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マリオ・アゴスト:バッハ リュート作品全集  

バロックリュートというのは実に厄介な楽器です。調弦が面倒とか壊れやすいとかは置いといて、表現上、特に鳴らしたい音が鳴らない、音価いっぱい伸ばしたい音が技術上切らざるを得ない、弦がいっぱい張られていて、ある和音のアルペッジョを弾いたら弾いてもいない弦が旺盛に共鳴しだす、和音外の音は極力消さなきゃいけない、こんな小回りの利かない楽器でバッハを満足に表現するなんて至難の業です;よって全曲録音する、というだけで偉業なんですが。
さてバッハのリュート曲CDなんて久しぶりですが、これもBRILLIANT CLASSICS、演奏はイタリアの奏者、マリオ・ダゴスト、詳しい情報はわかりませんが、ホプキンソン・スミスに学んだ人のようです。あまり音量派ではなく、弾弦は響孔付近を弾く音、そういえば師H.スミスの影響も感じられます。
録音がまた現実的、音を拡大した感じがなく、通常のボリューム位置で生で聴く感覚、ここは好感がもてます。今では何度も録音して良いところを継ぎ接ぎ編集するのが普通でしょうが、BWV1000では調弦のやや狂った状態が曲の始まりから最後まで続くので一発録りに近いかもしれません。弦はナイルガット(合成弦)らしい響きがハッキリ聴こえます。

bach lute

組曲No.1 e-moll BWV996 最初のプレリュードは前半がパッサジォ、その名のとおり、パッセージの連なり、鍵盤的な曲だがリュートの運指上の特性を活かしてセンス良くまとめている、後半は2声のフーガ、ほんの短いフーガでもリュートには大変、ここは急がず堅実にまとめる。続く舞曲も急がないテンポで反復では装飾演奏をふんだんに行う、ややワンパターンなところがあるが。
プレリュード、フーガ、アレグロ BWV998 曲ごとにマイクのセッティングが変るせいか、前曲と少し違って聴こえる、生っぽい録音は良いが少し小寂しいような、昔、自宅の録音機で録ったのがこんな音でリュートってこんなショボい音かと思ったのを思い出す。さて演奏はプレリュードは普通、フーガはゆったりとしたテーマがいかにもリュート的、入念に運指を決めたうえ慎重に弾き進む様子が目に浮かぶ、喜遊部に入ってもフーガのテーマが顔をだすが、そこはくっきりと聴かせる。アレグロは鍵盤的でやはり慎重に運ぶしかない、丹念にバス弦は消音している。
組曲No.3 g-moll BWV995、無伴奏チェロ組曲No.5のリュート編で、これはリュート譜も残る、実際リュートで弾かれた作品、最初のプレリュードはフランス序曲を意識した曲、グラーヴェの部分は深々とした感覚より軽やかさを出す、アレグロ部分は標準的でスリリングではない。この曲の注目はサラバンド、反復での装飾をかなり踏み込んで演奏する。終曲ジーグの反復の装飾が切れが良く心地よい。
組曲No.4 e-dur BWV1006a プレリュードは普通でしょう、あまり超人的に鮮やかじゃないところがリュートらしい振る舞いで安心して聴ける。二曲目のルールはもう少し伸びやかであってほしいが、やや細切れっぽくなる。最後のブーレとジーグがかなりゆっくりと始まるが、反復での装飾演奏のため余裕を取っている。
フーガ g-moll BWV1000 楽譜は奏者によっていろんな版を使うが、ここではバッハの弟子が書いたリュート譜として残された版の演奏、ハイポジションで調弦の狂いが目立つがそれは最後まで続く、単純に和音で書かれた部分は鮮やかなアルペッジョにして弾く、終結は大袈裟に粘らず、最後の和音はキッパリと簡潔に鳴らして終わる。
意外にもリュートには一番不向きな曲のNo.1 BWV996が良かったです。
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category: J.S.バッハ

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コメント

グッドテイスト!

なかなか良さそうです。997は入っていないのでしょうか。個人的にもっともリュートらしい秀曲と思います。特にその第1曲のファンタジアは、好きな曲です。たいへんに難曲ですが。

 バッハのリュート組曲の全曲録音というのは、現在みなあまり取り組まない(取りくめない?)ほどの難曲と思います。世に出した時点で、演奏者の評価が完全に定まってしまうくらい怖い曲とも思えます。
 録音は、国内奏者でもわずか数人程度ですし、欧州奏者のチャレンジ精神は立派なものですし、調弦が狂っていても、らしさを損なわず弾ききる姿勢には、毀誉褒貶な見解もあろうかと思います。でも私は好感が持てますし、なんといっても、白髪の長髪の風貌がいいですね。バロック時代にいたかのような雰囲気を醸し出していて、グッドな人です。

白くま #- | URL
2013/12/27 21:42 | edit

白くまさん こんにちは

997も999も入っています、書き漏れでした;
997のファンタジアも好きですね、 アゴストの演奏はあまりテクニカルな妙技で圧倒する感覚はなく、リュートらしい語り口でバッハに自然に寄り添っている感じで、完璧な録音物を作成した、というより一つのライブ録音のような現実感が好感もてますね。
>毀誉褒貶
バロックリュートそのものがこんな存在かもしれません?^^

michael #xNtCea2Y | URL
2013/12/28 11:57 | edit

おはようございます。

ジャーマンリュートは格好良いですが、故障が心配で手が出ません。

バッハの録音はギターと比べれば余り録音は多くないですね。

ルネサンスを専門にしている(ヤコブ・ヘリングマン、アンソニー・ルーリー等)とか、
11(12?)コースをもっぱら弾いている(アンソニー・ベイルズ等)ので、
レパートリーの範囲外という人が少なくないというのもあると思います。

黒羊 #FynsjLCE | URL
2013/12/29 10:09 | edit

黒羊さん こんばんは

ジャーマンタイプだからといってさほど心配したことはないと思います。造りの強度にもよりますが長く伸びた糸倉が折れたとしても貼り直すだけ、13コースのバスライダーが落っこちる話のほうがよく聞きます。(テンション強すぎが原因と思われますが)
それより厄介なのは華奢に作られた楽器のブリッジ付近の撓みとか、ボディ全体のゆがみで弦高が上がってきたときの調整です;これはどのタイプの楽器でもありますが、私の楽器で一番修理が多かったのは古い11コースです;これ以来、テンションは大幅に緩めにしています。

michael #xNtCea2Y | URL
2013/12/29 21:31 | edit

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