Micha クラシック&リュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

N.ノース:S.L.ヴァイス リュート作品Ⅱ  

ナイジェル・ノースのシルヴィウス・レオポルト・ヴァイス:リュート曲、第2集が届きました。輸入盤で少し日にちがかかりました。
今回は"Cantabile"と題されたアルバム、前回同様CDとケースのデザインが美しいです。

north weiss2
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収録曲はいずれも、ロンドン写本から、また使用楽器データも以下のとおり、
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一部オリジナルの組み合わせを替えていますが、パッサカリア、チャコーナ、フーガを含む聴きごたえのある選曲です。当時も組曲を構成する曲は必ずしも固定されておらず、組み替えは行われたでしょう。2曲目イ長調のチャコーナは私も過去に取り組んだことのある好きな曲です、冒頭テーマからリュートが心地よく鳴るポジションを使うんですね^^
さて、"現代のヴァイス"と呼ばれるノースの演奏ですが、あれこれ言いだすときりがない「実りの秋」のような演奏。タイトルのとおり常に流麗な歌が流れ、自然な拍の伸縮、リピートでのセンスの良い装飾や変奏、細かな音が追加されてもそれが流麗な旋律に溶け込んでいる、弾弦位置も適切に移動し音色変化の味わい、小作りじゃない豊かさがあります。同ゼクエンツが続き、長いトリルを何回も入れるとくどいので、3回目は前打音だけにする、これがいい、ワンパターンを避けますv、私などちょっと装飾を企てると技術に足を取られ、歌が空中分解してしまいますが;
今回第2集でノースはバスライダー付きの13コース・リュートを用いていますが、製作はやはりラルス・ヤンソンでヒストリカルな復原楽器のようです。また今回はガット弦での演奏も注目。低音弦は写真ではどうやら加重加工のされていない、プレーンなガットのようです。ここで問題は普通に考えるテンションを得ようとすると、かなり太い弦を張ることになるが、極端に太い弦を張っても音程が鈍るだけ、テンションは緩くてもほどほどの太さに留めるのが現実的。ノースもそんな設定のようです。

バスライダー
このバスライダーというペグボックスにちょこんと上付けされた、足場の弱々しい糸巻部は、かなり緩く張るからこんな作りでよかったのではないかと思います。ちなみに写真のオッティガー作13コースluteのバスライダーは初めから13コース仕様なので丈夫そうに出来ています、ここは現代仕様と言えましょう。11コースだった楽器にわずかな接着面積で継ぎ足し貼りしてある楽器もあります。
ガット弦は伸度の少ない性質なので、エネルギー損失が少なく、緩く張っても楽器を鳴らす力があり、指で感じる手ごたえもしっかりしていますね。ラルス・ヤンソンの楽器はとても豊かにガットに反応していて名工の手になる共通の鳴り方です、これも信頼の証でしょう。この底力のある響きの味は現代の巻弦では得られず、聴いても、自分で弾いてもハマってしまうものです^^
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category: リュート作品

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コメント

こんばんは。
 バスライダーも最初は、改造の結果でしたが、エドリンガーでしたか?、最初からバスライダーを新作で付けたことからも、当時から合理的設計であったようですね。

 私は、ラルス・ヤンソンなる製作者を、ノースが使用するまで知らなかったですが、埋もれたアマチュアや本業として製作してる人まで含めると、まだまだ多くの逸材が世界にはおられるようです。

 これからも楽しみなリュートの世界ですね。

白くま #- | URL
2013/05/25 21:03 | edit

白くまさん こんばんは

当時、改造して使う場合もネックから上を作り直すならバスライダーもしっかりと作ったでしょうから、現代、復元楽器を作る場合も、後付けされたところまで復元する必要はないですね(笑)とにかく壊れないように作ってほしいです。
木工技術がいくら巧みでも、音楽性を知って作る人と、ただの木工職人とでは比較になりませんからね、本物が作れる人がまだ隠れているかもしれません。

michael #xNtCea2Y | URL
2013/05/25 23:45 | edit

ほんとうにそう思います。

 製作者は2つのタイプがありますね。つまり、音楽性を知って目指す音をわかって作る人と、自分では演奏もしない(弾けない)が、歴史に忠実に作る人。
 それぞれの製作者には言い分はあると思うのですが、さてどちらの楽器が優れていると言えるでしょうか。

 意外と難しい部分を含んでいると思うのです。この点に関しては、私には結論が出せません。

白くま #- | URL
2013/05/26 19:01 | edit

白くまさん こんばんは

難しいですよね。今日の古楽演奏そのものと似ているかもしれません。歴史的奏法をよく研究、消化してなおかつ、現代の聴衆を魅了する音楽を実現しないといけない。
ちなみにオッティガーさんの楽器で感じたのは、おそらく多くの演奏家の意見が随所に反映されているなということです。

michael #xNtCea2Y | URL
2013/05/26 23:00 | edit

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