くかの感覚、そしていいところでチェロが鳴りだす、提示部を一回聴いただけで、十分な満足感、展開部はさらに調の推移が魅了、2度ばかり疑似再現を聴かされるようで、長い展開部が続く、再現部はどこからか明確にわからないほど変化に富む、終結部も終わりそうで終わらない、もうひと押し聴きどころを加えて、二つの終止音でついに終わる。キッパリ鋏を入れるハイドンとは随分違うが、加えられた部分が決して冗長を生まず、もっと聴きたいほどだから素晴らしい。
第二楽章、ラルゴ、気分を清めるような美しいテーマによる変奏、ここも弦だけで始め、flの出が良い、常にどこかのパートがこのテーマを奏で、他のパートが変奏要素を重ねる、変奏のセンスが冴え、中間部では意外な強奏を聴かせ、短調に移ってからぐっと深みがある、変化豊かで、ありふれた無難な変奏で終わらないのはさすがクラウス、当演奏の透き通るような美音はまさに作品の真価を聴かせる。
終楽章、フィナーレ コン ブリオ、第一楽章に負けない快調な魅力、ユニゾンの動機はC.P.E.バッハを思わせ、速めのテンポで快調なリズムと切れ味で進む、パート間がしのぎを削るように掛け合い、単調ではないリズムのセンスはラテン系顔負けの見事さ、こんな楽しさは、モーツァルト、ハイドン、ヴァンハルからも聴かれない、唯一スペイン時代のボッケリーニくらいか?展開部はこの快調さで転調の推移が一段と冴える。終結もすっぱりと洒落た終わり方。
続いて弦楽四重奏の傑作がが2曲、
弦楽四重奏曲 ト短調 op.1-3
第一楽章、短い導入がフーガ主題を導きだし、フーガが始まる、古楽器ゆえに余計にバロック的に聴こえる、中間部にテーマを変化させた対位法を置き、再び始めのフーガ主題を導く、そしてフーガをパターンを変えて聴かせる、こんな楽章はクラウスならでは。
第二楽章、ロマンツェらしいテーマだが素朴さもあって好ましい。中間部での情感の変化が聴きどころ、シュパンツィヒSQのノンヴィブラートによるハーモニーも格別。
終楽章、テンポ ディ メヌエットだが、スケルツォ風、小悪魔の踊りのような不思議な雰囲気とリズム感を聴かせ短く終わる。
弦楽四重奏曲 ニ長調 op.1-4
第一楽章、アレグロ、先述のフルート五重奏曲と同系の魅力をもつ楽章、弦楽が細やかな旋律で流線的美しさを貫き、各パートも緊密に掛け合う。この旋律の節回しの特長が似ている人は本当にボッケリーニくらいしか浮かばない、展開部も心地よい流線美のまま見事構成する。
第二楽章、ラルゲット、ニ短調にかわり、孤独感を帯びたテーマの変奏だが、変奏の技巧より雰囲気を大切にしている、中間部の長調がはっとする美しさ。
終楽章、アレグロ モルト、これぞ極めつけ、クラウスの凄味、鋭くキレ味抜群のリズムのセンス、いったいどこから影響を受けた作風なのかいまだに不明。展開部からがまた情熱的で痛快、快調な中で全パートが畳み込むように緊密に掛け合う。
作品、演奏ともに(★★★★★+α)!

category: J.M.クラウス

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タイガーストライプ  

私の持っているリュートのボウルは大半がメープル材で、例外が2挺です。
メープルはヴァイオリンの胴にはほぼ例外なく使われるようですね。硬さや質量が最も適しているからでしょう。さらに良材には絹が細かく波打ったような模様"杢"があり、ニス塗装することにより、くっきり浮かび上がって美しいです。

メープル

リュートの場合、細いリブを繋いで球面を作るのでさらにこれが見栄えとなります。天然材ゆえに、二つとない杢のパターンがあります。大事なのは同じ材から連続して切り出した薄板を順に繋ぐことです、そうしないと杢パターンが不連続となり、美しさが削がれます。失敗なく作業をする製作者の腕にかかります;たまに別材の寄せ集めのような楽器も見ますが、美しくありません。そういう時はまったく別種の木材を互い違いにツートン配置にしてごまかすしかないです。 メープルにはバーズアイ(鳥目杢)という別パターンの美しい杢がありますが、私は縞々が好きで持っていません;
そういえば、現在、裏面の平たい楽器はひとつもありません、これらに手を伸ばす余裕はないとサトリました^^;

category: 楽器について

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C.アバド:モーツァルト交響曲第35、29、33番  

ちょっとマイブームになってきたC.アバド指揮、モーツァルトOです。
少なくとも20年ほど前、アバドがこういう演奏をするようになるとは誰も予想しなかったでしょう。従来の演奏から頭を白紙にして、再度楽譜を見つめ直したような、すべてがリフレッシュされています。今日はモーツァルト交響曲2枚組のCD1、35番、29番、33番です。
最初の「ハフナー」からして、アーノンクールもブリュッヘンも真っ青の鋭い爆演です^^ティンパニは古楽器のようで、全ての箇所で打音が響きに紛れ込まず、明確に締めます。

アバド moz 35

35番「ハフナー」第一楽章、速めで快活、殆どの音の最後を明確に切り、きりっとした気合いが入る、大きく分けてvl群のパートと低音群のパートが対位するバランスを明確に聴かせる、強弱表現も絶妙のツボ、展開部の入りはぐっと弱音で強奏に入る直前が息をのむ、本当に聴き手を演奏者サイドに引き込むような気迫で最後まで聴かせる。
第二楽章、あまり遅くせず、軽妙、単に多くのピリオド演奏の二番煎じじゃないのは緩抒楽章で感じる、アバドならではの細やかなデュナーミク、美質も十分聴かれる。弱奏は微かなほど静かに、ぐっと感情を盛り上げる、しかし粘っこい表現はなく、常に歯切れよく涼やか。
メヌエット、ここも、並みのピリオド演奏を超えていて、軽やかに拍を捉え、洒落た装飾を付けるが、付け足し程度ではなく、魅力的。トリオはぐっと穏やかに、メヌエットの再現が効く。
終楽章、快速なうえにブリュッヘン顔負けのインパクト、文句なしの快演、ライブ録音で拍手はカットされているが、大拍手に違いない。
29番、親しみやすさからか人気の曲だが、全般にホモフォニックな書き方で長いわりに密度感が乏しくあまり好きな曲ではなかった、ゆったりとした演奏では眠くなってしまうが、これもアバドの手腕で濃密に引き締める、終楽章だけは聴きごたえがあってわりと好きだが、アバドの演奏でさらに密度が高まる。
33番、モーツァルトの交響曲ではあまり人気ではないだろうが、これぞ古典派通を引き付ける曲、第一楽章、流麗ではないがハイドンに近い構築の面白さがあり、細かく味わえる。展開部ではあの"ジュピターの動機"が繰り返し現れ、その後も切迫感のある魅力、再現部も十分な効きごたえがある。もちろんアバドの演奏で一段と集中させられる。
第二楽章、結構熱気のある第一楽章のあと気分を鎮める。これといった山場はないがモーツァルト管弦楽団の涼やかな弦が味わえる。fl協奏曲No.1のテーマそっくりの旋律がちらっと出る。
メヌエット、すっきり明快なメヌエット、これもハイドンの交響曲に出てきそうな雰囲気、トリオも短く小ざっぱりして良い。
終楽章、小刻みで切れ味の良いテーマ、流麗さよりも快活さが魅力、展開部も長くはないが、構成的な味わいも十分、さすがアバド、良い曲を取り上げている。

CD2の「プラハ」「ジュピター」はあらためて。

category: モーツァルト

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J.M.クラウスの入荷盤、3枚  

今日もバラバラに注文してあったCDが同日に届きました。ヨーゼフ・マルティン・クラウスのCDが3枚、どれも期待を裏切らない内容で、ちょっと過呼吸ぎみです^^まだ名盤あるんですね。

j m kraus 01
左①フルート五重奏曲 ニ長調ほか、マルティン・サンドホフ:fl、シュパンツィヒ・クァルテット、
CAPRICCIO
右②グスタフ3世のための葬送カンタータほか、ヴェルナー・エールハルト指揮、ラルテ・デル・モンドetc、
D.H.M


j m kraus 02
③弦楽四重奏曲集、リュセル弦楽四重奏団 MUSICA SVECIAE

まずは室内楽でMUSICA SVECIAE盤にも入っていた、①フルート五重奏曲と弦楽四重奏のアルバム(CAPRICCIO盤)、これも古楽器ですが、キレ味抜群の名演、
次は②グスタフ3世のための葬送カンタータ(DHM盤)、W.エールハルト指揮による新盤です、作品といい演奏といい、深淵の世界に引き込まれます、
最後は③弦楽四重奏曲集(MUSICA SVECIAE盤)で国内のカタログにはないようですがリュセル四重奏団による演奏、MUSICA SVECIAEは古楽ばかりじゃなく、スウェーデンの新鋭SQも起用した斬新な姿勢、クラウスの作品は最新感覚にも応えることを実証している。

あらためて各レビューを書きますが、クラウス・ファンの方はよろしくお付き合いください^^

category: J.M.クラウス

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バーンスタイン:ハイドン交響曲第88番&「オックスフォード」  

今週は毎年恒例の日帰り人間ドックに言ってきました。まあ異常箇所はいつものとおり;聴力検査もピッピッピッと全部聴こえましたv音楽が聴ければ、まずはよしと^^;

ハイドンは緻密で真面目な演奏も好きですが、たまには伸び伸びとした演奏もいい、ということで、久しぶりに聴いてみたL.バーンスタイン&VPOのお馴染み盤です。バーンスタインのしなやかな太筆書きのような演奏、それに完熟したようなVPOサウンドが他では聴けない魅力となっている、特別好きな演奏というわけではないが、気分がほぐれるのは確か。

レナード・バーンスタイン指揮、ウィーン・フィルハーモニーO
1983年 ウィーン、ムジークフェラインザール ライヴ

バーンスタイン haydn

88番、序奏はVPO独特の絹の光沢を帯びたような弦が清々しい、主部は活力に満ちた開始、ダイナミクスも塊の音にならずしなやかである、展開部の入りは十分弱音、彫の深い構築を聴かせる、木管の聴かせどころも美しい、後半も反復してたっぷり聴かせる。
第二楽章はまさにラルゴのテンポ、チェロとウィンナobが一味違う艶を帯びてテーマを歌う、突然の総奏フォルテも響きが分離して広がるので耳心地もよい。しっとり甘い表現もVPOだからこそサマになっていて嫌味がない。
メヌエット、アレグレット、普通のテンポでしょう、これもバーンスタインらしい活力、timpが効いてキリっと絞める。
終楽章、快速なテンポと心地よい量感を持たせて、快調に進む、展開部はぐっと押し出す表現で聴きごたえ十分、終結も痛快。88番ではバーンスタインの持ち味が一番効くようだ。

92番「オックスフォード」これもバーンスタインの味が効く曲、序奏のテンポも大袈裟に伸ばさず、爽快、主部は属七の弱音で始め、次のトゥッティの思い切った量感、音符を長く伸ばして量感をつけ、美感のある響き、楽章全体を心地よい強弱対比で盛り上げていき、展開部の力感の推移も見事。
第二楽章、アダージョ、ここは言うに及ばず、88番と同様の美しさでしょう、ちょっとしつこくもあるが。
メヌエット、いささかずっしりした演奏だが、和声がすっきりと良く響き、無用に重く感じない、心地よい量感として響く。
終楽章、ほどよい快速で、きっちりとした様式感も聴かせ快調な推移、ここでもダイナミクスが効いて、よい響き、展開部の一部を弱奏にして、集中を誘う、再び強奏に戻した対比が効いてくる、ここはまあ、細工せず素朴にやってもいいと思うが、A.プレヴィンもVPOを振って同じようにやっていた。
オケのサウンド、会場の響き、録音の良さが揃って録音物としてもひじょうによい出来栄え。

category: F.J.ハイドン

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C.アバド:バッハ ブランデンブルク協奏曲  

あまりに有名指揮者となると、聴くのが後回しになってしまい、亡くなってから、良さに気付くとは不覚ですが、次々アバドを聴きたくなります、晩年近くの演奏ほど好きになっていきます。こうなったらバッハ、ブランデンブルクです、たしかアバドは過去にミラノ・スカラ座Oとの録音がありましたが、今回は2007年、モーツァルトOでの演奏。

アバド ブランデンブルク

ブランデンブルク協奏曲といえばソリスト達の名演が大きな部分を占めますが、ソロvlはモダン&古楽器両刀使いのジュリアーノ・カルミニョーラ、チェンバロには現代の古楽旗手オッタヴィオ・ダントーネが、またリコーダーにはミカラ・ペトリほか、達人ソリストが集まり、通常はないであろう顔合わせのコラボでもある、そこに大指揮者アバドが立ち、モダン、ピリオドの区別なく融和した現代演奏の象徴のようにも思えます。

アバド ブランデンブルク メンバー

奏者の顔ぶれからして、ソリストあるいは通奏低音の誰かがリードしても素晴らしい演奏になるであろうが、そこを老練シェフ、アバドがもっと良くする役割を果たし、最高に整えている、第1番の第一楽章を聴いただけでそう感じる、最後のメヌエットは軽やかな魅力、第一トリオの3本のobの装飾の絡み合いがいい。
第3番は溌剌として明瞭、古楽器の場合、やや乾いた響きになり、それが味でもあり、弱点でもあるが、ここではモダン楽器の活かし方が冴える。
第5番は速いテンポだが、これくらいが望ましいと感じる、バス旋律にも快調さが生れ、どのパートを聴いても心地よい、ダントーネのチェンバロは冴え渡り、ソロに入っても快速、わずかなルバートが効果的。フルートのJ.ズーンはトラヴェルソ風の古雅な味わいも聴かせる。
第6番、第一楽章から心地よい快速、どの曲でも言えるがアバドの絶妙なコントロールで音の一つ一つが活きていて、細かく聴いても味わいがある。
第4番、テンポとしては各楽章、普通くらい、リコーダーにモダン、古楽器の区別はないだろうが、モダン楽器のアンサンブルとは思えない素朴で晴朗な味わい。カルミニョーラのvlもモダンだが、知らぬ間に古楽器かと錯覚する。
最後は華々しく第2番、快速に始まる、R.フリードリヒのtpは見事で、バロックtpを意識したような透明で高貴な響き、それでモダンtpの機能を活かした装飾も行う、tpが休みの第二楽章は3人の奏者がそれぞれ変化のある装飾を後半になるにつれ加えていく、ペトリが胸のすくような装飾を決め、第二楽章を輝かせる。終楽章も痛快に決め、CD2枚があっという間に聴き終わる。

category: J.S.バッハ

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W.シュヴェーデほか:J.M.クラウス 室内楽集  

J.M.クラウスを紹介してくれたNAXOS、スンドクヴィスト指揮、スウェーデン室内Oの交響曲が良かったので、後に続くクラウス作品を楽しみにしていたのですが、すべて良いとは限らない;2枚組で出たヴァイオリン&ピアノのソナタなど室内楽を集めたアルバムですが、なんとも20世紀前半的な古くさい演奏;

kraus chamber

ワルター・シュヴェーデのvlは震えるような深いヴィヴラートをかけ、べったりした透明感の無い音、クラウスの作品のすっきりとした素の美しさが聴けない、せっかくの美しい素肌に厚化粧するようなもの、これらの内3曲が過去にレビューしたMUSICA SVECIAE盤に入っていて、J.シュレーダーらの演奏が素晴らしかっただけに落差は大きい、ちなみに最後のトリオはチェロが入るが、多くの部分でピアノの左手パートとチェロが重なるように書かれているので、この演奏では重く聴こえる、テンポも遅めにとっているのでなおのこと、音楽のキレがない。これはハイドンはもちろん、モーツァルト、ベートーヴェンをやっても冴えないだろう。古い演奏法でクラウスをやると、こうなるというサンプルの意味で持ってはいるが。
それにしても、vl属、fl、obにも何時のころから、ワンパターンにヴィヴラートをかけるようになったのか?近代までピュア・トーンが基本だったと聞く、ヴィヴラートは表現法のひとつで効果的なところだけ、行えばいいはず、バロックはもちろん、ハイドンやモーツァルトも真価を曇らされてきたように思える。

category: J.M.クラウス

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C.アバド:モーツァルト交響曲第39、40番  

C.アバドは独墺系作品の多くを素晴らしく演奏する一方、自国のプッチーニやヴェリズモ・オペラはまったく手がけない、というところに何か方向性を感じます。
ヨーロッパ室内Oを振ったハイドン、BPOを振ったベートーヴェンを聴くとその後のモーツァルトも期待してしまう、今日はアバドの晩年近く、柔軟な若手で結成したモーツァルト管弦楽団と録音した、第39、40番を聴きました、アルヒーフ・レーベルから出ているのも只ならぬ予感、世間のレビューは一切参考にせず取り寄せたところ、みごとに期待どおり。過去のロンドン響との演奏とはまるで違う、S.ラトルもT.ファイも真っ青のピリオド系、胃癌の手術後、復帰してからも前進を止めず、これほど活力と幸福感に満ちた演奏を聴かせるとは感動です。

モーツァルト 交響曲第39番、40番
クラウディオ・アバド指揮、モーツァルト管弦楽団
2008~2009年 ボローニャ、 ライヴ・レコーディング

アバド moz39 40

第39番、第一楽章、序奏は付点のリズムを二重付点に強調し、音は引きずらず歯切れよく、timpも切れ味よく堂々と打ち鳴らす、弦はノンヴィヴラートで運弓の味わいをよく聴かせる。序奏でもうゾクゾク来る。主部は快速に緻密な強弱、アゴーギグ、アバド持ち前の手腕はそのままに新感覚の演奏を進める、音節をくっきり区切り、音をぶつけてくるような厚い響きは作らず、心地よい力感を聴かせる。木管、金管の響かせどころ、弦が輝くところ、素晴らしいバランス。聴き手を聴衆の立場というより指揮台に立ち会うような感覚に引き込む。
第二楽章、始まりは弦が涼やかでじわりと味がある、短調に入ると内声のシンコペーションを浮き立たせ、弾むような感覚で、ぐっと引き付ける。
メヌエット、これは快演、速いテンポでリズムをくっきり打つが、3拍子を1拍に聴かせる快調でなだらかな感覚、1フレーズをぐっとフォルテで入り、ふっと力を抜く、アバドの大らかなタクトの動きまで目に浮かぶようだ。トリオの絶妙なアゴーギグもじつに心地よい。
終楽章も快速、やや武骨なほどリズムを打つがこれにハマってしまう、一音ずつがっちり決め、旋律ラインは柔軟、ホルンやtpを効果的に荒々しく響かせる。39番の名演は多いが特筆もの。
第40番、第一楽章を聴けば、ロンドン響時代の演奏とまったく違うのがわかる、速めで軽やかな入り、やはり音節をくっきり区切り、重い響きは作らない、甘ったるい旋律表現はなく、ストイックに整える、提示部の終止音をちょっと味わい深く伸ばす、展開部も冷静にじりじりと構築していく感覚、再現部に移る前のアゴーギグが味、再現部の中にもクライマックスがあるが粛々と進める。
第二楽章、速めのテンポだが、とても軽やかでレガートな開始、2つの32分音符が切々と続くが語るように表情的。弦楽は微かな響きから深みへ引き込むような強弱表現、ノンヴィヴラートがけっして淡泊じゃなく、味わい深いのを実証する。
メヌエット、従来はゴツゴツと重っ苦しい40番のメヌエットも随分あったが、アバドの演奏は速めのくっきりしたリズムの上に柔軟、爽快に美音が流れ、上声、低音とのカノン的な動きも快調な中にさりげなく織り込む。トリオは弦、管の各パートの上手さで、美音を交互に聴かせる。
終楽章、快速なテンポ、各パートの動きをくっきりと聴かせ美しい響きとともに楽章の切迫感が際立つ、第二主題の弦の涼しげなこと、続くクラリネットも絶品、展開部の入りでは異例なほど斬新な和音進行、ここはじわりと聴かせる、フガートに入るが、ヴィオラの歌い出しが上手くて味わい深い、低音弦もここでは量感を出し、彫りの深い掛け合いとなる。終結部では低音弦と木管が交互に上行音階を奏でるところ、対等な響きでバランスを取る。じつに細部まで行き届き、アバド持ち前の美質も存分に聴かせる。
マイッタというか古典派演奏の最先端を行くような素晴らしい演奏、40番に関してはもはやワルターやベームのタイプは聴けない;

category: モーツァルト

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A.ホルステッド:J.M.クラウス 序曲&交響曲  

MUSICA SVECIAEはスウェーデンの音楽史をたどるレーベルで、スウェーデン政府が資金を出し、王立音楽アカデミーが製作した、とのことです。なるほど、演奏も半端じゃない一流のものです、前にレビューしたJ.M.クラウスの室内楽集も同レーベルでJ.シュレーダーはじめとする古楽奏者による、またとない優れたものでした。
今日のJ.M.クラウス 序曲&交響曲のアルバムもアンソニー・ホルステッド指揮、エイジ・オブ・インライトゥメントOという一流どころ、ホルステッドは1945年生れ、英国古楽の大御所の一人で、ホルン奏者であり、鍵盤奏者、そして指揮者、として活躍中、cpoレーベルからはJ.C.バッハの鍵盤協奏曲など、鍵盤を弾いた録音もあれば、モーツァルトのホルン協奏曲も吹いている、古楽界には他芸の持ち主が多いです。詳しくはWikipedia:Anthony Halstead
マイナーでも優れた作品を次々録音する人のようで、クラウスの録音にオケ共々起用されたのもわかる気がします。さすが王立音楽アカデミー^^v

劇音楽「オリンピエ」序曲
教会のためのシンフォニア
交響曲ハ短調VB142
交響曲ハ長調VB139
議会行進曲
アンソニー・ホルステッド指揮、エイジ・オブ・インライトゥメントO
1991年録音

kraus sym sve

クラウスはグルックの影響も受けていると言われるが、悲劇性を帯びた描写では確かに共通するものも感じる。
1曲目、劇音楽「オリンピエ」序曲、短調作品で運命的な序奏で始まる、主部は概ねソナタ形式だが、提示部のあと簡潔な展開部があって再現部は提示部をそのまま、最後に序奏部もそのまま再現して終わる、構成は明快であまり手は込んでいないが、閃きを一気に書きとめたような、ぐっと来るクラウスの魅力を印象づける。ホルステッドによる演奏は内声弦の動きもくっきり聴かせ、緻密に構成を聴かせる、オーボエのツーンと突き抜けてくる響き、ホルンの存在感が効く、見渡しの良い古楽サウンドにも満足。
2曲目、教会のためのシンフォニア 、先日、スンドクヴィスト盤(NAXOS)でも聴いたところだが、作品そのものは素晴らしいし、当演奏にも申し分なし、古楽器のピュア・サウンドでは一段とバロック風に聴こえて興味深い。
3曲目、交響曲ハ短調VB142、クラウスの作品の中では特に人気作と思われ、よく録音される。嬰ハ短調VB140が原曲で、ハイドンに献呈するため、改作したのがVB142だそうで、第一楽章が大幅に書き直されている、対位法的な序奏が見事、主部の主題はメロディックになり、流線的だが、バスや内声の刻む切迫感のあるリズムは残されていている。ホルステッドの構成を捉えた演奏で希薄にならず、引き付けて行く。
第二楽章は変奏曲と思われる、クールな主題で気分を沈静化させ、弱音の弦の和声が美しく響き幻想的でもある、味わい深い楽章。
メヌエット楽章は除かれ、終楽章、アレグロ・アッサイ、これは悲哀というより、疾風怒涛、クラウスの魅力の大きな要素、原曲VB140とほぼ同じだが、展開部をよりドラマティックに改作している、vl群の怒涛のトレモロの下で内声、低音部が力強い掛け合いをするのは圧巻、終結部も同様の手法で、白熱して終わる。
4曲目、交響曲ハ長調VB139、まずハ短調の深く幻想的な序奏がある、主部は一転、明るく活気のある第一主題、穏やかながら印象的な第二主題がでる、ソナタ形式ではあろうが、あまり明確に形式感が掴めない不思議な感覚を抱かせる、クラウスらしい魅力を持った楽章。
第二楽章も形式が掴めない自由なカプリチォ風の曲だろうか、不思議な魅力で包み短く終わる。
終楽章、いかにもロンドらしい楽しげな主題、ソナタ形式の枠もあるようだ、展開部で少し聴きどころを置き、この楽章も短く切り上げている。

ホルステッドとAge of Enlightenmentのよる録音はこれ1枚なのが惜しい、交響曲の主だったものだけでもあと1枚くらい録音してほしかったところ。

category: J.M.クラウス

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ネットワーク回路:コンデンサー交換  

コンデンサーは交流は通すが直流は通さないほか、一定の周波数以上は通すがそれ以下は通さないという働きをします。よってスピーカーのネットワーク回路でツィーターに送る信号のハイパス・フィルターに使われます。今まで一般の電材だったSIZUKI製のフィルムコンデンサー(黄色)を使っていましたが、高域を通す部品だけに少しでも良質にしたいところ、一応オーディオ用とされるFOSTEX製、フィルムコンデンサーCP3.3に替えてみました。がっちりしたケースにエポキシ封入され、リード線も撚り線のしっかりしたもの、ちょっと信頼度上がります。

fostex 33
FOSTEX フィルムコンデンサー CP3.3(3.3μF、250V) 

ネットワーク

数枚CDを聴いてみたところ、幾分、雑味感が減った印象ですが、まあこれ以上良くしようがないか、といったところ^^;SIZUKI製がだめだったということはなさそうです。ローパスのコイルはもちろんハイパスもフィルムコンデンサーなら劣化は殆どなく、半永久的に使えるそうです。ただ電解コンデンサーは寿命があるそうで、アンプなどの機器にもいっぱい使われていて、ずっと使えないのもわかります;

category: 趣味のハンドメイド

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