Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

K.ベーム:モーツァルト セレナードNo.9「ポストホルン」  

モーツァルト、ザルツブルク時代最後あたりの作品だそうですが、こういう曲を書くのはモーツァルトには朝飯前?力作の部類に入らないかもしれませんが、充実内容で祝祭曲らしい思い切り能天気なところもじつに楽しい。
一方、ベームはこういう曲でさえ、大真面目に、その場限りの曲でなく、不変の価値をもたせます。ベームは様々な表情をもったモーツァルトの作品に対し、「センチメンタル(感傷的)な表現は排除する」と語っており、演奏家の持ち味ではなく、作品そのものに語らせることに徹する。たしかにモーツァルト以外の演奏でもそれは感じますが、とかく感傷的(官能的)に演奏されがちなモーツァルトを他では聴けない筋金入りの演奏で聴かせてくれます。

ベーム ポストホルン
1970年 ベルリン、イエス・キリスト教会

なお、この録音はBPOと、お馴染みイエス・キリスト教会での収録、60年代初めと変らぬD.Gサウンドですが、1970年録音の当盤はさすがに音のクウォリティが上がり、音溝から針で拾う過程が一つの楽器であるかのように味わいを生みます。弦楽は甲高くもなくデッドでもなくしっとり、バランスも良く、飽きの来ないサウンドです。

第一楽章、演奏時間からすると大曲ですね、短かい序奏アダージョ・マエストーソに始まり、主部はアレグロ・コン・スピリト、これは立派な交響曲の内容で活気にあふれています、この時期のモーツァルトらしい楽しさ。
第二楽章メヌエット・アレグレット、第一楽章の堂々とした雰囲気を引き継いでいるかのようなメヌエット。
第三楽章、及び第四楽章と木管楽器のソロによるコンチェルト風の楽章が続く、機会音楽だけに長い演奏時間も要求されるんでしょう、これらは時間を満たすのも目的?美しい旋律を聴かせますが、中休みといった感じも・・
第五楽章、アンダンティーノ、ニ短調、この楽章だけ短調でセレナードには不似合いな深い楽想、オペラの悲劇的場面の音楽のようです。後期に書く短調作品とはちょっと違った趣もいい。
第六楽章、2曲目の気品あるメヌエット、トリオが2つあり、第一トリオではピッコロが使われ、第二トリオではポストホルンがドミソの3音だけによる簡潔な信号を吹く、高音のホルンですが、ほぼトランペットの響きに近い。
第七楽章、フィナーレ、プレスト、ソナタ形式で第一楽章とバランスした充実した曲です、展開部ではジュピター交響曲を先取りしたような2種のフガートが聴きどころ、ベームはここでも速すぎるテンポを避け、きちんと様式感を聴かせる。
セレナードとは言え、これだけ内容をもった曲なので、ベームが充実した録音を残したのもわかる気がします。これは何度でも聴きたい音盤です。
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category: モーツァルト

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