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Michael: Classic音楽,リュート,宇宙

クラシック音楽とリュート、宇宙・科学 etc

W.エールハルト:J.F.X.シュテルケル 交響曲No.1&2  

未知の古典派作曲家の探索を楽しんでいます。今日はヴェルナー・エールハルト指揮、ラルテ・デル・モントによるヨハン・フランツ・クサヴァー・シュテルケル(1750-1817)の交響曲を聴く、エールハルトといえばコンチェルト・ケルン時代からJ.M.クラウスはじめ、一般に著名ではない優れた作品を取り上げてきました、今回DHMの新盤として録音したシュテルケルの作品にも期待してしまう。ラルテ・デル・モントはコンチェルト・ケルンと同じく、弦楽はテンションの低い弦を使っている感じで、線の細い響きだが、微かな弱奏までくっきり聴こえる透明感、コントラバスが底力で全体を包み込むサウンドバランス。micha

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ヴェルナー・エールハルト指揮、ラルテ・デル・モント(ピリオド楽器)
録音:2013年12月 ドイツ、レーファークーゼン・クルターハウス


シュテルケルについて詳しい資料はないが、1750年にヴュルツブルクで生れ、モーツァルトより6歳年長、活躍時はモーツァルトやクレメンティ等と並ぶ人気で、ピアニストとしても有名だったとされる。交響曲はマンハイム楽派を基盤としているそうだが、当然ハイドンの影響も受けただろう、
20世紀流の演奏でモーツァルトなど著名な作品に馴らされた耳にはそれ以外は異質に(出来がわるく)聴こえてしまうかもしれない、エールハルトはそのギャップを飛び越し、作品の魅力に直に迫らせてくれるようだ。

交響曲第1番ニ長調Op.35-1
第一楽章 Allegro con spirito、快活でやや武骨な第一主題で引き付ける、第二主題は柔和な味わい、じりじりとしたcresc.の後の力感、懐の深い提示部を聴かせ、反復なしで展開部に移る、この展開部の規模と内容には目を見張る、第一主題、第二主題、順に用いた長大なもので、これはハイドンからベートーヴェンへと橋渡しをする内容に思える、再現部、終結の華々しさはP.ヴラニツキーを思わせる。
第二楽章 Larghetto、幾分素朴ながら優美な主題、この楽章は短調となった中間部が聴かせどころ、突如とした緊迫感に包まれる。
メヌエットは活発で小気味よいテーマ、トリオは特徴めいたものはなく、簡潔な楽章だ。
終楽章 Allegro vivace、やや民謡調の主題のロンド-ソナタ形式はハイドンに近い、展開部は上手く休符を置きながら次への期待を誘う、ここでも第一楽章同様の充実感を置き、終結も華々しい。

交響曲第2番変ロ長調Op.35-2
第一楽章 Largo - Allegro assai、短い序奏を置き、主部の第一主題はがっちりと始まる、快速感に満ちた提示部が引き付ける、反復なしで展開部へ、ここもまた第1番に劣らず鬼気迫る内容だ。序奏部をわずかに挿入して再現部となるが、最後まで気を抜くところなく聴かせる。
第二楽章 Adagio un poco、この楽章も中間部以降が非常に充実、聴かせどころとして書かれている。
メヌエット Allegro 活発な性格のメヌエットでトリオも小ざっぱり、3分足らずで簡潔に終わる。J.M.クラウスがたった1曲書いたメヌエット楽章を思わせる;
終楽章 Presto 活発な舞曲風のロンドテーマで、爽快に進む、目まぐるしく対位法も用いたハイドンの傑作に匹敵するような楽章で期待に十分応える、華々しい終結もベートーヴェンほどゴツくさくなく、痛快。

もう一曲「大オーケストラのための序曲」が入っている、大袈裟だがそれなりに楽しませる、管楽器の妙技が目立つ。

さすがエールハルトの取り上げる作曲家、
ヴラニツキー兄弟に続いてすっかりはまってしまった。

category: その他・古典派

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E.コルディア:A.ヴラニツキー 弦楽のための室内楽曲集  

未知の作曲家を探っているうち、最近知ったナイスな古典派がヴラニツキー兄弟です(兄:パウル 1756-1808、弟:アントン 1761-1820)、と言っても出ている音盤は数少ないですが;幸い良い演奏で出ている。今日は弟アントンの作品で弦楽五重奏と六重奏曲の2曲、アンサンブル・コルディア(古楽器)による秀逸な演奏で聴けるのは嬉しい。micha
A.ヴラニツキーはモーツァルト、ハイドンに師事した人で、どれくらいの作品を残したか、わかりませんが、先般のvn協奏曲や今日の室内楽を聴くかぎり、洗練されていて相当なキャリアを重ねた人でしょう。ハイドンは弦楽四重奏に専念し、多重奏曲は書いていませんが、A.ヴラニツキーは流石は弟子、という出来栄えでこれらを書いています。作風としてはハイドンに近いかな?でも民謡風の旋律は出てこない。
A ヴラニツキー
アンサンブル・コルディア
2009年 BRILIANT CLASSICS


弦楽五重奏曲 変ホ長調 Op.8-3
五重奏といっても編成はvnが1つ、vaとvcが2つずつ、という低域にバランスの寄った珍しいもので興味深い、第一楽章アレグロ ノン タント、活気のある主題に始まる、vnが主導するが、他のパートが充実した絡みを聴かせる、提示部の反復なしで展開部に入るが、まさに室内楽の醍醐味、快活な中に各パートが掛け合う、ハイドンの後期作品に引けを取らない充実感。
第二楽章アンダンテ コン モート、変奏形式、概ね一貫してテーマが流れ、各パートが変奏の妙技を聴かせる、この楽章にもハイドン風な健康美とセンスの良さを感じる。
メヌエット、vcが歌いだし、カノンで重ねるなど、彫の深い聴き応えあるメヌエット楽章だ。トリオは小洒落た装飾的美しさを聴かせる。
終楽章、アダージョの前奏があるが、深い味わい、ロンド、アレグレットが続く、このロンドでは各パートが代わる代わるソロを弾くが互いに味わいのある助奏で充実させる。

弦楽六重奏曲 ト長調
なぜか作品番号が付いていないらしい、編成はvn、va、vcが2つずつの六重奏、第一楽章アレグロ、流麗な主題で始まり、これはJ.M.クラウスを思わせる、室内楽の細やかさもあれば、ぐっとシンフォニックに押し出したり、2つずつの楽器がハーモニーを聴かせたり、様々な聴きどころを作る、展開部の充実ぶりは師匠ゆずりか、vcが高域を奏でるのが印象的。
第二楽章アンダンティーノ、変奏形式でト短調となり、憂いを帯びた主題が一貫され、各パートが変奏要素を重ねていく、中間部は長調となる。
メヌエットを置かず、終楽章、ここでもアダージョの前奏を置くが、これも聴きどころ、ロンドのアレグレットに入る、弾むようなテーマで、各パートが切れ味よく掛け合いをする、ロンド主題の間に入る部分が変化に富み、聴き応えあり。

どちらかというと、六重奏のほうが気に入ってしまったが、これらも大いに演奏されてよい曲だと思う。

category: その他・古典派

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H.グリフィス:A&P.ヴラニツキー vn、vc協奏曲ほか  

通常は陽の当らない古典派作曲家に注目しているのですが、久々に新盤が出ました。
今回はモーツァルトと同年生まれの、パウル・ヴラニツキー(1756-1808)と弟のアントニン(1761-1820)の作品のカップリングで、指揮は以前、P.ヴラニツキーの交響曲、cpo盤でも取り上げたハワード・グリフィス、今度はメジャーレーベルからの登場です。
発売元の紹介を引用すると、
指揮者のハワード・グリフィスは知られざる古典派の音楽の研究家でもあり、数多くの作品の復活再演を手掛けています。また若手アーティストを支援しており、ここでも2人の新鋭ソリストを起用し演奏を行っています・・とあります。
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1) アントニン・ヴラニツキー:ヴァイオリン協奏曲ハ長調Op.11
2) パウル・ヴラニツキー:交響曲ニ長調Op.16-3
3) パウル・ヴラニツキー:チェロ協奏曲ハ長調Op.27,
ヴェリコ・チュンブリーゼ(ヴァイオリン)
キアラ・エンデルレ(チェロ)
ハワード・グリフィス(指揮)ミュンヘン室内管弦楽団
録音:2015年10月, ドイツ、プラネック、クップファーハウス
SONY

当録音はさすがSONYの最新盤と言える、cpo盤もわるくなかったが、格段にクリアー。

"知られざる"人の作品の音盤は少ないが、あればなんでもいいとはいかない;古典派ともなれば、より透明度をもって作品の真価を聴かせる優れた演奏でなければ。
'60年代以前の巨匠の時代は、名演奏家の個性とベートーヴェン、バッハなど大作曲家との融合で成立してきたようなところがあり、相性のよい作品以外には手は出さなかった。聴衆の関心度も大きく関わるが、そんな頃、ヴラニツキーとか、J.M.クラウスとかの真価の聴ける演奏は望めなかった、これはハイドンにも同様に当てはまる。新鮮な楽しみに浸れるようになったのは'90年代以後か・・よって新しい名の演奏家に手が出てしまう。

1曲目は弟アントニンのvn協奏曲ハ長調(1794年作曲)
典型的な協奏曲様式、モーツァルトより新しくベートーヴェンの前に位置するような作品、
第一楽章、健康的な主題の前奏に続き、チュンブリーゼのvnが一際透明に美しく始まり、引き付ける。ソロとオケの関わりも巧みで、豪快さと繊細さをもつ立派な楽章である、
第二楽章、短い前奏に続き、vnのみのソロを入れ、旋律美のセンスもなかなかの緩叙楽章、
終楽章、陽気でリズミカルなロンド楽章、うきうきする楽しさで閉じる。
2曲目は兄パウルの交響曲ニ長調(1792年作曲)で3つの楽章、
第一楽章は総奏で豪快に始まり、オペラ序曲を思わせる、颯爽として切れ味よい音楽、ソナタ形式の展開部から終結まで巧みな手腕を聴かせる。
第二楽章は短調に始まり、これも場面がかわった間奏曲のようでもある、
終楽章、対位法も取り入れた聴き応えと痛快なダイナミズムが交錯する、そして各楽器の巧みな効かせ方、P.ヴラニツキーらしい魅力がでている。
3曲目は兄パウルのvc協奏曲ハ長調(1803年作曲)、これは以前エンリーコ・ブロンツィの演奏でも取り上げた。
ハイドンの前古典派的なvc協奏曲も好きだが、こちらは後期古典派らしい内容の傑作だ。
第一楽章はシンフォニックな前奏に続きvcが弱音から出る、エンデルレのvcも力み過ぎず美音を大切にする。木管が巧みに使用され、ソロとオケが対等に活躍、展開部では情緒の細やかさを聴かせる。
第二楽章、穏やかな前奏に重ねてvcが弱音から立ち上がる、優美な旋律趣味といい、一流のセンスを持った緩叙楽章。
終楽章、快活な舞曲的リズムのロンドで、vcの技巧の聴きどころだが、あくまで美音で行く、オケも痛快に間に入る。
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透明でバランス良く、程良くダイナミズムを押し出すグリフィスのオケ、二人のソリストも現代の若手らしい古典派モードの演奏がすばらしく、彼らの演奏で申し分なく味わえる。
グリフィスの古典派演奏はSONYでシリーズ化してほしいところ、欲を言えばハイドンもぜひ録音してほしい^^

category: その他・古典派

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M.バーメルト:W.ハーシェル 交響曲集  

昨日、話題にした音楽家兼天文学者のウィリアム・ハーシェル(1738-1822)の作品を取り上げます。マティアス・バーメルト指揮、ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズの演奏で現代、陽の当らない古典派作品を片っ端しから録音した「モーツァルトと同時代の作曲家」シリーズの一つ、今、手に入るのはこれ1枚しかありません;

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マティアス・バーメルト指揮、ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ
2002年録音


収録曲は1760~1762年に作曲された交響曲で、以下の6曲、
No.14 d-dur No.8 c-moll No.2 d-dur
No.12 d-dur No.17 c-dur No.13 d-dur

ハーシェル20代前半の作品となる。この時期ハイドンはエステルハージ家の副楽長に就任したばかりで、ハイドンもこれから主要な作品を書き始めるといった頃である。
いずれも急、緩、急、3楽章の小規模な作品だ。一通り聴いて感じたのは、よく似た作風の作曲家が他にいるかというと、特に思いつかない、あえて言えば、ヨハン・クリティアン・バッハ、あるいは溯って、ジョバンニ・バティスタ・サンマルティーニの影響下に思えるが、あくまで基盤的なこと、W.ハーシェル独自の世界とも言える。また主旋律に対し、バスは通奏低音的な動きが多い、ポリフォニクな書法も入る。
初期のNo.2 d-durが比較的平明でサンマルティーニに近い印象だ、軽快な第一楽章、憂いを帯びた第二楽章、快活な終楽章、と親しみ易い。最も異色を放つのはNo.8 c-mollで、ここで唯一の短調交響曲、第一楽章では疾風怒涛的な切迫感も持つが、和声の推移など他では聴いたことのない不思議な感覚だ。第二楽章も短調のまま悲哀感を帯びる、終楽章もトレモロ奏法による急き立てる楽章。No.12 d-durはホルン、オーボエが入る、この曲は爽快さが印象的、vnのソロ部分もある、第二楽章は優美、終楽章はまた長いトレモロ奏法による急速感で始まり、快活にまとめる。No.17 c-durもまたすっきりとした美しさだ。

No.8 c-mollの不思議な印象を含め、やはり既存のありふれた音楽からは一線を置き、未知の魅力を模索したい、といった、のちに天文学に進むハーシェルらしい気質が作品の風合いに感じられるようだ。
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ウィリアム・ハーシェル
俗人の感覚とは一味違う、こればかりは実際聴いて感じるしかないです^^;

category: その他・古典派

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アンサンブル・コルディア:P.ヴラニツキー 弦楽三重奏曲集  

古楽研究から模索が始まって、近年は作品の真価が聴ける演奏法が常識化してきた。おそらくバッハやモーツァルトには時代や奏法が変っても味わえる強い要素があって親しまれてきたと思うが、'50~'60年代の奏法でコレッリやテレマンを演奏されても今となっては聴けない、ハイドンでさえ真価は聴き辛い。
一時代前、知られていなかった作曲家はたまにマイナーレーベルから出たが、とりあえず普通に演奏してみた程度のもの、結果、いまいち冴えない作品としか聴けなかった。近年は優れた演奏家が本腰入れて録音したものが出るようになり、NAXOSやcpo、BRILLANT CLASSICSからも次々手に入ってありがたい。
今日はP.ヴラニツキーの続きで室内楽。弦楽三重奏を集めたアルバムでピリオド楽器のアンサンブル・コルディアのメンバーによる演奏、作品の美質を目いっぱい聴かせてくれる。因みに固定メンバーの三重奏団というのは殆どないそうで、ソリストあるいはオケのメンバーが臨時に組む場合が多いとのこと。
当盤は残響を多く取り入れた録音で距離を置いた響き、ボリュームはそれなりに絞らないと、音像が異様に肥大してしまう。

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パウル・ヴラニツキー
弦楽三重奏曲
変ホ長調Op.17-2
ヘ長調Op.3-1
ト長調Op.3-3
アンサンブル・コルディア


さてヴラニツキーの当作品は、先日の交響曲と同様、ひじょうに良い。今回室内楽ではっと気づいたのが、J.M.クラウスの旋律趣味と共通したものが聴かれる、師弟関係というより友人同士の共通語のような気がする。
変ホ長調Op.17-2は典型的な4つの楽章、第一楽章は流麗な感覚でクラウス風の旋律廻しが実にいい、ぐっと立体的に繰り出す室内楽の醍醐味も聴かせる、3つのソロの掛け合いのようで各楽器のテクニックも聴き応えあり、展開部も胴にいったもの。
第二楽章、とても優美だが、それだけじゃない、聴衆が眠りそうな頃に突如強奏が入る。
メヌエット、このテーマもまた気品があり、嫌味のないセンス。トリオは(まさしくトリオだが)優美な中に切り立った感覚を持たせ引き締める。
終楽章、ロンド形式、ロンドとか変奏曲とかには退屈だったり、クドさを感じる曲がよくあるがヴラニツキーはそういう事態に陥らない、最後まで冴えた感覚で終わる。
ヘ長調Op.3-1は3つの楽章で初めは作曲家のセンスが現れる変奏曲、3つの楽器が交替でソロを取り、各変奏はバロックの装飾を思わせる細やかなお洒落感覚がいい。
第二楽章がメヌエットで、ポリフォニックな聴きどころを置く、トリオは短調で静謐な感覚。
終楽章、ロンド風ソナタ、vlやvcが最高音を聴かせ、爽快さと切れ味がある、展開部の技も巧みで聴きどころ。
ト長調Op.3-3は4楽章、快調な第一楽章はまさにクラウス風、これはもうお気に入りの音楽だ。展開部の踏み込んだ内容はこの曲が一番、気の効いた終結部があって終わる、いつの間にか3つの楽器だけというのを忘れる。
第二楽章、vcがメインにソロを取り、残りが伴奏、一流コンチェルトの緩抒楽章を見事にやってのける。
メヌエット、主題に際立った印象はないが優美、トリオでまたコンチェルト風に聴かせる。
終楽章、ロンド、元気のよいテーマ、短調の間奏になると、ポリフォニックでバロック風になる、気の効いた導入を置いてロンド主題に戻る。
弦楽三重奏なんて軽そうだ・・とあまり期待しなかったがこの充実感には恐れ入る。

category: その他・古典派

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H.グリフィス:P.ヴラニツキー 交響曲 ニ長調op.52  

未知の古典派作曲家を久しぶりに聴きます。チェコ出身、ウィーンで活躍したパウル・ヴラニツキー(1756-1808)はモーツァルトと同年生まれ、ハイドンより1年早く没した52年の生涯。出身地で音楽を学び、ウィーンを訪れていた同年生まれのJ.M.クラウスにも師事したそうで、ハイドンにも師事したと言われるが不明、しかしハイドンの作品から多くを学んでいることは聴いて疑いない、詳細はWikipedia 
ハイドン、ベートーヴェン、モーツァルト等、当時の著名な人々と深く関わりを持った楽壇の中心人物ながら、何故か今日では聴く機会がほとんどない。今日忘れられた作曲家は作曲技法や曲のセンスがイマイチで確かに無名でもしかたないという人もいるが、ヴラニツキーは「もっと評価されてよい」という意見もあり、それ以上だと思う、音楽センス、管弦楽の扱いたるや一流、忘れられる存在ではない。今日はcpoレーベルから出ている1枚、ハワード・グリフィス指揮、ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニーOの演奏で交響曲2曲のアルバム。録音は伸び伸びと空間に拡がる響き。

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パウル・ヴラニツキー
交響曲 ハ短調 「フランス共和国との和平に」op.31
交響曲 ニ長調op52
ハワード・グリフィス指揮、ハノーファー北ドイツ放送フィルハーモニー管弦楽団


1曲目の交響曲 ハ短調 「フランス共和国との和平に」は素晴らしいが機会音楽のようで特殊な内容なので今日は割愛し、純粋な交響曲 ニ長調op.52についてのみ。
第一楽章、付点リズムを含む荘重な序奏で気分を引き締める、主部は軽妙な第一主題が弦で始まる、これは後の展開が期待できる、
譜例
すぐに総奏に入るがtimpを効かせたダイナミズムが心地よい活気を出す、ハイドンの交響曲50番若しくは90番のような活気が実に楽しい、展開部は緻密で変化に富み、並みの技量ではない巧みさで引き込む、流麗な魅力もあり。
第二楽章、優美な主題の緩抒楽章として始まるが、tp、timpも動員したシンフォニックな要素が多い楽章、ハイドンで言えば92番の第二楽章の様相で充実感十分。
メヌエット、これはハイドンの53番のメヌエットと同様、簡潔できっぱりとした主題が素晴らしく、飽きが来ない、トリオは気品を帯び、tpの信号が入るのが一味違う。
終楽章、ハイドンの終楽章風に始まるが、ここでもtimpを結構派手に使う、しかしダイナミズムのツボを効かせるもので気品を損なうものではない、ハイドンで言えば103番の終楽章をさらに楽しく痛快にしたような楽章で終わる。
全楽章聴いてみて、センスに欠けるとか、不足に感じるところはない、非常に良い曲ですっかりハマってしまった。テレマンやハイドンのように愉悦のツボを心得ていて、独自の風合いや気品も漂わせる、これほどの作品が今日演奏されないというのは惜しい。H.グリフィス指揮、ハノーファー北ドイツ放送フィルの演奏も現代の古典派演奏らしく優れていて、未知の作品を紹介するには絶好である。ヴラニツキーは交響曲や室内楽が多数あるのでさらに聴いてみたい。

category: その他・古典派

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M.Grauwels:F.ドヴィエンヌ フルート協奏曲集  

古典派音楽の探索をしていますが、今日はマエストロ・与太さんの紹介による初登場、フランソワ・ドヴィエンヌのフルート協奏曲集です。ドヴィエンヌはフルートの名手でファゴットも得意としたフランスの作曲家(詳しくはWikipediaに)、NAXOSの当アルバムの3曲を聴いて、なかなか優れた人だと思います。フランス持ち前のセンスもあるでしょうが、きちんと整った協奏ソナタ形式で充実した作品です。フルート・ソロもさすが充実した聴きどころ。注目していきたい人ですね。

フランソワ・ドヴィエンヌ(1759-1803)
1-3. フルート協奏曲 第7番 ホ短調
4-6. フルートとファゴットのための協奏交響曲
7-9. フルート協奏曲 第2番 ニ長調
マルク・グローウェルス:フルート
Alain de Reijckere:ファゴット
ベルナール・ラバディ:指揮、ワルーン室内管弦楽団

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フルート協奏曲 第7番 ホ短調
第一楽章、オケによる印象的な短調の主題で始まるがメロディックな美しさもあり、どちらかと言えばヴァンハルの短調作品を思わせる、前奏の第二主題は長調、ここからフルート・ソロが加わる、再び第一主題をオケが聴かせ、短調の新たな主題によるフルート・ソロが始まる、ソロパートの妙技が冴える。全体には長調が主体で健康的な旋律美。展開部、再現部と型どおり進むがカデンツァは置かれない、ソロの妙技は十分聴かせたので無くてもよいと思える。
第二楽章、アダージョは優美なフルートソロとさりげなく支えるバック、カンデンツァを2度置く、ハイドンの交響曲24番第二楽章にも近い穏やかな美しさ、高域を吹いて終わり、ほぼ間を置かず終楽章へ入る、特長的で魅力な短調のロンド主題を奏でる。間奏がさすがテクニカルで聴きどころ。
フルートとファゴットのための協奏交響曲
第一楽章、総奏で始まるがあまりシンフォニックな印象はない、が健康的で快調な魅力、前奏からフルートは第一vlと重ねて演奏する。フルートソロから始まり、ファゴットが受け継ぎ、2つの楽器が重なる、和声の並進行、反進行、対位法的掛け合いで聴かせていく、ファゴットの低音から高音への跳躍、楽器独自の個性も聴かせる。展開部は緊迫した聴かせどころもある、カデンツァでは2つの楽器が見事に絡む、きちんと様式にのっとった書き方で次の展開も予測どおりだが、予測に不満なく応えるところが良い。
第二楽章、アンダンテ、モーツァルトに近い優美さを感じる。
第三楽章、活気にみちたロンド主題、こちらはハイドンに近い感じ、ファゴットの跳躍を用いたソロが心地よい。
フルート協奏曲 第2番 ニ長調
この曲が一番気に入った感じ、前奏が流麗であり切れ味もある、標準的にとても美しくできた曲、フルートソロもまさにフルート協奏曲の良いお手本のようだが、次々溢れるセンスで満たされ、どこかで聴いた曲の焼きまわしのようなヤボったさがない。展開部のじわじわ深みに誘うところも良い。
第二楽章、短調となる、フルートソロが孤独感を歌う、長調部分になると、モーツァルトfl協奏曲No.2第二楽章をちょっと思わせる味わい。これはフルート名曲集のオムニバス盤に入れても良さそう。カデンツァのあと、弦楽が消え入るように終わり、フルートソロが終楽章のロンド主題をまさぐる、そして快調な終楽章、ベートーヴェンの前にもこの手法、あったんですね、この主題が軽やかで洒落ている、テクニカルなフルートソロが間奏して魅了する。
録音も良好、ひじょうに楽しめる1枚です。

category: その他・古典派

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ミヒャエル・ハイドン:トランペット協奏曲d-dur アンドレvsシェルバウム  

懲りずにトランペットを続けます。昔も今もトランペットの上手い演奏というのは人を引き付けてやまないものですね。
今日は弟ハイドンのミヒャエルの作品、トランペット協奏曲ニ長調。L.モーツァルトのニ長調と同じくらい好きな曲ですが、聴きどころは第一楽章アダージョ、音階を徐々に上り、「3点イ音」という超難度の高音を吹くところ。聴く側も緊張します;第二楽章アレグロは緊張を解くように明るく楽しい、ここでもtpの魅力を聴かせます。
ミヒャエル・ハイドンの活躍したザルツブルクにはアンドレアス・シャハトナーというtpの名人がいて恐らくこの人が演奏したものと思われます。この頃のtp奏者はtpの演奏のみで雇われることはなく、他の楽器も兼務できるのが条件だったそうで、シャハトナーはvlも弾いたそうです。

初めにM.アンドレの演奏を2枚、
アンドレ m hay tp
左は1966年、H.シュタットルマイア指揮、ミュンヘン室内Oとの演奏、難所の音はさすがにアンドレといえど難しそうで、ちょい乱れます。
参考動画: M.André, M.Haydn Concerto in D major
しかし、演奏全体はじつに美しいもので安定した美音は他に例がないでしょう。シュタットルマイア&ミュンヘン室内Oも非常に美しい。
右のもう一枚はブダペスト・フランツ・リスト室内Oとの共演、1978年、こちらのバックもさすが美しいですが、例の難所は、難しそうだけど決めている!演奏全体はアルヒーフ原盤のシュタットルマイア盤が好きですけどね。

さて、この難曲を最初に録音したのは、おそらくA.シェルバウムではないでしょうか、昨日レビューしたLPに入っています。
シェルバウム m hau tp
tpを絹の感触のように吹いてしまうアンドレの超人技とは異なり、シェルバウムはtpらしい、ある意味ほっとしますが、名演に変わりはないです。難所の音は・・どうにか決めている;シェルバウムは兄ハイドンの変ホ長調よりこちらが得意かもしれません^^バックのK.リステンパルト&ザール室内Oも美しい弦楽で支えます。

ちなみにW.マルサリスはどうでしょう
参考動画: Wynton Marsalis: Michael Haydn - Trumpet Concerto in D major
ばっちり決めているv

古楽器tpの演奏も
参考動画: Michael Haydn - Trumpet Concerto in D Major; Brian Shaw, Baroque
ピッチが低い分だけ有利かも?

トランペットはマウスピースの大きさや形状で音の出しやすさが変るそうですが、とにかく唇が目的の音に振動しなければ音は出ない、難しさは昔から変らないものと思います。

category: その他・古典派

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P.ティボー:フンメル トランペット協奏曲  

このところ、tp協奏曲の出物に網を張っていました。
今日はM.アンドレよりちょっと年長のフランスの名手ピエール・ティボーがグラモフォンに録音したtp協奏曲集の第2集より、フンメルtp協奏曲です。これも音溝の光沢が違う、高周波音が刻まれた輝きがD.Gの録音技術を期待させます。tpの音というのは古い録音では高周波音が歪の中に埋もれてしまいがちですが、D.Gの好録音ではクッキリ再現され宝石ように輝く、再生機の一定のクウォリティも必要ですが。当盤のコンディションは良好、丁寧に扱われていたようです。

フンメル tp con
1)
1.アンドレ・ジョリヴェ tp、弦楽、ピアノの為の小協奏曲
2.アンリ・トマジ tp協奏曲
3.テレマン tp、2つのob、弦楽と通奏低音の為の協奏曲ニ長調
2)
4.フンメル tp協奏曲変ホ長調
ピエール・ティボー:tp
マウリス・コンスタン:指揮 イギリス室内O
1971年、D.G


1面には現代作品、続いてバロックのテレマン、2面の最後がフンメルですが、今日はフンメルに絞りましょう。
第一楽章、M.コンスタン指揮、イギリス室内Oの前奏がすばらしく、期待させる、清涼に整った弦、管も上手い、心地よい力感を打ち出すシンフォニックなサウンドで始まる、ティボーのtpソロはやはり期待通り、ブリリアントな美音で本当にキメ細かく澄みきっている、安定した技巧、余裕の音楽表現で、ソロ、バックともに満足の演奏。カデンツァはティボーによるもので、高域の澄み切った音を今一度堪能させる、第一楽章の最後はぐっとフェルマータをかけ、オペラ序曲のように堂々と終る、これは結構ツボ。
第二楽章、この楽章からはハイドンの協奏曲とは一味違う新時代的な感覚、tpが短調の主題を滑らかに歌う、ティボーのtpはさすが柔らかな美音に切換え、情感深く歌い進める。
第三楽章、第二楽章から休まず始まる、快速なテンポで、tpにとっても、オケのアンサンブルにとってもアクロバット的妙技となる斬新な楽章、ティボーのtpは鮮やかに決め、オケもびしっと揃い、どっしり力強さも聴かせる快演。
これはフンメル名盤の一つとしてお宝です★★★★★v
あとはハイドン、L.モーツァルトの入った第1集が手に入れば言うことなし、気長にアンテナ張っていきます。

category: その他・古典派

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W.マルサリスのトランペット協奏曲集  

このところ、トランペット漬けになっています;
今日は、過去にハイドンtp協奏曲で少しだけ取り上げた、ジャズ・トランペッター兼クラシック奏者、ウィントン・マルサリスのtp協奏曲集をじっくり聴き返してみました。
マルサリスはあくまでクラシック奏者に徹しているのは確かだが、ジャズ・トランペッターらしいプレイ精神も根底に漂わせている気がして、心にくいような・・^^
ヨーロッパ系のtp奏者とはやはり違うアメリカン・サウンドでしょうか、輝かしさが基調ですが、ヴェネチアン・グラスをキーンと叩いたような、芯のある透明な美音で特に高域が魅力。レイモンド・レッパード指揮:ナショナル・フィルの演奏がとても良いのにも気づきました。録音は弦楽器1つ1つが聴こえるような、SONYらしい鮮明さですが、耳心地よい滑らかサウンド。

マルサリス tp
1. ハイドン トランペット協奏曲変ホ長調
2. L.モーツァルト同ニ長調
3. フンメル同変ホ長調(フンメル)
4. ヴィヴァルディ 2つのトランペットのための協奏曲ハ長調RV537
5. テレマン 3つのトランペットのための協奏曲変ロ長調
6. パッヘルベル 3つのトランペットと弦楽のためのカノン
7. ビーバー 8つのトランペットと管弦楽のためのソナタ イ長調
ウィントン・マルサリス:tp
レイモンド・レッパード指揮:ナショナル・フィルハーモニーO (1-3) 1982年録音
              イギリス室内O (4-7) 1987年録音


1.ハイドン:tp協奏曲、まずレッパードの活気に満ちた前奏が良い、マルサリスはアンドレ風の木管的、室内的表現はあまりないが、高音から低音までくっきり明快な心地よさ。第二楽章はあまりカンタービレに陥らず、適度に切りながらリズム感に乗せる。しかしレッパードはバックの旋律をひじょうに優しく聴かせる。さすがにマルサリスも柔らかな表現。第三楽章、前奏がやはり活気を帯び、心地よいダイナミズムを聴かせる、マルサリスは速いパッセージ音を1音ずつ鮮やかに区切って聴かせるのが痛快、他では聴けない終楽章の魅力となっています。

2.L.モーツァルト:tp協奏曲、グルックと同時期、前期古典派らしい雰囲気でtpの魅力を十分聴かせる名曲です。第一楽章でオクターブ跳躍した高音をアンドレやエクルンドは弱音から柔らかく立ち上げ、ゾクっとくる魅力ですが、マルサリスはくっきりと立ち上げる、美音なだけにこれも痛快な魅力。第二楽章、レッパードのバックもくっきりした表現で引き付け、マルサリスは切れ味よい装飾(変奏)を加える。もちろんジャズの即興とは違うがスリリングな楽しみは確か。

3.フンメル:tp協奏曲、この曲で特にレッパードのバックがすばらしい、表現的にはハイドンと共通ながら、前奏や間奏部分が長いので聴かせどころとなりますね、2nd.vlなど内声をくっきり粒立たせ、1st.vlがレガート、区切りを使い分け適切に歌い、緻密な強弱法で力感の入れ方が的を得ていて、すっかり共感させられる、アンドレのバックを演奏したJ.ローラを凌ぐかもしれない?かっちりまとめ過ぎず適度に捌けた響きも良い、やる気満々の前奏で引き付けます。とても良い気分でソロが始まる。短調の感傷的な第二楽章の始まりは古典派世界から離れた気分、長調に転ずるとモーツァルト風になり、楽しませる。圧巻が終楽章、もともとアクロバット的なこの楽章を一段と速いテンポでマルサリスもオケもびしっと決めている。このキレまくった熱気はもはやクラシックから離れた気分でもある^^

以下、ヴィヴァルディはじめ、複数のtpによる協奏曲ですが、すべてマルサリスによる多重録音、ダビングしても音質劣化しないデジタル時代の利点で、最後のビーバーの曲は八重録音だそうです。

PS.フンメルのtp協奏曲は原曲はホ長調で書かれていますが、現在は一般的なtpで演奏しやすい変ホ長調に移調されることが多いそうです。当盤も変ホ長調です。マルサリスが2000年に録音した「ザ・ロンドン・コンサート」というアルバムでは原調のホ長調で演奏されています。他にホ長調で演奏しているのは、H.ハーデンベルガーとN.エクルンドの例があります。半音高い分だけでも華やかになりますかね。

category: その他・古典派

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