Micha クラシック&リュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

A.ホルステッド:J.M.クラウス 序曲&交響曲  

MUSICA SVECIAEはスウェーデンの音楽史をたどるレーベルで、スウェーデン政府が資金を出し、王立音楽アカデミーが製作した、とのことです。なるほど、演奏も半端じゃない一流のものです、前にレビューしたJ.M.クラウスの室内楽集も同レーベルでJ.シュレーダーはじめとする古楽奏者による、またとない優れたものでした。
今日のJ.M.クラウス 序曲&交響曲のアルバムもアンソニー・ホルステッド指揮、エイジ・オブ・インライトゥメントOという一流どころ、ホルステッドは1945年生れ、英国古楽の大御所の一人で、ホルン奏者であり、鍵盤奏者、そして指揮者、として活躍中、cpoレーベルからはJ.C.バッハの鍵盤協奏曲など、鍵盤を弾いた録音もあれば、モーツァルトのホルン協奏曲も吹いている、古楽界には他芸の持ち主が多いです。詳しくはWikipedia:Anthony Halstead
マイナーでも優れた作品を次々録音する人のようで、クラウスの録音にオケ共々起用されたのもわかる気がします。さすが王立音楽アカデミー^^v

劇音楽「オリンピエ」序曲
教会のためのシンフォニア
交響曲ハ短調VB142
交響曲ハ長調VB139
議会行進曲
アンソニー・ホルステッド指揮、エイジ・オブ・インライトゥメントO
1991年録音

kraus sym sve

クラウスはグルックの影響も受けていると言われるが、悲劇性を帯びた描写では確かに共通するものも感じる。
1曲目、劇音楽「オリンピエ」序曲、短調作品で運命的な序奏で始まる、主部は概ねソナタ形式だが、提示部のあと簡潔な展開部があって再現部は提示部をそのまま、最後に序奏部もそのまま再現して終わる、構成は明快であまり手は込んでいないが、閃きを一気に書きとめたような、ぐっと来るクラウスの魅力を印象づける。ホルステッドによる演奏は内声弦の動きもくっきり聴かせ、緻密に構成を聴かせる、オーボエのツーンと突き抜けてくる響き、ホルンの存在感が効く、見渡しの良い古楽サウンドにも満足。
2曲目、教会のためのシンフォニア 、先日、スンドクヴィスト盤(NAXOS)でも聴いたところだが、作品そのものは素晴らしいし、当演奏にも申し分なし、古楽器のピュア・サウンドでは一段とバロック風に聴こえて興味深い。
3曲目、交響曲ハ短調VB142、クラウスの作品の中では特に人気作と思われ、よく録音される。嬰ハ短調VB140が原曲で、ハイドンに献呈するため、改作したのがVB142だそうで、第一楽章が大幅に書き直されている、対位法的な序奏が見事、主部の主題はメロディックになり、流線的だが、バスや内声の刻む切迫感のあるリズムは残されていている。ホルステッドの構成を捉えた演奏で希薄にならず、引き付けて行く。
第二楽章は変奏曲と思われる、クールな主題で気分を沈静化させ、弱音の弦の和声が美しく響き幻想的でもある、味わい深い楽章。
メヌエット楽章は除かれ、終楽章、アレグロ・アッサイ、これは悲哀というより、疾風怒涛、クラウスの魅力の大きな要素、原曲VB140とほぼ同じだが、展開部をよりドラマティックに改作している、vl群の怒涛のトレモロの下で内声、低音部が力強い掛け合いをするのは圧巻、終結部も同様の手法で、白熱して終わる。
4曲目、交響曲ハ長調VB139、まずハ短調の深く幻想的な序奏がある、主部は一転、明るく活気のある第一主題、穏やかながら印象的な第二主題がでる、ソナタ形式ではあろうが、あまり明確に形式感が掴めない不思議な感覚を抱かせる、クラウスらしい魅力を持った楽章。
第二楽章も形式が掴めない自由なカプリチォ風の曲だろうか、不思議な魅力で包み短く終わる。
終楽章、いかにもロンドらしい楽しげな主題、ソナタ形式の枠もあるようだ、展開部で少し聴きどころを置き、この楽章も短く切り上げている。

ホルステッドとAge of Enlightenmentのよる録音はこれ1枚なのが惜しい、交響曲の主だったものだけでもあと1枚くらい録音してほしかったところ。
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category: J.M.クラウス

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コメント

最近クラウスの話題を頻繁に取り上げていただき歓喜しております。

ハ短調は私に交響曲の素晴らしさを教えてくれた1曲ですね。
「北欧のモーツァルト」という呼び方は本当は好きじゃありませんが
クラウスはW.A.モーツァルトと生没年がほぼ一緒な事もあって、もっと比較に出されて良い気がしますけどねえ。
2人とも対位法を好んで用いているのに、その響きは全く異なっているところなんかはそのいい例だと思います。
このハ短調とモーツァルトの40番ト短調がカップリングされたCDが未だに無いのが不思議でなりません。
ついでにミヒャエル・ハイドンのニ短調P.20もあるとなお好ましいです^^

オリンピア序曲はWerner Ehrhardt&L’Arte del mondoが録音したクラウスのカンタータ集にも録音がありますね。
エールハルトは私のお気に入りコンチェルト・ケルンに所属してたVn奏者だけあって、サウンドもそれに近い感じです。
最近はもっぱらラルテ・デル・モンドの方ばかりで活動しているみたいです。

MUSICA SVECIAEからリリースされているクラウスの録音には他にグスタフ3世に関するもの、確か即位か葬式のための声楽曲だかがあった気がします。
見掛けた時にまたH.ルーマンか!と思った記憶があるので、何らかの録音は存在しているはずです。
ただ今Amazonなどで調べても形跡がないんですよね・・・。その時買うべきでした。



bux #i/Urw1Fw | URL
2014/03/03 03:21 | edit

buxさん こんばんは コメントありがとうございます。

クラウスやヴァンハルはわずかに、ハイドン、モーツァルトとカップリングされたCDも出ますが、恒例的に、とはいきませんね。演奏家とレコード会社の足並みが揃わないと実現しないでしょうし。しかしクラウスなど数は少ないけど、優れた演奏の割合が多いのに救われます。
そういえばM.ハイドンは過去にレビューしましたが、レクイエムが素晴らしいと思います、M.ハイドンとC.P.E.バッハは今後さらに掘り下げたいです^^
ケルメス&エールハルトのクラウス、カンタータ集は持っていますが、これも願ってもないような録音です、超絶技巧のアリアも凄いですね。

>グスタフ3世に関するもの
グスタフ3世のための葬送カンタータですね、今はエールハルト指揮のものが出ていますね。
http://tower.jp/item/3341674/J-M-Kraus

michael #xNtCea2Y | URL
2014/03/03 19:51 | edit

こんばんは。

何とかのモーツァルトというのはよく聞きますが、サン=ジョルジュもモーツァルト呼ばわりされていましたね。彼のヴァイオリン協奏曲は昔聴いた事がありますが、とても素晴らしい作品だと思います。

18世紀はまだまだハイドンとモーツァルト(たまにグルック)で一括りにされてしまう事が多いので、こういう埋もれてしまった素晴らしい作品が再び演奏されるのは嬉しいです。

リュート系もこの辺りは大分手薄なので、ブルシャネロやクルムホルツなんかの作品集が出ると良いのですけれども。

黒羊 #FynsjLCE | URL
2014/03/05 19:25 | edit

黒羊さん こんばんは

>サン=ジョルジュ
サンプル音源で聴いたのですが、vl協奏曲、良いですね。
多くの作曲家が共通の様式で書いていて、その中でその人の味、輝きを聴き取るのが、古典派の醍醐味ですね、サン=ジョルジュもクラウス同様に独自の味も持っていて興味深いです。聴きたいものが増えるばかりです^^;
リュートの録音物なんて氷山の一角すら録音されていないでしょうね;

michael #xNtCea2Y | URL
2014/03/05 22:26 | edit

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