Micha クラシック&リュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

E.ファー:バッハ リュート作品全集(ラウテン・ヴェルク)  

リュート関連を続けます。
過去にもちらっと取り上げたCDですが、エリザベス・ファーのラウテン・ヴェルク(ガット弦を張ったチェンバロ)による演奏でバッハのリュート作品全集です。バッハが所有していたというラウテン・ヴェルクなる楽器は実際どのような姿、構造だったか不明だそうで、鍵盤楽器だったことは間違いないでしょうが、今までにも録音物でいくつかの試みが紹介されてきました。
CD表紙の写真を見る限り、E.ファーの使う楽器は通常の二段チェンバロにガット弦を張ったもののようです。しかし真っ白な弦も一部あり、リュート用の合成弦(ナイルガット)にも見えます。まあ、金属弦よりは雰囲気が近づくというくらいで、音にはあまり関心ありませんが、鍵盤奏者がどう表現するかが興味あるところです。

bach lute farr
bach lute farr2

1曲目、組曲No.3 BWV995から、どこかリュート奏者を意識したような間を取りながら始める、最低音コントラGの響きが結構リュート風で深みがある。アレグロになっても突っ走らず、足元を確かめながら次へ進む、和音もリュート風に散らして弾く。さすが張られている弦数が多いだけあって、共鳴音が豊か。アルマンド以下、各舞曲の反復での装飾は鍵盤ならではの聴かせどころ。ガヴォット、ジーグでさえ、慎重な足の運び。原曲譜に従いG.レオンハルトのようなアレンジなしで、なかなか聴かせる。
2曲目、組曲No.1 BWV996はもともと鍵盤的な曲、しかしパッサジォに続くフーガはいかにもリュートで弾くように難しそうに間を取る;ブーレーやジーグもあまり急がずじっくり;
3曲目、組曲No.2 BWV997、プレリュードはリュートらしい魅力の曲だが、ここではあまり粘らずさらりと、別の角度から聴かせるようだ、でも少しぎくしゃくした味も加える。次のフーガはリュートにとって難曲、これもわりとさらりと行き、曲の構成を聴かせる。最後のジーグは慎重な速度だが、じりじり迫る感覚があって良い。
4曲目、前奏曲、フーガ&アレグロ、この曲はいかにもリュート風の味わいを付ける、プレリュードはフレーズごとに溜めを入れる。フーガはリュートではちょっと困難な速度、少しぎくしゃくさせるがここは鍵盤の強みでフーガの構成を聴かせる。アレグロは鍵盤ならもうちょい速く弾くところ、リュートやギターでもある速度、意外なほど間を入れる;しかしこれにハマってくるので音楽的なんですね。「まあ、落ち着いてじっくり聴いてョ」という感じ^^
6曲目、フーガBWV1000は、あくまでリュート用に編曲された版(タブラチュア)で演奏する凝り様、フーガ部も喜遊部も整然と弾く中にも、次のしっかり聴かせたい音の前に間(溜め)を置く、あくまで音楽的効果のリズム的快感の妙技。
7曲目、組曲No.4 BWV1006a、おなじみ無休動のプレリュードはリュート的速度、なんとも味のある進め方、音の粒が揃ってしまうチェンバロでさらっと弾いたら味気ないでしょう。ブーレーやジーグも意外とゆっくり、反復での装飾が十分聴きどころ。
なお、追加されたBWV964とBWV990もラウテン・ヴェルクの金属的でない響きがよく合うようで魅力的。
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category: J.S.バッハ

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コメント

チェンバロやラウテンヴェルクは実に聞いてていいものですね。

ちょっと前に、日本の渡邊氏のラウテンヴェルクのCDを入手しましたが、感動しましました。リュート奏者必聴のCDというので買ったのですが、噂に違わないものでした。

 バッハも、自ら巧みにリュートを弾かなかったので、ラウテンヴェルクは至福の楽器だったのでしょうね。
 特に、クラヴィーアにも格別な愛着を持っていたそうですね。リュートの音色にはご執心だったのですね。

 しかし、考えてみると不思議ですが、弦楽器属にも類稀な才能を見せるバッハでも、リュートはさすがに技術的に難しい楽器だったのですかね。
 バッハでさえ難しい楽器なら、やはり一般的には難しい楽器なのでしょうね。

白くま #w9s/GihU | URL
2014/01/14 20:56 | edit

白くま さん こんばんは

渡邊氏のラウテンヴェルク、ぜひ聴きたいですね。
リュートが盛んだったのはバロック中期までで、後期の音楽、特に転調の多いバッハの曲は絶対音楽というか、ヴァイスのように都合よく書かれていないので、リュートでは対応しきれなかったでしょうね。そこはバッハもわかっていて、リュート風の雰囲気を持った曲を書き、ラウテンヴェルクで弾いたんじゃないか?と想像したりしてます^^;
BWV995、1000、1006aは原曲があるので間違いなくバッハの真作でしょうが、996、998あたり?弟子か息子達の誰か、という疑いも感じています。

michael #xNtCea2Y | URL
2014/01/14 23:50 | edit

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