Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

R.ノリントン:モーツァルト レクイエム(ドルース版)  

モーツァルトのレクイエム、4枚目はロジャー・ノリントン指揮、ロンドン・クラシカル・プレイヤーズで、世にも珍しい「ドルース版」の演奏。ちょっとこわい物見たさっていうか^^;
他にはない録音です。
イギリスの音楽学者、ダンカン・ドルースが「モーツァルトの技法に精通した18世紀の有能な作曲家になったつもりで」絶筆部分を補作した、とのこと、参考→Wikipedia
ドルースはロンドン・クラシカル・プレイヤーズの一員として当録音でもvnを弾いている、ドルース版レクイエムの出版に伴った録音のようだ。とにかく誰かが演奏しないことには評価しようがない。指揮のノリントンがどう思っているかはライナーノーツに記されていない。
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モーツァルトによって書きあがった部分はもちろんそのまま、ノリントン指揮の演奏は快活なテンポをとり、合唱とオケが緻密に組み合った構築感が良い、独唱陣も質の揃った歌唱で、特にN.アージェンタの重くないソプラノの清涼さも作品に相応しい。
さて問題の補作部分だが・・
ラクリモサに続けられるアーメン・フーガはモーツァルトの別稿が元になっているが、モーンダー版でも加えられていた、モーンダー版は自然な美しいものであったが、ドルースは持ち前のフーガ手腕を投入したかったのか、テーマの扱いを変え、拡張され、20世紀人の趣味願望が潜入しているようだ。2度登場するホザンナのフーガも同様だ。
そしてベネディクトゥス、開始のテーマは同じだが、あとはまったく別物、モーツァルトの曲のあれこれから引用してきたような要素が追加される、ソロ歌手にクラリネット等が助奏するのが特徴だが、全般に盛り込み過ぎで違和感がある。仮に技法が未熟だとしてもジュスマイアのほうが断然美しい、Boy sopが唄うならジュスマイア版だろう。最後のコンムニオにも導入部に妙な手が加えられている、あとは普通に行く。
ドルースのここまで凝った補作ができる技量は評価されるだろうが、モーツァルトの傍らで同じ空気を吸っていた当時の弟子達には遠く及ばない門外漢だろう。

category: モーツァルト

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ガーディナー:モーツァルト レクイエム(ジュスマイア版)  

モーツァルトのレクイエム、3枚目はJ.E.ガーディナー盤です。先日のホグウッド盤より後の録音ですが、使用楽譜はジュスマイア版を採用しています。モーツァルトのレクイエムは合唱を主体として書かれた作品なので、ガーディナーは1964年に設立したモンテヴェルディ合唱団の力量を存分に活かし、1曲目から強弱を細やかに設定した深い表現に浸らせる。
録音は潤った響きの中に各楽器も明瞭に聴かせる、PHILIPSらしい良さがある。
gar moz req
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独唱陣のソプラノを唄うバーバラ・ボニーは先日のE.カークビーとは歌唱タイプが異なるが、重くないリリックなソプラノはこのレクイエムに相応しく思う。2曲目キリエのフーガも角張らせることなく、引き締める。次のディエス・イレは端正さを崩さず、凄味と切れ味を聴かせる。まず合唱が素晴らしく、古楽演奏の中では最も芳醇な演奏ではないだろうか。

なお、モーツァルトの自筆譜が公開されていて、
自筆譜(IMSLP)
始めのほうは全パート書かれているが、オケ・パートに徐々に空白ができ、後回し状態になり、声楽パートと通奏低音が書かれるのみとなっていく、これでも曲の骨子は示せるので、オケ・パートは優秀な弟子なら何とか補えるかも・・しかし10曲目、Hostiasを最後に完全に筆が途切れる。

モーンダー版でカットされている12曲目、ベネディクトゥスだが、100%ジュスマイア作ではなく、別の使えそうな断片譜を受け取っていたかもしれない。じつはモーツァルトが他の弟子のレッスンで主旋律を書いた譜を渡し、これにバス旋律を付ける宿題を出したそうだが、
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モーツァルトの模範解答が下のEx.2だそうだ、上のEx.1はジュスマイアのベネディクトゥスの開始、音価の取り方は違うがほぼ同じ旋律だ。通奏低音としては主旋律とは違う形に動くのが望ましく、当然Ex.2が良い。ジュスマイアのこうした不出来?なところがいろいろ指摘され、別版が出てくるわけだが、どれを使うか、認めるかは演奏者や聴き手しだいとなる。

category: モーツァルト

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Boys air choir:アレグリ「ミゼレーレ」ほか  

"ボーイズ・エアー・クワイアはセント・ポール大聖堂聖歌隊をはじめとする、世界で最も高い評価を受けている英国聖歌隊のトップ・ソリストを集め、1996年10月にロンドンで結成されたグループ"とのことです。特別上手い子だけのプロ化したようなユニット?も少しはあってよいが、個人的にはヨーロッパ各地の教会などに所属するローカルな聖歌隊で、昔ながらの子供達らしい合唱が良いです。micha
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1曲目はアルバムのタイトルになっている、「ブルーバード」は19~20世紀の作曲家C.V.スタンフォード(1852-1924)の曲で、合唱曲を多く書いている人、清々しい良い曲だが、お目当ては7曲目、グレゴリオ・アレグリ(1582-1652)の「ミゼレーレ」、作曲されたのはバロック期に入った頃だが、ルネサンス期のポリフォニー様式の典型で9つの声部で書かれている。ローマ教皇庁は門外不出の秘曲として、楽譜の複写を禁じていた。システィーナ礼拝堂を訪れた14才のモーツァルトがこれを2度聴いて記憶し、五線紙に全パート書きおろした、という話は有名、この聴き書き譜をもとに1771年、英国で出版されたという。たしかに神秘性を帯びた普遍的な名曲だが、これをBoys air choirが唄ったらどう聴けるかが興味の対象だった、さすがトップ集団、非の打ち所なく、ソプラノ・ソロの天に届くような跳躍も見事に決まる。
曲目参考→Gregorio Allegri, Miserere
PS.しかし、普通の聖歌隊の子が唄った録音も聴いたことがあり、こんなに完璧じゃないけど、いいんです^^

ところで今の日本には一般の子供達が日常的に真っ当な音楽に親しみ、憧れをもつような環境はない、一部の教育を受けた子は別として。
世の中"スポ少"は盛んだけど、児童の文化系の活動はあまり耳にしない、常設の少年合唱団というのは今、国内に9団体しかないそうだ。
TVでは大勢揃ってユニゾンで小喧しく唄うだけのアイドル系ユニット(後に議員になったり)が後を絶たず、ウンザリする。
昭和の頃は受信料ありのTV局が児童合唱団の出演する子供向け音楽番組もやっていたし、流行歌の世界にも良いハーモニーの歌手グループがいっぱいいた。

category: ルネサンス・バロック

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今日のLP盤探し  

名古屋の百貨店の特設会場で夏の好例、中古盤セールにちらっと行ってきました。いくつかのショップの合同セールなので、とにかく数は多い、平日なのに結構賑わっていました。やはり定年後とおぼしきおっさん達が目立つ^^; micha
例によってバカ高い輸入盤とか見たこともないレーベルはパス、手堅いところだけ数枚見つけたら、物色をやめ、レジへ・・

2016 7 lp

ホグウッドのモーツァルト交響曲No.25,29がジャケットが新しい状態で目に着いた、もう1枚コレギウム・アウレウムの「プラハ」と「39番」、いずれも聴いたことがなかったので興味が湧いた。あとはフルトヴェングラーのワーグナー「ワルキューレ」ほか、カラヤン&BPOの'71年録音というシューマン交響曲No.1&4、これも聴いたことがない。もひとつオマケ、これは3枚買うと880円というコーナーだったので、3枚目は、懐かしいK.リルテンパルト指揮のアルビノーニの曲集にした、例の「アルビノーニのアダージョ」とやらはほとんど20世紀のR.ジャゾットが作ったムード音楽だが^^;真作のob協奏曲は良い。
いずれもほとんど再生痕のない状態だった。

category: オーディオ

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ブラックホール・シャドウ  

ブラックホール(BH)の存在はまず理論上予測され、次にX線観測などで間接的に存在が確認された。また天の川銀河中心にある、巨大BH:いて座Aスターを周回する恒星の動きを10年かけて観測、何も見えない箇所を中心に巨星が急転回して廻っているのを確認した、BHの存在は動かしがたい事実となっている。次の目標はBHの姿を直接見ることになってきた。micha
BHの想像図としてよく見かけるのがこれ、
BH 01
NASA資料
周囲の降着円盤が描かれているが、中心部の本体の姿は?
BH本体の表面は事象の地平線で、完璧に真っ黒な球体だろう、そこに星間物質が引き寄せられ、降着円盤を持っていたとすると、その光が真っ黒な影、ブラックホール・シャドウを浮び上がらせるはず、
この画像は高速自転するBHと降着円盤の様子を理論的に描き出したもの、
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自転によるドップラー効果で明るい側と暗い側ができる、また右の画像はほぼ側面から見ているが、空間が曲げられ、後方にあるはずの降着円盤が浮き上がって見える
降着円盤の回転によるドップラー効果、光の軌道の湾曲の効果、重力赤方偏移、BHの自転による時空の引きずりの効果など様々な要因で、その姿は湾曲して見えると予測される。
もし超高解像度でどこかのBHを見たら、本当にこんな姿なのか、それを世界中の観測機関が捉えようとしている。恒星サイズのBHでは小さ過ぎて無理だが、銀河中心にある超巨大BHなら観測可能とされる。それでも解像度としては、東京の位置から、富士山にあるCDのライナーノーツの小さな字が読めるくらいのレベルが必要らしい;;
国立天文台では離れた場所のサブミリ波望遠鏡のネットワークで直径が日本列島サイズの望遠鏡に相当する解像度を実現し、M104銀河の中心BH周辺の様子を捉えるのに成功している、
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国立天文台
同じ方法で地球サイズに近いネットワークで観測が成されようとしている。観測対象で有力なのはまず天の川銀河中心の、いて座Aスター、次が近傍の銀河で超巨大BHを持つM87(距離6000万光年)だそうだ。これらが直接画像を見られるまであと少し?のように報じられている。
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M87( HST)

そういえば、アルマ望遠鏡が初めて捉えた系外の惑星系円盤の画像は、それ以前に理論で描かれた想像図とぴったり同じに見えた。こうした理論予測と現実との照合が今後も行われると思うが、大変興味深い。

category: 宇宙・天体

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B.ヴァイル:ハイドン ミサ曲第10番変ロ長調≪Heiligmesse≫  

ブルーノ・ヴァイルはハイドンの「天地創造」ほか、ミサ曲、モテットなど宗教作品もシリーズで録音していて、一部を持っていましたが、残りを買うよりBOXセットのほうがお値打ちで手っ取り早い、結局こうなります^^;micha
オケはターフェルムジーク・バロックO、合唱団はこのシリーズでもテルツ少年cohrが起用されていて、昨日までのDHM:モーツァルト盤の録音で活躍した後輩達ですね、今日はCD3に入ったミサ曲第10番「オフィダの聖ベルナルドの讃美のミサ」"Heiligmesse"を聴きます。
hay missa weill
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録音:1994年
当時のオーストリア皇帝ヨーゼフⅡ世の政策で1782年頃に多数の修道院が解散し、皇帝が亡くなる1790年までは教会音楽も作られる機会がなかった。その制約が無くなった頃、ハイドンはザロモンの演奏会でロンドンに渡り1795年まで多忙であったが、エステルハージ家のニコラウスⅡ世から宮廷楽長に戻ってほしいと要請があり、復帰することとなった。毎年1曲ずつ、伯爵夫人の命名日祝祭のためにミサ曲を書くこととなった、初年に演奏されたのが1796年に書いた「パウケン・ミサ」Hob.XXII:9だった。「聖ベルナルドの讃美のミサ」も同年にすでに書かれていたそうだが、これは翌年に演奏された。何と言ってもロンドン・セットを書き終えた後の作品、素晴らしいのは当然といえる。ハイドンの技は優秀な若手に引き継がれるが、ベートーヴェンにしても始めは若いゆえの青臭さ、荒さは出てしまう、ハイドンは一人の大成円熟した人間がはじめて書ける作品になっていて、揺るぎない安定感。

ミサ曲第10番変ロ長調Hob.XXII-10"Heiligmesse"
「オフィダの聖ベルナルドの讃美のミサ」

1.キリエは荘重な序奏を持つ形で開始、やがて活気に満ちた主部?に入る、合唱によるフーガはお手の物、オーケストレーションの充実も勿論のこと、ロンドン・セットの交響曲では控え目な用い方だったクラリネットが魅力的に花開く、交響曲の第一楽章のような一曲目。
2.グロリア、timpの打音を効かせ快活に始まる、中間部でソロ陣の重唱がある、ソプラノとアルトのソロもテルツ少年cohrの団員、マティアスとシモンは声質が揃っていて透明なハーモニー、先輩らの録音と一味違うがこれも魅力。3部構成のようで、最後にはヘンデルを彷彿させるフーガの合唱が続く。
3.クレド、穏やかな合唱のあと、ソプラノとアルトの二重唱にクラリネットが助奏し、これも聴きどころ、テノールとバスの二重唱が続く、中間部は劇的な合唱となり、最後はフーガのアーメンコーラス。
4.サンクトゥス、短いが2部あり、後半はフーガ。
5.ベネディクトゥス、クラリネットの入る前奏の主題を聴くと、何となくモーツァルト風のテイストも感じる、しめくくりはハイドン風に決めるようで、これは良い^^滋味に富んだ旋律を味わう章だ。
6.アニュス・ディ、合唱により悲しげな前半、休符を置いて後半は明るく快活、ここは合唱も良いがオケ・パートが魅力だ、ヴァイルが交響曲で聴かせた切れ味で、まさしく終楽章らしく閉じる。

category: F.J.ハイドン

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コレギウム・アウレウム:モーツァルト「戴冠ミサ」ほか  

モーツァルトのレクイエム、しつこく続きを書く予定ですが、今日は一休み、「戴冠ミサ」K.317とヴェスペレ「証聖者の盛儀晩課」K.339を聴きます。じつはこのDHM盤も先日のレクイエムと同じ、テルツ少年cohrの団員がソロを唄っています。コレギウム・アウレウム合奏団は元々録音のために結成された古楽器オケで、バロック~19世紀作品まで続々と録音していましたが、テルツ少年cohrはパートナーのように合唱付きの作品で活躍していました、短い期間に多数の録音をこなしている。micha
moz messe
Hans Buchhierl,Sop
Andreas Stein,Alt
Theo Altmeyer,tenor
Michael Schopper,Bass
Tolzer Knabenchor,Leitung:Gerhard Schmidt-Gaden
Collegium Aureum
1974年録音DHM

今回アルトはアンドレアス君に替ったが彼も、女声アルトでもない、カウンターテナーでもない、細くクッキリとしたアルトでパートが浮き立つ、ソプラノはハスキーな美声のハンス君を起用、テナーとバス唱者は替っている。

「戴冠ミサ」ハ長調 K317(1779年作曲)
1779年4月4日から5日にかけての復活祭の式典でザルツブルク大聖堂で演奏されたらしい。キリエ、グロリア、クレド、サンクトゥス、ベネディクトゥス、アニュス デイの6曲からなる。オケはヴィオラ・パートを欠くがほぼフル編成で堂々たる響き、今回はホールトーンをよく捉えた録音だ。ソプラノ・ソロが主導する場面が多く、キリエからハンス君が活躍、作品の顔ともいえる声となるが、終曲のアニュス デイは弱音でしみじみとはじまり、前半、ソプラノ・ソロが続き、じっくりと聴かせる。

ヴェスペレ ハ長調 K.339(1780年作曲)
ザルツブルクで作曲されたモーツァルトの最後の教会作品で、ディクシト、コンフィテボル、ベアートゥス、ラウダーテ・プエリ、ラウダーテ・ドミヌム、マニフィカトの6曲。ウィーンに移り、スヴィーテン男爵に聴かせるため、父に楽譜を送るよう頼んだという。声楽、オーケストレーションとも充実。2曲目のコンフィテボルのテーマはハイドンの交響曲No.22「哲学者」の第一楽章を思わせる。
またこの作品はいっぱしのソプラノ歌手が唄うレベルに思える、5曲目のラウダーテ・ドミヌムなど、ゆるやかな弱奏でしみじみ始まり、
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(ラウダーテ・ドミヌム:11小節から、sopソロと通奏低音のみ表示)
モーツァルトならではの美しさだが、ヘンデルで言えば「オンブラ・マイフ」に相当しそうな名曲だ、弱音で唄いながら跳躍の動きや、装飾、トリルなどの技術もある、それをハンス君は上手いのだが、あくまでボーイソプラノらしい自然さで包み込んでくるようで素晴らしい。

ところで、4曲目にあるラウダーテ・プエリはニ短調のフーガで書かれているが、このテーマが、どこかで聴いた記憶があり、思いだしたのが、ミヒャエル・ハイドンのレクイエム(1771年作)の18曲目で同じくフーガで書かれた、クム・サンクティス・トゥイスのテーマだ。明らかに似ている、うまい具合に両曲とも同じ演奏者で動画に挙がっているので聴き比べ易い、なお、ハ短調とニ短調なので1音の違いはある。

動画→M.Haydn Requiem
Cum sanctis tuis 30:10から

動画→Mozaet Vesperae K.339
Laudate pueri 14:26から

どうだろうか、モーツァルト父子はザルツブルクの仕事仲間だったM.ハイドンのレクイエム演奏に3回も出席しているので、モーツァルトが記憶していて当然と思う、あるいはズバリ楽譜持っていたかも?

category: モーツァルト

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C.ホグウッド:モーツァルト レクイエム(モーンダー版)  

先日のコレギウム・アウレウム盤、レクイエムでちらっと書いた、ホグウッド盤が気になり、聴き直してみることにしました。micha
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エマ・カークビー:ソプラノ、キャロライン・ワトキンソン:アルト、
アンソニー・ロルフ=ジョンソン:テノール、デイヴィッド:トーマス:バス
ウェストミンスター・カテドラル少年聖歌隊
クリストファー・ホグウッド指揮:エンシェント室内O


モーツァルトが未完のまま亡くなったレクイエムは様々な補作版がある中、ホグウッドが何故、モーンダー版を選んだのか、ホグウッド自身のコメントはライナーノーツにないので正確なところわからない、ただ録音には他では聴けない内容を盛り込むことが多いので、そこはホグウッドらしいかも。
モーンダー版については→Wikipediaにも概略が載っているが、イギリスの音楽学者リチャード・モーンダーは筆まめだったモーツァルトの多数の手紙の日付と内容を調べ、数々伝わる話があり得る事か否かを絞り込み、憶測を排除、探偵みたいな仕事もしているし、音楽学者らしい、作品そのものの分析もしたり、2年半かけた結果として、できた楽譜は論文の添付資料ではなく、実用譜としてだされたらしい。サンクトゥス、オサンナ、ベネディクトゥスを削除した、未完状態で聴かせるという結果だが、ベネディクトゥスは大きな穴を埋めている曲だけに、欠如感は大きい;削除した理由の一例として、ベネディクトゥスの始まり、
↓バセットホルンは移調楽器のため、ヘ長調で記されているが、実際の音は4度高い変ロ長調になる
sc moz be
①ではバセットホルンとヴィオラが平行8度、②ではヴィオラとバスが平行5度になっちゃってる、③ではバスが同じ終止形を2度繰り返す芸の無さ、等々、モーツァルトにはあり得ない非常に未熟な箇所を指摘して、削除に至ったそうだ。
病床にあったモーツァルトが捕作を依頼したかったのは最も優れた弟子、ヨハン・アイブラーだった、彼は一旦引き受けたものの、一部補作しただけで、完成出来ないと未亡人コンスタンツェに返した、たぶん有望な人ほど、下手に仕事をすると経歴に傷が付くのを恐れるのでは、という気がする?最後に廻ってきたのがジュスマイアーで、モーンダーによれば、モーツァルトからほんの1、2回しかレッスンを受ける機会がなかったはずの駈けだしもいいところだった人らしい(彼はのちにA.サリエリに師事する)。しかしほころびが多いにせよ、ベネディクトゥスを彼が自力で書いたとすれば、とても健闘していると個人的には思う。最後のコンムニオには始まりのRequiem&Kyrieが転用され、上手く完結する。因みにミヒャエル・ハイドンのレクイエム(完成作)でも始めのRequiemを最後にも演奏するので、モーツァルトもこれに習って指示を残したかもしれない。
なお、モーンダー版では、ジュスマイアーがラクリモサの最後をアーメンの一言で終止しているのに対し、1961年に発見されたモーツァルト真作のアーメン・フーガを繋げている、これが他にはない聴きどころになっている。

ホグウッドの当演奏は意外にエネルギッシュで引き付ける、ここでも少年コーラス、ウェストミンスター・カテドラル少年聖歌隊が起用される、独唱陣の4人はアルト~バスの3人に対し、エマ・カークビーのボーイ・ソプラノに近い声質と歌唱法が異なって聴こえるが、それが逆に効果的と思える。

category: モーツァルト

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「孫衛星」は存在しない?  

宇宙の天体は大規模にも小規模にも同じような構造を作る傾向が見られるが、太陽系全体を見渡すと、外縁にはカイパーベルトの回転円盤があり、さらにオールトの雲という小天体が球状に取り囲む領域があり、半径1.58光年とも言われる、micha
Kuiper_belt_-_Oort_cloud-en_svg.jpg
これは銀河円盤とハローに似て見えるが、天体力学的に同じ構造と言えるだろうか・・?

系外惑星には木星を超えるような大型惑星が見つかっているが、ここに地球サイズくらいの衛星が廻っている可能性もあるだろう、ひょっとするとさらにその衛星をまわる孫衛星ってないのだろうかと思ったが、この規模になるとほとんどあり得ないらしい、月周回衛星「かぐや」などは人工物だが、孫衛星と言える、
kaguya.jpg
JAXA
しかし人間が巧妙な計算をして(一時的な)安定軌道に投入したのであり、偶然に小天体が同じように廻る可能性は極めて低く、安定しない。
孫衛星
孫衛星? 
その惑星のもう一つの衛星として廻ったほうが重力の関係もはるかに安定するようだ。
2衛星

ケプラー宇宙望遠鏡が発見した系外惑星のうちで、kepler16Aと16Bの2つの恒星からなる連星系に、土星サイズの系外惑星kepler16bが発見されているが、この惑星は連星の重心を中心に廻っている、
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NASA想像図、一番手前の暗いのがkepler16b
さらにこのkepler16bを廻る地球サイズの衛星が存在する可能性があるらしい。
仮にあるとして、この衛星の空にはまず中心の巨大惑星kepler16bと、2つの太陽が見えることになる、ただ「スターウォーズのタトゥイーン」 から見る光景とはかけ離れるらしい、この大きな衛星でも、孫衛星はないだろう;

category: 宇宙・天体

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昨日の名古屋場所  

昨日の13日目、まっすぐ行って、まっすぐ帰ってきました^^micha
愛知県体育館、入って土俵上を見るなり印象深かったのが、照明が良い。いわゆる電球色系で十分明るく、近頃鮮やかになった力士のまわしや行司の装束、軍配の房の色彩が温度感があって美しい、土俵の土の色でさえ味わいがあります。TVの画像で見る色合いは青っぽく冷めています(ブラウン管時代よりはずっと良くなったけど)。体育館の中にだけ別の世界が広がっているようです。
相撲は遠藤が星が伸びなくてもご当地力士のせいか声援が大きく、手こずりながらも勝ったので、湧きました。今場所頭角をあらわしてきた正代も照ノ富士をやぶり、盛り上がりました。
正代
照ノ富士に勝った正代
やはり、音楽や演劇とも通じる、一人で観るのとは違う醍醐味があります。また来年も行けたら、行きたいなと・・^^

category: 時事・雑記

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G.シュミット-ガーデン:モーツァルト レクイエム(バイアー版)  

モーツァルトのフーガで思いだしたのが、見事なフーガのキリエがあるレクイエムを一度も取り上げていませんでした^^;いくつかある中で、あえて聴いてみたいのがコレギウム・アウレウム合奏団とテルツ少年合唱団が組んだDHMの録音です。micha

moz req
ゲルハルト・シュミット-ガーデン:指揮
ハンス・ブッフヒール:soprano
マリオ・クレーマー:alt
ヴェルナー・クレン:tenor
バリー・マクダニエル:bariton
テルツ少年合唱団、コレギウム・アウレウム合奏団
1974年録音 DHM


レクイエム ニ短調 K.626
ここでは合唱団指揮者でもあるゲルハルト・シュミット-ガーデンが全体指揮をしている。
完成度の高い演奏ではないかもしれないが、モーツァルト時代の響きに最も近いと思われる。聴きどころはソプラノ、アルトの独唱をテルツ少年合唱団員の二人が唱っているところ、こういう録音は希少だ。アルトのマリオはメゾソプラノともいえるくっきり明瞭な声質でスーっとクールにパートが聴こえる、一方ソプラノのハンスはハスキーで少しヴィヴラートが入り、耳に柔らかい、この声質の違いが良い取り合わせになっている。ハンスはバッハのクリスマス・オラトリオでも唱っていて貴重な録音だった。テノールのクレン、バリトンのマクダニエルともに少年達とバランスを合わせた歌唱をしている。録音は会場の響きよりも各パートをくっきり拾ったマルチタイプで、フーガなど多声が重なるところが分離よく、録音音楽ならではの聴かせ方だ、trp、trumbがブリリアントに響き、古楽器timpが鋭く打ち出すのが効いていて、重厚ではないがパワフルな感覚、少年合唱団の声質と古楽器オケの溶け合いも良い。
なお当演奏で用いられている楽譜はフランツ・バイアー版で、弟子ジュスマイアーの仕事を認める方向だ。他にもいくつかの版があるが(参照→Wikipedia)、C.ホグウッドの例ではモーンダー版を採用している、これはモーツァルトが関与せず、弟子の完全捕作による部分を削除する方針で、ベネディクトゥスがカットされているのが物足りない、誰の作曲であれ、せっかくの良い曲をカットする手はないし、弟子が捕作して完成したのも"演奏史"なのだから、それを重んじるべきではないだろうか、後世の人間がいじるべきではない、ちなみにR.ランドンもジュスマイアーなど当時の仕事を評価した版をまとめている。
当盤のベネディクトゥスが動画サイトに挙がっていた。
動画→Benedictus with closing Osanna

代表的な名演、K.ベームの重厚で鉄壁な演奏も良いけれど、こういう若干未熟さもある魅力というのもわるくないのでは。

category: モーツァルト

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大相撲名古屋場所(明日)13日目  

じつは明日の名古屋場所13日目のチケットが買ってあります、相撲を直接観るなんてもう何十年ぶりだか^^;micha
今日の結果で優勝争いは混戦もよう、面白くなってきた・・と言いたいところだが、どうも今場所は盛り上がりに欠ける?鶴竜と琴奨菊は休場だし、白鵬も怪我のせいか精彩がない、こんな状況下で稀勢の里が綱取りをするには破竹の勢いで優勝しないと、文句なしとは言い難い。その稀勢の里、どうにか優勝争いのトップにはいるが、平幕に2つ取りこぼしているし、相撲もなんだか危なっかしい、横綱戦含めてあと3番勝つのは至難の技に思える。明日はスパッと吹っきれた取りっぷりを見せてほしいところ;

ところで今日の結びの一番、白鵬vs照ノ富士は立会い不成立という場面があった、行司:伊之助が「まだまだ、」と随分長く声をかけたが、両者気づかず、ようやく取り直し、そこで白鵬はスタミナがきれたみたいにあっさり負けてしまった;伊之助はさすが立行司らしい裁きだったが、そろそろ庄之助に上ってもらわないと、次が詰まっちゃってる^^;
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↑取り直し前 →参考動画
せめて明日は見ごたえのある中入り後にしてほしい;

category: 時事・雑記

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2つのフーガ、W.A.モーツァルト&J.M.クラウス  

古典派になってもロマン派になっても、フーガという書法は古い?とされながらも、引き継がれ、聴衆向けというより、作曲家が自分のために書いたかのような凝った作品があります。

まず、W.A.モーツァルト(1756-1791)のピアノ作品で4手のためのフーガ ハ短調K.426、これがすばらしい、モーツァルトはスヴィーテン男爵から提供された、バッハやヘンデルの楽譜に感銘を受け、その後の作品にバロックの書法が反映していく。ミサ曲 ハ短調 K.427など、バッハとヘンデルが交替で出てくるようだ。micha
今回聴いたのは1983年録音のマルコム・ビルソン&ロバート・レヴィンという、フォルテピアノの黄金コンビによるアルバム、
moz k426
1曲目には4手のためソナタ ニ長調 K.448が入っていて、これを聴くとTVドラマ「のだめカンタービレ」で、めぐみと千秋が弾くシーンがあり、どうしてもそれが浮かんでしまう^^;
2曲目がフーガ ハ短調 K.426(1783年)、各声部が明確になる当演奏のフォルテピアノがモダン・ピアノより表現上有利に聴こえる。フーガのテーマは練られていて、次の声部が始まると、一瞬、短二度(九度)がぶつかる、
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これが斬新で効果的、後半に行くほど複雑化し、ストレッタで次々重ね込んでくる、曲の大胆さはいつの間にかバロックでも古典派でもない異世界に迷い込むようだ。
参考動画→Fugue for Two Pianos in C Minor, K. 426
なお、これにバロック風の前奏、アダージョをつけた弦楽版K.546もある、
参考動画→Adagio & Fugue in C Minor K.546

一方、音楽一家に生まれたモーツァルトとは違い、ヨーゼフ・マルティン・クラウス(1756-1792)の両親は彼に法学の道に進んで欲しかったらしいが、本人は芸術家の道を諦められず、エルフルト大学でヨハン・クリスティアン・キッテル(1732-1809年、奇しくもハイドンと生没年が同じ)に作曲を学んだ、キッテルは大バッハの弟子だったので、クラウスは孫弟子ということになる、クラウスが巧みなフーガの技法をこのとき伝授されたのであれば、まさに直系の技。フーガ作品をいくつも書いているが、好例は過去にも書いた、序曲 ニ短調 VB.147 (1790年頃)、これはオーケストラ作品だが、3部構成の最後のフーガが絶品、クラウスはあくまでバロック風でバッハの系譜らしさが魅力、低音パートの動きはオルガンの足鍵盤だ、この曲も進むにつれて複雑な折り重ねに発展する見事さはモーツァルトとしのぎを削る。
録音は現在唯一、P.スンドクヴィスト指揮、スウェーデンCO(NAXOS)のみ、
kraus sym
参考動画→J.M.Kraus VB 147 Sinfonia da chiesa in D minor
(*当フーガは3部構成の最後で、5:50から)

なお、クラウスは音楽修行の旅でハイドンを尋ねて高い評価を受け、ウィーンで芸術結社フリーメイソンに入会した、ここで同輩のモーツァルトとも面識を得たらしい。

category: 古典派

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U.ヘルシャー:L.シュポア ヴァイオリン協奏曲第1番  

モーツァルトのvn協奏曲を聴いたあと、メンデルスゾーンのvn協奏曲を聴いても、はっきり様式と時代の違いがあり、接点らしい共通項は見つかりません。しかし、L.シュポアの初期作品から順に聴いていくと、この間が繋がって興味深いです。
まずはシュポアのvn協奏曲第1番イ長調 Op.1から、これは1802年、シュポア18歳のときに書いた作品で、いかにもモーツァルトを手本としたような曲ですが、良く出来ていて、武骨なところは欠片もないです。micha

シュポア vn con
ウルフ・ヘルシャー:ヴァイオリン
クリスティアン・フレーリヒ:指揮
ベルリン放送交響楽団


vn協奏曲No.1イ長調 op.1
第一楽章、アレグロ ヴィヴァーチェ、総奏による印象的な動機で始まり、優美な主題の前奏が続く、センスの良い古典派に19世紀的な趣味が幾分加わった感覚、vnソロはヴィルトーゾらしい技を聴かせる、主題旋律に装飾パターンが加わっていくが、短い音価に目一杯詰め込んだ細かい装飾はバロック期のG.タルティーニなどを想わせる、重音奏法が長く続くところも聴きどころ。カデンツァを置かないが、きっちりとまとめ、若き有望な作曲家を印象づける。
第二楽章、シチリアーノで変奏形式のようだ、このテーマもシュポアのエレガントな作風を印象づける、変奏を聴くとシュポアの旋律の飾り方にさらに馴染んでくる。
終楽章はポロネーズと題されていて、この舞曲を用いると19世紀らしい雰囲気、全体はロンド形式でvnソロの妙技を聴かせていく、ここでも小回りで小気味よい装飾が、シュポアの作風として印象付く。
この曲に始まり、シュポアはやがて、メンデルスゾーンやシューマンの基盤を作る書風となるのだが、それはまだ先のことである。(^^)

なお、vnソロのウルフ・ヘルシャーはシュポアの専門家とも言えそうな、精力を注いだ演奏で徹底した研究も繁栄しているようだ。フレーリヒ指揮のベルリン放送響も自然に寄り添っている。無名の作品を優れた演奏で聴かせるcpo盤らしい全集になっている。昔のいわゆるマイナー・レーベルの中身とは格が違う。

category: その他・ロマン派

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Chief Mouser 留任  

遅れ馳せながら、今日は"キャットライン"じゃなく本物の猫の話、
英国の首相官邸鼠捕獲長の歴史は16世紀、ヘンリー8世の時代、大法官であったウルジー枢機卿が執務室に猫を控えさせたことに始まる。先般、諸事情で首相は替ったが、首相官邸鼠捕獲長のラリー(Larry)は留任となったそうだ。micha
Larry01.jpg
Larry
本来、前首相のD.キャメロン氏に選任され、2011年からこの職にあったラリーだが、任期は首相と共にするという決まりはないようだ。ラリーは職務怠慢が原因で2012年に更迭となり、捕獲長はフレイヤ(Freya)に交代、彼女は2014年まで務めたが、交通事故、行方不明事件などが問題となり退任、補佐官として残っていたラリーが復帰したが、再任の例は珍しい。実績はあまり評価されていないが、カメラ前での心得はどこぞの政治家並みである。

一方、前任のフレイヤは貫録、カメラなど気にもせず、悠々と振舞い、官庁街で睨みを効かせていた。eyeラインの上がほぼ直線なのが特徴、
Freya01.jpg
freya02.jpg
Freya
不敵そうな面構えはまさに"鉄の女"、その後の情報がないのは、静かに引退生活をおくっているとの見方もある。

ちなみに彼らと同業で、首相官邸以外の省庁では外務省に鼠捕り長官の職があり、2016年4月から、パーマストン(Palmerston)が就任している、
Palmerston.jpg
Palmerston
彼はドッグス&キャッツ・ホームの出身だそうで、無邪気さも残る2歳で起用された。

category: 時事・雑記

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低音弦:キャットライン  

古弦の箱を探ったら、低音用のガット弦:キャットラインで13コースリュートの7~11コースに合うのが見つかり、張ってみました、振動状態は全て良好でした。12、13コースはPVF弦のままですが、異質にはなりません。
キャットライン(Catline)とは、2本のガットを縄状に縒り合せて太くしたものです。micha
13c
aquila v
Aquila社ではキャットラインをヴェニス・ガットと名付けている
この素早く立ち上がり、減衰の早い鳴り方はリュートのバス弦には理想的です、ただガット弦も太くなるほど弦質が硬くなります、ブリッジに巻くのも一苦労ですが、キャットラインは柔らかく楽です。これは音にも好都合で、弦質が硬いと図のような現象が起きます、弾いた瞬間、実質弦長が短くなったように高い音程が聴こえます。
振動

キャットラインは歴史的に存在した証拠はなく、現代考案された弦で、ガンバ、ハープ等にも使われています。他にも低音用として、質量を増やす加工を施したガット系の弦が作られていますが、均質にするのが難しく、振動の正常なものを安定的に作れないようです。キャットラインは材料がガットだけなので均質に出来やすいようです。
一方、Gamut社ではPistoy(ピストイ)と呼ぶ、ガットを3本縒り合わせた、さらにしなやかで精度の良い弦を作っています。同一径で値段を比較すると、倍以上違います、

Aquila Venice gut(キャットライン):1.80mm→ 30.82ユーロ(3563円)
venice.jpg
Aquilaサイト

Gamut Pistoy:1.80mm→ 75.31ドル(7895円)
Pistoy.jpg
Gamutサイト(*現在Gamutは全て牛の小腸だそうです。)

いずれにしても消耗品じゃなく耐久財ですね^^;CP比を考えればAquila Venice gut、確実性を重視するとGamut Pistoyになります。

category: 楽器について

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フランケンシュタイン銀河  

くじら座の方向2億5000万光年にある銀河UGC 1382は一見、平凡な楕円銀河と思われてきたところ、ペンシルバニア州立大学の研究チームが見たこともない不思議な銀河だということを発見しました。紫外線天文衛星GALEXの観測で、まさに渦巻銀河のようなスパイラルアームらしきものが廻りに浮び上った、micha
nasa jpl
UGC 1382拡大画像 NASA JPL
左:通常の可視光画像
中央:紫外線画像と長時間露光の可視光画像を重ねたもの
右:上記に低密度の水素ガスのデータ(緑で表示)を重ねた画像


直径は71万8000光年で、天の川銀河の7倍を超える大きさ、さらに不思議なのは、この銀河の内側ほど星の年齢が若いそうで、普通の渦巻銀河とはまったく逆です。
ちょっと俄かにはには信じ難いですが・・^^;
今のところ、仮説と思われるが、いくつかの小さな銀河が先に誕生し、次に大きなレンズ状銀河が近くに出来て、先にあった年上の小さな銀河達がそれに引き込まれて渦となった、それで普通の渦巻銀河とは内側と外側の状況が違う・・とのことです。
今までにも、何とも不思議な銀河を取り上げましたが、これも銀河合体の結果はじつに多様であることを示すようです。
渦巻きを持たず、いきなりレンズ状になる若い銀河ってあるのだろうか?それに可視光では見えなかったスパイラルアームというのもなにか特殊な気がします。
"フランケンシュタイン銀河"のあだ名は、普通にはあり得ない、いかにも人造みたいなイメージか?宇宙には変なものがいっぱい^^

category: 宇宙・天体

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ナット高さ調整  

先日作った、11コースリュートのナットですが、ちょっと低く作り過ぎちゃったようで、低音コースの開放が一部フレットに当っていました、ちょっとだけ高くしたいけど、また作り直すのもホネだし・・;micha
ハガキ(厚さ0.23mm)を挟んで底上げしたら、これでもう高過ぎるんですね;1ポジションの押えがちょっと深すぎちゃう、ビミョーです;
nut.jpg
そこで書類を入れるクリアフォルダ(厚さ0.17mm)を試す、これならOKでした、ビらないし、ちょうどいい高さv

しかしこの楽器には随分手をかけてきました。中古で購入した時には、ナットは何度も溝を彫り直され、バーコード状態で、ペグ穴が開いてペグがだいぶ突き出ていました。ボウルのハカランダにもクラックが見つかった。
11c lute
まず自分でやれることは全部しました。
・早々ナットの作り替え
・ペグ穴の回復:水をつけた綿棒で穴を濡らし、寝ていた木の繊維を起こすと穴が縮む、その後は何とか維持
専門家に依頼したのが、
・ケースの内貼りが劣化していたので、今のものをオーダー、
・接着の剥がれ、クラック等の修理を何度か、
 (不明だったの異音の原因を見つけてもらった事もある→写真
・弦高の本格的な調整とシャントルレライダーの修理、

現在、ようやく不自由なく使えるようになっています;

category: リュート

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未知の作曲家  

先日来、フェルディナント・リースやルイ・シュポアが気に入り、聴き始めたところですが、ここ10年くらい?の間に見つけた作曲家(主に古典派前後)を振り返ってみます。今でも国内の演奏会で聴ける機会はほとんどないでしょう、NAXOSやcpoほか古楽を扱うレーベルの企画のお陰で聴けるようになったものです。それ以前のマイナーレーベルから稀に出ていた演奏は今となっては聴けるレベルにありません、NAXOSにもそういう演奏がありました。micha

1.ヨーゼフ・マルティン・クラウス
2.ミヒャエル・ハイドン
3.ヨハン・バプティスト・ヴァンハル
4.クリストフ・グラウプナー
5.ヴラニツキー兄弟(パウル&アントン)
6.フェルディナント・リース
7.ルイ・シュポア


聴くべき作品がたくさんある人に絞ると以上です、まだ知らない作曲家は多々あるでしょうが、手を広げても聴ききれないし;
1のクラウスは数多の似たり寄ったりの古典派作曲家達と一味違う独創性と凝った作曲法が魅力で、今も最高の発見と思います。
3のヴァンハルは強い個性(灰汁の強さ)はないかわりに標準的で美しい曲を安定的に作るところがいい。
4のグラウプナー(バロック後期)は特殊な事情で、蔵に眠っていた楽譜が広まったのが近年のこと、古楽演奏が洗練された時期と重なったのは良いタイミングです、20世紀中頃のバロックブームの演奏法じゃ対応できなかったでしょう。同じバロックでもメロディアスなイタリアの作品ともバッハとも違う味わいです。
5のP.ヴラニツキーはふと思いつきで取り寄せたH.グリフィス指揮の交響曲が良かったのがきっかけ、もっと出てほしい。
6のリースや7のシュポアも演奏史の流れのせいか、優れているにも関わらず、正当に扱われてこなかったと思うしだい。
これらの多くが近年の良い演奏で出てくるのは幸いです。

さて、そう言っている間にルイ・シュポアのヴァイオリン協奏曲全集が届きました、シュポアはvnのヴィルトーゾですがパガニーニとは違った方向性で楽しみな人です。
spohr vn con
シュポアの交響曲もやがて全集で出そうなので待つことにします^^

category: その他・ロマン派

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間逆の構え ≪追記あり≫  

弓で弾く楽器では弓の持ち方が逆の2種類あって、ヴィオラ・ダ・ガンバなどのヴィオール属はペンを持つような、アンダーハンドとよばれる持ち方で、ヴァイオリン属は反対側を持ちます、ただしコントラバスだけは形こそvn属ですが、ヴィオール属の低音楽器ヴィオローネを引き継いだ楽器だそうで調弦法もvn属と異なります(4度調弦)、弓の持ち方もドイツ式の場合、アンダーハンドに近い形で、ヴィオール属を引き継いでいるとも言えるでしょう。二胡や馬頭琴もそうですが、立てて弾く楽器にはアンダーハンドが具合良さそうに見えます、ヴィオラ・ダ・ガンバは弓捌きが優雅に見えて絵になる感じです。micha
アンダーハンド

さてリュートになると弓は使いませんが、右手の構えが分かれます、ルネサンス期中頃までは親指を他の指の内側に置く、サムインサイドという構えでした、これは親指と人差し指を交互に使い、細かな旋律の動きに対応したもので、これがリュートの語り口でした。
サムイン1
サムイン2
サムインサイド2例、どちらも小指は響板に触れている

ルネサンス後期~バロックへの過渡期になるとバスラインが複雑になり、親指はもっぱら低音を弾く役割が多く、親指を他の指の外側に置くサムアウトサイドが合理的になってきました。バロック期に入ると例外なくサムアウトです。
サムアウト2
サムアウト1
サムアウトサイド2例、これらも小指は響板に触れている

現代のリュート奏者はこの2種類を器用にこなす人もいますが、どちらかに統一している人もいます。自分の場合、サムインのほうがいつまで経っても苦手で、安定的に音が出しにくいんですね;サムアウトの方が神経が通じるというか思い通りに鳴らせるし、多コースリュートの音を止める動作もやり易いです。
サムインとサムアウト、どちらが良いか、これには個人差があるようです。

追記:ちなみに私の右手の指先です、
右手
爪の先より指の頭が盛り上がっているので、サムアウトでも弦に爪は当りません、いつもキワどい爪切りをしてきたらこうなりました^^;

category: 楽器について

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H.グリフィス:F.リース 交響曲第6番  

全集で取り寄せたフェルディナント・リースの交響曲集、順次聴いていますが、先人のハイドン、師のベートーヴェンを引き継ぎながら、オリジナリティーも十分に聴かせ、ユニークな作品もあります。今日は特にそれを感じる第6番。micha
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ハワード・グリフィス指揮、チューリッヒ室内O
2002年録音 cpo


交響曲第6番ニ長調op.146 (1822)
第一楽章はLarghetto con motoの序奏で始まる、弱奏で始め強奏が対比する勇壮な響き、序奏の最後に主部の動機をゆるやかに前置きする、Allegroの主部に入り、一転して付点リズムの陽気な第一主題となる、始まりから軽くフガートを聴かせる凝り様、そして雄大に発展する、ブラス群が4拍子間に6連符を打つのが変化技で面白い、展開部は緊迫で始まり、ロマン派的で充実している。再現部は簡潔にまとめ、小気味よく終わる。
第二楽章にメヌエットModeratoがくる、ニ短調になったメヌエットの主題がヘンデル又はパーセルを思わせるバロック趣味で、バス旋律も通奏低音的だ、それをロマン派オケの器に収めたような出来栄えがとても良い、トリオは楽しくレントラー風、木管とホルンが交互に美しいテーマを奏でる。メヌエットの再現はそのままではなく、小編成になり、チェロのバス旋律が細かくなりバロックらしさを決定的にする、短いが一度聴いたら耳に残る魅力の楽章だ。
第三楽章Larghetto con motoは静かに、いかにもロマン派的で細やかな味わいで始め、旋律美のセンスが冴える、ダイナミックな展開があり、全体はドラマティックな推移を聴かせる。
休みを置かず終楽章Allegro con brioに入る、これがシンバル、トライアングルが入った行進曲風だ、ちょっとヨハン・シュトラウスを思わせる、しかし、ただ賑やかな終曲ではない、ソナタ形式で、リースの手腕が効いた充実感、展開部は対位法を含めた見事な内容、再現部に盛大に入るのも行進曲のツボを得ている、そして急速にテンポアップしながら終結部に入る、短い緩抒部分を置いて行進曲に戻り、痛快に終わる。
偶然か、先日のルイ・シュポアの「第6番」 と似通った趣向のような?
演奏例も少ないであろう作品を研究家グリフィスは完成度高い演奏で聴かせてくれる。

category: F.リース

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銀河ウォッチング4 ≪追記あり≫  

20世紀初頭まで、望遠鏡でぼんやり見える銀河が、我々の天の川銀河の中にあるのか、外部の天体なのかさえ不明で、論争が行われたというのに驚きます。アメリカの天文学者ヒーバー・ダウスト・カーチス(1872-1942)が渦巻き星雲(銀河)の中に発見した新星の明るさから、それは我々銀河系の外にあり、宇宙には渦巻き星雲が島のように存在し、銀河系もその一つだと、初めて正しい捉え方を示しました。程なくE.ハッブルがそれを確認します。micha
Curtis.jpg
追記:ヒーバー・ダウスト・カーチス
しかし今やHSTや保障光学装置を付けた地上望遠鏡の解像度で、誰もが宇宙の奥行きを実感できるようになりました。

銀河団の領域の中央には楕円銀河が多いそうです、楕円銀河は銀河合体を繰り返した末、新しい星の材料を失った銀河とされます。このHSTが捉えた画像には3つの銀河が見られます。
hs-2009-10-a-web.jpg
NGC 7173(左上)、NGC 7174(右上)、NGC7176(右下) 南魚座:1億光年
拡大画像
NGC 7173と7176は楕円銀河でNGC7174は渦巻銀河、この渦巻銀河NGC7174は形が崩れ、2つの楕円銀河に取り込まれつつあるところ、右下NGC7176のほうが重力的に優勢ですが、左上NGC 7173にも塵の帯が一部引き込まれています、結局渦巻銀河NGC 7174はすべて吸収され、2つの楕円銀河が残ると考えられています。

星の材料(塵とガス)を失った楕円銀河が僅かに材量を補給した状態?以前取り上げたこれらの銀河はこうした過程を経たタイプかもしれません。
NGC7049aa.jpg
NGC7049拡大画像
球状星団は少ないらしい、この構造も銀河合体の結果と考えられる。

NGC_4921.jpg
NGC4921拡大画像
"貧血銀河"とも呼ばれる、一応渦巻銀河とされるが、楕円銀河が合体時に回転運動を得た?ようにも見える。

hs-2006-24-a-large_web.jpg
NGC5866拡大画像
レンズ状銀河とされるが、渦巻きを持つ可能性もあり、上記の銀河を真横から見た様子かもしれない。

不思議な形をした銀河の数々、想像力をかき立てられます。

category: 宇宙・天体

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弦長:ちょっとの違いで・・  

ここ半年ばかり、右の11コースリュート(弦長66cm)ばかり使い続けていました。左の13コース(弦長70cm)は修理で手元にない期間が長かったせいもあり;micha
13c 11c
修理万全の70cmを使いだしたのですが、腕がみょうに疲れて凝ります;別段弾き辛いわけではないけど、4cm腕を拡張して弦を押えるだけでこうも違うのか?すっかり体が66cmが当り前状態になってしまったようで、66cmを持つとすごくしっくりきます^^;ヴァイオリンとヴィオラほどの違いはないんですが・・当面、70cmに体を慣らそうと思います、そういえば12、13コースの位置感も忘れぎみ;

PS.テオルボなんか、ほとんど腕伸ばした状態ですよ、きっとしんどい^^;
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category: リュート

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F.リース:ピアノとオーケストラの作品集(NAXOS)  

先日来、新たに楽しんでいるベートーヴェンの弟子、フェルディナント・リースですが、ピアノ作品もぜひじっくり聴きたいところ、ひとまずNAXOS盤を取り寄せました。 micha
ries po
以下の作品がCD5枚に入っています。
ピアノ協奏曲(協奏曲第2番)変ホ長調 Op.42 (1811)
ピアノ協奏曲(協奏曲第3番)嬰ハ短調 Op.55 (1812)
ピアノ協奏曲(協奏曲第4番)ハ短調 Op.115 (1809)
ピアノ協奏曲(協奏曲第5番)ニ長調 「田園風」Op.120 (1814)
ピアノ協奏曲(協奏曲第6番)ハ長調 Op.123 (1806)
ピアノ協奏曲(協奏曲第7番イ長調 「イングランドからのお別れコンサート」 Op.132 (1823)
ピアノ協奏曲(協奏曲第8番)変イ長調 「ラインへの挨拶」 Op.151 (1826)
ピアノ協奏曲(協奏曲第9番)ト短調 Op.177 (1832-33)
スウェーデンの国民歌による変奏曲 ハ長調 Op.52 (1813)
「ルール・ブリタニア」による変奏曲 変ホ長調 Op.116 (1825)
序奏と華麗なるロンド ハ長調 Op.144 (1825)
序奏と華麗なる変奏曲 ヘ長調 Op.170 (1833年以前)
序奏とポロネーズ 変ホ長調 Op.174 (1833)
序奏と華麗なるロンド 変ホ長調 WoO 54 (1835)
*Wikipediaのリストでは一部誤りがあり、上記の赤文字が正しいです。
演奏は全曲、クリストファー・ヒンターフーバー:ピアノ、ウーヴェ・グロット:指揮、ニュージーランド交響楽団で、2005-2011年録音です。ヒンターフーバーの卓越したピアノ、グロットのオケともに申し分なく聴けます。

リースのピアノ協奏曲はピアノテクニックとしては確かに師ベートーヴェンをそっくり引き継いでいると言えます、さらにオケパートの充実も師匠譲り、同時期に活躍したヨハン・ネポムク・フンメルの協奏曲は平明でいまいち深みに乏しいですが、エレガントなピアノの作風はモーツァルトからショパンへの橋渡しになっています。一方リースの作品には集中させられます、Op.177など古今の名作に入れてよさそう。しかしリースには弟子がいなかったので、ベートーヴェン流は途絶えるのかな?
これらもあらためて感想を書いていきます。

category: F.リース

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H.グリフィス:J.B.ヴァンハル 交響曲とvc協奏曲  

グリフィス指揮が続いてます^^P.ヴラニツキーの交響曲を聴いて以来、作品の良さを的確に引き出してくれる、いずれも期待に応える演奏です。そこでヴァンハルも1枚聴いてみたくなりました、内容は以下の3曲、micha

ヨハン・バプティスト・ヴァンハル(1739-1813)
1. 交響曲 ハ長調 Bryan C9
2. チェロ協奏曲 ハ長調 Weinmann IId:C1
3. 交響曲 ホ短調 Bryan e2

vanhal sym
イストヴァン・ヴァルダイ(チェロ)
ハワード・グリフィス(指揮)、カメラータ・シュヴァイツ
2010年録音 cpo


交響曲ハ長調 Bryan C9
3つの楽章の作品、第一楽章 Allegroはわりとゆったり感覚で両主題とも、ちょっとひねった表情で気品がある、展開部は短いが味わい深いものとなる。再現部は型どおり、簡潔なソナタ形式でさらりとした楽章。
第二楽章、Cantabile ヴァンハルらしい旋律美で小ソナタにまとまっている。
終楽章、Allegro moltoは快速でハイドン初期の傑作急楽章のような(21番あたりの)切れ味と密度感を聴かせる、グリフィスも心得た演奏だ。

チェロ協奏曲ハ長調 Weinmann IId:C1
ヴァンハルはvn協奏曲も魅力だったが、vc協奏曲は・・
第一楽章、Allegro moderatoはtrp、timpを加えた編成で輝かしい前奏が始まる、健康美の良い楽章だ。前奏は短くチェロが入る、オケの弦が二重協奏曲のように寄り添って和声を聴かせるところもいい。イストヴァン・ヴァルダイのチェロは艶やかな美音で重音奏法も力んだところがなく鮮やかに決める。
第二楽章、Adagio 磨かれたセンスの旋律美、vcソロは美しい流れに気品ある装飾的な動きを散りばめる。
終楽章、Allegro ハイドンのvc協奏曲No.1を思わせる、vcソロがテクニカルでキレキレの白熱した楽章だ、これは予想外の魅力でじつに良い、ヴァルダイとグリフィスが痛快に決める。

交響曲 ホ短調 Bryan e2
先日のハ短調とともにこれも傑作の短調交響曲だ。
第一楽章、Allegro moderato 緊迫感と流麗な美しさを併せ持つ、展開部では第一主題の変形がなんとも魅惑的な響きを聴かせる。グリフィスは適切にぐっと力感や推進力を持たせ、つぼを押さえて聴かせる。
第二楽章、Cantabile 弦のみによる小ソナタ、ハイドンの疾風怒涛期の緩抒楽章の深く引き込む魅力に対し、こちらは旋律美で優位に立つと言えようか。
メヌエット ma un poco allegretto ホ短調の憂いを帯びた主題はハイドンにも聴かれるタイプだ、トリオは穏やかな温もり。
終楽章、Allegro リズミカルなロンド風主題、簡潔なソナタ形式だが、緊迫した部分では自然発生的に?運命の動機のリズムパターンが現れる。

category: J.B.ヴァンハル

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H.グリフィス:L.シュポア 交響曲No.1&6ほか  

グリフィスが出すアルバムは本当に興味尽きません。F.リースに続いて注目しているのが同年生まれのルイ・シュポアです。シュポアはドイツ生れのvn奏者で作曲家、本名はルートヴィッヒ・シュポーア(Ludwig Spohr)だが、フランス風にルイ・シュポア(Louis Spohr)と名乗っていて、ヴァイオリンの顎当ての発明者だそうです。詳細→Wikipedia
ピアニストのF.リース、ヴァイオリニストのL.シュポアがそれぞれの楽器の協奏曲をいくつも書いていて、これも楽しみなところ。
今日はシュポアの興味深い、交響曲のアルバムを聴きます。micha
1. 交響曲 第1番 変ホ長調op.20
2. 交響曲 第6番 ト長調op.116「歴史的交響曲」
3. 序曲 ハ短調op.12

51flgC0FjdL.jpg
ハワード・グリフィス (指揮)、ハノーヴァー北ドイツ放送交響楽団
2007、2009年録音 cpo


交響曲 第1番 変ホ長調
第一楽章、Adagioの序奏があり、各パートが音階パッセージを奏で、流麗さと風格が魅力、主部Allegroはなんと運命の動機が骨格のように多用される、
spohr sym 1
第一楽章 展開部始め
しかし、シュポアはF.リースのベートーヴェン的な骨太なタッチと一味違い、メロディアスな主題を巧みに重ねる作風のようだ。"19世紀のモーツァルト"といったところかも?もちろんダイナミックな聴きどころもある、展開部は二つの主題がフーガで重なり、木管も含む各パートが奏で、これは見事。
第二楽章、Larghetto com moto 変奏形式と思うが、始まりの主題の前半は、さだまさしの「北の国から」のテーマにそっくり^^しかし後半で古典派らしい趣きにおさまる、
sc04_2016070722550023a.jpg
短めに書かれているが、劇的な進行でこの楽章も見事。
第三楽章、Scherzo.Allegro とあるがメヌエット風に聴こえ、ハイドンを思わせる始まり、しかし19世紀的な趣きにまとめ、彫の深い味わい、トリオは短調で、ここでも運命の動機が素早く活用され、引き締め役の効果がある。
終楽章、Allegretto ロンド風の楽章でエネルギッシュに引き付ける場面はさほどないが、流麗で、対位法的に巧みに折り重ねる技法が多く、オーケストレーションの上手さが味わいに富む、まずは上々の第1番である。

交響曲 第6番 ト長調 「歴史的交響曲」
作曲者が当初からこの副題を付けていて、各楽章、バロック期から現代(当時の)までの音楽を振り返るような、短めだが趣向を凝らした特殊な作品。これは何も題せず、単に「交響曲第6番」としたほうが謎めいて面白かったかもしれない。
第一楽章、"バッハ、ヘンデル"と題される、バロック趣味の序奏のあと、短調となり、まさにバロックのフーガを展開する、シュポアがフーガの書法に精通している証しでもある。パストラーレ風の中間部を置き、再びフーガとなる。(*しかし、19世紀の趣味で捉えたバロックの象徴的イメージのようで、これを聴くと20世紀中ごろにも流行った、いわゆるバロックブームの演奏趣味に繋がるようにも思える)
第二楽章、largettoは"ハイドン、モーツァルト"と題されるが、それらしい風合いは薄く(強いて言えば断片的?)、19世紀的な趣きである。表題を気にしなければ美しく出来た楽章だ。
第三楽章、Scherzo.Allegro "ベートーヴェン"と題される、timpの2音交互のリズムで始まる、"「第8」の終楽章"か? しかし、音楽としてはやはりベートーヴェン的印象は少ない。
終楽章、Allegro シンバルや太鼓を加え、当代の音楽で劇的に華々しく締めくくる、シューマン、ブラームスの時代は準備できたような内容。

もう1曲、コンサートのための序曲 ハ短調op.12が入っている、これは短めだが序奏とソナタ形式の主部でぐっと引き付け、小気味よくまとまった良い作品だ。
F.リースの曲と同様、親しみやすく、グリフィスの的確な演奏で内容は漏らさず聴ける。

category: その他・ロマン派

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ニイニイゼミ  

今月後半には梅雨明けすると思われますが、晴れればやたら暑いし、曇ればジメジメ、エアコンをどう設定しようか迷います。冷房26℃にしても、小寒いだけで湿度があまり下がらない、70%越えると不快ですね;リモコンの除湿ボタンを入れたら、55%になりました、これならリュートを弾くにも快適です。micha
エアコン
湿度
ちなみに"衣類乾燥"という設定があるのを忘れていました、強制的に送風が強くなってうるさいですが除湿します^^;

当地では梅雨の中頃、一番に鳴き出していたニイニイゼミをもう何(十)年も聴いていなかった気がしますが、今日コンビニの前付近で聴きました、木陰のちょっと涼しげなイメージです。セミの生息域の変化はいろんな原因があるようで、わかりませんが久しぶりです。
クマゼミ
住宅地域でも昔から変らずいるのがクマゼミです、アブラゼミが少なくなってきました。山里の付近ならミンミンゼミもいます、ツクツクホウシを聴くと夏の終りの風情です。ヒグラシはキャンプ場のあるような所しかいませんね。

category: 時事・雑記

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ホットジュピター  

探査機ジュノーは日本時間の本日午前、メインエンジンを噴射し、木星の極軌道への投入に成功したそうです、まずは安堵。冥王星まで行ったNASAですから、お手のものでしょう。
木星には太陽系の初期から現在までの歴史を軌道を変えながら、"スキャン"してきた記録があるかも?しれないので探査の成果が期待されます。micha
今日は木星に関連して・・1995年に初めて系外惑星が発見されて以来、続々と発見されてきましたが、多くは木星のような巨大惑星が恒星のすぐ近くを僅か数日で廻っている、というものばかりで熱い木星:ホットジュピターと呼ばれます。
HD189733b.jpg
NASA想像画
2009年にケプラー宇宙望遠鏡が観測を開始し、トランジット法(惑星が恒星の前を横切る減光観測)により多くの系外惑星を発見していますが、
参照→ 系外惑星一覧表(Wikipedia)
やはり惑星は恒星のすぐ近く、太陽系で言えば水星軌道より内側に集中している例が多いです。もし太陽系の木星がこんな位置にあったら、地球など小さな内惑星は存在できません。

原始太陽系円盤でまず木星が生れ、軌道上にある物質を吸収しながら大きく成長した、しかし物質との摩擦で徐々に速度を失い、太陽近くに引き込まれていき、途中さらに多くの物質を吸収していった・・
原始木星
これで終わったらホットジュピターになってしまったが、遅れてもう一つの巨大惑星、土星が生れ、同じく内側に移動していき、その重力が木星と*軌道共鳴の関係になって、木星を引き止め、共に太陽から離れた軌道へと移動していった、その後、内側の少ない物質で、地球を含む内惑星が生れた、火星が異常に小さいのは、火星軌道付近の物質を木星が多量に吸い取っていったため・・という一つのシナリオが描かれています。少なくとも太陽系の惑星全てが現在ある位置で誕生したというのはあり得ないらしい。
(*軌道共鳴:中心星を公転する回数が整数比になる、土星と木星は1:2の関係となる)

木星の過去の振る舞いのおかげで、地球はちょうど良い大きさになれたのかもしれません、
もし地球がスーパーアースと呼ばれる大きなサイズになっていて、仮に直径が1.5倍だったら、重力は約3.4倍になります、大気は厚く風も凄まじいかも。仮に陸上で生命活動ができたとして、今の人類の文明を持ちこもうとしても無理がありそうです。この重力では鉄や化学燃料も非力で、宇宙開発も困難?大気が厚いと宇宙の観測すら出来ないかも。ケプラー宇宙望遠鏡の一覧表のなかで、地球に似る可能性があるのはKepler-186fだけのようです。
planety.jpg
*大きさの比較のみ表現、最初に生まれた惑星(木星)が惑星系の物質の半分以上を吸収してしまう。
太陽系は多くの波乱があった末、太陽から距離を置いた惑星配置に収まり、すべてきれいな円軌道を描いている、というだけでも稀な存在かもしれません。

category: 宇宙・天体

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H.グリフィス:F.リース 交響曲第5番  

フェルディナント・リースの交響曲はいずれも演奏時間30分代で終わるように書かれていて、師ベートーヴェンのような長大な作品はありません、両端楽章を充実させたら、中間楽章を短縮するなど、聴衆の集中できる時間を考慮しているのかもしれません。しかし短めに書かれた楽章が意外に魅力だったりします。H.グリフィス指揮、チューリッヒ室内Oの演奏で、今日は第5番ニ短調を聴きます。micha
ries sym4
ハワード・グリフィス指揮、チューリッヒ室内O
1997年録音 cpo


この作品はリースが師を模倣していると言われる典型でしょうが、第一楽章は劇的な導入音を置いたあと、「運命の動機」と同じパターンが始まる。(結局これは全楽章に登場する)
ries sym5
F.リース 交響曲第5番、開始部
師の「第5番」を意識した作品かもしれない、素材は借用していても、新たな魅力が生まれています。この運命の動機自体、ベートーヴェン固有のものでなく、
遡ってハイドンの交響曲No.78ハ短調を見てみると、
hay sym78
ハイドン 交響曲No.78 第一楽章 展開部
第一楽章提示部の終りに類似した動機が出てきます、この動機で展開部を対位法の聴きどころにしています。のちにはブラームスも「第1番」で隠し技のように使っています。
PS.ヴァンハルの曲にもこの動機がありました。

F.リース 交響曲第5番 ニ短調 (1812-1813)
第一楽章 Allegro 力強く劇的な要素とともに切れ味よい快調さもあり、グリフィスは強弱、cresc.を深くとって、快速で緻密な演奏に仕上げる。第二主題は明るく新感覚を思わせるが同時に師の「英雄」に似た流れも出てくる、展開部の書法も手の込んだもので聴き応え十分。
第二楽章 Larghetto con moto.Quasi Andante 穏やかで親しみ易い主題、ロマン派的な情緒細やかな楽章、ここもちょっぴり運命の動機が忍ばせてある。
第三楽章、スケルツォ Allegro assai-Trio この楽章の主題も印象に残る良い旋律、ぐっと引き付けるスケルツォでキビキビとしたリズムにやはり運命の動機が効果的に組み込んである。
終楽章、Allegro 弱奏で緊迫したロンド風主題で始まる、運命の動機が対位法的に組み込まれ、オーケストレーションも見事、展開部はまず木管が歌う主題を置き、いよいよ運命の動機を畳み込む、終結は急速になり、熱狂に巻き込んで終わる、同じ動機を全楽章で使うところと合わせ、シューマンの「第4番」のスタイルを思わせる。
リースの作曲技法は筋金入り、シューベルト、シューマンの上を行っているかも。

category: F.リース

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K.マロン:ヴァンハル 交響曲集vol.3より ハ短調  

ヨハン・バプティスト・ヴァンハルもかつては知られざる作曲家でしたが、近年復活してきた代表的な古典派の一人で、録音物も多いです。micha
古典派の短調交響曲は緊迫した動機で始まるものが多く、試練、熱情、幻想、といった感覚が強く、あまり悲哀的ではないと思いますが、いつも決まった様式できちんと書いている作曲家達も短調では内面性が出るような気がして興味深いです。ヴァンハルの交響曲 ハ短調 (Bryan c2)も傑作の一つかと思いますが、全楽章が短調で書かれていて、ハイドンの疾風怒涛期の作品と比べると流麗に運び、旋律が印象に残りやすいです。
pp241182.jpg
ケヴィン・マロン(指揮)、トロント・カメラータ
録音:2004年1月 カナダ,トロント,グレイス・チャーチ・オン・ザ・ヒル


ケヴィン・マロン指揮のNAXOS盤第3集で、4曲入ったうちの2曲目、
交響曲 ハ短調 (Bryan c2)
第一楽章、アレグロ モデラート 弦でさらりとした動機が開始、trp、timpが加わりどっしり確定する、第二主題らしいものが現れないのはハイドンの「告別」と同じ手法か、展開部は凝った書法はないが第一主題の転調で押していく、終りの不協和を使った幻想感がすばらしい、再現部は短縮されすっきりと終わるが、後半も反復される。
第二楽章、アンダンテ 短調でさらりとしているが優美な主題、短めだが幻想的な魅力も入れてまとめる。
メヌエット、モデラート これも撫で肩で優美な主題のメヌエット、flと弦楽によるトリオは雰囲気をあまり変えない。
終楽章、timpを伴った小刻みで切迫する主題で始まるが、あくまで流麗、快調な運び、展開部の作りは第一楽章に似ている、比較的小じんまりと出来た曲だが、美しく均整のとれた短調交響曲として逸品ではないだろうか。

ほか、カップリングされた3曲目、交響曲 変イ長調 (Bryan Ab1)の第一楽章は前古典派的な雅びな感覚で魅力、全楽章ホルンが活躍するコンチェルト風のところも聴きどころ。小じんまりした作品が多いヴァンハルだが、1曲目に入った交響曲 ニ長調 (Bryan D2)など展開部を持たない小ソナタで非常に短いが、溌剌として心地よい。最後に入った交響曲 ト長調 (Bryan G6)はやや長大でじっくりした内容を持ち、展開部もハイドンに迫る内容だ。

category: J.B.ヴァンハル

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