Micha クラシック&リュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

好録音再聴:カラヤン-ベートーヴェン「運命」(LP 英国盤)  

カラヤンはオーケストラに新しい機能を求めた、BPOのコントラバスを最大10人ほどに弦を増強し、金管群が強奏しても各パートが聴けるようにとか、また演奏についても、低音楽器は(立ち上がりが遅れる分)早いタイミングで出るよう求めていて、カラヤンの"速いベートーヴェン・シンフォニー"の推進力を実現している。
カラヤンは録音技術にも拘っていて、生前の録音物に反映していたと思われる。'80年代の録音で、CDの鮮明な再生音を期待したが、意外なデッド・サウンドで、弦楽は分厚い塊、木管が遠い・・カラヤンの理想とする再生音かもしれないが、当時は不評だった。
1997年発売のDG SUPER BEST 101シリーズでこれをリマスターしたベートーヴェン「英雄」を聴いてみたところ、適度に残響が加えられ、デッドな感じからは脱したが、塊感は拭えない、ベームのリマスターCDほど良くはなっていない、どうもカラヤンDG'80年代のデジタル録音は今一つ。DG'70年代の録音はどうも音質が甲高いし;結局、最も良いのは'60年代の録音になってしまう、やはりLP盤で、ベルリン、イエス・キリスト教会でのセッションが良い。
再聴したのはドイツ盤で第5番「運命」をAB両面に分けてカッティングしたもの、micha
交響曲第5番ハ短調「運命」
kara be sym5a
ヘルベルト・フォン・カラヤン:指揮
ベルリン・フィルハーモニーO
1962年録音 DG

あのフリッチャイの「運命」と同じく、充実サウンドが満喫できる、違うのはカラヤンの推進力と痛快さで、凄いのは第三楽章でのコントラバス軍団、
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これは「運命」の録音史上最強かも、多勢のコントラバスが会場内一杯に響き、実在的なのが圧巻、これはCD化の音やLP片面に全曲収めた音では聴けない。終楽章はブラスが厚みをもって輝く、余裕を取ったカッティングのおかげで情報量の多い詳細な再生音だ。
kara be sym5b
↑デジカメでフラッシュを使い、自動露光させるとLP盤など黒い被写体は明るくなりすぎるので、指でフラッシュを半分ほど塞いで減光させています^^

今日もご覧いただきありがとうございました。

category: ベートーヴェン

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好録音再聴:K.ベーム-ベートーヴェン「田園」(リマスターCD)  

アナログ録音のCD化にあたり、何々の新技術でリマスターした、と謳われたものが多いですが、特に変り映えしないのが殆ど、しかし1993年発売のDGのNEW BEST 100で出たシリーズでは、リマスター云々は何も書かれていないが、音源のマルチ・トラックからバランスを取り直したような、好ましい仕上がりになっています。先日のベーム指揮:J.シュトラウスもそうでした。今日はベーム指揮、VPOのベートーヴェン「田園」のCDを聴きます。ホールの残響を多くし、自然で奥行きのある音場、低域のしっかり出るピラミッドバランス、音質も潤いがあり心地よい、O.スウィトナーの録音で馴染んだDENON-PCMの好録音に近い感じ?cd
交響曲第6番ヘ長調「田園」
boh be sym 6b
カール・ベーム:指揮
ウィーン・フィルハーモニーO
1971年録音 DG


第一楽章、ここは普通くらいのテンポ、VPOのしなやかな弦は絶品、ウィンナobがピンポイントで聴こえ、管もよいバランスで明快。ppをぐっと押えcresc.をかけるが強奏もvnが爽快、vcはたっぷりと潤いを聴かせる。
第二楽章、程よくゆっくりめ、ベームは過度にやんわりとはしない、始まりからこの2nd vn、va、vcが弾く小川の描写は端正で味わい深く、何かほっとさせる。
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木管も美しく、弦のじわっと歌いだすところがいい。ベームは消えかけのような淡い表現はしないので弱音にも筋が入っている。
第三楽章、ここも落ち着いたテンポ、ホルンの高鳴りとオーボエ、クラリネット、再びホルンと歌い継ぎ、各楽器が透明感を帯びて美しい。コントラバスの導入のあとの饗宴、重厚なサウンドで聴かせるが爽快でもある。
第四楽章、嵐の場面も決して乱奏的にならず、整った管弦楽を崩さない。十分迫力も聴かせながら、ブラスは透明、timpが要となって引き締め、常にバランスのよい響き。
終楽章、アレグレットで緩抒楽章的だが、オケの美質の聴かせどころでもある、管の導入のあと弱奏で入る弦のテーマは極めつけの美しさで始める、強奏に入ってもVPOのキメ細かい輝きを聴かせる、最後に弦がppでテーマを奏でるところはぐっと弱奏で祈るような雰囲気、ゆったりと聴かせているようで、じつは引き締めている。

LPのほうも少し聴いてみた、DGらしい中域に厚みを寄せた残響控え目のサウンドだが、これはこれでわるくない、弦の生っぽさなど、さすがLP盤。
boh be sym 6lp

今日もご覧いただきありがとうございました。

category: ベートーヴェン

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「パンプキン太陽」ほか面白天体  

今日はのんびり天体ウォッチングです、観測衛星や宇宙望遠鏡などが捉えた、地上からや可視光では見えない観測画像には面白いものが多いです。sun

パンプキン太陽
sun of the halloween
2014年10月8日、NASAの太陽観測衛星 SDOが捉えた画像、偶然にもハロウィンのジャック・オー・ランタンに見える?ただし紫外線や磁気帯を感知してこのように見えるそうだ。

日本列島の影(地球)
ひまわり8号がとらえた最初の画像だそうで、ちょうど日本は真冬の気圧配置、冷たい北西の風が日本海で筋状の雲を作り、日本列島に当って雪を降らせ、一旦途切れて太平洋に出て再び雲を作る、途切れた暗い部分が日本列島。
日本列島
なお、この画像では岐阜や愛知の平野部を雪雲が一筋横切っている、
日本地
若狭湾からは雪雲が素通りしやすく、風向きによってはこの地域も降りやすい。

*以下はHSTほかNASAの宇宙望遠鏡によるもの、
赤い長方形星雲 HD44179
HD44179.jpg
いっかくじゅう座 2300光年
「赤い長方形星雲」とか「X形星雲」とか呼ばれてきたが、スターショットが計画された今は「ライト・セイル星雲」が相応しいかも?ちなみにこれは惑星状星雲で双極形をしたタイプ、連星系の片方の星が寿命を迎え、ガスをまき散らすが、もう一つの星が周っていて、ガスの拡散方向が絞られて双極になるらしい。太陽など単独星の場合は丸く拡がる。

卵を抱くペンギン銀河 Arp142
Arp142_2016102909130316c.jpg
うみへび座 約3億3000万光年
これもHSTのお馴染み画像でArp142と呼ばれる、楕円銀河と渦巻き銀河が合体するところで、崩れた渦巻き銀河のペンギンの眼の位置がバルジにあたる。青っぽい部分は若い星が多い。

突き抜け輪っか銀河 Arp147
Arp147.jpg
くじら座 4億3000万光年
中央がすっぽり抜けた右のリング状銀河を左の銀河が突き抜けていったと思われる、衝突の際の圧縮で右の銀河は星形成が非常に盛んになっている、またリングの左下はバルジだった部分と見られる。X線観測からいくつかブラックホールも見つかっている、通り抜けた銀河のほうも変な恰好だ。このような衝突銀河は他にも見られる。

↓これはマニアックかな^^;
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今日もご覧いただきありがとうございました。

category: 宇宙・天体

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アルマ新発見 "渦巻き円盤に原始星3つ"  

このところ、最先端の望遠鏡による新発見のペースが早いですね。先日、アルマ望遠鏡で捉えた、渦巻きをもつ原始惑星系円盤について書きましたが、10/27の時事ドットコムニュース等によると、今度は同じく渦巻きをもち、3つの原始星が輝く連星系円盤「L1448 IRS3B」が発見されました。
アルマ
L1448 IRS3B:アルマ望遠鏡撮影
米オクラホマ大学などの国際研究チームが27日、科学誌ネイチャーに発表したそうですが、ペルセウス座、約750光年にある(この場合"原始連星系円盤"と言ったほうがよいのか)、これを発見した。中心付近に2つ、離れた位置に1つの原始星が見られる。またアルマが捉えた渦巻きをもつ円盤はこれが2例目となる、この円盤の直径は約800au(天文単位)と見られる。
*1天文単位(au)=太陽と地球の平均距離
追加画像
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左は現在のL1448 IRS3Bの状態、右は将来、これらの恒星が周るであろう軌道の予想図 (ALMA)
記事によると、「塵やガスが集まった段階では乱流が生じて分断され、その部分が密集して渦巻きになった段階で重力の作用で連星が形成されると考えられる」とのことだが、この様子を描いたCGによる動画もあった、
j w
動画→Planetary Formation: James Webb Space Telescope Science

空に見える星の約半分は恒星が2つ、3つ・・と周り合う連星系だそうで、見つかるべくして見つかったと言えるだろう。このような生れた時からの兄弟連星もあれば、通りすがりで重力が捕え合った他人連星、また双子座のカストルのような複合的な連星もあるだろう。
我々に一番近い、アルファ・ケンタウリ(4.37光年)も太陽サイズの2つの兄弟星?が周り合っていて、0.21光年離れたところを赤色矮星のプロキシマ・ケンタウリが周っている、複合的な3連星かもしれないが、同じ星雲内で生れた親戚かもしれない・・オリオン大星雲の中にもたくさん原始星円盤がありますから、
オリオン 原始星円盤
オリオン大星雲、原始惑星系円盤(HST)

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category: 宇宙・天体

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好録音再聴:T.ピノック-ヴィヴァルディ「四季」 ほか  

アナログ盤の秋^^?針を下ろすのがすっかり楽しみになった好録音を聴きあさっています。
コレッリの合奏協奏曲やヴィヴァルディのソロ協奏曲はのちの交響曲の元にもなったと言われ、合奏体の響きの効果を聴かせます。ヴィヴァルディ「四季」はいろいろ聴いた中で最後に落ち着くのはピノック盤やホグウッド盤になりますが、代表でピノック盤(LP)です、
カートリッジはAT440MLbを使用、ブリリアントなアルヒーフ・サウンドは申し分ない。
pin vi 01
サイモン・スタンディジ:vn
トレヴァー・ピノック:指揮
イングリッシュ・コンサート
1981年録音 アルヒーフ(ドイツ盤 銀ジャケット)


は溌剌とリズミカルに始まる、鳥のさえずりは複数のソロが弾くがこれが透明感があって美しい。vnソロの切れ味に合奏もぴたり同調する。中間楽章でのS.スタンデイジの装飾演奏はバッハか誰かの一節を聴くような理知的センスが聴ける。終楽章もジーグ風の快調なリズム感と弦楽が心地良い。
は特にシンフォニックな楽しみを聴かせる、始まりの気だるさ、鳥達のさえずりもつかの間、強風が襲う、その前はぐっと弱奏にするが、ここが引き付けてじつにいい、そして嵐、強引な響きを使わず十分なダイナミズムを聴かせる、中間楽章の装飾も流石、装飾にも様式美がある。終楽章は再び嵐、ここも強弱の対比で効果をあげる。
、第一楽章は活気とともに、ソロvnのアゴーギグの緩急が絶妙、強弱の対比も引き付ける。中間楽章はチェンバロのアルペッジョに乗って弦楽が無から現れるような開始、全般にぐっと弱奏で行く涼やかな微風。終楽章はリズムを弾ませ、ソロの切れ味もよい。
、第一楽章は急速インテンポでソロの切れ味もあり、寒さに凍える感覚、中間楽章、ここは爽やかな美音と格調高い装飾。終楽章はソロ、合奏ともに氷上の物理法則を感じさせるみごとなアゴーギグ、そして吹雪、痛快に最後をきめる。
動画→Vivaldi: Le Quattro Stagioni - Trevor Pinnock & The English Concert
*イングリッシュ・コンサートも新しくなっている、斬新でもあくまで美しい音楽。
動画→The English Concert 最後のほう 1:41:58 からはパッヘルベルのカノン。

話のついでに、A.アンセルミが率いるイ・ムジチ盤(2012年録音)を改めて聴いてみた、
i musici
このSonyレーベルはなくなり、今は「DYNAMIC」レーベルで出ている
こんな刺激の極端な音は聴いたことがない、この奏法でコレッリなどは想像つかない; 昔の殻から脱してはいるが、古楽を繁栄しているとは感じないし、ロック感覚か?、彼らは何処へ向かおうとしているのか?
参考動画(ライヴ)→2014Vivaldi Four seasons-Spring-I MUSICI in Korea

今日もご覧いただきありがとうございました。

category: ヴィヴァルディ

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シェリング&シュタルケル:ブラームス 二重協奏曲  

ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調
この作品はブラームスが交響曲第4番を書いた後、次の交響曲として着想していたものを、不仲になっていたvn奏者J.ヨアヒムとの関係を戻そうと、協奏曲に変更して協力を求めたそうですが、交響曲から転作するのはピアノ協奏曲No.1と似た経緯です。2つの独奏楽器があり、オーケストラも充実しているので、協奏交響曲と言えるかもしれません。こういう曲では、複数のソリストと指揮者の顔合わせでどのような融合を成すかが興味引くところでもあります。
vcのシュタルケルは1962年のDG盤でも、シュナイダーハンのvn、フリッチャイの指揮と組んでいた。今回はvnがH.シェリング、B.ハイティンク指揮、RCOとの共演です。
bra d con
ヘンリク・シェリング:vn
ヤーノシュ・シュタルケル:vc
ベルナルト・ハイティンク:指揮
ロイヤル・コンセルトヘボウO
1971年録音 フィリップス


第一楽章はオケが力強い第一主題の一部を前奏してすぐカデンツァ、vcの印象的なソロが入り、続いてvn、2人のソロはあまり張り詰めず、しなやかタッチでいくようだ、あらためてオケが各主題を提示、木管が第二主題を奏で、清々しさを与える、
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2つのソロとオケが掛け合っていくが、緊密でデリケートな室内楽的味わい、ソロの歌い継ぎのところも、一人が弾き進むかのように決まる、巨匠同士の阿吽の呼吸、
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展開部は長く、二部構成のようだ。
第二楽章はホルンで始まる穏やかで歌唱的なテーマでけっこう長くvn、vcがユニゾンで続く、2人のソロの一体感も聴きどころ、vnの低音域が使われるがシェリングは深いヴィヴラートと適度なポルタメントで滋味を帯びた演奏、シュタルケルのvcもさすが一体の味わいで奏でる。
第三楽章はvcソロで始まるリズミカルで愛嬌のあるテーマが支配的、このリズムに乗り、vnとvcは掛け合ったり並行したり、オケの木管もソロの一員となって関わったり、多様で巧みな聴きどころが盛り込まれる。
初演の時は賛否別れて、大成功ではなかったようだが、この内容を聴衆が一度で味わい切るのは難しいかもしれない。

今日もご覧いただきありがとうございました。

category: ブラームス

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好録音再聴:タルティーニ「悪魔のトリル」 2枚  

誰しも日頃の願望は夢に現れるようです。
バロック期のヴァイオリンのヴィルトーゾ、ジョゼッペ・タルティーニの夢に現れた悪魔が、
devil 2
人間技を超えた技巧とインスピレーションでヴァイオリンを弾いた、目覚めたタルティーニは楽譜に書き止めようとしたが、夢で聴いたはずの曲には遠く及ばなかった・・こんな逸話が残る、それでもこの曲は怪しの世界から持ち帰ったようにゾクっとくる、タルティーニが書いたのはvnパートだけなのか(低音パートは別人による?)、このへんはよくわからないが、3つの楽章のソナタで、終楽章に出てくるこの難技巧(らしい)トリルが副題の由来。micha
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G.タルティーニ ヴァイオリン・ソナタ ト短調「悪魔のトリル」
1枚目は通奏低音の付いた演奏、これは確か動画サイトで知って取り寄せたもの、古楽グループのパラディアンズの録音、
t d tr01
The Palladians
Rodolfo Richter, violin (Andrea Guarneri - Cremona 1674)
Susanne Heinrich, viola da gamba
Silas Standage , harpsichord
William Carter, archlute
LINN 2006年

vnソロのR.リヒターはグァルネリのオリジナル楽器を使っているそうだ、変幻自在な強弱、じわっと粘るポルタメント、半音パッセージの装飾、魔性の表情を存分に聴かせる。通奏低音も大いに加担している、チェロではなくガンバなのも雰囲気が合う。
第一楽章はシチリアーノのリズム、終り付近でW.カーターはアーチluteでこの悪魔的な和声を掻き鳴らし、強烈な印象、
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第二楽章、vnソロは悪魔的すばしこさ、バスラインをガンバ、チェンバロ、アーチluteの3人が重ねて強調する、
第三楽章、導入のアンダンテはvnとアーチluteのみで弾くのが効果的、vnソロのテクニックは最後まで圧巻。
動画→The Palladiansの演奏

もう1枚はアンドルー・マンゼが無伴奏で演奏したもの、
t d tr02
Andrew Manze, violin
harmonia mundi usa 1997年

第一楽章は密やかに弱奏で入り、怪しの世界から聴こえ始めるようだ、暗がりの奥で一匹の悪魔が弾くヴァイオリンがイメージできる。こちらは一人の演奏だけに表現は縦横無尽、なるほど、悪魔ならここまでやりそうだ、終楽章は特に凄い、
動画→Andrew Manzeの演奏

category: その他・バロック

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惑星"プロキシマb"に海があるかも?  

先般も話題にした、地球に最も近い恒星プロキシマ・ケンタウリに発見されたハビタブル惑星プロキシマbですが、フランス(CHRS)とアメリカの共同研究により、プロキシマbは水に覆われている可能性があるそうです。
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プロキシマb想像図 (NASA)
プロキシマbの大きさは地球の0.94~1.4倍と見積もられ、もし0.94倍なら水の量は惑星質量の0.05%以内、これなら広い海の一部に陸もあるかもしれない、1.4倍なら水は全質量の50%にもなるとのこと、大きいと大気や水の層も厚くなるだろう。因みに地球の水は0.02%だそうで、小さめのほうが地球に似てくるようだ、
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プロキシマbに陸がある場合の想像図
最大の1.4倍だとすると、全面が水深200kmの海で覆われるらしい、プロキシマbは中心星(プロキシマ・ケンタウリ)に極めて近いので、おそらく潮汐ロックがかかり、いつも同一面を中心星に向けているだろう、そうすると先日の想像図のようなアイボールアースの姿だろうか、
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アイボールアース (NASA)
水深が深いので夜側は表面は凍っていても下層では昼側で溶けた水、あるいは地熱で溶けた水が液体で循環しているかもしれない、人類の移住先とするには陸地が必要だが、厚い氷が表面にあれば、陸の代わりになるかも、しかし1.4倍は重力が強すぎるかな、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が実現すれば、詳しくわかる見込みですが、今後の観測に注目したいです。

*ケンタウルス座で最も明るいα星は1つに見えるが太陽サイズの2つの恒星の連星で距離4.37光年、さらにこの伴星として周る赤色矮星のプロキシマは現在4.24光年と最も地球に近い恒星。
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ケンタウルス座、プロキシマの位置

category: 宇宙・天体

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PC障害 ≪追記:復旧しました≫  

パソコンに障害が出たため、しばらくお休みします。

10/24、復旧しました。

category: 時事・雑記

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好録音再聴:リヒター、バッハ管弦楽組曲No.3&4(LP)  

今日もちょっと古い録音のLPです、古くからのバロックファンにはお馴染み、カール・リヒターのアルヒーフ盤ですが、同時期のフランスやイタリア系の音盤とはまるで違う趣きです。リヒターの演奏はまさしく楷書的で、直接音が主体の録音は決して綺麗なサウンドではないが;各声部が活き活きと湧きあがる、trpは鋭く、timpも生々しく押し出してくる、このある意味、武骨さにはちょっと嵌められてしまう;micha
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カール・リヒター:指揮
ミュンヘン・バッハO
1960~61年録音 アルヒーフ


管弦楽組曲No.3ニ長調BWV1068
序曲のグラーヴェはじっくりと反復される、フーガのアレグロに入ると各声部がしっかりとした足取りで整然と進められる。弦楽とob、fagoが重ねられる部分が多いが全員のぴたりと結束した合奏が筋肉質で味がある。弦楽のみのアリア、弦の編成は多いと思われるが、よく揃ったキメの細かい響き、何の飾りっ気もないが味わい深い。続く舞曲も序曲と同様に整然として活気に満ちた演奏。
動画→J.S. Bach Suite para Orquesta no 3 en Re Mayor, BWV 1068
演奏:K.リヒターほか

管弦楽組曲No.4ニ長調BWV1069
序曲、グラーヴェに続くアレグロは三連符に基づく付点リズムに終始するが、リヒターは折り目正しく引き付ける、trp、timpを含む祝祭的な作品と思われるが、弦と木管だけによる瞑想的な部分が少なくない、バッハらしい神秘的な要素が飽きさせない。この序曲はカンタータ第110番BWV110「喜び笑いあふれ」の第一曲に転用されている、
参考動画→Bach Cantate BWV 110-Unser Mund sei von Lachens
演奏:N.アーノンクールほか
カンタータが先に書かれた?ようにも思える内容だ。
終曲のレジュイサンスは傑作だ、複雑な対位法で書かれ、声部入り乱れたような聴き応え。
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レジュイサンス(弦パート):終わり近く
なお、この録音のCD化されたものは荒さが目立ち聴き辛かった、断然LPに軍配!
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category: J.S.バッハ

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燃料革命か?二酸化炭素からエタノールを生成  

すっかり話題になっていますが、米テネシー州のオークリッジ国立研究所の研究者が、別目的の研究中に偶然、二酸化炭素(CO2)から非常に簡単にエタノールを生成する方法を発見したと報じられました。これが広く実用化できれば、化石燃料に替る大革命に!?micha
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動画サイト→Nano-spike catalysts convert carbon dioxide directly into ethanol

その技術はシリコンの上に配置したナノサイズの銅と炭素に、添加不純物となる窒素とわずかな電圧を与えるだけでCO2を溶かし込んだ水を63%の効率でエタノールに変換する連鎖反応が常温中で起きるというもの、つまり非常に省エネで作れる。
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CO2は水に溶けやすいので、大気中から簡単に取り込むこともできる、これも低コストにエタノールに変換できれば本当に減らしていくことができる。
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「CO2削減」という言葉を曖昧に捉えがちですが、排出量を減らす、という意味でしょう、排出を続けているのに変わりない、植物などによる吸収が追いついて、大気中に増えすぎたCO2が減る方向になって本当の削減です。
省エネ製品を作るために多量のエネルギーを要しては本末転倒、RED電球やハイブリットカーの電池を作るのに、また廃棄処分にどれだけのエネルギーが要るのか?気になるところ。
エタノールはガソリン車に混合して使える、また貯蔵して、太陽光や風力発電など不安定電力を補う発電燃料にする、など考えられるようです。
今回のニュース、実用化に困難もあるかもしれませんが、方法が見つかっただけでも、明るい材料としたいです;

category: 科学・自然・雑学

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好録音再聴:ベームの J.シュトラウス(リマスターCD)  

ヨハン・シュトラウスⅡ世の名演で、先日のフリッチャイ盤のほか、もう1枚好きなのがK.ベームとVPOの録音です、こちらも充実した管弦楽が楽しめます。いつもはCDよりLPに軍配をあげていますが、今日は1997年に発売されたDGのLimited EditionというシリーズでCD化されたほうです。1971年録音の音源をリマスターしてホールトーンを多く取り入れたバランスに変わり、これが嫌味なく、英デッカの好録音みたいな音響、CD化の好ましい例かと思います。
ベーム j シュトラウス
カール・ベーム:指揮
ウィーン・フィルハーモニーO
DG 1971年


ベームのセッション録音も祝祭気分じゃなく、管弦楽としての醍醐味で堂々と聴かせるところがいい、ワルツでは「南国の薔薇」が一番好きですが、次々現れる各テーマが良く、特にこのテーマが出てくるところは浮遊するような心地よさ、
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1st vn パート
「皇帝円舞曲」はその名に相応しい、気高さがあり、このテーマが象徴的、
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1st vn パート
ベームはその前のppに対し、一際強く踏み出し、背筋が伸びる名演。
ポルカ「電光と雷鳴」はオーディオ効果も満点、ベートーヴェンの「田園」とは違い、シュトラウスは雷鳴を楽しんでいる、因みにシュトラウスよりもずっと前、1752年にはB.フランクリンが雲で雷が発生するメカニズムをつきとめ、その後避雷針も発明された、シュトラウスと同時代、1864年にはJ.C.マクスウェルが電磁気学を確率している、科学的に解かってしまえば恐るるに足らずか。
弦だけのピチカート・ポルカは音場感豊かで懐深く響く。

LP盤のほうは従来のD.グラモフォンらしいバランスの音響で、もちろんこちらもわるくない、こちらが好みの方も多いでしょう。
be シュトラウス
LP盤ジャケット

category: その他・ロマン派

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宇宙にある銀河は2兆個  

宇宙にある銀河の数は2000億個と推定されていましたが、AstroArts(10/17)の記事によると、英・ノッテインガム大学のChristopher Conselice氏らの研究チームにより、宇宙に存在する銀河は2兆個と見積もられたそうです、HSTの深宇宙観測画像を基に銀河の3次元の分布図を作成して、観測不可能な暗い領域の数まで推測できるそうで、結果が2兆個ということです。HUDf
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ハッブル・ウルトラディープフィールド(NASA)

またちょっと、疑問が・・
遠くを見るほど過去の情報で、見えるのは100億年以上前の宇宙初期の矮小銀河がたくさんある状態で、光路距離での見方では銀河の個数は多いだろう、それらの銀河も共動距離の見方では、我々の近傍にある銀河と同じように今現在は合体して大きく成長しているだろう、つまり銀河の個数としては減っているはず、今回発表された2兆個というのは光路距離で見えるがまま(過去の状態)の数、ということか?
また同じくAstroArts(9/30)の記事で、ハッブル・ウルトラディープフィールド(HUDf)と同じ領域をアルマ望遠鏡で捉えたと報じられた、
hst alma
HSTとアルマ望遠鏡画像の合成
紫:HSTが観測した銀河、オレンジ:アルマ望遠鏡が検出した冷たい塵とガスを含む銀河

これによりHSTでは観測できない、低温の塵や分子雲が捉えられ、これも初期宇宙の様子である、おそらくここに初代星や次代星のタイプが次々生れるものと思われるが、これから星が生まれてくるガスの集まりも銀河とみなすのか、銀河の定義付けによっても随分個数は変わってくるのではないか?

ここでの宇宙はインフレーションで始まったとされる、我々のいる1つの宇宙であり、多宇宙論が正しければ、同じように2兆個前後もの銀河を抱えた宇宙が無数に?あることになる。

category: 宇宙・天体

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好録音再聴:フリッチャイの J.シュトラウス(LP)  

ヨハン・シュトラウスのワルツを始めとする作品は、ウィーンのオケ中心に数多くの録音がありますが、それまでW.ボスコフスキーとかVPOのニューイヤー・コンサートのライヴ録音のようなものしか聴いたことがなく、フリッチャイ指揮、ベルリン放送響による抜きん出た名盤があることを近年まで知らずにいました。このLPはオークションのセット売りだった1枚、同じ録音がヘリオドールとDG SPECIALで2枚入っていて、良い方を聴いてくださいという感じ^^
DG SPECIALの方が良好でした。micha
フリッチャイ jシュトラウス 
フェレンツ・フリッチャイ:指揮
ベルリン放送交響楽団
1961年録音 DG


J.シュトラウスをこれほど真っ向から"管弦楽"の醍醐味で聴かせる演奏はほかにない、さらに本場の演奏家さながらの洒落た感覚も十分楽しませる。またサウンドが1961年当時の録音では飛びぬけて優れたもので、こういう盤は少し時が経つとまた聴きたくなります。
フリッチャイ jシュトラウス02 
J.シュトラウスの曲は概ね1st vnが主要なパートを取っていくが、フリッチャイは全パートをシンフォニックに操っている、始めの「こうもり」序曲から見事なもの、皇帝円舞曲などお馴染みのワルツもコンサート向けの王道を行く演奏、ラデツキー行進曲は、ブラスや打楽器が堂々と高鳴り、"行進曲"とはこういうものだったと気づかせる、トリッチ・トラッチ・ポルカは快速で活き活き、キレの良いこと、最後の「ウィーンの森の物語」では奏者はわからないが、ツィターがじつに名演、小音量のバランスだが、SN比の良さで鮮明に味わえる。

D.グラモフォンはかつて通称"チューリップ盤"とよばれる初期仕様だったが、当時の一般的な再生機に合わせ、帯域バランスを中域に寄せてあったようだ、(全てかどうかわからない)
dg
その後、ヘリオドール・レーベルなどから再版された頃から、HiFiバランスにリマスターされたようで、例としてフリッチャイ指揮のドヴォルザーク「新世界」がそうだった。

category: その他・ロマン派

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好録音再聴:フリッチャイの「第九」(LP)  

CDの収録時間は75~80分となっていますが、規格設定に当り、カラヤンの提案でベートーヴェンの「第九」が1枚に収まるのを目安とした、という話はよく知られています。
「第九」はLP盤1枚に入らないことはないけど、満足いく再生音にするのは難しかった、しかし兼価レーベルを中心に1枚ものは結構多かったです、1枚のスペースに長い「第九」をいかに収納してカッティングするか、技術的な出来具合にもマニアックな興味が湧きます。micha
1枚もので特に優れたのが、このフリッチャイ盤あたりかと思います、国内ではヘリオドールやDG SPECIALで再版されましたが、今日はたまたま見つけたドイツ盤です。
f be sym9
イルムガルト・ゼーフリート(ソプラノ)
モーリン・フォレスター(アルト)
エルンスト・ヘフリガー(テノール)、
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
聖ヘトヴィッヒ大聖堂聖歌隊
フェレンツ・フリッチャイ(指揮)
ベルリン・フィルハーモニーO
1957~1958年録音 DG


幸い、支障となるノイズ箇所が無く、ボリュームを上げて聴けますが、久しぶりにかけてみると、思ったほど上げずとも、少しでよいくらい、B面なんか結構スペースが余っている状態ですが、意外なほど充実サウンドです。1957年から翌年にかけての古い録音であるのも驚き。
f be sym9 b
フリッチャイ指揮のBPOにはフルトヴェングラー時代の空気が残っているようだが、音楽的に美しく治め、第一楽章は雄大ながら強引な表現には至らない、スケルツォも緊迫感十分に聴かせ、timpが鋭く飛び出す。緩抒楽章の傑作、第三楽章はBPOの美音を聴かせる、余韻を胸に留め、途中で盤を裏返すが、120小節から現れる金管のファンファーレ的なところ、
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122小節からのtrpのffをフリッチャイは一際強く輝かせる、これが見事な再生音で感極まる。終楽章の冒頭から前奏部分、ここも懐深く屈指の名演、そしてバリトンの第一声、潤いのある美声はD.F.ディースカウとすぐわかる、ディースカウの「第九」の録音はこれだけだそうで、貴重です。ソプラノのゼーフリートの透き通った声も良い。フリッチャイは声楽に入ってからはあまり粘らず、推進力を緩めず、痛快に終結する。

category: ベートーヴェン

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好録音再聴:フリッチャイの「運命」(LP)  

このところ毎日、LP盤ばかり聴いています、昨日の話題"昭和の電車"が走っていた頃の古い録音にも意外な好録音があります、古い録音は大抵、SN比が良くない、音に歪みがでる、テープノイズが入るなど我慢すべきところが多いのですが、たまに目の覚めるようなサウンドが聴けるものもあり、それもアナログ再生の楽しみです。micha
再掲ですが今日はF.フリッチャイのベートーベン交響曲「運命」のLPから"B面"を聴きます、これは盤状態の良いのを買い直したもの。
f be sym5
フェレンツ・フリッチャイ:指揮
ベルリン・フィルハーモニーO
1961年録音 ヘリオドール(D.G原盤)
 


第三楽章から、フリッチャイはゆっくりと深い溜めを置くような低音ではじめる、弱奏の力で引き込む、そしてここからの低音弦がくり出すf、
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BPOのコントラバス軍団は比類のないほど深々と響く、古い録音では低音はゴリゴリ響く場合が多いが、この録音は空気を揺さぶる本物の低音、終楽章へと移行するところも、弱奏で引き付け、急激なcresc.にtimpが思い切り溜めをつけて終楽章に突入、じっくり堂々たるテンポ、ここでの金管群の響きも歪むことなく爽快に輝く、弦楽サウンドも美しく、運弓のデリケートな味わいが伝わってくる、総奏もバランスの良い響きで終結。

「エグモント」序曲が追加されているが、これもフリッチャイならでは、いわゆるロマンティック時代の演奏だが、絶妙なテンポや強弱の変化でこの上なく引き付けていき、終結は快速に締めくくる、今でもこれを凌ぐ演奏はない。
f be sym5b
現在は中古盤が安く手に入り、カートリッジや針も優れたものが出ている、その他の機材も良くなっている、アナログ盤が新譜として出ていた当時より、大いに楽しめる環境です。

category: ベートーヴェン

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昭和の電車(30~40年代)  

秋の空気に満たされると気分も落ち着いて、つい懐かしいことを思い耽ったりします。
子供の頃はド田舎に住んでいただけに、電車に乗って街へ出かけるのはとても楽しみでした。
当時はこんな電車によく乗りました、
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名古屋鉄道(左は新型で特急車専用だった)
名鉄の新名古屋駅は昔から街の地下を通る地下鉄状態で、今のホームは新しいですが、トンネル入口付近は昔のままで古びています。
名鉄名古屋駅02
名鉄、新名古屋駅
満員電車に乗ると、乗客の化粧品や整髪料の香料でムンムン(当時は微香性じゃなかった)、そこに"仁丹"の匂いが混ざったみたいな^^?それが電車の中でした。そのまま店の並ぶ地下街を歩いたり、地下鉄に乗り換えて買い物に連いてまわりました。
名古屋地下鉄
名古屋地下鉄 初期型車両
父親達もそんな電車に乗って通勤、マイカーなんてまず持てない時代、通勤カバンとみやげの寿司折りか何かぶら下げて、革靴の音をギューギュー鳴らして帰ってきました。(*当時の革靴は表の革とライニングの革を接着せず、糸の縫い付けのみで、摩擦音がした、今でもオーダーメイドの革靴はそんな風だそうで。)

1年ってあっという間に過ぎてしまい、こんな記憶はすごーい昔に思えますが、それでもまだ数十回しか過ごしていない・・意外に少なく思えたり?不思議な時間感覚です^^;
こんな頃の音源を2つほど挙げておきます。
カゴメ
動画1:とんとんトマト:楠トシエ(CMソング)

コーヒールンバ
動画2:コーヒールンバ:西田佐知子

category: 時事・雑記

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O.スウィトナー:モーツァルト 序曲集(LP)  

湿度が一気に下がり、ちょっと小寒いほどになりました。エアコンをかけなくて済むので、いよいよLP盤がじっくり聴けます。micha
今日はO.スウィトナーのモーツァルト序曲集、これはCDを持っていたが、中古セールでLPを見つけ、迷わず購入、'70年代録音のETERNA(D.シャルプラッテン原盤)シリーズは期待が持てます。そして期待どおり、CD化の音より格段に素晴らしい、キメ細かく清涼な弦楽、懐の深い低域と音場感は比較にならないほど豊か^^v カートリッジAT440MLbで十分味わえる。
ベームの演奏も聴き始めで、ベームらしいと感じるが、スウィトナーも同様、こちらは外面的にはスマートな行書体と言えるタッチだが、ぴしっと気合いのこもった"芯"を感じる、ダイナミズムは低音、金管、timpの力感をもって有効に繰り出す、スウィトナー・バランスを録音はよく捉えている。
sui moz ouver
オトマール・スウィトナー:指揮
シュターツカペレ・ベルリン
1976年 ベルリン、クリストス教会


「後宮からの誘拐」序曲 1782年
鳴りもの楽器は控え目に響かせ、SKB本来のオケ・サウンドを爽やかに聴かせる。スウィトナーはいつもながら弦の内声もよく浮ばせて、緻密に聴ける。

「劇場支配人」序曲 1786年
オーストリア皇帝ヨーゼフ2世の依頼で作曲、ソナタ形式の充実した内容、速めのテンポで快活に演奏される。

「フィガロの結婚」序曲 1786年
物語としては「セビリアの理髪師」の続編となるオペラ・ブッファ、最も人気の高い序曲だが、スウィトナーはベームを上回る快速、しなやかな響きの中でビシっと引き締める、終結でのダイナミズムを一段と効かせ、爽やかかつ痛快、これも最高の名演。

「ドン・ジョヴァンニ」序曲 1787年
序奏部は荘厳に量感を持たせるが響きは清潔、モルト・アレグロは快速で軽快、爽やかに聴ける「ドン・ジョヴァンニ」である。

「魔笛」序曲 1791年
この序奏部も金管に委ね、力強く演奏、主部はやはり速めで軽快、スウィトナーらしい美質で聴かせる人気序曲の名演。

「皇帝ティトゥスの慈悲」序曲 1791年
皇帝ヨーゼフ2世の依頼で、あのレクイエムの作曲を中断して書かれたもの、ソナタ形式で展開部も深みを聴かせる、書法的にも最も高みに達している序曲ではないか、スウィトナーはこの傑作を最後に置いている。

PS.CDを購入したときは裏表紙にオケはSKBかSKDか?どちらか不明な印刷がされていたが、LP盤でSKBと確認できた^^;
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しかし、CDのほうは音が荒っぽくて、バランスも良くない・・;

category: モーツァルト

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K.ベーム:モーツァルト 序曲集(LP)  

今日はluteレッスンで桑名市まで行ってきました。ちょっと長距離を運転すると疲れるようになってしまい、帰宅して音盤を聴こうとしても睡魔が襲う^^;軽い短めの曲がいいです、取り出したのがカール・ベーム指揮、モーツァルトの序曲集、これはベームがあちこちのオケを指揮したオムニバス盤です、そこから5曲ほど、
boh moz ouver
D.グラモフォン

「魔笛」序曲
ベルリン・フィルハーモニーO 1964年録音

「魔笛」はジンクシュピール(歌芝居)であり、オペラより格が下がるが、音楽の内容はモーツァルト最高域でしょう、序奏に始まるソナタ形式、劇中のファンファーレを挿入して充実した展開部がある、ベームは交響曲さながらのかっちりした演奏。

「後宮よりの誘拐」序曲
シュターツカペレ・ドレスデン 1973年録音

これはモーツァルトがザルツブルク大司教と決別し、ウィーンでオペラで名を上げようとした力作、宮廷劇場のための作品で、トルコ風の鳴りものが入る、大太鼓はずっしり鳴るがあまり派手にはせず、SKDの上手さが引き立つ演奏。

「劇場支配人」序曲
シュターツカペレ・ドレスデン 1973年録音

これも歌が挿入された軽い芝居のようで、序曲だけが充実している、ソナタ形式で展開部の内容が聴きどころ、

「フィガロの結婚」序曲
ベルリン・ドイツ・オペラO 1968年録音

軽快なプレストで人気の序曲だが、この曲こそベームは快速なテンポをとり、楷書的に一糸乱れぬ演奏を聴かせる、数多い演奏の中で記憶に焼きつく名演。

「ドン・ジョヴァンニ」序曲
プラハ国立歌劇場O 1967年録音

「フィガロの結婚」がヒットし、翌年のシーズンに作曲された、荘厳なニ短調の序奏があり、ニ長調のアレグロ・モルト、ソナタ形式に入る、一段と凝った手法で味わい深い内容となっている。

以上、一貫してベームらしい演奏をオケや録音状態が替りながら聴くのも面白い。

category: モーツァルト

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K.ベーム:ハイドン 協奏交響曲&交響曲No.90(LP)  

このLPは持っていなかったので、取り寄せました、とてもお値打ちで盤質も良好。協奏交響曲と交響曲No.90という好きな曲のカップリングも嬉しい、ベームが録音したハイドンでこれが一番良いのでは、と思える1枚です、この録音も細部を聴かせる好録音。micha
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ライナー・キュヒル:vn
ロベルト・シャイヴァイン:vc
カール・マイヤーホーファー:ob
ディートマール・ツェーマン:fago
カール・ベーム:指揮
ウィーン・フィルハーモニーO
1973年 ウィーン、ムジークフェラインザール


協奏交響曲変ロ長調
4つのソロ楽器を持つ、ソリストはいずれもVPOのメンバーで、オーケストラの編成はあまり大きく感じない、程よいスケール感、
第一楽章、アレグロ、ちょうど良い快速なテンポ、ベームは例によって楷書的感覚で心地よく整った演奏を印象づける、各ソロ楽器もそれに良く調和する、vnとvcは力むことなく、いかにもVPOを代表するしなやかさ、それでいて骨格のしっかりした感覚、ウィンナobの線は細いけどくっきり響いてくる不思議な音色も魅力。4つソロが入れ替わり立ち替わり、重なりや掛け合いを聴かせるハイドンの書法も見事。
第二楽章、アンダンテ、ハイドンらしい温もりの主題、各ソロ楽器の持つ特性を活かしながら、じつに上手く書かれている、時折、vnとobが聴き分けられないほど、質的に溶け合っている、ここは指揮者より、4人のアンサンブルのセンスだろう。
終楽章、アレグロ・コン・スピリット、けっこう快速なテンポをとる、vnのレシタティーボも美しく決める、スピード感の中でソロ楽器はテクニカルで切れ味よく掛け合いを聴かせる。

交響曲No.90ハ長調
こちらもあまり編成の大きな感じじゃなく、程良い。この曲は交響曲としての書法も充実しているが、管楽器ソロの活躍が多いのも特徴、
第一楽章、アダージョ、アレグロ・アッサイ、ベームの演奏は序奏の開始からして、合奏音が常にかちっと結束し、たるんだ感覚はまったくない、主部も遅いテンポは取らず、快活で心地よい力感、第二主題はflとobが美しく奏でる、対位法の展開部も見事、再現部もひじょうに凝っていて聴き応えあり。
第二楽章、アンダンテ、味わいのある良い主題による変奏、短調の劇的な部分も置く、後半ではflソロの装飾的変奏が良い、弦楽の総奏で聴かせた後、vcソロの変奏を聴かせる。
メヌエット、気品と力強さをもつメヌエット主題、ここでも木管やホルン、trpの活躍が目立つ、トリオは趣きを変えずobのソロが美しい。
終楽章、アレグロ・アッサイ、ベームはちょうど良い快速なテンポ、合奏をかちっと結束させ、trpやtimpを伴う力感も効いて心地よい、展開部の目まぐるしい充実感も存分に聴かせる、ハイドンご愛嬌の終結部も痛快に決めて終わる。

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初版のジャケット

category: F.J.ハイドン

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超未来の星空  

19億年後、太陽は水素原子が核融合でヘリウムになり、膨大な熱と光を放出し続けている、ヘリウムは中心部に集まり、量が多くなると核融合が促進され、熱と光は増大する、今から19億年も経つと地球表面の平均温度は150℃になるという試算があり、そうなると生物は棲めない、水もすべて干上がる。

40億年後、アンドロメダ銀河と天の川銀河が衝突合体する、その際、星間ガスの圧縮が起こり、爆発的に新しい星が生れる、
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銀河合体後の星空
その頃、人類は地球にはいないと思われるが、夜空には青く若い星々が犇めき合って見えると思われる。

60億年後、核融合の材料が底をついてきた太陽は赤色巨星となって膨らみ、地球軌道の間近まで迫って来る、今のところ、ぎりぎりで呑み込まれないと予測されている。
太陽巨星
赤色巨星となった太陽
その時、太陽の表面温度は3000℃くらい、地球表面は釜で焼かれた陶器のようになるかも?
その後太陽は外層のガスをまき散らし、中心に白色矮星が残る。

10兆年後、宇宙は膨張し続け、銀河同士は遠く離れ、合体はなくなる、それぞれの銀河では星の材料は使い尽くされ、新しい星は出来ない、大きな星達はとっくに寿命を終え、極めて寿命の長い赤色矮星だけが残り、星空は赤く暗い星ばかりになる、
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10兆年後の星空
所々、青い星が見えるが、赤色矮星も寿命がくると、死の間際に温度が上がり、青く輝く青色矮星となる。星界の終焉は赤と青だけのコントラストになるらしい。なお、白色矮星として残っていた太陽は冷え切って、黒色矮星となっているだろう。
ここまでの時間スケールで見ても、今の宇宙は若く、生まれたてと言える。

10の34乗年後、物質も永遠のものではなく、いずれ陽子崩壊を起こして陽子の数が減り、軽い元素に変わっていき、早くて10の34乗年後には最小の水素原子も崩壊して消え去る、宇宙には形あるものは無くなり、その名残の光子が飛び交うだけの世界となる。

category: 宇宙・天体

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星の生まれる場所に"渦巻き"発見  

視力2000.0のアルマ望遠鏡による観測で、独・マックスプランク電波天文学研究所の研究チームが、また珍しい原始惑星系円盤を捉えた。へびつかい座、450光年にあるElias 2-27は渦巻き銀河に似た2本のアームを持っていた。Elias 2-27
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Elias 2-27 (アルマ望遠鏡)
拡大画像
星形成領域の星雲に阻まれ、可視光では観測できない対象をアルマ望遠鏡は特定の波長の電波観測により、このようにくっきり捉えることができる。中心にある原始星は約100万歳とみられ、全体は太陽から海王星までの距離より大きく拡がっていて、暗く塵の少ない隙間が見られる、ここは大きな惑星が形成されつつあるところかもしれない。謎はその外側にある渦巻き状のアームがどうして出来たのか?形成された惑星の重力の作用で円盤の外部がちぎられたのか、円盤自身の重力が不安定になった結果か?今後の惑星系円盤の研究課題となりそう。
外縁になるほど塵やガスの密度が低く、大きな惑星は出来ないと思われるが、今回のElias 2-27ようにアームが伸びた部分には中心星から離れた位置にも惑星が作られるのかもしれない。

これまでに見つかった原始惑星系円盤はレコード盤のようにまとまった円盤で、惑星形成部分と思われるいくつかの暗い隙間が見つかっていた、
HL星
おうし座HL星(ESO) 

tw星01
うみへび座TW星(アルマ望遠鏡) 

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うみへび座TW星(想像画)
この拡大像画は圧巻!→うみへび座TW星(想像画)

category: 宇宙・天体

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K.ベーム:シューベルト 交響曲No.5(LP)  

以前、シューベルトの「未完成」を取り上げた、K.ベームのドイツ盤ですが、B面の第5番をすっかり忘れていました、これも晩年近い録音。
この作品の興味深いところは作曲時期がベートーヴェンが第8番を書いた後で、ハイドン時代に戻ったような作風を見せていること、私設オーケストラのために書いたためもあってか、この時期としては楽器編成が小さく、ベーシックな古典派オケの規模で、
(フルート1、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、弦5部)
親しみ易い中にシューベルトらしい趣味も備えていることでしょうか。
ベーム sch sym5
カール・ベーム:指揮
ウィーン・フィルハーモニーO
1979年12月録音


交響曲No.5変ロ長調
第一楽章、アレグロ、木管で始まる溌剌とした第一主題と穏やかな第二主題、健康的で古典派的な趣味をもつ、ベームは落ち着いたテンポで折り目正しく組み上げる、展開部はさほど手は込んでいないが、再現部の変化が聴きどころとなる。
第二楽章、アンダンテ・コン・モート、ロンド形式、ハイドンの交響曲90番に少し似た主題、ベームはVPOの弦の味わいを活かすが、過度に甘美にはしない、前半は古典派を再現したような味わい、後半での調の移ろいはシューベルトらしい、ロンド主題の変奏的書法も入る。
第三楽章、アレグロ・モルト、ト短調、いつも話題にしているモーツァルトの交響曲No.40、メヌエットとの類似性だが、弱起で始まる主題の形は確かに似た所があるが、性格はNo.25に近い気がする、楽譜を比較すると、
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各メヌエットの開始部分
シューベルトNo.5とモーツァルトNo.25は全パートがユニゾンで明快に開始するのが印象強く、モーツァルトNo.40は対位法的である、いずれにしてもモーツァルトへのオマージュかもしれない、トリオは牧歌的に気分を変える。
終楽章、アレグロ・ヴィヴァーチェ、快活な主題のロンド風ソナタ形式で、ハイドンの終楽章を彷彿させる、展開部にもまして再現部の充実がすばらしい、ここではベームは意外に急速なテンポをとる、他の作品でも効果的な場合はハイ・スピードで聴かせる、しかし、楷書的なきっちりした整え方は変わらず、畳み込む快演となる。

category: シューベルト

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音を左右するフレットガット  

リュートのフレットガットは金属フレットに比べ、軟質です、フレットガットは太くなるほどクッション効果が増して、弦の振動を吸収するようで、ローポジションならさほど問題ないけど、ハイポジションにあまり太いのを使うと音が伸びなくなります、
11c f
径0.9mmまでを限度と考えています。フレット数の多いバロックリュートでは大抵ローポジションからハイポジションにかけて細くしていき、弦高の調整にも関わります。
あと大事なのは指板面に隙間なくしっかり絞めること、フレットガットが太めで硬質なタイプだと、しっかり絞めたつもりでも、指板の角付近で浮いていたりします、1コースが一番影響受けやすいですが、目視でわからないほど僅かに浮いていても音が鈍ります。
以前にも載せた交換手順ですが、
参照→フレットガット交換の手順
↑これの③の段階に付け加えたいのが下の図です、フレットガットが太くて硬質な場合はこのようにしています。
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*①は強調して描いてある

因みにフレットガットはメーカーによって質が異なります。
アキーラ社:しんなりしていて、太いものでも絞めやすい
ピラミッド社:硬質で弾力も強く、太いものは結び目が絞まりにくい
キルシュナー社:硬質だが、ピラミッド製よりは若干絞めやすいかも
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結び目が絞まりにくいものは、そのあたりをしごいてヘタらせてから結んでいますが、それでも結びにくいかな;0.7mm以下の細いのならいずれも問題ないでしょう。

category: リュート

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レコード盤のカッティング  

新たにLP盤を購入して、まずは盤面をよく観察します、目に見える傷や突起はないかと、無ければ一安心、同時に音溝の様子を見て期待感を抱くことがあります。この写真は盤面に灯りを当てて反射させたところ、
sawa lp
このLP盤、じつは先日CDのレビューを書いた、
W.サヴァリッシュ:ベートーヴェン 交響曲No.7
の録音と同じものですが、第二楽章のトラックで"カッシーニの隙間"みたいに暗いところがあります、暗い部分は音溝が非常に細くなっている部分で、弱音の部分では出来るだけ幅を詰めて、強音の部分に十分スペースを与えるカッティングです、DGのLP盤でもこのコントラストが強い状態をよく見ますが、限られた盤面スペースにできるだけダイナミックレンジを大きく収める技で、こうした盤からは充実サウンドが期待できます。マスターテープを先読みするヘッドがあって、自動でカッティング幅の調整もできるらしいですが。
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このLPは当時お馴染みの兼価盤シリーズ(fontana:日本フォノグラム)の一枚で出ていたんですね、兼価盤は丁寧に扱われない場合が多いですが、幸いこれは良い状態でした、'62年録音で、先日も書いたとおりの名演、名録音を針で拾いあげていますが、じつに潤沢なサウンドでこれは手放せない。

なお、LP盤では大抵、演奏が始まる前の無音部分にかすかに始まりの音が聴こえ、"ゴースト現象"と言われますが、鑑賞には支障ないです。初めはマスターテープの巻かれて重なった部分に磁気が転写された音かと思っていましたが、じつはカッティングの際にカッター針の振動が外側の無音部分にも僅かに伝わって波形が残されてしまうのが原因らしいです。昔はこのゴースト音やマスターテープのヒスノイズなど、よく聴こえていましたが、今はあまり気になりません? 加齢とともに耳も程よくエイジングされてきたようで^^;

category: オーディオ

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K.ベーム:モーツァルト 交響曲No.39&No.36「リンツ」(LP)  

秋雨前線や台風で日照不足が続きました、やっとカラリとした天気になりましたが、明日までのようですね;

しばらくK.ベームが続きます、今日もLP盤でBPOを指揮したモーツァルト、No.39と「リンツ」です、これも最初の購入時から保存していたもの、ジャケットはまさに"DG"らしい、録音は'60年前後かと思っていたら、1966年だそうでそんなに古くないのが意外。のちにベームはVPOとも39番を録音していますが、「リンツ」の新録音はないので、これは貴重です。
当録音は音場の透明感はさほどじゃないけど、各パートは明瞭に聴ける好録音。
ベームのモーツァルトの演奏スタイルは武骨?とも言えますが、合奏音の一つ一つが完璧に整っていて端正な響き、流線美を備えたモーツァルトをあくまで楷書的に演奏するのが飽きの来ない味わいかと思います。
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カール・ベーム指揮
ベルリン・フィルハーモニーO
1966年2月 ベルリン、イエス・キリスト教会 DG

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今日はAT440MLbで聴く

第39番変ホ長調
序奏部で印象づくのが、この録音ではtimpが心地よく締まった響きで合奏の要となった感覚でこれは飽きない、主部は適正なテンポで整然と行く、この楽章はtimpの打つリズムが凛々しく、付点で足取り軽やかところも魅力、
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展開部
各パートはバランス良く、明瞭に味わえる。
第二楽章、変イ長調で展開部をもたないソナタ形式、緩抒楽章でも折り目正しい感覚、ヘ短調となる劇的な部分でも程々の力で極端にはしない。
メヌエット、アレグレットは例によって骨筋通った感覚だが、のちのVPOとの演奏とくらべ、さほどガチガチではない感じ、これはVPO盤のほうに嵌められたが;
終楽章も程良い快速で、整いきっている。

第36番ハ長調「リンツ」
ハイドンの作風の影響が出た作品で、響きの対比を明確に聴かせ、緩抒楽章でもtrpとtimpが効果的に使われる。
第一楽章、序奏はあまり流さず区切りを付ける、主部は意外と速めのテンポで始まる、ゆったりとした主題の開始と切れ味鋭さの対比が聴きどころ。
第二楽章、簡潔なソナタ形式で優美な主題、展開部ではこの主題をいくらか変奏的に扱うのが美しい、timpが弱奏で使われるが、意外に深々と聴こえて効いている。
メヌエット、典雅な主題のメヌエット、しっくりと落ちついたサウンドで端正におさめる。
終楽章、活力と歓喜に満ちた楽章だが、ベームは冷静な一面で押え、様式感をきっちりまとめ、結果的に快演として感じる。

category: モーツァルト

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K.ベーム:モーツァルト セレナードNo.9「ポストホルン」(LP)  

CD時代に入り、アナログ期の録音の多くもCD化で復刻されるようになり、一旦はアナログ再生を止めて、LP盤も殆ど処分してしまいましたが、知人から良いカートリッジがあると奨められ、しまい込んだプレーヤーを出してきて試しました。AT社のAT7Vで当時はVM型の上級仕様でしたが、わずかに残っていたLP盤を聴いて、特に印象深かったのが、DG盤でK.ベームのモーツァルト「ポストホルン」の1枚でした、1970年録音で、弦楽の潤沢で清々しい響きがCDとは一味違うと感じ、これがアナログ盤再会のきっかけに。
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カール・ベーム指揮
ベルリン・フィルハーモニーO
1970年、ベルリン、イエス・キリスト教会 DG

AT7Vは生産終了してから交換針もなくなりましたが、後継機のAT5Vが出て、その針が使えるとわかり、取り寄せて久しぶりに使ったところ、カートリッジの特徴が記憶どおりに聴こえてくるもんです。
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本体:AT7V(交換針:AT5V)
あまりワイドレンジじゃなく、中域がしっかり骨太に再生されるのが気に入っていたところです、DG盤にはぴったりきそうな。今日はそのちょっと懐かしい音の再現です。

セレナードNo.9ニ長調「ポストホルン」
7つの楽章があり、長大、ベームはいつもと変わらぬ弦編成でセレナードを交響曲さながらに、真剣勝負で聴かせる、
第一楽章など交響曲並みの内容でBPOの重厚なサウンドが効いてくる、短い序奏に続く提示部はモーツァルトらしく痛快、展開部が終わり、再現部や終結部がやや冗長で大いに盛り上げるところは娯楽的に思える。
第二楽章、メヌエット、アレグレットも気品を帯びた魅力がある。
第三楽章、コンチェルタンテはflとobのソロが活躍する、続く第四楽章、ロンドでも同様にflとobのコンチェルタンテになっている、この2つの楽章は時間繋ぎというか、軽いお手並みであまり特筆することはない、
第五楽章、アンダンティーノはニ短調となり趣き深い、セレナードの楽章としては意外に思える、転調も印象的でオペラの悲劇的場面の情景を思わせる。
第六楽章、堂々とした風格で始まるメヌエット楽章、初めflがソロを演奏、二番目がポストホルンのソロ、当盤の奏者はホルスト・アイヒラー。
第七楽章、フィナーレ、プレストは快活で充実した終曲、展開部ではセレナードにはもったいないような見事な対位法が用いられる、さすがに終結は華々しい。
第三、第四楽章を除いては、ベームの堅実な演奏が効いてじっくり味わえる。

category: モーツァルト

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S.ラトル:ハイドン 交響曲No.91&No.92「オックスフォード」  

ハイドンの演奏に当って、あまりにいじりまわして嫌味に感じる場合もあるが、先日のK.ベームはそんなことは一切ない。
しかし、楽譜に記された以外の強弱や表情記号も作品の表情を適切に捉えた追加なら大いに良い、今日はそれを見事に聴かせるサイモン・ラトル指揮、BPOによる、「91番」と「オックスフォード」。
rattle hay sym 91 92
サイモン・ラトル指揮
ベルリン・フィルハーモニーO
2007年 EMI ベルリン、フィルハーモニー

ラトルはバーミンガム市響と録音した頃と変わらず、強弱を幾重にも設定したような巧みなデュナーミクを速いテンポの中で緻密に表現していく天才的な手腕。BPOのサウンドは現代のハイドン演奏にふさわしい澄んだ響きと鋭いダイナミズム。

91番変ホ長調
第一楽章、序奏は主部の主題要素を含んだ優美なもの、主部は快速なテンポ、ゆったり始まる第一主題、36小節からのfはラトルは思い切って弾ませ、心地よさこの上ない、澄んだ弦楽の響きと木管の色彩もじっくり味わえる。第二主題は涼やかなレガート、低弦も明快に押し出し、展開部の対位法も立体的に聴かせる。
第二楽章、内容豊かな変奏形式だが、ラトルはさらに時代趣味に乗っ取った装飾演奏をふんだんに加え、特にファゴットのソロが技を聴かせて華を添える。
メヌエット、活気と切れ味の演奏で彫が深い、レントラー風のトリオではテンポを緩め、穏やか、ここもファゴットの装飾演奏が目立ち、ファゴット・コンチェルトみたいな印象。
終楽章、この楽章も展開部のみならず、終結に至るまで対位法を散りばめた聴き応えをもつ、ラトルはやはり快速なテンポに緻密なコントロールで表現すべき内容を隙なく実現する。

92番ト長調「オックスフォード」
第一楽章、序奏はぐっと弱奏で涼やかに開始、主部アレグロは速いテンポでキビキビと歯切れ良い、弱奏で開始してfに入る25小節、timpを少し荒々しいほどに効かせる、展開部の116小節で一旦ぐっとpに押え、122小節に向けてじりじりcresc.をかけるところなど、じつに効果的で引き付ける、
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同様の効果を随所で用いる。
第二楽章、三部形式のアダージョはゆっくり深い息づかいで始める、ニ短調の中間部は少し速めになり、ダイナミズムで切り立てる。最初のテーマに戻り、最後は中間部テーマを穏やかに聴かせて終わる。
メヌエット、現代らしい速めのテンポだが、大きなスパンでまとめた強弱表現が心地よい、トリオではホルンがエコーの効果を出し、新鮮な聴きどころにする。
終楽章、プレスト、快速で切れ味よく、寄せては引く強弱の波、ぐっとpに押えてfの効果をだすが、BPOは決して乱暴な響きにならない、また聴かせるべきパートはぐっと浮ばせる。

category: F.J.ハイドン

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展開と収納  

翅を擦り合わせて鳴く秋の虫の季節ですが、夏の昆虫の話です;
トンボは前後2対の翅を駆使した、最も高度な飛行技術を持ちます、飛びながら他の小昆虫を捉えて捕食するため、飛行技術は何者よりも上回っている必要があります、しかしトンボは翅を折り畳むことはできません。
一方カブトムシに代表される甲虫は前翅が変化し、鞘翅(さやばね)という保護殻となって、収納された後ろ翅のみで飛びます、
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カブトムシなど多くの甲虫はまずおもむろに鞘翅を開き、後ろ翅を展開して飛びますが、開きっぱなしの鞘翅は風の抵抗を受けやすい、そこで技術開発したのがカナブンです、
動画→カナブンの飛び方
これはかなりの進歩でしょう、しかし飛行技術としては移動するのみのレベルです。

ここで本題としたいのは甲虫の仲間の後ろ翅の展開と収納です、これも高度な折り紙技と言えるでしょうが、鳥の羽より複雑に畳まれ、絡まることなく、さっと開き、さっと収納できるのが見事、翅脈で仕切られた翅の折り方に秘訣があるようです。
Maybug.jpg
ヨーロッパコフキコガネ Wikipedia
甲虫だけ見ても、先祖は単細胞だったであろう生命をここまで巧妙に自然が技術開発?するとは信じ難いことです;恐竜が登場する前、古生代には完成していたそうだし;

こうした高度な折り紙技は宇宙開発にも応用されていて、ソーラー・セイルやライト・セイル、折りたたみ型観測機器など、様々なユニットを狭いスペースのロケット内に収納して打ち上げ、宇宙空間で展開できます。
ph_thumb nasa
ソーラー・セイル NASA
*ソーラー・セイル:太陽が発する粒子(太陽風)を受けて推進する方式と光の圧力のみで推進する方式(ライト・セイル)がある、スターショット計画は後者の方式
場合によっては素早く収納できることも重要になってくるでしょう。人間が必要とする技術のヒントは自然界にいっぱいあるようです。
参考→ ミウラ折り(wikipedia) 

PS.これも、収納、展開技ですが、人間の作る提灯や蛇腹の技です、昆虫の幼虫の体にも通じるかもしれません、
BEAM_module_expansion_series_201610031329525be.jpg
NASAと契約した企業が開発した、BEAMモジュール
これで宇宙空間に簡易な居住スペースが作れるんですね。

category: 科学・自然・雑学

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K.ベーム:ハイドン 交響曲No.91&No.92「オックスフォード」(LP)  

このLPも新譜で出た当時から保存していたものです。ベームが「オックスフォード」を録音したと知り、さっそく店で取り寄せてもらった憶えです。最後に針を下ろしたのは何時のことだったか?;1973-1974録音のハイドン、91番とのカップリングです。
ベームはモーツァルトにおいても、その楷書的な演奏が功を奏し、飽きの来ない味わいを持たせているが、今日はハイドン、作品自体が楷書的で、当然ぴったりくる。またこの録音も各パートが明瞭、VPOの魅力もよく捉えた好録音です。(針→カートリッジを通して聴く弦の味わいは何故こんなに瑞々しいのだろう^^)
ベーム hay sym92
カール・ベーム指揮
ウィーン・フィルハーモニーO
1973-1974年録音、ウィーン、ムジークフェラインザール


第91番 変ホ長調
この作品はtrpやtimpは入らず、ベーシックな編成にflが1本加わっただけの小ぢんまりした編成、しかし対位法を駆使した作法は「オックスフォード」を上回るかもしれない凝った作品。ベームはVPOならではのしなやかな美音を活かすが、一音ずつに筋が通った感じだ。
第一楽章、序奏部には主部第一主題を予期させる要素がある、主部は半音階のなだらかな第一主題が頭から2声の対位法で始まる、
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主部の始まり
36小節からfで活気を付ける、第二主題も優美な性格。展開部は第二主題の結尾で入り、第一主題による巧妙な対位法が聴きどころ、再現部から終りまでも展開部が続いているようだ。
第二楽章、変奏形式、主題は簡潔でありふれた印象だが、変奏の内容が目を見張る聴き応えで引き付ける。
メヌエット、このメヌエット主題も特に個性的ではないが、書法の充実は一味違う、レントラー風のトリオでも、木管同士の多声的重なりが楽しませる。
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トリオ 後半部分
終楽章、後の第一期ロンドンセットの曲はわりと簡潔なフィナーレが多いが、明らかにそれらを凌ぐ充実した内容。

第92番 ト長調「オックスフォード」
ハイドンの交響曲で「オックスフォード」が一番の傑作だという評論家もいるし、102番だとする人も少なくないのを何かしらの記述で目にする。
第一楽章、この序奏も主部を予期させる内容をもつ、ベームは意外なほど弱奏でデリケートに開始、主部は属七和音で始まり、25小節のfで主和音となる、第二主題で開始する展開部は傑作、ベームはじっくりしたテンポだが強弱の対比、折り目正しさが心地よい活気を与える。
第二楽章、三部形式で優美な主題に始まるが、ベームは程々の表情に控え、甘美に過ぎないところがいい、短調の中間部の力感も極端にしない。
メヌエット、ベームのゆっくりめで堅牢な味わいもわるくない。
終楽章、程良く快速なテンポ、この楽章も、ロンドンセットを凌ぎそうな巧みな内容、演奏には様々なアプローチがあって良いが、ベームは隅々まで緻密に味あわせる名演。

category: F.J.ハイドン

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