Micha クラシック&リュートの楽しみ

クラシック音楽とリュート、自然・科学の話など

太陽系に接近する恒星  

生きている間に冥王星の接近画像が見られるとは思っていなかったが、膨大な遠い恒星の距離や動きがわかるようになったというのも同じくらい興味深い。

ヨーロッパ宇宙機関(esa)が天文位置衛星「ガイア」で10億個以上の星の距離、動きなどの観測を続けている、データの一部が公開されているが、動きを捉えるには1つの星に対し平均70回の観測が必要で、途方もないデータ量ということになる。
8月31日、「グリーゼ710」という恒星が135万年後、太陽に2.3兆km(約0.24光年)まで接近すると発表された、先代の天文位置衛星「ヒッパルコス」でも概ねはわかっていたが、グリーゼ710は現在、へび座62.3光年にあり、質量は太陽の0.6倍程度である。
g 710
大きさ比較図

esaがその接近する様子のイメージ動画を公開した、
esa you tube01
you tube:Waiting for a stellar encounter
中央に見えるグリーゼ710に視点を置き、148万年後までの動きを早送りにしたもの、周囲の星も観測に基づいた動きを示している。

もう1つの動画は全天を視野に入れ、その中をグリーゼ710が動いていく様子、(ハンメル図法のためカーブを描く)
esa you tube02
you tube:Tracking stellar motions
動画の中で○で囲った所が出発点、シアターモードで見ると、画面の全ての星が動いている、
接近といっても、135万年後の事だが、約0.24光年まで近づけば、太陽系の惑星の軌道を乱すまではいかないようだが、オールトの雲に侵入して、かき乱し、太陽系内側に多量の彗星を送り込むかもしれない、
【オールトの雲:太陽系外縁を球状に取り囲んでいると"仮想"される、彗星の起源となる小天体の集まり、半径は0.16光年から1.6光年とも言われ、はっきりした境界はないかもしれない】

グリーゼ710の絶対等級は8.25vとされる、これが最接近した0.24光年の位置にくると、
g 710
視等級は-2.42vとなり、金星と木星の中間くらいの明るさで、恒星では最も明るくなる。

過去には約7万年前、太陽系に接近した赤色矮星「ショルツ星」があるが、これは最接近のとき、0.82光年だったと計算され、絶対等級は19.4vなので、視等級は最大でも11.4v、肉眼で見えない暗さだったことになる。
Scholzs-Star.jpg
ショルツ星
宇宙年齢は138億歳、7万年なんて、なんてこたぁない時間だ;
どうなってるかわからないが、135万年後という時間もかならずやってくる^^;

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category: 宇宙・天体

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遠い天体の"直接撮影"  

今まで見ることの出来なかった天体の姿は、観測データの解析から、理論的(間接的)にその姿を描き出すことも可能だが、どこまで正しいのやら?どうしても"実写"を見るまでは歯痒い思いである;しかし、アルマ望遠鏡が原始惑星系円盤を電波で捉えた時、事前の理論予想図とそっくりだったのに驚いたが、これで確認ができたわけだ。m
TW_20170901111430a16.jpgHL_20170901111431703.jpg
左:うみへび座TW星、右:おうし座HL星 (アルマ望遠鏡)
さらにVLTが光学的にも捉えた、
eso1640b_20170901085728ecf.jpg003_201709011324154c0_20170901173514652.jpg
RX J1615 (画像:ESO)
こちらには陰影も見られ、画面左上が"向こう側"とわかる、
やはり直接、光や電波でその姿を見るのが一番、問答無用の事実である^^

今年に入って興味深かったニュースは、まず6月に天文衛星ガイアの観測データで、多くの星の固有運動に基づく動画が公開された件だ、これも"直接観測"だろう。
過去記事:「esa動画:45万年の星の動き」

次に7月、アルマ望遠鏡が初めて恒星表面を電波で観測、ベテルギウスの表面を高解像度で捉えた件があった、(遠い恒星の表面を見るなんて、昔は夢みたいだったが・・)
過去記事:「アルマが捉えたベテルギウス」

さらに最新のニュースで、ESOのVLTIを用いた観測で、さそり座の赤色超巨星「アンタレス」の表面や大気を捉えたそうだ、VLTIは離れた4台の8.2m望遠鏡で観測した光を干渉させ、超大口径望遠鏡に相当する解像度が得られるシステムだ、
VLTI.jpg
ESO:Very Large Telescope 干渉計(VLTI)
今回、VLTIが高い解像度でアンタレスの表面の様子と大気の動きを捉えた。
eso1726a.jpg
アンタレス eso/VLTI撮影(距離:553.48±113.19光年)
太陽以外の恒星ではベテルギウス以来2例目で、解像度は最高レベルだそうだ。
eso1726c.jpg
アンタレス表面の物質の動きを示した図。赤は地球から遠ざかる方向の動き、青は近づく方向の動き、
(黒は観測ができなかった部分)

ガスは非常に離れた距離まで拡がり、乱流を起こしているらしい、この乱流のプロセスを調べれば、大質量星の進化で最終段階の様子がわかるかもしれない。
eso1726b.jpg
観測に基づく想像イラスト 参考:eso

次に気になるのが、今年4月、VLBIで観測済みで、データの合成作業が待たれるが、「ブラックホール・シャドウ」の直接撮影に成功したかどうか?である;
今のところ、"失敗だった"とかいう報道も聞いていない?;
過去記事:「EHT:ブラックホール直接撮影に挑戦」

ご覧いただき、ありがとうございました。

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クラゲ銀河  

銀河円盤とたなびくガスの姿がクラゲのようで、Jellyfish galaxies(くらげ銀河)と呼ばれる奇妙な銀河が多数見つかっている、
我々から見て、良い角度じゃないと、それらしく見えないが;m
eso1725b.jpgeso1725d.jpg
左:eso1725b 右:eso1725d VLT撮影 資料:eso
その一つ、みなみのさんかく座方向2億光年にある渦巻銀河、ESO 137-001は「じょうぎ座銀河団(Abell 3627)」の中心域に引き込まれている、
eso137-001.jpg
ESO 137-001 /HST撮影拡大画像
秒速約2000kmの速度で移動し、周囲を満たす約1億度の超高温ガスに対する動圧によって銀河内のガスが引きずり出され、紫外線で輝きながら、数万光年の長さにたなびいている、銀河の明るい中心から塵とガスが零れ出すシルエットも見られる。
また、たなびく尾の中でも星形成が起きて、ガスは消費される、
eso you tube
ESO動画 you tube:3D visualisation of ESO 137-001
銀河団の中心付近には年老いた星が構成する楕円銀河が多いそうだが、このように新しい星の材料を失うのも原因だろうか。

もう一つ、esoがVLTで捉えた、くらげ銀河 JO204の画像、
イタリア国立天体物理学研究所パドヴァ天文台のBianca Poggianti氏らがこの銀河を含む6個のくらげ銀河の中心に、活動的な超大質量BHがあるのを観測から明らかにした。
jo204.jpg
JO204 /VLT撮影、(赤)電離水素ガス、(白)銀河中の星が集まっている部分
ガスの一部は、引き剥がされずに銀河の中心に向かい、それが超大質量BHに吸収され、活動的にしているらしい、

銀河衝突もそうだが、何らかの外的要因、あるいは中心BHのような内的要因?が関わって、銀河にスターバーストを引き起こし、星の材料を消費していくようだ。
過去記事:銀河風の中で生れる星

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月の水、資源  

いつも何気なく見ている月は唯一、表面の様子を肉眼で見ることができる近い天体で、どこか遠くの惑星系にもありそうな景色を見ているとも言える、そう思うと壮観である、m
Full_Moon_Luc_Viatour.jpg
月と地球の間は、地球を30個並べた距離になる、
Earth-Moon.jpg
(距離:384400km、地球直径:12756km、月直径3474km)
アポロ計画で持ち帰った月の岩石を分析したところ、成分は地球の岩石とそっくりで、火星サイズの原始惑星が高速自転していた原始地球に良い角度で衝突し、その破片で同じ成分の月が出来たという、ジャイアント・インパクト説を裏付けている。
2011年に月の岩石中のガラス粒子を調べたところ、地球の玄武岩の一部に含まれるのと同等の水があることがわかった。ここで問題は、これが月全体の状態を示すのか、一部だけのことなのか?である、加えてインドがNASA、ESAの協力で打ち上げた月探査機「チャンドラヤーン1号」のデータを調べたところ、
Chandrayaan-1.jpg
チャンドラヤーン1号
月の火砕流堆積物には全て同様に水が含まれるらしいとわかった。
これまで、月の両極の永久影の所は多量の水の存在を示していたが、
moon s
南極の永久影(全方向から太陽があたった合成画像)
火砕流堆積物は含水量は僅かだが膨大で、月全域で確保できるかもしれない。
8236_water_content.jpg
水の存在を示した月面図、色のついた領域で特に赤や黄は周囲よりも水が多く存在する
(資料:Milliken lab / Brown University)
クレーターの縁に集中が見られる、暗い海の領域は少なそうだ、

鉱物資源に加え、水も現地調達できれば、将来の月面開発、さらには宇宙開発基地として期待できそうだ。
月は大気がないので、いつも晴れ、太陽光発電は安定的にできるが、小さな隕石も燃え尽きることなく全て落ちてくる、これにどう対処するか?あと生物由来の資源は調達できない;

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「カッシーニ」が捉えた絶景  

NASAの土星探査機「カッシーニ」は今年9月15日に土星の大気に突入して20年間に及ぶ探査を終了する、20年も経ったという気がしない?;
cassini02.jpg
降下機を下ろして衛星タイタンの地表の様子を捉えたり、衛星エンケラドゥスから噴き出す水の発見など、カッシーニが初めてもたらした成果は大きい、最終ミッションとして、土星の環の内側を周回した接近画像を撮っているところ。 
過去記事:「カッシーニ」環の内側から土星を撮影

やはり興味深いのがカッシーニが捉えた個性豊かな(変な^^)衛星達の鮮明画像だった、

本体が破壊される寸前のような大きなクレーターがある衛星「ミマス」はお馴染みだが、 Mimas_198.jpg
ミマス(Mimas):半径 198km  別名"デス・スター型衛星"
「テティス」も同様の巨大クレーターを持つ、テティスの半径はミマスの2.7倍あり、氷が多いためか?起伏は浅くなっている、
Tethys-533.jpg
テティス(Tethys):半径 533km

「イアペトゥス」は明るい表面だが、潮汐ロックされた"進行側"に暗い物質が降り積もっている、これは外側を周る衛星「フェーベ」がまき散らした希薄な物質がリングとなっていて、イアペトゥスの周回上にあるためだ。 過去記事:イアペトゥス
Iapetus_736.jpg
イアペトゥス(Iapetus):半径 736km ココア・パウダーをかけたお菓子?

「パン」は最も内側を周る「羊飼い衛星」の1つ、赤道付近が薄く広がった、球体に鍔がくっついた形で、どうしてこうなったかわからない;土星の環の中を周回している影響か?
Pan_15.jpg
パン(Pan):半径 15km 別名"UFO型衛星" タコ焼きをひっくり返したところにも見える^^;

「ヒペリオン」は奇妙な衛星で他に例がない、元々密度の低いスカスカの天体に隕石が落ちればズボっと沈み、飛び散るものがなく、このような深いクレーターが残ると考えられる、黄線で囲った部分には大きな放射状の地形があるようだ。
Hyperion01.jpgHyperion02.jpg
ヒペリオン(Hyperion):半径 95-182km 垢すりの軽石には荒いかな^^;

次は「タイタン」の大気を捉えた画像、
Titan02.jpg
これは壮観!

最後は「エンケラドゥス」を遠方から捉えた画像、
Enceladus_2017081409591773e.jpg
惑星探査機の画像は大抵、対象物が明るいため、背景の暗い星々は露光が足りず、写らないのが殆どだが、これは露光が十分あったため、エンケラドゥスと背景の恒星も写っている珍しい画像だそうだ、宇宙の奥行きを感じさせる。

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スターバースト・リング  

とけい座、約3800万光年にある、棒渦巻き銀河のNGC1512と近接した小銀河NGC1510のペアは銀河進化の謎を明かしてくれるようで興味深い。m
ngc1512 1510
左:NGC1512、右:NGC1510(HST)拡大画像
まず棒渦巻きのNGC1512は渦状腕のところには普通に見られる星生成領域があり、棒状に伸びたバルジには塵とガスが流れ込む道筋ができ、中心にあるであろう超大質量BHに落ち込んでいる、その中心に至る手前に明るい星が集まった、スターバースト・リングが見られ、ここは星生成が非常に活発なことを示している、
ngc1512 b
NGC1512 中心部 スターバースト・リング、狭い領域に集中して見えるが、棒状バルジの差し渡しを2万光年くらいと仮定すると、このリングの直径は2000光年くらいになる;
もっと広い範囲を見たのが下の画像だが、NGC1512の渦状腕はさらに伸びていて、隣の銀河NGC1510を囲いこんでいる、
NGC1512master2.jpg
NGC1512とNGC1510(HST):広範囲(この画像は左右が反転していたので修正した;)
銀河合体シミュレーションの1コマを見るようだが、両銀河の重力の相互作用が、NGC1512の特徴的な星生成を促し、NGC1510のほうも、小さいにも関わらず星生成が激しく、高温の新しい星々が多いとのこと。
ngc1510.jpg
NGC1510
NGC1512の渦状腕の外側には過去に取り込んだ古い銀河の星々があるらしい、現在の小銀河NGC1510もいずれ取り込まれる過程にある。

これらと似た状況なのが、近くに伴銀河を持つ、NGC1097ではないだろうか、中心にスターバースト・リングも見える、こちらは腕の巻き方がやや複雑だ、
NGC1097_newmaster3starshadows.jpg
NGC1097(HST)拡大画像

また、お馴染みの棒渦巻き銀河、NGC1300にも棒状のバルジには同じ構造があるが、
ngc1300_20170808083542b90.jpg
NGC1300(HST)拡大画像
中心を取り巻くリングには盛んな星生成の様子はないようだ、近くに重力を及ぼす銀河があれば、NGC1512と同じになるのかもしれない。
*渦巻き銀河の約2/3が棒渦巻き状である、理由は確定的ではないが、力学的不安定性によって、同じ銀河のバルジが棒状に伸びたり、丸くなったり、を繰り返すというシミュレーションの結果があるそうだ。

ご覧いただき、ありがとうございました。

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銀河の形で中心BHを推定  

下図はハッブル分類と呼ばれ、銀河の様々な形をE.ハッブルが分類した図である。m
h g
S0は楕円銀河と渦巻き銀河の中間的なレンズ状銀河とされた。
銀河:NGC5866はS0型とされるが、真横から見ているので渦巻き銀河の可能性もある、
Ngc5866_hst.jpg
NGC5866(HST)
ソンブレロ銀河(M104)はS0/Saで、S0とSaの中間か、
M104 hst
M104(HST)
我々の天の川銀河は棒渦巻きで、SBaあたりだろうか、

さて、オーストラリア、スインバーン大学のBenjamin Davis氏、Alister Graham氏らは、銀河中心BHの質量と、渦巻銀河の渦状腕の巻き具合との関係を調べる研究を行ったそうだ。
BH_high_res_2017.jpg
銀河中心ブラックホール(想像図)
渦状腕の巻き具合と中心BHとの関係性は10年ほど前から知られていたが、Davis氏らが44個の銀河を詳しく解析したところ、予想以上に強い関係を見出した。中心のバルジが大きい銀河は腕がきつく巻き、Sa型である、逆にバルジが小さく腕がゆるく開いた銀河はSc、Sd型となる。
M81 HST
Galaxy_M81 2
おおぐま座の渦巻銀河M81、上は可視光(HST)、下は赤外線観測画像(Spitzer ST / Benjamin Davis)
【↑この赤外線画像は180°回転させてもまったく同じ画像になる、画像の上半分のコピーを逆さにして下にくっつけ、縦に伸びた比率になっている・・目的があってのことか?】
M81はSab型に分類され、バルジは大きいほうだ、中心BHの推定質量は太陽の6800万倍と見られる。イメージどおり、バルジの大きいSa型は中心のBHの質量は大きく、
「従来の質量推測方法に匹敵するほどの相関が見られる、銀河の画像を見るだけで、誰でもすぐに銀河中心ブラックホールの質量を見積もることができる」とのことだ。

銀河の形で中心BHの質量を推測してよいのなら、渦状腕すらない楕円銀河はさらに巨大な中心BHがあると考えてよいだろうか、
M87_20170801090236892.jpg
M87(HST)
M87は楕円銀河のE0型で中心には太陽の約30億倍質量の超大質量BHがあると見られ、ジェットが噴き出している、巨大なため、EHT計画のBH直接撮影の候補でもある。→過去記事

ところで、風変わりな銀河も数多くある、NGC4921は"貧血銀河"とも呼ばれ、
NGC4921_201708011052363c5.jpg
NGC4921(HST)
一応渦巻き構造を持ち、SB(rs)abと分類されるが、新たな恒星を生みだす塵やガスが殆どなく、後方の宇宙が透けて見えるクラゲのような銀河だ、こんな銀河は判定が難しいかも;
もしかしたら、前述のNGC5866のタイプを上から見た様子かもしれない?

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パルサー惑星  

以前、大質量星が超新星爆発したあとに残るパルサー(中性子星)はまき散らした残骸物質を強い重力で再び引き寄せ、第二の惑星系を作るという話を書いた、これはパルサーが爆発の中心に残っている前提だが、この場合、惑星系は重金属が主成分となるらしい、
201605011.jpg
パルサー惑星系円盤想像図
しかし、パルサーは残骸物質を残したまま、大なり小なり移動しているようで、最高で毎秒1500kmで移動するものが知られる。こうした移動するパルサーは惑星系を作れるのか?

英・カーディフ大学のJane Greaves氏とイギリス天文学技術センターのWayne Holland氏によると、ふたご座、800光年にある「ゲミンガ・パルサー(Geminga pulsar」をハワイのサブミリ波観測装置ジェームズ・クラーク・マックスウェル電波望遠鏡(JCMT)で観測したところ、ゲミンガの周囲にアーク(弧状構造)を捉えた。
Geminga-Labels.jpg
左上へ移動するゲミンガ(黒丸内)、点線は衝撃波面、円筒形がゲミンガが通った跡。
0.45mmの赤外線波長で観測した擬似カラー画像(Jane Greaves / JCMT / EAO)

このアークは衝撃波面で、ゲミンガが超音速で天の川銀河内を移動することで発生した衝撃波に物質が巻き込まれ、一部の固体粒子がパルサーに向かって流れていくと考えているそうだ。パルサーは超強磁場をもっており、吹き出す電子プラズマが周囲の物質と衝突して衝撃波を作る。計算から、ゲミンガに捕まった恒星間粒子の質量は地球の数倍以上になるらしく、惑星系を作るのに十分と導かれる。
今回の観測は解像度が低いため、アルマ望遠鏡による詳細な観測が計画されている。

2003年にも衝撃波面(弧状構造)を持つパルサー「B1957+20」が見つかっている、このパルサーも秒速280kmで移動している、
b1957_comp.jpg
B1957+20(や座5000光年):X線観測衛星チャンドラ 撮影、緑が衝撃波面
パルサーは恒星間の物質を集め、新たな惑星系ができる可能性も示された、ただ、恒星とともに生れる普通の惑星系とは区別されるものだろう。
関連過去記事:宇宙の回転構造Ⅱ:パルサーと"パルサー惑星"?

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「高速度星」は大マゼラン雲から?  

空間内を秒速1000kmを超すような速度で移動し、銀河系の重力を振り切って飛び出していくような特異な星があることは以前にも書いた、m
005c.jpg
高速度星
その高速度の起因については様々説があって興味深い。(*今回、高速で移動する"中性子星"は除く)連星系が片方の星を失い、重力の相方がなくなって飛ばされた、あるいは重力の強い天体に接近して、スィングバイの力を得る、等々、今までの説が正しければ、高速度星は天の川銀河のどの方向にも見られてよいはずだが、なぜかほとんどが北半球のしし座、ろくぶんぎ座方向に見つかっているとのこと。
英ケンブリッジ大学 Douglas Boubert氏はこれに疑問をもち、新たな説が考えられた、これら高速度星は隣にある矮小銀河、大マゼラン雲からやってきている、というものだ。
Large Magellanic Cloud
大マゼラン雲:16万光年(ESA)
大マゼラン雲は星形成が活発で、星団の中の連星系からはじき出された星は、大マゼラン雲の質量が天の川銀河の1/10程と小さいため、その重力を振り切って飛び出しやすい、その一部が天の川銀河にやってきている、という可能性だ。また、大マゼラン雲は天の川銀河に対し、秒速400kmで相対的に動いているので、大マゼラン雲起源の星はその速度も維持してやってくる、また、しし座やろくぶんぎ座の方向に偏っているのも説明がつくらしい(図説がないので詳しくは不明)、たしかに高速度になるという点では有力説で興味深い。
Boubert_ioa02.jpg
大マゼラン雲の活発な星生成領域から跳び出す暴走星のイメージ図(資料:Amanda Smith)
(この図の物理的説明はない)

天文衛星ガイアの取得データが来年公開されるが、ガイアは個々の星の動きも捉えているので、そのデータの中に、この説の候補となる星が見つかるかも、と期待されている。

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宇宙初期の活動銀河  

宇宙で最初の星、ファーストスターは水素とヘリウム(+僅かなリチウム)だけで作られ、いずれも巨星で寿命も短かった、初期銀河もこうした星で形成され、多くの星が一斉に寿命を終え、超新星爆発していたと考えられる、狭い領域に小銀河が密集していて、衝突も頻繁にあり、スターバーストが起きて今よりも遥かに銀河は活動的だった、星の核融合で作られた重元素も銀河間に多くばらまかれたと考えられる。m
galaxy filaments
銀河フィラメント(銀河が密集する網目)
広島大学大学院理学研究科のNorbert Werner氏らの研究チームはX線天文衛星「すざく」で、10個の近傍銀河団の観測データを解析したところ、すべての銀河団の外縁部にある高温プラズマ中の"鉄"の含有率が太陽の1/3ほどで均一だとわかった。
suzaku.jpg
X線天文衛星「すざく」:現在は観測を終了している(JAXA)
銀河団という大きな領域で均一なのは、初期銀河の集まりの段階で非常に多くの超新星爆発があり、銀河風が重元素をまき散らし、混ざり合って銀河間が満たされたと推測されている、銀河同士が離れた時期であれば、物質の含有率は偏りがあるはずだ。
お馴染みの近傍銀河M82などは密集状態ではないものの、そんな頃の銀河の様子を今も見せているのかもしれない、
m82m81 m82
M82(1200万光年):左、X線、可視光線、赤外線の合成画像(NASA)
近くにある銀河M81の重力の影響で活動銀河となっているらしいが、銀河の上下に激しい銀河風を噴き出している、初期銀河は密集し合い、もっと活発だったと思われる、
先般は活動銀河の銀河風の中でも星が誕生して、一緒に噴き出されているという話を書いた、
銀河風の中で生れる星
初期銀河でもこれが起きたら、近接したいずれかの銀河に取り込まれそうだ?

ご覧いただき、ありがとうございました。

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