Haydn:Sym No.94「驚愕」の名演 
2022/12/08 Thu. 10:18 [edit]
全楽章、旋律美の要素は少なく、とくに第1楽章は簡潔,明確な器楽的主題をもとにorchの組織だった立体感を聴かせ楽しさが沸き立つ、何だか嵌まる"通好み"な楽章、
第1楽章、主部の開始はややメロディアスだが導入的にすぎず、

続く[21]fからが重要で、[43]からは武骨とも言える簡潔さと力強さが交錯、下降するvn1に対しvn2は16分音符を継続して重ねる、

この部分は展開部でも主要になりクライマックスを造る、
第2主題は[68]から出るが目立つ性格ではない、

第2楽章も極めて素朴な主題による変奏で「びっくり」のご愛敬もある、[83]からflとobによる重奏で初めて優美になる、

メヌエット主題も田舎風で活力がある、ロンドンセットではメヌエット楽章に個性が目立つ、
終楽章はソナタ形式の圧縮された内容で痛快、
手持ちの音盤にも、これぞというのは僅か、アダム・フィッシャーが全集完成後に最録音した演奏が良いが、you tubeには全集に入った旧録音しか挙がっていない、
かなり前には、カール・リヒター指揮、BPOのがっちり決めた演奏が良いと思ったが、響きのゴツくささが過ぎて聴きづらい面もあった、
同時期1961年に録音されたW.サヴァリッシュ指揮、VSOの演奏がキビキビとたたみ込む感覚で良い効果になっているv

you tube:ハイドン 交響曲 第94番 ト長調 「驚 愕」 サヴァリッシュ / ウィーン響
ほか過去の名演ではコリン・デイヴィス指揮、RCO(1982年 PHILIPS原盤)くらいしか浮かばない、絶妙のバランスでツボを押え小気味よい、PHILIPSの録音も上手い、

you tube:Haydn: Symphony in G, H.I No. 94 - "Surprise" -
1. Adagio - Vivace assai 連続再生
ピリオドorchではブルーノ・ヴァイルが快演である、

you tube:Symphony No. 94 in G Major, Hob. I:94 "Surprise":
I. Adagio cantabile - Vivace assai 連続再生
DG盤はC.アバド、ヨーロッパ室内Oでようやく聴きたいと思える盤が出てきたが、「驚愕」は録音されず;you tubeを探っても、新旧いろいろあるが収穫が乏しい、
新世紀ではやはり、ヨハネス・クルンプに比較し得る演奏は見つからなかった、
角張らず、常に心地よい起伏を感じる演奏、

you tube:Joseph Haydn: Symphony No. 94 "Surprise" / SummerMusicAcademy Hundisburg / Johannes Klumpp
近年、モダンorchでも用いられるナチュラルtrpのクリアな音は輝きを与え、古典派の演奏ではこれぞ本来の響きと感じる、
ご覧いただき、ありがとうございました。
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category: F.J.ハイドン
コメント
快演?怪演?
この曲はいろいろ聴いてきましたが、私はあの快演、マルク・ミンコフスキ/ルーブル宮音楽隊盤を聴いてからは、他のがちょっと聴けなくなってしまいました。
奇を衒っているだけと思われるかもしれませんが、演奏としてもいいのです。
その他、聴き飽きない盤はギュンター・ヘルヴィッヒ指揮ドレスデン・フィル。
yositaka #- | URL
2022/12/08 19:02 | edit
こんばんは。
曲の内容とはまったく関係ないことですが,いまだに「驚愕」という名称になじめず,ぼくのなかでは子どもの時以来ずっと「びっくり交響楽」なんです(笑)こっちの方がハイドンのちょっとしたいたずらっぽさに合っているような気がして。
リキ #- | URL
2022/12/08 20:03 | edit
yositakaさん こんばんは
ミンコフスキ盤、以前は持っていました、例のご愛敬の部分は抜きにしても、たしかに
選りすぐった盤の1枚に入ると思います、
ヘルヴィッヒ盤はしなやかで木管が明瞭に出た心地よい演奏に思いました、
やはり「驚愕」は、聴く人の満足感も微妙な所で変わる曲のようですね(笑)
michael #xNtCea2Y | URL
2022/12/08 20:06 | edit
リキさん こんばんは
日本の習わしで、クラシック音楽用語の和訳は何でも格式張ったものになっていますね、
故岩城宏之氏が打楽器奏者だった頃、ティンパニの皮に破れるギリギリにナイフで切れ込みを入れ、本番で破って驚かすはずが、破れず普通に鳴っちゃったという話がありました。
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