Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

秋の星座  

今日は久方ぶりにからりとした空気で過ごしやすいです。夜には星が見やすいでしょう。
9月になると、はくちょう座が天頂付近に来ます、micha
はくちょう座
はくちょう座
白鳥のくちばしになるβ星、アルビレオは、古くから小型の望遠鏡で見える美しい二重星として知られていますが、
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アルビレオ 距離434光年、望遠鏡ではきらめいて美しい
これは星が見かけ上並んだものではなく、重力で廻り合う連星系の可能性も考えられ、だとすると1周に約10万年かかり、互いの距離は6千億km(0.063光年)とされます。
はくちょう座で一番明るいα星デネブは、
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デネブ 1411光年
距離が1411光年と驚くほど遠いにもかかわらず明るいのは、デネブが太陽の約200倍の半径をもつ白色超巨星だからだそうです。

はくちょう座の東にはアンドロメダ座がのぼってきます。
アンドロメダ座
アンドロメダ座
我々、天の川銀河の隣にある、アンドロメダ銀河(M31)でお馴染みですが、
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M31銀河 距離254万光年
この銀河は約40億年後に我々の銀河と衝突合体する見込みです、また隣のさんかく座にある銀河M33も我々含む局部銀河群の一員で、これも重力で引き寄せあう運命です。こちらが先に合体するかもしれない?
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M33銀河 距離300万光年
アンドロメダ銀河は条件の良い所なら肉眼で見えますが、街中から出れば双眼鏡で見えるでしょう。さんかく座のM33は光が淡すぎて望遠鏡でも観測し辛いです。
またアンドロメダ座のγ星、アルマクもアルビレオに似た二重星で、
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アルマク 距離392光年
トパーズとサファイアのような色のコントラストです。こちらも重力で結びついた連星の可能性があるそうです。連星関係を明らかにするには、それぞれの星の正確な距離と固有運動を調べる必要がありますが、今それを行っている観測衛星「ガイア」のデータを解析すればわかるかもしれませんね。

category: 宇宙・天体

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R.アンディア:ロベール・ド・ヴィゼ ギター作品集   

CDの整理箱にいつ買ったか憶えのないものが出てきます;たぶん中古セールで見つけたものですが、ロベール・ド・ヴィゼのバロックギター作品、「王に捧げられたギター曲集」の2枚セットがありました。ルイ14世付きの室内音楽家として召し抱えられたヴィゼは、リュリに始まるヴェルサイユ楽派の気品に満ちた音楽をギターのために数多く書いています。
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ラファエル・アンディア(バロックギター)
1985年~1986年録音 DHM

演奏しているのが、フランス生まれのスペイン人ギタリストでラファエル・アンディア、始めはフラメンコギター奏者でしたが、クラシックギターに転向、さらに古楽器も手掛けるようになった人で、エコール・ノルマールの教授をしているそうです。ちょっと経歴としては面白いですが、バロックギターの演奏はDHMに録音するほど本格的です。
ヴィゼのギター作品はどれも短いプレリュードに始まり、アルマンド、クーラント、ジーグ、パッサカリア等々、1分~2分の舞曲が組曲として続きます、CD2枚、延々と似たような曲が続きますが不思議と飽きないんですね、美しい主旋律が明確で、ほとんどの曲が旋律楽器と通奏低音で演奏しても良いスタイルになっているし、またバロックギターで演奏すれば、その独特の調弦法から得られる魅力が聴ける、近接音程の調弦は音の万華鏡といったところ。
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ヴィゼの演奏での調弦法
アンディアの演奏はよく演奏される聴き慣れた曲でも新鮮さを感じさせる、強弱や間の取り方など絶妙で、たった5コースのギターで、ラスゲアート奏法を交えながらも、ちゃんと主旋律とバスラインが聴こえてくるものです。録音はガット弦、楽器はヴォボアンだそうです。
動画サイトにR.アンディアの演奏がありました。(音質はイマイチ)
Robert de Visée, Rafael Andia, guitare baroque

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M.オッティガー作:ヴォボアン・モデル

category: その他・バロック

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太陽系外縁天体  

太陽系は今でこそ最も近い星が4.37光年という周囲は閑散とした状態ですが、かつてはこのような星雲の中で多くの星と一緒に生れたと考えられます。micha
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NGC602
太陽系誕生直後の夜空は近傍の恒星が犇めいてひじょうに明るく見えたでしょう。それぞれの恒星は固有に運動していて、重力が強く及ぼし合うところまで接近することもあり、それぞれが従えていた惑星や小天体で特に外縁部のものは影響を受け易く、軌道が大きく変わったり、弾き飛ばされたり、また互いの持っていた惑星を相手のほうに捉えられる、ということもあり得るとシミュレーションされるそうです。
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今の太陽系を見てみると、海王星までは公転面がほぼ同一面で、太陽系が出来た当時の惑星系円盤で生れたと考えられます。ただ冥王星は17度傾いていて、離心率も大きい。
カリフォルニア工科大学のマイケル・ブラウン博士らによって発見された、外縁天体セドナは近日点と遠日点が極端に離れた楕円軌道でした、さらに外縁部に同様の天体が合わせて6個発見された。これらの太陽を中心とする軌道の取り方が一方向に偏っていて、これらと釣り合うような質量の天体が存在すると仮定してコンピュータ・シミュレーションしたところ、1万年から2万年の周期で公転する大きな楕円軌道をもつ地球の10倍の質量の惑星の存在が示された。
外縁02
セドナを含む6つの天体は図の左側に偏っている、Planet Nineは未発見
仮称プラネット・ナインとされ、発見に向けた観測が続いています。地球の10倍というサイズの惑星が惑星系円盤の外縁で誕生するには材料物質がまったく足りない、よって太陽系内部で誕生した惑星が、木星や土星の重力で外縁に弾き出されたか、又は先に述べたように、過去に接近した恒星の惑星を太陽系が奪い取ったという可能性もあるようです。
外縁01
プラネット・ナイン 想像図
外縁部の天体の公転面が不揃いなのは、生れた場所がどちらであるにせよ、過去に接近した別の恒星の影響、というのもありそうな気がします。

category: 宇宙・天体

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C.ヒンターフーバー:F.リース ピアノ協奏曲(No.6)ハ長調 Op.123   

全曲取り寄せたフェルディナント・リースのピアノとオーケストラのための作品集ですが、クリストファー・ヒンターフーバーの一流の演奏による全曲録音は偉業と言えるでしょう。グロット指揮のニュージーランド交響楽団もバランスの良いサウンドで卒なく支えている。(ベートーヴェンも録音してほしいところ) F.リース
ries pf con 123
クリストファー・ヒンターフーバー (ピアノ)
ニュージーランド交響楽団
ウーヴェ・グロット (指揮)
2005年録音

リースのピアノ協奏曲、作曲順に聴いていこうと思います。まずは1806年に書かれたハ長調op.123です。(*作品番号等は作曲順と整合していないようです)

ピアノ協奏曲(第6番)ハ長調 Op.123
第一楽章、アレグロ・コン・スピリット、溌剌とした主題だが、まず弱奏で主題を提示して、あらためて総奏で堂々と提示、前奏部のオーケストレーションは見事だが、モーツァルト時代に19世紀の息吹が加わったようだ。ピアノソロは弱奏の入り、モーツァルト~ベートーヴェンが築いた書法を見事引き継いでいる、ソロとオーケストラの組み合う充実感、聴き手を捉える力感、推進力も備えている。弟弟子、ツェルニーの協奏曲のような物足りなさは感じない。
第二楽章、ラルゲット・コン・モート、木管の導入音で始まり、ピアノソロにはだいぶロマン派的なテイストも感じる、木管ソロをはさみながら、ダイナミックな部分も聴かせる。
終楽章、ロンド・アレグロ・ヴィヴァーチェ、第二楽章とは休みを挟み、総奏による導入と、ピアノの即興的な導入があり、次に軽やかなロンドテーマが提示される、この楽章もピアニスティックな聴きどころ、オーケストレーションの手腕、バランスのとれた技量でまとめられている。後半に入って、オケが意外なダイナミズムで引き付けたり、斬新なところもある。終結は大袈裟にならず小気味よい。
初作がこの出来栄えなので続きが楽しみ。
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フェルディナント・リース(1784-1838) 

category: F.リース

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アシュケナージ:ブラームス ピアノ協奏曲No.1ニ短調(LP)  

今日はLP盤を廻してみました、かなりご無沙汰だったブラームスで、ピアノ協奏曲第1番ニ短調、これはブラームスの最初の交響曲として着想されたが、理由あってピアノ協奏曲に転作されたという作品、その特殊性が逆に魅力となっています。
V.アシュケナージのピアノ、初期のデジタル録音でCDもあるのですが、あえてLP盤のほうを聴きます。やはり弦楽の響きが滑らかに聴こえ、良いのですね?
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ウラディミール・アシュケナージ(ピアノ)
ベルナルト・ハイティンク(指揮)
ロイヤル・コンセルトヘボウO
録音1982年 LONDON
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CD表紙

第一楽章、4分の6拍子、マエストーソ、timp連打を伴う切り立った第一主題で始まる、一旦穏やかな主題で静め、再び始めの主題が対位法的に迫る、ハイティンク指揮RCOはバランスよく引き締める、ピアノソロは別のノクターン風の主題で入る、アシュケナージのピアノは剛腕というより、端正な印象、すべてがバランス良く整った演奏で心地よい。ピアノはコンチェルトソロというよりもう一つのオーケストラみたいな活躍に感じる、複数の主題が複雑巧みに折り重なり、奥深い、展開部ではオケのパートをピアノが再現、鍵盤のオクターヴを重ねた力強い響きが多用される。交響曲第4番を思わせるエネルギッシュな終結も素晴らしい。
第二楽章、アダージョ、亡くなったシューマンへの追悼の意も込められているという、宗教曲的雰囲気の楽章、静寂ながら後半ではピアノ、オケともに盛り上がりを見せる。
終楽章、ロンド、アレグロ・ノン・トロッポ、ロンド形式で古典派協奏曲を継承する要素が大きい、ブラームスらしい渋めだが急き立てるように印象的なロンド主題、間に入る副主題も多彩だが、ロンド主題を使ったフガートも聴かせ、ここもブラームスらしく期待に答えた内容、この頃としては古めかしく、古典派流のカデンツァも入る。終楽章ではだいぶピアニスティックな要素も聴かせる。

category: ブラームス

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電子チェンバロでラウテンヴェルク?  

過去にラウテンヴェルク(リュートチェンバロ)について書きましたが、この楽器は金属弦のかわりにガット弦が張られ、 ダンパー(消音機構)がないのが特徴でした、つまり鍵を離しても鳴り続けます、これでリュート風の音の重なりを出すわけで、奏者も急速な演奏を避け、余韻を活かすような弾き方になります。
ラウテンヴェルク

うちにある電子チェンバロですが、リュートストップのスイッチがあり、普通の金属弦にミュートをかけた余韻の短いリュート風?の音が出ますが、
lute cem
通常は鍵を離すと音が止まってしまう、そこでペダルスイッチをONにすると鍵を離しても鳴り続けるように出来ます、余韻が長すぎないのでちょうど良い感じ、鍵は音価の間押さえ続けなくてもよいことになり、撥弦楽器の感覚かもしれません。普段使っていないだけに機能もよく知りませんでしたが、意外にラウテンヴェルクらしい表現ができそうで面白そうですv

category: 楽器について

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最も近い「ハビタブル惑星」発見  

先日話題にした、アルファ・ケンタウリですが、これは3つの恒星からなる3連星です。質量の大きいαケンタウリAとBのペアが中心にあり、赤色矮星のプロキシマ・ケンタウリが0.2光年離れて周回していて、公転周期は約100万年という。プロキシマは1915年に南アフリカの天文学者ロバート・イネスによって発見されています。micha
プロキシマ ケンタウリ
プロキシマ・ケンタウリ(HST)
プロキシマ
太陽との大きさ比較
現在プロキシマは我々から4.22光年の距離にあり、単独に見ると最も近い恒星となる。この赤色矮星プロキシマのハビタブルゾーンに入るらしい距離に惑星が発見されたというニュースが今日入ってきました。2013年からこれらしい惑星の存在は知られていたが、天体観測グループのPale Red Dotによってあらためて観測されたそうです。
この惑星は地球の1.3倍の大きさと見積もられ、プロキシマbと名付けられた、詳細についてはさらに観測がされるでしょう。これが確かであればプロキシマ以上に近い恒星はないので、現在知られる最も近い系外惑星であり、さらにハビタブル惑星となります。
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赤色矮星プロキシマと惑星プロキシマb:想像図
プロキシマb06
プロキシマb地上:想像図、右上に見える2つの明るい星はαケンタウリAとB
動画→Proxima b could be the planet Earthlings escape to

中心のプロキシマが赤色矮星であることから、太陽系に比べてハビタブルゾーンはずっと内側になります、公転周期はドップラー法でプロキシマの揺れを観測し、11.2日とわかった。プロキシマbが地球のような適度な自転をしているか?あるいは中心星プロキシマに近いため、潮汐力でいつも同じ面を向けている可能性もある、また放射線も強く受ける、生命惑星の可能性にはまだ多くの条件を満たす必要があり、そこは未確認です。ただ赤色矮星というのは非常に寿命が長く、そこを周る惑星も長く存続するので、知的生命に進化する時間が十分にあると考えられています。スターショット計画はプロキシマを狙ったほうがよいかも?^^

追記:早くも、スターショット・チームではフライバイ?でプロキシマも探査に追加する発案がされているらしい。

category: 宇宙・天体

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R.タック:C.ツェルニー ピアノ大協奏曲イ短調  

ピアノを学ぶ上で誰もが恐らく避けて通れないエチュードを書いたことで有名なカール・ツェルニー(1791-1857)は、幼くして才能を発揮し、10歳でベートーヴェンに弟子入りした。F.リースから見れば年若い弟弟子ということに、またツェルニーはクレメンティやフンメルにも師事していて、当時最先端のピアノ奏法を習得したと思われる。
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カール・ツェルニー(1791-1857)
ただ、ツェルニーはピアノ奏法に関する著書の出版や教授活動に力を入れ、演奏活動は自分の作品で脚光をあびる意思はあまりなく、師ベートーヴェンの作品を広めるほうに積極的だったらしい。弟子にはあのフランツ・リストがいる、またブラームスもツェルニーのピアノ著書を高く評価していたとのこと。近年、いくらかツェルニーの演奏会用作品が録音されるようになった。ピアノ協奏曲など、まさに教材を書いた人らしい内容ではなかろうか;
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ローズマリー・タック (ピアノ)
リチャード・ボニング (指揮)
イギリス室内管弦楽団
録音 2014年12月16-18日 ロンドン ケニス・タウン,聖サイラス教会


ピアノ大協奏曲イ短調op.214
第一楽章、アレグロ・モデラート、オケで始まる主題はすっかりロマン派的趣き、ピアノソロは主題に基づき、じつに粒立ちの細かい華麗なテクニックを繰り広げていく、ピアノの高域部分を多用し、くっきりと耳に届かせる。オケは間奏や終結部以外はほとんど助奏の役割で、あくまでピアノソロに集中させる、
第二楽章、アダージョ・コン・モート、ピアノで始まる、ひじょうに短い楽章で、やはりピアノソロの緻密な技が聴きどころ、
終楽章、ロンド、アレグロ・コン・アニマ、第二楽章からアタッカでピアノがテーマで入る、ロンドの繰り返しでピアノのありとあらゆる妙技を聴かせて行く。
ピアノソロに関してはひじょうに優秀でセンスも良い作品だと思うが、コンチェルトとしての全体の出来は月並みというか、踏み出してくるものがない、ベートーヴェンや兄弟子リースのようなオケを活かした的を絞った力感がほしいところだ。
カップリングされた、≪華麗な大夜想曲 Op.95≫と≪ロッシーニの歌劇「コリントの包囲」からギリシャ人の行進曲による演奏会用変奏曲 Op.138≫、ともにピアノ・テクニックを堪能したい向きには良いかもしれないが、私にはいささか退屈である、Op.95のテーマがなんとも平和過ぎて"食欲"が湧かない;
世界初録音も含む当演奏はピアノをローズマリー・タックが希少な達演で聴かせる。

category: その他・ロマン派

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S.クイケン:モーツァルト 歌劇「魔笛」  

シギスヴァルト・クイケンはモーツァルトの録音に関してはコンチェルトや室内楽はありますが、交響曲は手掛ていません、しかし2004年に歌劇「魔笛」を録音していたのがちょっと意外で知りませんでした。BRILLAUT CLASSICSから出ています。micha
moz zauberflote
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録音 2004年7月 ボーヌ市ノートルダム教会
いわゆる古楽での「魔笛」はJ.E.ガーディナーやT.コープマンも録音していますが、当盤のS.クイケンが一番新しいものでしょう。古楽演奏のポリシーから当然、パパゲーノのアリアで使われる鍵盤グロッケンシュピールもモーツァルト時代のオリジナル楽器が使われます。(現代はチェレスタで演奏されることが多い)
ストーリーはおとぎ話的で、大衆に親しめるものとなっている、普通の演劇のようにセリフを話す場面とレシタティーヴォで書かれた部分とあるが、この録音では省略なしで全て語られている。こちらのサイトが全歌詞と台詞を紹介しています。
オペラ対訳プロジェクト「魔笛」
歌劇「魔笛」 K. 620
序曲は荘重な序奏に続き速めのテンポできりりと締めて始まる、大蛇に襲われ助けを求めるタミーノ、3人の侍女が現れ一瞬にして退治・・とお馴染みの始まり、さっそく侍女達の三重唱が聴きどころ、喋くり合いもハーモニーが付けば美しい。王子タミーノにコミカルなパパゲーノがいろいろ付き合うことになり、ドラマを面白くしていく。
アリアはやはり、夜の女王(イゾルデ・シーベルト)のコロラトゥーラ、そして大司教ザラストロ(コルネリウス・ハウプトマン)の懐深いバスが最大の聴きどころですが、両者とも申し分なし。3人の童子(テルツ少年chor)は出番こそ短いが透明感のあるハーモニーで神々しい、これは今まで聴いた中で一番かな。
初演では台本を書いたシカネーダーがパパゲーノを演じた。パパゲーノが魔法の鈴を鳴らす場面でモーツァルトがO.ピットでグロッケンシュピールを弾き、楽譜にはないアドリブをやって舞台のシカネーダーを困らせ、それが観客にウケたというのも本当らしい。
このアリアで使われるオリジナルの鍵盤グロッケンシュピールは、鉄琴を軽くて硬いマレットで打つようなキラキラした音で、この場面にふさわしい。チェレスタよりもっと夢見心地の響きです。(星の輝きの描写にもぴったりきそう)
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鍵盤グロッケンシュピール
録音は良いバランスで、ノートルダム教会の響きが、セリフだけの部分も豊かに聴こえる。

category: モーツァルト

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M.A.ヴィレンズほか:F.リース 2つのホルンのための協奏曲  

ベートーヴェンの弟子、フェルディナント・リースの興味ある協奏曲のアルバムで、当盤はカップリングされたヴァイオリン協奏曲がお目当てで取り寄せたが、まず"2つのホルン"がとても気に入ったので、今日はこちらについて書きます。
"ヴァイオリン"のほうも素晴らしいが、あらためて^^

現代のホルンはピストン操作で管の長さを変え、必要な音程を得られる構造だが、昔は自然倍音のみ発音できるナチュラル・ホルンだった。朝顔に手を入れて空気抵抗を変え、音程を操作するストップ奏法が開発されて、ある程度自由な演奏ができたが、素早いテクニックは難しかった、また手を差し入れた度合で音にミュートがかかる、という変化が起きる、これもホルンらしい味と言える。
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ナチュラル・ホルン
モーツァルトなど古典派期のホルン協奏曲はこの楽器のために書かれ、複雑な演奏はできないため、曲も簡潔であった。フェルディナント・リースの時代でもホルンは変らなかった。
リースは2つのホルンのための協奏曲を書いているが簡潔な作品ではなく、ピアノ協奏曲並みの規模と内容になっている。これを当時のままナチュラルホルンで演奏した当盤の録音は貴重なものかも、
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トゥーニス・ファン・デア・ズヴァールト (ホルン)
エルヴィン・ヴィーリンガ (ホルン)
ケルン・アカデミー (ピリオド楽器)
ミヒャエル・アレクサンダー・ヴィレンズ (指揮)
 


2つのホルンのための協奏曲 変ホ長調 WoO 19
第一楽章、古典派後期のスタイルで、前奏はあのフンメルのtrp協奏曲のような明るい活気がある、主題はピアノ協奏曲にでも編曲できそうなもので、前奏部を聴いているとピアノ協奏曲が始まるみたいな雰囲気、2つのホルンで勇壮に和声を奏でるところ、また1つが旋律で1つがアルペジョを吹く、まさにピアノ風のところ、と巧みに聴きどころが作られる。このアルペジョがいかにもたどたどしいが、あえてそれを"味"として狙ったようだ。つい聴き入ってしまう味わいがあり、モーツァルトのホルン協奏曲を思わせる要素も多分にある。
第二楽章、短調の始まりはホルン作品らしくない印象だが、長調に転じる、ここではホルンの伸びやかに歌う美しさを聴かせる、ホルンの"最低音"など技巧的な聴かせどころも置く、中間部は短調で劇的となる。
休みを置かず終楽章のロンドに入る、2つのホルンが対決するような掛け合いを聴かせたり、長いトリルを奏でたり、わりと長丁場に聴きどころを盛り込む。これがナチュラルホルンだからこそ面白いのかもしれない。
ソロ楽器の特徴抜きで言っても、ベートーヴェン時代の協奏曲として良く出来ていて、リースの高い技量とセンスを感じる。

category: F.リース

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巨大とんぼ:メガネウラ  

晩夏から秋にかけての風情を演出するとんぼ達ですが、今のトンボの祖先に当る、太古のトンボは確か巨大だった、というのが気になっていました。石炭紀の末期に出現した、メガネウラという翼開長70cmもある巨大トンボですが、micha
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Meganeura (Wikipedia)
初めは「眼鏡裏」?とでも書く日本語名かと思いました^^;しかし英語名でMeganeuraだそうで、megasとneuronを繋いだ生物名だったんですね、「巨大な翅脈」という意味だそうです。これが2億9000万年前にいたわけです。太古の生物が大型化できたのは、当時の大気は酸素濃度が高く(35%くらい)、大きな体を動かす燃焼パワーが得られたためと考えられている。
メガネウラは特に翅など現在のトンボと殆ど同じ形で、完成しているように見えますが、飛行能力は滑空くらいで、補助的に翅を動かす程度だったと考えられるそうです。たしかにこの大きさではパワーがあったとしても俊敏な飛行は難しそうです。

現在のシオカラトンボなど見てみると一見、殆ど変わりない姿ですが、飛行技術はあらゆる飛行生物の中で最も高いと言えるでしょう、滑空の技も維持しながら、体を軽くして、素早く飛行する、方向制御も自在、空中で静止できる、翅音も立てず、自由に空中移動ができる、太古のトンボと翅は大して変わらないが、それを動かす付け根の筋が非常に発達しています。
ただしこの飛行技術が発達したのはシオカラトンボを含む不均翅亜目という前翅と後翅の形が異なる種だけです。
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不均翅亜目:ナツアカネ
他にカワトンボとかイトトンボなど、均翅亜目という種があり、これは前翅と後翅がほぼ同じ形が特徴です。こちらは飛行技術は下手で速くもなく、シャカシャカ翅音をたてます、細い体で翅の筋もそれなり、こんな体でよく現存していると思いますが、清流沿いのきれいな環境に生息しています。
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均翅亜目:ニホンカワトンボ(翅を閉じて止まる)
また、ムカシトンボと呼ばれる、胴体が不均翅亜目、翅が均翅亜目、と両者の特徴を持つ均翅不均翅亜目もいます、これは種が別れる前の分岐点に当る生き残りと考えられている。
ムカシトンボ
均翅不均翅亜目:ムカシトンボ(四万十川市トンボ自然公園)

このメガネウラ復元図は化石を基に描かれたものと思いますが、翅の形や胴体部分など、どこまで正確かわかりません。
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化石では不明確な部分は現生する種を参考に描かれているかも?

category: 科学・自然・雑学

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C.ホグウッド:ハイドン交響曲No.61、66  

湿った空気が居座り、昼は蒸し暑く、夕方は雷です。今年の海水温分布はいつもとだいぶ違いますね、温かい海水が西に偏っている?micha
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気象庁

こんな日はさっと聴けるハイドンの交響曲。やはり全集ものではホグウッド盤が最も耳に馴染みます。演奏に加え、オケの編成、響きがちょうどよいのですね。今日はCD25に入った61番と66番、全集物かマニアック盤でしか録音されない聴きどころです。
hog hay sym61 66
クリストファー・ホグウッド指揮
エンシェント室内O


第61番 ニ長調、ベーシックな編成にフルート1本とtimpが加わる、程良い華やかさ、
第一楽章、ヴィヴァーチェ、第一主題は小回りな快活さで心地よい、滑らかな第二主題はobの伴奏に乗って、flが奏でる珍しい出方、展開部は第二主題で入り、瞑想的になる、再現部では第2ファゴットや第2ホルンにもソロを与えている。
第二楽章、アダージョ、timpは休み、例によって弱音器をつけた弦による、清涼で深く内面に誘う音楽、フルート1本が色どりを加える、こういう楽章はいくつあってもいい。
メヌエット、小ざっぱりとした主題で、対位法的な手も加えたところが良い。
終楽章、プレスティッシモ、1st vn以外にも各パートに素早いパッセージがあり、オーケストラの合奏手腕を聴かせるような楽章で決まれば痛快、もちろんエンシェント室内Oは見事なお手並み。

第66番 変ロ長調、こちらは、ベーシックな編成だが、67、68番とともに楽譜出版されたそうで、さすがに充実感を見せる。
第一楽章、アレグロ・コン・ブリオ、きりっとした第一主題は印象深い、第二主題は提示部終り近くでやっと出てくる、展開部はいつものお手前だが、再現部では意外な変化を見せた後、すっきりまとめる。
第二楽章、アダージョ、これも穏やかな緩抒楽章だが、ハイドンが好んで使う装飾音形で気品よくまとまる、中間部で後期作品のような力強い劇的な部分を置く。
メヌエット、すっきりとした標準的主題でまずまず。
終楽章、スケルツァンド・エ・プレスト、ロンド形式だがこの楽章が見事、緻密な対位法の書法を凝らし、ユーモアたっぷりにセンス良くまとまる、のちの88番の前哨的楽章・・というより、88番に引けを取らない出来に思う。

category: F.J.ハイドン

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幸福のホルモン  

人間にも血のつながりのない子でも大事に育てようという気持ちがあります。micha
オキシトシンというホルモンは疎外心を取り払い、弱者を救ってやろう、という働きもするし、自らも幸福感が得られるという有難い^^ホルモンのようです。これはもちろん哺乳類など他の動物も持っていて、実の子に限らず、よその子、さらに別種の子にまで働くようですね。
犬の乳
動画→Puppy and kitten drinking milk of parent dog intently
子猫のほうが吸い方が上手いような^^

もうひとつ気分を穏やかにするセロトニンというホルモンがあります。
じつは私も気分の浮き沈みが気になるほうで、薬を処方してもらっていますが、薬辞典を調べたところ、このセロトニンの働きを促すものでした;
これはあくまで補助で、薬に頼らずとも生活、行動でも良くできるはず、
まず疲れていると、イライラしたり、何もしたくなかったり、これは誰でもそうでしょう、
よく休み(時間の経過を待ち)、気分を良くしてくれるキーワード(好きなこと)に接する。私で言えばその一つがハイドンの室内楽や初期の交響曲など、
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大袈裟でなく、必要なものだけそっと与えてくれて、いつもの健康な気分に戻してくれる、
きっとセロトニンの働きも良くなっているでしょうv

PS.リュートの練習はときにストレスとなったりするので、そんな時はやりません、気分が右肩上がりになればやります^^;

category: 科学・自然・雑学

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地元で見かけるトンボ達  

8月も後半になると、陽の影も長くなり、秋の草が茂りだす、こんな風情が好きですね。大陸側の高気圧に覆われると心地よい散策日和になりますが、当分天候は良くなさそうです。micha
天気図8 18
気象庁

地元の山里付近の公園には、市街地では見られないトンボの仲間がいるので、時折出かけては、ちゃんと生息しているのを確認に行ったりします。

お盆の頃から、ウスバキトンボが群れになって飛んでいます、これはどこでもいますね。
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ウスバキトンボ
名のとおり羽が薄く、か弱く見えます。風に乗った省エネ飛行しているようで、枝にとまるときは必ず縦向きです。

オオシオカラトンボの雄は体の青灰色がより鮮やかで、羽脈がくっきりと黒いのが特徴、
オオシオカラトンボ
オオシオカラトンボ
普通のシオカラより風格があり一目で区別できます、飛びっぷりもパワフルな感じ。

好きなのがこの2種、ノシメトンボミヤマアカネです、羽先がこげ茶色でオシャレ、
ノシメトンボ
これらが飛んでいるとこんな感じに見えるんですね、
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両脇に小さな虫が寄り添って飛んでいるような錯覚をうけますが、涼しげでもあります。

ほかにコシアキトンボなど見かけます、これも飛行は素早くパワフルです。
オニヤンマは小道など地表にある線状の構造を目印に行ったり来たりする習性があるので、見かけたらそこで待っていれば、また来ますね。

category: 科学・自然・雑学

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シングルよりダブルが好き  

と言っても卓球の話じゃありません。
ギターに始まって以来、長く付き合っている"弦をはじく"楽器ですが、今はすっかり、リュートに落ち着いています。micha
例外もありますが、リュートは緩い弦を2本ずつ張るダブルコースが基本です、
理由は・・これが伝統、古式に則った姿なんです^^
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13コース、バロックリュート(1、2コースはシングル)
自分にとってはこの"緩い弦が2本"というのがとても手に馴染み、弾弦が捉え易い感触です。テンションが1本に集中するより、2本に分散してたほうが柔らかくて豊か、
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バロックの撥弦楽器はギター属もダブルコースで、全般に馴染みやすい感触です。
たまにシングルコースの楽器を手にすると、なんだか弾き辛い;
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シングルに張った小型テオルボ

ところでリュートと起源が同じ、日本の琵琶にも雅楽の楽琵琶以後、様々な分化があり、4絃(4コース)というのは変わらなかったようですが、この薩摩琵琶は一番高い弦がダブルになっています、撥の形も様々なようです。
薩摩琵琶
琵琶に関しても興味深いので、またあらためて書きたいです。

category: 楽器について

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スターショットは狙い撃ちか?  

太陽系は毎秒240±14kmの速度で天の川銀河を周回しています。我々の隣にあるアルファケンタウリも大きな視点から見れば同じように移動しているでしょう、
αケンタウリ
アルファケンタウリ
プロキシマ
太陽との大きさ比較:肉眼では1つの明るい星に見えるが、3つの星の連星である 
しかし恒星はこれとは別に、太陽系から見て相対的にバラバラな方向へ移動する固有運動をもっています、長い時間が経つと天球上で星が動いていって星座の形も変わります。
ケンタウルス座
現在わかっているアルファケンタウリの固有運動は赤経: -3.608 秒/年、 赤緯: 0.686 秒/年、だそうです(Wikipedia掲載データ)。きわめてわずかな数値に思えますが、4.37光年離れた星がこれだけ動いて見えるわけです。
赤経の動きだけ見ると、1年に3.608秒角動く、
これを20年間の動きにすると×20で72.16秒角、
1秒角は円(360度)の1/1296000 なので、角度に直すと、
72.16秒角×(360度/1296000)=0.02度
また、アルファケンタウリまでの距離を半径として円を描くと一周が27.4光年、
そのうち20年で動く角度0.02度分は、
27.4光年×(0.02度/360度)=0.00152光年、
1光年は約9.5兆kmなので、約145億kmとなる、
同様に赤緯方向も計算すると約27億kmで、両方位の動きを合わせると、約147億km移動する、これはニューホライズンズが冥王星へ旅した48億kmの3倍です。
*天球面上に限った相対移動で、本当は奥行き方向(視線速度)も入れる必要がある。

20年の星間飛行で探査機をアルファケンタウリに到達させるスターショット計画ですが、
スターショット
ライト・セイルでレーザー光を受け、光の20%に加速、中央の小さなチップが探査機本体。
太陽系も宇宙を移動しているが、その動きは慣性運動として探査機にも維持されるはず


アルファケンタウリの今見える方向に正確に狙いをつけて探査機を飛ばしたとしても、20年後には0.02度(147億km)ずれてしまう、こんなに離れると接近探査にはならない?これを計算に入れて、20年後の位置を狙う必要がある(*アルファケンタウリの今、見えている方向は4.37年前の方向なので、それも加味する必要がある)、ナビゲーションと推進システムで方向制御できれば問題ないが、探査機本体はクレジットカードより小さいとか・・弾丸みたいに狙うしかないだろうか?「0.02度」←これくらい、狙い誤差の範囲か?
まあ、世界トップの科学技術者がやることなので、余計な心配しなくていいでしょう^^;

PS. ついでにアルファケンタウリの奥行き方向の動き(視線速度)を調べたら、-22.3km/sだそうで、マイナスが付くと近づいてくる方向、20年間にすると約140億kmになり、天球面の動きと同じくらい近づいてくる、飛行距離が0.00147光年だけ短縮される。

category: 宇宙・天体

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近衛秀麿:オーケストラ編「越天楽」  

中学の音楽の授業で、雅楽「越天楽」のオーケストラ編のレコードを聴いたことがあり、かなり雰囲気迫れるもんだと興味深かったです。オーケストラへの編曲は1931年、作曲家で指揮者の近衛秀麿が行っていて、これは日本の雅楽を海外に紹介できるようにしたと言えるでしょう、L.ストコフスキーもこれをレパートリーとし、録音もしているそうです。micha
雅楽は世界最古の管弦楽で、原理的に今の楽器と同じものが全て揃っています。不協和音程を重ねる、雅楽独特の神秘性、西洋オーケストラの楽器では音律の違いなどで完璧にはいかないけど、よく雰囲気出ている、NAXOSの日本作曲家選輯シリーズの1枚に入っています。
CDケースの収納側が綺羅をあしらった色紙風v
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沼尻竜典:指揮、東京交響楽団
2000年、東京芸術劇場

雅楽の横笛は管に穴をあけただけの構造で、穴の開閉度合で滑らかにポルタメントできます、
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横笛(おうてき)又は竜笛
モダン・フルートは穴を隙間なく塞ぐ機構が付いていますが、リングキーのタイプは穴が開けてあって、ポルタメント奏法が可能だそうです。
リングキーfl
上がリングキー・タイプ
横笛で始まる「越天楽」は当然ポルタメントで聴きたい、当盤の演奏もたぶんリングキーのフルートでしょう、flトラヴェルソなら完璧に出来そう^^
曲は概ね三部形式で、横笛ソロでテーマが始まり、フレーズの途中、いいところで力強い総奏が鳴りだす、また中間部では様々な変化をきかせる、これはのちにハイドンが発展させたシンフォニーの手法そのものの気がする^^総奏は笙が導くように始まるが、この響きはvn群が見事に模倣、篳篥はオーボエ、箏はピアノ又はハープ、打楽器はそのままで行けます。
意外なのは楽琵琶の代役がファゴットのようで(各弦の音を短く吹いている?)、それらしく聴こえるんです、近衛秀麿の冴えたアイデア。

以下参考動画です、本物の雅楽の「平調」がオーケストラ編の基になったもの、「盤渉調」は調を変えた別ヴァージョンです、音域の狭い篳篥はオクターブ移動するので、曲が変わって聴こえるのが面白い。「音取」というのはチューニング確認を儀式化したものですね。

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動画→オーケストラ編:越天楽

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動画→平調 越殿楽

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動画→盤渉調 越殿楽

category: 邦楽

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長寿の鳥:オウム  

スズメやニワトリの行動は本能的で唐突、落ち着きがなく、人間が意思疎通できそうな相手じゃないです;しかし始めてオウムに接したとき、他の鳥類とはまるで物腰が違うのに驚いた記憶です、ゆったり、ファジーな動作で鳥とは思えない、人間っぽい感じでした。
恐竜が祖先の鳥類も、大陸が分断移動してから、進化の道筋が大きく別れ、高等哺乳類に近い知能の持ち主も現れたようです。micha

カラスもまた鳥類では落ち着いた行動ですが、先の先がよめる知能を持っていて、人や動物の声を真似するものがいます、ただ声は渋いカラス声になる^^、遊び心もあるのかも?
カラスと犬
動画→ボールで遊ぶカラスと犬
危険がないことを憶えると人や犬に懐く、こういうのは強い動物と共生して他の外敵から身を守る本能かもしれません。

オウムもかなりの知能があるらしく、寿命が30~50年(長ければ100年)で長生きも強み。
オウムは上下の嘴と舌を複合的に使い、噛み合わせをずらすことも出来る、人の指のように器用に操ります。
オウム頭骨
オウムの頭骨(Wikipedia)
殻の硬い餌を食べるときなど、必要によって足を手のように使い、手順が合理的だそうです、憶えたことを組み合わせる能力があるみたい。
オウムの一種のヨウムという鳥の飼育記録によれば、人間の5歳並みの知能があったとのこと、5歳児ってもう一通りのことは出来る頃ですね。「オウム返し」とは意味もわからず真似することですが、それだけではないようで、訓練によっては、問いに答える行動ができたり、非常に多数憶えた語彙を正しい文脈に繋げて話すことができた事例があるそうで、少なくとも憶えた音声を"活用"するようです。
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ヨウム(Wikipedia)
猫と一緒に暮らしていると、その声も憶える、
これは猫の集まりに二足歩行でやってきた御意見番か?^^
オウムと猫
動画→when parrot disguise in cat group
猫達の反応は?戸惑ってはいるが、警戒もしていない様子、
オウムにも好奇心があるように見えます。

長寿で意外な知能の持ち主っていうと、単純なペットじゃない存在かも。

category: 科学・自然・雑学

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古楽orchestraによるハイドン交響曲  

'80年代から'90年代にかけて、C.ホグウッド、F.ブリュッヘン、S.クイケンらが続々と手兵のオケで、ハイドンの交響曲を録音、モーツァルトも合わせて、古楽オケ・ラッシュだったように思う。S.クイケンとブリュッヘンはパリセット以後の録音を完了している。
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ホグウッドも想像するに、まずはロンドン・セット、次はパリ・セットと主要どころから手掛けていく予定だったのでは?しかし、全曲録音の企画が持ちあがり、ロンドン・セットやりかけで、順序はランダムに作曲年代でまとめた録音が始まる、2枚組でリリースされていったが、ちょっと高価だったのが頓挫の原因か?結局パリ・セットまで至らず中断した。演奏、録音とも好ましいだけに残念。最も早く録音された96番「奇跡」(1984年録音)を聴いてみても、後の録音と粒揃いに感じる。このホグウッド「未完の全集」で特に貴重に思うのは「疾風怒涛期」を全てカバーし、演奏、録音が優れているところ。
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クリストファー・ホグウッド指揮、エンシェント室内O

ブリュッヘン盤はすべてライヴ録音で、各地で演奏旅行した最後の演奏会で録音、というやり方だった、録音の出来にムラがあり、後期の録音ほど、覇気が薄れていったように思う。
ブリュッヘンは「交響曲とは聴衆を驚かす音楽だ」と語っていたように、録音ももっとその攻撃的な要素を伝えてほしい。久しぶりに聴いた96番「奇跡」は1993年の録音で、やや不満だが、終楽章のがっちり押し出してくる響きはブリュッヘンらしく聴き応えあり。
'96年に録音されたパリセットはとにかく響きがヤワで、録音(バランス・エンジニア)に覇気がなくて最も残念。
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フランス・ブリュッヘン指揮、18世紀O

S.クイケンは手堅く、パリセット以後をセッション録音している、パリセット~92番までをVirgin classicsに、ロンドンセットをDHMに、オケはパリセットのみエイジ・オブ・エンライトメントOであとはラ・プティット・バンドを指揮している。演奏も録音も入念な出来栄えで味わえる、比較盤として96番「奇跡」を聴くと、第一楽章などブリュッヘン盤を凌ぐ迫り方だ。緩抒楽章の弦の美しさは特筆もの、「疾風怒涛期」の録音が殆どないのは残念。
ku hay sym
シギスヴァルト・クイケン指揮、エイジ・オブ・エンライトメントO

以上の三者を合わせれば、古楽orchestraによる全集というのはほぼ出来てしまう^^欠落曲はオッタヴィオ・ダントーネが録音している。

category: F.J.ハイドン

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パンタロン?  

昔で言うパンタロンに当る、ボトムスが今もあるんですね、ブーツカットという裾がやや開いたものに対し、思い切って開いたものは"ベルボトム"と呼んでいるようです。micha
ベルボトム
昭和の頃、フォークグループの"GARO"の兄さん達など特に決まっていた記憶です。
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つい懐かしくて一着買ってしまったのですが、手にすると思った以上に開いています!;
こりゃあ相当ヒールの高い靴で、バサバサさせて歩くのが本当なのでしょう^^
でも普段はスニーカーしか履かないので、ひとまず内側を手縫いして、普通のブーツカットくらいに細めました;
ボトム02
糸を外せばベルボトムに戻ります^^

category: 趣味のハンドメイド

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美味いと不味いは紙一重  

焼き蛤やサザエの壷焼きなど、皆が美味しいといって食べているので、安心して食べられるが、もし他の誰も食べたことがなく、「軟体動物の焼け焦げた死骸だ」と意識すると、どうだろう?・・また蟹の甲羅を開けると、未知の生物を解剖したみたいだし;
しかし人間には怖いもの見たさ、悪食?という好奇心もあって、見た目を含め、美味い不味いを分けるのは集団心理も関わってくるようだ。micha
昨日、話題にした納豆も、臭気といい粘りといい、普通なら捨ててしまいたいものにみえる。現在も関西方面では好まれない傾向らしい。ほかにもクサヤの干物とか鮒寿司とか、かなり慣れる必要のある食品は数々。明智光秀が賓客の家康に鮒寿司を出したところ、信長に叱咤され、これが「本能寺」の引き金になった?という説もあるくらい・・
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鮒寿司
極めつけが、スウェーデンのシュールストレミングという魚の加工食品だそうで、クサヤも鮒寿司も問題外のようなレベルらしい;
中世ヨーロッパでは保存できるタンパク源として、魚の塩漬けが盛んに作られたが、北欧では日照不足で製塩ができず、塩は貴重で節約されていた、薄い塩水にニシンを漬けて発酵保存するという方法がとられ、これがシュールストレミングの始まりらしい、この臭いというのが、「魚が腐った臭い、または生ゴミを直射日光の下で数日間放置したような臭い」と言われる、それでも人間に不可欠な栄養源を安定的に供給する方法だった。
19世紀に缶詰の工法が発明され、密閉された缶の中で発酵を継続させて保存するようになった、(発酵菌を生かしておくため例外的に缶は加熱滅菌しない)
シュールストレミング
屋外で開封されたシュールストレミング缶
発酵させているのはハロアナエロビウムという嫌気性細菌で、プロピオン酸、硫化水素、酪酸など、悪臭系の代表的物質を生成する、(太古の地球環境に近い?)魚好きの猫でさえ気絶するとか・・シュレディンガーの実験で毒ガスの代りになるかも?
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嫌気性細菌:ハロアナエロビウム
缶の中は発生したガスの圧力が高まり、缶は膨らんだ状態になり、温暖な場所では冷蔵しないと発酵が進み過ぎる。開封時は切り口から内容物が噴出するので、屋外で行うよう推奨されている。2014年2月、ノルウェーで25年間放置されていたシュールストレミング缶が見つかり、爆発物処理班と缶詰の専門家が出動して処理に当った、爆発に伴う臭気の甚大な被害が想定されたようだ。
シュールストレミング02
因みにこの中身を調べたところ、完全に分解され、魚の原形はなかったという。
また、こうした危険性から、荷室に気圧低下の生じる航空機輸送は禁止され、船舶輸送に限られている。なお、シュールストレミング缶は通販で入手可能→amazonだが品切れの様子;
かなりの食通?やチャレンジャーに好評?のようだ;;

PS.発酵と腐敗の区別は不明確かもしれないが、硫化水素はメタン、アンモニアと共に酸欠汚泥中に棲む嫌気性細菌による生成物質として挙げられる・・?

category: 科学・自然・雑学

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ネバりの科学  

オクラを栽培して初めて知ったのですが、このように天を向いて実が成るんですね、シシトウガラシみたいに垂れ下がるもんだと思っていました;micha
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オクラの花を見た時、ハイビスカスに似てるなと思って調べたら、同じアオイ科の植物でした、ハイビスカスにも短いけど天向いて実が付き、オクラの未熟な実と似ています。
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オクラの花と未熟の実
ハイビスカス
ハイビスカスの花と実
オクラ(okra)が英名だったとは意外、ほぼ世界中の温暖な地域で栽培され、各地で食材にされていることも知らなかった・・地味~なイメージを見直しました^^;
実は熟す前の程よい大きさで収穫しないと、硬くなり、粘り気が減ります。

納豆、自然薯(山芋)、オクラ、モロヘイヤ、里芋、昆布・・これらの食材の粘りは成分的には少しずつ違いはあるものの、大まかに言えば、多糖類(水溶性食物繊維)とタンパク質が結合したムチンという非常に長く繋がった高分子が絡まり合い、粘りを作っている、ということで共通のようです。(納豆の場合は納豆菌が茹でた大豆の成分からこの状態を作り出すそうで)よって、納豆にオクラや自然薯を混ぜても同質で相性はいいと思います^^この粘りは加熱すると壊れてしまいます。
またムチンは動物の気管や胃腸などの粘膜を覆う粘液の主成分でもあり、体を守っています。

ところで、 納豆と一緒にマヨネーズサラダを食べると、口の中でやたら粘りが強くなる、という現象が起きます、納豆の"高分子の糸"をマヨネーズの油脂と乳化成分が分解し、太く再結合させるので粘りが強くなる、と言われます。これが好きだという人もいますが;粘りがしつこいのも嫌なので、納豆とマヨネーズは一緒に食べない習慣が子供の頃からついてます。

category: 科学・自然・雑学

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C.ホグウッド:ハイドン 交響曲No.38≪こだま≫  

数ヵ月ぶりのハイドン交響曲です;これだけ暑さが続くと清々しい"疾風怒涛期の緩抒楽章"で現実逃避したくなります^^micha文字色
まだ「ハイドンの第何番は・・こんな始まり」、というように全曲憶え切っていませんが、38番は一度聴いたら忘れない始まりです;
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クリストファー・ホグウッド指揮
エンシェント室内O


trp、timpを加えた版による演奏が多く、賑やかな印象だが、ホグウッドはこれらを除いた版で演奏、じっくり聴くにはこちらが良いかもしれない。
交響曲No.38 ハ長調≪こだま≫
第一楽章、アレグロ・ディ・モルト、第一主題をヘンテコだと思ったのは自分だけではないようで、いやが上にも印象に残る(モ-ツァルトは絶対書かないような主題^^)、快活な提示部を終え、展開部も第一主題を短調のポリフォニーにして始めるが、何とも華麗に変身する、これぞハイドンの技、展開部の終りには第二主題後半を使うが、新たな主題が出てきたみたいな清々しい魅力。
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第二楽章、アンダンテ・モルト、弦楽のみで演奏される、これぞ聴きたかった楽章、2nd vnだけ弱音器を付け、1stのエコーを弾いたり、和声を重ねたりする。また、下線の2ndが1stの3度上を弾くところ、弦というより遠くの笛(あるいはグラスハープ)のように聴こえる、ここはホグウッド盤が一際美しい。
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そしてこの2度が当るところ、心に清涼な風がそよぎ、現実から離れた静謐な気分に浸れる。
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メヌエット、この明快なタイプのメヌエット主題は他の作品にもあるが、飽きることなく心地よい、トリオはobソロが活躍、バロックobの高域はsopサクソフォンに近い滑らかな響きで美しい。

終楽章、アレグロ・ディ・モルト、素朴に主題を示したあと、すぐさま魅力なフガートに突入、続いてobソロのコンチェルト風になる、後半展開部はコンチェルトで始まり、フガートも組み込む、短いながら魅力が詰まった終楽章。
これは小さな傑作としたい作品だ。

category: F.J.ハイドン

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B.ヴァイル:モーツァルト レクイエム「ランドン版」  

モーツァルトのレクイエム(K.626)、5枚目はB.ヴァイル盤で、楽譜はアメリカの音楽学者H.C.ロビンス・ランドンがまとめた「ランドン版」です。モーツァルトの弟子達の補作を尊重したもので、優秀な弟子アイブラーとフライシュテットラーの補筆がある箇所はそれを採用し、あとはジュスマイアの補作を採用、後世の手は一切加えない、というのが特徴で、モーンダーみたいに楽章の削除などしないところも好感持てます。
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マリーナ・ウレヴィツ(S)、バルバラ・ヘルツル(A)、
イェルク・ヘリング(T)、ハリー・ヴァン・デル・カンプ(B)
テルツ少年chor(合唱指揮、ゲルハルト・シュミット=ガーデン)
ブルーノ・ヴァイル指揮、ターフェルムジーク・バロックO
1999年録音


ヴァイルの演奏は入祭唱から引きずらずさらりとストイックに始め、逆手の効果で深い感銘に誘うようだ。この演奏でも合唱はテルツ少年chorを起用、独唱の4人もピリオド・スタイルの歌唱を聴かせ、この表現にぴったりはまる。
キリエでは①Kyrie eleison の主題に続き、②Christe eleisonの主題が続く2重フーガ、どちらもバロック的だが、特に②の主題は深い淵に引き込む力がある、
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また①の主題は過去の作品、ヴェスペレ K.339の"Laudate pueri"と性格が似ているが、Bから低音C♯への下降跳躍が不安を印象づける。
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ヴァイルはフーガ合唱も速めのテンポでくっきりと輪郭を与える。
続くディエス・イレは期待どおり、さすがの切れ味、
コンフターティスは恐ろしげな「呪われし者どもを罰し・・」に対して「祝せられし者達と共に・・」の救いの声、
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ここはテルツ少年chorのsop、altが格別に響く。
モーツァルトが絶筆となるラクリモサでは淡々とした弦楽で始め、合唱では深々と引き込む、

このあとモーツァルトの楽譜は白紙状態だが、仮に参考となるスケッチや指示を受け取っていたにしても、それだけで曲は出来ない、やはりここを作り上げたのはジュスマイアほかないと思われる。ヴァイルの演奏のベネディクトゥスはからりと晴れ渡った空のように伸びやかで安息感を与える。
最後のコンムニオは入祭唱が転用されるが、もう一度聴きたい曲なので、これで見事に完結していると思う。

category: モーツァルト

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シュパンツィヒSQ:F.リース 弦楽四重奏曲 Vol.1  

NAXOSやcpoレーベルは知られていなかった作曲家を次々紹介し、特に優れた人はシリーズ化して売り出していますが、世界中の人々のニーズが細かく掴めるようになったネット時代になりはじめて成り立つ事でしょう。
フェルディナント・リースもベートーヴェンの回想録を書いた人、として知られてきたらしいですが、それだけの存在にされてきたのは不当な扱い、ベートーヴェンの存在が"木星"サイズなら、リースは"土星"くらいいってるでしょう^^師にはない魅力もあるし、
今日はcpo盤でリースの弦楽四重奏曲第1集を聴きます、演奏がまたひじょうに期待できるシュパンツィヒ四重奏団でcpo盤にふさわしい。
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シュパンツィヒ弦楽四重奏団
2004年録音 cpo


当盤の2曲はハイドンの時代に回帰したかのようなスタイルを基盤としていて、時代の隔たりが感じられないほど、見事に書かれていて、新しい要素もある。

四重奏曲WoO.37 ハ長調(1827年作)
1827年の作だが、主題の趣味からして第一印象はハイドンの最後期、プロコヴィッツ四重奏曲の続編かのような味わい(ここが魅力)、ベートーヴェンの"プロコヴィッツ"より、肩の力の抜けたほっとさせる趣き、しかし書法の充実度には目を見張るものがある、何十曲も書いてきた人みたいな。
第一楽章アレグロ・コン・ブリオはvcの低音で動機を提示する意外な始まり、明るく快活な第一主題が立ち上がる、提示部は快調流麗で申し分ない、展開部での対位法的手腕はもちろん、十分練られた内容は見事、定石通り再現部に移るが、8:08という演奏時間もちょうど良い。
第二楽章アンダンティーノ・コン・モート、短調の主題で沈んだ気分で始まる、変奏曲と思うが、多彩な気分の移ろいを聴かせる。
メヌエット、モデラート 主題が各パート間を素早いカノンで雪崩れるように移るのが引き付ける、トリオの開始はvcの遠い雷鳴で始め、各パート弓を弾ませる奏法的面白さを聴かせる。
終楽章、アレグロ-ラルゲット-アレグロ、すばしこい小動物を思わせる動機で意表をつく、これを巧みに絡ませて立体的な聴き応えを作って行く、この楽章にはラルゲットの中間部があるが、共通の主題で気分を変える、再びアレグロに戻り、リース新案?ともいえる秘技を加えて痛快に終わる。

四重奏曲 変ホ長調 WoO.10 (1805年作)
こちらは1805年作で、ハイドンが存命の頃、前述のWoO.37の22年も前だが、そんな隔たりを感じない、こちらが後の作品だと言ってもおかしくないほど。
第一楽章アレグロ・モルト・モデラート、第一、第二主題ともじつに流麗、かつ嫌味のない美しさで、こちらはモーツァルト型?の要素もある、しかし展開部は肉迫してくる聴き応えだ。
第二楽章にメヌエットが置かれる、リズムの重量箇所の変化が面白く、シンフォニックに引き付ける、
第三楽章アダージョ・カンタービレ、変奏曲と思われるが、気品のある主題に始まり、劇的な推移でシンフォニックな聴かせどころも置く。
終楽章、ロンド:アレグロ・モデラート、ロンド形式の中に変奏要素も加えた書き方のようだ、歌謡的な親しみやすいロンド・テーマを聴かせたあと、いきなり切れ味鋭いパッセージの掛け合い、こんな穏やかさと緊迫感を交互に聴かせていき、楽章全体は劇的な構成でまとまっている。

以上、2曲とも何度聴いても飽きない逸品と言える。シュパンツィヒ四重奏団はこうした初めての作品を安心して聴かせる。
PS.もう1枚のアルバム、Vol.2が出ているが、こちらは新時代らしい書法で、内容も素晴らしい、レビューはあらためて。

category: F.リース

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運指の格闘 ≪追記あり≫  

バロックリュートの曲は左手、右手とも通常的な指の動きで概ね弾けてしまう部分と、綿密に運指を決めないとまるで弾けない部分とあります。
シルヴィウス・レオポルト・ヴァイスのソナタ イ短調「L'Infidele(異邦人)」の5曲目にあるミュゼットは特に魅力的な曲ですが、後半が難しい、micha
後半の12小節目から
運指01
(左手記号:人差し指~小指=1~4、右手記号:親指~薬指= l, ・, ‥, ∴)
1段目は結構鳴らし辛いところがあります。問題は特に2段目で、右手は同じ指の連続使用を避け、なおかつ持ってきやすい指にする、また左手も合理的な指を使うようにする、これらを考慮すると、(一案として)書き入れた運指のようになるかな、このとおり弾けるようにするには、両手に集中が要るので、かなりゆっくり弾きます;

追記:ところでペグボックスの外で弦を巻いたりするのはリュートぐらいか?この楽器の場合、1コースは外で巻くしかない位置です、2コースは外側か内側か迷うような位置です。
外止め
細い弦はペグとペグ穴の間に挟まり込んで切れることがあります、これはどっち側に巻いても危なそう;とりあえず手前に畳んだ紙を当てて、巻いた弦が近づかないようにしています;

category: リュート

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C.ホグウッド:モーツァルト 交響曲No.25&29(LP)  

デジタル変換というプロセスがないアナログ録音は、演奏の場に響いた音の波形をそのまま記録・再生するわけで、そういう意味で"生"の音と言えるかもしれません。まあ、結果として出てくる音が良ければ文句はないですが;
micha
先日手にしたC.ホグウッドのモーツアルト交響曲No.25と29のLPに針を下ろしてみた。いつもどおりホグウッドは反復をすべて行った演奏で少々長くなるので、カッティングは省スペースで行われている、しかしノイズさえ無ければトレースエラーの起きにくい良い結果となる。'79年録音の当盤も最も進んだアナログ技術で聴ける。
moz sym 25 29
クリストファー・ホグウッド:指揮&通奏低音、
ヤープ・シュレーダー:コンサート・マスター
エンシェント室内O  1979年 オワゾリール


ホグウッドの前にも古楽器オケの録音はあったが、ピリオド・スタイルでは最初期となる。
A面、第25番ト短調(K.173dB)の始まりから従来の常識的?響きとは明らかに違う、これを始めて聴いた人は戸惑ったかもしれない、
快速にテンポを取った第一楽章の鮮烈さは今聴いても古くない、モーツァルトがこの曲を書いた1770年代は疾風怒涛期であり、ハイドン、ヴァンハル、ディッタースドルフなど著名な人達が挙って、優美で落ち着いた音楽とは違う短調交響曲を書いた、潮流があったらしい。この25番は1773年、17歳のモーツァルトがザルツブルクで書いたもの。
第一楽章では簡潔な展開部の最後に始めて現れる短い主題がある、
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展開部をおさめて緊迫した再現部に入るには効果的、ハイドンの「告別」と同様な感じだ。
第二楽章は前楽章との対比でとても穏やか。
メヌエットはト短調に戻り、のちの40番にも似た緊迫感を持つ。
終楽章は疾走する、疾風怒涛期らしい魅力。

B面の29番イ長調(K.186a)、第一楽章も速めでキビキビとした演奏が心地よい、旧来の演奏では冗長に感じていた楽章も引き締まってくる。こちらも展開部は手の込んだものではないが、後半も反復される。
第二楽章では弦に弱音器が付く、モーツァルトらしく優美だが、ハイドンの疾風怒涛期:緩抒楽章のような静謐で深い味わいには及ばないので、反復して10:25は、ちと長い;
メヌエットと終楽章はキレがあって爽快に決める。

category: モーツァルト

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夏のリュート対策  

リュートを練習するときだけ、エアコンを26℃で冷房&除湿に設定しています、体はたいして動いてなくとも、見えないところで筋肉使っているし、頭使うだけでも汗かくんですね^^;
いつも湿度55%くらいで落ち着きます。micha
湿度計
ガット弦が乾いてくると、軽くなって縮もうとするのでやたらピッチが上がります。
湿度70%→55%の間でかなり変化して、ひじょうに敏感です。こりゃあ、前の日の状態で調弦をいじらず、そっと空調に慣らしてから微調整したほうが良さそうです。
この楽器は約半分がガット弦で、あとの合成弦は湿度の影響なく安定するので、狂ったらそれらに合わせます。
13c_201608041454254a2.jpg

これはリュート(ギター)で夏の必需品、腕カバーですが、
腕カバー02
じつは車運転時の日焼け防止用です;これを右腕だけ着用しますが、写真のタイプは風通しの良いストレッチで快適です。しかし最近このタイプ見当たらないんです、どれも手の甲まである手袋型で、生地が厚いんですね、日焼け防止が目的なので仕方ないかな。

category: リュート

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The World of Boy Soprano  

日中はかなり暑く、夕方は強烈な雷雨、という天気が続いています;あまり重厚な音楽より、暑気払い音楽、と行きたいところです。a way
先日来、ハマりぎみですが、こんな1枚がありました。歴代の名をはせた少年chor、及びソリスト君達を集めたオムニバス盤で、古い録音も入っています。
boy sop 00
オムニバス盤にありがちな親しみやすい曲ばかりじゃなく、パレストリーナやアレグリなど、宗教曲の本命どころも入っているのが良い、またライナーノーツには全曲ではないが様々な言語の歌詞訳が載っているのも気が効いている。

boy sop001a way b
はじめの1~4は'95年頃、日本でも人気だったアンソニー・ウェイのソフトなBoy sopで始まる、当盤では最も新しい録音、ただ、バッハにグノーが曲を上乗せした3.「アヴェ・マリア」はあまり好きではない、ここで良いのは2.のブラームスくらいか、
5.を唄うジョナサン・ボンド、6.のロバート・キングはともに透明感のある声だが6.の曲はあまりBoy sop向きではない、そこをよく唄っているが。

boy sop002
さて、7.がS.クレオバリー指揮、ウェストミンスター大聖堂聖歌隊による、アレグリの「ミゼレーレ」、やっとそれらしい曲が聴ける;原曲どおり、パートはフル編成、ChoirⅠ:(S,S,A,T,B)、 ChoirⅡ:(S,S,A,B)の2群が交互に唄う計9声だが、実質最大で5声である。9声で唄うのは終結の6小節のみ。ChoirⅡのトップヴォイスで天を舞う高域を唄うのはソール・カーク、
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先日のBoys air choirのような完璧さはないが、透き通った声で、大聖堂でのライヴのような雰囲気が良い。ほか、8.~11.もBoy Sop本領発揮といったところ。

boy sop003
ちょっと驚いたのが、12.のモーツァルト:レクイエムの「ベネディクトゥス」、1951年の録音だが、このウィーン宮廷合唱団のソロ2人は大人の女声歌手のような発声法で、変声期が近いような重い声質、上手いのは良いが何だが逆に魅力半減?これは先日のテルツ少年chorのほうがずっと好ましい。
14.「魔笛」の三人の童子とくれば、やはりBoy Sop、メインの配役達のアリアをさんざん聴いたあとの三重唱はほっとする^^さすがウィーン少年chor、オケはG.ショルティ指揮:VPO
13.の「トスカ」、15.の「カルメン」はメインの存在ではないが、こんな活躍の場もある、といったところ。
暑気払いになったのは、7~11、14、くらいかな^^;

category: ルネサンス・バロック

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露払いカートリッジ  

昔の盆踊り会場などでは土埃の舞う屋外でレコードをかけていましたが、あれはすぐ痛むでしょうね;ノイズだらけの「炭坑節」とか・・これも風情だったかも?しかし室内の埃はほとんど繊維埃だと思うのであまり心配ないでしょう。買ってきたLP盤を内袋から出すとパッと静電気を帯びるものは良いです、盤面がいじられていない証拠、スプレーしてベルベットクリーナーで拭くだけで大抵OKです。micha
先日取り寄せたLP(バッハ:クリスマス・オラトリオ)です、
bach クリスマスO
出荷の際、このクリーニングマシンで洗浄してくれたそうですが、これは中古盤を扱う業者必需品のようです。
クリーニングマシンvc 660
たしかに目視では綺麗な状態でした、でも再生するとチリチリと付着物ノイズが・・;蒸留水で洗うマシンでも完璧とはいかないようです。
こういう盤は過去の持ち主が何らかの塗布剤を使って、経年で溝の中で凝固しているのではないかと思います、硬質ではないようですが、水洗いでは落ちないらしい、また蒸留水以外の水で洗うと溶けていた成分が結晶化する場合もあります。
水洗浄機が効かなかったので、今回水洗いはパス、まず試したのが、以前用意した「電動洗顔ブラシ」です、
ブラシ掃き
携帯マナーモードのバイブレーターと同じ仕掛けでしょう、毛先が極細のブラシが振動します。静電除去スプレーしたあと、ゆっくり滑らせ、空掃きしてみました、これだけで表面に粉っぽいものが出てくる!;空掃きでもある程度、付着物を掻き出せるようです。ひとまずベルベットで拭き取ります。
最後がこれ、届いたばかりのカートリッジ、AT440MLbです、
AT440MLb.jpg
AT社の新製品ですが、本体は普及タイプのVM(MM)型で、針だけマイクロリニア(ML)針を使ったリーズナブルな製品です。音場の透明感は少し落ちますがML針使用で歪みがなく通常使うにはわるくありません。
これで1回再生する;丸針よりも溝の内部に入るので、付着物を掻き出します、
埃02
黒い盤上にカイパーベルト天体みたいな粒々がいっぱい出てます、白い粒なので盤面が削れた粒じゃないです^^;これをあらためてベルベットで拭き取ればOK、その後はクリアーで盤そのものは良好でした、メインのMCカートリッジを使う前の露払いです^^v

category: オーディオ

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