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D.A.カーペンター:J.M.クラウス ヴィオラ協奏曲集(再聴)  

ある期間、聴かずに寝かせておいた曲をあらためて聴くととても良かったりしますが、過去に取り上げた音盤の再聴もしていきたいと思います。micha
そこで今日はヨーゼフ・マルテイン・クラウス(1756-1792)のヴィオラ協奏曲集です。これらはクラウスが活躍したスウェーデンのルンド大学図書館に保管されていた作曲者不明だった楽譜で近年日の目を見たもの、クラウスの作品とみてほぼ間違いないと判定されVB番号が付けられています、まあ聴けばクラウスの真作であろうことはすぐわかります。古典派作品でヴィオラの為の充実した協奏曲ってあまり聞かない?ので貴重な作品と言えるでしょう。
演奏はヴィオラ・ソロが1986年生、ニューヨーク出身のデイヴィッド・アーロン・カーペンター、彼は長身で、ヴィオラがヴァイオリンに見えてしまうそうで。テクニックは申し分なく堅実な演奏を聴かせる。バックはフィンランドのタピエラ・シンフォニエッタですっきり引き締まり、作品自体、演奏歴は少ないだろうが洗練された感覚。
micha 07c
1.ヴィオラ協奏曲変ホ長調 VB153c
2. ヴィオラ協奏曲ハ長調 VB153b
3. ヴィオラとチェロのための協奏曲ト長調 VB153a
デイヴィッド・アーロン・カーペンター(ヴィオラ)
リッタ・ペソラ(チェロ・・3.)
タピオラ・シンフォニエッタ
2011年11月7-9日 エスポー タピオラ・ホール


モーツァルトのvn協奏曲は主題の跳び抜けた特徴がまず耳を捕えるが、典型的な古典派コンチェルト様式だ、クラウスのこれらva協奏曲も様式的には同様だが、じっくり聴くべき立派な内容を持ち、飽きさせない。va奏者には大いに取り上げてほしい作品だ。

va協奏曲変ホ長調 VB153c
形式的には典型的な古典協奏曲、オケで始まる前奏から爽やさと活気で冴えている、カーペンターのvaはvnを聴くかのような艶やかな美音、重音奏法も含む結構テクニカルな要素を聴かせる、時折クラウスらしい旋律の特長が聴かれる、オケがぐっと入り込んで聴かせる部分も聴きどころ。
第二楽章、旋律美はもとよりヴィオラからこんな透き通った音が出るのかと少々驚く。
第三楽章、ロンド・モデラート、テンポはゆったりの楽章だが、ヴィオラの切れ味よいパッセージが楽しめる。ありふれたロンドじゃなく深い聴かせどころあり。
参考動画:VB153c

va協奏曲ハ長調 VB153b
爽快溌剌とした主題による前奏が魅力、vaソロはまさに一流のメロディー・メーカーらしく変幻自在に楽しませる、オケも心地よい力感でシンフォニックに支え展開部も引き込む。
第二楽章は起伏の深いソロ・パートが聴かせる。
終楽章、ロンド・アレグロ、これは軽快な楽章でちょっとモーツァルトにもありそうな雰囲気で楽しい、ヴィオラの重音奏法もそんなに聴いた憶えなく、ソロも存分に聴かせる。
PS
.カデンツァはベートーヴェンのvn協奏曲、第1楽章を引用か、
参考動画:VB153b

vaとvcのための協奏曲ト長調 VB153a
独創性もあり、この曲が一番の傑作かも・・これはヴィオラとチェロのダブルコンチェルトが聴けると期待したが、チェロは多くの部分でヴィオラの並行和声を弾くなど助奏的な扱いで対等の掛け合いはない、よって実質ヴィオラ協奏曲の要素が大きい、とは言え、第一楽章の前奏は聴き手を掴む雅やかな感覚と活気でソロの旋律も同様である、助奏とはいえvcの存在は味わい深いものにしている。
PS.カデンツァの主題は明らかにハイドン vc協奏曲No.1の主題を使っている。
第二楽章は意外にも短調で総奏でやや異様な始まりで引き付ける、長調に転じvaの旋律にvcが和声で寄り添い、一部掛け合いも聴かせる。クラウスならではと言える楽章だ。
第三楽章、ロンド・アレグロ・モデラート、軽快なロンド、この楽章で初めてvaとvcが対等に扱われる、短調の主題からvcが主導し、vaが伴奏にまわる、中間に緩抒部分を置いたり、急速な部分を置いたり複数の楽章が繋がったような変化をつける、ソロとオケ楽器の掛け合いもあったり、クラウスの独創性を感じる楽章である。
参考動画:VB153a
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category: J.M.クラウス

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