Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

K.ベーム、VPO:モーツァルト交響曲第29、35番  

先日の中古セールで目に着いたLP、ベーム追悼盤のラベルが貼られていて、内容はVPOを指揮したモーツァルト交響曲第29番と35番「ハフナー」、録音が1979-1980年でベーム最晩年のセッション録音。思えばベームの29番って聴いた記憶がなかったのと、「ハフナー」もBPOとの古い録音しか聴いていないので興味ひかれた。ピリオド指向の最近の演奏に耳慣れたあと、ベームのゴツくさいモーツァルトも逆に聴きたくなる。アナログ時代のD.G最高の録音でもある。ジャケットも盤も新品在庫という感じでまったくのノイズレス。

moz 29 35
D.G 1979-1980年 ムジークフェライン・ザール、 録音技師:G.ヘルマンス

29番、第一楽章、がっちり筋金入りの演奏は思ったとおりだがそれだけではない、VPOのこの上なく整った響きは流石、過度に厚みはなく気品を帯びている。少ない木管群もよく透る、旋律の気取ったような表現は一切なく、第二vl、va、低音、各声部対等な充実した響きが良い。管は弦と重なるか、ハーモニーの演奏のみ。ベームとしては意外なのは提示部が終わり、反復の際、また展開部へ移る際の接続句でぐっとテンポを落とし、間奏のようにレガートにする、(譜例)
譜例moz sym29
テンポに戻った提示部、展開部がまた新鮮な活気を持つ、これは上手い効果だ。究極の標準と言われるベームもときに意外な表現を聴かせる、決して意表を突くものでなく、音楽的価値があり納得できる。この曲は全体にはホモフォニックで時折カノンの書法が入る、展開部はいたって短いがぐっと強弱をつけて引き付ける、再現部も型どおり、ハイドンでは見られないコーダが置かれ、結構長ったらしく感じるところ、ベームは最後まで格調高くまとめる。
第二楽章、弱音器付きのVPOの弦で魅了する、無用に甘ったるい表現にならず、淡々と自然に行くのがいい。終結部でobが意外なフォルテで立ち上がり、力強い総奏で終わる。
メヌエット、さりげなく始まるテーマだがベームは強弱の対比を大きく付け、彫の深い味わい。最後の音にすーっとritをかけ、終楽章に続くように聴かせる。
終楽章、ベームとしては速いというか、普通のテンポで活気をつけ、エネルギッシュ、展開部は第一楽章を凌ぐ充実感。再現部のあとにやはりコーダがある。

35番「ハフナー」、第一楽章、力強い動機と流麗目まぐるしいパッセージが入り乱れるモーツァルトならではの楽章、始まりの総奏は厚いが整った響き、さほど遅いテンポではなく、ベームらしい厳格さは過去のBPOと同じ、かなり楽器数の多い曲だが、各パートもきちんと整理したように聴かせる。(*楽譜には提示部の反復記号がないので多くの演奏は反復しない、唯一O.スウィトナーは反復しているが、とても速い演奏なので必要であろう。)
第二楽章、弦楽が気品を帯び、木管も要所できりっと浮び上る、やはり良い意味で淡々とするのが飽きさせない。
メヌエット、じっくりしたテンポできりっと気高く演奏する、この感覚は近頃の演奏ではないかもしれない、このメヌエットの最後もすーっとritをかけ、間を置かず終楽章に入る。
終楽章はメヌエットの余韻から柔らかく開始する感じ、急速なテンポは取らず、がっちり個々の音符を噛みしめるかのような演奏、BPO時代のような覇気が足りない、とジャケットの解説者は書いているが、これこそが老境でなお衰えないベームの覇気と感じる。
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category: モーツァルト

tb: 0   cm: 2

コメント

私もこのLPを持っています。35番 第3楽章の最後のリッタルランドの消えるような部分は、今でも印象に残っています。

tenkichi995 #- | URL
2015/12/30 21:12 | edit

tenkichi995さん こんばんは

ベームは過去のBPOとの演奏が良いとよく聞きますが、VPOとの演奏、決して枯れてはいないと思いますね。よく聴き比べをしてます^^

michael #xNtCea2Y | URL
2015/12/30 23:07 | edit

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