G.クーパー:Haydn Sym No.41 
2018/12/31 Mon. 10:44 [edit]

ガリー・クーパー指揮、アリオン・バロックO
収録曲で印象的なのがNo.41で、R.ランドン版のスコアにはtrpとtimpが入っているが、これらを省く演奏もある、A.ドラティやB.ヴァイルの盤を聴くと入っていて晴れやかであるが、C.ホグウッドや当盤のG.クーパーは省いている、ホグウッドは単にtrpとtimpを外した演奏になっているが、G.クーパーはtrpパートの[72]からをhornに演奏させて効果を上げている、hornによる柔らかな高音が見事で心地よい、


you tube:Symphony No. 41 in C Major, Hob.I:41: I. Allegro con spirito
第2楽章、疾風怒濤期の緩叙楽章としては深みはないが、ここだけflが入り、延々と弦楽器的なアルペッジョを吹いたりするのが面白い、

you tube:Symphony No. 41 in C Major, Hob.I:41: II. Un poco andante
メヌエットを聴くとtrp、timpが入るのが前提のような曲に聞こえる、トリオでは本来からhornが高音を担当し、聴かせどころとなる、
終楽章 Prestoは爽快に短く終わる。
カップリングされたNo.44「哀悼」も指折りの良い演奏だ、終楽章の急速な中にも巧みな強弱の設定があり、特に[96]からが引き付ける、

前半、後半とも反復している。

you tube:Symphony No. 44 in E Minor, Hob.I:44, "Trauersinfonie" (Mourning) : IV. Presto
もちろん4つの楽章とも魅力で、あらためて天才の書く曲だと思う。
さて、今夜は寒~い神社で年越し;皆様、よいお年をお迎えください。
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category: F.J.ハイドン
モダンな古楽器 
2018/12/30 Sun. 11:39 [edit]

リュート属の楽器は100%昔のまま、を目指すと、忠実な複製楽器に総ガットで弦を張ることになるが、これも現代の公開演奏では難しいようで、レコーディングで使われるくらいだろう、
できるだけオーセンティックな響きで、扱い易い弦が欲しいという、たぶん世界中のリュート弾きの希望に応えてきたのがAquila社のようだ、それには試行錯誤の歴史がある、
J.リンドベルイが1992年に録音した、バッハのリュート作品全集より、

you tube:J.S.Bach Suite in E minor Bwv 996 -Jakob Lindberg- II.wmv
この録音の楽器には当時Aquila社が歴史的低音弦として再現したローデド・ガットが使われ、これはガット素材に金属で重量を加えたものらしい、他の弦もガットで揃えてある、ローデドgutは音質的には成功していたが、均質に作るのが難しいのか、何本か試したが振動不良で使えないのが多すぎた、

ローデド・ガット
またガット製ゆえに湿度によるピッチの狂いも大きい、短期間で製造を終了した、その意味でもリンドベルイの録音は希少である・・この頃から25年程も経っているのがウソみたいだ、そりゃ白髪も増える^^;近年になって、合成素材によるローデド・ナイルガットが作られ、ようやく問題点は解消されてきた、

ローデド・ナイルガット
出たばかりの頃は切れやすいという初期の問題があったが;それもどうにか改良された。

PS.バッハが所有していたとされる、ラウテンヴェルク(リュートハープシコード)も楽器自体が残っておらず、実際どんな楽器だったか正確には不明だ、想像復元された楽器で、録音に使われた楽器にはハープ、リュート、ガンバ用など様々な弦が使われているようだ。

you tube:Lute Suite in E Minor, BWV 996 :
IV. Sarabande
V. Bourree
VI. Gigue
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category: Instruments
昭和の暖房器具 
2018/12/29 Sat. 10:21 [edit]

今日は雪のち晴れの予報、なんとか溶けてほしい、でもしばらく気温は低そう、明日は朝から神社で迎春準備の作業がある、
何かやるときに限って、夏は一番暑く、冬は一番寒い^^;
小学生の頃、当地方でも寒い日が多かった、毎年結構雪が積もり、深すぎて長靴でも中に雪が入ってきて冷たいし歩きにくいし;気温の下がりかたが今とは違っていた、学校の中庭にある池が上を歩けるほどに厚く凍り、軒下の日陰に溜まった雪は春まで溶けなかった、地球規模の寒冷期というのもあり得なくはないが、その後こんな寒さは記憶にない、
学校の各教室にはダルマ型のコークス・ストーブがあり、ストーブ当番が回ってきた、


断熱効果などない校舎の教室をこのストーブ1台で十分暖める火力があった(窓の近くは寒い:冷放射)、排気は煙突を通すので安全、授業が終わるタイミングで燃やし切るように当番は調整したが、コークスを入れすぎたときは、水で強制消化していた;
そして下校時は北風が冷たい、日中一度溶けた水たまりにまた薄氷が張りだしていた、
家に帰って玄関を開けると、レンタン火鉢の独特の匂いが迎えた、当時は隙間だらけの日本家屋で一酸化炭素中毒の心配はなかった;うちにあったレンタン火鉢はまさにこのタイプ、レンタンの火付けはガスコンロの上でやって、これで正月の黒豆も煮ていた、

あとはコタツに足を突っ込む、暖まるとしもやけの足がかゆくなる、反対側に座っている親父がかゆい足の指をマッサージしてくれた、この痛さと心地よさの中間が極楽だった^^
やがてレンタンは使わず、ガスストーブ、灯油ストーブへと替えていったが、火力は十分だった、家にあったガスストーブはまさにこんな感じ、

ガス ストーブ
今は気密性の高い家屋になって、電気の暖房のみとなった、
災害時、電気が使えなくなると、石油ファンヒーターさえ使えない、火をつけるだけのストーブが頼りになるが、通気を確保しないと・・;
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category: 時事・雑記
J.リンドベルイ:J.Dowland Lute music 全集 
2018/12/28 Fri. 10:16 [edit]
もう一つ絶好なのが、J.ダウランドである、"Fancy"のタイトルを持つ曲はポリフォニックに出来ており、憂愁で深く瞑想する雰囲気の曲もある、手持ちのCDでは、ヤコブ・リンドベルイの端正な演奏で収った全集が良い、3mほど前に奏者が居るような実在感のある録音だ、

ヤコブ・リンドベルイ:Lute
Brilliant Classics(BIS原盤)
you tubeにはこれより過去にL'Oiseau-Lyreに録音した演奏がいくつか挙っている、
このA Fancyは良い曲で"Forlorn Hope Fancy"の別ヴァージョンのようだ、フィゲタの1つ1つの音がじつに丁寧、

you tube:Dowland: Lute Music - England - A Fancy
もう1つ"Lachrimae"
you tube:Dowland:Lute Music - England - Lachrimae
この当時は低音弦には巻弦を使うしかなかったようだが、最低音コースまでユニゾンに張っている、やはりダウランドはユニゾンだ、
リンドベルイ氏の新譜"Nocturnal"のデモ動画があった、夜にふさわしい曲だ、


you tube:Nocturnal - Jakob Lindberg, lute
サム・インサイドで弾いている、
楽器の弦を見ると、1~4コースがNG、5コースがKF、6~8コースがローデドNGで、だいたい考えることは同じだ、
NG:(ナイルガット)Aquila社の合成弦
KF:Savarez社のフロロカーボン弦
ローデドNG:Aquila社の低音専用弦
真似しっ子なので、最低音Dまでユニゾンに張り替えた^^

弦の太さが同じになって、押弦しやすい利点もある、

ちょうど使えるローデドNGが余っていた、深い沼のような響き;
低音のブリッジの穴はダブルの間を空けて広げた、そうしないとぶつかりやすくなる、
PS.リドベルイと同世代で活躍するN.ノースの演奏も挙げておく、こちらは低音をオクターヴにしている、曲はダウランドの"Forlorn Hope Fancy"

you tube:Nigel North: Dowland set 5
もう1つ、"Lachrimae"ほか
you tube:Nigel North: Dowland set 1
右手のフィゲタはサム・アウトサイドにしている、
巻弦がなくなり、5コースが"KF"ってところは共通のようだ^^
*フィゲタ:親指と人差し指を交互に使い、パッセージを弾く奏法、
*サム・アウトサイド:右手の指の構えで、親指が人差し指より外側になる、対義語がサム・インサイド、
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category: Lute music
K.ベーム:Brahms Sym全集(LP) 
2018/12/27 Thu. 10:47 [edit]

最初チリチリとカビ・ノイズらしい音が出たがひどくはなく、一度針を通せば掃除され、あとはクリアに聴ける、これは何度も経験済み^^

この全集は室内楽的に緻密に各パートがピックアップされ、厚い響きではないが、ブラームスのorch.作品を聴くには好ましいと思う、カッティングマシン、針とカートリッジ、フォノイコライザーというプロセスが入ることにより、CDとは一味違う音を作る、VPO独特のサウンドはウィンナobやウィンナhornの響きだろう、特にウィンナobは合奏の中で弱音を奏でていても、くっきり音の線として分離して聞こえ、ブラームスのSymでも随所でそれが効いてくる。
昨夜は第2番を通して聴いてみた、ひじょうにバランスの取れた録音で、内容についてはCDで聴いた過去記事のとおり。

you tube:Brahms : Symphony No. 2 in D Major, Op. 73 / Karl Bohm & Vienna Philharmonic Orchestra 1975
年末は雑事を忘れ、レコードに針を下ろしてゆっくり過したい。
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category: ブラームス
G.van ワース:Haydn Sym No.45「告別」 
2018/12/26 Wed. 11:02 [edit]
この曲は第1楽章が通常とはやや異なるソナタ形式で、終楽章に緩叙楽章が続けられる特殊性がある。雇用主であるN.エステルハージ侯が夏の離宮で過す間、お抱えの楽員達も同行して長期出張となっていた、家族の元へ帰りたいという彼らの希望を曲の中に忍ばせ、初演で気付いた侯は宮廷に戻ることにした・・という逸話が伝わる。

交響曲No.45嬰ヘ短調「告別」
ギィ・ファン・ワース指揮
アンサンブル・レザグレマン(ピリオド楽器)
2008年
第1楽章はAllegro assai、嬰ヘ短調でアクセント付き下降音型の簡潔な主題、vn2はシンコペーションで繋がり、第2主題は出てこず只ならぬ雰囲気で突き進む、

この演奏ではhornの鋭さが効果的、
[50]からの2度が強調される、

展開部の終り[108]で新たな主題が一度だけ出る。

再び元の主題で再現部以降は転調で深く引き込む、その後半も反復して聴かせる、
第2楽章、Adagio、疾風怒濤期ならではの静謐で夢想的な音楽、ワースはゆっくり目のなかに節目感をつける、特に後半が深く引き込む、弦が主体でob、hornの明るさが効果的に加わる、
メヌエット、Allegretto、軽やかな歩調で演奏、終止形で終わらず終楽章 Prestoに繋がる、
Prestoはあまり急速にせず、内容を噛みしめる演奏だ、終結前の[121]からが弦楽にとっての頂点だが、[116]から管楽が鳴り出す、

先行して光がさすような神々しさが良い。
そして奏者が次々退場していく「告別」の由来となったAdagioが続くが、ワースは速めのAndanteくらいで演奏、楽員退場の進みも早い、逸話が本当であれば、さっさと退場したいところだろう^^;楽器が減るごとに引き付けられる。

you tube:Symphonie in F-Sharp Minor, Hob. I:45 "Les adieux":
I. Allegro assai
II. Adagio
III. Menuetto (Allegretto)
IV. Finale (Presto)
V. Adagio
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category: F.J.ハイドン
クリスマス・ソング '50 
2018/12/25 Tue. 10:52 [edit]
毎年、クリスマス季節になると、コンビニなどでよく流れているのが山下達郎の「クリスマス・イブ」、すっかり風物化している定番のようだ、リメイク盤もあるのかな、

you tube:山下達郎「クリスマス・イブ」特別映画版PV
一方で'40~50年代からある、アメリカ盤の懐かしい録音も結構あちこちで耳にする、雰囲気があって不変の良さがある、まずはフランク・シナトラの"Let it snow"

you tube:Let It Snow【訳詞付】- フランク・シナトラ
ところで昔から、加山雄三氏の歌声はF.シナトラと似ていると言われるが、ちょうど息子がCDを借りてきて、なるほどと思える、
この録音ではヴォーン・モンローがもっと近いように聞こえる、

you tube:ヴォーン・モンロー/ Let It Snow
年齢で声も変わるので似ている時期も変わるだろう、
伴奏のバンドもすべてアコースティックで、手作りの味わい、歌手も本当に上手い人だけが活躍していた、バックコーラスもいいし、優れた音楽だと思う、
これらの曲は大人としてではなく、幼少の頃の温もりに囲まれたような記憶が戻ってくる。
聴いていると、この時期のレコード盤も欲しくなる^^
ア・カペラも1つ

you tube:Let it snow - a'cappella by LIVE VOICES
趣味で歌うなら、カラオケだけじゃなく、こういうのに挑戦してもいいんじゃないかな、
日本人も^^
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category: 歌謡・ポップス・etc
K.ベーム:Brahms Sym No.1('75) 
2018/12/24 Mon. 11:18 [edit]
他のSymの演奏もそうだが、飾りっ気なく、きちっと仕立てられたベームらしいブラームスはわるくない、録音も音の厚みは程々で、各パートがくっきり聴きやすい好録音、演奏とともに完成度の高さを感じる。以前は響きにもう少し厚みがほしい、とか思っていたが、今はちょうどよく感じる。

カール・ベーム指揮
ウィーン・フィルハーモニーO
1975年 DG
第1楽章、序奏はtimpが明確に響き、じっくり踏みしめて始まる、主部は落ち着いているが遅すぎない、[42]からのvn2とvaの小刻みなリズムがくっきり出て地に足の着いた感覚だ、

輪郭のはっきりした、骨筋張った着実さで引き締める、
第2楽章は室内楽的な味わいも持つが、極端な弱奏の淡い表現はせず、あくまで明確に演奏するのが良い、
第3楽章、わりと速めに清しく進める、中間部もあるが終楽章前の過渡的な雰囲気の楽章だ、
間を置かず、終楽章に入る、導入部はさすが威厳をもつ感覚、[61]からのテーマは比較的速めで、さらりとした面持ち、悠々と進める感じだ、

以降テンポの緩急変化で引き付ける手法は使わず、着実な歩みで引き込んでいく、
そして[234]から対位法が続き、深みをもってクライマックスへ運んでいく、

ブラスも輝きをもって、timpも程よくダイナミズムを切り立てる、終結も急ぎ過ぎず、着実感を維持して終わる。

you tube:Brahms : Symphony No. 1 in C Minor, Op. 68 / Karl Bohm & Vienna Philharmonic Orchestra 1975
・・これはちょっとLP盤でも再度聴きたくなった^^;
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category: ブラームス
アルマ:原始惑星系20個 
2018/12/23 Sun. 10:14 [edit]

アルマ望遠鏡が捉えた画像で特に目を引くのは原始惑星系円盤である、最初に公開された、おうし座HL星はそれ以前に理論予測で描かれていたCG画像そっくりで、その円盤の直径は海王星軌道の3倍もあった、

おうし座HL星 惑星系円盤と太陽系の比較
今年12月12日の発表で、ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのショーン・アンドリュース氏らはアルマ望遠鏡で大規模観測を行い、20個の原始星に様々な形の原始惑星系円盤を高い解像度で捉えた、姿が多様で興味深い。

→拡大
拡大して見ると、塵の雲のムラまでよくわかる、
これらの原始惑星系は約20万歳から1300万歳の年齢幅のサンプルでもある、銀河の合体成長を探るのと同じく、数多い観測で惑星系が形成される過程を知る手がかりにもなる、
特徴的な4つを抜き出すと、

→拡大
今回はAS 205のように連星の両方に円盤がある様子も見られる、連星系は円盤面が揃いそうに思ったが向きに違いがでるようだ、同心円の姿は共通だが、リングの明るい部分、暗い隙間の配分はじつに多様、惑星系の年齢にもよると思われるが、
HD 143006(約500万歳)は円盤の外縁部、左下に明るい円弧の塊が見え、ここに塵が集中しているらしい、またIM Lupのように渦巻銀河に似たアーム構造も見られる、これは惑星の重力の影響とも、力学的不安定性が原因とも考えられる、

力学的不安定性(密度波)
いずれも、すでに生まれているかもしれない見えない惑星の重力がこのような構造を作っているとすれば、これまでゆっくりかけて(何百万年)作られると考えられていた惑星が、意外に早い時期に生成されている、という可能性が示される、

惑星が生まれるところ、想像図
今のところ、惑星系の生成過程を知る材料が手に入っただけで、いろいろ解明されたわけではない、これらを見ると1つ1つ塵のリングや隙間がどのように出来たかだけでも、謎解きの要素が数だけ増えたように思える。
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category: 宇宙・天体
紫カリフラワー 
2018/12/22 Sat. 10:47 [edit]

普通に茹でると色落ちしてしまう、生のシャコ色というか^^

淡い青灰色になった;水と反応して退色するらしい、ドレッシングをかけたら、すぐピンク色に変わる、味は普通のカリフラワーだ。

色素はアントシアニン系で、酸によって赤くなり、アルカリで青くなるが、アルカリ性の調味料はないので、赤くするしかない。ピクルスにすると鮮やかな赤になるそうだ、茹でる水に酢を加えておけば、赤紫くらいで落ち着くらしい。
自己相似の形を持つロマネスコにも紫があるそうだが、目を奪うのは色より形だ、

しかしこの可食部の形状を見ていると、カリフラワーやブロッコリーと同種には見えないが、味は殆どカリフラワーである、フラクタル形状など原種には兆候すらなさそうなのに、遺伝学的にどうしてこんな変化が起きるのか?生命の不思議を感じる、
PS.茹でて淡い青灰色になったのを冷蔵庫に一晩置くと少し濃い色に戻った、

温度も関係するのか、これも調べたい、
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category: 時事・雑記
蝋燭の科学 1 
2018/12/21 Fri. 12:23 [edit]
結局、昼光色の明るい照明をつけてしまう;
音楽を聴くときもじっとしているだけだが、部屋全体が明るくないと視力もぼやけ、逆に集中できない、歳は十分黄昏れているし、馴れないことはやらないほうがいい^^;

マイケル・ファラデー(1841-1842)が書いた「蝋燭の科学」という本はためになると聞いていたが、まだ読んでいない、蝋燭に火が点っているという1つの出来事に、ファラデーの時代にわかっていた科学のあらゆる分野で説明した本のようだ、21世紀の今ならさらに多くの解説が加わるはずだ、
蝋燭は固体だが、着火の際の熱で可燃物質が気化して周囲の酸素との結合が始まり、点火する、そのあとは熱による上昇気流で気化燃料と酸素が昇ってくる、また炎の放射熱が蝋を液化させ次の燃料が芯を昇ってくる。
炭素が燃焼してCO2、水素も含むのでH2Oも発生する、
蝋燭の炎の外見は筆の穂先のような形だが、内部から外部までいくつか層が分かれていると見たほうがいい、最も内部で芯のすぐ上あたりが炎心、穂の中央付近の最も明るい部分が内炎、その外側を囲むのが外炎になる、

じつは外炎が酸素の補給を最も受けるので完全燃焼して高い温度(1200℃前後)になり、青い光を発するが、その層が薄いので、内炎の出すオレンジ色が圧倒する、プリズムを透せば色を分けて見られると思う。外炎の根元は暗いが内炎の光がないので青い色が見える、内炎は不完全燃焼で、炭素の微粒子である煤(スス)が発生しており(固体である)、この炭素粒子が熱放射によってオレンジの光を出すが、光の量は最も多く明るい部分となる、
炎心は液化して芯を昇ってきた燃料が気化して燃焼の準備がされたところで温度は低い、
以上は重力のある地球上で上昇気流があって出来る炎だが、無重力の宇宙船内で、蝋燭に着火すると、気化物と酸素で丸い炎が一時生じるが、上昇気流が起きないのですぐ消えるそうだ。

無重力での蝋燭:NASA画像
-続く-
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category: 科学・自然・雑学
ポルタメント 
2018/12/20 Thu. 09:58 [edit]
【グリッサンド(Glissando)奏法 は、一音一音を区切ることなく、隙間なく滑らせるように流れるように音高を上げ下げする演奏技法をいう。 グリッサンド奏法を、主に旋律の表現のために使う場合はポルタメント(Portamento)と呼ばれる。ただし、ポルタメントが次の音に移る瞬間に素早く移動するのに対し、グリッサンドでは前の音から一定の時間をかけてほぼ等速で移行する】 とある。
弦楽器では弦を鳴らしながら次の音程へ押さえる指を滑らせて無段階につなぐ奏法で、それを表現上、意図的に使うのがグリッサンド、あくまで旋律を自然で滑らかに繋ぐのがポルタメント、と捉えている、

you tube:Glissando and Portamento on the Violin
ポルタメントはヴァイオリンや二胡など弓弦系のほか、三味線やギターの撥弦系でも効果的に行われる、vnの楽譜など、port.と指示を見るが、無くても適切に行うだろう、orch.曲でもport.が一瞬あると良かったりする、ポジション移動の箇所でport.が有効なら一石二鳥だ。
アコースティックギターは完全に日本の歌謡に溶け込み、古謡的な三味線とは違った趣きを作る、洋風を取り入れたムード演歌のイントロや間奏などで、ギターはイイところを弾く^^
ちょいと入れるポルタメントが効いている、

you tube:氷雨 佳山明生
you tube:一杯の甘酒
クラシックGuitarを続けていれば、いつでも真似して雰囲気楽しめるけど、今はできなくて、ちょっとストレスである;
(*you tubeの音源には左右の位相を逆転させてステレオ効果を壊してあるものがある、外部SPを使っている場合、片方のSPケーブルを+、-入れ替えて繋ぐと正常に聴ける)
リュート音楽ではルネサンス、バロック期ともにこのポルタメントという奏法は知る限り楽譜に指示されたことは無く、当時の音楽趣味に合わない?あるいはポジション移動が音となって出てしまうのを良しとしなかったのか?ついでながら、ハーモニクスも使われない、音が裏返った失敗音、と見なされたのだろうか(リュートのための現代曲は別)。
バロックのリュートの大家S.L.ヴァイスの曲に"L'infidele"という組曲があり、ムード演歌にありそうな雰囲気が少しある?副題は今は「異邦人」と訳されるが以前は「不実な女」だった。
ポルタメントではないが、1曲目で滑らかな7連符が入るところが味である。


you tube:Sylvius Leopold Weiss-Suite en La mineur-L'Infidele
一方、エレキギターでよく行うチョーキングという奏法は、フレット楽器特有で、押さえた弦をフレット上でぐっと横にずらし音程を上げる、

これはバロックluteでも行う、ただし大袈裟にはやらず、軽く音程を揺らす装飾ヴィヴラートの一種として使う。
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category: 演奏について
フルトヴェングラー:Brahms Sym No.3('49) 
2018/12/19 Wed. 10:39 [edit]
3番はブラームス50歳の時完成、壮年期らしい味わいだと思うが、曲には何らかの標題的設定があるのか、ブラームスは何も語ってはおらず、初演の指揮者ハンス・リヒターが「英雄」と呼んだそうだが、知るのは作曲者のみ。標題音楽でない限り、余計な情報に振り回されず、聴き手がそれぞれに感じ取ればいいと思う。
ブラームスの曲にでてくる主題って、甘さは押さえられ、役者に例えるとあまり喋らず、表情も控えめだけど深い味がある、みたいなキャラだろうか、
さて、フルトヴェングラーの3番ヘ長調、1949年、BPOとのライヴだが、かなり音質は古い、それでもマイクロフォンは各パートを拾おうと努力した録音のようだ、弱奏のあとの強奏が凄まじく聞こえるのは古い録音の"歪み"のせいなのか、最新の歪みなしの録音でも同様に聞こえるのか?ロックのエレキギターが歪み音を使うのも、ダイナミック効果だと思うが^^

ブラームス 交響曲No.3ヘ長調
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー指揮
ベルリン・フィルハーモニーO
1949年 ライヴ EMI
第1楽章、冒頭のF-A♭-F'の動きは全楽章の主題に影響しているそうだが、3小節目から第1主題がかぶってくる、

たしかに、こういうのをmottoというらしい;
演奏は期待どおり強弱、急緩の起伏を十分つける、それだけに穏やかで繊細な部分にも引き付けられる、早くも19小節あたりから、デリケートな内部構造が弦パートからも伺える、

提示部は反復して一定のパターンに耳を馴染ませ、展開部以降の凄みが際立つ、ただし終結はぐっと穏やか。
第2楽章は夢見心地に和ませる、しみじみと熱情的な展開もあり、二言三言では言えない好きな楽章だ、
第3楽章、フルトヴェングラーは流線美は聴かせるがさほど遅せずAllegrettoらしい、それが、別れが惜しい、もう少し居てほしい、そんな気持ちにさせるように思えた^^他の楽章もフルトヴェングラーらしいが、印象に残る。
終楽章は始まりの主題をためらうようにゆっくり入る、

こうくると、その後に期待がかかってしまう。
終結では第1楽章の第1主題が再現され、全楽章、穏やかに終わるのが特徴である。

you tube:Brahms, Symphony No. 3 Op, 90 - Furtwangler, live 1949 (complete)
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category: ブラームス
銀河間球状星団 
2018/12/18 Tue. 09:00 [edit]
なお、ケンタウルス座のω星団など群を抜いて規模の大きな球状星団はかつての小型銀河が大きな銀河に吸収され、その中心部だけが星団として残ったもの、という説もある、ω星団では今も新しい星が生まれているのがその根拠で、もしかしたら以前記事にした第3の銀河:M32pのような存在かもしれない。

ケンタウルス座:ω星団(NGC 5139)
普通、球状星団は銀河のハローの領域を公転しているが、多くの銀河が集まる銀河団では、銀河から離れた場所にも多数散在しているらしい、ハッブル宇宙望遠鏡(HST)が捉えた、かみのけ座銀河団の画像の中に、このような球状星団が22426個も見つかった、

青緑の丸で囲ったのが、銀河間に散在する球状星団と見られる
しかし、遙か後方に小さく見える遠い銀河も同じような姿に見え、人の目では区別し辛い、
オーストラリア国立望遠鏡機構のJuan Madrid氏らは球状星団の(年老いた星ばかり、球状に集まっている)という特徴で仕分けするアルゴリズム(問題を解くための手順を定式化した形で表現したもの)を開発した。効率よく正確な結果をもたらす、一種のAIかもしれないが、望遠鏡が捉えた微かな遠い天体の区別にも役立つようだ、


上:HSTが撮影した、かみのけ座銀河団、HSTは視野が狭いので広範囲の画像を継ぎ合わせている、画像の横幅は約220万光年に相当する【資料:NASA, ESA, J. Mack (STScI), and J. Madrid (Australian Telescope National Facility)、以下同】
下:一部の拡大、青緑色の丸が球状星団の候補天体
これらの球状星団は銀河同士の接近の際、母銀河からはぐれて散逸したらしい、一部に橋のように繋がって並んだような様子も見られる、
宇宙には大規模にも小規模にも同じように重力の相互作用が見られる。
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category: 宇宙・天体
フルトヴェングラー:Beethven Sym No.7(2枚) 
2018/12/17 Mon. 12:40 [edit]
今日はパーっと聴ける曲で、フルトヴェングラーのBeethven Sym No.7を打ち上げた。
手元にあるのは1953年/BPOとのライヴ、1950年/VPOとのセッションの2枚、
面白いのは'53/BPOが落ち着いて、音質もよく、その点セッションみたいで、'50/VPOのほうがライヴみたいにぶっ切れている、
'53/BPO盤はいくらか聴きやすい音で、演奏はじっくり雄大に構えてくる、

終楽章さえ、始めは踏みしめるようにゆっくりめに入る、過去の演奏よりも内面的というか、accelもほどほどである。

you tube:Wilhelm FURTWANGLER conducts Beethoven - Symphony No. 7 LIVE (1953)
'50/VPO盤はやや歪み感の多い音だが、よく聴くとセッションらしく演奏の仕上がりは良い、まずいところはしっかり録り直したものと思われる、

第2楽章の終盤も白熱、スケルツォも快速でキレ味がある、終楽章は入りから鋭い、ライヴと変わらない猛烈な加速に巻き込んでいく、

you tube:Beethoven: Symphony No. 7, Furtwangler & VPO (1950)
因みに手元にはないが、1943年のBPOとのライヴは凄まじい、音質が古いのは致し方ない、

you tube:Beethoven - Furtwangler - Symphony no 7 in A major, Op 92 - Berlin 1943
'50/VPOはこれに対してさほど熱気は冷めていないうえに合奏が鋭く決まっているのが聴きどころ。
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category: ベートーヴェン
まるまるぜんぶ・ちびまる子 
2018/12/16 Sun. 10:08 [edit]
ちと故あってこんなCDを取り寄せた、アニメ「ちびまる子ちゃん」の主題歌、エンディング、ほかストーリー中の挿入歌まで入った、まる子ファンにはマニアックな中身だ^^

番組が始まった頃の関ゆみ子の「ゆめいっぱい」はいい歌だった、
また番組で再演してもいいと思う、

you tube:OP1 - ゆめいっぱい
植木等さんが歌った、

you tube:「針切じいさんのロケン・ロール」
さすが存在感強し、
渡辺満里奈の歌も懐かしい、

you tube:うれしい予感/ 渡辺満里奈
傑作キャラ、野口さんの歌

you tube:野口さんのお笑い音頭【*チャンネル位相反転】
ほか、父ヒロシ、たまちゃんのお父さん、藤木くん、山根くん、などキャクターのまま歌っているのが可笑しい^^最近のアニメって皆同じようなキャラ・デザインで区別つかないけど、
まる子ワールドはきっちり個性が立っているから面白い。
しびれるのがこれ、イントロは本格演歌みたい、

you tube:一杯の甘酒 / まる子心の演歌 【*チャンネル位相反転】
まる子の声で、瀬川瑛子風? 歌詞2番までほしい^^
まる子のお姉さんは水谷優子さんの声で長く親しんでいたが、2016年5月に亡くなった、このCDには入ってなくて残念だが唯一、水谷さんが歌ったのがぴったりのキャラクターソング、

you tube:「乙女の微笑み」お姉ちゃん(さくらさきこ)の誕生日動画
これら挿入曲は中村暢之氏が作曲しているが、じつに多様、器用である^^
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category: 映画・TV・DVD
カラヤン:Beethoven「第九」3枚 
2018/12/15 Sat. 11:12 [edit]
先日、カラヤン、BPOの「第九」で'62年録音のLPを取り上げたが、'76年と'83年の録音も久方ぶりなのでざっと聴き比べてみた、録音に関して一言でいうと、
'62年:滑らか
'76年:くっきり
'83年:デッド
'62盤はベルリン、イエス・キリスト教会での録音で、滑らかさと程よい輝きがあり、会場の臨場感も比較的良い、

'62年盤
録音としては一番好きな音だ。このCD化の音もわるくないが、先日のLP盤のほうが一味、鮮度がよく感じる。
'76盤は第1楽章始まりで、vn2とvcによる6連符がくっきり粒立って聞こえるのが印象的で感度の高い録音を思わせる、

'76年盤

過去にLPを借りて聴いたときの印象のままで、再生機との相性にもよるが、いくらか高域が強めに聞こえる。
'83盤(デジタル期)は初期盤があるがデッドに丸まってつまらないサウンドで臨場感もない、

'83年盤
その後リマスターされた盤はいくらか良くなっているかもしれない、終楽章の声楽は聴きやすいサウンドになる。
LP盤もCDも記録媒体に過ぎないので、どんな音にマスタリングされるかに係っている。
演奏時間は以下のとおり、
'62年 15:27 10:58 16:25 23:58 計 66:48
'76年 15:23 10:09 16:57 24:29 計 66:58
'83年 15:27 10:17 15:51 24:17 計 65:52
トータルで'83盤が最も短いのが意外だったが、第3楽章の速めなのが要因で、一番威勢の良いのは'76盤に感じる。'76盤の終楽章でペーター・シュライアー(ten)のきりっとした独唱、「楽しげに天の星々が・・」が良い、

続いてorch.のたたみ込みが引き付ける、'62盤の同部分はもっと力が入る、'83盤は随分おとなしくなった感じだ。
you tubeは'76年と'83年盤を挙げる

you tube:Herbert von Karajan / BP - Beethoven: Symphony No. 9 in D minor (Rec. 1976)

you tube:Beethoven: Symphony #09 (Karajan_198
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category: ベートーヴェン
調弦のし易さ 
2018/12/14 Fri. 11:06 [edit]
この6コースluteは始め、細めの黒檀材のペグだったが、廻りがギリギリして止まりが悪く緩みやすかったし、反対側がだいぶ突き出ていた;
そこで思い切ってペグの全交換を製作家さんに頼んだ、

ペグの穴を少し大きく開け直して、それに合わせた新しいペグを嵌める、元のペグは細かったので穴が小さく、広げる余裕があった、ペグはサクラ材に換えてもらった、前とは雲泥の差で調弦は快適になったv
ペグ材とそれを受けるペグボックス側の材料との相性もあると思うが、何と何の組み合わせが良いのかわからない;また製作の精度も重要、手持ちの楽器で一番具合が良いのはM.オッティガー作でこの11コースと、もう1つ13コースだ、

ペグ材はココボロで、ペグボックス側含め、カチっと精度の高い感触、正確に調弦しやすく、ストレスにならない、オッティガー氏はペグは外注していると聞いた。
補助剤について、
前述のペグの補助剤としてはいつもこれを使っている、ヴァイオリン属でも使われるコンポジションで、廻り具合、止まり具合の両方にちょうど良い摩擦性を持つ、

コンポジション
ほかに、松ヤニ系の補助剤を試したことがあるが、

松ヤニ系コンパウンド
これはゆるい液状で松ヤニをアルコールに溶かしたものと思われる、アルコールはすぐ揮発して、強い粘りが残る、廻りがやたら硬くなり、無理すると腱鞘炎になるので、おのずと緩めにペグを差し込む、すると突然、パチンと弦が緩んでしまう;松ヤニは止まっているようでも、氷河のようにゆっくり流動する;;
黒檀について、
たまたまと思うが、今まで手にした楽器でペグが黒檀のものは具合わるかった;しかし弦楽器の指板材としては最高で、ちょうど良い硬度と質量のようだ、外観は漆黒のものほど美しく珍重されるが、指板面積の広いリュートで端から端まで真っ黒というのは難しいかもしれない、うちの楽器ではこのジャーマンテオルボがほぼ真っ黒、立派なチェスの駒にもなる、

次いでこの11コースluteくらい、あとの楽器は大なり小なりムラがある、

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category: Instruments
フルトヴェングラー:バイロイト「第九」【LP起し】 
2018/12/13 Thu. 11:14 [edit]
磁気テープに録音されたものは経年劣化していくが、アナログ盤として固形化されていればデジタル化と同様、保存性が高い(無傷盤で残っていれば)。
そこで今日も懲りずに「第九」^^
フルトヴェングラーのバイロイト盤はEMIから出ている表紙(右)がお馴染みだが、同じ録音でDeltaレーベル(左)から出ている"第2世代LP起し"というCDを聴いてみた、要するに原盤に近い良質なLP盤を探しだし、手を加えずにCD化したものだそうだ。


ベートーヴェン交響曲No.9ニ短調「合唱付」
エリーザベト・シュヴァルツコップ:sop
エリザベート・ヘンゲン:alt
ハンス・ホップ:ten
オットー・エーデルマン:bas
バイロイト祝祭合唱団
ヴィルヘルム・フルトヴェングラー:指揮
バイロイト祝祭管弦楽団 1951年 録音
あの"バイロイト"の演奏に違いないが、第一印象、音の鮮度が高い、甲高くもデッドでもないカチっと締まった音質で、中域に丸まったバランスでもない、モノラルではあるが音の分離がよい、低域やtimpのドスの効いた力も十分、
どっちみち古いモノラル録音が少しばかり良くなっても大して変わりないだろう、と言ってしまえばそれまでで^^確かにEMI盤で十分だが、別ルートの同じ音源で、ちょっと違う角度から見るような楽しみでもある。

ヴァイオリンが時折奏でるポルタメントの表情、第3楽章のふくよかな弦楽のツヤ、こうした味わいが細やかに聴ける感じだ、また終楽章でフルトヴェングラーは総奏のあとの休符を長~くとり、息を呑む沈黙を置く、そこもLP起しとはいえノイズレスでまさに静寂、声楽の独唱陣も良好に聴ける、非常に良いLP盤があったということだ。
バイロイトの第九も長らく聴いていなかったが、大方、記憶のとおり、
終楽章の終結の猛スピードにはあらためて驚いた^^


you tube:ベートーヴェン 交響曲第9番 フルトヴェングラー (詞字幕有)
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category: ベートーヴェン
バスライダーの13コースlute 
2018/12/12 Wed. 10:44 [edit]

7コースlute
時代とともに弦(コース)が増えていき、収まりきらなくなると、外観から大きく変わっていった、先日の低音弦の素材の件といい、謎の部分も多い、
バロック後期になると、リュートは既に衰退期でもあったが、バス弦を拡張して13コースまでになった。現代、13コースluteはバスライダーを設けたこの型が一番よく作られる、楽器が長くならず扱い易いのもあるだろう、


13コースlute:バスライダー型
しかし、リュートを描いた絵画を探してみると、バスライダー型の絵は非常に少ないようだ、
1つ見つけたのがこれ、

バスライダー型
あとはダッチヘッド型、テオルボ型が殆どである、低音弦の長さとしては妥当だろう。
バロック期はそれなりに機能と姿を上手くまとめたセンスの良さは感じる、

ダッチヘッド型

ジャーマンテオルボ型
バスライダー型は元々11コースだったluteのペグボックスに追加の弦巻きを接着して、若干弦を長くし、ブリッジを延長して2コース分増やした、簡略な改造楽器に見える、
今にち、歴史的リュートを製作するには博物館などに残る楽器を複製するが、忠実に再現しすぎて、バスライダー部もペグボックス脇に少ない面積で接着しただけの楽器も作られ、剥がれてしまうものもあった、昔はかなり緩く弦を張り、それでよかったのかもしれない?
現代、新作としてバスライダー型を作る場合、耐久性を確保した作り方が望ましい。
この楽器はペグボックスとバスライダーの基礎部分が一体で切り出してある、

しかし弦の張力の中心は足場の外に来る"偏心モーメント"になり、注意は必要;
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category: Lute
カラヤン:Beethoven Sym No.9「合唱付」LP 
2018/12/11 Tue. 08:38 [edit]
カラヤンの第九も随分長く聴いておらず、細かい憶えがないので針を下ろしてみた、これもLP盤1枚に収めたもの、'62年、ベルリン、イエス・キリスト教会での録音だが、これも意外とカッティングが上手くされているようだ、LPで聴く限り、音の鮮度も良い、

グンドゥラ・ヤノヴィッツ(ソプラノ)、ヒルデ・レッセル=マイダン(アルト)、
ヴァルデマール・クメント(テノール)、ヴァルター・ベリー(バス)
ウィーン楽友協会合唱団
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
1962年 ベルリン、イエス・キリスト教会

第1楽章、聴き始めるとカラヤンの術中にはまってくる、速めで弦楽はレガート、vn群の厚みは圧倒的だが、木管の味わいがどうのこうのより、重装備のorch.に機動力があり、パワフルな推進力に引き込まれてしまう、
第2楽章、スケルツォは非常に速く、カラヤンならではの快演、弱奏からのcresc.も大きくとって引き込む、
以上2つの楽章を一気に聴かせる感じだ、
第3楽章は、16:14と比較的ゆったり聴かせる、BPOの涼やかだが身の詰まった響きの弦楽で味わい深く進めていく、[131]からの重音、続くffの金管はフリッチャイのように強烈にならず、結構美音にまとめる、

終楽章、快速な入り、低音部によるレシタティーボは表情深く入念に演奏する、"一枚盤"なのを忘れるほど重厚サウンドが出てくる、弦楽による「歓喜の歌」テーマは速めの推進力、印象的なのは行進曲風のtenソロが「楽しげに天の星々が・・」を結構強く張り上げて唱う、

tenソロの終わりごろからorch.がぐっと強まり、[111]から一際力強くキビキビと演奏、その繋がりがわかる、

以降、効果的に緩急を設定して進める、G.ヤノヴィッツのsopが耳心地良い。

you tube:交響曲 第9番 ニ短調 Op.125《合唱》カラヤン ベルリンフィル 1962(日本語訳付き)
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category: ベートーヴェン
弦を揃える 
2018/12/10 Mon. 11:05 [edit]

ジャーマンテオルボの低音にはローデドNGとKF(フロロカーボン)を適宜使っていた、実用上問題ないけど、弦の色がバラバラで見栄えが悪く、弦も美観の一部と感じたしだい;

7コース以下をローデドに揃えることにした、真っ白が混ざっていたNGも黄色に揃えた、

しかしローデドNGも買うたびに微妙に色合いが違う、茶色だったり、赤茶色だったり、濃い薄いがあったり、品質を安定させてほしい;(個人的には赤茶色で揃うのが好みだが)
まあ、パッと見、遠目には整った感じに見えるかな^^;

因みに、歴史的なリュートの低音弦がどういう物だったかは詳しくわかっていない、
リュートの復興期からわりと近年までこのような金属巻弦を低音に使っていたが、余韻が長すぎ、明らかに歴史的ではない、低音は短くボンと鳴るのが良い、

*Pyramidはギター弦と同質、Aquila"D"は倍音を押さえてある
絵画に見られるのは何らかの加重処理をしたガット単線と思われる、

Historical bass strings
現在は金属巻弦を使わないのが主流になってきて、ローデドNGはその方向で扱い易い弦として開発されたようだ。

ローデド・ナイルガット、これも歴史的には絶対なかった合成弦だが性質的には近づいていると思われる。

11コースlute:6、7コースの低音はKF弦
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category: Lute
F.フリッチャイ:Beethoven Sym No.9「合唱付」LP 
2018/12/09 Sun. 09:51 [edit]
兼価盤は大抵1枚に収めてあり、響きが薄く物足りない盤も多い、最も上手く収めた1枚盤として1958年録音のF.フリッチャイ盤がある、国内ではヘリオドール・レーベルで出ていた、中古で見つけた独盤もマザー盤は同じかもしれないが、ノイズ箇所が少ないのが助かる、ボリュームを上げるとDG伝統の厚みのあるバランスを損なわずカッティングしてあるようだ。
CD化されたのを聴くとマスター音源の古さが少々目立ってくる。

イルムガルト・ゼーフリート(ソプラノ)
モーリン・フォレスター(アルト)
エルンスト・ヘフリガー(テノール)
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(バリトン)
聖ヘトヴィッヒ大聖堂聖歌隊
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
フェレンツ・フリッチャイ(指揮)
録音:1958年4月 イエス・キリスト教会 (ベルリン) ドイツ盤
演奏時間:16:44、 10:29、 17:53、 23:08(計68:14)
*第2楽章は反復省略

第1楽章、ぐっと弱奏で入り、どっしり気迫を込めた総奏が轟く、フルトヴェングラー時代がまだ残っている印象、それをステレオのセッション録音で聴ける、再現部からのクライマックスはtimpのパンチも強く白熱させる、緩急の変化も適度に行い効果的、
第2楽章、切り立てたスケルツォがまたキビキビと引き締めてくる、[268]からのffはよりパワフルに迫る、

第3楽章、ゆったりと始まり弦楽が一際味わい深く、良い音質で聴ける、この楽章にも十分熱気が入っていき、[132]ffでは金管が極めつけの高鳴りをfffくらいに放つ、

最後はしなやかな弦楽で閉じる、
終楽章、熱気をおびた始まり、弦のレシタティーボ、歓喜の歌のテーマなど比較的速めのテンポで進み、バリトン独唱に入る、当盤はD.F.ディースカウが第九を唱う唯一のセッション録音だそうだ、独唱陣は合唱団の位置くらいまで離れた録音が好きだが、当録音はかなりピックアップしている、行進曲風のテノール独唱が終わるとorch.になるが、ここがキビキビとたたみ込んで引き付ける、

you tube:ベートーヴェン 交響曲第9番 フリッチャイ(詞字幕有)
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category: ベートーヴェン
トランペットの楽しみⅢ 
2018/12/08 Sat. 10:18 [edit]

you tube:Johann Georg Leopold Mozart. Trumpet Concerto in D major
J.ハイドンの弟、ミヒャエルも記録的な高域を用いた曲を書いている、同じく、エクルンドのtrpで、M.ハイドンの協奏曲No.2ハ長調、

you tube:Michael Haydn - Trumpet Concerto No.2 in C-major
M.ハイドンはモーツァルト父子と同じザルツブルク大司教の宮廷楽団に同席しており、共通性がある、いずれもtrpらしい簡潔な旋律で書かれているが、これで十分に思える。
古典派後期になると、従来のtrpの不自由さを解決するキー・トランペットという楽器をtrp奏者のアントン・ヴァイディンガーが発明、管の途中に孔を空け、キーで開閉するという方式だ、

これにより低域の音階も自由に出せるようになった。
J.ハイドンのtrp協奏曲で第1楽章始まりの音階はナチュラルtrpでは出せなかった、

第2楽章は半音階が多分に使われ、表情細やかな曲が演奏される、

ただし、キーtrpは音を犠牲にしており、自然倍音以外の音は曇った音になる、これも独特の味わいかもしれない、
参考動画:フリーデマン・インマーのキーtrpによる、ハイドン、trp協奏曲変ホ長調

you tube:Haydn: Trumpet Concerto in E flat, H.VIIe No.1 - 1. Allegro
しかし、この発明のおかげでハイドン、フンメルが貴重な名作を残すことになったのは幸いだった、ハイドンにとっては最後の管弦楽作品だそうで、それまで存在しなかった楽器のために発想してこれほどの曲を書くとは流石、
締めくくりにM.アンドレによる、ハイドンとフンメルのtrp協奏曲、

you tube:ハイドン:トランペット協奏曲変ホ長調 M.アンドレ(tp)/シュタットルマイアー/ミュンヘン室内o
J.N.フンメルのほうはカラヤンとの共演、ここではBPOの厚いバックが効いている、

you tube:Trumpet Concerto in E Major, WoO 1, S. 49 :
I. Allegro con spirito
II. Andante
III. Allegro molto
PS.ブラームスの時代には現代のようなバルヴ式trpは既にあったが、ブラームスはorch.作品において、昔ながらのナチュラルtrpを想定した書き方をしているそうだ、古典を尊重する人らしいというか^^
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category: 演奏について
R.クーベリック:Beethoven Sym No.9「合唱付」LP 
2018/12/07 Fri. 09:50 [edit]

ラファエル・クーベリック(指揮)、
バイエルン放送交響楽団、
バイエルン放送合唱団、
ヘレン・ドナート(ソプラノ)、
テレサ・ベルガンサ(メゾ・ソプラノ)、
ヴィエスワフ・オフマン(テノール)、
トマス・ステュワート(バス)、
ハインツ・メンデ(合唱指揮)
1975年 DG
演奏時間は順に、16:34、 12:20、 16:29、 24:25(計69:48)、と中庸のところ、
第1楽章はひじょうに弱奏で始まり、過度な強奏にしない範囲で懐深く聴かせる、全般に緩急の変化も控えめで落ち着いた趣き、管が鮮やかに浮き立つバランスが良い、時折clの高音が突き抜けてくる、展開部のあと、再現部によるクライマックスは程よく熱気を入れ、timp連打はフレーズの頭のみ強打する。
第2楽章、開始に入るtimpがきっぱり豪快、続く木管の刻むハーモニーが心地よく聴ける、
スケルツォの[268]ffに入ると一際パワフルに立ち上げるのが効果的、

トリオはテンポを緩め、木管やhornが長閑である、
第3楽章、弱奏基調で密やかな弦が神聖な面持ちで引き付ける、[131]でのvn1の重音はスウィトナー盤同様、しなやかに聴かせ、心地よい。

終楽章は声楽がよい感じに聴ける、独唱の距離がちょうど良く、合唱団の響きも良い、orch.と合唱団の弱奏部分での溶け合いが心地よく聞こえる、昔、アナログ盤が苦手とする"合唱音"は歪んだ塊に聞こえたが、この盤も針しだいで問題ないようだ。

盤面の配分はまず1、2楽章を片面に、3、4楽章をそれぞれ片面ずつに収めている、
you tubeは1982年の録音があった

you tube:Beethoven "Symphony No 9" Rafael Kubelik 1982
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category: ベートーヴェン
トランペットの楽しみⅡ 
2018/12/06 Thu. 10:01 [edit]
なお現代ではナチュラル管を基本に正確な音程を得るため、音程補正孔が設けられた楽器が主に使われる、今回はこれも含めてナチュラルtrp(古楽器)とする、

ナチュラル・トランペット 補正孔(ベントホール)付き
最も初期に聴いたナチュラルtrpは1965年録音のアルヒーフ盤、エドワード・タールの演奏で、A.ヴェンツィンガー率いるバーゼル・スコラ・カントルムによる、テレマンのターフェルムジーク第2集の序曲だった、


室内的に柔らかに演奏されるtrpと、バロックobが近似した音色で区別に迷うほどよく溶け合うのが意外だった、
参考動画はWillam Wrothのtrpと、ムジカ・アムフィオンによる2003年の録音だが、古楽奏法が進歩した演奏で、前述の近似した響きもよくわかる、

you tube:G.P.Telemann. Tafelmusik. VII Ouverture Suite in D major. TWV 55:D1
フランス風序曲のスタイルで聴き応えがある、
次にテレマンのtrp協奏曲ニ長調で、ナチュラルtrpによる珠玉の演奏と言えるニクラス・エクルンドのアルバムから、

ニクラス・エクルンド:バロックtrp
ニルスーエリック・スパルブ指揮
ドロットニングホルム・バロック・アンサンブル(1995年)
you tube:Telemann - Trumpet Concerto No 1 in D Major - Adagio (1)
*続く楽章も順に再々される、
trpが休む第3楽章も好きな楽章だ、
ここでテレマンと同時代、高い人気があった、クリストフ・グラウプナーのtrp協奏曲を挙げる、trpソロは簡潔に書かれているが、響きの楽しみどころを押さえている、

you tube:Graupner - Concerto a clarino, 2 vn, va e cemb in D major GWV 308
バッハにはtrpの高度な曲があるが、ライプツィヒの楽士でtrpの名人だった、ゴットフリート・ライヒェ(1667-1734年)が担当したそうだ、

ゴットフリート・ライヒェ(trpはカタツムリ型)
カンタータ「全地よ、神に向かいて歓呼せよ」 BWV.51では、ソプラノとtrpのソロが高度な技巧で魅了する、

you tube:J. S. Bach. Cantata "Jauchzet Gott in allen Landen" BWV 51.
*trpは第1曲「アリア」と終曲「ハレルヤ」で演奏する
最後は一昨日紹介した、J=F.マドゥフのtrpによるテレマンの序曲と組曲ニ長調、これもフランス風序曲に始まる、
真正なナチュラルtrp(補正孔なし)の響きでバロック期にタイムスリップできる、

you tube:Ouverture-suite in D Major, TWV 55:D7: I. Ouverture
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category: 演奏について
O.スウィトナー:Beethoven Sym No.9「合唱付」LP 
2018/12/05 Wed. 11:58 [edit]
全部出てたら体が持たん;まあそれでも意地で自分の時間は作ることにしているが^^;
さて、今日はとっておきの「第九」、1982年録音のO.スウィトナー指揮SKBほか、
この録音の素晴らしさは2000年代に入っても匹敵するものがないかもしれない、個々の楽器の存在感、vnの1つ1つの音までわかりそうな分解能で、スウィトナーの作り出すサウンドと絶妙の相性だ。他の曲と同様、あまり作為を感じさせない自然に実らせる感覚というべきか、

マグダレーナ・ハヨーショヴァー(sop)
ウタ・プリーヴ(alt)
エーバーハルト・ビュヒナー(ten)
マンフレート・シェンク(bas)
ベルリン放送合唱団
オットマール・スウィトナー(指揮) シュターツカペレ・ベルリン
1982年 DENON 「見本盤」
演奏時間は合計で約71分、

第1楽章(16:07)落ち着いた歩調で始まる、スウィトナーらしい清涼なサウンドで怒濤の響きに馴れた耳はリセットする必要がある、
[120]からtimpがppで始まる所からはっきり聞こえ、cresc.の効果を明確にする、

展開部が終わり、再現部の始まりがクライマックス、ここもバランスを整えた範囲に押さえるが、重厚なエネルギー感を聴かせる、これほど室内楽的な第1楽章は他にないかも、各楽器がくっきり浮び、聴き甲斐のあるサウンドで最後まで引き付ける。
第2楽章(12:46)ゆったり聴かせた第1楽章に対し、スケルツォは快速ぎみに切り立てる、始まりの木管が刻むハーモニーは期待どおり丹念に聴かせる、

第3楽章(16:56)これも指折りの美しい演奏だ、終始涼やかな弦、木管とhornのアンサンブルになる、[83]Adagioから[98]まで、各々の楽器も持ち味を自然に聴かせ、彩り感がよい。
終楽章(25:03)特別張り詰めた表現はない、低音弦のレシタティーボもさらりと心地よい音で綴る、声楽、合唱が始まると、それまで聴いたorch.サウンドの拡張のような溶け合いで、耳疲れしない。

合唱団もどこかの年末演奏会のように大勢ではない、

you tube:Beethoven Symphony NO.9 - Otmar Suitner
1st Mov.
2nd Mov.
3rd Mov.
4th Mov.
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category: ベートーヴェン
トランペットの楽しみⅠ 
2018/12/04 Tue. 10:09 [edit]
トランペットは吹いたことないけど、物心ついた頃から、ラジオ等から聞こえていた、
バロック期のtrpやhornの曲で、誰の何という曲かも知らず、その輝きのある響きに引き付けられていた、ヴァイオリンなどと違い自由な音程を取れず、自然倍音で構成される明快な旋律が逆に魅力だったと思う。
1950年代から、バロック音楽の復興は始まっていたが、奏法的には現代流にやるしかなかった、その後は古楽奏法も研究され、現在に至っている。
'50年代、trpの高音域を巧みに使う名人級のバロック作品を演奏できる人がおらず、アドルフ・シェルバウムというtrp奏者が、初めて見事に演奏した先駆者だった、Brandenburg ConのNo.2が吹けるのもこの人だけだったそうだ。

you tube:Brandenburgisches Konzert Nr. 2, F-dur, BWV 1047
あのモーリス・アンドレがtrp奏者を目指したのもシェルバウムの演奏に触発されて、と聞く、確かにクラシック界のtrp奏者で目標とする人はこの人しかいなかっただろう。
やがてM.アンドレは「trpを吹くために生まれてきた」と言われる存在になった、trpを木管の名手みたいに吹くのは驚異的だった。
これはカラヤンとの一度だけの共演、

you tube:Maurice Andre Telemann Trumpet Concerto in D

you tube:Brandenburg Concerto No. 2 in F Major, BWV 1047: III. Allegro assai
M.アンドレというハードルが出来ると続く奏者もレベルが上がっていく、アメリカのジェラード・シュワルツなど、柔らかで安定した音が素晴らしい、

you tube:Trumpet Concerto in D Major, TWV 51:D7: II. Allegro
M.アンドレ最後の弟子である、スペイン出身のルベン・シメオが師にまったくひけをとらない天才、16歳で録音したアルバムの完成度の高さに驚く、なお、演奏スタイルは師を引き継ぐ部分と新時代的要素がある。

you tubeはちょっとだけ聴ける;

you tube:Georg Philipp Telemann: Trumpet Concerto (Ruben Simeo, trumpet) I
今日はモダン・trp編(ピストン操作付)だが、これも定型の楽器はなく、奏者の考案で様々なタイプが作られているようだ。-続く-
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category: 演奏について
動きが絵になるバロック楽器 
2018/12/03 Mon. 11:16 [edit]
以前にも演奏する様が絵になる楽器につて書いたが、楽器には演奏動作があるので、それを含めた絵になる楽器は・・
フルート(横笛)はその構えたポーズが静止画でも絵になる、ヴァイオリンは弓の動きが音楽を視覚化しているようで動画で見て心地よい、バロックvnになると弓さばきがしなやかだ、

you tube:C.P.E. Bach - Concerto for flute, strings and continuo in D minor Wq 22
ヴァオラ・ダ・ガンバは弓を逆手(ペン型)に持ち、軽やかに動かし優雅に見える。

you tube:Isabel Esain. Viola da Gamba 2016
パープは手さばきがまさに優雅、

you tube:G.F. Handel: Harp Concerto - Sarah Ridy - Barrocade
二段鍵盤のチェンバロ、設定によって上鍵盤を連動させられる、押していない鍵盤も動く、楽器自体が面白い、

you tube:Johann Sebastian Bach - Fantasy in A Minor, BWV 922 / Jean Rondeau
極めつけはこれ、真正のナチュラルトランペット、
*現代は古楽器の範疇として音程の補正孔(ベントホール)が施されたtrpが主に使われるが、

"本来は孔無し"だった、すんなり仕掛けのない管が透明な音を発する、
現在、真正のナチュラルtrpを演奏しているのが、ジャン-フランソワ・マドゥフである、右手でtrpを持ち、古式に則り?左手は腰に、


you tube:Bach BWV1047-3
手はまったく動かさず旋律を吹くのである、矛盾しているが;この"動かない"のが何とも言えぬ風格に見える^^昔、trp奏者はギルドに入っている者だけ公開の場で演奏が許され、楽器奏者の中で最も高給取りだったそうだ。
そのマドゥフのアルバムより、Telemann Trp Con.これぞバロック期に響いた音だ、S.クイケン指揮の弦楽も申し分なし、

ジャン=フランソワ・マドゥフ(ナチュラル・トランペット)
シギスヴァルト・クイケン(指揮)
ラ・プティット・バンド
you tube:G. P. Telemann - Concerto in D major for trumpet, 2 violins & b.c., TWV 51:D7
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S.ラトル:Beethoven Sym No.9「合唱付」BPO 
2018/12/02 Sun. 10:21 [edit]
さて、今日はS.ラトル指揮、BPOの「第九」、8番か「英雄」にしようと思ったけど先に聴いちゃった;VPOとの演奏は先般書いたところ、
S.ラトル:Beethoven Sym No.9「合唱付」VPO
「第九」では弦は増強するが、合唱団は編成を絞っている、これくらいが良い。
基本的な演奏スタイルはVPO盤を維持しているが、演奏時間を比較すると(楽章順)、
BPO盤 15:20 13:27 15:56 23:04
VPO盤 16:56 11:59 17:03 23:59
(*第2楽章は反復の有無の違いでテンポはBPOが若干速い)
と全体に少しずつ速くなっている、
録音は全パート明瞭だが、程よくウォームな響きが良い。

アンネッテ・ダッシュ(ソプラノ)
エーファ・フォーゲル(アルト)
クリスティアン・エルスナー(テノール)
ディミトリー・イヴァシュシェンコ(バス)
ベルリン放送合唱団、
サイモン・ハルジー(合唱指揮)
サー・サイモン・ラトル(指揮)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
録音:2015年10月10&16日
第1楽章、速めのテンポで入り、重くない響きの中に覇気があるが流線的な滑らかさも十分に繋いでいく、じっくり初めてクライマックスで加速するVPO盤に対し、こちらは始まりから速いので加速は若干になる・・けど引き付ける力はあるv
第2楽章、反復を全て行っているのでスケルツォからトリオに入るまでが結構長い、怒濤のような表現にはならず、切れよくパンチが入る、
第3楽章、アバドの(12:48)、ハイティンクの(14:11)に対しラトルの(15:56)は過去の普通の時間くらいか、ゆったりと感じる、弦楽の美音、また[83]Adagioから[98]まで弦のpizzの上に木管とhornのアンサンブルが続くが、

BPOの管の上手さが一際栄える、
終楽章の印象はVPO盤とほぼ共通するが、sopソロのアンネッテ・ダッシュは張りのあるよく通る声だ、VPO盤でも書いた、行進曲風のAllegro assai vivaceに入り、[45]からtenのソロが始まり合唱も加わる、[102]からorch.に受け渡されるがその前から加速する、というのも再現される、ここは効果的で良い。
you tubeはデモ画像のみ

you tube:Beethoven: Symphony No. 9 / Rattle ・ Berliner Philharmoniker
(3rd movt) (4th movt)
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