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シュパンツィヒSQ:ハイドン 弦楽四重奏曲集 vol.2  

第一集と同様、疾風怒涛期から最後期の間で選んだ3曲はシュパンツィヒSQの選定した意図が伝わってくるようです。切れ味は聴かせるものの、極端にはならず、流麗な中に緻密な技を込めた演奏、透明な響きで作品の魅力を従来の演奏より1.5倍にもして聴かせてくれるようです。

Schppanzigh Quartet
Anton Stezk :vl
Franc Polman :vl
Christian Goosses :va
Antje Geusen :vc

2008年録音 ACCENT
sch hay sq 2

第81番ト長調op.77-1(1799)
まず1曲目は最後の傑作Op.77よりNo.1、あらためて凄い曲だと思う、これはハイドンが衰えた体で書いたとは思えない、No.1と2を書いた時点ではまだ元気で、そこにオラトリオ「四季」の作曲が入ったため、これがハイドンを疲れさせ、SQは3曲目の一部で力尽きたのではないか?
第一楽章アレグロ・モデラート、弾むような4拍子は馬術の歩法の一つを思わせる、このリズムを明確に通すのが斬新で心地よく健康的、第二主題では3連符のパッセージを散らし気品も帯びた楽章。展開部は単に技法に凝る云々を通り越した味わいを聴かせる。再現部も同様。
第二楽章、アダージョ、ユニゾンでテーマが開始、非常にデリケートに和声的深みを聴かせる、中間部は最弱音で再びテーマ、ここからが魅力の極み、1sl vlの滑らかなパッセージが飾りながら、全パートによる神秘的和声の妙を深める傑作楽章、シュパンツィヒSQがこの曲を選んだのもわかる気がする。
メヌエット・プレスト、典雅なメヌエットとは程遠い活気を聴かせる、交響曲では聴けなかった新感覚、トリオはさらに機敏なスケルツォ、激しいトレモロでけしかける。
終楽章、プレスト、6分以内の時間に恐らくこれ以上の密度は盛り込めないだろうという域、主題の活気で引き付け、提示部ですでに展開部の一部を示す、提示部の反復に入るアウフタクト音に一瞬の溜めを入れ、次へ突入する演奏センスが快速感を引き立てる、そして展開部の緊密極まるエネルギーは比類ないもの、再現部から最後まで勢力を保ったまま駆け抜ける。

第63番ニ長調op.64-5(1790)
"The lark"(雲雀)というニックネームが付けられてきた有名曲だが、当盤ライナーノーツには記されていない、雲雀とはいつ誰が付けたか不明で大した意味はないらしいが、ニックネームが下手にあると弊害もあるかもしれない。"雲雀"などと言われると誰もが旋律のきれいな長閑な曲くらいに上っ面だけ聴き流してしまうかもしれない。ここではあらためてシュパンツィヒSQが選んだ価値が聴こえてくる。
第一楽章は何の外連味もないスッキリした演奏で始まる、安定感と和声が良い、展開部に入るとすぐに雲行きが変り、緊迫感を帯びる、シュパンツィヒSQは後半も反復し、この充実感を二度聴かせる、これも狙いか。
第二楽章、アダージョ・カンタービレ、ロンドの要素をもつ三部形式、1st vlの主導する美しいテーマ、いくらか変奏しつつ、和声の深みも聴かせる。
メヌエット、重音奏法による不協和音を入れたテーマ、ヘミオラのリズムで一味違う楽しさ、トリオはポリフォニックに聴かせる。
終楽章、ヴィヴァーチェ、ソナタ形式だが、いかにもハイドンお馴染みのロンド風テーマ、圧巻が展開部のフーガ、隙なく幾重にも重なるような密度の高さが引き付けてやまない。さすが選曲されただけのことはある。

第22番ニ短調op.9-4(1770)
作品9は一部を除いて第一楽章はモデラートのテンポとされ、同時期の鋭い主題の短調交響曲とは趣きが異なるようだ。当曲の第一楽章も鋭い主題ではなく、感傷的でメロディック、流麗なパッセージを1st vlが弾くと、ボッケリーニの旋律パターンを思い出してしまう。
メヌエットも感傷的で第一楽章と釣り合った雰囲気を持つ。
第三楽章、アダージョ・カンタービレ、この楽章のみ、疾風怒涛期の交響曲の緩抒楽章と同系のスタイルをとる。清楚な中に瞑想的魅力を聴かせる。シュパンツィヒSQはセンスよく装飾を加える。
終楽章、ジーグ風のリズムで、バロック組曲の終曲風でもある、各パートの絡みと切れ味のよさを聴かせる。

ハイドンとしてはやや異風の曲で閉じるのもシュパンツィヒSQの作戦であろうか。
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category: F.J.ハイドン

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