Micha クラシックとリュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

I.ボルトン:モーツァルト 交響曲36番「リンツ」ほか  

アイヴォー・ボルトンのモーツァルトの名演がもう1枚ほしいと取り寄せた、交響曲「ジュピター」&「リンツ」、クラリネット協奏曲の入った1枚・・と思ったら2枚入っている、1枚には収まらず、クラリネット協奏曲だけCD2に入っていた;2005年のザルツブルク、モーツァルテウムでのライヴ、会場の前席で聴くような詳細な録音である、ややボリュームは下げ気味で聴くのが良い。41番「ジュピター」については、曲が立派過ぎてあれこれ指揮者の表現を気にすることはない、堅実に演奏すれば良いといった感じ、一方36番「リンツ」は大いに気にする、

i bolton moz

36番「リンツ」
第一楽章は長い音符に細かい音符が入り組み、ハイドンに近い響きの対比を見せる。ボルトンは序奏からピリオド・モードを印象づける、すっきりとした響きで付点を強調し、あまり引きずらない、序奏の最後は弦の重音奏法のじわっと響くしなやかさにtimpの重みが絶妙のタイミングで加わる、主部は普通のテンポ、弦のみで主題を提示、次に総奏で力強く提示するが、32小節から譜例のような強弱表現を明確に聴かせる、
譜例1
32及び33小節の3拍目、他のパートは沈黙し、1st vlがC音を弱音で弾き集中させる、
このような決して無駄な小細工ではない緻密な強弱表現で全曲満たされている。続いて低音がパッセージを弾く総奏は切れ味痛快、ナチュラルtpの輝きのある響きは古典派シンフォニーはまさにこうあるべきと思える。
第二楽章、モーツァルトでは異例で緩抒楽章にもtp、timpが効果的に使われる、ゆっくりな中でじわっとくるダイナミズム、これもハイドンの影響か。この楽章は旋律に酔いしれるようなレガート一点張りの演奏には飽き飽きするが、ボルトンはさすがに違う、理知的感覚でリズム感も出し、心地よく節目をつける、要所でレガートを存分に聴かせたりする。
メヌエット、大らかなテーマにリズムの切れ味も持ったメヌエット、三拍子を一拍にまとめる感覚で、一拍目に打つtimpがシンプルな感覚で心地よい。他の楽章でも同様だがボルトンは強弱、スタカート、レガート、巧みに設定した表現で引き付ける。
終楽章、流麗さと切迫感の楽章、ボルトンは程よく快速でくっきりと締まった演奏、2nd vlが力強くトレモロを奏で彫が深い、展開部は短いが第一楽章に勝る充実感、コーダの熱気をじりじり盛り上げ、かちっと締めて閉じる。

CD2のクラリネット協奏曲、これもかけがえのない名作に違いないが最後期の作品でpf協奏曲27番と同じく、悟りを開いたような秋空のような気分、貪欲な野心は感じない、それがクラリネットに相応しいかもしれない。古典派らしいエッセンスで音域の広いクラリネットだけにソロには音階練習のようなパターンも多く聴かれるが、そんなありふれた要素で純粋に美しい曲が出来上がっている。第二楽章は世俗を離れた極めつけの崇高な世界、pf協奏曲27番も同系だが、ここまでくるとせつなく、気易くは楽しめない。
録音のおかげでクラリネットの味わいを鮮明に味わえる、ふっくらとした弱音がすばらしい、ソロはペーター・シュミードル、さりげない装飾演奏も良い、オケの和音も色彩感良く、透き通った美しさのひと時、古典派に透明感は不可欠とあらためて思ったしだい。
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category: モーツァルト

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とても魅力的な記事でした。
また遊びに来ます!!

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2014/08/24 09:06 | edit

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