Micha クラシック&リュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

C.アバド:モーツァルト交響曲第39、40番  

C.アバドは独墺系作品の多くを素晴らしく演奏する一方、自国のプッチーニやヴェリズモ・オペラはまったく手がけない、というところに何か方向性を感じます。
ヨーロッパ室内Oを振ったハイドン、BPOを振ったベートーヴェンを聴くとその後のモーツァルトも期待してしまう、今日はアバドの晩年近く、柔軟な若手で結成したモーツァルト管弦楽団と録音した、第39、40番を聴きました、アルヒーフ・レーベルから出ているのも只ならぬ予感、世間のレビューは一切参考にせず取り寄せたところ、みごとに期待どおり。過去のロンドン響との演奏とはまるで違う、S.ラトルもT.ファイも真っ青のピリオド系、胃癌の手術後、復帰してからも前進を止めず、これほど活力と幸福感に満ちた演奏を聴かせるとは感動です。

モーツァルト 交響曲第39番、40番
クラウディオ・アバド指揮、モーツァルト管弦楽団
2008~2009年 ボローニャ、 ライヴ・レコーディング

アバド moz39 40

第39番、第一楽章、序奏は付点のリズムを二重付点に強調し、音は引きずらず歯切れよく、timpも切れ味よく堂々と打ち鳴らす、弦はノンヴィヴラートで運弓の味わいをよく聴かせる。序奏でもうゾクゾク来る。主部は快速に緻密な強弱、アゴーギグ、アバド持ち前の手腕はそのままに新感覚の演奏を進める、音節をくっきり区切り、音をぶつけてくるような厚い響きは作らず、心地よい力感を聴かせる。木管、金管の響かせどころ、弦が輝くところ、素晴らしいバランス。聴き手を聴衆の立場というより指揮台に立ち会うような感覚に引き込む。
第二楽章、始まりは弦が涼やかでじわりと味がある、短調に入ると内声のシンコペーションを浮き立たせ、弾むような感覚で、ぐっと引き付ける。
メヌエット、これは快演、速いテンポでリズムをくっきり打つが、3拍子を1拍に聴かせる快調でなだらかな感覚、1フレーズをぐっとフォルテで入り、ふっと力を抜く、アバドの大らかなタクトの動きまで目に浮かぶようだ。トリオの絶妙なアゴーギグもじつに心地よい。
終楽章も快速、やや武骨なほどリズムを打つがこれにハマってしまう、一音ずつがっちり決め、旋律ラインは柔軟、ホルンやtpを効果的に荒々しく響かせる。39番の名演は多いが特筆もの。
第40番、第一楽章を聴けば、ロンドン響時代の演奏とまったく違うのがわかる、速めで軽やかな入り、やはり音節をくっきり区切り、重い響きは作らない、甘ったるい旋律表現はなく、ストイックに整える、提示部の終止音をちょっと味わい深く伸ばす、展開部も冷静にじりじりと構築していく感覚、再現部に移る前のアゴーギグが味、再現部の中にもクライマックスがあるが粛々と進める。
第二楽章、速めのテンポだが、とても軽やかでレガートな開始、2つの32分音符が切々と続くが語るように表情的。弦楽は微かな響きから深みへ引き込むような強弱表現、ノンヴィヴラートがけっして淡泊じゃなく、味わい深いのを実証する。
メヌエット、従来はゴツゴツと重っ苦しい40番のメヌエットも随分あったが、アバドの演奏は速めのくっきりしたリズムの上に柔軟、爽快に美音が流れ、上声、低音とのカノン的な動きも快調な中にさりげなく織り込む。トリオは弦、管の各パートの上手さで、美音を交互に聴かせる。
終楽章、快速なテンポ、各パートの動きをくっきりと聴かせ美しい響きとともに楽章の切迫感が際立つ、第二主題の弦の涼しげなこと、続くクラリネットも絶品、展開部の入りでは異例なほど斬新な和音進行、ここはじわりと聴かせる、フガートに入るが、ヴィオラの歌い出しが上手くて味わい深い、低音弦もここでは量感を出し、彫りの深い掛け合いとなる。終結部では低音弦と木管が交互に上行音階を奏でるところ、対等な響きでバランスを取る。じつに細部まで行き届き、アバド持ち前の美質も存分に聴かせる。
マイッタというか古典派演奏の最先端を行くような素晴らしい演奏、40番に関してはもはやワルターやベームのタイプは聴けない;
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