作者不詳?ヴィターリのシャコンヌ(更新) 
2020/01/31 Fri. 10:36 [edit]

Tomaso Antonio Vitali
その大胆な和声使いからロマン派期の誰かが書いたのでは?という説まで出たが、リンドナーによるものらしい通奏低音の付いたバロック期の楽譜があるなら否定される、

リンドナー版
リンドナーの手稿譜を元に19世紀、メンデルスゾーンと同時期のvn奏者F.ダヴィットがvnとpfのために編曲している、さらにロマン派後期の頃、L.シャルリエという人が華やかな変奏を加えたものが今日よく演奏されるらしい。H.シェリングのシャルリエ版による演奏を聴くとリンドナーの譜にはない挿入部分がかなりあり、pfパートも含め、ロマン趣味に聞こえる。

you tube:Henryk Szeryng plays Vitali's Chaconne
音楽として楽しめれば否定するつもりはないが、
リンドナー版は"オリジナル・ヴァージョン"ということで、バロックvnの先駆者、E.メルクスが最も初期に録音している、

you tube:Vitali - Ciaccona, Chaconne ("Original" Version), part 1
vn:エドゥアルト・メルクス、 org:E.ミュラー、lute:K.シャイト
メルクスの頃は古楽奏法は模索の時期だった、その後の古楽奏者の演奏例は少ないようだ。
最後にリンドナー版による新録音でAttilio Motzo(バロックvn)による演奏、

you tube:Tomaso Antonio Vitali - Ciaccona in sol min. per Violino e Basso
謎は尽きないが、作曲が誰であれ、手を加えずとも魅力ある曲だろう。
有名作曲家の曲として長く親しまれてきた曲に、他人の作だったというのが多々ある、バッハのメヌエット(BWV Anh 114)とされてきた曲は鍵盤奏者C.ペッツォルトの作だったが、

この「Anh音楽帳」にはクープランの曲や息子達の曲も入っており、不思議はない。
ハイドンの「セレナード」でお馴染みだった弦楽四重奏曲(Op.3-5)はロマン・ホフシュテッター(Roman Hofstetter)という修道士の作だった。
また、マヌエル・ポンセがセゴビアのために書いた「ヴァイス作」とされるイ短調組曲は後にネタが明かされたが、ギター向き過ぎるので元々疑われたもしれない;

you tube:Ponce Suite in A minor in the style of S.L.Weiss
ほか、バッハのvnと鍵盤のための組曲イ長調 BWV1025の原曲が、S.L.ヴァイスのリュート曲だったという件は過去にも書いた。
桐山建志&大塚直哉:バッハ vnと鍵盤の為の作品集 vol.5
ご覧いただき、ありがとうございました。
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コメント
こんばんは。
それぞれ聞き比べてみました。
たしかに「作曲が誰であれ、手を加えずとも魅力ある曲」ですね。
また、「他人の作」というのもよくあることで、出版社が楽譜を売らんがために有名な音楽家の名を語るのはよくあることですね。
著作権などという考えがない時代ですから……。
ハイドンの「セレナード」は15,16歳のころに聴いた曲でした。
たぶんイタリアの(当時でも)古い映画に使用されていました。
映画は忘れましたが、音楽だけは覚えています。
その後、ハイドンの弦楽四重奏曲を聴くきっかけとなりました。
室内楽をよく聴くのは、このセレナーデのおかげです。
yamashiro94 #- | URL
2020/01/31 17:49 | edit
yamashiroさん こんばんは
お付き合いいただき、ありがとうございます!
誰もが聴いたことのある名旋律が、じつは無名の人の作だった、というのが結構ありますね、
言われてみれば・・ですが^^;「セレナード」の由来となった楽章は良いけれど、あとの楽章はハイドンにしちゃ物足りないかな、と思いました、
モーツァルトのSym No.37のように他人の曲に手を加えて演奏したり、ヘンデルもちゃっかり多作を借用したりしていますし^^混乱します。
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