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Michael: Classic音楽,Lute,宇宙

クラシック音楽とリュート、宇宙・科学 etc

D.A.カーペンター:J.M.クラウス ヴィオラ協奏曲集(再聴)  

ある期間、聴かずに寝かせておいた曲をあらためて聴くととても良かったりしますが、過去に取り上げた音盤の再聴もしていきたいと思います。micha
そこで今日はヨーゼフ・マルテイン・クラウス(1756-1792)のヴィオラ協奏曲集です。これらはクラウスが活躍したスウェーデンのルンド大学図書館に保管されていた作曲者不明だった楽譜で近年日の目を見たもの、クラウスの作品とみてほぼ間違いないと判定されVB番号が付けられています、まあ聴けばクラウスの真作であろうことはすぐわかります。古典派作品でヴィオラの為の充実した協奏曲ってあまり聞かない?ので貴重な作品と言えるでしょう。
演奏はヴィオラ・ソロが1986年生、ニューヨーク出身のデイヴィッド・アーロン・カーペンター、彼は長身で、ヴィオラがヴァイオリンに見えてしまうそうで。テクニックは申し分なく堅実な演奏を聴かせる。バックはフィンランドのタピエラ・シンフォニエッタですっきり引き締まり、作品自体、演奏歴は少ないだろうが洗練された感覚。
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1.ヴィオラ協奏曲変ホ長調 VB153c
2. ヴィオラ協奏曲ハ長調 VB153b
3. ヴィオラとチェロのための協奏曲ト長調 VB153a
デイヴィッド・アーロン・カーペンター(ヴィオラ)
リッタ・ペソラ(チェロ・・3.)
タピオラ・シンフォニエッタ
2011年11月7-9日 エスポー タピオラ・ホール


モーツァルトのvn協奏曲は主題の跳び抜けた特徴がまず耳を捕えるが、典型的な古典派コンチェルト様式だ、クラウスのこれらva協奏曲も様式的には同様だが、じっくり聴くべき立派な内容を持ち、飽きさせない。va奏者には大いに取り上げてほしい作品だ。

va協奏曲変ホ長調 VB153c
形式的には典型的な古典協奏曲、オケで始まる前奏から爽やさと活気で冴えている、カーペンターのvaはvnを聴くかのような艶やかな美音、重音奏法も含む結構テクニカルな要素を聴かせる、時折クラウスらしい旋律の特長が聴かれる、オケがぐっと入り込んで聴かせる部分も聴きどころ。
第二楽章、旋律美はもとよりヴィオラからこんな透き通った音が出るのかと少々驚く。
第三楽章、ロンド・モデラート、テンポはゆったりの楽章だが、ヴィオラの切れ味よいパッセージが楽しめる。ありふれたロンドじゃなく深い聴かせどころあり。
参考動画:VB153c

va協奏曲ハ長調 VB153b
爽快溌剌とした主題による前奏が魅力、vaソロはまさに一流のメロディー・メーカーらしく変幻自在に楽しませる、オケも心地よい力感でシンフォニックに支え展開部も引き込む。
第二楽章は起伏の深いソロ・パートが聴かせる。
終楽章、ロンド・アレグロ、これは軽快な楽章でちょっとモーツァルトにもありそうな雰囲気で楽しい、ヴィオラの重音奏法もそんなに聴いた憶えなく、ソロも存分に聴かせる。
PS
.カデンツァはベートーヴェンのvn協奏曲、第1楽章を引用か、
参考動画:VB153b

vaとvcのための協奏曲ト長調 VB153a
独創性もあり、この曲が一番の傑作かも・・これはヴィオラとチェロのダブルコンチェルトが聴けると期待したが、チェロは多くの部分でヴィオラの並行和声を弾くなど助奏的な扱いで対等の掛け合いはない、よって実質ヴィオラ協奏曲の要素が大きい、とは言え、第一楽章の前奏は聴き手を掴む雅やかな感覚と活気でソロの旋律も同様である、助奏とはいえvcの存在は味わい深いものにしている。
PS.カデンツァの主題は明らかにハイドン vc協奏曲No.1の主題を使っている。
第二楽章は意外にも短調で総奏でやや異様な始まりで引き付ける、長調に転じvaの旋律にvcが和声で寄り添い、一部掛け合いも聴かせる。クラウスならではと言える楽章だ。
第三楽章、ロンド・アレグロ・モデラート、軽快なロンド、この楽章で初めてvaとvcが対等に扱われる、短調の主題からvcが主導し、vaが伴奏にまわる、中間に緩抒部分を置いたり、急速な部分を置いたり複数の楽章が繋がったような変化をつける、ソロとオケ楽器の掛け合いもあったり、クラウスの独創性を感じる楽章である。
参考動画:VB153a

category: J.M.クラウス

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J.M.クラウスの傑作Ⅰ:カンタータ集(再掲)  

このところ、新盤を取り寄せるのは休止して、お気に入り盤を聴き返しています。全集BOXのたぐいも未聴盤がかなり溜っているし;
久しぶりに聴きたくなった、ヨーゼフ・マルティン・クラウスの作品、シモーネ・ケルメス(sp)独唱によるカンタータ集です。
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バックはヴェルナー・エールハルト指揮、ラルテ・デル・モンド 、これはクラウスの音盤で5本の指に入る。
まずは冒頭に入っている、演劇のための付随音楽、「オリンピエ」序曲が、同曲演奏の群を抜いて良い。ラルテ・デル・モンドのピリオド弦楽器は緩そうな弦の響き、涼やかだが緊迫感で引き付ける、楽譜を見てみると、主部の21小節にあるようなトリルの終結音にスタッカーティッシモが付いているが、
sc 01
1st vnパート
ここを一際明確に聴かせる、また23小節からのシンコペーションもしなやかに、かつ明確にする。と(剛ならぬ)の表現というか、のんびり聴き流したりさせない。

カンタータは4曲あるが各曲の最後のアリアが聴きどころ、「嫉妬」 VB 46、「弁解」 VB 43、「漁師」 VB 44 のアリアも素晴らしいが、圧巻は「春」 VB 47でしょう、コロラトゥーラの技巧としてはこれ以上ないほど、曲は協奏ソナタ形式、まず前奏がいい、独唱は声楽らしいテーマで始まるがやがてvn協奏曲のテクニックをそのまま歌うような超技巧に発展、クラウスはvn協奏曲も書いているが、このアリアのほうがより器楽コンチェルト的だ。緩抒な間奏を挟むような構成が効果的、展開部も期待に応え、カデンツァも置かれる。
ハイドンは技巧的な声楽曲って書かなかったけど、モーツァルトは大いに書いている、クラウスがそれを凌ぐ曲を書いているのには驚いた。
動画:J. M. Kraus - VB 47 - La primavera  アリアは8:10から

category: J.M.クラウス

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Concerto Köln :J.M.クラウス 交響曲ハ短調  

コンチェルト・ケルン演奏のヨーゼフ・マルティン・クラウス 交響曲のCD、過去にも取り上げたが聴くのは2年ぶりくらいです、何だか新盤のように新鮮に聴こえる。

古楽器のヴァイオリンと言っても奏者の扱いによってだいぶ違いが出るそうで、緩い弦を張ってバロックに相応しい細やかな表現をとる場合から、強めの弦を張ってモダンに近い表現をとったり幅があるようだ。コンチェルト・ケルンはまさに古楽器的というか緩い弦の響きに聴こえる。透明な響きと鋭利に研ぎ出したような演奏でクラウスの作品を一際引き立てている。

j m kraus sym
コンチェルト・ケルン
1991年録音


今日は最もお馴染みの作品、交響曲ハ短調VB142、序奏は極めて透明にクールに聴かせ和声が鮮やか、主部はvlが涼やかに主題を弾き、バス部によるリズムがやや強調ぎみで、強弱法を明確に補助している、厚みを帯びた響きではないが、切り立った表現で躍動感を十分聴かせる。第一楽章は反復表示が無いのかもしれないが楽譜がないので不明、この楽章は反復なしが良い、提示部から展開部以後へと一気に流れる気迫がある。
第二楽章はC.ケルンの弦楽が一段と冴える、かなりの弱奏が基盤となっていて聴くには静寂が必要、深みのある演奏だ。
終楽章もくっきりと粒立てた演奏、弱奏は本当に深い谷間のようにppである、コントラバスやファゴットが強弱法の先導をしているように明確に出て、心地よい快速感も支える。展開部のエネルギーは凄い、vlは適度に引いたり出たりして他のパートを邪魔せずバランスを整え、同時にクレシェンドの効果も出して一石二鳥。
C.ケルンは現在、フルートのM.サンドホフが音楽監督を務めているそうだが、この盤でもVB139やVB143で魅力的なfl.トラヴェルソを聴かせている。

category: J.M.クラウス

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M.ジークハルト:J.M.クラウス 葬送交響曲ほか  

これも購入後あまり聴かずにしまってあったCDです。1990年録音で、クラウスの録音としては早い時期です。お馴染み交響曲ハ短調VB142とヴァイオリン協奏曲、葬送交響曲ハ短調VB148のカップリング。vl協奏曲はNAXOSの西崎崇子が世界初録音との振れ込みでしたが当盤が先です。
あらためて聴くとけっこう好演です。M.ジークハルト指揮シュトゥットガルト室内Oはピリオド系ではないが、すっきりとしたサウンドで現代的です。作品の魅力を伝えているとともに、ピリオド系に親しみがない人にも聴きやすいものでしょう。

kraus vl con
ヨーゼフ・マルティン・クラウス
交響曲ハ短調
ヴァイオリン協奏曲
葬送交響曲
マルティン・ジークハルト指揮シュトゥットガルト室内管弦楽団
エディト・パイネマン(vn)  1990年 ORFEO


交響曲ハ短調VB142、
序奏は弱音でゆっくり始め、それなりに奥行きのある演奏、主部は程よいテンポ、切れ味で聴かせるより、流麗なタッチ、音節一つずつに丹念なデュナーミクを込め端正な演奏、強弱を深くとって味わいをつける。第二楽章も自然体で心地よい。終楽章、速すぎず快調、しなやかな弦、木管やホルンがバランスよく浮かび、楽章全体を丹念に聴かされる感覚が心地よい。

ヴァイオリン協奏曲ニ長調
演奏に際だった特徴はないが、とても自然に、オケの前奏が美しい、オケのフルートが上品に浮かぶ。エディト・パイネマンのvlも一流の手腕で安心して聴ける。古楽器と違ったふくよかなモダンvlで聴くのもなかなか良い。あまり力まず透明感のある美音はクラウスにふさわしい。クラウスは旋律の弁舌は素朴というか控え目なほうだが、展開部における重音奏法の情熱を帯びた楽相はモーツァルトを凌ぐ味わいと言えよう。
第二楽章、アダージョ、パイネマンは一際美音を放つ、ベートーヴェンの作品にも迫る神聖さと感情の深さで引き込む。
終楽章、ロンド、アレグレット、前奏がじつに爽やか、この楽章ではvlのテクニカルな面も聴かせるが、バックと室内楽的結びつきもあり、聴きどころ。

葬送交響曲ハ短調VB148
全楽章が暗いムードの緩抒楽章であまり聴こうとしなかった曲だが、ジークハルトの当演奏を聴いて好きになってきた。和声の使い方がクラウスらしい深みを聴かせる。
第一楽章は葬送行進の太鼓(timp)が弱音から驚く強打まで迫る、弦楽もぐっと深く強弱を表現、クラリネットはこういうほの暗いムードに合う、深く心を抉る楽章はまさにレクイエム。
第二楽章、ラルゲット、ゾクっとくるような悲痛な楽章。
第三楽章、コラール、弦楽で奏でる合唱曲で短い。
終楽章、前半はアダージョ、暗く悲痛であるがこれもある意味怖いもの見たさ?の心理を引き付ける、クラウスらしい手腕、ホルンのソロが見事、教会旋法メロディーも入る。後半アンダンテ・メストに入ると初めて明るいフーガとなる、最後は第一楽章の始めを再現、葬送行進の太鼓を聴かせて終わる。最後の葬送交響曲はジークハルトの懐深い演奏が効いている。

category: J.M.クラウス

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スンドクヴィスト:J.M.クラウス 序曲ニ短調 VB147  

一言にフーガといっても様々な手法があり、2声、3声4声と声部の数、複数の主題を同時に扱う多重フーガ、1つの声部が終わらないうちに別の声部が重なってくるストレッタ、等々。
フーガといえばまず大バッハが浮かびますが、その後の大作曲家達も時にフーガを用いて作品を充実したものにしています。昨日のハイドンの弦楽四重奏曲第32番op.20-2、終楽章もその一つで多重フーガの傑作、シュパンツィヒSQが拾い上げてくれたおかげで知りました。
昔、ハイドンの頭骨が墓から盗まれた話はよく知られ、犯人は脳の容積を調べようとして、結果は普通だったらしいが、大作曲家の知能は常人以上だと思われても不思議はないかもしれません。大バッハの頭骨はデカいそうです。
さて、フーガで思い出したのが、J.M.クラウスの序曲ニ短調VB147、スンドクヴィスト指揮による当盤は過去にレビュー済みですが、当序曲について再掲です。

kraus sym vol3
ヨーゼフ・マルティン・クラウス
交響曲嬰ハ短調 VB140
同、ハ短調 VB148
序曲ニ短調 VB147
交響曲ホ短調VBV141
ペーター・スンドクヴィスト指揮
スウェーデン室内O
1999年 NAXOS


この序曲VB147は「グスタフ3世のための葬送カンタータ」VB42の序曲にフーガの追加部分を作曲したものです。曲は3部構成で、始めは短調の沈痛な面持のテーマがユニゾンで繰り返される、定まった形式ではなさそうで、カプリチォの一種かともとれる、冥界をさまように進み、やがて天の光が差すような安らぎの描写に入る、再び始めのテーマに戻り深淵の中をさまよう。
第2部に入り、始めのテーマによるゆっくりとしたフーガを聴かせるが短く終わり一旦終結、ここまでは原曲と同じ。
追加の第3部はテンポが速まり、始めのテーマをトリルで開始する軽快な形に変え(多声の中でテーマの入りが聴きやすい)、これはバロック風でもある、フーガの開始は普通だが進むにつれ、ストレッタで重ねる所も置き、これが曲をより複雑に畳み込む、オルガンの足鍵盤的なジグザグ音形も多用され、見事な起伏で進行、いかにもバロック風、大バッハさながらの音楽が展開される。終結部のみ古典派風に締めくくる。
聴き応え満点の内容、こういう曲って理論的知能の高さも要求されるのでは?
参考動画:J.M.クラウス 序曲ニ短調VB147

ところで、当盤はクラウスに目覚めさせてくれた名盤、あらためて聴くと全作品すばらしい、交響曲嬰ハ短調VB140やホ短調VB141の覇気たるや今もトップクラス。序曲VB147を録音しているのも今のところ、スンドクヴィスト盤だけのようです。

category: J.M.クラウス

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D.A.カーペンター:J.M.クラウス ヴィオラ協奏曲  

長らくしまい込んであったJ.M.クラウスのヴィオラ協奏曲3曲のCDを聴きます。これらはルンド大学図書館に保存されていた楽譜で近年日の目を見たもの、クラウスの作品と確証はないらしいが、ほぼ間違いないと判定されVB番号が付けられています。他の作曲家ならいざ知らず、少しでもクラウスに親しんだ耳で聴けば、真作であろうことはわかります。古典派作品でヴィオラの為の充実した協奏曲ってあまり聞かないので貴重な作品と言えるでしょう。演奏はヴィオラ・ソロが1986年生、ニューヨーク出身のデイヴィッド・アーロン・カーペンター、彼は長身ゆえにヴィオラがヴァイオリンに見えてしまうそうで。テクニックは申し分なく堅実な演奏を聴かせる。バックはフィンランドのタピエラ・シンフォニエッタですっきり引き締まった演奏で支える。

kraus va con
ヨゼフ・マルティン・クラウス
1.ヴィオラ協奏曲変ホ長調 VB153c
2. ヴィオラ協奏曲ハ長調 VB153b
3. ヴィオラとチェロのための協奏曲ト長調 VB153a
デイヴィッド・アーロン・カーペンター(ヴィオラ)
リッタ・ペソラ(チェロ・・3.)
タピオラ・シンフォニエッタ
2011年11月7-9日 エスポー タピオラ・ホール


ヴィオラ協奏曲変ホ長調 VB153c
形式的には典型的な古典協奏曲、オケで始まる前奏から爽やさと活気で冴えている、カーペンターのvaはvlを聴くかのような艶やかな美音、結構テクニカルな要素を聴かせる、時折クラウスらしい旋律の特長が聴かれる、オケがぐっと入り込んで聴かせる部分も聴きどころ。
第二楽章、旋律美はもとよりヴィオラからこんな透き通った音が出るのかと少々驚く。
第三楽章、ロンド・モデラート、テンポはゆったりの楽章だが、ヴィオラの切れ味よいパッセージが楽しめる。ありふれたロンドじゃなく深い聴かせどころあり。

ヴィオラ協奏曲ハ長調 VB153b
爽快溌剌とした主題による前奏が魅力、ヴィオラ・ソロはまさに一流のメロディー・メーカーらしく変幻自在に楽しませる、オケも心地よい力感でシンフォニックに支え展開部も引き込む。
第二楽章は起伏の深いソロ・パートが聴かせる。
終楽章、ロンド・アレグロ、これは軽快な楽章でちょっとモーツァルトにもありそうな雰囲気で楽しい、ヴィオラの重音奏法もそんなに聴いた憶えなく、ソロも存分に聴かせる。

ヴィオラとチェロのための協奏曲ト長調 VB153a
これはヴィオラとチェロのダブルコンチェルトが聴けると期待したが、チェロは多くの部分でヴィオラの並行和声を弾くなど助奏的な扱いで対等の掛け合いはない、よって実質ヴィオラ協奏曲の要素が大きい、とは言え、第一楽章の前奏は聴き手を掴む雅やかな感覚と活気でソロの旋律も同様である、助奏とはいえvcの存在は味わい深いものにしている。
第二楽章は意外にも短調で総奏でやや異様な始まりで引き付ける、長調に転じvaの旋律にvcが和声で寄り添い、一部掛け合いも聴かせる。
第三楽章、ロンド・アレグロ・モデラート、軽快なロンド、この楽章で初めてvaとvcが対等に扱われる、短調の主題からvcが主導し、vaが伴奏にまわる、中間に緩抒部分を置いたり、急速な部分を置いたり複数の楽章が繋がったような変化をつける、ソロとオケ楽器の掛け合いもあったり、クラウスの独創性を感じる楽章である。

ところで、buxさんに教えていただいた、THE MUSICAL LIFE OF Joseph Martin Krausという書籍が今日届きました、きちんと製本された"本"を買うのは久しぶり;;さすが洋書です。

j m kraus book

たぶん、クラウスについて書かれた資料で唯一手に入るものでしょう、時間をかけてちびちび読んでいきたいです;

category: J.M.クラウス

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A.ハッキネン:J.M.クラウス アリアと序曲集  

古典派のヨーゼフ・マルティン・クラウスを紹介してきた先導役はやはりNAXOSレーベルでしょう、手始めのスンドクヴィスト指揮による交響曲集は優れたものでしたが、続いて出てくる盤がいまいち冴えなかった、特に室内楽は残念な内容でした。今回は久しぶりにNAXOSから出たフィンランドのA.ハッキネン率いるヘルシンキ・バロックOによるアリア&序曲集、これは第一級の内容です。北欧の古楽団体はいいですね、フィンランドは一部スウェーデン語の地域もあるが、93%がフィンランド語、起源の異なる言語で文法も違うそうです。
さて、歌劇の内容はわからないので、純粋に音楽を楽しむことになる。見事な序曲と歌劇の一場面の雰囲気を垣間見る一枚。録音の良さは申し分なし。

kraus overtures
1. 歌劇「プロセルピナ」VB19-序曲
2. あなたの無邪気な視線を VB30
3. あなたは恐れていますか?最愛の人よ VB63
4. あなたを愛することをやめることなど VB59
5. 「グスタフ3世の誕生日のために」VB41-序曲
6. 私が小さな神を見るとき VB5
7. 「冒険家」序曲 VB32
8. 時代の荒廃は VB58
9. 聞いてくれ、行かないでくれ - 私の大切な人に VB55
10. 「グスタフ3世のための葬送カンタータ」VB42-序曲
11. 私の痛みとため息を聞いてください VB26

モニカ・グループ(メゾ・ソプラノ)・・・2,3,1,6,8,9,11
ヘルシンキ・バロック管弦楽団(ピリオド楽器)
アーポ・ハッキネン(指揮)
2013年6月10-12日 フィンランド, エスポー、セッロ・ホール


1曲目、歌劇「プロセルピナ」序曲は宗教曲的な深い安らぎに満ちた序奏で始まる、オーボエのソロが印象的、付点リズムの切れ味よい動機で主部が始まる、マンハイム楽派からの影響とも言われるが、力強い総奏部と清涼な第二主題の弱奏の対比が際だつ、短いが展開部の緊迫感も良い、やはり多くの部分で作風が競合している他の作曲家達と違い、クラウスの独創性も聴かせて魅力だ。ハッキネンは目の覚めるような切り立った演奏、ホルンの鋭い輝きが引き付ける。
M.グループのメゾ・ソプラノは潤いのある美声を聴かせる、4曲目のアリア「あなたを愛することをやめることなど」VB59は通奏低音にvlの助奏を伴いバロックのアリアを思わせる。
5曲目、「グスタフ3世の誕生日のために」序曲は序奏風に聴こえる始まりだが既に主部の動機である、すぐにtp、timpを伴った祝祭的な総奏となる、これは理屈抜きに楽しめる痛快な音楽、第二主題に入ると繊細な味わい、提示部は反復されるがぜひ聴きたい、展開部はぐっと引き込むがこの曲は全体が見事、終結でtpは一際輝きを聴かせる。
6曲目、アリア「私が小さな神を見るとき」VB5はvlやobの助奏を伴った美しいもの。
7曲目、「冒険家」序曲 VB32も独創性を感じる傑作。
10曲目、「グスタフ3世のための葬送カンタータ」序曲は二部構成で後半はフーガ、これにさらに充実したフーガをもう一つ加えて三部構成としたのが序曲ニ短調VB147であるがこれはスンドクヴィスト盤の交響曲集第3集に聴くことができる。

聴き終えてまず、序曲は単一楽章の交響曲を聴くような見事さに満足。アリアは過去に取り上げたS.ケルメスのカンタータ集のような超絶技巧は聴かれないものの、クラウスは歌曲メーカーとして一流の魅力。まだまだ聴くべき曲は隠されている。

category: J.M.クラウス

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N.マギーガン:J.M.クラウス 交響曲集&ヴァイオリン協奏曲  

久しぶりのヨゼフ・マルティン・クラウスの新盤、冴え渡った名演が聴けます。
演奏者について詳しくはわかりませんが東欧の優れた団体のようです。レーベルはHUNGAROTON、ケース・デザインのセンスの良さも期待してしまう。扱っているのはTOWER RECORDSだけのようで他からは手に入りません、入荷まで1カ月かかりました。特に交響曲 嬰ハ短調 VB140の録音はスンドクヴィストとエールハルト以来なのでうれしい。録音も最上と言えます。

j m kraus sym con
j m kraus sym con2
ヨゼフ・マルティン・クラウス
・交響曲 ハ長調 VB138
・ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 VB151
・交響曲 嬰ハ短調 VB140
ジョルト・カッロー:vl
ニコラス・マギーガン:指揮
カペラ・サヴァリア(オリジナル楽器)
2013年9月21-23日
バルトーク・コンサート・ホール、ソンバトヘイ、ハンガリー


一曲目に爽やかな交響曲 ハ長調 VB138を置き、二曲目がヴァイオリン協奏曲 ハ長調 VB151、これ以前に2例しか知らなかったが当演奏は最高。作品としては古典派協奏曲の典型的様式で、立派なもの、ベートーヴェンのvl協奏曲に通じるようなじっくり味わえるもの、あとは演奏しだいとなる、Z.カッローのvlは綻び一つない端正な美しさ、第一楽章は適度に快活感のあるテンポを取り、カペラ・サヴァリアのバックが曲の表情と様式感をしっかり支える。表情的な第二主題が印象的で、展開部では短調に転じ、vlが重音奏法で感傷的な部分が魅力。第二楽章はぐっと静けさの中に引き込み、あまり甘ったるくないのがクラウスの良さ。終楽章はテクニカルな楽しみも聴かせる、主題はゆったりとしたものだが、ソロvlの切れ味のあるパッセージが痛快、それに伴いバックも少々白熱する、ソロvlのみが終結音を弾いて終わるのも洒落ている。

最期は交響曲 嬰ハ短調 VB140、この曲を改作したハ短調 VB142のほうが演奏されることが多いが、私は原曲のVB140が気に入っている。第一楽章の対位法的な序奏が冷涼に張りつめたようでまず素晴らしい、主部の動機が鋭い弦のトレモロで始まるというのも斬新で、いきなり緊迫して入る、ハイドンもベートーヴェンもこんな開始は書いていない、マギーガンはここをくっきりと切って一段と緊張感をつける、言いかえればごく自然な表現。バス旋律に力があり同様に切迫感で押してくる、この提示部に対し、展開部は第二主題の穏やかさで包み、終り部分でようやく盛り上がる、心理的に上手い構成。第二楽章は涼やか、あまり表情的な旋律を使わず対位法的に聴かせ、味わい深い。極めてあっさりした短いメヌエットはどこまで簡潔に書けるか挑戦したかのような曲、ぷっつり終り、終楽章へ入る、マギーガンは第一楽章同様、きりっと引き締め申し分ない、怒涛の楽章だが切れ味の中にほんのりと響くflトラヴェルソの安らぎがまたいい。
期待に十分応えてくれた一枚である。

category: J.M.クラウス

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西崎崇子:J.M.クラウス ヴァイオリン協奏曲ほか  

今日がリュートのレッスン日でした、注意点を意識しながら、運指を変更したところとかおぼつかず、まだ流して弾けません、こういうときはスローテンポでじっくり頭に焼き付ける練習が必要です、時間を惜しんじゃいけない・・;

さて今日は随分前に購入して保留してあった、NAXOS盤です。NAXOSによるJ.M.クラウスを紹介するプロジェクトの一環でしょう、NAXOSの創業者クラウス・ハイマンの夫人、西崎 崇子がソロを務めたヴァイオリン協奏曲 ハ長調 VB151と劇音楽「オリンピエ」を収録した1枚。NAXOS盤の演奏には当りはずれがありますが、これは良いほうに入るでしょう。

kraus vl con
ヨゼフ・マルティン・クラウス
1. ヴァイオリン協奏曲 ハ長調 VB151 
(カデンツァ…バーティル・ヴァン・ボエール)
2. 付随音楽「オリンピエ」
3. バレエ音楽「アジーレ」
西崎崇子:vl
ウーヴェ・グロット:指揮、ニュージーランド交響楽団


まずはvl協奏曲、演奏時間約30分とやや長大、第一楽章アレグロ・モデラートの前奏はイタリア風の標準的なコンチェルトの印象だが、vlのテクニックで痛快に聴かせるというより、ベートーヴェンに近い、じっくり聴かせる音楽言語豊かな内容、あまりクラウスらしい特長は感じないが、時折クラウスらしい節回しが聴かれる。西崎はヴィヴラート控え目の透明な美音に徹し、クラウスの演奏にふさわしく、丹念に聴かせていく。落ち着いた雰囲気の曲だが、展開部ではひしひしと深みへ誘う。第二楽章、アダージョはあまり甘美に陥らず素朴な美しさが良い、ソロvlと合奏群の区別がつかないほど弱奏の部分など引き付けられる。終楽章、ロンドもわりと落ち着いた感覚でさほどテクニカルではないがvlの軽妙な切れ味も聴かせる。
参考:J. M. Kraus - VB 151 - Violin Concerto in C major
次はU.グロット:指揮ニュージーランド響による劇付随音楽「オリンピエ」 、やや大編成で聴くとまた一味違う、録音はぐっとオケに近づいたような実体感、おなじみの序曲は序奏を重厚に、しかし、しつこさのない響きで始める、主部は快活、節目を付けながらきりっと絞めた表現は心地よい。続く劇中の付随音楽が組曲のように収録されているが、何やらドラマティックな効果を聴くと劇の内容が知りたくなってしまう;
参考:J.M.Kraus-VB 33-Incidental Music for Olympie

category: J.M.クラウス

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リュセル弦楽四重奏団:J.M.クラウス 弦楽四重奏集  

コンチェルト・ケルンゆかりの古楽奏者達によるクラウス室内楽に親しんだあと、今度はスウェーデンの新鋭四重奏団、リュセルSQによる演奏ですが、MUSICA SVECIEレーベルはさすが、期待を裏切らない、一時代前の演奏とは違い、作品に誠実なもので、クラウスの素の魅力をよく聴かせ、古楽に耳慣れないクラシック・ファン全般にも親しみやすい演奏でしょう。

kraus sq02
kraus sq01

さて、興味深いのは彼らも両刀使いなのか、1曲目のNo.5のみ、ピリオド楽器を使っているところです。No.5ハ長調は爽やかな親しみやすい曲、ピリオド奏法とまではいかないが、ヴィヴラートを控え、古楽器の魅力を見事活かしている、第一楽章はわりとはっきりしたソナタ形式、規模はそこそこながら展開部は深みがある、再現部も展開的要素が多く聴かれる、終結はさらりと終わる、第二楽章アダージョも旋律美で彩るが後半は深みへと誘う。終楽章はスケルツォ、軽妙で心地よい楽章。
2曲目、No2変ロ長調からモダン楽器となり、演奏会場も少し広さを感じるが、透明感のある美音は変らず好ましい。No.2はハイドン風な健康美も感じさせる快活な第一楽章、展開部はクラウスらしい凝った魅力も聴かせ、結構たっぷりした構成、再現部以後は簡潔にまとめる。
3曲目、No.4ニ長調は傑作、第一楽章からクラウスならではの流麗な美しさで4パートが綾を成す、特長的なのは1stヴァイオリンとチェロがダブル・コンチェルトのようにしばしばソロを掛け合うところで、リュセルSQは一際魅力的に聴かせる。(クラウスにはこんな感じでvlとvcの協奏交響曲など書いてほしかったと思える;ヴィオラとチェロの二重協奏曲は存在するが、傑作だったかどうか、また聴いてみるとする)第二楽章ラルゲットでも、やはり第一vlとvcのソロを魅力的に聴かせる。圧巻の終楽章、アレグロ・モルト、単独にこの楽章だけ聴いたら、古典派と思えないかもしれない?リズムの切れ味や表現のインパクトの強さは前に聴いたJ.M.クラウスSQシュパンツィヒSQより穏やかな演奏だが、この楽章のクラウスの非凡な発想は十分味わえる。しかしこの飛び抜けた音楽はどこからの影響だろう。
最後のNo.6ト長調はふたたび、親しみやすい、しかもSQの魅力を十分備えた作品、第一楽章提示部から充実した内容、形式上の次のステップへきっぱりと移らず、接続的な部分が魅力、展開部の深い内容も特筆もの、再現部に普通に入るがその後最後まで、展開的内容を聴かせ、さらりと終結する。第二楽章、スコッツェーゼ、バグパイプの音楽も模したものだろう、リュセルSQはその雰囲気を強調して演奏するがこれが圧巻。終楽章、ラルゴとアレグロ・アッサイが続くが二つの楽章に分けて捉えることも出来そう。ラルゴの悲哀と明るさ交互の優美な音楽のあと、畳み込む切れ味のアレグロ・アッサイで圧倒して終わる。
リュセル四重奏団、きっとハイドンの演奏も素晴らしいでしょう。

category: J.M.クラウス

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