Micha クラシック&リュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

モザイクSQ:ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第1、4番  

ベートーヴェンがハイドンと同時に依頼を受けたロプコヴィツ四重奏曲の6曲セットは初期の作品として興味深いです。1798~1800年の間に書かれたらしい。ハイドンが2曲で絶筆となったロプコヴィツ四重奏曲の続きを聴かせてくれるようでもあり、四重奏曲の書法を十二分に受け継いだ器の大きさを感じさせる。ハンドンのロプコヴィツ四重奏曲と聴き比べ易いよう、今回も古楽器SQでモザイク弦楽四重奏団の3枚で6曲を揃えた。今日は1番と4番の入った1枚。モザイクSQは透明感のある響きでベートーヴェンのエネルギッシュな切れ味も聴かせてくれる。

be sq 1 4
モザイク弦楽四重奏団、2004年

第1番ヘ長調
曲集の第1番となったのは高名なヴァイオリン奏者シュパンツィヒの薦めによるものだそうで明るい親しみやすさがある、ハイドンの完熟した音楽センスに対し、やや渋口な感もあるが。
第一楽章始まりの2度弾かれる動機が支配的でこれを入念に展開させる、第二主題は経過句のようで印象は少ない。全体には四重奏曲の手本のような出来だが展開部の深さと緊迫感は見事。
第二楽章、8分の9拍子でリズムを刻む上で、1st vlから悲哀的テーマで始まる、各パートが受け継ぎ和声の重なりが味わい深く、シューベルトの曲を思わせるロマン派的味わいもある。
第三楽章、スケルツォ、アレグロ・モルト、まさにスケルツォらしい、トリオの弾むテーマは斬新で快調。
終楽章、素早いパッセージで成る動機、これが4つのパートで掛け合い、重なるのは切れ味抜群、展開部でのポリフォニックな扱いでも見事に切り立ってくる、終結まで緊迫を維持する。

第4番ハ短調
6曲中、唯一短調作品で、これは魅力な傑作である。
第一楽章は情熱的であるが意外に流麗な曲で、ハイドンをそのまま引き継いだ風でもないし、ベートーヴェン後期の四重奏曲にもなさそうな独特の雰囲気が魅力。短調の第一主題の部分はボッケリーニの短調室内楽を連想するし、長調の第二主題の優しさはJ.M.クラウスのフルート五重奏曲を思い出してしまう、第一、第二主題ともに良い。展開部は第一主題をひとしきり深め、第二主題で変化を聴かせる、最期にトレモロ伴奏でクレシェンドするところボッケリーニ風に聴こえる、再現部のあとコーダも一層情熱的に終わる。
第二楽章 スケルツォ、とはいえ速度はアンダンテで実質緩抒楽章の位置づけのようで、ほとんどフーガの要素で書かれている、リズム的にはスケルツォ風の活気も持つ、実に巧みなフーガが全体にはソナタ形式のようにまとめられる、特に展開部後半の凝り様は聴きどころ。
第三楽章、メヌエット、アレグレット、これはハイドンを引き継ぐようなメヌエットらしい楽章だが、トリオには独自性が聴かれる。
終楽章、ハ短調に戻り、リズミカルなロンド主題は民族音楽風、そういう意味でハイドン風でもある。A,B,A,C,Aの形のロンド形式だがBなどハイドンの雰囲気、繰り返すロンド主題にも面白い変化がつけられる。最後のAはプレスティッシモにテンポを上げて痛快に締めくくる。

category: ベートーヴェン

tb: 0   cm: 0

C.ホグウッド:ハイドン 交響曲第104、100番  

今日は音の良いLPでハイドンを聴きたい気分。久しぶりに取り出したC.ホグウッドの「ロンドン」と「軍隊」のLP。MCカートリッジAT33PTG/Ⅱを購入してから一度も針を下ろしていなかった、これはガツンと太さが出るということで選んだ。このLPは再入手ではなく、珍しく発売当時のものを保存していた。初めて聴いたときは量感のない響きに不満があったと同時に歴史的響きであるはず、というところで戸惑いを感じたりもした。時を経て軽やかで美しい音が私の耳の基準になってきた。今聴くとC.ホグウッド、エンシェントの録音はまさしくその音。

hay hog 100 104b
ハイドン 交響曲第104番「ロンドン」、100番「軍隊」
クリストファー・ホグウッド指揮、エンシェント室内O
オワゾリール 1983年 キングスウェイ・ホール 


「ロンドン」は堂々たる作品であるが、やや大袈裟で武骨にも感じ、響きの重い演奏では聴き辛らかった。終楽章の総奏部分など騒がしく聴こえた。お気に入り盤というのが少なかったが、C.ホグウッドの演奏は気品を帯びて引き締まり、聴き疲れすることはない。エンシェントの素晴らしい合奏力もある。「軍隊」もじつにいい、厚い響きではなく瞬発力でダイナミズムを聴かせる古楽オケの手法、鳴りもの楽器の程よい効かせ方。また両曲ともハマるテンポでメヌエット楽章が心地よく、すっかり馴染んでしまった。

hay hog 100 104

CDのほうも聴いてみたが決してわるくない、こちらが真正な音かもしれない。が、デジタル音源であってもLPには弦のしっとり感や残響音など、ちょいと一味香るもの加わるのが不思議。

category: F.J.ハイドン

tb: 0   cm: 0

D.A.カーペンター:J.M.クラウス ヴィオラ協奏曲  

長らくしまい込んであったJ.M.クラウスのヴィオラ協奏曲3曲のCDを聴きます。これらはルンド大学図書館に保存されていた楽譜で近年日の目を見たもの、クラウスの作品と確証はないらしいが、ほぼ間違いないと判定されVB番号が付けられています。他の作曲家ならいざ知らず、少しでもクラウスに親しんだ耳で聴けば、真作であろうことはわかります。古典派作品でヴィオラの為の充実した協奏曲ってあまり聞かないので貴重な作品と言えるでしょう。演奏はヴィオラ・ソロが1986年生、ニューヨーク出身のデイヴィッド・アーロン・カーペンター、彼は長身ゆえにヴィオラがヴァイオリンに見えてしまうそうで。テクニックは申し分なく堅実な演奏を聴かせる。バックはフィンランドのタピエラ・シンフォニエッタですっきり引き締まった演奏で支える。

kraus va con
ヨゼフ・マルティン・クラウス
1.ヴィオラ協奏曲変ホ長調 VB153c
2. ヴィオラ協奏曲ハ長調 VB153b
3. ヴィオラとチェロのための協奏曲ト長調 VB153a
デイヴィッド・アーロン・カーペンター(ヴィオラ)
リッタ・ペソラ(チェロ・・3.)
タピオラ・シンフォニエッタ
2011年11月7-9日 エスポー タピオラ・ホール


ヴィオラ協奏曲変ホ長調 VB153c
形式的には典型的な古典協奏曲、オケで始まる前奏から爽やさと活気で冴えている、カーペンターのvaはvlを聴くかのような艶やかな美音、結構テクニカルな要素を聴かせる、時折クラウスらしい旋律の特長が聴かれる、オケがぐっと入り込んで聴かせる部分も聴きどころ。
第二楽章、旋律美はもとよりヴィオラからこんな透き通った音が出るのかと少々驚く。
第三楽章、ロンド・モデラート、テンポはゆったりの楽章だが、ヴィオラの切れ味よいパッセージが楽しめる。ありふれたロンドじゃなく深い聴かせどころあり。

ヴィオラ協奏曲ハ長調 VB153b
爽快溌剌とした主題による前奏が魅力、ヴィオラ・ソロはまさに一流のメロディー・メーカーらしく変幻自在に楽しませる、オケも心地よい力感でシンフォニックに支え展開部も引き込む。
第二楽章は起伏の深いソロ・パートが聴かせる。
終楽章、ロンド・アレグロ、これは軽快な楽章でちょっとモーツァルトにもありそうな雰囲気で楽しい、ヴィオラの重音奏法もそんなに聴いた憶えなく、ソロも存分に聴かせる。

ヴィオラとチェロのための協奏曲ト長調 VB153a
これはヴィオラとチェロのダブルコンチェルトが聴けると期待したが、チェロは多くの部分でヴィオラの並行和声を弾くなど助奏的な扱いで対等の掛け合いはない、よって実質ヴィオラ協奏曲の要素が大きい、とは言え、第一楽章の前奏は聴き手を掴む雅やかな感覚と活気でソロの旋律も同様である、助奏とはいえvcの存在は味わい深いものにしている。
第二楽章は意外にも短調で総奏でやや異様な始まりで引き付ける、長調に転じvaの旋律にvcが和声で寄り添い、一部掛け合いも聴かせる。
第三楽章、ロンド・アレグロ・モデラート、軽快なロンド、この楽章で初めてvaとvcが対等に扱われる、短調の主題からvcが主導し、vaが伴奏にまわる、中間に緩抒部分を置いたり、急速な部分を置いたり複数の楽章が繋がったような変化をつける、ソロとオケ楽器の掛け合いもあったり、クラウスの独創性を感じる楽章である。

ところで、buxさんに教えていただいた、THE MUSICAL LIFE OF Joseph Martin Krausという書籍が今日届きました、きちんと製本された"本"を買うのは久しぶり;;さすが洋書です。

j m kraus book

たぶん、クラウスについて書かれた資料で唯一手に入るものでしょう、時間をかけてちびちび読んでいきたいです;

category: J.M.クラウス

tb: 0   cm: 0

S.ラトル:ブラームス 交響曲第4番  

S.ラトル、BPOによるブラームス交響曲全集、全曲CDとDVD付きということでお得なセット。ラトルのブラームスはいかなる演奏か楽しみに取り寄せた。演奏史的に見てとても標準的というのが第一印象、ベートーヴェンで聴かせたピリオド・モードから一転、ロマンティック・モードである、しかし表現の細やかさは一際でさすがラトル、バランスの良い響き、vl群はが鳴り立てず潤ったサウンドで低音はゆったり、端正な表現で十分な高揚感を聴かせる不満要素のない演奏だ。録音もナチュラルでじつに好ましい。DVDも画像、音質とも上々だが、やはり集中できるのはCDのほう。

ラトル ブラームス sym
サイモン・ラトル指揮、ベルリン・フィルハーモニー0

第一楽章はじわりと立ち上げ、一音ずつ柔軟な起伏で演奏、ブラームスのスコアに表示されたとおりである、BPOの表現力もさすがと言うほかない、弦の流れと木管の流れのさりげない一体感も良い。提示部の反復指示はなく展開部に入る、169小節のアウフタクトから第一主題を簡潔化したような音形で力強いカノン風の部分になるが、ここはつい拍節に惑わされてしまう、227から246小節にかけてじっくり速度を落としpppにおさめる深い表現は見事、再現部に入る前の緊張感を与え、再現部は整然としなが期待に応えるような燃焼ぶり、終結に向けてのエネルギッシュな表現は極端にならず適度な加速をしながら、ブラスとtimpでかっちり引き締めて終わる。
第二楽章、フリギア旋法による不思議な主題、木管とホルンが中心で始まり、弦に引き継がれる、後半ではシンフォニックになり、対位法の聴きどころを置く、vlが低音部を使った渋く深い弦合奏はブラームスらしい、ここはBPO極めつけのサウンド。
第三楽章、ここもテンポは普通、端正に整ったサウンドが切り立って心地よい。
終楽章、パッサカリアという古めかしい形式を活かしたあくまでロマン的な音楽、大きく3部で構成される。穏やかな中間部の後のff高鳴りがラトルは思い切っていて痛快、取り止めなくエネルギーを投げかけ、結論なく終結するみたいな終わり方はやはりパッサカリア、ソナタ形式のようなまとまった顛末がないのが逆に魅力というか凄味というか。

category: ブラームス

tb: 0   cm: 0

B.ハイティンク:ベートーヴェン交響曲第7番  

さて、先日入手したB.ハイティンク指揮、LSOのベートーヴェン交響曲全集より、第7番です。

第7番は'86年のRCOとの録音も持っていますが、これは2005-2006年にライヴ録音された当全集、約20年経過した演奏は一新されていると言っていいでしょう。隅々まで整った緻密な合奏音で、重く引きずるような響きは作らず、瞬発的な力感でダイナミズムを表現、良い意味でスリムなサウンドで全曲引き締めます。

hai be sym 7
ベルナルト・ハイティンク指揮、ロンドン交響楽団
2005年11月


第一楽章、序奏の総奏音で演奏の特長がわかる、引きずらずキッパリとおさめる、主部は速めのテンポ、インテンポで誇張することなく、音を小気味よく切りながらサクサク進める、timpがことのほか明確に響きリズム的にも快調、弦五部がバランス良く、各パートも明確。展開部、再現部と構成感を大切に聴かせ、最期はホルン高らかにダイナミックに終わる。
第二楽章、アレグレットらしいテンポで素朴に始める、この楽章のひしひしと高揚する様はもったいぶらず速めのテンポで淡々とやるのが良いのかもしれない。
第三楽章、スケルツォ、プレストらしくキビキビと強弱、ダイナミズム、景気良く演奏する、トリオの強奏も同様。
終楽章、提示部の反復ありで8:30のかなり速いテンポ、楽章を埋め尽くす譜例の動機リズムを全ての箇所で一糸乱れぬ演奏を貫徹、

譜例 be sym7

tpとtimpがピタリ同期する、これほどの達演は初めて、終結に向かうクレシェンドではさらに加速気味で圧倒する。さすがハイティンク、余計なもの一切なしで正攻法。

category: ベートーヴェン

tb: 0   cm: 2

A.ハッキネン:J.M.クラウス アリアと序曲集  

古典派のヨーゼフ・マルティン・クラウスを紹介してきた先導役はやはりNAXOSレーベルでしょう、手始めのスンドクヴィスト指揮による交響曲集は優れたものでしたが、続いて出てくる盤がいまいち冴えなかった、特に室内楽は残念な内容でした。今回は久しぶりにNAXOSから出たフィンランドのA.ハッキネン率いるヘルシンキ・バロックOによるアリア&序曲集、これは第一級の内容です。北欧の古楽団体はいいですね、フィンランドは一部スウェーデン語の地域もあるが、93%がフィンランド語、起源の異なる言語で文法も違うそうです。
さて、歌劇の内容はわからないので、純粋に音楽を楽しむことになる。見事な序曲と歌劇の一場面の雰囲気を垣間見る一枚。録音の良さは申し分なし。

kraus overtures
1. 歌劇「プロセルピナ」VB19-序曲
2. あなたの無邪気な視線を VB30
3. あなたは恐れていますか?最愛の人よ VB63
4. あなたを愛することをやめることなど VB59
5. 「グスタフ3世の誕生日のために」VB41-序曲
6. 私が小さな神を見るとき VB5
7. 「冒険家」序曲 VB32
8. 時代の荒廃は VB58
9. 聞いてくれ、行かないでくれ - 私の大切な人に VB55
10. 「グスタフ3世のための葬送カンタータ」VB42-序曲
11. 私の痛みとため息を聞いてください VB26

モニカ・グループ(メゾ・ソプラノ)・・・2,3,1,6,8,9,11
ヘルシンキ・バロック管弦楽団(ピリオド楽器)
アーポ・ハッキネン(指揮)
2013年6月10-12日 フィンランド, エスポー、セッロ・ホール


1曲目、歌劇「プロセルピナ」序曲は宗教曲的な深い安らぎに満ちた序奏で始まる、オーボエのソロが印象的、付点リズムの切れ味よい動機で主部が始まる、マンハイム楽派からの影響とも言われるが、力強い総奏部と清涼な第二主題の弱奏の対比が際だつ、短いが展開部の緊迫感も良い、やはり多くの部分で作風が競合している他の作曲家達と違い、クラウスの独創性も聴かせて魅力だ。ハッキネンは目の覚めるような切り立った演奏、ホルンの鋭い輝きが引き付ける。
M.グループのメゾ・ソプラノは潤いのある美声を聴かせる、4曲目のアリア「あなたを愛することをやめることなど」VB59は通奏低音にvlの助奏を伴いバロックのアリアを思わせる。
5曲目、「グスタフ3世の誕生日のために」序曲は序奏風に聴こえる始まりだが既に主部の動機である、すぐにtp、timpを伴った祝祭的な総奏となる、これは理屈抜きに楽しめる痛快な音楽、第二主題に入ると繊細な味わい、提示部は反復されるがぜひ聴きたい、展開部はぐっと引き込むがこの曲は全体が見事、終結でtpは一際輝きを聴かせる。
6曲目、アリア「私が小さな神を見るとき」VB5はvlやobの助奏を伴った美しいもの。
7曲目、「冒険家」序曲 VB32も独創性を感じる傑作。
10曲目、「グスタフ3世のための葬送カンタータ」序曲は二部構成で後半はフーガ、これにさらに充実したフーガをもう一つ加えて三部構成としたのが序曲ニ短調VB147であるがこれはスンドクヴィスト盤の交響曲集第3集に聴くことができる。

聴き終えてまず、序曲は単一楽章の交響曲を聴くような見事さに満足。アリアは過去に取り上げたS.ケルメスのカンタータ集のような超絶技巧は聴かれないものの、クラウスは歌曲メーカーとして一流の魅力。まだまだ聴くべき曲は隠されている。

category: J.M.クラウス

tb: 0   cm: 0

チューナーによる調弦  

昔は調律用チューナーといえばA=440hzで固定されたものしか無かったですが、今や自由にピッチを変えられるのが当たり前ですかね、古楽器の弦楽器には重宝します。KORGは早くから良い製品を出していました。タイプもいくつかあって、本体を楽器に装着できる小型のAW-2やテスターサイズのOT-120を持っていますが、OT-120は液晶表示だけじゃなく、本物の指針が付いていて、針の動き方で調弦の実態が掴みやすいので大抵こちらを使います。OT-120はサンプリング速度が3段階に変えられるので、弾いた後の短い間の音(FAST)、しばらく音を拾った平均値(MEDIUM、SLPW)と変えられるのも便利です。

チューナー1
チューナー2

撥弦楽器は弾いた直後は振幅が大きいのでその分テンションも上がり、ピッチが高い、余韻の小さな振幅ではピッチが下がるというのが理屈ではないかと思います。実際ガット弦や最近使っているフロロカーボンの低音弦はその傾向が強く、チューナーでぴたり合っていても、どうもピッチが高い?よってまずオクターヴ弦をきちんと合わせ、それに耳で低音弦を合わせるのが良いようです。チューナーでは数セント低いところになるようです。余韻よりも弾いた瞬間のピッチが肝心のようで。同じ低音弦でも巻弦ならぴったりチューナーどおりでしょう。
本番前、大勢がガチャガチャ弾いたり調弦したりしている場所ではピックアップマイクを付けたチューナーだけが頼りで、いまいち歯がゆい、いざ本番ではきちんと合っていないことが多く、やはり静かな場所で自分の耳で確かめることが必要です。リュートなどステージに出てから慌てて全弦を調弦し直すなんて殆ど無理な楽器です;;

category: 楽器について

tb: 0   cm: 2

カール・シューリヒト:ハイドン 交響曲第86番  

たまには古い録音も聴いてみます。今日はカール・シューリヒト指揮、シュトゥットガルトSOによるハイドンの交響曲第86番。カール・シューリヒト(1880-1967)は巨匠の時代にあって個性の強い指揮者だったと聞き、ハイドンもありふれた演奏ではないだろうと期待した。
近年のハイドン演奏といえば、短い動機ひとつとっても細やかな強弱、付点リズム、レガート、スタッカートなど緻密に聴かせ、それらはテンポの速い演奏でもきっちり行って作品の真価を漏らさず聴かせる方向が常識となっている、N.マリナー、S.ラトル、T.ファイ等は好例で、B.ハイティンクのライヴ録音でもそれが聴かれる。
C.シューリヒトの当盤は1954年の録音なので、近年の演奏と単純比較はできないが、この時代は作品は演奏家自らの音楽性を聴かせる素材のようで、ハイドンの86番は聴かせどころの置ける格好の作品なのか?シューリヒトは複数演奏が残っているし、B.ワルターも取り上げている。

hay sym86 schu

当然モノラルだがノイズもなく聴きやすい録音。
第一楽章、序奏はレガートに爽快さを出す、弦の響かせ方はこの時代らしい。主部は評判どおり速いテンポ、効果的に加速、減速するのも当時共通の表現法だろうか、不自然さはない。tpが不調のようで決まらない、エネルギッシュで流れとしては面白いが、節目を鋭角的に決める感覚や緻密な味わいを聴きとれる演奏ではない。第二楽章もあまり遅くせず、レガートで豊かな厚みを帯びた演奏。メヌエットは活気を帯び、トリオはゆったりと聴かせるがもうすこし引き締まった感覚もほしい。終楽章は極めつけの速さ、スピード感とエネルギー感で圧倒する、が、主題の提示にも品位なく疾走する。一瞬の時間でも個々の音やリズムを明確に聴きたいところ、早口すぎてコントロールが及ばず、投げやりぎみに聴こえてしまう。

category: F.J.ハイドン

tb: 0   cm: 0

無風?台風19号  

連休の終わりを台無しにしてくれた台風19号、気象庁の進路予想はほぼ正確でした。ひまわり8号の打ち上げで今後はより細かい予報に期待したいです。
下は気象庁の図で19号の通った跡ですが、私の住んでいる場所に赤ポイントを付けました。ほぼ中心が通って行ったことに。13日午前中から夕方まで、一応それらしい雨は降った。予報の暴風域の大きさは変らなかった。

台風19号
気象庁進路図より

気を張って待っていたのだが、最も接近したはずの時間になっても、雨は弱まり、風が殆ど吹かない、その頃NHKで岐阜市内の中継があったが、やはり雨粒は一滴も見えず、木の葉はピクリとも揺れていない・・結局通して台風らしい風は吹かなかった、ほかの地方の中継では雨風強そうで、近隣の自治体でも避難勧告が出ていたのに。
今までも、台風の中心がどこを通るかでだいぶ違い、台風が南東側を通っていくと進行速度で相殺されて風は弱まる、というのも経験則だったが、しかし昨夜は無風に近かった、いくらなんでもこんなのあり?中心に近いのに・・18号でさえ少しばかり吹いたのに、ちょっと意外すぎる。

台風19号2

気象衛星の画像ではかなり形は崩れていた、"目"に該当するところは無さそう、暴風域強風域の円は一応示されるが、形の崩れた台風では曖昧な要素が多いのかも?
しかし、全般には非常に強い台風でした、拍子抜けの地域もあったでしょうが、事前の避難が肝心でしょう。

category: 時事・雑記

tb: 0   cm: 2

O.スウィトナー:ブラームス 交響曲第1番(ライヴ)  

これも中古ショップでふと見つけたお気に入り盤です。1988年、O.スウィトナーがSKBを率いての最後の来日時、サントリーホールでのライブ録音、この1か月前には同ホールでカラヤン&BPOが最後の来日演奏をしたばかり、同じブラームス1番でした。(旧)東西ドイツのまったく個性の違う巨匠のライヴを聴くのも興味深い。スウィトナーは1986年にD.シャルプラッテンにブラームス交響曲の全曲録音をしていて、これはじっくりと完成させた演奏と言えるでしょう、当ライブCDも基盤的には同じようだが、尋常ではない熱気で流動変形したような唯一無二の演奏かもしれない。

sui bra sym 1
オットマール・スウィトナー指揮
シュターツカペレ・ベルリン
1988年6月13日 サントリー・ホール
ⓃⒽⓀCD


スウィトナーといえば一切の力みを抜いた清潔な演奏が常だがその中にカッと燃えるような気合いを込めて引き付ける、それが器用そうには見えないタクトからぐっと放たれる。映像のないCDからもそんな様子が浮かんでくる。手兵のSKBや日本のN響には以心伝心の信頼がありそんな素晴らしい演奏が生れていたのだろうか。

序奏はさらりと入るが、序奏部にもクライマックスがあり、そこは熱烈に表現する、主部はベートーヴェンの運命の動機のリズムパターンを忍ばせた楽章でもある。スウィトナーはいつもどおり1st vlが出しゃばらず内声、低音とピラミッド・バランスで聴かせ、急がずじっくりしたテンポ、しかし決めどころはびしっと締める、コントラバスが深々と響き下支えは十分、timpの打音は雷鳴のように効かせる。休符の溜めをいつも以上に伸ばしているせいか次の開始で合奏がちょい不揃いになるが凄味に感じる、極端な強奏はしていなが展開部や終結部での加速やクレシェンドは目いっぱいの効果、終結部の圧倒感など素晴らしい。
第二楽章は熱気をさますような清涼さ、弦、木管それぞれが美音を満喫させる、コンマスのソロも一際デリケートで美しい。
第三楽章からがセッション録音とは随分様子が違う、第三楽章は異例に感じるほど早いテンポ、一大イベントの前口上のように急き立てられる、じっくりritして第三楽章を終り、結構間を置いて終楽章に入る、そうあるべき入魂の演奏が始まる、無から立ち上げ、timpの強烈な連打へ導くまでがまず凄い、ぐっと聴き手を掴み、60小節まではスリリングな展開が息をのませる切り立った演奏、そして61小節からのアレグロ・ノン・トロッポ、ブラームス版"歓喜の歌"、スウィトナーは通常よりゆっくり、しみじみと歌わせ弦から管へ引き継ぐにつれ加速していき、94小節からの総奏ffで一気にアクセルを踏み込む、この切り替えに驚く、185小節でふたたび"歓喜の歌"に戻ると前以上にじっくり歌い、同様の表現を強める。展開部でポリフォニックな部分を整然と聴かせ、285小節のブラス群の高鳴りが極めつけ、透明かつ鋭い。終結の間合いの素晴らしさも予感どおり、途中何か所か合奏の不揃いがあるが、リハーサル時にはなかったテンションで様相を変えたのかと思わせる。終止音が鳴りやまぬうちに喝采が起こるのにも納得する。

category: ブラームス

tb: 0   cm: 0

B.ハイティンク、LSO:ベートーヴェン交響曲全集  

ハイティンクは'70年代にロンドン・フィルハーモニーOとベートーヴェン交響曲全集を録音していて、2回目がロイヤル・コンセルトヘボウOと'85~'87年に、3つ目が2005~2006年録音のロンドンSOとの全集で、"LSO"のレーベルでロンドンSOが出しているライヴCDです。
80年代のRCO盤が最も堅実なハイティンク黄金期の録音と言えるかもしれませんが、私が興味あるのは最新のLSO盤です。これも中古セールで見つけたもの。

hai be sym box
ベルナルト・ハイティンク指揮、ロンドン交響楽団
ベートーヴェン 交響曲全集(ライヴ) 2005~2006年録音


ざっと全曲、演奏の特長を聴いてみたが、やはりハイティンクもピリオド指向の新感覚へと向かっていた。RCO盤の重厚で落ち着いた感覚とはだいぶ変わり、テンポは速く、重い響きを控え、金管とtimpが明快で、見通しのよいサウンド。しかしハイティンクらしい端正、緻密な演奏に変りはない。第7番の終楽章たるや最高速並だが、あくまでハイティンクらしい緻密な合奏の決めっぷりで貫くのが痛快、これはRCO盤には聴けない。第8番も元気よく、第3番も不思議に長く感じない充実した時間を過ごさせる。第5番は始まりの運命の動機のフェルマータを引きずらず構成感を優先するのが過去と違う、いずれの曲もtimpが古楽器的なバンとした鳴り方で弱奏箇所でも明確でオケ・サウンドの要となっている。これは先般レビューしたC.デイヴィスのLSOとのハイドン交響曲のライヴ録音とも共通と言える。
なお、当全集にはトリプル・コンチェルトが追加されている、いまいち傑作とは言い難い曲かと思っていたが当演奏は聴ける。楽しみな全集、1曲ずつはあらためて。

category: ベートーヴェン

tb: 0   cm: 0

ラルキブデッリ:ハイドン弦楽四重奏曲No.81,82  

中古盤セールではLP盤探しがメインでしたが、このところCDもまめに探します。出ていたのも知らなかった掘り出し物があったりします。出品の多い外販セールで目ぼしいものがなかったり、通常の営業日に以前から欲しかったものが複数見つかったり、わからないもんです;
これもその1枚、今日はハイドンの最後の弦楽四重奏No.81~83を集めた一枚、演奏がラルキブデッリ、古楽の錚々たるメンバーによるSQです。SONYらしく古楽器の透明感のある美しいサウンドが味わえる。端正なクイケンSQに対し、こちらはスリリングな魅力も聴かせる。

ラルキブデッリ
ヴェラ・ベス:vlⅠ
ルシー・ファン・ダール:vlⅡ
ユルゲン・クスマウル:va
アンナー・ビルスマ:vc
1996年録音

hay sq 81 82

作品はハイドン最後のSQでロプコヴィッツ四重奏曲として6曲セットで書かれる予定が高齢と持病のため衰えたハイドンは2曲を完成し、3曲目の一部を書いて絶筆となった。これほどの曲を6曲も書くとなるとさぞ大変だろうと思わせる作品、2曲だけでも完成させてくれて幸いだったと言えるでしょう。ハイドンは従来の作品と変らず演奏時間は長くしない範囲で圧縮した内容に仕上げている。この時期、ベートーヴェンも同時に依頼を受けた"ロプコヴィッツ四重奏曲"を6曲書いていて、効き比べるのも興味深い。

81番から個性あふれる開始、楽しくリズミカルな主題の第一楽章、1st:vlが主導して小刻みな旋律を奏で他のパートにも緻密に組み込まれる、展開部の内容の深さは文句なし。
第二楽章、ユニゾンで開始して引き付ける、三部形式はじつに楽想豊かで半音進行も使われる、1st:vlの装飾的変奏も魅力。
メヌエットは従来の作品とは明らかに違う斬新なもの、後輩ベートーヴェンの影響もあるでしょう、スケルツォに近いがハイドンらしい味わいもある、しかしvcとvaの鋭いトレモロで始まるトリオはスケルツォそのもの。
圧巻は終楽章、ハイドン最高の終楽章とも言えそう、ラルキブデッリはプレストらしい快速で緻密な内容をもつ楽章をさらに圧縮した充実感で聴かせる。ビルスマのvcが交響曲の強奏部を思わせる圧力で迫る、まさに4人が一瞬の隙もなく一体、室内アンサンブルの醍醐味を聴かせる。

82番「雲が行くまで待とう」、第一楽章はもはや、あれこれ書ききれないほどの内容の高さ、ラルキブデッリは響きの清涼さと彫の深さを両立、フレーズの終わりを繊細な弱音で治める、シンフォニックなダイナミズム、展開部の深さも極めつけ。
第二楽章がメヌエットだが、これはもう実質スケルツォ、この斬新さは決して古臭い作曲家にならず、老いてなお前進するハイドンらしい。トリオは穏やかで対比を付ける、メヌエット再現に入るところも凝っている。
第三楽章がアンダンテの変奏曲、4つのパートが絶妙に紡ぎ合うポリフォニックな要素をもった変奏が魅力。
終楽章、これまた見事な楽章、総奏音を鳴らしたあと、軽快なテーマに入る、民族音楽的なリズムの魅力を下地に楽しい外殻と緻密な内部構造をもつ、81番と同じく素晴らしい終曲、聴き手も演奏者も大いに満足の作品であろう。1st:vlが最高音域の美音を聴かせて終わる。

category: F.J.ハイドン

tb: 0   cm: 0

皆既月食2014.10.8  

今日も朝は晴れ渡っていましたが、夕方にはちょっと雲が多くなってきてだめかな、と思いましたが、どうにか月食の見どころには雲間が切れてきました。
大したカメラじゃないですが、先日衝動買いをしたのも偶然、取説見ながら初めて撮った写真です;三脚に載せ、セルフタイマーでシャッター切りました。

月食1
月食2
食最大時刻

まあ、この程度です。やはり肉眼で見る光景が神秘的なんですよね。
完全に地球の影に入る皆既食とはいえ、地球の影の真ん中を通るコースじゃなかったので左上が明るくなるんだと思います。

category: 科学・自然・雑学

tb: 0   cm: 2

C.ホグウッド:ハイドン 交響曲第54番  

9月24日、クリストファー・ホグウッド氏が73歳で亡くなりました。F.ブリュッヘン氏の訃報を聞いたばかりで次々と古楽の巨匠が逝かれ、本当に惜しまれます。謹んで哀悼の意を表します。

ホグウッド氏はハイドン交響曲の内容の高い全集を目指していただけに追加録音の希望も絶たれ残念です。とは言え残された第1~75番とロンドンセットの一部の録音だけでも偉業ですね。
今日は未完の全集より第54番ト長調、この曲も傑作でありながら全集でもないかぎり録音される機会のない曲かもしれません、手元には当盤のほか、T.ファイとA.フィッシャー盤しかありません。R.グッドマン、B.ヴァイルは残念ながら割愛している。ほかに録音しそうな指揮者は浮かびません;ホグウッドとエンシェント室内Oの演奏はこれさえあればいいと言えそうな内容。

hog haydn sym54
ハイドン 交響曲第54番ト長調
クリストファー・ホグウッド:指揮
エンシェント室内O


第一楽章はフランス風序曲の流れをくむ付点リズムの荘重な序奏で引き付ける、tpとtimpは後から追加されたそうだが、あってしかるべきの曲に思える。主部の躍動感ある楽しさはハイドンならでは、提示部は短く終わる、展開部は二段構えのように聴こえ、後半終りのポリフォニックなところが魅力、再現部もほぼ型どおり、短い楽章だが無駄のない充実感で、ホグウッドはいつもどおり反復を行う。
第二楽章、静謐かつ神秘性を帯びた楽章、ハイドンは42番など疾風怒涛期の作品で同系の緩叙楽章をいくつか書いているがこの54番のアダージョ・アッサイは最高傑作に思う、この世俗の匂いが一切ないような音楽はハイドン以外に例のない独創性と思える。ホグウッドは前半、後半とも反復し、演奏時間は17:51にもなるがじつに聴き甲斐がある、オーボエの高域演奏が耳をひき、弱音器付きのvl合奏は現実の音か心に響く音か区別つきにくいほど超弱音の美を聴かせる。T.ファイ盤もひじょうに良いが、ここは古楽器の強み。
メヌエット、何かのイメージに基づくような、生き物が元気よく跳ねるようなメヌエット主題に驚く、これもハイドン以外の人では思いつかないような楽しさ、メヌエットは気取った主題より簡潔なのが好きだが、これはその典型。透明なtpとtimpのリズムの打音が心地よい。
終楽章、快調さと充実感を備えた申し分ない終楽章、ホグウッドは速めのテンポで切れ味よく決める。

category: F.J.ハイドン

tb: 0   cm: 0

イータカリーナ星雲  

天文台は郊外の標高の高い所に建設されますが、太陽系もまた銀河系の郊外にあり、宇宙観測には好都合なんですね、星雲の真っただ中にあったら、見晴らしは悪いでしょう。
あちこちに見られるガス星雲もじつに美しいですが、やはりイータカリーナ星雲は圧巻ですね、見られるのは南半球ですが。視野の狭いバッブル宇宙望遠鏡の画像をNASAのスタッフが多数、丹念に繋いだものだそうです。

イータカリーナ2クリックで全画面表示

カンディンスキーなど人間の美術作品を凌ぐ傑作です^^ガス成分の持つ色彩、それを照らす星の色、また夕焼けと同じ原理で赤く見えるところ、など色の調合は複雑、また手前にある暗いガスの塊がシルエットとなり、影絵のような宇宙の奥行きが作り出した美しさもある。イータカリーナ星雲は部分的に見ても星の生れる所、死に行く所、物質宇宙の営みが一望できます。

またこちらはチャンドラがX線で捕えた超新星爆発のあと、コズミックハンドの名で有名ですが、手のひらのX線写真にも見えますね、赤いガスの塊を掴もうとするような。

CACGRZWD.jpg

X線で撮影できるということはエネルギーが高く極めて高温である天体です。手のひらの付け根の明るいところに中性子星があるそうです。爆発のあとどんな理由でこんな形にガスが広がったか不明だそうですが、この"親指"は繊細ですね、ハープやリュートのような楽器を弾けば良い音の出る理想的な指です(笑)

category: 科学・自然・雑学

tb: 0   cm: 0

T.ファイ:ハイドン 交響曲第98、103番  

久々に第22集の出たトーマス・ファイのハイドンです、今回は98番と103番「太鼓連打」。
103番は古くから多くの録音があるだけに、いかにトップクラスの演奏をするか、ファンの期待に応えるためヘッドフォンを掛け頭を抱えている様子にも見えます?録音はいつもながら詳細、コントラバスの余韻が唸るように深々と響きます、大ホールの後ろの席じゃ聴けないサウンドでしょう。

T Fey hay98 103
トーマス・ファイ:指揮
ハイデルベルクSO
2013年9-10月録音


98番 変ロ長調
深淵とした序奏、ファイは休符を思いっきり引きのばして溜める、主部の明るさと快活さが引き立つ、提示部は鋭く痛快で押しては引く力感で圧倒、同じ変ロ長調の102番にも似た感覚で展開部は各パートが関係を持ちながらそれぞれの系で動く分離感も持ち、彫が深い。第二楽章は感傷的にならず、しかし涼やかなレガートで耳を満足させる。中間部の短調はぐっと力強く引き込み、その後の再現部をひそやかに始める対比がいい。メヌエットは速いテンポでサクサクと切れ味よく、金管とtimpの賑やかさが効く。終楽章、従来の演奏ではゆるめのテンポでいかにもザロモンとハイドンがソロを弾く余興的な雰囲気だったが、ファイは速めできりっと引き締め、つまらない楽章にしない。

103番変ホ長調「太鼓連打」
さて、期待の「太鼓連打」、入りのtimpソロは意外に簡潔におさめる、軍師ファイの最終的作戦なのでしょう。低音で始まる序奏も正攻法、期待するのは主部に入ってからです、期待どおり溌剌とした楽しさ、総奏は武骨なほど鋭く聴かせ切れが良い、展開部の弱奏の緻密な美しさ、アーノンクール風のレガート奏法も上手く使う。終結前のtimpソロも特に凝ったことはしない。第二楽章、快調にリズムを感じるテンポ、弦楽の緻密な表現を味あわせる、vlのソロは十分美しいが装飾は行わない、これも作戦か、短調の強奏は鋭い。メヌエットはおっとりとした始まりながら短調に入ると深刻な面持ち、このわざとらしいほどの対比もユーモアに感じる、ゆっくりめのテンポでそこはじっくり聴かせる。ファイはメヌエット楽章の最後で初めて奇襲に出る、忘れた頃にやるのが有効(笑)、ハイドンの狙いを真に汲み取っていると言えよう。終楽章、快速で師匠アーノンクール譲りのレガート奏法で心地よく通し、痛快な強奏が隣り合わせに響く、これは何度も聴きたくなる快演。あらためて良く練られた演奏だと思った。

category: F.J.ハイドン

tb: 0   cm: 0

N.マギーガン:J.M.クラウス 交響曲集&ヴァイオリン協奏曲  

久しぶりのヨゼフ・マルティン・クラウスの新盤、冴え渡った名演が聴けます。
演奏者について詳しくはわかりませんが東欧の優れた団体のようです。レーベルはHUNGAROTON、ケース・デザインのセンスの良さも期待してしまう。扱っているのはTOWER RECORDSだけのようで他からは手に入りません、入荷まで1カ月かかりました。特に交響曲 嬰ハ短調 VB140の録音はスンドクヴィストとエールハルト以来なのでうれしい。録音も最上と言えます。

j m kraus sym con
j m kraus sym con2
ヨゼフ・マルティン・クラウス
・交響曲 ハ長調 VB138
・ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 VB151
・交響曲 嬰ハ短調 VB140
ジョルト・カッロー:vl
ニコラス・マギーガン:指揮
カペラ・サヴァリア(オリジナル楽器)
2013年9月21-23日
バルトーク・コンサート・ホール、ソンバトヘイ、ハンガリー


一曲目に爽やかな交響曲 ハ長調 VB138を置き、二曲目がヴァイオリン協奏曲 ハ長調 VB151、これ以前に2例しか知らなかったが当演奏は最高。作品としては古典派協奏曲の典型的様式で、立派なもの、ベートーヴェンのvl協奏曲に通じるようなじっくり味わえるもの、あとは演奏しだいとなる、Z.カッローのvlは綻び一つない端正な美しさ、第一楽章は適度に快活感のあるテンポを取り、カペラ・サヴァリアのバックが曲の表情と様式感をしっかり支える。表情的な第二主題が印象的で、展開部では短調に転じ、vlが重音奏法で感傷的な部分が魅力。第二楽章はぐっと静けさの中に引き込み、あまり甘ったるくないのがクラウスの良さ。終楽章はテクニカルな楽しみも聴かせる、主題はゆったりとしたものだが、ソロvlの切れ味のあるパッセージが痛快、それに伴いバックも少々白熱する、ソロvlのみが終結音を弾いて終わるのも洒落ている。

最期は交響曲 嬰ハ短調 VB140、この曲を改作したハ短調 VB142のほうが演奏されることが多いが、私は原曲のVB140が気に入っている。第一楽章の対位法的な序奏が冷涼に張りつめたようでまず素晴らしい、主部の動機が鋭い弦のトレモロで始まるというのも斬新で、いきなり緊迫して入る、ハイドンもベートーヴェンもこんな開始は書いていない、マギーガンはここをくっきりと切って一段と緊張感をつける、言いかえればごく自然な表現。バス旋律に力があり同様に切迫感で押してくる、この提示部に対し、展開部は第二主題の穏やかさで包み、終り部分でようやく盛り上がる、心理的に上手い構成。第二楽章は涼やか、あまり表情的な旋律を使わず対位法的に聴かせ、味わい深い。極めてあっさりした短いメヌエットはどこまで簡潔に書けるか挑戦したかのような曲、ぷっつり終り、終楽章へ入る、マギーガンは第一楽章同様、きりっと引き締め申し分ない、怒涛の楽章だが切れ味の中にほんのりと響くflトラヴェルソの安らぎがまたいい。
期待に十分応えてくれた一枚である。

category: J.M.クラウス

tb: 0   cm: 2

O.ヨッフム:ハイドン 交響曲第88、91、93番  

レビュー再開はハイドンから。
先日、県内の中古盤セールで見つけたCDで、オイゲン・ヨッフムのハイドン交響曲第88、91、93番です。録音年、オケがそれぞれ違うカップリングが面白い。
早い時期から、C.デイヴィスやマリナー、ハイティンクのようにヨッフムもまたツボを心得た演奏をしていたんですね。極端な表現は取らず絶妙の匙加減で飽きのこない演奏にしている。

ヨッフム hay88 91 93
ハイドン交響曲
第88番ト長調
1961年、ベルリン・フィルハーモニーO
第91番変ホ長調
1958年、バイエルン放送SO
第93番ニ長調
1972年、ロンドン・フィルハーモニーO


一曲目、88番はBPOの厚みを持ちながら重すぎない手堅い演奏という印象、K.ベームのような重々しさも、バーンスタインのような粘っこさもなく、繰り返し聴きたくなる。第二楽章は適度なカンタービレ、強奏部分も極端に響かせないところがいい、聴き手は"遠くで鳴る強奏"としてちゃんと感じられる。メヌエットの主題の開始は意外に柔軟なレガート、直線系の幾何学模様のような全体の構成に曲線美を絡めたようで洒落ている。メヌエットが終わると続けて軽快な終楽章へ入る、快速なテンポでリズムを立たせ充実した内容を申し分なく聴かせる。

2曲目、91番、'58年の録音だが、D.Gには古い宝物といえる名録音があり、これもその一つで味わい深いサウンド。本来は103番とのカップリングで出ていたもので、LPがほしいところ、やたら高価な中古品しか目にしない;
91番は楽器編成からして地味な曲かと初めは思っていたが、さすがこの時期の作品らしい充実した内容。序奏が終わり、主部の第一主題、ゆったりと歌う開始と続く快活な部分との対比はいつものハイドンだがじつにいい。ヨッフムは強調のしすぎなく、快活な表現で進める。第二楽章は親しみやすい主題の変奏曲、主題の基本形は保ったまま大きな変化は起こさないだけに演奏にはきちっとした様式美が求められる。メヌエットは典雅な雰囲気の中に切れ味を持つ、重っ苦しいメヌエットは聴きたくないが、ヨッフムは爽快でいい。終楽章、繰り返されるロンド主題の弦の響きがD.Gらしく味がある、軽快さと同時に隅々まできちんと聴かせる真面目さが引き付ける。

3曲目、93番、
ロンドン・セット全曲を録音した名盤と評されていた中の1つで、過去にはこのLPのセットを持っていました。
ヨッフムの指揮は名演であろうが、あらためて聴くとロンドン・フィルの弦の優等生ぶりが目立ち、やや押しつけがましく感じる、ここは70年代っぽいというか、コンマスのソロもあまり聴きたい演奏ではない。録音は最も鮮明ではあるが、コントラバス帯域の量感が足りず、良好なようで物足りない。2曲目のバイエルン放送響の自然さが最も好ましく聴こえる。

category: F.J.ハイドン

tb: 0   cm: 0

PC修理完了  

10月2日、ようやくPCが治ってきました、えらい待たされました。
その間、興味ある音盤も仕入れていたので、また書き込んでいきたいと思います。

category: 時事・雑記

tb: 0   cm: 2

プロフィール

最新記事

最新コメント

カテゴリ

最新トラックバック