Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

K.ベーム:シューベルト 交響曲第7(8)番「未完成」(ドイツ盤)  

今日は無性に○○が食べたいな~、というときがありますが、音楽にもそういうのがあります ^^今日は何だかシューベルトの「未完成」が聴きたい気分、ちょうど先日買った、K.ベーム、VPOのグラモフォン、ドイツ盤に針を下ろしてみた。B面が第5番のカップリッグも気に入った。幸いトレースノイズも出ないほど盤は良好、開始の低音弦のppも支障なく聴ける。

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カール・ベーム指揮、ウィーン・フィルハーモニーO

第一楽章、ベームらしくゆっくりのテンポだが、1、2vnではじまる16分音符のテーマがひしひしと迫る感覚が際立ってくる。
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第二主題でvcが安らぎを聴かせ、展開部はじりじりと高みに上り、176小節からが圧巻だが、ベームの演奏は一大事件が勃発したような迫力に至る、
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184小節から、timpやブラスが付点リズムを打ち、熱気の中ににスマートな感覚が入り、シューベルトのセンスがいい。

第二楽章、ホ長調の安らぎに満ちたテーマに始まる、ここでも96小節から、第一楽章展開部と同様、突如の鬼気迫る緊迫感が魅力、ベームの老練、武骨ともいえる演奏で、これは存分に聴ける。

category: シューベルト

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私の住んでいる所  

自分の住んでいる地元のいいところってあまり気にしませんよね、悪いところは気にするけど
^^;地元は観光地でもないし、名物らしきものもない、工業と農業の街かな。

ただ、古代は文化の要所だったようで、古墳、古窯跡などが点在し、そのへんの畑を掘れば、縄文土器や石器が昔はやたら出てきたそうです。
仕事でちょっと関わったのが、石棺や副葬品が残っていたこの古墳(円墳)です。新たに作る小学校の敷地で見つかり、設計変更して校内に保存してあります。
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詳細→大牧1号古墳
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また市内の山裾には須恵器の窯跡が多く、たぶんこの斜面にありそうだ、と思ったら大抵あります^^これはゴルフ場の拡張工事で見つかった窯跡、焼いている最中に窯が落盤して放置されたらしく、須恵器がそっくり残っていた珍しいものです。
天狗谷
詳細→天狗谷遺跡
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これらが上手く近接していれば、遺跡公園みたいにできるのですが、市内に点々バラバラなのが泣きどころ;

あと地元のいいところは、地下水が豊富で水道はすべて井戸水です、直接飲んでおいしい水ではないけど、ご飯やお茶が自然な味。
ただ、夏のクソ暑さだけは勘弁してほしい;星の見やすい場所はない、そんな所です。

category: 科学・自然・雑学

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まだまだ修理必要;;  

最も大切にしている一つ、M.オッティガー作13コースリュートですが、師匠にしばらくお預けしたところ、演奏性に支障が多々あるのがわかりました。悪環境にさらされた後遺症もあるかもしれませんが、今まで応急的な修理しかしてこなかったので、この際、製作者のオッティガー氏に送って最善の修理と調整をお願いしようと思います。
しっかり梱包して行き帰りの無事を祈りつつ、EMSでスイスまで発送です^^;

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もう一つ、11コースリュートも厄介な修理をお願いして、国内の製作家さんにお預けしているところ。電気製品などと違い、とても気に入った楽器の替りは無いのも悩ましいです;

category: リュート

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初の古楽器オケによるハイドン交響曲全集・・  

この話題はしつこく続きます^^;例のDECCAのハイドン:初の古楽器オケによる交響曲全集は、このようなBOXで限定発売だそうです、
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詳細→HMV

確かに初の古楽器オケ全集ではあります。
大御所ホグウッドとブリュッヘンを半々、交互に組み合わせ、未録音の4曲をダントーネが補完、しかし同じDECCAの音源とはいえ、タイプの異なる演奏、録音でいかにもオムニバスって感じです、ブリュッヘン盤はパリセットなど録音が好ましくないし;ハイドンファンの期待には遠く、ほんとに糠喜びだった;

新たな全集録音が困難なら、ホグウッド、エンシェントCOの未完の部分を引き継げる適任者が完成させる、そんな全集なら歓迎したところでしたが・・

ところで、T.ファイは道半ばにして事故による重傷で復帰は困難との話を聞きます。しかしハイドンの交響曲全集の録音は指揮者なしで再開するとの情報もあるようです。
ハイデルベルク響ならファイの意思を継いで、見事な演奏をするかもしれない、ちょっと期待してみたいです。

category: F.J.ハイドン

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宇宙初代の星  

我々の見える範囲の宇宙では、ビッグバンの膨張とともに温度は下がり、満たしていた光も消えて宇宙は真っ暗闇となり、暗黒時代が数億年あったとされます。
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Dark Ages (暗黒時代) 
その後、宇宙に最初にあった物質、水素とヘリウムが重力で集まり、巨大な第一世代の星が生れたと考えられています(軽い水素とヘリウムだけなので核融合を起こすには巨大になる必要がある)、漆黒の闇に一番最初に灯りをつけたのはほんとに1つの星だったかも、そんな光景を見られたら感動でしょう^^
時間差を置いて次々第一世代の星が生まれ、いずれも青白く強烈に輝く巨星だったようです。数億年の間にこれらの星達で小規模の銀河が出来たとされます。ハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールドの中に134億光年にある観測史上最も遠い銀河が発見されています。
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134億光年の初期銀河、ハッブル宇宙望遠鏡撮影
この写真では赤方偏移のまま写っているので赤いですが、実際は青い光でしょう。
これらの初期の巨星は200~300万年で寿命を迎え、爆発して内部で作り出した炭素などの重元素をまき散らし、次世代の星の材料になります。

昨年発見された、CR7という銀河は130億光年、ちょっと後の時代になるけど、ひじょうに明るいのが特徴、すばる望遠鏡の写真ではぼんやりと拡がりが見えます、赤方偏移を補正して青い画像となっています。
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CR7 すばる望遠鏡撮影
これをハッブル宇宙望遠鏡で調べたら、3つの銀河が寄り添っていたのがわかりました、
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ESAによる想像画像
A、B、Cに分けられ、Aは最も明るい第一世代星だけから出来た銀河、Bは第一世代と第二世代の星が混在している、Cは第二世代以後の星が集まっている、と見られています。星の材料が集まるのに時間差があるため、この時代130億年前には宇宙初期の材料で出来た第一世代と第二世代以後の星の集団が混在していたことになります。

category: 科学・自然・雑学

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バロックリュートの装飾音  

バロック楽器をやる魅力は様々な装飾音です、ただしやるからには技巧に振り回されてギクシャクせず、音楽の流れにさらりと溶け込まないといけない;その前に曲そのものの構成、和声進行などを理解して、ふさわしい装飾を行うのが重要・・(難し~;)

トリル:どんな楽器でもやりますが、リュートは余韻の音にかけるので、指の押えと離しの際に軽くエネルギーを補充します、力を入れ過ぎず、小さな動きで、~~~と滑らかに入れます、チェンバロみたいに鳴らす必要はありません。

モルデント:同じ弦上でトリルを1回やるのと同じですが、バロックリュート独特のやり方もあります、
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②のように2本のコースを使い、先に弾いた音を残し、次の弦が同音で重なります、一時非和声音が響き、これが雅びでいい^^軽くきれいに弾きます。

ヴィブラート:バロックリュートは通常ノンヴィブラートですが、印象付けたい音を適切に揺らして装飾的にヴィブラートを使います、他の弦楽器と同様にネックと水平方向に押さえた指を揺らす方法と、
ネックと直角方向にフレット上でずらす方法
チョーキング
とあります。揺らし方もその場に適したように、
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数回揺らしたり、1回(ひと山)揺らすだけが良い場合も・・一瞬の憂いのようでこれはフレンチの曲などハマると、いいなあと思います^^

あと、非和声音を先に鳴らし、スラーで和声音に落ち着くアッポジャトゥーラなども、適所で使うといいですね。
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ほか、簡潔な旋律に経過句を加えたり・・
やらない方が良い場合もあり、何を行うにもセンスがかかっています^^;

PS.昨日、年に一度の人間ドックでした、あちこち悪いのは毎度のことですが、聴力検査だけは今回も問題なしでした。リュートは聴力検査でやっと聴こえるくらいの弱音まで駆使して表現するので、ひとまず安心^^;

category: 演奏について

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O.ダントーネのハイドン 交響曲全集??  

先日、O.ダントーネ指揮、アカデミア・ビザンティーナによる、ハイドン 交響曲全集が年内に発売予定・・のつもりで、O.ダントーネ:ハイドン 交響曲No.78~81(全集プロモーション盤) の記事を書きましたが、2月18日に「3人の指揮者たちの演奏で完成した初のピリオド楽器によるハイドン交響曲全集(35枚組)というのがDECCAから発売されました、もしかして、年内発売の全集というのはこれなのだろうか?同じDECCAの音源である、未完のC.ホグウッド盤、F.ブリュッヘン盤、そこにO.ダントーネが欠落した78~81番を録音して全集完成、ということに?もしそうなら「3人の指揮者による全集」という予告がなければどう見ても手落ち。
しかし先日のダントーネ(プロモーション盤)?発売の際には、
引用「・・これまで録音としてはバロックのチェンバリストと指揮というイメージが強いダントーネですが、今回はハイドンの交響曲に着手。かつてホグウッドがロビンス・ランドンとの徹底的な研究の上で進めていた全集計画は8割の録音をした段階で残念ながら中止となってしまいました。ダントーネ&アカデミア・ビザンティーナは、短期間で集中的に録音を行うことによって、完成度の高い演奏が期待できます。 全集(36枚組)の発売は2016年内を予定しており、ピリオド楽器による初のハイドン交響曲全集となります。今回そのプロモーション盤として、後期の作品としてはあまり演奏されない第78~81番を収録したものを特別価格で発売。まずはこちらをお聴きいただき、最先端のハイドン:交響曲全集にご期待下さい。(ユニバーサルIMS) 」
とアナウンスされていた、これは誰が読んでも、ダントーネ単独による新たな全集か、と思えますよね、現に多くの人がそのつもりでレビューしていますし、誰もが一人の指揮者による粒揃いの全集を期待するでしょう。本当に後からダントーネによる全集が出てくるのか、それとも、国内の広報担当者の表現不足か?誤報でなければ嬉しいですが、今のところはっきりした情報が掴めません。
ちなみにホグウッド盤やブリュッヘン盤はすでに手元にあり、今回の全集は必要ありません。
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category: F.J.ハイドン

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B.ワルター、NYP:モーツァルト交響曲No.39(COLUMBIA盤)  

今日も風が小寒かったけど、中古ショップにふらっと出かけ、すぐ帰りました。
ベームなどグラモフォンのドイツ盤LP2枚と、バーンスタインのハイドン、パリセットCD、ほかに目に入ったのが、ブルーノ・ワルター指揮、ニューヨーク・フィルによるコロムビア盤、ワルター、NYPといえばCBS-SONY盤しか知らなかったけど、同音源のコロムビア盤が過去には出ていたんですね。何時ごろ出たものか、渋い紺色のレーベルって懐かしいような?

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コロムビア盤 ブルーノ・ワルター指揮、ニューヨーク・フィルハーモニック 1953年

一方、前から持っていたCBS-SONY盤もあります、こちらはデジタル・コピー・マスター使用とあり、少し聴きやすい感じですが、やや高域のバランスが強い、コロムビア盤の方が音源そのままのような肉迫感があります。
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CBS-SONY盤 ブルーノ・ワルター指揮、ニューヨーク・フィルハーモニック 1953年

モーツァルト 交響曲No.39変ホ長調
ワルターは意外に血の湧きたつ演奏を聴かせ、歌う交響曲とかいうヤワな感じではない。
第一楽章、序奏は力強く、主部の第一主題前半を歌わせ、fから徐々に加速してエネルギー感を増す、山場を越すとエンジンブレーキのように自然に減速、第二主題を落ち着いて進め、展開部、再現部でも同様に表現する、終結はぐっと加速してキレたように終わる。
第二楽章、無用なレガート感はなくさらりとしているが、短調となった第二主題は弦を美しくしなやかに聴かせながら、じわりと悲壮感を出すのが印象的。
メヌエット、テンポはわりと快調、リズムの活気がよく、トリオはクラリネットが柔和で心地よい。
終楽章、程よい快速で、第一楽章と同様、熱血的に畳み込み、がっちりと決める。

ちなみに1944年録音のフルトヴェングラー盤もあり、爆演ではあるが、技的にはワルターにお株を奪われたようだ^^
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category: モーツァルト

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宇宙はなぜ暗い  

あのA.アインシュタインでさえ、宇宙は永劫の過去から存在し、永遠に変化しないものだと考えていた。しかし、E.ハッブルが宇宙の膨張を遠い銀河の赤方偏移により発見、これは近代の天動説→地動説といえる大転換。

しかしこれで宇宙の背景が真っ暗だという矛盾が解決される。もし、宇宙が永劫の過去から変化することなく存在していたとすると、
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地球から遠い程、天体(銀河など)の光は弱くなるが、見渡す視野は大きくなる、またいかに遠い天体の光も永劫の時間で地球に到達しているはず、夜空は無数の天体の光で満たされ、暗いどころか、ホワイトアウトしてしまうはずだ。宇宙が膨張していて、ある一定の領域(138億光年)より先は光より速く遠ざかり、そこが光で見える地平線で、宇宙の背景は真っ暗となる。そしてこれは宇宙のどこに居ても同じ・・と思われる。
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NASA: Hubble eXtreme Deep Field

"膨張"というと、どうしてもある特定の場所から膨らみ始め、とめどなく膨らみ続けたとしても、必ず"大きさ"があり、有限だという理屈が成り立ってしまうが・・

category: 科学・自然・雑学

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O.スウィトナー:ベートーヴェン 交響曲No.9「合唱」 (LP)  

これでスウィトナー、SKBによるベートーヴェン・シンフォニーはCDとLP、両方で全部揃いました^^最後に取り寄せたのが第9番、2番の入った2枚組です。
これがまた「見本盤」というレアものv、いつもながらDENONのLP盤は製造時点からの不具合箇所が一つもない品質の良さです。

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オットマール・スウィトナー指揮
シュターツカペレ・ベルリン
1982年、東ベルリン、キリスト教会


針を下ろせば、やはりCDより一段冴えた、生々しく奥行きのあるサウンドが拡がる。録音方式の違いが影響を与えるとは思わない、逆に言えばアナログ盤にこれだけの音が収まるなら、CDにはゆとりで収まるはず、要は音の仕上げ方しだいだと思う。しかしCDはどうしちゃったのか、やや縮小コピーみたいな仕上がりに聴こえる。

スウィトナーの第九、まず、第一楽章は中庸のテンポ、始まりも極端なppではなく、極端な強奏もない、清涼な弦楽の響きに金管とtimpを活かしたダイナミズム、各楽器の弱奏も分離してよく聴こえる。スマートな流れというより、モサっとしている感じだが、それが曲のうま味を搾り出すかのように引き付ける。そんな演奏を生々しい録音がスケール雄大に聴かせる。
第二楽章、スケルツォは快速で、スウィトナーらしい力まずピリっとした切れ味がいい。
第三楽章はさらりとした感覚、粘っこく歌う表現はなく、変奏が進むにつれ、熱気を帯びてはっとさせる、この素晴らしい緩叙楽章の一つの理想とも感じる。
終楽章、金管の力強く透明な響き、timpの引き締めで心地よい開始、コントラバスの懐深い響きは格別だ、独唱、合唱陣もあまり張りつめず、スウィトナーの第九にふさわしい歌唱でまとめ、上々の仕上がり。

category: ベートーヴェン

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モーツァルトとサリエリのコラボ  

今日はモーツァルトとサリエリが共作した作品が見つかったというニュースが飛び込んできた、重力波に続く大発見か?^^
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チェコ音楽博物館の所蔵からドイツの音楽学者、ティモ・ジューコ・ヘルマンが確認に至ったそうで、曲は器楽伴奏のカンタータらしい、チェンバロでの演奏が公開されている。
moz sa
動画サイト
詳しい情報付きで本来のカンタータをぜひ聴いてみたいところ。

なにかと後世のでっち上げによる話が伝わっていたが、実際のところ二人は親交をもっていて、この共作の発見もそれを裏付ける証拠といえようか。
サリエリはベートーヴェンやフンメル、F.リストの師であり、モーツァルトの遺児クサヴァーにも教えている、また貧しく有望な弟子からは謝礼を取らず教えていたと言われる。

そこで今日はアンドレアス・シュタイアーのfpソロによる、サリエリのピアノ協奏曲、コンチェルト・ケルンの引き締まったバックとシュタイアーの鮮やかなfpで聴く。
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アントニオ・サリエリ、fp協奏曲
アンドレアス・シュタイアー:fp、 コンチェルト・ケルン


fp協奏曲 ハ長調
第一楽章、弦の重音奏法で力強く、明快で親しみやすいテーマが始まる、同テーマでピアノ・ソロに入る、ダイナミズムと細やかなソロの対比をつけながら、効果的に休符を置いて進める、モーツァルトのような溢れ湧くピアノの弁舌は控え気味で、真面目に節度よく出来上がった感じだ。
第二楽章、シチリアーノに乗せた、ピアノ・ソロがメインの楽章、やや感傷的なテーマ、もちろんイタリア趣味でここはモーツァルトに近い情緒の深さを聴かせる。
終楽章、穏やかなロンド楽章として始まるが、後半ベートヴェンを彷彿させる情熱的な力感を聴かせはっとさせる。

fp協奏曲 変ロ長調
サリエリは協奏曲は得意な分野ではなかったかもしれないが、オペラでの作風が活かされているとも聞く、この曲の第二楽章も深い情緒を湛えた聴きどころである。

category: 古典派

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宇宙の膨らみ方  

E.ハッブルは宇宙が膨張していることを発見した、しかも遠い銀河ほど速く遠ざかっているという事実。これは遠くの銀河が空間を移動して逃げていくのではなく、居場所の空間そのものが膨張して、遠ざかっている。これは自分たちの地球が宇宙の中心に居て、廻りが一様に逃げて行くように見えるが、宇宙のどこに居ても同じ、

宇宙に無数の風船をぎっしり敷き詰めたとする、
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これらの風船はすべて同じように膨らんでいて、中心となる場所は無い、よってA、B、Cなど、どこに居ても廻りが自分中心に遠のいていく、また遠くほど速く後退する、地球はたまたま、このどこかに居るだけ、
また、宇宙の全方向から、ビッグバンの名残である宇宙背景放射(電波)が観測される。
一点から始まったとされるビッグバン名残の電波が遠い廻りからやってくるって変にも思うが、宇宙背景放射は宇宙全体を満たして飛び交っている名残の電波で、風船A、B、C、どこに居ても約138億年前の電波として同じように観測されるだろう。
地球から見渡せる範囲は半径138億光年の球の範囲内で、それより遠くは光より速く後退しているので観測できない。A、B、C、のように場所が変ると観測範囲も変るが、いずれも宇宙の一部を見ているにすぎない。

category: 科学・自然・雑学

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黒色矮星  

天文学上の天体の呼び名には誤解を招くものが多いです。
「新星」というと新しく生れた星に思えますが、実は恒星の最後の爆発で、昔の人の目には新しい星、と見えたのでしょう。

「惑星状星雲」というのも、恒星を廻る星雲ってわけじゃなく、昔、W.ハーシェルが望遠鏡で見た惑星に見え方が似ていたから、これも寿命を終えた恒星が放ったガス星雲です、
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惑星状星雲:M97 「ふくろう星雲」 

今はアンドロメダ銀河など、星の大集団を銀河と呼びますが、昔はぼんやりとしか見ることが出来ず、ガス星雲と区別がつかなかったので、アンドロメダ星雲などと呼ばれていました。

赤色巨星はその名のとおりですが、白色矮星って何だろうと思ったものです;これも太陽くらいの恒星が寿命を終え、先ほどの惑星状星雲を周囲に放ち、中心に残った星の芯です、地球くらいの大きさの星の残骸ですが、ひじょうに温度が高く、高密度で、他の星からガスを引き寄せ、復活することもあるそうです。
全天で最も明るい恒星、おおいぬ座のシリウス、左下の小さい伴星Bが白色矮星です。
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シリウスAとB
復活の機会がなければそのまま冷えていき、光も失って黒色矮星になると理論予想されますが、そこまで冷えるには非常に長い時間がかかり、宇宙年齢138億年でもまだ足りないそうで、たぶん現在は黒色矮星はどこにもないだろうということです;仮にあったとしても光を発しないので見つけにくい、重力レンズや他の天体に与える重力の影響で発見するしかない、地味だけど、なんか気になる天体です^^;
黒色矮星
黒色矮星:星の燃えカス?実際どんな姿なのか・・

category: 宇宙・天体

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重力波望遠鏡  

このブログを始めたわずが数年の間にも、困難だった科学上の解明が不成功も含めていくつもありました。ヒッグス粒子の検出も記憶に新しいところ。また、ニュートリノが光より速い?というニュースも入ったけど、思ったとおり観測ミスでした;宇宙の始まりでビッグバン前のインフレーションの証拠を捉えた、というニュースも新聞の1面に載りましたが、これには待ったがかかった;昨年の冥王星接近探査は歴史的快挙でした。そして今回は重力波の検出です。

これで光や電波という電磁波で遠い宇宙を観測するという手法に、重力波で観測するという手法が加わった。
アメリカの大学などの国際チームが2月11日に発表、これは1916年にアルベルト・アインシュタインが一般相対性理論により重力波の存在を予言したちょうど100年後にあたり、これを証明することにもなった。このキリの良さも快挙、たぶん目鼻はついていたのかも?
重力波とは、大質量の天体が接近し、高速で回転し合うときなど、まわりに空間の伸び縮みの波を発するというもの、この波の大きさは地球で観測されるときの予測が、太陽と地球の距離の間で、水素原子1個分とか、途方もなく微々たるもんです;
重力波
重力波検出に成功したのはアメリカの重力波望遠鏡LIGO(ライゴ)で、日本のKAGRAのライバルだった。KAGRAは地上の振動などの影響が少ない地下に建設し、さらに感知器を冷却してノイズを除くなどの工夫で一時は世界最高の観測精度だったが、LIGOも観測装置を大幅に入れ替えて、レーザー光を繰り返し反射させて観測経路を長くするという画期的手法で精度を大幅に上げ、昨年から観測を再開したところだった。
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LIGO観測所
重力波望遠鏡の原理はざっとこんなところ・・見た目、19世紀に"エーテル"を検出しようとしたマイケルソン・モーリーの装置を思い出すが、じつはこれを応用したアイデアだそうだ。
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直角に配置された同じ長さの真空パイプの先に鏡があり、一つのレーザー光をハーフミラーによって、両パイプに分け、戻ってくるレーザー光の干渉縞を観測する、といったシンプルな構造、パイプは長いほど精度が上がるが、地上の振動など関係のないノイズを除去するのが重要。ある方向から重力波がやってくると、空間が伸び縮みし、2つのパイプの長さに差が生じ、戻ってきたレーザー光の波が一致せず、干渉で明るさが揺らぐ。
*光は"時空のゆがみに沿ってまっすぐ進む"ので、ゆがんだ空間を通った光は、そうでない光に比べ、早く届いたり、遅く届いたりする。

重力波を観測できる有力候補はブラックホールや中性子星同士ような大質量天体の合体が予測され、それを狙っていたわけだが、そう宇宙のあちこちにあるものではない、観測範囲を広げる、つまり観測精度を上げることで観測チャンスが高くなる、
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点が候補天体
観測範囲が小さければ、その範囲にある重力波を発するであろう天体は少ないので、300万光年の範囲でも10万年に1回、とかいう検出確率になる、しかしLIGOやKAGRAは7000万光年の範囲を観測でき、1年に10回というレベルの検出確率だそうで、LIGOは再稼働後、早々とブラックホール合体による重力波を検出した。KAGRAも二番手でよいので、信頼できる実績を出してほしいところ。

category: 科学・自然・雑学

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N.アーノンクール:ハイドン 交響曲No.53「帝国」  

ハイドンの「帝国」は全楽章味わい深い傑作で好きな曲ですが、アーノンクールのBOXセットを思わず買ったのもこの曲が入っていたからです。ウィーン・コンツェントゥス・ムジクスは古楽オケながら、やや大きな編成のようで、たぶんコントラバス2台の基盤のようです。弦のやや厚い響き、ホルンの唸るような音、timpの強音がどっしり風格をつける。

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ニコラウス・アーノンクール指揮、ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス

交響曲No.53ニ長調「帝国」
第一楽章、序奏は短いながら、深い溜めを入れて聴かせる、主部はじっくり、アーノンクールらしい涼やかなレガートで始め、やや武骨なほどがっちりとした強奏、第二主題は一段と温和、展開部の彫の深さも期待どおり、
第二楽章、流行の歌謡をテーマにした変奏、速めのテンポで、存分なレガート、という他では聴けない味わい。変奏が進むにつれ、装飾的な魅力が加わり、ハイドンのセンスが冴える。
メヌエット、快速なテンポで活気よく、簡潔で気品のあるこのメヌエットの主題はどう演奏しても良い。トリオでは一旦テンポを緩める。
終楽章、差替え版のAバージョンを演奏、快速なテンポでアーノンクールらしい魅力、ズバっとくる力感と切れ味で痛快に決める。

ところで第一楽章の再現部は主調に戻った188小節からだと思っていたが、動機が繰り返されず1回だけ、というのが気になっていた、簡略化したのか、それとも・・
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じつは164小節からが再現部の始まりで、嬰ヘ短調から転調で迷走した末、188小節の主調で落ち着く、という作りなんじゃないかと・・?^^;

category: F.J.ハイドン

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アルコ・バレーノ:ハイドン交響曲No.101、99、104(P.ザロモン編曲)  

さて、アルコ・バレーノ・アンサンブルによる楽しみなもう1枚です。
これが編曲ものじゃなく、オリジナルの"室内交響曲"だとしてもよいくらいに聴こえますね^^ザロモンの編曲は主要パートはあくまで旋律楽器を用い、fpは通奏低音にしているのが良いのでしょう、fpが主要パートを弾きだすと様相が変わってしまう?アルコ・バレーノの演奏も一部の関心層のみならず広く親しまれるものだと思います。

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アルコ・バレーノ・アンサンブル
レーベル:ET'CETERA


No.101ニ長調「時計」
第一楽章、じっくりと序奏を聴かせ、主部に入った快活さが心地良い、このプレストの楽章は分厚いオケの響きより、やはりこの編成によって始めて聴ける良さがある、小刻みで器楽的な主題をくっきり、そこにノンヴィブラートのflが色彩を加える響きはひじょうに良い。
第二楽章、ピッチカートで始まる振子のリズム、ゆっくりめのテンポでvnが十分に歌う、vaやvcが弾く重音がオケの厚みを暗示する、flは原曲でも活躍が多いので、ほぼそのままの雰囲気、
メヌエット、快速で軽やか、オケでもこんな演奏が良いと思うしだい、トリオでflと掛け合うfagの替りにvcが弾くが、fagみたいに聴こえてくるから不思議だ、各一人ならではの聴かせどころも置く。
終楽章、快調なテンポ、思いのほかエネルギッシュに気合いを入れ、オケにも負けない力感を感じさせるのは見事というほかない。

No.99変ホ長調はロンドンセットの中でも均整のとれた優美さを誇る曲だ、
第一楽章、序奏から澄みきったような魅力を聴かせる、obの替りをflが吹けば、ob見たいに聴こえる^^主部も期待どおりに美しく、外連味なく聴かせてくれる。
第二楽章、原曲の木管アンサンブルによるハーモーニーが魅力だが、fl一本と残りは弦が代役で弾く当演奏はよく溶け合い、不足感はない。
メヌエット、快活で典雅なメヌエット、これも申し分なし。
終楽章、最適な快速でしょう、ポリフォニックな聴かせどころが多いが、純粋な響きで詳細に聴ける、展開部ではさらに踏み込んだ対位法で魅了し、エネルギッシュに決める。

No.104ニ長調「ロンドン」
第一楽章、序奏の始まりの豪快さは無理に模倣せず、編成に相応しい力を抜いた美音で始める、これはこれで良い。主部は快活なテンポ、堂々たる内容の各パートが明瞭に聴けるのが何より、時に鋭いアタック、vcやfpがシンフォニックな量感を上手く補ってくる。
第二楽章、「時計」の緩抒楽章とは趣きを変え、速めにさらりと行く、短調に入って以降の変奏にキレが効いてくる、
メヌエット、アレグロ、原曲のtimpを伴った力感の代りに軽やかな心地よさ、しかしvcのトレモロがtimpの連打を模倣して楽しませる。
終楽章、程よい快速、オケで聴く強奏ffはちょいと遠くへ引いて鳴っている、みたいな聴く側のコントロールが出来てくるので、あくまで緻密な美しさに満たせばいい、アルコ・バレーノは美音を保ちながら、終結はぐっと押し出して終わる。

PS.ザロモン編曲によるハイドン・シンフォニーはこのほかコンバッティメント・コンソート・アムステルダムの演奏も取り上げていました、聴き比べも面白そう。

category: F.J.ハイドン

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プラネタリウム  

普通の場所で天体望遠鏡を覗くと空は真っ暗じゃないのがわかります、アンドロメダ銀河などもせいぜいこんな見え方、不思議にももっと遠い銀河の方が像が集中して見やすいんです。
視野
淡い光の天体を見るには視線を少し横にそらしたほうが、光の存在をよく感じます。望遠鏡も大きなのを買うより、運搬やセッティングが楽なもので、環境の良い場所に行くのが肝心ですね;背景が暗くなるほど桁違いに見えてきます。

今や、本当の星空はプラネタリウムで始めて知った、という人が多いでしょう、私の居るところも都会ではありませんが、街灯りが多く、明るい星だけがポツポツ見えるくらい、幼少より、それが普通の星空だと思っていました。小学生の頃、名古屋市科学館のプラネタリウムで空にびっしりと星を敷きつめたような見え方に驚きましたが、記憶の新しい頃、田舎の親戚の家に行き、運よく月のない晴天の夜でしたが、プラネタリウムで見たとおりの本物の星空に驚いたしだい、家を一歩出ればそんな星空が見えるというのが凄い^^渓流沿いの村で、夏にはヒグラシが鳴き、清流にはカワトンボの仲間が飛び交っている、夜は蛙の合唱・・人も猫も犬も長閑に共存している、こんな所に住みたいとも思うけど、自然が豊かだけに、マムシ君などもいっぱいいるので注意が必要^^;
名古屋市科学館
新しくなった名古屋市科学館でまたプラネタリウムを見てみたいです。

category: 宇宙・天体

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K.ザンデルリンク:ハイドン 交響曲No.104「ロンドン」  

これは過去にも簡略に取り上げたことがあるので、再掲となりますが、久しぶりに針を下ろした、クルト・ザンデルリンク指揮、SKDによるハイドン・シンフォニーのLPです。この緑のジャケットのヘリオドール盤はDGを原盤とする国内の兼価シリーズで、F.フリッチャイの名盤が多かったのが印象深いですが、当盤も買って良かったと喜んだ1枚でした。
B面の104番は内周いっぱいまでカッティングされ、豊かなサウンドだが、マイクロリニア針で最後まで聴いてみたくなった次第。
sa hay sym104
クルト・ザンデルリンク指揮
シュターツカペレ・ドレスデン
1967年 (*録音:VEB シャルプラッテン)


No.104ニ長調「ロンドン」
timpや低音を伴う強奏はずっしり轟かせるが、全般には清涼な音づくりが基調、どこかO.スウィトナーにも共通したオケ・バランスを思わせる。各楽章ともじっくりとしたテンポで、SKDの渋くきめ細かい弦の響きを味わってしまう、ザンデルリンクは甘美な表情付けも小細工もなく、さらりとして、これが時代を経ても古さを感じさせない。
第一楽章、序奏の開始の堂々たる強奏、そして弦の弱奏の涼やかさの対比で引き付ける。主部はじっくり、ダイナミズムはスパっと切るように響かせ、会場の豊かな残響が効いてくる、充実の展開部もじわっとたっぷり味わえる。
第二楽章、良い意味で淡々として、清流の流れのようだ、弦の味わい、木管やホルンの柔らかさが心地よく、自然体で進める。
快活なメヌエットは力み過ぎず、清涼な響きとリズム、程良い力感でまとめ、心地よい。
終楽章、緩抒楽章とかわらないような、落ち着いた音作り、あまりテンションを上げず、清潔にじっくり聴かせる終楽章だ、始めて歪み音なく最後まで味わった^^

PS.ところで、レコードプレーヤーに埃が積もってくると掃除が厄介です、ターンテーブルはいいとして、トーンアームの台座付近はごちゃごちゃしててやりにくい、ダスト・ブロアーのスプレーを使えば楽に掃除できますね。
ブロワー
TV専用?とありますが、支障ないでしょう。

category: F.J.ハイドン

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C.ホグウッド:ハイドン 交響曲No.94「驚愕」(P.ザロモン編曲)  

ザロモンの室内楽編曲によるハイドン・シンフォニーを最初にレコーディングしたのはクリストファー・ホグウッドだったと思いますが、とても興味深かったです。またエンシェント室内Oによるオケ演奏も録音していて、両方が聴けるのもホグウッドだけでしょう。
久しぶりに1978年録音のLPに針を下ろしてみた、ホグウッドのfpとエンシェントCOのメンバーによる室内楽編、盤状態は良好。
hog hay sym 94a
交響曲No.94ト長調「驚愕」(室内楽編)
古楽器のSQにfp、flトラヴェルソ、さすがにしっくり溶け合う、第一楽章の主部はやや快速で、キビキビと演奏、当然ながら各パートが明確なのも心地よい大きな要素、トラヴェルソのほんのりとした響きが切り立った表現にヴェールを掛ける。
第二楽章、旋律線はややドライに聴こえるが、ここでもトラヴェルソが潤いをもたらす。
メヌエットは快調で歯切れよく演奏、ここは室内楽編のほうが好ましく聴こえる。
終楽章、耳が馴れてきて、室内楽編だというのを忘れかけてくる、それだけザロモンの編曲が上手いのだろうが、快速にきりっと決めた演奏で終わる。

次にホグウッド指揮、エンシェントCOのオケ演奏も聴いてみる、演奏設定がほぼ同じのオケ・サウンドである、
hog hay sym 94d
あらためて本物のボリューム感の愉悦に満たされる^^;これも「驚愕」のお気に入り盤だ。
ザロモンは名vn奏者で作曲もした人なので、編曲はお手のものだったろうが、編曲譜は大いに売れたそうで、購入者にはザロモンの演奏会を聴いて魅了された人達もいただろう、最小限の楽器編成でその人達も満足する編曲に力を注いだのではなかろうか、ホグウッドの両演奏を聴いてみるとそんな気がする。

category: F.J.ハイドン

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O.ダントーネ:ハイドン 交響曲No.78~81  

さてさて、今日は楽しみにしていたアルバムが届きました。
2016年内にハイドン交響曲全集を発売予定としている、オッタヴィオ・ダントーネ指揮、アカデミア・ビザンチナのプロモーション盤2枚組です。O.ダントーネはバロックの演奏で親しんできたが、この全集録音はいつの間に始まったのか?最近知ったしだい;
完成すればC.ホグウッドが成し得なかった最初の古楽オケによる全集となる。

o d haydn
交響曲第78番ハ短調 Hob.I-78
第79番ヘ長調 Hob.I-79
第80番ニ短調 Hob.I-80
第81番ト長調 Hob.I-81
H.C.ロビンス・ランドン校訂版使用
オッタヴィオ・ダントーネ:指揮
アカデミア・ビザンチナ
録音:イタリア、ラヴェンナ、ゴルドーニ劇場
2015年7月 DECCA

TOWER HMV

今までの全集ものは一つアルバムが出来るたびにリリースされ、長期間かけて完成させる例が殆どだった。現在、ジョヴァンニ・アントニーニ、イル・ジャルディーノ・アルモニコも2032年(ハイドン生誕300年)の完成を目指している。一方、同イタリア勢のO.ダントーネは集中的に録音を進め、一気に完成させようという方針、この例は先駆者ドラティ以来で、年内発売予定ということはもう、大方の録音は出来ていると思われる。長期に渡ると同じ演奏家の中にも変容があり、新旧入り混じったような出来となってしまうが、ダントーネの全集は演奏、録音ともに質の揃ったものが期待できる。プロモーション盤のNo.78~81という選曲がまた、ハイドン・リスナーのツボを突いている^^録音はT.ファイ盤のような、オケにぐっと接近した、詳細な聴かせ方。
一曲目、No.78ハ短調は第一印象として良いかもしれない、始まりからきりっとしたスタッカート~清涼なレガートを適切に使い分け、強弱法もじつに細やかで起伏がある、展開部の対位法も彫深く、古楽オケの弱々しさなどまったくない。木管の美しさも申し分なし、緩抒楽章も涼やかな聴かせ方で、ピンと張り詰めた感覚を失わない。終楽章は急速過ぎるのは避け、構成をきちっと聴かせる、ホルンの豪奏を効果的に使う。
No.79ヘ長調も同様な基調だが、過度に張り詰めることなく、曲の持ち味に自然な表現、トリルの入れ方が徐々に速めるイタリア流?展開部以後、特に再現部が魅力的である、後半も反復される。第二楽章、かすかな弱奏まで用いた透明な弦の美しさを聴くと、疾風怒涛期の緩抒楽章も期待してしまう。メヌエットは優雅な楽章として聴かせる。終楽章は急ぎすぎず、ポリフォニックな書法を丹念に聴かせる好演。
CD2のNo.80ニ短調は第一楽章の第一、第二主題の表情の分け方がじつに上手い。
一曲ごとに集中力が込められ、急ごしらえ的な希薄さはない、これらを聴くと、パリセットやロンドンセット、初期や疾風怒涛期にも期待が膨らむ、全集の完成発売を過呼吸ぎみに待つことになりそう^^;

PS.この記事に関しては→追記あり

category: F.J.ハイドン

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Q.クレメンティ:モーツァルト交響曲No.41ほか(M.クレメンティ編曲)  

P.ザロモン編曲によるハイドン交響曲の室内楽編を聴いたところで、モーツァルトの交響曲、室内楽編も聴いてみます。
こちらはモーツァルトと同時代のムツィオ・クレメンティ編曲によるもの、M.クレメンティは作曲家、ピアニスト、後に楽譜出版、楽器製造業で活躍している。
演奏はクヮルテット・クレメンティ
moz kle
1995年、AGORA Musica

ザロモンの編曲が弦楽四重奏を基盤にflを加え、fpは通奏低音として扱い、オケ原曲のイメージを再現しているのに対し、クレメンティはピアニストらしく、fpを中心に据え、vn、vc、flという4人の編成、fpが曲の大枠を弾き、vnがパートを補う、flは木管の主要部分、vcはバスを重ねる、概ねそんな書かれ方のようで、あくまでピアノ四重奏らしく聴かせるが、flが木管パートを拾い廻っているのはザロモン編と同じ。

1曲目は交響曲No.41、聴きどころの終楽章も見事に編曲しているが、小じんまりとしてしまい、壮大な魅力までは出せないのは致し方ない、
2曲めはNo.35「ハフナー」、これは管楽器がフル編成の曲だけに、編曲も難しいかもしれない、fpがかなりの部分を補うが、fl:1本というのはしんどい感がある、終楽章はpfの都合かゆっくりめになる、元が交響曲だというのを意識しなければ、これはこれで聴けるのだが。
最後はNo.39、これは序奏部分からオリジナルみたいにしっくりくる、流麗な曲だけにピアニスティックな演奏に乗せやすいのかも、flも自然な活躍、メヌエット、終楽章も快調、3曲中最も心地よく聴ける。

こういった、交響曲の室内楽、あるいはピアノ編というのは、オケ原曲では聴けなかった良さも出てくるのが面白いところ。

category: モーツァルト

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アルコ・バレーノ:ハイドン交響曲No.98、100、94(P.ザロモン編曲)  

ペーター・ザロモンによる室内楽編曲のハイドン交響曲ロンドン・セット、久方ぶりに良い録音が出ていました。アルコ・バレーノ・アンサンブルによる演奏、フォルテピアノのほかはモダン楽器だが、今や普通と化したピリオド・モード、透明感と切れ味が心地よい。
このザロモン編曲を楽しむには当然、オケによるオリジナルをよく聴き馴染んだ上、が良いでしょう。ザロモンが何ら不足を感じない見事な編曲をしている、これもザロモンが指揮者兼コンマスとして響きをよく知っていたからではないだろうか。
フルート1本で、本来のパートと他の管の代役を受け持つが、複数の管パートを巧みに渡り替え、フレーズの途中で替る箇所さえある、足りない管を弦が代行する箇所も・・必要な音を可能な限り掬いあげている。

arco baleno
アルコ・バレーノ・アンサンブル
レーベル:ET'CETERA

弦楽四重奏とフォルテピアノに1本のフルートという響きの純粋さがひじょうに良い、管弦楽のイメージを作りだし、室内楽としての味わいもある、各パート1人、ということで、個人プレイ的な聴かせどころも置ける、数が少ない良さ、というのがいろいろ感じられる。

No.98変ロ長調は始まりから、これは室内楽のほうが良いんじゃないか、と思わせる軽快な心地よさ、第一楽章の手の込んだ展開部など輪郭のはっきりした編成でより詳細に聴けるようだ。緩抒楽章はまさに室内楽的なデリケートな味わい。メヌエットの軽やかさもいい、終楽章もこの編成向きのように聴こえる。

No.100ト長調「軍隊」、太鼓やシンバルは鳴らないが、原曲を知っている聴き手は頭の中でちゃんと響く、この曲はフルート1本で何役もの切り替えが目覚ましい、第二楽章の劇的な部分も力まず丁寧に聴かせるのが良い、信号ラッパはvnが替る。メヌエットは軽快くっきり、終楽章はあまり急がず、小刻みな音を丹念に進め、強弱の奥行きを作って引き付ける。

No.94ト長調「驚愕」、序奏が終り、主部に入るとかなり快速、しかし極めて緻密に小気味よく聴かせられるのはこの編成だからかもしれない、展開部では一層切迫感を出す。また、あらためて、オケらしい音楽だと感じるのも面白い。第二楽章はflとobでハモるところ、vnが替る、メヌエットは軽快、この編成こそ良いと思える響き、終楽章、わりと落ちついたテンポでがっちりとした構成感を押し出し、オケの雰囲気十分。

category: F.J.ハイドン

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D.R.デイヴィス:ハイドン 交響曲No.86  

ちょっと間が空きましたが、D.R.デイヴィスの全集よりCD20、取って置きの曲、パリセットのNo.86です。
No.86の特徴はハイドンお得意のポリフォニックで複雑な書法をほとんど用いず、主題の主旋律に他のパートが効果的に響きを重ね、快調な推移に徹しているところでしょうか、これがハイドン屈指の傑作になっています。

hay sym 86
デニス・ラッセル・デイヴィス指揮、シュトゥットガルト室内O

交響曲No.86 ニ長調
第一楽章、序奏は思いのほかさらりと爽快に演奏、主部はかっちりと構えた演奏、例によって小編成の各パートが聴き分けやすく、ベストバランスである。これはD.R.デイヴィス盤らしく、期待どおりで何より。
第二楽章、カプリチォ、ラルゴ、ここも極端に遅くせず、爽快にまとめる。
メヌエット、短調に入ったところでちょっぴりカノンの手法がある、リズムに間を置かずさらりとトリオに入り、すっきりと心地よく聴かせる。
終楽章はN.マリナー盤と同じくらいか、けっこう快速に演奏、内容的にはNo.82「熊」の終楽章のほうがずっと立派だろうが、遜色のない愉悦に浸らせるのはハイドンの才気、trpの輝き、timpの引き締めも良く、きっちり整ったアンサンブルで痛快に決める。

これまでに取り上げたハイドン交響曲No.86は以下のとおりでしたが、お気に入りはオレンジ色、今回のD.R.デイヴィス盤も文句なし、オレンジです^^v

B.ワルター、S.ラトル、F.ブリュッヘン、S.クイケンR.グッドマン、N.アーノンクール、T.ファイ、B.ドラホシュ、N.マリナー、A.フィッシャー、B.ヴァイル鈴木秀美G.Van.ワース、ヒュー・ウルフ、C.デイヴィス、K.シューリヒト、K.ザンデルリンク、H.Von.カラヤン、R.ノリントンB.ハイティンク(ライヴ)、S.ラトル(ライヴ)、 

category: F.J.ハイドン

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