リュートと鍵盤による Bach:リュート作品 
2020/06/30 Tue. 09:12 [edit]

you tube:Sonata for violin and continuo in A-dur BWV 1025
また、BWV995、997、1000はバッハに近しいリュート奏者が編曲したと思われるリュート譜(タブラチュア)が残っている、
G.レオンハルトは早くからこれらの曲をチェンバロで演奏、録音している、流れる主旋律に簡潔なバスラインが付く書法が本来の鍵盤曲にはない魅力だったらしい、ホ短調のBWV996などかなり鍵盤的だがギターに移しやすい曲でもある。
なお、BWV996、997、998はバッハには異例的書法もあり、他人の作という可能性も否定できない、997と998のフーガは中間の喜遊部を終えて、Dal Segnoでフーガの冒頭に戻って繰り返す、バッハにこういう例は他にない、曲は素晴らしいが。

今村氏編曲:BWV998サンプル
その後これらは多くのリュート奏者が手掛けているが、d-moll調弦という通常のバロックlute調弦では全ての曲をカバー出来ない、

d-moll調弦
移調するか変則調弦を使うなど、各々の工夫で演奏しているが、それでも通常のリュート曲にはない難しさは多い。かつてはN.イエペスも変則調弦を用い、全曲録音を行なった、
初めはARCHIVからM.シェーファーのところへ全曲録音の話が行き、彼は「無理だ」と断ったと聞く、たぶんリュートの真価を求めるシェーファーにとって、手掛けるべき"宝玉"は無尽にあり、"バッハのリュート曲"は眼中になかったのではないか?
近年の録音で、まず今村泰典氏のリュート演奏を聴くと、今村氏は音楽に対し完璧主義のようで、変則調弦で原調を尊重、またバロックluteではバス弦は開放のみで弾き、鳴りっぱなしになるところ、きちんと止めて、全声部がくっきり繫がり鍵盤演奏のように聴かせる大変なテクニックである。
変則調弦では必要に応じ弦を張り替えるらしく、生の演奏会は成立しないだろう。

you tube:Lute Partita in E Major, BWV 1006a: VII. Gigue
もう一つ興味深いのはラウテンヴェルクによる演奏、この楽器は現存するものがなく、どんな構造だったか不明で、現代は小型チェンバロにガット弦を張った楽器を想定して作られる、
参考:ラウテンヴェルクによる、BWV1000

you tube:J.S.Bach: Fuga in sol minore BWV 1000
エリザベス・ファーはラウテンヴェルクで鍵盤ならではの良さも大いに聴かせるが、リュート風のじっくり足もとを決めるようなアゴーギグも入れて、それが何とも良い味わいである。

you tube:Lute Partita in E Major, BWV 1006a: VII. Gigue
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category: J.S.バッハ
ペグ(糸巻き)の総数 
2020/06/29 Mon. 08:23 [edit]
今日までは梅雨前線が南下し、さほど湿度は上がらず過しやすいようだ、明日から前線にかかる予報だが、70%近くなるとしんどい;

楽器の部屋の窓はいつも閉め切っていて、いつも湿度計を気にする、
なんたって自分が蒸し暑いのが嫌だし;

うちにあるリュートなど楽器達はすべてペグで弦を巻くタイプで、モダンギターのような機械糸巻きは1つもない;

今ある楽器のペグ総数を数えたら167本になる、
(ほかのリュート弾きさんには負けていると思うが^^)
湿度の高い時季になると、これら木のペグは膨張し、穴へのハマりがキツくなるので、適度に緩めて止め直す必要がある、ちょっと遅くなったが順に少しずつやっている、
一気にやると腱鞘炎がぶり返すので;;


だいたい人間が不快な状態は楽器にも良くない、人間が死にそうなほど暑いと楽器も壊れる、
夏は楽器を車に乗せて移動する際、ケースには銀シートを被せ、目的地に着くまでエンジンは止めずエアコンかけっぱなし、こんな時季こそ在宅レッスンは省エネで良いと思うv

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category: Instruments
オンライン レッスンの機材 
2020/06/28 Sun. 09:28 [edit]

画質も良く、視野角もちょうどよい、
楽器レッスンに肝心のマイク音声がひどく不鮮明で音が途切れ、まったく用を成さなかった;
結論から言えばこのweb用マイク(USB接続)の性能が恐ろしくダメだったのである;

世界中がオンライン通話に切り換える中、これらの機材は品不足、随分待ったあげくがコレだった、捨てるしかない;
ネットワーク会社によると、画像が綺麗に送信されるなら、回線速度に問題はないとのこと、
そこで前から持っていたSONYのコンデンサマイクをデジタル録音機に繋ぎ、録音:スタンバイにして、ヘッドホン出力からPCのマイク入力(アナログ)に繋いだ、

コンデンサマイクの出力は小さいので、デジタル録音機は増幅器代わりである、あとは各部の入出力のレベルを適切に合わせればよい、
Zoomを使って送信テストをしたところ、今までと比較にならないほど、クリアな音声で楽器の音もはっきり届くとのこと!録音機にはUSB端子もあり、まだ試していないが、アナログ接続で十分、やってみてよかった。
↓この機材も使えると思うが、嵩張るので今回は保留;

ソーシャルディスタンス云々に関係なく、教室が遠方で通うのが大変な場合、Onlineレッスンは今後も助かりそうだ。夏は楽器保護のため、車のエアコンは一時も止められないし;

余談:「笑点」のOnline大喜利にも馴れてきた^^
"コロナ"がきっかけで、ただ慣例的な会合などが中止され、その後もこのまんまでいこうという動きがある、主導部の判断で事後承諾、それでよいのではないかと、そういう省力化は歓迎v
しかしコンサートやスポーツ観戦は早く平常になってほしい。
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category: Low cost audio
O.スウィトナー:Mozart 3つの「ジュピター」≪続≫ 
2020/06/27 Sat. 10:12 [edit]
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手元にO.スウィトナー指揮のモーツァルトSym No.39~41のCDが3枚あり、各々の「ジュピター」を聴き比べてみた。

左:1973年 シュターツカペレ・ドレスデン(セッション、ルカ教会)D.シャルプラッテン
中:1978年 シュターツカペレ・ベルリン(ライブ、東京厚生年金会館)エフエム東京
右:1982年 NHK交響楽団(ライヴ、NHKホール)キングレコード
指揮:オットマール・スウィトナー
4~5年置きの録音で、orchが異なるのも面白い、3枚共通なのはパートバランスが良く、木管の味わいが豊かに聴けること、
第1楽章はそんな響きで意気込まず開始、力の抜けた余裕を感じる、
第2楽章、弱音器の弦で始まり、[2]、[4]で奏でる総奏音がふわっと柔らかく溶け合い、ここで引き付けられる、

メヌエット(アレグレット)はやや速めのテンポで清涼感があり、とっておきの終楽章の前奏的位置づけにも感じる、
終楽章、空前絶後のフーガ楽章、コーダにおいてはvcとcbも別れ、これまで登場した5つの動機がすべて対位法で組み込まれる、

flは1本で、あとは2管編成
以下、3大Sym連続演奏の最後にくる「ジュピター」の終楽章に着目する、
いずれもスウィトナーは快速なテンポで一気に推進する、
①SKDはセッションだけに念入りな仕上がり、ルカ教会の響きも心地よく、録音物としては一番の出来だろう、
you tube:W.A.Mozart - Symphony No.41 in C major K.551
(1st Mov) (2nd Mov) (3rd Mov) (4th Mov)
②SKBとの来日時のライヴ、放送用の音源をリマスタリングしたものだが、会場の空気が生々しく伝わってくる、終楽章の熱気はさすがにセッションを上回る、
you tube:Mozart Symphony No 41 in C Major, K551
1 Allegro vivace 2 Andante cantabile
3 Menuetto 4 Molto Allegro
③N響との演奏はスウィトナー・ファン必聴の1枚かも、
録音がクールな音質で落ち着いたように錯覚していたが、最も熱のこもった演奏だった、終楽章のテンポは最速のようだ、前述のSKBでも十分キレているが、再現部、コーダへと熱気と気合いを増すように突き進む、
*当盤は1982年の録音だが、同じNHKホールで1984年に収録された動画がyou tubeに挙がった、演奏内容の覇気は変わりなく見事、

you tube:モーツァルト 交響曲第41番「ジュピター」 スウィトナー指揮 N響
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category: W.A.モーツァルト
Audio 振動対策 
2020/06/26 Fri. 09:46 [edit]
スピーカーケーブルも床に直置きせず、木製のインシュレーターで浮かせながら引いていくとよいという、


さらには電源線、電源タップに至るまで・・このインシュレーターは金属製や石製もあって、どれがいいんだか、物理的に何を狙っているのかわからない、床からの振動を軽減させるなら、フワっとしたフェルトを敷いたほうが良いと思うが?;
ところで、フルレンジ以外の2ウェイ、3ウェイなどのスピーカーには各ユニットへ帯域を分けて送るネットワーク回路が付いているが、これこそ大いに振動するSPボックス(エンクロージャ)の中にある、ここにもコンデンサーやコイルなどがあり、ケーブルも通っている、

理屈で言えば、最も振動が大きい所!床上のケーブルどころじゃない、あれだけ振動がどうのこうの言いながら、ここに触れた話はない;
(メーカーSPのネットワークは秘密なのか?分解して見られないものがある)
自作スピーカーのネットワークは外部に出して、以前はSPから離した床に置いていたが、今は本体に乗っけていて、何も問題はない、


再生中のSPボックスは目に見えて振動しているわけじゃない、映画館や劇場の音響設備ならいざしらず、一般家屋内での音量の僅かな振動に気を使う必要があるのか、プレーヤーやアンプは自ら殆ど振動しないし、床あるいは空中から伝わってくる振動など微弱なものである、
耳で明らかにわかる問題が生じれば何か対策を打てばいいのでは。
アナログプレーヤーは増幅率が高いので、床がヤワな場合、大音量にするとハウリングを起す事もあり、必要に応じて対策が要るが。
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category: Low cost audio
グリモー&ネルソンス:Brahms Piano Con No.1 (更新) 
2020/06/25 Thu. 08:58 [edit]
ブラームスのピアノConというと、E.ギレリスとO.ヨッフム、BPOによる演奏で初めは親しんだ、ギレリスのトリル音の個々までパワフルな剛腱が圧倒したが、録音はこの時期のDGらしいというか、硬質でvn群が強く、vcやbasが引っ込みぎみでやや聴き辛い、

エミール・ギレルス盤 1972年 DG
近年はひじょうにデリケートな演奏が出てきた、DGの録音も硬質ではなく潤った響き、バランスも良くゆったり心地よく聴ける、

エレーヌ・グリモー:pf
アンドリス・ネルソンス指揮、バイエルン放送交響楽団
2012年録音 DG

まず、A.ネルソンス指揮、バイエルン放送SOの前奏が良い、orchは厚くなりすぎず、各パートが分離良く心地よい量感である、ピアノは澄んだ良い響き、グリモーは細やかで味わい深いアゴーギグを使い、orch楽器との間で室内楽的な呼吸のやり取りがある、こういう所って、指揮者の棒より、奏者同士で合わせると聞いた。

提示部をじっくりと進め、展開部に入ったソロからぐっと緊迫した気合いが入る、

第1楽章だけで充実した絵巻のようだ、
第2楽章、弦の弱奏の涼やかなタッチは静謐でpppで引き付けるが、聴くには空調の送風音を止める必要があるほど、pfソロはより夢想的で密やかに引きつけ、clが印象的なパートを奏でる、
終楽章、前楽章が消え入って、ピアノソロが快速なテンポで開始、鮮やかな切れと白熱感を出す、orch.は涼やかでダイナミズムの量感も心地よい、[238]からロンドテーマによるorch.のフガートがあり、さすがブラームス、

そのあと再び活気を帯びて終結する。

you tube:Brahms - Piano Concerto No. 1 (Hélène Grimaud)
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category: ブラームス
アーノンクール&ヨーロッパ室内O:Mozart Sym No.39 
2020/06/24 Wed. 10:35 [edit]
しかしそれまでの演奏法を打ち壊すだけ、なんてことはない、新しい何かがあるはず、と興味をもって今一度聴き直す人もいる、そこからが始まりかもしれない、楽界を一変させたわけではないが、新しい方向性を作った一人であるのは確か。
アーノンクールはウィーン交響楽団のvc奏者で1969年まで在籍したが、並行して新しいorch、「ウィーン・コンツェントゥス・ムジクス」の準備にもかかっていた、
かつてはフルトヴェングラーがカラヤンを、またベームがアーノンクールを忌み嫌ったそうだが、好楽家の間でも支持派と不支持派にはっきり分かれ、そういう評価を二分するような事は史上何度もあって面白い^^人間はあえて対立、論争するのが好きなのだろう、そうしながら新しい存在が市民権を得ていく。現在ではアーノンクール支持派は圧倒的に多いようだ、過去に何度も聴いたような演奏をする指揮者はその後ほとんどいなくなっている。
よりベーシックなハイドンの演奏では強く感じるが、20世紀終り頃まで、多くの指揮者が常套手段?で無難に繕っていたが、真の美味しさは出ていなかった。
さて、モーツァルトのSymは同じTELDECからRCOとの録音も出ているが、若手の揃ったヨーロッパ室内Oの対応力も素晴らしいライヴ盤も聴いてみた。

モーツァルト:Sym No.39 K.543(1991 ウィーン、ムジークフェライン)
アーノンクールの演奏でよく言われる特徴は動機単位に言葉を発するような奏法、隠れていた細やかな聴きどころを叩き出し、気の抜けない瞬間がある、また鋭さと対比する"レガート"も特徴で(レガートと言うのが適切かわからないが)、安穏と流れる感覚ではなく、空気が張り詰めていて、聴き手を引き付ける、下に取上げるyou tubeの映像で弦奏者の弓使いでもわかる気がするが、こんなイメージである、

管奏者もこれに合わせている、
また、39番ではクラリネットの滑らかさとナチュラルtrpの透明な音質が相性よく、管楽器群の良い響きを作っているようだ。

you tube:Mozart: Symphony No.39 K.543 / Harnoncourt Chamber Orchestra of Europe (1991 Movie Live)
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category: W.A.モーツァルト
複数スピーカーの配置 
2020/06/23 Tue. 09:48 [edit]

気に入ったメーカー品と自作物、2種類のスピーカーを繋いで、アンプ出力はセレクターを作って切り換えていた、
しかし、こんなふうに置くと内側と外側のSPで左右の間隔が違い、理想の配置にできない、

そこでこんなふうに置き直した、

同間隔になり、椅子の向きをちょっと変えれば、左右SPの中央に耳が向く、

"このCDはこっちのSPが合う"、なんぞとやっていたが^^;なんか邪魔くさくなり、1機のみにして、メーカー品は処分した;

他も予備機は持たず、1台買ったら、1台処分する;
ところで新しいアンプPMA-600NEだが、通常聴くボリューム位置は8時以内になる、リモコンで動かせるがとても微調整はできない;ボリュームの変化曲線が変わったらしいが、手で廻すにしても、9時くらいが通常なのがやりやすい、


リモコン操作はDENONでもmarantzでも共通仕様か?同じようなもので、自動回転が速すぎ、ボタンを一瞬押しただけで大きく廻ってしまう、もっと"ゆ~っくり"廻れば合わせやすいのだが、手でも廻せる構造で改良できないのだろうか。
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category: Low cost audio
落語の中の夫婦 
2020/06/22 Mon. 10:24 [edit]
どの夫婦も互いになくてはならない相方で、ほっこり微笑ましいのが落語の夫婦である。
「雛鍔」は子供が主役の話だが、本筋から外れて、亭主が女房にさんざん小言を言う場面が可笑しい・・茶菓子の羊羹を出すところ、

you tube:古今亭 志ん朝 雛鍔
次は女房も片棒担いで調子に乗ってしまう「掛け取り」

you tube:桂米朝「掛け取り」
粗忽な亭主でお馴染みは「堀の内」や「粗忽の釘」であるが、
最後にしっかり女房の「芝浜」、夫婦ものの代表だろうか、この噺もTBSの「大岡越前」の中でアレンジしてドラマ化されており(芝浜で拾った財布は辻強盗が役人に捕まりそうになり、川へ投げ込んだ、それが芝浜へ流れ着いたという設定)、落語のほうは後から知ったしだい、

you tube:古今亭志ん朝 芝浜
今思えば、落語のドラマ化というのも画期的で面白い、江戸の時代劇ゆえに自然に成り立ち、俳優陣も落語の人物さながらに演じている。

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category: 落語
J.M.Kraus:鍵盤作品の魅力 
2020/06/21 Sun. 09:09 [edit]
ソナタで書かれた2曲は集約されたような内容を持つ、とくにソナタ ホ長調(VB196)は充実しており、演奏時間も3つの楽章で30分近くの大曲になる。
どちらかというとハイドン風なかっちりした形式感で、ロマン派的要素も感じる。
ハイドンの鍵盤ソナタでも名演を聴かせているR.ブラウティハムのfpで再聴、

ヨーゼフ・マルティン・クラウス ピアノ作品集
ロナルド・ブラウティハム:フォルテピアノ
第一楽章、自信に満ちた主題で始まる、強と弱、動と静、彫りの深い楽想で提示部だけで味わい深い、休符(溜め)を置いて短調の展開部に突入、右手の疾走するパッセージの下で、左手が怒涛のように第一主題を展開するのは圧巻で、ブラウティハムは鮮やかでダイナミック、
第二楽章は自由な幻想曲ととらえるべきか、鍵盤のあらゆる表情、語り口を聴かせ、センスが良い、途中で終楽章に入ったか?と思うような軽快なアレグロ部分が置かれる、
第三楽章は親しみ易いテーマによる変奏曲だが、よく練られていて、変奏から変奏への繋ぎ方が、次はどう行こうか、と弄るような表情、短調となってベートーヴェンの「月光」を思わせる変奏も聴きどころ、内容たっぷりの10分間である、
録音数は多くないが、BISレーベルから出ているRonald Breatigamのフォルテ・ピアノによる演奏が技のキレ、表現ともに群を抜いており、これがあればいい。

you tube:J. M. Kraus - VB 196 - Keyboard Sonata in E major
使用楽器はAndreas Stein作に基づく

もう一つのソナタ 変ホ長調(VB195)は幾分小作りだが、それでも22分前後の作品、こちらはモーツァルト風な軽快さと独特の冴えた閃きもあり、VB196とは違った楽しみがある、終楽章が凝っている。
こちらはJacques Desprésのモダンpfによる演奏、

you tube:Joseph Martin Kraus - Piano sonata in E-flat major, VB 195 -
Allegro moderato (1/3) Andante con variazioni (2/3)
Allegro ma non troppo presto (3/3)
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category: J.M.クラウス
知られざる英国作曲家 
2020/06/20 Sat. 08:55 [edit]
バロック期になるとヘンリー・パーセル(1659-1695)が有名だが、

Henry Purcell
その後はドイツから帰化したG.F.ヘンデル(1685-1759)が中心的存在となり、英国出身の有名作曲家というのは耳にしなくなる、古典派期に入っても音楽に関しては輸入国となった様子で、ハイドンなどが渡英すると大人気で迎えられた(ハイドンも英国への移住を勧められたのだが、それは辞退した)。
しかし、パーセル以後、英国の作曲家がいなかったわけではない、メジャーな存在が出なかっただけで、良い曲を書いている人もいる、
まず、ヘンデルの友人だったという、ジョン・スタンリー(1712-1786)、

John Stanley
世代的には初期古典派になろう人だが、協奏曲などを聴いてみると、まさにヘンデル、さらに遡ってA.コレッリを思わせる作品もある、you tubeにロイ・グッドマン指揮する演奏が挙っている、録音はだいぶ過去のものと思われる、

you tube:J. Stanley - Concerto No. 2 in B minor for Organ and Strings
次にウィリアム・ボイス(1711-1779)、

William Boyce
この人もスタンリーと同時代だが、やはりヘンデルを引き継ぐ作風を見せている、ヘンデルのスタイルが王室を象徴する音楽様式となったのかもしれない。
T.ピノック指揮による、シンフォニア集、これはyou tubeで続けて聴ける、

you tube:Boyce: Symphony No.1-No.8
シンフォニアと言っても古典派スタイルではなく、ヘンデルの合奏協奏曲を3楽章仕立てにしたような作品群である、No.6のようにフランス風序曲に始まる曲もある、
さらに、カペル・ボンド(1730-1790)という人もいて、ハイドンの世代であるが、依然と、スタンリーと同じような曲を書いている(過去にyou tubeにあったが消えている)、
やがて、古典派、ロマン派スタイルの作曲家も出てくるが、今日知られる人は出ていない、
因みに天文学者で有名なウィリアム・ハーシェル(1738-1822)は古典派作曲家でもあった、

you tube:William Herschel - Symphony n. 8 in C minor (with score)
その後有名な英国作曲家といえば、エドワード・エルガー(1857-1934)やグスタフ・ホルスト(1874-1934)、ベンジャミン・ブリテン(1913-1976)くらいしか浮かばない?
英国が大々的に音楽を輸出するようになるのは、それこそビートルズが登場してから?のようにも思える^^
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category: その他・バロック
レコードプレーヤー:あれこれ ≪訂正、追記あり≫ 
2020/06/19 Fri. 09:55 [edit]

PLX-500 (実売 約39600円)
低価格でプレーヤーとして不可欠な機能は全部揃った"完成型"ともいえるCP比高い製品、
ところが殆ど同じに見えるテクニクスのSL-1200MKは何故こんなに高いのか

SL-1200MK7 ( 実売 約112000円)
姉妹品で出たSL-1500Cはターンテーブル周りのドットが消えている、自動調整に変えたのか
訂正:説明書きが隠れていた、回転は自動調整になっている、安心v・・やはりこの価格ならばそうでなきゃ、

SL-1500C (実売 約110000円)
オートリフトアップも付いたそうだ、"DJ"をやらなければベストの仕様になる。
因みに低価格で速度を調整できるのはDENON DP-400とTEAC TN-4Dの2点でいずれも自動調整である(テーブル回転を検知しながらフィードバックでモーター速度を調整)、これぞプレーヤーのあるべき機能だと思うが、高価な製品にさえ今だ速度調整不能なのがある、メーカーもユーザーも何故か無頓着なのだ?

DENON DP-400 (実売 約44000円)

左:TEAC TN-4D(実売 約59000円) 右:TN-3B (実売 約47000円)
一段安いTN-3Bになるとアーム部は同型だが速度調整はない、
以前にもyou tubeのサンプルで紹介したが、速度の調整不能なプレーヤーと可能なものとではこれだけ違いが出る例がある、同録音で比べるとピッチや速度でわかるが、
*前者は速すぎ、後者は正確、
you tube:Mozart, Symphony No 35 Haffner, Otman Suitner
you tube:モーツァルト:交響曲35番/オトマール・スウィトナー指揮/SKD
このドットをプリントしてテーブルで廻し、100v電源のLED電球で照らして該当のドットが静止すればOK、流れると狂っている、→FIDELIX:ストロボスコープ


じつは調整不能な機種も本体の底にミニドライバーを差し込んで調整する所があるらしい(全てそうなのか不明)、メーカーが出荷時に合わせるらしいが、その後は触れてほしくない所か、微調整はやり辛いと聞く、←何故これを表の微調整にしないのか?あとはストロボライト(LED)とドットをプリントしたシートがあればいい、低価格品でも当り前にしてほしい。
追記:パイオニア PLX-500と、テクニクス SL-1200とどう違うのか調べたところ、機能的にはほぼ同じで、PLX-500はプラスチック部品が多く使われコストを下げてあるが、一般使用には問題なく十分らしい。
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category: Low cost audio
初夏の紅葉 
2020/06/18 Thu. 10:37 [edit]


6月17日写真
なお、若葉の時点で葉緑素も持っているが、赤い色素が際だっているようだ。
初夏から赤いのはノムラカエデという品種だそうで、地方によっては真夏には一旦、葉が緑になり、秋には再び紅葉するが、紫を帯びた深い色合いになる、

参考画像:ノムラカエデ、夏と秋
何故モミジ等は紅葉するのか、これも詳しく知らなかった、植物の鮮やかな色を作っているのは主にアントシアニンとカロテノイドだが、いずれも日光の有害線から葉を守る色素になるそうだ、秋が深まり日照時間が短くなると、葉緑素が分解され、葉に蓄えられた栄養分が幹へ吸収されて冬を越す蓄えとなる、その間も落葉せず、光害から葉を守るため、アントシアニンが作られ、赤く色づく、またイチョウのように晩秋に葉が黄色くなるものはカロテノイドが同様の役割をしている。
アントシアニンはリトマス試験紙に使われる色素で、酸性-アルカリ性の間でピンク~青に変わる、アジサイや花菖蒲、赤じそ等の鮮やかな色もアントシアニンによるもの、土壌のPH値で色合いが変わる・・学研の「科学」のおかげで見当はついていた^^
ニンジンやミカンの黄色系の色素はカロテノイドで、ビタミンAの素でもある。
なお、光合成を行なう葉緑素は光の波長域の青と赤をピークとして利用しており、緑の波長域は反射している、よって植物の葉は緑に見える。

イロハモミジ
(地球外にも植物と同じ存在があるとしたら、緑じゃないかもしれない)
そうめんに添えるならぜったい緑のモミジである、夏にはぜひやってみたい^^

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category: 時事・雑記
J.M.Kraus:室内楽の魅力 
2020/06/17 Wed. 10:33 [edit]
その中で優れた技量をもちながら音楽の中心都市から離れ、独自の作風を築いた作曲家は興味深い。スペインご当地風の作風で書いたボッケリーニは代表的。ハイドンもハンガリーのエステルハージ宮に仕え、優れたorch楽員らと独創性のある作品を築いていった。スウェーデンの王室付きとなったヨーゼフ・マルティン・クラウスも同様と思われる、
クラウスの作品は長く知られることなく眠っていた、またバロック期の大家、C.グラウプナーの作品も相続権をめぐる事情で長く公開されなかったが、近年になって録音物が出始めた、
古楽研究の進んだ良い時期にタイムカプセルが開かれたと思う。
今回はクラウスの室内楽を取上げる、古典派様式であることに違いはないが、型破りな要素もあり、並行世界の中心から少し離れたような独特の魅力がある。
演奏はヤープ・シュレーダー(vn)率いるピリオド楽器によるもの、

1曲目はfp、vl、vcの典型的な3楽章のトリオで親しみやすく、センスが冴える。クラウスらしい、すぐわかる独特の旋律趣味が聴き取れ、これが一味違う音楽のキレの良さでもある。

ピアノ・トリオ ニ長調 VB172
you tube:Joseph Martin Kraus - Trio in D-major, VB 171 -
Allegro (1/3) Adagio (2/3) Scherzo - Allegretto (3/3)
*ここで、同曲をモダン楽器による20世紀スタイルの演奏で聴くと、
you tube:VB 171 I. Allegro moderato /Walter Schwede
随分趣きが違う、作品の素の味わいに対し余計な色付けが感じられる、
次は興味深い曲で、クラウスの短調作品共通の魅力を持つとともに、バロックのソナタと融合したような不思議な味わいだ、ソロvnと低音の対旋律があり、チェンバロとvcで演奏される。第一楽章展開部の終りに緩叙部分が入り、ここがコレッリのvnソナタなどふと連想するのが味なところ、ソリストは反復で装飾を入れている。
ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタ ニ短調 VB158
you tube:Joseph Martin Kraus - Violin sonata in D-minor, VB 157 -
Allegro (1/2) Andante (2/2)
3曲目は第一楽章に序奏らしき部分を持つのが珍しい、序奏の動機はそのまま主部のテーマになり、快調なアレグロではじつに心地よい、展開部も充実、vnソナタといいながら、ピアノの活躍が目立つ、
ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ハ長調 VB164
you tube:Joseph Martin Kraus - Violin sonata in C-major, VB 164 -
Largo - Allegro (1/3) Adagio (2/3) Scherzo - Allegretto (3/3)
ところで、クラウスの主立った作品を優れた演奏でまとめた作品集、CD5枚組が格安価格で出ている、ちょっと興味が湧いた方にはお薦め盤だと思う。

→ TOWER RECORDS
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category: J.M.クラウス
急遽買い換え:PMA-600NE 
2020/06/16 Tue. 08:52 [edit]
プリメインアンプPMA-390REを取り寄せた後、気になっていた後継機のPMA 600NEも試してみたくて、これも取り寄せてみた、
これは巷の評判どおり、アンプ機能が大幅にグレードアップしていた、

今まで"390"が引き継いできた汎用的な便利機能を省略した分、アンプ回路にコストを集中させている感じだ。(それが見抜けなかった^^;)
出力が上がり、今までボリュームが9時近い位置だったのが8時以下でよい、ボリュームはいつも手で廻しているので良いのだが、リモコンで動かすには微調整し辛い。
聴き馴れた盤を聴くと、駆動力が増したように低域がしっかり押し出し、聴き心地のよいバランスで不自然な強調感はない、"慣らし"も済んでいないのに、いきなり伸び伸びと鳴る。
"ラウドネス"も廃止されていて、ほんとに必要なさそうだ。
フォノ端子はMM対応のみだが、この回路もリニューアルされていて、出力は十分、昇圧トランスを通したMCの音も大幅にパワーアップして出てくる、
価格は390と同じくらいだが、アンプ性能で選ぶなら断然600になる。

600の重量はトランスが一廻り大きくなったせいか、7.4kgと若干重くなったが、扱いは楽である、実売価格からすればさらにCP比が高くなったと言える。
*390REは新しいうちに売却することにした、
裏面の端子が減り、連動コンセントもないので代わりこのテーブルタップを購入、

CDプレーヤー、アナログプレーヤー、サブウーファーの電源はこれに繋ぎ、スイッチ1つでON/OFFする^^サブウーファーは無しで行けそうな鳴りっぷりだが、一応繋いである。
上記のテーブルタップは水回りでも使えるよう防水になった日用品だが、これで十分、
オーディオ用とされる電源タップには、オプションでスパイク型インシュレーターが付くというのがあって驚いた;

PS. PMA-600NEは早くも人気急上昇のようで、入荷待ちのショップが多いようだ、
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category: Low cost audio
ハイドン:Sym No.101「時計」、古今の演奏 
2020/06/15 Mon. 10:32 [edit]
ハイドンの初期や疾風怒濤期の曲から親しむのがよいが、その辺の曲が殆どレコーディングされていなかったせいもある。
最初に買ったのが、J.カイルベルト指揮、バンベルクSOだった、妙な小細工も、過剰な表現もなく、すっきりと端正な演奏は今も好感がもてる、

ヨーゼフ・カイルベルト指揮、バンベルクSO

you tube:Symphonie No. 101 in D Major, Hob. I: 101 "L'Horloge":
I. Adagio - Presto II. Andante
III. Menuet. Allegretto IV. Finale. Vivace
高校生の頃、名曲・名盤ガイドのような本を借りて、ハイドンの「時計」で一番の評価で挙っていたのが、F.ライナーとT.ビーチャム盤、次いでK.リヒター盤だった、まあ著者の好みだろうが、その内、ライナー盤を期待して買ったところ、

you tube:Haydn: Symphony No. 101 (The Clock), Reiner & HisSO (1963)
あまりにロマンティックな脚色の演奏は一番苦手であった;この時点では最初のカイルベルト盤が良かった、その後もいろいろ聴いたが、新しい何かに気付く演奏はなかった。
F.ブリュッヘンが18世紀Oとレコーディングを始め、「時計」を聴いたときは良い意味でショックであり目から鱗でもあった、曲が秘めた構成感や躍動感を初めて明確に聴かせ、真の良さがわかった気がした。古楽器orchの響きが塊にならないのも効いており、各パートの持つ意味がよく聞こえてくるようだ、演奏史の行き詰まりを打開した1つだろう、

フランス・ブリュッヘン指揮、18世紀O
1987年録音

you tube:J. Haydn - Hob I:101 - Symphony No. 101 in D major "The clock" (Brüggen)
20世紀終り頃まで、古楽とモダンは別分野のような感があったが、やがてアーノンクールはじめ、ブリュッヘン、コープマン、ピノックらが次々、モダンorchの指揮台に立った。
その後C.アバドもヨーロッパ室内Oとピリオド指向に移行する演奏を聴かせた。

you tube:Haydn: Symphony No.101 In D Major, Hob.I:101 - "The Clock" -
1. Adagio - Presto 2. Andante
3. Menuet (Allegretto) - Trio 4. Finale (Vivace)
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category: F.J.ハイドン
LP盤の変形と対応 
2020/06/14 Sun. 10:08 [edit]

大なり小なり、パラボラ型に変形しており、これは内周に対し外周が縮んで起きると思われる、支障の無い程度ならよいが、

強調図
盤全体がターンテーブルのゴムシートにきちんと接していれば、いわゆる"盤共振"も起きないはずだが、仮に表が凸面なら裏は凹面になり、いずれもテーブルから浮き上がっている、これを矯正したいところである、

厄介なのは凹面状態で、回転させると特に外周で針が上下に揺れる、過去にそんな盤は外周の数か所、2mmくらいにセロテープを貼り、ターンテーブルに密着させて再生した、何度もやってられないのでカセットテープにダビングした。
重たい"スタビライザー"なるものが売られているが、

どっちみち押えられるのはレーベル面の内側だけである、重い物を乗せてモーターに負荷をかけずとも、強めのクリップでセンター軸を挟み、一緒に盤を押さえ込めばいい、

盤が凸面状態なら中央を押さえ込めばよいが、凹面の場合、スタビライザーも意味がない、
過去に本格プレーヤーでターンテーブルに盤の"外周を押さえ込む"フレームが付いた製品を見たが、これなら凹面状態に対処できる、

凸面の浮き上がりはセンター軸にネジを切って、小さなストッパーで押えられるといい(軸も一緒に廻るので問題ない)、さほどコストのかかるものじゃなし、そんな工夫のあるプレーヤーが普通にあってほしいものだ、
オーディオ品というのは、どうでもいい所にコストをかけたり、大して意味のない高価なアイテムが出たり、本当にあると助かる物が出てこない;

ホームセンターで買った水平器
ところで、いつぞやのターンテーブルが磁力で宙に浮くというプレーヤー、その後の評価はどうなのか?

yukimu MAG -LEV Audio ML-1
Ste●eo So●nd誌には「浮遊感の漂う音が面白い」などと載っていたが、本気か?^^
まともなレポートが見つからない;再生中に停電が起きたらどうなるのか;
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category: Low cost audio
ブリュッヘン:Mozart Gran Partita K.361 
2020/06/13 Sat. 09:13 [edit]

フランス・ブリュッヘン指揮、18世紀O
第1楽章は序奏をもつソナタ形式、管楽のために書かれたシンフォニア・コンチェルタンテとでも言うべき堂々たる楽章、2つのトリオを持つメヌエットと続き、7楽章ある。
映画の影響でお馴染みになる曲は多々あるが、第3楽章のアダージョがそれで、さすがに選ばれた曲という感はある、映画「アマデウス」で、サリエリがこの楽譜を読みながら惚れ惚れするシーンに使われた、娯楽的なストーリーだったが、サリエリは誰よりもモーツァルトの素晴らしさを認識できる立場で描かれていた。
このアダージョは一定パターンの伴奏に乗りながら、オーボエ、続いてクラリネット、バセットホルンが引き継いでソロを奏でる、バセットホルンは広い音域いっぱいに跳躍する、

言い換えれば、何の変哲もない純粋で美しい曲だ、それがじーんと心を満たす、書けそうで、なかなか書けない曲なのかもしれない。
第4楽章はメヌエット、5がロマンツェ、6は変奏曲、7.フィナーレは軽快なロンド形式、このフィナーレも「アマデウス」にちらっと登場する。
全曲通して聴くのは時間的にしんどいので、抜粋で楽しめばいい;
you tubeはF.ブリュッヘン指揮、18世紀Oのメンバーによる演奏が映像つきであった、

you tube:Mozart - Gran Partita - Orchestra of the 18th century - Frans Brüggen
PS.モーツァルトは管楽アンサンブルを多く書いているがディベルティメントK439b(No.1~5)など、3本の楽器による小ぢんまりとした曲だが凝縮された聴き応えがある、
これはNo.2で3本のバセットホルンによる演奏、

you tube:W. A. Mozart - KV 439b/II - Divertimento for 3 basset horns No. 2 in B flat majo
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category: W.A.モーツァルト
生楽器とヴォーカル 
2020/06/12 Fri. 10:09 [edit]
筆者がいつも使うのはaudio-technicaのAT33PTG/IIとAT440MLbの2つだけ、息子が好みだというSHURE M75EDも残してある、
すべて生楽器でヴォーカルもナチュラルな肉声らしく録音されたLPを楽しむにはどれが良いか、トミー・フラナガン・トリオと組んだ阿川泰子のアルバム「オール・ライト・ウィズ・ミー」などであらためて比べてみた、


SHURE M75EDで聴くと楽器はパワフルで良いのだが、ヴォーカルの高い声が強く張り出した感じになる、出力は大きいがやや荒っぽくもある、

あくまでスピーカーの特性と合わさった結果だが。
AT440MLbはaudio-technicaの標準的なVM型だろう、普及タイプのVM型にラインコンタクト針が用意され、簡単に交換できるのが良い、生産終了後も互換の針があるので助かる、

音はフラットバランスで聴きやすくなる、細やかさも十分、このカートリッジしかなければ満足して聴くだろう。
MCのAT33PTG/II、聴き始めですぐわかるが、これはMCながら厚みをもった音だと某サイトのレビューにあったとおり、ウッドベース、トランペット、ピアノは透明感をもって十分に押し出す、ヴォーカルはより肉声らしく潤いを持って出てくる、

オーケストラやシャンシャン鳴る楽器では気付かない再現力の違いが、良い録音のヴォーカルでわかるようだ、

先般話題にしたABBAのアルバムは肉声の帯域バランスを変えて、声を楽器化した音作りが多いので、これはまた事情が変わってくるだろう。

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古典派の短調 :Mozart Sym No.40 ほか 
2020/06/11 Thu. 11:11 [edit]
モーツァルトのsym40番、第1楽章も弱奏で始まるが、そんな熱気を持つ、
展開部の終結が終り切らぬ[164]から弦が再現部に入るのが急き立てるようだ、

最も山場となるのは再現部の[191]から[225]ではないか、

この曲はヤワなもんじゃない、と最初に硬派な演奏を聴かせたのが、トスカニーニやフルトヴェングラーだったと思う、

you tube:Mozart: Symphony No. 40 K. 550/ Furtwängler VPO
名曲でよく演奏されるが故だろうか、これほど指揮者や時代によって多様な演奏スタイルが生じた曲も珍しい、そんな演奏史をリセットして聴かせたのがN.アーノンクールか、

you tube:モーツァルト: 交響曲 第40番 ト短調 K.550 アーノンクール 1983
C.アバドの初期の録音と21世紀の録音を聴いても時代の移り変わりを象徴するようだ、
1980年、ロンドンSO

you tube:Mozart: Symphony No.40 In G Minor, K.550 - 1st Version - 1. Molto allegro
2008年、モーツァルトO

you tube:Mozart: Symphony No.40 In G Minor, K.550 - 1. Molto allegro (Live)
PS.モーツァルトの演奏には慎重だったというカラヤンも、過去と近年と比べると、かなりスタイルが変わっている、
1942年
you tube:Mozart: Symphony No. 40, Karajan & RAIso (1942)
1978年
you tube:Mozart - Symphony No. 40 in G Minor KV 550 (BPO / von Karajan)
次にハイドンのSym No.45 嬰ヘ短調「告別」、
珍しい調性で、第1楽章は第2主題を持たない単一主題というやや異例な曲であるが、主和音を下る簡潔で力のある主題に伴い、バスのリズムとともにvn2がシンコペーションを奏で急き立てる感覚で突き進む、

展開部はイ長調となって入る、展開部は短めで[108]から初めて現われるニ長調の主題、

一時の安らぎを聴かせ、形式上[142]から再現部と思われるが対比を付ける、そして[142]からが転調により一番の山場となって引き付ける。

you tubeはC.ホグウッド、AAMで

you tube:J. Haydn - Hob I:45 - Symphony No. 45 in F sharp minor "Farewell" (Hogwood)
これもハイドンの短調Symとしてよく演奏されてきて、新旧様々な演奏スタイルがある。
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category: W.A.モーツァルト
スピーカー・ユニットのエッジ 
2020/06/10 Wed. 09:50 [edit]
スピーカー・ユニットのコーンとフレームを繋ぐエッジにもゴムが最もよく使われる、タイヤほど過酷ではないので長く持つが、常に動いている部分、だいぶ古くなれば硬化したりヒビが入ったりする、使用する場所が料理店など油の蒸気にさらされる所なら痛みも早いだろう、このエッジを交換すれば、スピーカーは非常に長持ちする機器になる。
ゴムならまだマシだが、筆者が使っているウーファー・ユニット、始めはウレタン(スポンジ)のエッジだった、

すぐに傷んでボロボロになるのは火を見るより明らか、なんでウレタンなのか;勘弁してほしい、同じメーカーで布製のエッジを使った製品もあり、これなら良かったんだけど;
業者さんに頼んで、鹿革のエッジに替えてもらった、

これ以上に長持ちする素材はない、エッジにも慣らしが必要だが、これは交換に出して戻ってきて、何の違和感もなかった、十分しなやかなせいか、
スピーカー・コーンの後ろにはボイスコイルがあり、永久磁石を無接触で取り巻いている、
これはモーターと同じく電流によって動かされる仕組みなので、「フレミングの左手の法則」でコイルに力が発生する、

ただし電流は音声信号どおりに変化するので、永久磁石との反発も同様に変化してコイルは前後に振動する、これがコーンを動かし音に変える、

この振動は低音から高音まで重ね合わせになっている。
因みにアナログカートリッジは発電機に相当するので、「右手の法則」に従う現象である。

真空の宇宙であっても、空間には電場、磁場が90°の関係で備わっており、遠い天体の光や電波(電磁波)も伝わってくる。

・・本題に戻して^^
このスピーカーの磁石も経年により、磁力が低下してくる、これも専門店に頼めば再着磁できるが、現時点の音の出方で良いと思えば何もしないのがよいかもしれない、再着磁で磁石が強化されるとレスポンスも高くなると思うが、一個につきかなり料金がかかり、あまり"剛力"?な鳴り方になっても耳が馴染まないかもしれない、
新しい機器を買うにも、メンテナンスするにも、いろいろ迷う事はある;
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W.ケンプ&B.クレー:Mozart Piano Con No.22 ほか 
2020/06/09 Tue. 09:56 [edit]
No.21とNo.23に挟まれたNo.22は緩叙楽章の魅力で言うと、人気では一歩下がるかもしれないが、中間部に意外な聴きどころ(バロック風?)が置かれる、筆者個人は好きな曲で、健康的な趣きが良い、第2楽章はハ短調となるが、さほど悲愴ではなく、温もりがある、管楽器のobが省かれた響きも特徴、
終楽章のロンドテーマの弾む楽しさは名作だろう、

木管のソロとピアノソロを巧みに組み合わせ、ソロ楽器が複数あるような楽しみとなる。
まず、W.ケンプ:p、B.クレー指揮の演奏を聴いてみた、1977年録音でさほど古くはない、
ピアノ協奏曲No.22変ホ長調 K.482

ヴィルヘルム・ケンプ:piano
ベルンハルト・クレー:指揮、バイエルン放送SO
1977年 DG

you tube :KEMPFF, Mozart Piano Concerto No.22 in E flat major, K.482
音質はウォームで聴きやすい、端正なorchが心地よく、弦の各パート、木管などがくっきり捉えられ、pianoソロと絡んだ巧みな曲の構成に集中できる、弾む終楽章を落ち着いたテンポにしているのが、なんとも味がある、ケンプによるカデンツァも面白い。
もう一つ、M.ビルソン:fpとガーディナー指揮による演奏は古楽orchながら、ダイナミックに押し出してきて痛快、こちらも終楽章はわりと落ち着いた歩調で、軽やかなfpと木管のやりとりがよく味わえる、

マルコム・ビルソン:fp
ジョン・エリオット・ガーディナー指揮、イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
1987年、ARCHIV

you tube:Mozart: piano concerto no. 22 in E-flat major, K 482. Bilson, Gardiner, English Baroque Soloists
PS.そういえば、交響曲のようなorch作品でも楽器ソロが入るが、ハイドンはvnやvcのソロもよく使う、モーツァルトの場合、木管はよく使うが弦のソロというのは憶えがない?
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category: W.A.モーツァルト
オーディオ機の慣らしと劣化 
2020/06/08 Mon. 10:07 [edit]
音響機器ではスピーカーや、アナログプレーヤー、針&カートリッジも機械動作と同時に機能するので同じだと思う、激しい動作ではないので長持ちだが。
冷えた状態より、適度に温まったほうが良い、というのも殆どの機械類に言えるだろう、
このプレーヤーも買ったばかりの時点で僅かに回転ムラを感じたのだが、安定してきた。

*CDプレーヤーは一定量のデーターを取り込みつつ、DA変換で再生する(CDは回転したり止まったりしている)ので、機械動作と同時ではないと言える。
電気が流れるだけで機械動作のないアンプではどうなのか、じつはここにも変化はある、
単なる導線には何も起きないと言ってよいが、各々の素子、特に変化するのは大小いくつも使われている円筒形の電解コンデンサで、おもに電源系のノイズ除去に使われる、

この素子はアルミ箔と電解紙(電解液を含ませた紙)を交互に重ねてある、

薄い電極と紙がトイレットペーパーみたいに巻かれており、コイルのような性質も生じる、
製造時に一応機能するように仕上げられるが、新品の状態から通電が開始されると化学変化が進み、それが安定した頃が本来の性能になる、100時間程経ってからとも聞く、
届いたばかりのプリメイン、PMA 390RE(新品)の動作テストを行なった、今までの390SEに対し、回路は大幅なリニューアルはされていないようで、同じ感じならそれでよいと思った、出力も同じはずだが、やや縮こまった鳴り方に聞こえ、使い込んだ390SEに戻すと、伸び伸びした感じになる・・REも使い込んでどの程度変わるのか?様子をみないとわからないが;

なお、電解コンデンサは通電劣化で寿命が短い、劣化部品を交換すると一旦は快復するが、1つ部品が劣化すると、異常な電流が流れ、別の部品もダメージを受けていて、また不調になる、

合併症であちこち悪くなった老体のようなものか・・50万超えとかの上級アンプでも電解コンデンサなしで回路は組めない、ほかトランジスタ、ダイオード等の鉱石素子も通電劣化する、ノイズが発生したり、壊れてプッツリ音が出なくなる事もある。
鉱石アンプは10年持てば上々か・・昔は5年も持たなかったのもあった;使用頻度でも違うと思うが再生音で判断し、新しいのに替えればいいだろう;
真空管アンプの場合、管は差し替えるだけ、ほか劣化部品を交換すれば長持ちかもしれない。

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Zefiro:ヘンデル「水上の音楽」 ほか2枚 
2020/06/07 Sun. 10:02 [edit]
ヘンデルの「水上の音楽」はバロック音楽入門の1つとしても親しみやすい作品だが、これは演奏側にとってもやり甲斐のある作品で、発展性があり、演奏の数だけ楽しみがある、
組曲の各曲の間にはアダージョの間奏が置かれ、楽器ソロが入るが、楽譜はごく簡潔である、

装飾的リアライゼーションは奏者に任される、obソロが多いがvnも使われる、同時に通奏低音も技の見せどころ、ここだけ取っても楽しみである、昔から録音は数多くあるが、これが一番の名盤、とは決められない。
ジーン・ラモン&ターフェルムジークの演奏をSONYが数多く録音しているが、この水上の音楽は録音の素晴らしさが光っている、

この盤はオーディオ機の劣化チェックにもしているが、音場が透明で拡がりがあり、vnのくっきり美しい音、trpやhornは輝きと厚みをもって響く、第2組曲の始まりのAllegroなど、あまり急速にせず、バロックtrpやhorn独特の大らかなトリルをじわり聴かせるのが良い、これはyou tubeに挙っていないが、聴き甲斐のある1枚である。
NAXOSから出ているケヴィン・マロン指揮、アカデミア・アンサンブルはやや距離を取ったような録音で、会場で響きが溶け合う美しさをよく再現する、こういうのもバロックを楽しむ大きな要素である、第2組曲ではtrpにtimpを伴わせる、

you tube:Wassermusik-Suite Nr. 1 F-Dur, HWV 348: I. Overture: Largo - Allegro - II. Adagio e staccato
you tube:Water Music Suite No. 2 in D Major, HWV 349: I. —
新しいところで、ゼフィロ・バロックOの演奏、古楽演奏も20世紀終り頃から本格化して、一つの演奏史となっていると思う、今も進化中であるが最新の洗練された演奏になる、*当盤はヘンデルの間にテレマンの「水上の音楽(ハンブルクの潮の満干)」が入り、楽しませるカップリングである。

通奏低音は小編成部分ではテオルボが主に奏で、tuttiではチェンバロが加わる、といった響きの合わせも味わいがある、ソロの装飾、hornの荒々しい鳴らし方、新鮮な楽しみが聴かれる。

you tube:G.F. Händel: "Water Musick" in Seven Parts HWV 348, 349, 350 [Zefiro-A.Bernardini]
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category: G.F.ヘンデル
M.ビルソン&ガーディナー:Mozart piano Con No.24 
2020/06/06 Sat. 09:26 [edit]
筆者はPCで文章を打つ間にも、何を書くつもりだったか忘れてしまうが;
モーツァルトは生涯に音符のオタマジャクシを何個書いたことか、天文学的数になりそうだが;pf協奏曲などorchパートに加えpfの音数も多くて書くのが大変、いくつもアイデアが浮かび、決められない、草稿譜ではとりあえず骨子となる音だけ書いて、上段を空けておき、入念に気に入るパッセージにまとめた・・ように見える、

先に書いたのは憶えておくイメージだけ、のような部分もある
気の済むまで書き直したような所もある、

K491 終楽章[43]~
実演の際にはさらに湧いてきたアイデアを即興で弾いたかもしれない、pf協奏曲だけでも大変な労力に思えるが、オペラ、宗教曲など同時に多くの作曲を並行してやっていたとか;
現代の演奏を聴くと、草稿にはなかった装飾的パッセージが加わっている、後にそういう版が作られたのかと思うが、奏者によるものかもしれない。
今日はピリオド楽器のM.ビルソン&ガーディナーによる演奏、
piano協奏曲No.24 ハ短調 K.491

マルコム・ビルソン:fp、ジョン・.エリオット・ガーディナー指揮
イングリッシュ・バロック・ソロイスツ
1988年録音 ARCHIV
フォルテピアノは軽やかな響きだが、粒立ちよく転がり、まさにこの楽器のための曲だと感じる、orchがひじょうにダイナミックでシンフォニックな楽しみも十分聴かせる。

you tube:Mozart: piano concerto no. 24 in C minor, K 491. Bilson, Gardiner, English Baroque Soloists
PS.以前にも取上げたが、気に入った演奏をyou tubeから、
Iryna Krasnovska (pf), Giuliano Betta (指揮)、
orchの前奏から新時代的、pianoソロは心地よい装飾が加えられる、こうあるべきなのだろう、活気溢れる終楽章が良い、

you tube:Iryna Krasnovska. Mozart. Concerto 24. K. 491 C - minor
*音が途切れたり動画とズレたりする
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category: W.A.モーツァルト
DENON PMA 390 
2020/06/05 Fri. 09:01 [edit]
SP出力が独立2系統、電源スイッチと連動したコンセントが裏面に2つ、常時スルーが1つ、(のちに全て連動になった)同時に使う機器の電源もこれ1つで一緒に入る、使い勝手の良さは後継機に引き継がれた、

PMA-390 初号機
ただ初号機の当時はスイッチ類やボリューム類の接触がやがて不調になったり、鉱石部品の劣化で故障があったのは他の製品同様だった(長持ちしたほうだが)、
なお初号機はMCカートリッジ対応のイコライザーも内蔵していたが試せずじまい;
その後、機器に凝った時期があり、高いわりに使い勝手のわるいアンプを取っ替え引っ替え、管球アンプも試したが、場所を取るし接続線だらけ、一頃はこんな状態;

"重い"のも面倒になり;・・またプリメイン1台にスッキリまとめることにした、

これもPMA-390の後継機で2009年発売、重量6.7kgで楽に扱える、

PMA-390SE
もう10年くらい経つが、部品の向上のお陰か、接触不良など過去の製品で問題だった不具合が出る兆候もなく健在である、まさにSP比高い、これが壊れたらまた後継機を買えばいいと思っていたところ、何故かDENONのラインナップから"390"が消えていた;現在、後継の位置づけはPMA-600NEになるようだが、巷の評価ではパワフルになったらしい、

PMA-600NE
しかし都合良かった機能が省略されている、電源スイッチと連動したコンセントがなくなり、SP出力も1系統に、代りにデジタル入力としてDA変換回路が付いたが、これはCDプレーヤーの内蔵回路とダブっており、使うことはない;
PMA-390SEはまだ使えるが、最後の"390"になるPMA-390REの新品在庫があるうちに買っておくことにした。

PMA-390RE
"390"シリーズというのは価格を3万円台に押えるという意味だったようだが、その後は希望小売価格が5万円を超えたため名称を改めたのか、現在の"600"は6万円未満にする、"1600"なら16万未満に、と実態に合わせたようだ。
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category: Low cost audio
ポリーニ&ベーム:Brahms piano Con No.1 
2020/06/04 Thu. 08:17 [edit]
約1年ぶりに聴く、M.ポリーニ:pf、K.ベーム指揮:VPOの演奏である、

マウリツィオ・ポリーニ:pf
カール・ベーム:指揮
ウィーン・フィルハーモニーO
1979年 DG
この曲はまず、第1楽章のorch前奏が聴きどころ、VPOは弦の弱奏もしなやかながら芯のある感覚、総奏の中に響くウィンナob独特の音色が緊張感を与え、戦艦が進むような前奏で引き付ける、ポリーニのソロは表情豊かだがアゴーギグは控えめに着々と行く、展開部から終結にかけてぐいぐい追い込んでいく、これが時間を詰めているようで、演奏時間は20:55と速め、
トリルはこの楽章の重要な要素だが、ポリーニはパッセージやトリルの粒立ちを良く決める、
提示部を静かに終え、展開部[226]からpfソロが先導するが結構快速に駆け抜ける、

動と静が繰り返される展開だが、あまり緩めることなく、終結部の白熱した畳み込みが見事で群を抜く。
第二楽章、ppで始まるAdagio、極めて弱奏だが充実感がある、[27]からppとあるが、

ここはpppくらい密やかに演奏され引き込まれる、
終りの[91]から弾かれるようなパッセージとトリルが合わさったところ、

ppで粒立ちよく滑らかに弾くのは難しそうだが?ここもじつに鮮やか;
終楽章、pianoによる力強い始まり、11:57と比較的快速、装飾的に挟まれた音も正確にくっきり聴かせる、ベームも白熱したバックを演奏する、意外なところ[238]でふっと弱奏のフガートがorchで挿入される、

ここはさすがブラームスらしい、

you tube:Brahms: Piano Concerto No. 1 in D Minor, Op. 15
1. Maestoso - Poco piu moderato
2. Adagio
3. Rondo (Allegro non troppo)
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category: ブラームス
ダーティハリー:全集DVD 
2020/06/03 Wed. 09:29 [edit]
その一方、完全犯罪を狙う知能犯をじりじり追い詰める「刑事コロンボ」、
映画やドラマだ、と言っても同じアメリカで、この両極端はアリなのだろうか、と思ったりもするが^^;まあこれらの中間的な設定では面白くないだろう;
長く俳優兼監督として活躍、一時政治家も務めたクリント・イーストウッドは5月末で90歳になるが今も現役、その意味でもタフガイに思える。
イタリア製西部劇「マカロニ・ウエスタン」も今では懐かしい和製用語だが、筆者にはイーストウッドやリー・ヴァン・クリーフといった、アメリカ俳優を起用した頃の作品に一級の味があった、続くイタリア俳優の作品にも人気作はあったがB級っぽい、
C.イーストウッドはいつも悪党どもと背中合わせな主人公、ぶっきら棒で面倒くさそうに振る舞うが情けはある、マカロニ・ウエスタンの主演第1作「荒野の用心棒」は三船敏郎主演の「用心棒」のリメイクで、「用心棒」を制作した東宝は訴訟を起しているが、日本でも大ヒット、そんな役どころが後々の一貫したイメージかもしれない、3作目となる「続・夕日のガンマン」はかなり予算を投入した作品だった、
「続・夕日のガンマン」テーマ音楽ライヴ、

you tube:The Good, the Bad and the Ugly - The Danish National Symphony Orchestra
この西部劇のヒーローがサンフランシスコ市警の刑事となって登場、大ヒットとなったのが「ダーティハリー」シリーズ、
やはり彼の拳銃は"リボルバー"じゃないと、皆納得しないだろう^^;

「ハリー・キャラハン」という名はいかにもアメリカ人らしい、と淀川長治氏がその昔「日曜洋画劇場」で言っていた。
毎回お決まりなのが、キャラハンは本筋の敵である犯人らの他に、行く先々で余計な事件に出くわし、荒っぽく片付ける、その損害処理をするお偉方に呼び出されるのはいつもの事、犯罪大国を印象づける、相棒を組んだ刑事は犠牲となったり、退職するケースが多く、最後はキャラハン1人での戦いとなる、
原語版のイーストウッドは誰が相手だろうと平然とした話しぶりが魅力、吹き替えでお馴染みの山田康夫氏も独自の雰囲気を作り、もはや一体となったイメージである。

you tube:ダーティハリー・あの・名台詞を山田康雄
DVDの全集はだいぶ前に購入したが、特典DVDはまだ観ていなかったので楽しみ。

ダーティハリー1~5
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category: 映画・TV・DVD
落語:「はてな」と「茶金」 
2020/06/02 Tue. 10:08 [edit]
古くなった弦楽器も冬と夏の気候差で同様のことが起きる、手持ちで一番古いこのリュート、今まで随分修理を重ねている、

一番困ったのが、原因不明のビリつき音が出たときだった、まず弦の端がどこかに触れていないか、というのを念入りに点検したが、それじゃない。やはり木と木の接着部が剥がれた音に思えた、そこで修理のため、MさんとOさんの工房に行ったり来たり・・
しかし送るとなぜか症状が出ず;原因が掴めなかった、3度目にようやくOさんが原因を見つけてくれて、ここだった!;(灯台下暗し)

隙間に膠を流し込んで即解決、わかるまでは「はてな?」と首をかしげるばかりだった^^;
さて、本題の落語^^
異音の出る楽器は別として;物の価値というのはどこで決まるかわからない、骨董、茶道具などは典型で、落語の話にもなりやすい、
「はてなの茶碗」と題された話、これも一旦演ずる人が途絶えた話を桂米朝が復活させたそうで、話の大筋は残っていたが、米朝が再構成した部分もあるという、まくらで「これも古い話で・・」と前置きがあると、そういう復活ものらしい、
通称「茶金さん」と呼ばれる茶道具の目利きで有名な人物が清水の茶屋で茶を飲み、その茶碗が、ヒビも無ければ針ほどの穴もない、なのに水が漏るというのを不思議がった、
本来なら不具合品だが、その不思議さに時の帝まで興味を持ち、途方もない値が付く、
動画は複数見られるが、米朝80歳を迎えての公演を挙げる、変わらずに達者な噺ぶりである、舞台は京都で油屋は大阪から出てきた者という設定、

you tube:桂米朝(三代目) - はてなの茶碗
同じ話を東京では「茶金」という題で演じられる、舞台は同じく京都だが、油屋は江戸から出てきた男という設定、京都弁のはずの人物達も江戸風に話すが、そうしないと喋りのテンポが合わないだろう、そこは了解で楽しめばいい、古今亭志ん朝の噺を挙げる、

you tube:古今亭志ん朝 茶金
同じ話を東西両方の風情で聞けるのは楽しい、
やんごとなき公家や帝の話す場面は誰がやっても可笑しい。
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category: 落語
「運命」の動機 
2020/06/01 Mon. 11:03 [edit]
作品数が多ければ番号より副題のほうが「あの曲だ」と憶えやすい、
日本では今もベートーヴェンのSym No.5には「運命」というサブタイトルが定着している、
根拠はベートーヴェンの弟子、アントン・シンドラーが残した「ベートーヴェンの会話帳」に「運命はかく扉を叩く」という動機の意味を師が述べたとあるが、

これはシンドラーの作り話の可能性が高いらしい、
*アントン・シンドラー→Wikipedia
そもそも運命的な出来事はノックなどせず、扉を蹴破って来るだろう;
作品の真意に対し、不確かな事柄は排除したほうがよいという判断か、現在、日本以外では「Fate(運命)」などと標記されている例は殆どない、
第5番は第3番「英雄」を完成した直後から着想されたそうで、完成まで約4年の隔たりがあり、作曲は入念に進められたようだ。
以下、便宜的に「運命の動機」と書くが、この「タタタター」あるいは「ンタタタタン」のようなリズム音形は他でもよく聴かれる、
シューベルトの弦楽四重奏「死と乙女」の始まり、

突然何かが迫ってきた様相である、
ベートーヴェンの弟子、フェルディナント・リースのSym No.5にも、まさしく「運命の動機」がでてくる、

Ferdinand Ries(1784-1838)

のちに師の足跡を追っただけだ、という批判もあるが、これはこれで良い曲だし独創性もある、書きたい曲を書いたのだと思う。

you tube:Ries Symphony No.5
ブラームスのSym No.1の第1楽章もこの動機リズムで埋まっている、

ベートーヴェンが第5を書いた以降の作品なら、影響をうけたと見る事もできるが、それ以前の作品にも類似のパターンがある、
ハイドンのSym No.78 C Minorでは、第1楽章の第2主題として似た音形が変ホ長調ででてくるが、展開部以降では短調になり、迫りくる様相になる、

第1主題と合わせた対位法で書かれ、なかなかの聴きどころである、

you tube:Haydn: Symphony No.78 in C Minor, Hob.I:78 - 1. Vivace
力感や切迫感を帯びた印象を与える、よく使われる音形かもしれない。
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category: ベートーヴェン
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