Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

W.エールハルト:J.M.シュペルガー 交響曲集  

先日のH.グリフィスとW.エールハルトは本当に次々楽しみを広げてくれます。micha
今日はエールハルト盤で、ヨハネス・マティアス・シュペルガー(Johannes Matthias Sperger,1750-1812)の交響曲のアルバムです、これもDHM新録音です。
sperger sym
ヴェルナー・エールハルト(指揮)、ラルテ・デル・モンド(ピリオド楽器)
録音:2014年9月, ドイツ、レバークーゼン、バイエル=クルターハウス DHM


シュペルガーというと過去にtrp協奏曲を一曲だけ聴いて、その曲はモーツァルトに似た感じだった、というのを覚えている程度です。
シュペルガーは先日のJ.F.X.シュテルケルと同年生まれで、コントラバスのヴィルトーゾだったそうで、作曲も数多く手がけた人です(詳細→Wikipedia)今回、エールハルトが選んだ曲は3曲で、うち2曲が短調作品というのに興味ひかれます。

1曲目、交響曲第26番 ハ短調から魅了されます、
第一楽章 Allegro con spirito これほど緊迫した動機はざらにはない、清涼な第二主題を挟み、切れ味に満ちた強奏と交錯、ハイドンの短調交響曲にヴァンハルの流麗さを併せ持つような感覚で素晴らしい、エールハルトの引き締めた演奏で一段と気合いが入り引き付ける。
第二楽章、Andante auioso ここでシュペルガーの美しいメロディーメーカーぶりが伺える、ハイドンの疾風怒涛期の緩抒楽章の味わいも感じるが、わりと簡潔に終わる。
メヌエットは気品を湛えた主題でここはモーツァルト的か、トリオは木管が演奏し簡潔。
終楽章 Allegro 休符を挟み、短調のためらうようなロンド風主題、しかし長調になる部分が多く流麗な楽しさでいく、展開部は転調を聴かせ、疑似再現を置き、続きが入る、劇的な聴かせどころもあり、両端楽章が入念に書かれている。

2曲目、交響曲第21番 ト短調
26番とくらべ、じっくり聴かせる第一楽章Vivaceだ、開始の動機はここでも休符を挟み、ためらうように始め、第一主題が力強く確定する、この切迫感と第二主題のなでやかさの対比、ハイドンの短調作品に近い感覚もあるが、短調作品は不思議と作曲家の内面を感じる、シュペルガー独自の味わいも多分にある。展開部も疑似再現を挟んだ二部構えで、意外な場面も置かれる。これも魅了してやまない楽章だ。
第二楽章 Andante 26番と同じく、センスにあふれた主題の緩抒楽章、小ソナタ形式か、後半がやや劇的な聴かせどころ。
メヌエット Majestoso Allegro moderato 弦の重音奏法で力感ある始まりの主題、きりっと気品を帯びた深みのあるメヌエット、トリオは一転して弦による涼やかさで魅了。
終楽章 Allegro moderato 弦がト短調のロンド主題を奏で、ロンド形式に徹したような楽章、ロンド主題の間は変化に富み充実する。

最後の交響曲第34番 ニ長調
trpとtimpが入り、第一楽章は序奏としてマーチが置かれる、まさしく祝祭的な作品、主部 Allegro e con spiritoは快速感と鮮やかなパッセージで魅了、trp、timpが華々しい活躍、展開部は意外に穏やかなobソロが進め、対比が効果的。
第二楽章 Andantino 短めにまとめた楽章、主題はやはり優美なセンス。
メヌエット Allegretto このメヌエットも約2分半で簡潔にまとめる、しかし快活な主題とトリオのobソロが心地よい。
終楽章 Allegro ソナタ形式の充実した内容、提示部が既に痛快、展開部から終結までも良く出来ている。

特に前の2曲など、これほどの曲が知られなかったのはもったいない、さすがエールハルト、良い曲を掬い上げてくれます。

category: その他・古典派

tb: 0   cm: 0

H.グリフィス:F.リース 交響曲第4番  

さて、先日取り寄せたフェルディナント・リース(1784-1838)の交響曲全集(全8曲)ですが、不思議と、初めて聴くように思えない作曲家で、これも古典派後期~ロマン派へと、ドイツ音楽の路線にある人だからでしょう。師のベートーヴェンを引き継ぐ語法も見せますが、明らかに内容は次の時代です。ときにハイドンに回帰したり、またバロックとロマン派がタッグを組んだような曲まであり、面白いです。H.グリフィス指揮による演奏は、こうした作品を初めて聴くには理想的でしょう。今日は中ほどから第4番を聴きます。micha
f r sym4
ハワード・グリフィス指揮、チューリッヒ室内O
2001年録音 cpo


交響曲第4番 ヘ長調 op.110
第一楽章 Andante-Allegro まず短調でアンダンテの緊迫した序奏が置かれ引き付ける、序奏の終りと主部が繋っていて、2本のホルンが柔らかく動機を奏でる、一転して明るいヘ長調、シューマンの「ライン」を思わせる雄大さと細やかな情緒で聴かせる楽章だ、安らかな第二主題のあと再び雄大となる運びも良い、展開部は対位法の聴きどころだが短め、しかし再現部以後の充実で聴かせる、終結部は急速になり盛大に終わる、このあたりもシューマンを予期させる。
第二楽章 Andantino この緩抒楽章の主題を聴くと、リースも師に負けず普遍的な美しい旋律を書く人だと思う、vcや木管のソロを挟み、ベートーヴェンの「田園」的な雰囲気と、押し寄せるシンフォニックな聴きどころもあり、対位法の妙も聴かせる。
第三楽章 Scherzo.Allegro 快活なスケルツォはベートーヴェンの「英雄」を思わせるが、始まりからフーガの書法が歯切れ良いリズムに組み込まれる、決して師の二番煎じにはなっていない、管楽器同士の掛け合いも心地よい、トリオはvcが優美なソロを聴かせ、再びフーガのスケルツォの切れ味が効く、短いが傑作のスケルツォ楽章だ。
終楽章 Finale.Allegro molto 短く序奏的な部分を置き、勝利宣言的な華々しさに至る、展開部への入りも同様に行うが、展開部の充実感、終結にかけての推進力、畳み込み、技法の冴えた申し分ない終楽章だ。

同盤の第6番もじつに良いですが、あらためて。

category: F.リース

tb: 0   cm: 0

ブリッジ:弦の止め方  

リュートのブリッジの弦の止め方はクラシックギターと同じ要領ですが、サドルがありません、絡めつけの具合によって弦の高さが変わります。micha
ブリッジb
バロックリュートでは、1、2コースがシングル、3~5コースをユニゾンに張り、6コース以下の低音コースはオクターヴに張ります。
002_2016062814495936b.jpg
このうち、ユニゾンのコースは高さがぴたり揃うようにします、少しでも段差があると弾弦しづらいです。
オクターヴのコースはもっぱら親指で、低音弦→オクターヴ弦の方向に弾きますが、低音弦の上面に対しオクターヴ弦が少し低いくらいが良いです(私の場合)。これは鳴りのバランスに影響します、しっくり良いコンビネーションで鳴るようにしたいところ、全コース同じ状態に揃えないと、鳴り方がバラつきます。
PS.各コースの高さバランスも良くしないといけません、3コースが低くて、4コースが急に高い、ってのも弾きづらいです;

category: リュート

tb: 0   cm: 0

ナットの作り替え ≪追記あり≫  

今日は早く目が覚めてしまったので、午前中何かやろうと、11コースluteのナットを作り替えました。今までのは1、2コースを開きぎみに作ってあったので持ち替えで少し違和感があり、平均的なスペーシングにしようと・・ micha
ナット
外した今までのナット
黒壇を切り出し、寸法を確かめながら曲面を削る、これで結構しんどいです;肝心なのは溝彫り、今回はモーリスさんの楽器に合わせようと、弦の上に紙をあて、鉛筆でなぞって拓本を取りました^^これを今度のナットに当てて印を付けますが、目分量で微妙な修正をしながら仮溝を付けます、ダブル弦の間隔も3~5コースにかけて適度に拡げていき、バス弦の低い方はだいぶ離しぎみにします。理想の位置よりチョットずれると具合わるいんですね;
11c
新ナット、溝彫り後
11c 2
ナット断面のカーブを適切にしないと調弦し辛い、
どうにか納得いく具合のようです;今日はここまで、明日は細かい仕上げと、ペグの手入れ、そしてガット弦に一部替えようと思います。

追記:ついでだからやっちゃいました^^
ペグのコンポジション塗り、自分は一回塗って差し込んで穴に塗りつけ、もう一度塗ります、ナット溝には鉛筆を塗り、前より調弦快適です、ナットの曲面を良くしたのも効いたかな?
11c04.jpg
あと、オクターヴ弦のみ、ガットに張り替えました、これだけでだいぶ雰囲気変ります。PVFの低音弦とコンビネーション良いようです。
11c03_201606272258162e9.jpg
ぱっと見、変って見えませんが、ガットなんです;

category: 趣味のハンドメイド

tb: 0   cm: 0

クイケンSQ:モーツァルト弦楽五重奏曲No.6(再掲)  

著名じゃない作曲家が続いているので、ここらでモーツァルトの室内楽を^^;micha
弦楽四重奏の集約された充実感も良いがモーツァルトの五重奏はヴィオラ1つ加えた編成、これだけでプラス1以上の表現のゆとりが出てくる。2つの楽器がソロを弾き、残りが伴奏を弾くと二重協奏曲のようでもあり、シンフォニックなところもあり、多様化してくる。四重奏曲ではいささか労作で傑作を書いているモーツァルトだが、五重奏は得意とするようで、ザルツブルク時代にも大曲を書いている。
最後に書いた五重奏曲第6番(K.614)は全楽章長調で晩年の苦境など関係ないような、健康的で明るい曲想、四重奏曲「狩」でも見せたハイドン風の趣味が漂う。演奏時間も6曲中最も短く圧縮された充実感。完成された大がかりな器楽曲として、これが最後の作品というのにも少々驚く。あらためてクイケン四重奏団&寺神戸亮(va)の演奏で聴く。

moz quin
1999年録音 DENON スイス、ラ・ショード・フォン、ムジカ・テアトル

弦楽五重奏曲 No.6変ホ長調 K.614
第一楽章、軽やかでホルン風の動機をvaが奏でて始まる、この動機が印象的で楽章を支配する、第二主題も同質でリズミカル。展開部もじつに入念で聴きごたえあり、弱奏による掛け合いも動機の装飾の入ったリズムが効いて心地よい。終結部ではハイドン交響曲「熊」終楽章のような"唸り声"がvcで入り面白い。
第二楽章、ロンド風、アイネ・クライネ・ナハトムジーク第二楽章の主題をちょっと素朴にした感じ、安らかでよいテーマだ。ロンド主題が繰り返されると1st vnほか各パートが交替で変奏的なオブリガートを乗せていくのが美しい。終盤では思い切った短二度の不協和音に驚く。
メヌエットはのびのびした雰囲気ながら、ポリフォニックな手法が凝っていて声部の重なりが味わい深い、トリオはひと息つかせて長閑。
終楽章、ロンド風、メヌエット主題と同系のテーマが快調軽やかでいかにもハイドン風、フーガの書法を駆使した部分が圧巻、他にも多様な手法が凝らされていて、これが5:39の中に圧縮されていて、見事な楽章だ。

クイケン・クヮルテットに寺神戸亮がヴィオラで加わり、キメ細かな美音に強弱幅を大きくとった演奏、V.クイケンのチェロの低域が豊かに響き、懐深いバランスで味わる。

category: モーツァルト

tb: 0   cm: 0

H.グリフィス:F.リース 交響曲全集  

未知の作曲家の探索、古典派からドイツロマン派のあたりも興味あるところで、行き着いたのがフェルディナント・リース(Ferdinand Ries 1784 - 1838)です。近年はもはや未知どころか有名になりつつあるようで、楽しみな作曲家です。 micha
FerdinandRies.jpg
フェルディナント・リース
リースはベートーヴェンと同じボンの生れで、リース家も音楽家でした、ベートーヴェン家との関わりも当時からあったそうです。やがてベートーヴェンがウィーンに出て活躍するようになり、F.リースはベートーヴェンのもとへ弟子入りしました。師に替ってピアノを演奏したり、難聴が悪化した師の補助もしていたということです。
詳細→Wikipedia:Ferdinand Ries

リースが没後、忘れられた存在になってしまったのは、師ベートーヴェンの作風を模倣している、流行から遅れた作風だった?、弟子がいなかった、など原因が挙げられるそうですが、経緯はともかく、仮に師の模倣が多かったとしても、それなりに作品が優れていれば十分魅力であり、聴かない手はないわけです。いつも一緒にいる人とは語り口も似てきて当然、特にピアノ作品は師の技法をよく継承していて強く感じます。しかし語る中身はあくまで本人が創造したものです。
ドイツ3大Bに挙げられるほどの師ベートーヴェンですが、ときにご愛嬌で"駄作?"に入るような曲も書いている、しかしこの優秀な弟子はすっかり洗練されていて、若い世代らしく、さらにロマン派の世界へと踏み込み、その精神はシューマンへと繋がるのではないかと思います。
おそらく近年、再評価が進んだとみえ、録音物も増えています。無名の作曲家といえば、演奏も冴えない(研究の足りない)マイナー盤がたまに出ていた頃とは違い、近年はよく研究された優れた演奏で出てくるのは嬉しいです。まず取り寄せたのが、信頼のハワード・グリフィス指揮、チューリッヒ室内Oによる交響曲全集です。
F R sym
抜粋で聴いてみたところ、確かに師のよく使う主題に告示したものは出てきますが、中身はあくまで独創的、初めて聴く作曲家に思えないのは洗練度が高いせいか、ピアノ作品も集めたいところ;
感想はあらためて書いていきます^^

category: F.リース

tb: 0   cm: 0

スーパーサターン:J1407b  

昨日は土星直径の300倍の大きさで、きわめて希薄なフェーベ・リングが話に出ましたが、ケンタウルス座約430光年にある若い恒星J1407には土星の環の約200倍でハッキリ見える環を持つという、スーパーサターンがあるらしいです。恒星の次に明るいのでJ1407bとされます。
fea-J1407_RonMiller_2015.jpg
J1407b 想像画:ロチェスター大学
2012年、オランダとアメリカの研究チームが恒星の前をJ1407bが横切るときの減光「トランジット現象」を解析したところ、減光が複数回細かく生じることから、土星のような隙間のあるリングがあると推定。
参考動画1Exoring model for J1407b
2Unusual Exoplanet with GIGANTIC rings - J1407b in Space Engine (3:05~)
J1407bの中心惑星は木星の10~40倍質量、リングの直径は約1億2000万km、太陽~金星の距離より大きい、トランジット現象の明滅の様子からも可視光ではっきり見えるリングらしい、
6053420-3x4-700x933.jpg
もし、太陽系の土星の位置にJ1407bがあったら、こう見えるという想像画
このリングは巨大惑星のまわりに衛星が作られつつあるところで、衛星が出来あがってしまえば殆ど消えてしまうと考えられている、原子惑星系円盤のミニチュアと言えるかもしれない。

category: 宇宙・天体

tb: 0   cm: 2

イアペタス  

太陽系探査の時代になってから各惑星はもとより、多くの衛星が個性的で面白いです。土星の衛星、イアペタス(Iapetus)も特徴的な衛星で前々から興味がありました。
まず、、赤道に沿って盛り上がった山脈があり、イアペタス全体がクルミのように見える、この山脈はどうしてできたのか、赤道と一致するのがヒントでしょう、
iapetus01.jpg
Iapetus_equatorial_ridge.jpg
イアペタス NASA探査機 カッシーニ撮影
イアペタスは太陽系誕生と同時にできた天体で、はじめは溶解した状態で高速で自転していたため、赤道が引き伸ばされた、マーブルチョコ型をしていた、その後冷え固まるとともに土星の重力で自転速度も遅くなり、普通の球形になっていった、内部が縮み、赤道に引き伸ばされていた地表が盛り上がる形として残った、という説が自然かなと思います。
異説として、かつてイアペタスにも塵や氷のリングがあり、それが回転速度を失い、イアペタスに落下、赤道ラインに積もっていった、というのがあります。

次が表面、イアペタスは観測で明るさが大きく変化するので、表面の地域で明暗の差があると予測されていたが、NASA探査機カッシーニの撮影で明らかとなった。あたかも丸いお菓子の半球面に、シナモンパウダーを振りかけたように見える、
iapetus02.jpg
NASA探査機 カッシーニ撮影
2009年に赤外線天文衛星スピッツァーが未発見だった土星の巨大なリングを捉えた、直径は土星の300倍、非常に希薄なもので、その場を宇宙飛行しても存在に気づかないほどらしい、
iapetus03.jpg
資料:NASA拡大画像
このリングはイアペタスの外側を廻る衛星フェーベ(Phoebe)の周回軌道と一致し、フェーベがリング物質を供給しているらしい、またフェーベとリングは土星の自転とは逆方向に廻っている。一方イアペタスは現在、土星を1周につき自転が1回、つまり進行方向にいつも同じ面を向けながら、巨大リングの最も内側のあたりを廻っているので、そこに逆方向に廻るリング物質が降り積もったと考えられるそうです。

天文学は状況証拠を集め、過去の出来事を推理するところが面白いです。

category: 宇宙・天体

tb: 0   cm: 2

左型と右型  

人の左右の手は機能としてはまったく同じものですが、親指のある側が逆で、鏡像関係の形です。生物の体を作っているアミノ酸のような分子もこれと同じように原子の結合のしかたが左型と右型があるそうで、これをキラル分子と言います、自然界で左型と右型が生成される確率は半々のはずです。micha
201606211919004d6_20160621235558d9a.jpg
アミノ酸の一種、アラニンの結合の左型と右型、
たとえば左側を180°右側へ回転させても、立体的に一致しない

しかし地球の生命のアミノ酸は左型に偏っているそうです。ワインの樽に溜る酒石酸も同様であることをパスツールが発見している。
この傾向は地球に有機物を運んできた隕石に含まれるアミノ酸を調べても同じだそうで、どうも太陽系を含む広い領域でこの偏りがあるらしい。

光(電磁波)は通常、電場と磁場が90°の関係で波として伝わってきますが、星雲の中の微粒子にぶつかると、波の形が変わり、円偏光(螺旋を描くような波)となる場合がある。これも進行方向に対し、時計回りと半時計回りとある。
2016062119222568b.jpg
資料:国立天文台
円偏光
円偏光のイメージ、赤線が電場で、青矢印が磁場を表現
円偏光は星・惑星形成領域で普遍的な現象で、質量の大きな星が生まれる領域ほど円偏光が大きく、広範囲におよぶという傾向がわかっています。太陽系もかつては星雲の中で兄弟星と一緒に生れ、質量の大きな星はとうの昔に爆発したが、その時の星雲内はこの大質量星による影響が広範囲に及び、この円偏光に照らされて生成したキラル分子は形成が偏って(鏡像異性体異常)、片方の型が多くなったと考えられています。これを裏付ける観測結果として、2010年にオリオン大星雲(M42)、2013年に猫の手星雲(NGC6334)の星形成領域で、近赤外線偏光観測装置を付けた望遠鏡の観測で、円偏光が検出されている。
ngc6334.jpg
猫の手星雲(NGC6334) HST

2016年6月、米・国立電波天文台のチームが、星形成領域、"いて座B2分子雲"の中で、星間空間でこれまでで最も複雑な分子、酸化プロピレンを発見したとのこと、これも左右の型をもつキラル分子である。 ここでも円偏光が犯人となって偏りがでているかもしれない(電磁波が分子の形に影響を与える)、宇宙科学と生物学の接点ですね。

category: 科学・自然・雑学

tb: 0   cm: 0

W.エールハルト:J.F.X.シュテルケル 交響曲No.1&2  

未知の古典派作曲家の探索を楽しんでいます。今日はヴェルナー・エールハルト指揮、ラルテ・デル・モントによるヨハン・フランツ・クサヴァー・シュテルケル(1750-1817)の交響曲を聴く、エールハルトといえばコンチェルト・ケルン時代からJ.M.クラウスはじめ、一般に著名ではない優れた作品を取り上げてきました、今回DHMの新盤として録音したシュテルケルの作品にも期待してしまう。ラルテ・デル・モントはコンチェルト・ケルンと同じく、弦楽はテンションの低い弦を使っている感じで、線の細い響きだが、微かな弱奏までくっきり聴こえる透明感、コントラバスが底力で全体を包み込むサウンドバランス。micha

sterkel sym
ヴェルナー・エールハルト指揮、ラルテ・デル・モント(ピリオド楽器)
録音:2013年12月 ドイツ、レーファークーゼン・クルターハウス


シュテルケルについて詳しい資料はないが、1750年にヴュルツブルクで生れ、モーツァルトより6歳年長、活躍時はモーツァルトやクレメンティ等と並ぶ人気で、ピアニストとしても有名だったとされる。交響曲はマンハイム楽派を基盤としているそうだが、当然ハイドンの影響も受けただろう、
20世紀流の演奏でモーツァルトなど著名な作品に馴らされた耳にはそれ以外は異質に(出来がわるく)聴こえてしまうかもしれない、エールハルトはそのギャップを飛び越し、作品の魅力に直に迫らせてくれるようだ。

交響曲第1番ニ長調Op.35-1
第一楽章 Allegro con spirito、快活でやや武骨な第一主題で引き付ける、第二主題は柔和な味わい、じりじりとしたcresc.の後の力感、懐の深い提示部を聴かせ、反復なしで展開部に移る、この展開部の規模と内容には目を見張る、第一主題、第二主題、順に用いた長大なもので、これはハイドンからベートーヴェンへと橋渡しをする内容に思える、再現部、終結の華々しさはP.ヴラニツキーを思わせる。
第二楽章 Larghetto、幾分素朴ながら優美な主題、この楽章は短調となった中間部が聴かせどころ、突如とした緊迫感に包まれる。
メヌエットは活発で小気味よいテーマ、トリオは特徴めいたものはなく、簡潔な楽章だ。
終楽章 Allegro vivace、やや民謡調の主題のロンド-ソナタ形式はハイドンに近い、展開部は上手く休符を置きながら次への期待を誘う、ここでも第一楽章同様の充実感を置き、終結も華々しい。

交響曲第2番変ロ長調Op.35-2
第一楽章 Largo - Allegro assai、短い序奏を置き、主部の第一主題はがっちりと始まる、快速感に満ちた提示部が引き付ける、反復なしで展開部へ、ここもまた第1番に劣らず鬼気迫る内容だ。序奏部をわずかに挿入して再現部となるが、最後まで気を抜くところなく聴かせる。
第二楽章 Adagio un poco、この楽章も中間部以降が非常に充実、聴かせどころとして書かれている。
メヌエット Allegro 活発な性格のメヌエットでトリオも小ざっぱり、3分足らずで簡潔に終わる。J.M.クラウスがたった1曲書いたメヌエット楽章を思わせる;
終楽章 Presto 活発な舞曲風のロンドテーマで、爽快に進む、目まぐるしく対位法も用いたハイドンの傑作に匹敵するような楽章で期待に十分応える、華々しい終結もベートーヴェンほどゴツくさくなく、痛快。

もう一曲「大オーケストラのための序曲」が入っている、大袈裟だがそれなりに楽しませる、管楽器の妙技が目立つ。

さすがエールハルトの取り上げる作曲家、
ヴラニツキー兄弟に続いてすっかりはまってしまった。

category: その他・古典派

tb: 0   cm: 0

多重連星(双子座:カストル)  

空に見える星々の約半分は連星だそうで、多くは2連星、3連星も珍しくないそうです。連星といっても形態は様々で、生れたときから連星だったもの、別々だった星が偶然重力で捉え合い、連星となったもの、中には白色矮星とパルサーが廻り合っている連星(死んだ星同士?)もあります。太陽系がもっと質量の多い惑星系円盤で生れていたら、木星がもう一つの恒星になっていたでしょう。太陽の8%以上の質量があれば恒星になる、それ以下だと褐色矮星(木星質量の13-75倍)、もっと小さいと惑星(木星質量の13倍まで)になります。
昨日のヴラニツキーの弦楽六重奏で思いだしたのが、双子座のα星、カストルです。micha
hutagoza.jpg
肉眼では1つに見えるカストルを17世紀にフランスの天文学者G.カッシーニが望遠鏡で2連星に見えることを発見していた、最新の観測では、2連星が3つ組み合わさった、6連星であることがわかっています、各ペアをカストルA、B、C、と呼ぶ。
カストルabc
左:カストルA、B、C、周回予想図
右:ESA、XMMニュートン撮影、"YY Gem"とあるのは別名でCにあたる、Cは強いX線が観測される
カストルAとBは質量の豊富な星雲内で同時に生れた連星で、それぞれの質量も同じくらいと見られる、参考→ 質量の等しい連星が楕円軌道を周回する動画(Wikipedia)
Cは別に生れた連星が偶然、重力で結びついたものと考えられている。今のところこの6連星というのが最多記録です。

全天で一番明るいおおいぬ座のシリウスも伴星を持つ、これも連星の一種、
シリウス
左下の小さな点が伴星で白色矮星です、シリウスと同時に生れた星であるとすると、シリウスより大きく、寿命が先にきてしまったということになる。シリウスの質量は太陽の2.14倍で、自身でⅡ型超新星爆発する大きさではない、ただ伴星の白色矮星がシリウスからガスを引き込み、遠い将来Ⅰa型の爆発をするのか?知りたいところ;

category: 宇宙・天体

tb: 0   cm: 0

E.コルディア:A.ヴラニツキー 弦楽のための室内楽曲集  

未知の作曲家を探っているうち、最近知ったナイスな古典派がヴラニツキー兄弟です(兄:パウル 1756-1808、弟:アントン 1761-1820)、と言っても出ている音盤は数少ないですが;幸い良い演奏で出ている。今日は弟アントンの作品で弦楽五重奏と六重奏曲の2曲、アンサンブル・コルディア(古楽器)による秀逸な演奏で聴けるのは嬉しい。micha
A.ヴラニツキーはモーツァルト、ハイドンに師事した人で、どれくらいの作品を残したか、わかりませんが、先般のvn協奏曲や今日の室内楽を聴くかぎり、洗練されていて相当なキャリアを重ねた人でしょう。ハイドンは弦楽四重奏に専念し、多重奏曲は書いていませんが、A.ヴラニツキーは流石は弟子、という出来栄えでこれらを書いています。作風としてはハイドンに近いかな?でも民謡風の旋律は出てこない。
A ヴラニツキー
アンサンブル・コルディア
2009年 BRILIANT CLASSICS


弦楽五重奏曲 変ホ長調 Op.8-3
五重奏といっても編成はvnが1つ、vaとvcが2つずつ、という低域にバランスの寄った珍しいもので興味深い、第一楽章アレグロ ノン タント、活気のある主題に始まる、vnが主導するが、他のパートが充実した絡みを聴かせる、提示部の反復なしで展開部に入るが、まさに室内楽の醍醐味、快活な中に各パートが掛け合う、ハイドンの後期作品に引けを取らない充実感。
第二楽章アンダンテ コン モート、変奏形式、概ね一貫してテーマが流れ、各パートが変奏の妙技を聴かせる、この楽章にもハイドン風な健康美とセンスの良さを感じる。
メヌエット、vcが歌いだし、カノンで重ねるなど、彫の深い聴き応えあるメヌエット楽章だ。トリオは小洒落た装飾的美しさを聴かせる。
終楽章、アダージョの前奏があるが、深い味わい、ロンド、アレグレットが続く、このロンドでは各パートが代わる代わるソロを弾くが互いに味わいのある助奏で充実させる。

弦楽六重奏曲 ト長調
なぜか作品番号が付いていないらしい、編成はvn、va、vcが2つずつの六重奏、第一楽章アレグロ、流麗な主題で始まり、これはJ.M.クラウスを思わせる、室内楽の細やかさもあれば、ぐっとシンフォニックに押し出したり、2つずつの楽器がハーモニーを聴かせたり、様々な聴きどころを作る、展開部の充実ぶりは師匠ゆずりか、vcが高域を奏でるのが印象的。
第二楽章アンダンティーノ、変奏形式でト短調となり、憂いを帯びた主題が一貫され、各パートが変奏要素を重ねていく、中間部は長調となる。
メヌエットを置かず、終楽章、ここでもアダージョの前奏を置くが、これも聴きどころ、ロンドのアレグレットに入る、弾むようなテーマで、各パートが切れ味よく掛け合いをする、ロンド主題の間に入る部分が変化に富み、聴き応えあり。

どちらかというと、六重奏のほうが気に入ってしまったが、これらも大いに演奏されてよい曲だと思う。

category: その他・古典派

tb: 0   cm: 0

LIGO:2例目の重力波検出  

今年2月、米国のレーザー干渉計型重力波検出器、LIGOによる史上初の重力波検出(観測は2015年9月)が発表されたところだが、6月16日に2例目の検出を発表した。観測したのは2015年12日26日で、今回の観測データは微弱だったらしく、データ分析の結果確認された。micha
ligo cg
動画CG→LIGO again detects gravitational waves
今回は14億光年の遠方でおきた2つのブラックホールの合体と見られる。
強い重力の天体が高速で動いて、重力波は検出されやすく、今回の合体による重力波は合体直前、光の1/2ほどの速度で2つのブラックホールが廻り合って発生したと予測されている、重力源がきれいな球形になると重力波は発生しにくい。
20160213214737a37_20160617150927042.jpg
LIGOの観測範囲は7000万光年だと聞いていたが、システムは次々パワーアップされ、今年秋、イタリアのピサで全長3kmの重力波干渉計:Virgo(ヴァーゴ)が稼働を始め、LIGOをバックアップする設備となる。(重力波は地下でも地球の反対側でも観測できる)

電磁波で観測できる限界はビッグバン後38万年以降で、光が直進できるようになった後からになるが、重力波ならその前も見透せるそうだ、宇宙誕生直後は「4つの力」も分化されていなかったと理論上言われているが、重力も4つの力の1つ、"力が一種類?"だった頃の様子も重力波で検出できるのだろうか?

category: 宇宙・天体

tb: 0   cm: 2

リュート弦の悩み(5、6コース問題)  

ギターもそうでしたが、リュートの場合も高音弦から低音弦にかけてブリッジ(サドル)が徐々に高くしてあります。低音弦ほど振幅が大きく、フレットに当り、ビリやすいからです。ギターでは⑤弦が特に問題が多かったように思います。④弦に対し⑤、⑥弦は緩めのせいか。
バロックリュートでも5、6コースに太い弦を張り、押弦が頻繁なため、問題が起きやすい、このあたりは巻弦にしろ、ナイルガットやPVFの単線にしろ、振動精度の良い弦がなかなかないのが悩みです。今回、調整で弦高が低くなった13コースluteは良好な弦を張らないとビリます、まず5コースは手持ちのナイルガットは全滅で、次にPVF線を張りましたが、リールから5本分切ってようやく使える部分に当りました;micha
s ace 20

6コース用に良好なPVFは採れなかったので、最後の頼みがガット弦です、1.12㎜の単線を張りました、ガット弦は太い単線が優秀なんですね、振動精度が良いうえに、余韻が短いのでビリにくい、さらに低音弦に行くとガットの単線は太くなるので、ガットに金属線を巻くなど加工したものを使う場合がありますが、これも良好なものが少なくなってきます、ただし7コース以下の太さではPVFは意外に良好なので、ここからは使いやすいです。
13c lute
写真の5コースがPVF(シーガーエース:20号)、6コースがガット(キルシュナー)、そして7コース以下がPVF(シーガー:万鮪)です。6、7コースは見た目似ていますが違うんです;また弦を注文したので、5コースもガットにしてみようかと思います。

PS.低音コースをすべてガットで揃えるなら、今のところGamutのPistoyが一番のようです、太くてもしなやかに出来ているのが良く、ニス・コーティングされている、音も振動状態も良好です。ただ、非常に高価です;AquilaのVeniceも同様にしなやかで、値段はPistoyの半額以下、オイル仕上げのみですが、今まで使ったものは振動は良かったです。

category: リュート

tb: 0   cm: 0

西崎崇子:J.B.ヴァンハル ヴァイオリン協奏曲集  

NAXOSが企画した18世紀の音楽シリーズとしてJ.B.ヴァンハルの作品がいくつか取り上げられ、交響曲もなかなか楽しめるものでした。モーツァルトの主題のような大胆さはないけど、ウィーン古典派の常識的で一流のセンスを聴かせてくれるのがヴァンハルです。またヴァンハルは特定の雇用主に仕えず、史上初の?フリー作曲家だったことでも知られます。
録音はそう数多くは出ていないと思いますが、西崎崇子のvnソロ、H.M=ブリュール指揮、ケルン室内Oの好演で聴くことができます。micha
vanhal vu con
西崎崇子:vn
ヘルムート・ミュラー=ブリュール指揮、ケルン室内O
2005年録音


1曲目、vn協奏曲ト長調(Weinmann Ⅱb:G3)
前期古典派風で穏やかな主題に始まる、アレグロ モデラートは何とも優雅な味わいで、前奏の第二主題が印象的で洒落ている、西崎崇子のvnソロは透明感を大事にした、作品に相応しい演奏、ブリュール指揮:ケルン室内Oも同様にすっきりと心地良い、作品はvnのテクニカルな聴かせ方をせず、各主題を美しく発展させ、過剰な要素なく端正に紡いでいく、
第二楽章アダージョ、ここでも古典派後期には聴かれないような、旋律の一つ一つが磨かれたような清涼な音楽で満たす、ハイドンの初期作品と同じ味わいだ。
そして意外なのが、第三楽章アレグロ、演奏時間が第一楽章より長く、主題は終楽章風でもあるが、内容はもう1つ"第一楽章"がある感じだ。じっくり前奏を聴かせ、ソロが始まり、協奏ソナタ形式を展開していく、改作して別の曲の第一楽章にしてもおかしくないような。

2曲目、vn協奏曲ト長調(Weinmann Ⅱb:G1)
この曲は各楽章の構成が常識的だ、第一楽章からⅡb:G3以上に雅びな雰囲気を湛え、誰が聴いても「いい音楽だ」と心和むだろう、展開部も白熱はしないが、程よく踏み込む。
第二楽章、アンダンテ、期待どおり、前奏といいソロといい、清涼な音楽、ソロvnの重音奏法にオケのvnの和声が重なり美しい。
第三楽章、やや活気を持つアレグロ、ソロもここで装飾的な切れ味の心地よさを聴かせる。

3曲目、vn協奏曲変ロ長調(Weinmann Ⅱb:Bb1)
前期古典派風ではあるが、前の2曲とはちょっと趣きを変える、この曲はモーツァルトがソリストとなって演奏されたという記録があるそうで、確かに、ちょっとモーツァルトが好みそうな感じかもしれない?
第一楽章アレグロ モデラート、主題が印象的で、vnのソロも表情豊か、一段とvn協奏曲らしい出来栄えに思える。展開部もこの曲が最も踏み込んだ味わい。
第二楽章、清涼、穏やかな中にテクニカルな部分もちらりと置く、
第三楽章、アレグロ、ここらでハイドンのチェロ協奏曲No.1のようなキレキレの終楽章も聴きたいところだが^^ヴァンハルはあくまで優雅にいく、ソロvnが切れ味の魅力を聴かせるところは随所にある。

いずれも、もっと演奏されてよい曲だ。

category: J.B.ヴァンハル

tb: 0   cm: 0

ハッブル定数  

宇宙の膨張に伴い、天体が我々から遠ざかる速さとその距離が比例することを示す法則がハッブルの法則である。
micha
ν=Ho・D (ν:天体の後退速度 Ho:ハッブル定数 D:天体までの距離)

このHo:ハッブル定数は1Mpc(メガパーセク:約326万光年)離れるごとに増す膨張速度を表す、ほんの50年ほど前までは、本当に大まかにしかわからなかったハッブル定数だが、観測技術の向上でかなり正確に絞り込まれてきたようだ。

2012年の情報だが、NASAのスピッツァー赤外線天文衛星により、天の川銀河で10個、大マゼラン雲で80個のセファイド変光星の観測を行った、赤外線は宇宙空間の塵による減光を見透せるので、より精度の高い観測で、
cepheids.jpg
縦軸が明るさ(絶対等級)、横軸が変光の周期
資料:NASA/JPLCaltech/W.Freedman(Carnegie) 

このグラフの比例線から大きく外れたものがないことからもそれが伺える。この観測に基づき、得られたHo:ハッブル定数は74.3±2.1km/秒/Mpc(1Mpcあたり、毎秒約74.3kmずつ遠ざかる)という結果がでた。

最新の観測として、ジョンズホプキンス大学のアダム リース氏らの研究チームがハッブル宇宙望遠鏡(HST)と米・ハワイのケック望遠鏡を用いて、セファイド変光星とIa型超新星の両方が存在する銀河を探し、現在の宇宙の膨張率を測定した。
hs-2016-17-b800.jpg
りゅう座の銀河UGC 9391、○の部分はセファイド変光星、×の部分はIa型超新星2003du
資料:NASA, ESA, and A. Riess (STScI/JHU) 

両タイプの天体が存在する銀河までの距離を測定して基礎データを正確にし、さらに遠方銀河に存在する約300個のIa型超新星までの距離を計測した。一方、銀河の後退速度は、銀河からの光の波長がどの程度引き伸ばされているかを測定して知ることができる。銀河の距離と後退速度から求められた、Ho:ハッブル定数は、73.2 km/秒/Mpcとなった。
この観測によるハッブル定数は、不確定性が2.4%しかないそうで、極めて正確な値である。
しかし、宇宙背景放射の観測から予測される値とは少し差異があり、NASAの人工衛星WMAPによる観測から予測される値は今回の結果より5%小さく、ESOの人工衛星「プランク」のデータによる予測は9%小さい値である。

category: 宇宙・天体

tb: 0   cm: 0

まる子のお姉さん  

放送26周年になるTVアニメ「ちびまるこちゃん」、このところご無沙汰していましたが、子供が小さい頃は一緒にみて親しんでいました、登場人物の声は耳に焼き付いています、micha
子供に何かせがまれても、
「やだね、めんどくせえ、今日は一日ゴロゴロすることに決めたんだ」 *いつものことである、
てな調子で、父ヒロシを真似てよろしくやっていました^^
maruko03.jpg
その、まる子のお姉さん(さくらさきこ)の声を担当していた声優の水谷優子さんが5月17日、がんのため51歳で逝去されました。長年、日常の一部のように親しんできたお声だけにひじょうに寂しく思います。まる子の姉さんって、控え目ながら存在感強く、笑わせてくれるし、好きなキャラです。後任は声優の豊嶋満智子さんが引き継ぎます、これからの子供達にはお馴染みの声になるでしょう。
sakura sakiko2
初期の頃はアニメーション(動画)としても味がありました、台所のシーンがよくあり、お母さんがまる子としゃべりながら、夕飯の仕度、豆腐を切ったり、さやえんどうのスジを取ったりとか、手元の動きを細やかに動画で表現、どこの家にもある日常感がありました。動画を一旦、銀塩フィルムに収めた当時のアニメ画像は温かでした。
参考動画:89話 38話 131話

category: 映画・TV・DVD

tb: 0   cm: 0

V.ペレス:「ザ・ギャラント・リュート」  

今日はDaisyさんのブログで紹介されていた、とっておきのアルバムです。若手リュート奏者、ヴィニシウス・ペレスによる、自身の編曲とオリジナル曲で古典派作品を集めた4曲で、その名も"The Galant Lute"
ペレスはブラジル出身でバーゼル・スコラ・カントルムにおいてホプキンソン・スミスに師事、ソロや通奏低音で活躍中だが、このデビュー盤は見事に成功している。いわゆるリュートの定番オリジナル曲じゃなく、古典派作品で攻めてきた、存在感ありv
galant lute
ヴィニシウス・ペレス:13コース バロックリュート
2015年9-10月録音


1曲目はハイドンのピアノ・ソナタ No.6 C-dur Hob XVI:10、ペレスの編曲で、目のつけどころがいい、先にR.ブラウティハムのfpでの演奏を聴いた、快活で楽譜をみても確かにピアニスティックに書かれているが、
hay pf sonata
大きく捉えるとハイドンの初期作品らしい、前期古典派的な趣きがリュートにも合いそうだとピンとくるものがある、そして当盤の演奏を聴く、原曲を殆ど崩さずのようだが、リュートらしい物腰で、見事にオリジナル曲かのように変貌する、次に聴くK.コハウトやH.ハーゲンのような古典派期のリュート奏者の作品を知っていると、その延長上にある傑作であるかのように聴こえる、バロックリュートに精通し、腕前抜群のペレスならではの演奏、フィナーレも原作はプレストくらいのテンポと思うが、ペレスの見事な料理でリュートの自然なプレストになっている。

2曲目はカール・コハウトのリュート・ソナタ D-dur、バロック後期のS.L.ヴァイスを頂点に衰退していったリュートだが、ギャラントな時代に入ったリュートの魅力を聴かせるのがK.コハウトである、やはり、リュートに精通した作曲家ならではの深みを持っている。これもペレスにしてみればお手のもの、ハイドンなどの編曲の助けにもなっているだろう。

3曲目はW.A.モーツァルトのディヴェルティメント KV439b/Ⅱ、原曲は3本のバセットホルンのために書かれたまさに3声の曲、→参照楽譜
一聴して懐かしく思った、これはギターの3重奏で楽しんだことがある、他の楽器でも演奏しやすく、リコーダーやオカリナの3重奏にしても魅力的なはずだ。小作りな曲ながら、第一メヌエットとトリオでポリフォニックな部分を置くなど流石と言える聴かせどころを持つ。編曲しだいでは、たしかにリュート1本に収まるだろう。5つの楽章全部演奏されるが、ここでもやはりリュートらしい物腰が一味変える。

最後はクリスティアン・ゴットリーブ・シャイドラーのモーツァルトの主題による変奏曲
じつはこれもバロックリュートの教則本(現代の出版物)に載っていて、取り組んだことがある、シャイドラーは歳下のモーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」から主題を得ている。ペレスの見事な演奏で最後に持ってくるにふさわしい曲となっている、立派に弾くとこんなに良い曲か、と驚くしだい^^;いつの間にかギター曲にありそうな曲に思えてくるが、F.ソルの「魔笛」の主題による変奏曲の上をいく凄さを聴かせる。
最後の変奏で楽譜の①の部分は親指で開放弦を駈け上っていくが、②はどうすべきか;人差し指で駈け下りるものと考えている・・"親指の背"では困難?;
2016061216230881c_20160615112855c6f.jpg

デビュー盤といえば、かつてナイジェル・ノースが最初から完成度の高いアルバム(LP)を出して、その後期待どおり目覚ましい活躍をしているが、まさに子の世代といえるペレスの当盤にも同じ筋の良さを感じる、抜群のテクニックを持ちながら、あくまで音楽は落ち着いた佇まいに仕上げるのが素晴らしい、今後の活躍に大いに期待したい。

category: リュート作品

tb: 0   cm: 2

スペース・コロニー  

現在の国際宇宙ステーション(ISS)は資材は地球から打ち上げ、ユニットを継ぎ足し、増設していく方法で、地球を這うような軌道にあります、内部は無重力で長くは滞在できない、本当に初歩の段階ですね。micha
旧来から様々な構想が考案されている、大型宇宙ステーション、さらにはスペースコロニーなんてのは本当にできるのでしょうか、いろんな型がありますが、回転させて重力を作るというのは共通のようです。しかしこれほどの大構造物を回転させるのは強度的に非常に難しいらしいですが、それを解決したとして、
Internal_view_of_the_Stanford_torus.jpg
スタンフォード・トーラス型 wikipediaより
内部は広々とした空間に自然環境を再現したような図を見ますが、小天体や宇宙デブリが衝突して外壁に穴が空いたら、内部は一貫の終りです、危険物を確実に除去するシステムとか、防護シールドなんてものがあれば別ですが^^;内部の事故、ということもあります。隔壁でいくつかのブロックに分けたほうがいい、タイヤ型のユニットを居住区とか農園区とか、重ねて増設していくのが現実的かな;
重力を得るための回転ですが、よくSF映画にでてくる大型ステーションでは、クルマの車輪と軸のように回転部分と回転しない中心部に分けられていたりする、これも難しい技術に思います。すべて一体で回転させ、シャトル機のほうが同調回転しながらドッキングすればいい、そうしているSF映画もあったかな?
以上はまだSFに近い感じだが、まずは出来ることから、でしょうね。

NASAと契約した企業が開発した、BEAMモジュールは提灯のように膨らませて居住空間を作るというもの、なるほど、と目から鱗のアイデアです。
BEAM_module_expansion_series.jpg
wikipediaより
金属のモジュールより軽量で打ち上げコストも下がる、この方式で宇宙ホテルが計画されているそうですが、これをいくつもメリーゴーランドのようにワイヤーで繋げて回転させれば、重力も得られるかな^^
001_20160611215058ba0.jpg

category: 科学・自然・雑学

tb: 0   cm: 0

もう1つ、修理完了  

修理に出していた13コースluteが今日戻ってきました。6日に発送されて、10日に届くって結構早いですね、週明けくらいかと思っていたら・・荷をあけて、一部弦を取り替えたり、いろいろやっているうちに4、5時間経ってしまいます;
13c lute
ネックを手に持った瞬間、遊びがなく弦高の低さがわかります、適正なフレットを巻いて、振動不良のない弦を張ってようやくビリつかない弦高、というのがベストですねv先日の平山さんと同様に、モーリスさんも絶妙の調整をして下さいました。
弦は一度外して張り直すと振動がわるくなる場合があります、5~7コースがちょっとまずいかな、6コース低音にキルシュナーのガットを張ったら、極めて良好、

発送用のダンボール箱を注文したとき、それをまたダンボール梱包して来るので、2倍のダンボールが来ます^^これを活用して、内張りして補強したりしました、リュートケースを箱に収めると随分空間があきます、
梱包
そこもダンボールで三角柱を作ってあてがい、残った空間に緩衝材をはさみました。国によって違うかもしれませんが、スイス-日本はこれで十分みたい。

category: リュート

tb: 0   cm: 0

トレモロ  

同音を連打するトレモロって楽器によって得意、不得意がありますね、ヴァイオリンはお手のもの、マリンバ、ツィンバロンなどは一番の奏法でしょう、笛はダブルタンギングで出来ます、やり辛いのは鍵盤かな?ギターやリュートも奏法をマスターすれば得意なほうでしょう。
ギター曲でお馴染み、フランシスコ・タレガの「アルハンブラ宮殿の思い出」は昔からある奏法で、*p,a,m,i の順に指を使うのが一般的です。micha
アルハンブラ
*(p:親指、i:人差し指、m:中指、a:薬指)
ギタリストのアナ・ヴィドヴィッチはこのトレモロを p,i,m,i の指使いで弾いています、他にもいると思いますが、
a v
動画→Ana Vidovic: Recital and Interview
結果が良ければどちらの弾き方でもいいと思います。p,a,m,i が上手くいかない(音の粒が揃わず、a,m,iが塊になってしまい、音価も不均等で流れない)とき、大抵は指のストロークが大き過ぎて弦の捉えが不確実、また iを弾いた時点で aが弾く態勢になっていないと間が空く、そんなところかな?最小限の動きで指は弦に近いところにすぐ待機させるのが大事、ヴィドヴィッチは無駄のない動き、アルアイレでアポヤンド並の音を出しています。昔はアルアイレ=軽い音、と教えられましたが、実質アポヤンドに近いタッチをするべき、と早くから実践しているアマチュアもいました。

リュート曲ではこのようなトレモロはたぶん殆ど出てこないですが、ジョン・ダウランドのファンシーの一つに似たパターンがあります、トレモロというよりパッセージの一部でしょうが、これを決めて曲が終わります、
fancy.jpg
ここはギター記号で言う p,i,m,i でしょうね、これを p,i,p,i のフィゲタでやるのは余計難しいし、J.ダウランドも後期にはギターやバロックリュートと同様、親指外側の奏法に替えたと聞きましたので。
バロックリュート曲では?Dubutのシャコンヌにちょろんと、このパターンがありました、dubut chac
これも p,i,m,i がいいでしょう、「アルハンブラ」みたいに速い必要はないし。

category: 演奏について

tb: 0   cm: 2

次回:真田丸  

さすが三谷幸喜脚本、信繁が落書き事件で名探偵?ぶりを見せたり、沼田裁定で弁論をふるったり、頼りなさそうな秀次が鋭くその場を収めたり、キャラクターの意外な変容など、予測を許さない進行を楽しませてくれます。micha
sanadamaru.jpg
次回12日の放送は小田原攻め、名だたる武将の大軍勢に対し、高嶋さんの北条氏政の存在感が効いてきそう、予告映像には出なかったですが、秀吉の前に伊達政宗が白装束で登場します、演ずるのは長谷川朝晴さんだそうです。このシーンは渡辺謙さん主演の「独眼竜政宗」(1987年)が強く記憶に残ってますが、今回どんな演出か楽しみです。

渡辺大さんが政宗役で出てくれば、昔からの大河ファンは大喜びでしょうね^^そろそろ伊達政宗の新作もの、やってもいいんじゃないかと?

category: 映画・TV・DVD

tb: 0   cm: 0

科学者と音楽 ≪追記あり≫  

異星人の世界にも音楽はあるだろうか、あるとしたら、数学もあるかもしれない・・などと呑気に考えます^^きっと科学技術もあり、我々と同じく電波を使い、交信してくるかもしれない、SETI(地球外知的生命体探査)プロジェクトが対象とする知的生命はそこに絞られます。
少なくとも地球上で音楽を理解するのは人間だけ(神が与えた能力か)、自然科学ともいえる規則性があり、科学と音楽には共通の興味を引く要素があるかもしれない。
アルベルト・アインシュタインがヴァイオリンの名手だったことは有名ですね、6歳から始めたそうです。micha
アインシュタイン

ある科学番組など見ていると、楽器に親しむ科学者が結構います。
宇宙加速膨張でノーベル賞を受けた、ソール・パールムッター博士もヴァイオリン弾きですね、娘さんに教えているシーンがありました。
国立天文台の名誉教授、家正則さんはクラシックギターを弾いていました。どうも、天文とギターは相性がいいみたい?ほかにも結構います。
極めつけと思ったのが、HSTによる*ハッブル・ディープ・フィールドの撮影を提案した、宇宙望遠鏡科学研究所のヘンリー・ファーガソン博士、
H ファーガソン
弾いていたのが、ツィンバロンという、かなりマニアック?だけど面白そうな楽器、鮮やかな撥さばきで楽しそう、こっちが本業に見えます^^
たぶん科学者になる人達は何をやるにも半端じゃなく、のめり込むタイプなんでしょうね^^
追記1:ツィンバロンの参考動画→Csárdás Monti - Cimbalom
追記2:もう一人、重要な人を忘れていました;音楽家で、のちに天文学のプロにもなった、
ウィリアム・ハーシェルがいます。

*ハッブル・ディープ・フィールド:星空の真っ暗で何も見えない一角を長時間露光で撮影し、深宇宙の無数の銀河を初めて捉えた、提案したときは何も映らないかもしれない、というものだった。

category: 科学・自然・雑学

tb: 0   cm: 4

楽器の年齢  

うちで一番古い楽器が先日の11コースリュートで'80年代製作とは聞いていましたが、micha
11c lute
ロゼッタからちゃんとラベルが覗けるのに最近まで気づかずにいました^^;
ラベル
"London Jan 1982
Michael Cameron"

と書かれています、34歳の楽器だったんです。まだ若いかな、楽器の年齢というのは、作られた時点から、と思いますが、材料の木材が切り出されてから、何年ストックされていたかも関係してくるとすると、どう捉えるべきかわかりません・・?

Michael Cameron氏のHPを見つけましたが、
Michael Cameron Luthier
M.Cameron氏は元々、古い楽器の修復、修理が専門だと、竹内太郎さんにお聞きした記憶です。現在はギター修理の価格表のみ掲示されているようです。M.Cameron氏製作のリュートはほかではあまり耳にしません。このリュートのボウルのハカランダはまさにギター用にストックされていた材料かも。
ボウル
楽器の修理というのは、作る以上に難しい面もあるかと思います。楽器の素性を損わないように最小限の修理に留める場合が多いでしょうが、今回は平山さんに素性を活かしたまま、根本解決になる修理をしていただいて、本当に良かったです。

category: 楽器について

tb: 0   cm: 6

D.A.カーペンター:J.M.クラウス ヴィオラ協奏曲集(再聴)  

ある期間、聴かずに寝かせておいた曲をあらためて聴くととても良かったりしますが、過去に取り上げた音盤の再聴もしていきたいと思います。micha
そこで今日はヨーゼフ・マルテイン・クラウス(1756-1792)のヴィオラ協奏曲集です。これらはクラウスが活躍したスウェーデンのルンド大学図書館に保管されていた作曲者不明だった楽譜で近年日の目を見たもの、クラウスの作品とみてほぼ間違いないと判定されVB番号が付けられています、まあ聴けばクラウスの真作であろうことはすぐわかります。古典派作品でヴィオラの為の充実した協奏曲ってあまり聞かない?ので貴重な作品と言えるでしょう。
演奏はヴィオラ・ソロが1986年生、ニューヨーク出身のデイヴィッド・アーロン・カーペンター、彼は長身で、ヴィオラがヴァイオリンに見えてしまうそうで。テクニックは申し分なく堅実な演奏を聴かせる。バックはフィンランドのタピエラ・シンフォニエッタですっきり引き締まり、作品自体、演奏歴は少ないだろうが洗練された感覚。
micha 07c
1.ヴィオラ協奏曲変ホ長調 VB153c
2. ヴィオラ協奏曲ハ長調 VB153b
3. ヴィオラとチェロのための協奏曲ト長調 VB153a
デイヴィッド・アーロン・カーペンター(ヴィオラ)
リッタ・ペソラ(チェロ・・3.)
タピオラ・シンフォニエッタ
2011年11月7-9日 エスポー タピオラ・ホール


モーツァルトのvn協奏曲は主題の跳び抜けた特徴がまず耳を捕えるが、典型的な古典派コンチェルト様式だ、クラウスのこれらva協奏曲も様式的には同様だが、じっくり聴くべき立派な内容を持ち、飽きさせない。va奏者には大いに取り上げてほしい作品だ。

va協奏曲変ホ長調 VB153c
形式的には典型的な古典協奏曲、オケで始まる前奏から爽やさと活気で冴えている、カーペンターのvaはvnを聴くかのような艶やかな美音、重音奏法も含む結構テクニカルな要素を聴かせる、時折クラウスらしい旋律の特長が聴かれる、オケがぐっと入り込んで聴かせる部分も聴きどころ。
第二楽章、旋律美はもとよりヴィオラからこんな透き通った音が出るのかと少々驚く。
第三楽章、ロンド・モデラート、テンポはゆったりの楽章だが、ヴィオラの切れ味よいパッセージが楽しめる。ありふれたロンドじゃなく深い聴かせどころあり。
参考動画:VB153c

va協奏曲ハ長調 VB153b
爽快溌剌とした主題による前奏が魅力、vaソロはまさに一流のメロディー・メーカーらしく変幻自在に楽しませる、オケも心地よい力感でシンフォニックに支え展開部も引き込む。
第二楽章は起伏の深いソロ・パートが聴かせる。
終楽章、ロンド・アレグロ、これは軽快な楽章でちょっとモーツァルトにもありそうな雰囲気で楽しい、ヴィオラの重音奏法もそんなに聴いた憶えなく、ソロも存分に聴かせる。
PS
.カデンツァはベートーヴェンのvn協奏曲、第1楽章を引用か、
参考動画:VB153b

vaとvcのための協奏曲ト長調 VB153a
独創性もあり、この曲が一番の傑作かも・・これはヴィオラとチェロのダブルコンチェルトが聴けると期待したが、チェロは多くの部分でヴィオラの並行和声を弾くなど助奏的な扱いで対等の掛け合いはない、よって実質ヴィオラ協奏曲の要素が大きい、とは言え、第一楽章の前奏は聴き手を掴む雅やかな感覚と活気でソロの旋律も同様である、助奏とはいえvcの存在は味わい深いものにしている。
PS.カデンツァの主題は明らかにハイドン vc協奏曲No.1の主題を使っている。
第二楽章は意外にも短調で総奏でやや異様な始まりで引き付ける、長調に転じvaの旋律にvcが和声で寄り添い、一部掛け合いも聴かせる。クラウスならではと言える楽章だ。
第三楽章、ロンド・アレグロ・モデラート、軽快なロンド、この楽章で初めてvaとvcが対等に扱われる、短調の主題からvcが主導し、vaが伴奏にまわる、中間に緩抒部分を置いたり、急速な部分を置いたり複数の楽章が繋がったような変化をつける、ソロとオケ楽器の掛け合いもあったり、クラウスの独創性を感じる楽章である。
参考動画:VB153a

category: J.M.クラウス

tb: 0   cm: 0

宇宙は本当に加速膨張しているのか?  

今まで何度か話題にしてきた宇宙の加速膨張はサウル・パールムッター、ブライアン・シュミット、アダム・リース、三氏のチームが1998年に発表し、2011年のノーベル賞受賞となった。また同時に宇宙空間を広げる斥力としてダークエネルギーが提唱され、現在宇宙のエネルギーの3/4を占めることが導かれた。ダークエネルギーは真空のエネルギーとも呼ばれ、宇宙の始まり、インフレーション理論でも登場する。
遠方銀河
E.ハッブルの発見以来、遠くの銀河が遠ざかっているのは確かだろう、我々が中心ではなく、宇宙全域が同じように膨張しているので全ての銀河が互いに離れていき、遠い銀河ほど速く遠ざかる、やがて宇宙全体の物質の重力で膨張は減速、収縮に向かうと考えられていた。
パールムッター氏らも当初は膨張の度合は減速を示すものと予測していたが、Ia型超新星で遠方銀河の距離と赤方偏移の観測から、膨張は加速していたという結果に観測者らも驚いた。

しかしその後、先日も書いたとおり、Ia型超新星の明るさにはばらつきがあるのでは?という、標準光源としての信頼性が揺らぐ可能性もでてきた。

もう一つの判断材料として、重力レンズによって、宇宙の膨張の度合を測ろうという研究者もいる、この「アインシュタインの十字架」と名がついた画像、
アインシュタイン クロス
中央の楕円銀河が重力レンズとなっている
中心の銀河の周りに黄色く4つの光が見えるが、じつはさらに遠い銀河で起きた1つの超新星爆発が手前の銀河の重力レンズ効果によって、4つに見えている。超新星がこんな位置関係で見られる確率は1%と言われ、極めて貴重。この超新星の光は数年後に傍にあるもっと強い重力源のルートも通って、別の位置にもう一度観測されると予測されている、どれだけ遅れるかによって、その間の宇宙の膨張速度の推移が割り出せる(遅くなるほど、膨張のペースが上がっている)、というわけだが結果によっては加速膨張を裏付けることになるかも?

一方で、2008年の少し古い情報だが、スペインの研究グループにより、宇宙の時間が減速しているのではないか、という説も出ている、宇宙の初期に対し、現在までに時間の進み方が減速していると・・、遠くの銀河を観測すると、時間の経過が今より速かった過去を遡って見ているため、加速しているように見える、という逆説的な考えだ。しかし、この説を推し進めると、やがて時間は止まる(時間が無くなる)ということに・・?

どうやら空間も時間も絶対的なものでなく、ゴムみたいに伸び縮みするようだし、宇宙のどこにも絶対的なものさし基準点もない、全ては相対的・・ほんとにわからない^^;

category: 宇宙・天体

tb: 0   cm: 0

K.ヒュンテラー:C.P.E.バッハ fl協奏曲A-moll Wq.166 ≪追記あり≫  

今日も北西の風でカラっとした晴天、暑くもなく快適でした。micha
音楽を聴くにも気分よく、こんな日が続くとありがたいのですが・・^^
空の写真16時半
単なる空の写真、16:30頃

さて、またまたエマヌエル・バッハです、今日はコンラート・ヒュンテラーのflトラヴェルソ、トン・コープマン指揮アムステルダム・バロックOによるC.P.E.バッハ fl協奏曲全集(5曲)より、先日と同じくA-moll Wq.166を聴きます。
これは廃盤になってしまった後、オークションで手に入れましたが、ヒュンテラーのトラヴェルソの上手さ、コープマンらしい活き活きとして柔軟な感覚もあるバックがすばらしく、またナチュラルな好録音でなかなかの名盤です。
c p e bach wq166
コンラート・ヒュンテラー(flトラヴェルソ)
トン・コープマン(指揮) アムステルダム・バロックO
1986年録音 エラート


fl協奏曲A-moll Wq.166、
第一楽章、アレグロ・アッサイは疾走する多感様式、爽快さとぐっと迫る力感(強弱対比)も十分、flらしい、味わいのあるソロで始まるが、81小節から87小節まで、原曲の鍵盤そのままの長く息をつかせぬパッセージがでてくる、ブレスなしに突き進む、もちろん難しそうなのはここだけではない。細かく聴くと、T.コープマンの通奏低音(cembalo)もすばらしい、ソロ旋律に対する、ポリフォニックなリアライゼーションが巧みで多いに楽しみを増す。
第二楽章、アンダンテ、付点のリズミカルな感覚を置き、さらりと快調に進める、味わいのあるソロパートに弦の和声が爽快。ここでもコープマンのcembaloが華を添える。
終楽章、ソロとバックが掛け合いをする書かれ方、程良くリズムを刻み、柔軟な美しさも聴かせる。当全集の他の作品も聴き応え十分で、これは多感様式を極めたfl協奏曲傑作集のようなもの、無駄な作品は一つもない。

*flトラヴェルソは構造が単純だけに複雑なクロスフィンガリング(途中の穴を開けて、下の穴を押える)を多用して音を作る、例えばG♯とA♭は違う押さえをする場合もある;
運指
参考→flトラヴェルソ運指表(トヤマ楽器) 
もちろん吹き方でも大きく変化するが、非常に難しそうだ。無段階にポルタメント可能な作音楽器であり、その微妙な表現がモダンflとは大きく趣きを異にする。

追記:参考動画、モダン楽器による新時代感覚の演奏
a jack
フルート: 吉岡次郎、アンサンブルJACK
C.P.E.Bach / Flute Concerto in a minor Wq 166; H431

category: C.P.E.バッハ

tb: 0   cm: 0

エディントン限界  

micha
最初の画像はお馴染み、HSTによるりゅうこつ座のカリーナ星雲、HSTが捉えた絶景の代表ですが、一つの星雲の中に星の生れる場所と死を迎える場所が写り込んでいることでも有名。可視光の色彩で水素、酸素など様々な元素のガスが集まっているのがわかります。
カリーナ星雲 HST 02
HST拡大画像
次のESO南天望遠鏡(VLT)による画像は、赤外線で捉えたもの、ガス雲がある程度透かされ、隠れていた星団が見えてくる、ガスが圧縮されて星が生まれる現場のミスティックマウンテンは淡く、間もなく死を迎える超巨星のイータカリーナ星は強烈な明るさで映っている。(*画面の傾きは異なる)
Carina_Nebula03.jpg
VLT拡大画像 補償光学技術を使った解像度もすばらしい
恒星が太陽の150倍ほどの質量になると、極めて強い内部からの光の放射圧が重力を超え、星の外層部を吹き飛ばしてしまう、理論上、恒星がこれ以上重く、明るくなれない質量をエディントン限界という。カリーナ星雲にあるイータカリーナ星がまさにこの限界ぎりぎりの星だとされてきた、
イータカリーナ星
イータカリーナ星 HST
超新星爆発も間近と考えられ、その前兆爆発で放った双極型のガス雲が見られる。

しかしその後、大マゼラン雲のタランチュラ星雲内の星団R136に質量が太陽の265倍という、エディントン限界を越える青色超巨星R136a1が見つかった、誕生時には太陽の320倍ほど質量があり、徐々に質量を失っていると見られている。
r136a1c2.jpg
R136a1 比較図
大小マゼラン雲は星の材料が豊富で、R136a1は濃厚なタランチュラ星雲内の星団R136で、最も大きな恒星である。広い範囲をみるとこの星団の恒星風や光圧で星雲が吹き掃われた空洞域がわかる。
R136.jpg
星団R136 HST拡大画像
R136は球状星団として残るだろうとも言われるが?、今、目立って明るく輝いている星は大質量星で寿命は短いだろう、残る太陽質量以下の星がどれくらい密集しているかによるが、先日取り上げた「爆竹分子雲」には及ばないかもしれない。

category: 宇宙・天体

tb: 0   cm: 0

プロフィール

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

FC2カウンター

ブロとも一覧