Micha クラシック&リュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

V.ペレス:「ザ・ギャラント・リュート」  

今日はDaisyさんのブログで紹介されていた、とっておきのアルバムです。若手リュート奏者、ヴィニシウス・ペレスによる、自身の編曲とオリジナル曲で古典派作品を集めた4曲で、その名も"The Galant Lute"
ペレスはブラジル出身でバーゼル・スコラ・カントルムにおいてホプキンソン・スミスに師事、ソロや通奏低音で活躍中だが、このデビュー盤は見事に成功している。いわゆるリュートの定番オリジナル曲じゃなく、古典派作品で攻めてきた、存在感ありv
galant lute
ヴィニシウス・ペレス:13コース バロックリュート
2015年9-10月録音


1曲目はハイドンのピアノ・ソナタ No.6 C-dur Hob XVI:10、ペレスの編曲で、目のつけどころがいい、先にR.ブラウティハムのfpでの演奏を聴いた、快活で楽譜をみても確かにピアニスティックに書かれているが、
hay pf sonata
大きく捉えるとハイドンの初期作品らしい、前期古典派的な趣きがリュートにも合いそうだとピンとくるものがある、そして当盤の演奏を聴く、原曲を殆ど崩さずのようだが、リュートらしい物腰で、見事にオリジナル曲かのように変貌する、次に聴くK.コハウトやH.ハーゲンのような古典派期のリュート奏者の作品を知っていると、その延長上にある傑作であるかのように聴こえる、バロックリュートに精通し、腕前抜群のペレスならではの演奏、フィナーレも原作はプレストくらいのテンポと思うが、ペレスの見事な料理でリュートの自然なプレストになっている。

2曲目はカール・コハウトのリュート・ソナタ D-dur、バロック後期のS.L.ヴァイスを頂点に衰退していったリュートだが、ギャラントな時代に入ったリュートの魅力を聴かせるのがK.コハウトである、やはり、リュートに精通した作曲家ならではの深みを持っている。これもペレスにしてみればお手のもの、ハイドンなどの編曲の助けにもなっているだろう。

3曲目はW.A.モーツァルトのディヴェルティメント KV439b/Ⅱ、原曲は3本のバセットホルンのために書かれたまさに3声の曲、→参照楽譜
一聴して懐かしく思った、これはギターの3重奏で楽しんだことがある、他の楽器でも演奏しやすく、リコーダーやオカリナの3重奏にしても魅力的なはずだ。小作りな曲ながら、第一メヌエットとトリオでポリフォニックな部分を置くなど流石と言える聴かせどころを持つ。編曲しだいでは、たしかにリュート1本に収まるだろう。5つの楽章全部演奏されるが、ここでもやはりリュートらしい物腰が一味変える。

最後はクリスティアン・ゴットリーブ・シャイドラーのモーツァルトの主題による変奏曲
じつはこれもバロックリュートの教則本(現代の出版物)に載っていて、取り組んだことがある、シャイドラーは歳下のモーツァルトの歌劇「ドン・ジョヴァンニ」から主題を得ている。ペレスの見事な演奏で最後に持ってくるにふさわしい曲となっている、立派に弾くとこんなに良い曲か、と驚くしだい^^;いつの間にかギター曲にありそうな曲に思えてくるが、F.ソルの「魔笛」の主題による変奏曲の上をいく凄さを聴かせる。
最後の変奏で楽譜の①の部分は親指で開放弦を駈け上っていくが、②はどうすべきか;人差し指で駈け下りるものと考えている・・"親指の背"では困難?;
2016061216230881c_20160615112855c6f.jpg

デビュー盤といえば、かつてナイジェル・ノースが最初から完成度の高いアルバム(LP)を出して、その後期待どおり目覚ましい活躍をしているが、まさに子の世代といえるペレスの当盤にも同じ筋の良さを感じる、抜群のテクニックを持ちながら、あくまで音楽は落ち着いた佇まいに仕上げるのが素晴らしい、今後の活躍に大いに期待したい。
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category: リュート作品

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コメント

michaelさん
記事を取り上げていただきありがとうございます。この演奏、リュートに造詣が深い方にとってもいい演奏だということがわかり、安堵(笑)。シャイドラーの曲がソルの「魔笛」以上の曲とのコメントを見て、再度取り出して聴いています。ドン・ジョバンニの有名な「シャンパンの歌」のメロディが原曲の放蕩無頼の歌詞の印象とは一変してリュートの古雅な響きで変奏を重ねていくあたりは、このメロディーならこんなに深い音楽が書けるんだぞというシャイドラーの先輩としてのプライドを感じますね。

Daisy #- | URL
2016/06/19 10:22 | edit

Daisyさん こんにちは、コメントありがとうございます。
おかげさまでとても良いCDを手にできました。
ペレスの師、H.スミス氏は本当に良い後継者を育てていると思いました、じつは私の師匠の師匠にもあたる方で^^;何を弾くにもリュートの味わいを漏らさず引き出すことを重視し、難しい課題が大変多いですが、ペレスはすべて習得しきった優秀な模範生にも思います。
ハイドンなどの編曲もこれに乗っ取ったもので、曲芸的でなく、自然に聴かせるところがとても良いです。シャイドラーの変奏曲を見事な演奏で録音した例は他に記憶がないです。

michael #xNtCea2Y | URL
2016/06/19 11:55 | edit

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